JP5766407B2 - シート状部材付き衝撃吸収材、シート状部材付き衝撃吸収材の配置車両、及び、シート状部材付き衝撃吸収材の製造方法 - Google Patents

シート状部材付き衝撃吸収材、シート状部材付き衝撃吸収材の配置車両、及び、シート状部材付き衝撃吸収材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車の内装に組み込まれて車輌衝突時に乗員が受ける衝撃を吸収する上で最適なシート状部材付き衝撃吸収材、シート状部材付き衝撃吸収材の配置車両、及び、シート状部材付き衝撃吸収材に関する。
従来、自動車などの内装に用いられる衝撃吸収材では、特許文献1に記載されているように、車両に内装される衝撃吸収材は車両内部の部位(ドアトリム、ルーフサイド等)によって異なる衝撃吸収性能が求められている。
この対策として、衝撃吸収性能の異なる部材を一体成型することが特許文献1で提案されている。この特許文献1では、成型金型の下型に堰(境界設定部材)を設け、堰で区切られた各区分に複数の異なる材料を供給することによって、複数の異なる衝撃性能をもつ部材を一体成型して製造している。
特開2002−193056号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では堰の高さ(衝撃吸収材内部における深さ)が大きければ、離型時(脱型時)あるは成型後の使用時に境界部分となる堰の強度が不足する虞があり、また堰の高さが不足すれば発泡原料(硬質ウレタンフォームなど)の投入条件等によっては、複数の異なる原料を投入しても両者の境界が一定とならず、衝撃吸収材としての性能(弾性、硬度、およびその分布)が製品毎に安定しにくくなる虞がある。加えて、複数の発泡原料を区別して用いる必要があるため工程も複雑となり、コストも高くなる虞がある。
本発明は上記事実を考慮して、衝撃性能が互いに異なる部位を1つの部材に精度良く安定的に形成することで、乗員の体格が大きくても小さくても乗員に対して適切に衝撃吸収を行うことができるシート状部材付き衝撃吸収材、シート状部材付き衝撃吸収材の配置車両、及び、シート状部材付き衝撃吸収材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、自動車の乗員はその体格によって最適なシートポジションが異なるが、主として車体前後方向にシートをスライドさせて最適なポジションを得ていることに着目した。そして、この時、体格の大きい人はシートを車体後方に、体格の小さい人はシートを車体前方に調整するが、身体の後方すなわち腰を左右方向からサポートする衝撃吸収材の吸収エネルギーは大きいことが望ましく、また身体の前方すなわち腹を左右方向からサポートする衝撃吸収材の吸収エネルギーは小さいことが望ましいことにも着目した。そこで、車体前後方向で衝撃吸収性能(変位/入力の関係)の異なる複数種類の衝撃吸収材を一体成型することを鋭意検討した。そして、衝撃吸収性能を異ならせることを、車体前後方向に限らず、しかも衝撃吸収性能を異ならせる境界が複雑な形状であっても簡易に製造することを考え付き、本発明を完成するに至った。
請求項1に記載の発明は、衝撃吸収材の部分的な設定表面位置にシート状部材を配置して1つの部材とすることにより、前記シート状部材が配置された部位と配置されていない部位とで衝撃吸収性能を異ならせており、乗員の車幅方向外側における車両の内装の内側に配置され、前記設定表面位置が、前記シート状部材が配置されていない部位よりも車両後方側の位置とされている。
シート状部材としては、フェルト、スラブ、布、フィルム等が挙げられるが、配置した部位と配置しない部位とで衝撃吸収性能が互いに異なる限り特に限定はしない。設定表面位置は、通常、衝撃を受けた初期段階で衝撃吸収材に大きな破壊、分裂が生じることを回避したい位置や、衝撃を受けたときに、シート状部材が配置されていない部位に比べて、より大きな吸収エネルギーを確保したい位置である。設定表面位置は、複数箇所であってもよく、また、複雑な形状であってもよい。
請求項1に記載の発明では、シート状部材を衝撃吸収材の部分的な設定表面位置に配置することで、シート状部材が配置された部位と配置されていない部位とで衝撃吸収性能が互いに異なるシート状部材付き衝撃吸収材を、精度良く安定的に短時間で簡易に製造することができる。
また、車両が衝撃を受けた際に、体格が大きい人は、体格が小さい人に比べて車両後方側の位置に衝突する。
請求項1に記載の発明では、体格が大きい人が衝突する、すなわち大きな衝撃荷重が入力される可能性が高い部位に予めシート状部材を配置することになる。従って、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂がこの部位に生じることがシート状部材によって防止されている。しかも、シート状部材が配置されていない部位に比べ、衝撃を受けたときに吸収できるエネルギーが大きい。
そして、車両が衝撃を受けた際に、体格が小さい人が衝突する、すなわち小さな衝撃荷重が入力される可能性が高い部位にはシート状部材が配置されていないことになる。従って、シート状部材が配置されている部位に比べ、衝撃を受けたときに吸収できるエネルギーが小さいので、体格が小さい人に加えられる衝撃も小さい。
請求項2に記載の発明は、衝撃吸収材の部分的な設定表面位置にシート状部材を配置して1つの部材とすることにより、前記シート状部材が配置された部位と配置されていない部位とで衝撃吸収性能を異ならせており、乗員の車幅方向外側における車両の内装の内側に配置され、前記設定表面位置が、前記シート状部材が配置されていない部位よりも車両上方側の位置とされている。
車両が衝撃を受けた際に、体格が大きい人は、体格が小さい人に比べて車両内で高い位置、すなわち車両上方側の位置に衝突する。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様に、体格が大きい人が衝突する、すなわち大きな衝撃荷重が入力される可能性が高い部位に予めシート状部材を配置することになる。従って、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂がこの部位に生じることがシート状部材によって防止されている。しかも、シート状部材が配置されていない部位に比べ、衝撃を受けたときに吸収できるエネルギーが大きい。
そして、車両が衝撃を受けた際に、体格が小さい人が衝突する、すなわち小さな衝撃荷重が入力される可能性が高い部位にはシート状部材が配置されていないことになる。従って、シート状部材が配置されている部位に比べ、衝撃を受けたときに吸収できるエネルギーが小さいので、体格が小さい人に加えられる衝撃も小さい。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のシート状部材付き衝撃吸収材において、前記シート状部材の端部が前記衝撃吸収材の内部に入り込んでいる。
請求項4に記載の発明は、前記シート状部材の厚さが、0.05〜1.0mmである。
請求項5に記載の発明は、前記衝撃吸収材は、硬質ポリウレタンフォーム又は熱可塑性エラストマーであり、前記シート状部材は、ポリカーボネイト又はポリエチレンテレフタレートである。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のシート状部材付き衝撃吸収材が設置されたシート状部材付き衝撃吸収材の配置車両である。
これにより、この車両の乗員に対し、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の発明の効果が得られる。
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載のシート状部材付き衝撃吸収材の製造方法であって、前記シート状部材を予め成形し、前記シート状部材を金型内に配置し、前記金型内で硬質ポリウレタン発泡材料を発泡及び膨張させて、前記シート状部材の端部が前記衝撃吸収材の内部に入り込むように、前記シート状部材と硬質ポリウレタンフォーム製の衝撃吸収材とを一体的に成形する。
請求項7に記載の発明では、シート状部材を予め設定形状にして金型内に配置しているので、シート状部材が配置される領域が複雑な形状であっても、精度良く安定的に、容易に短時間で請求項3に記載の衝撃吸収材を製造することができる。そして、衝撃吸収材とシート状部材とが一体的に成形されるので、衝撃吸収材の成形後にシート状部材を配置する場合に比べ、衝撃吸収材とシート状部材と接合強度が高い。また、シート状部材の端部が衝撃吸収材の内部に入り込むので、この端部からは、衝撃吸収材からの剥離開始が生じない。
請求項8に記載の発明は、前記シート状部材を予め成形する際に、前記シート状部材を前記金型内に配置すると前記シート状部材の端部がキャビティ内側に突出するように成形する。
これにより、衝撃吸収材内部に入り込んでいるシート状部材の端部からは、衝撃吸収材からの剥離開始が生じない。
本発明によれば、衝撃性能が互いに異なる部位を1つの部材に精度良く安定的に形成することで、乗員の体格が大きくても小さくても乗員に対して適切に衝撃吸収を行うことができるシート状部材付き衝撃吸収材、シート状部材付き衝撃吸収材の配置車両、及び、シート状部材付き衝撃吸収材の製造方法を提供することができる。
第1実施形態に係るシート状部材付き衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図である。 第1実施形態に係る成形されたシート状部材付き衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 第1実施形態で、車両後方側部分でかつ車両内壁面側にシート状部材を配置した例を示す概念的な斜視図である。 第1実施形態で、車両後方側部分で全表面にわたってシート状部材を配置した例を示す概念的な斜視図である。 第1実施形態で、車両上方側部分でかつ車両内壁面側にシート状部材を配置した例を示す概念的な斜視図である。 第1実施形態で、車両上方側部分で全表面にわたってシート状部材を配置した例を示す概念的な斜視図である。 第1実施形態の試験例で用いた試験片の側面図である。 第1実施形態の試験例で用いた試験片の正面図である。 第1実施形態の試験例で、試験片に衝撃を与えたときの衝撃変位と衝撃荷重との関係を示すグラフ図である。 第1実施形態の試験例で、試験片に衝撃を与えたときの衝撃変位と衝撃荷重との関係を示すグラフ図である。 第2実施形態に係るフィルム付き衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図である。 第2実施形態に係る成形されたフィルム付き衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 第2実施形態に係るフィルム付き衝撃吸収材の成形方法の離型後の工程を示す正面断面図である。 第2実施形態に係る衝撃吸収材に使用される樹脂フィルムを示す斜視図である。 第3実施形態に係るフィルム付き衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図である。 第3実施形態に係る成形されたフィルム付き衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 第4実施形態に係る衝撃吸収材に使用される樹脂フィルムを示す斜視図である。 第2〜第4実施形態に係る衝撃吸収材の使用例を示す概念図である。 第2〜第4実施形態に係る衝撃吸収材の樹脂フィルムで被覆された箇所と被覆されていない箇所とにおいて入力と変位の関係を示す比較図である。 第5実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図である。 第5実施形態に係る成形された衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 第5実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法の離型後の工程を示す正面断面図である。 第5実施形態で、衝撃吸収材の使用例を示す概念図、及び、変位と入力との関係を説明するグラフ図である。 第5実施形態に係る衝撃吸収材に使用される樹脂フィルムを示す斜視図である。 第6実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図である。 第6実施形態に係る成形された衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 第7実施形態に係る衝撃吸収材に使用される樹脂フィルムを示す斜視図である。 第8実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図および衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 第8実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法に係る下金型と仕切部材との位置関係を示す斜視図、平面図および正面断面図である。 第8実施形態の、他の形態に係る衝撃吸収材の成形方法に係る下金型と仕切部材との位置関係を示す斜視図および正面断面図である。 第8実施形態の、他の構造に係る衝撃吸収材の成形方法に係る下金型と仕切部材との位置関係を示す斜視図および正面断面図である。
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。なお、以下の実施形態で得られたシート状部材付き衝撃吸収材は、自動車用内装材その他の産業資材に利用され、特に自動車のドアトリムの内側に取り付け、衝突時のエネルギーを吸収して乗員を保護するなどの衝撃吸収材として好適なものである。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
図1、図2に示すように、本実施形態では、下金型12と上金型14とで構成される衝撃吸収材成形用の金型(モールド)10を用いる。この金型10では、下金型12と上金型14とが開閉自在にヒンジ結合されている。下金型12は上部中央部に凹状の下型キャビティ16が形成され、上金型14はこの下型キャビティ16の上端開放部を閉塞する蓋体として形成されており、上金型14と下金型12とを閉じた状態では下型キャビティ16内の空間が上金型14で閉じられた状態になる。
また、下金型12の底部には、箱状の空気室Sが形成されており、この空気室Sには、圧力調整バルブ20を介装するエアー管22の一端が接続され、該エアー管22の他端は真空ポンプ等のエアー導入・吸引装置と連結されている。この空気室Sと下型キャビティ16とは複数のエアー連通孔(空気穴)24によって連通されている。
以下、金型10を用い、硬質ポリウレタンフォームからなる衝撃吸収材32と、衝撃吸収材32の表面側に部分的に配置されたシート状部材34と、が一体発泡で成形されてなるシート状部材付き衝撃吸収材30を製造することについて説明する。シート状部材34は、例えば、フェルト、スラブ、黒不織布、汎用の布などである。
本実施形態では、予め、シート状部材の端部34Eがキャビティ内側に突出するとともに端部以外(すなわちシート状部材本体34M)は下金型12のキャビティ形状に沿った外形のシート状部材34を形成しておく。シート状部材本体34Mの配置位置は、シート状部材34側から衝撃を加えた初期段階で衝撃吸収材32に大きな破壊、分裂が生じることを防止する位置とする。
このシート状部材34を下金型12内の設定位置に配置する。更に、液状の硬質ポリウレタン発泡材料を下金型12内に注入し、上金型14を閉じる(図1参照)。
そして、注入した硬質ポリウレタン発泡材料を発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で上型を型開きし、エアー導入・吸引装置を作動させ、エアー管22、空気室S、及びエアー連通孔24を介して、成形品(シート状部材付き衝撃吸収材)と下型キャビティ16との間隙Nにエアーを吹き込み、図2に示すように、成形品を構成する衝撃吸収材32をシート状部材34と共に押し上げる。
このようにして形成されたシート状部材付き衝撃吸収材30では、シート状部材34の端部34Eが衝撃吸収材32の内部に入り込んでいるとともに、衝撃吸収材32の部分的な設定表面位置にシート状部材34(シート状部材本体34M)が一体的に配置されている。
従って、シート状部材付き衝撃吸収材30のうちシート状部材34が配置されている部位に外部から衝撃が加えられても、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂が衝撃吸収材32に生じることがシート状部材34によって防止されている。また、仮に衝撃吸収材32に大きな割れが生じても衝撃吸収材32が広範囲に飛散することがシート状部材34によって防止されている。
そして、シート状部材付き衝撃吸収材30のうちシート状部材34が配置されていない部位に外部から衝撃が加えられると、小さな衝撃荷重が入力されても破壊によりこの衝撃を吸収し易い。
離型(脱型)の際の空気圧は0.5kgf/cm2 以上(4.9N/cm2 )以上、特に1〜5kgf/cm2 (9.8〜49N/cm2 )であることが好ましい。なお、成形品の形状や大きさにより異なるが、工場エアー圧5kgf/cm2 (49N/cm2 )付近にまで高めれば、ほとんどの形状の成形品を離型させることができる。
硬質ポリウレタン発泡原料としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを主成分とし、更に触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤、その他の助剤を所望により配合したものを使用し得る。これらの成分としては硬質ポリウレタンフォームの製造に通常使用する公知のものを使用でき、またその使用量も常用量とすることができる。
なお、成形品であるシート状部材付き衝撃吸収材30には抜きテーパーを設けることが脱型を容易にし、押し上げる際にヘコミや傷等が生じることなく、抵抗力も少なくなるため好ましい。このため、シート状部材付き衝撃吸収材30の厚さや大きさにより異なるが3°以上、特に3°〜5°の範囲にテーパー角度θ(図1参照)を形成することが好適である。
以上説明したように、本実施形態では、衝撃吸収材32の部分的な設定表面位置にシート状部材34を配置している。
従って、シート状部材34が配置されている部位と配置されていない部位とで衝撃吸収性能が異なっており、シート状部材34が配置されている部位に外部から衝撃が加えられても、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂が衝撃吸収材32に生じることが防止される。しかも、シート状部材34が配置されていることで衝突面積が増大して圧縮応力が増大する効果が得られ、シート状部材34が配置されている部位が受ける衝撃荷重を高めることが可能である。
そして、シート状部材34が配置されていない部位に外部から衝撃が加えられると、小さな衝撃荷重が入力されてもこの衝撃を吸収し易い。
また、シート状部材34を予め設定形状にして金型10内に配置しているので、シート状部材34が配置される領域が複雑な形状であっても、精度良く安定的に、短時間で簡易にシート状部材付き衝撃吸収材30を製造することができる。
また、衝撃吸収材32とシート状部材34とが一体的に成形される。従って、衝撃吸収材32の成形後にシート状部材34を配置する場合に比べ、衝撃吸収材32とシート状部材34と接合強度が高い。しかも、成形時にシート状部材34に圧縮力が作用するので、成形時の圧縮力を調整することで衝撃を受けた際のシート状部材34の圧縮応力の上昇度合いを調整することができる。
また、本実施形態では下型キャビティ16に沿った外形を有するシート状部材34を予め形成している。従って、シート状部材34を予め形成せずに金型のキャビティ内壁にシート状部材を単に配置して硬質ポリウレタン発泡材料を注入してシート状部材付き衝撃吸収材を成形した場合に比べ、たとえ衝撃吸収材32の表面形状が複雑であっても、シート状部材34が衝撃吸収材32の意図した位置、形状に容易に高精度で配置され、しかもシート状部材34が剥がれ難い。
そして、シート状部材34の端部34Eが衝撃吸収材32の内部に入り込んでいるので、この端部34Eからは、衝撃吸収材32からの剥離開始が生じない。
また、シート状部材付き衝撃吸収材30を下金型12から離型させる際に、成形品と下型キャビティ16側の下型表面との間を空気で加圧することでシート状部材34をキャビティ内壁から分離させている。これにより、シート状部材34や衝撃吸収材32の外形形状が複雑であっても、金型からの離型が特に容易である。
また、シート状部材付き衝撃吸収材30を成形する際にシート状部材34の内側に硬質ポリウレタン発泡材料を注入しており、衝撃吸収材32はシート状部材34の内側に成形される。従って、衝撃吸収材32から硬質ポリウレタンフォームの粉落ち現象が生じることが回避されている。
なお、以上の説明では、衝撃吸収材32とシート状部材34とを一体的に成形することで説明したが、衝撃吸収材32を先に成形し、その後に衝撃吸収材32の表面にシート状部材34を接着剤で貼り付けるなどして配置しても、同様に、シート状部材34が配置されている部位と配置されていない部位とで衝撃吸収性能を異ならせることができる。
本実施形態では、シート状部材34の配置位置は、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂が衝撃吸収材32に生じることを防止した位置であればどこであっても良い。
例えば図3に示すように、衝撃吸収材32のうち車両後方側部分32Bでかつ車両内壁面側32Sにシート状部材34を配置してもよい。この配置では、体格が大きい人が衝突する、すなわち大きな衝撃荷重が入力される可能性が高い部位に予めシート状部材34を配置することになる。従って、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂が車両後方側部分32Bの特に車両内壁面側34Sで生じることが、シート状部材34によって防止されている。しかも、シート状部材34が配置されていることで衝突面積が増大して圧縮応力が増大する効果が得られ、シート状部材34が配置されている部位が受ける衝撃荷重を高めることが可能である。そして、車両が衝撃を受けた際に、体格が小さい人が衝突する、すなわち小さな衝撃荷重が入力される可能性が高い車両前方側部分32Fにはシート状部材34が配置されていないので、衝撃を受けた初期段階から衝撃吸収性能が高い。
なお、図4に示すように、衝撃吸収材32のうち車両後方側部分の全表面にわたってシート状部材34を配置してもよい。これにより、車両後方側部分32Bで、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂が生じることが更に防止される。
また、図5に示すように、衝撃吸収材32のうち車両上方側部分32Uでかつ車両内壁面側34Sにシート状部材34を配置してもよい。この配置では、体格が大きい人が衝突する、すなわち大きな衝撃荷重が入力される可能性が高い部位に予めシート状部材34を配置することになる。従って、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂が車両上方側部分32Uの特に車両内壁面側34Sで生じることが、シート状部材34によって防止されている。しかも、シート状部材34が配置されていることで衝突面積が増大して圧縮応力が増大する効果が得られ、シート状部材34が配置されている部位が受ける衝撃荷重を高めることが可能である。そして、車両が衝撃を受けた際に、体格が小さい人が衝突する、すなわち小さな衝撃荷重が入力される可能性が高い車両下方側部分32Lにはシート状部材34が配置されていないので、衝撃を受けた初期段階から衝撃吸収性能が高い。
なお、図6に示すように、衝撃吸収材32のうち車両上方側部分の全表面にわたってシート状部材34を配置してもよい。これにより、車両上方側部分32Uで、衝撃を受けた初期段階で大きな破壊、分裂が生じることが更に防止される。
<第1実施形態の試験例>
本発明の効果を確かめるために、本発明者は、第1実施形態のシート状部材付き衝撃吸収材30で、シート状部材34の素材をパラメータとして変更した試験片を製作し、衝撃吸収性能特性を調べる試験を行った。シート状部材34と衝撃吸収材32とを一体発泡で成形したシート状部材付き衝撃吸収材30の試験片29では、シート状部材34の素材は粗毛フェルト、及び、ボランス(登録商標)である(図9参照)。また、先に衝撃吸収材32を成形し、その後にシート状部材34を貼り付けたシート状部材付き衝撃吸収材30の試験片31では、シート状部材34の素材はフェルト、スラブ、及び、黒不織布である(図10参照)。また、比較のために、シート状部材34を配置しない例、すなわち衝撃吸収材32のみの試験片の衝撃吸収性能特性も調べた。
図7、図8に示すように、シート状部材34の配置位置は、何れも車両後方側部分でかつ車両内壁側の位置とした。また、何れの試験片であっても、衝撃吸収材32の長さL1を250mm、衝撃吸収材32の高さH1を120mm、シート状部材本体34Mの長さL2を125mm、シート状部材本体34Mの高さを衝撃吸収材32の高さH1と同じく120mmとし、動的圧縮試験機で衝撃を与える打点Pをシート状部材本体34Mの中央、すなわち、シート状部材本体34Mの長さ方向端部から長さ方向にL2/2=62.5mm、高さ方向にH1/2=60mmの位置とした。そして、各試験片について圧縮波形を測定した。試験結果を図9、図10に示す。図9、図10では、試験片に衝撃を与えたときの打点Pの変位(衝撃変位)を横軸、打点Pで受けている荷重(衝撃荷重)を縦軸としている。
図9、図10で特に衝撃変位が0.02mm〜0.04mmにおける衝撃荷重から判るように、シート状部材34を配置しないで衝撃吸収材32のみに衝撃を与えた場合の衝撃荷重に比べ、シート状部材付き衝撃吸収材30に衝撃を与えた場合の衝撃荷重のほうが高かった。また、シート状部材34の素材によって受ける衝撃荷重がやや異なるので、シート状部材34の素材を選択することで衝撃荷重を調整できることも判った。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、シート状部材として樹脂フィルムを用いた例で説明する。
図11〜図13に示すように、本実施形態では、下金型112と上金型114とで構成される衝撃吸収材成形用の金型(モールド)100を用いる。この金型100では、下金型112と上金型114とが開閉自在にヒンジ結合されている。下金型112は上部中央部に凹状の下型キャビティ116が形成され、上金型114はこの下型キャビティ116の上端開放部を閉塞する蓋体として形成されており、上金型114と下金型112とを閉じた状態では下型キャビティ116内の空間が上金型114で閉じられた状態になる。
また、本実施形態では、下金型112には真空成形法により予め下型キャビティ116と同一形状に成形されたポリプロピレン製の離型フィルム118が設置されている。この離型フィルム118は下金型112の上端面に固定ピン(図示せず)により止められ、下金型112の上端面に配設されたフィルムエアーシール用パッキンと更にフィルム押え(何れも図示せず)とで挟持されて下金型112に強固に固定されている。本発明者らの検討によると、かかる固定状態で数十回の繰り返しの脱型にてもフィルムのズレは生じない。また、脱型作業も容易に行うことができる。
離型フィルム118を成形するには、フィルムの熱収縮などを考慮し、衝撃吸収材成形用の金型100とは別であるフィルム部材成形用金型を用いて成形する。
さらに、金型100で成型される硬質ポリウレタンフォームからなる衝撃吸収材132は、表面の一部を樹脂フィルム134で被覆される一方で内部にも樹脂フィルム134がインサートされ、且つ樹脂フィルム134の一部によって衝撃吸収材132の内部は複数の区画に区分される。
また、下金型112の底部には、箱状の空気室Sが形成されており、この空気室Sには、圧力調整バルブ120を介装するエアー管122の一端が接続され、該エアー管122の他端は真空ポンプ等のエアー導入・吸引装置と連結されている。この空気室Sと下型キャビティ116とは複数のエアー連通孔(空気穴)124によって連通されている。
ここで、離型フィルム118は、硬質ポリウレタンフォームとの分離性を良好にし、繰り返し使用を数十回行う上で、上述したようにポリプロピレンフィルムで形成されていることが好ましい。即ち、硬質ポリウレタンフォームの成形品と分離するものには、プラスチック製フィルムとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムがあるが、伸び、変形が起こり難いことにより硬質ポリウレタンフォームとの分離時に伸び、変形が少なく、かつ分離性が良くて数十回の使用を行う、という観点で、離型フィルム118はポリプロピレンフィルムで形成されていることが好ましい。
また、硬質ポリウレタンフォームは、軟質ウレタンフォームと異なり、許容範囲を超えた力を加えると座屈変形、つまり破壊してしまうものである。一方、離型時には硬質ポリウレタンフォームは内部の反応熱で膨張しており、金型100の側面を0.5〜1kgf/cm2 程度(4.9〜9.8N/cm2 程度)の力で押している。このような力で硬質ポリウレタンフォームで形成された衝撃吸収材132が金型100の側面を押していても、本実施形態では、上記のように離型フィルム118を金型100に設置し、離型フィルム118と下型キャビティ116との間に空気圧を加えることで、比較的スムーズに成形品が下金型112から上がってくる、つまり離型させることができる。
このポリプロピレンフィルムの厚さは0.3〜1.0mm、特に0.3〜0.6mmであることが好適である。0.3mmよりも薄いと十分な強度が維持できず、成形時にフィルムが破損する場合がある。一方、1.0mmよりも厚くなると、製品寸法誤差が大きくなり、金型を大きめに作らざるを得ない問題が生じ、脱型時のフィルムの変形が起こりにくくなり、また、成形品の形状によって複雑なものはフィルムとウレタンが分離しにくくなる場合が起きる。
また、ポリプロピレンフィルムからなる離型フィルム118は、予め真空成形法によって成形しておくことが望ましい。なお、予め成形しておかないと、硬質ポリウレタン発泡材料で発泡、成形し、脱型した後、離型フィルム118を元の状態に十分に追随、復元させることが難しい。
また、真空成形法ではなく、プレス成形法により所定の形状に形成した場合、このプレス成形法では、雄型形状のコーナー部が局部的に押されて製造されることになるため、形状が完全に下型キャビティ116に沿うことがやや困難で、下金型112からの浮きが生じ易い。また、離型フィルムのコーナー部が破れ易く、耐久性が劣る。特に下型キャビティ116が深い形状の場合には狭い隙間を薄いフィルムがすべり、伸ばされることになるので、離型フィルムが薄くなり易い。また、離型フィルムに均等に力が加わることが必要であるが、フィルム厚が薄いため、上金型114が離型フィルムを均等に押すことが困難となり、片当たりして、成形品に薄さがでたりキャビティ形状にピッタリと合うものを製造することができない場合が考えられる。なお、真空成形法は公知の方法を採用し得るが、本実施形態では、ポリプロピレンフィルムを180〜200℃、15〜20秒間程度加熱したものを真空成形することがよい。
以下、金型100を用い、硬質ポリウレタンフォームからなる衝撃吸収材132と樹脂フィルム134とが一体的に成形されてなるフィルム付き衝撃吸収材130を製造することについて説明する。
本実施形態では、予め、下金型112のキャビティ形状に沿った外形の樹脂フィルム134を成形しておく。樹脂フィルム134の材質は本実施形態ではポリカーボネイトである。樹脂フィルム134を成形するには、離型フィルム118を成形する際に用いたフィルム部材成形用金型で真空成形法により成形してもよい。
樹脂フィルム134は例えば図14に示すような所謂バスタブ形の容器形状でよく、下金型112の内面に沿ってこれと接する露出部134Aと、衝撃吸収材130を複数区画に区分する堰部134Bとを備え、硬質ポリウレタン発泡材料を注入する方向(上)が開いた容器形状として形成される。
この成形された樹脂フィルム134を下金型112内に配置する。その際、エアー導入・吸収装置で空気吸引して離型フィルム118を下型キャビティ116に沿った成形開始前の形状(図11、図13参照)にしておき、この離型フィルム118の上側に樹脂フィルム134を配置する。
このとき樹脂フィルム134の一方の壁として設けられ、衝撃吸収材132の内部にインサートされ、これを複数の区画に区分する堰部134Bは、図11に示すように上金型114に接触するほど上方まで延設され、衝撃吸収材132を完全に区分する形状であってもよく、あるいは高さ方向の途中まで設けられ、衝撃吸収材132を途中まで区分する形状であってもよい。
更に、硬質ポリウレタン発泡材料を下金型112内の樹脂フィルム134の内外を埋めるように注入し、上金型114を閉じる(図11参照)。
そして、注入した硬質ポリウレタン発泡材料を発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で上型を型開きし、エアー導入・吸引装置を作動させ、エアー管122、空気室S、及びエアー連通孔124を介して、離型フィルム118と下型キャビティ116との間隙Nにエアーを吹き込み、図12に示すように、成形品を構成する衝撃吸収材132を樹脂フィルム134と共に押し上げる。
その際、離型フィルム118は端部のみ下金型112に固定されているので、空気圧で離型フィルム118とフィルム付き衝撃吸収材130とが押し上げられ、このときに離型フィルム118が樹脂フィルム134および樹脂フィルム134で被覆されていない衝撃吸収材132から分離することになる。所定量の空気を入れると所定位置で離型フィルム118の浮き上がりが止まり、図12に示すように、フィルム付き衝撃吸収材130が金型100から離型(脱型)される。
離型(脱型)の際の空気圧は0.5kgf/cm2 以上(4.9N/cm2 以上)、特に1〜5kgf/cm2 (9.8〜49N/cm2 )であることが好ましい。なお、成形品の形状や大きさにより異なるが、エアー圧5kgf/cm2 付近にまで高めれば、ほとんどの形状の成形品を離型させることができる。また通常は、間隙Nに注入される流体は空気を用いるが、空気に替えて水などの液体を用いてもよい。
硬質ポリウレタン発泡原料としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを主成分とし、更に触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤、その他の助剤を所望により配合したものを使用し得る。これらの成分としては硬質ポリウレタンフォームの製造に通常使用する公知のものを使用でき、またその使用量も常用量とすることができる。
なお、成形品であるフィルム付き衝撃吸収材130には抜きテーパーを設けることが脱型を容易にし、押し上げる際にヘコミや傷等が生じることなく、抵抗力も少なくなるため好ましい。このため、フィルム付き衝撃吸収材130の厚さや大きさにより異なるが3°以上、特に3°〜5°の範囲にテーパー角度θ(図11参照)を形成することが好適である。
その後、エアー導入・吸引装置を作動させて離型フィルム118と下型キャビティ116との間のエアーを吸引すると、図13に示すように、離型フィルム118は予め真空成形されているので容易に元の形状に戻ることができ、下型キャビティ面上に再設置されて、離型フィルム118の再使用が可能となる。従って、効率よく確実にキュア時間を縮めることが可能となり、一回の成形にかかるモールド使用時間を短縮して単位時間当りの成形回数を増やし生産性を上げることができる。また、エアーにより、成形品であるフィルム付き衝撃吸収材130)を全体的に均等に押し上げることができるため、フィルム付き衝撃吸収材130に無理な力がかからず、特に80℃±10℃でのキュア時間を効果的に縮めることができ、これによりモールド使用時間を短縮して単位時間当たりの成形回数を約30%も増やして生産性を上げることができる。
以上説明したように、本実施形態では、下型キャビティ116に沿った外形を有する樹脂フィルム134を予め成形する。この成形では、フィルムの熱収縮などを考慮し、衝撃吸収材成形用の金型100とは別のフィルム部材成形用金型を用いて真空成形している。
従って、樹脂フィルム134を予め成形せずに離型フィルム118の上側に樹脂フィルムを単に配置して硬質ポリウレタン発泡材料を注入してフィルム付き衝撃吸収材を成形した場合に比べ、たとえ衝撃吸収材132の表面形状が複雑であっても、樹脂フィルム134が衝撃吸収材132の意図した位置、形状に容易に高精度で配置されて被覆部分132Bを形成し、しかも被覆部分132Bを被覆する樹脂フィルム134が剥がれ難い衝撃吸収材とすることができる。
すなわち、例えば図18(A)に示すようにフィルム付き衝撃吸収材130が比較的単純な形状であれば成型後に樹脂フィルム134を貼付する方法も考えられるが、図18(B)のように複雑な表面形状であった場合、この表面に樹脂フィルム134を正しく貼付することは工数、工作精度等の点から難しいのに対して、上記のように本発明に係る製造方法を用いることによって、例えば図18(C)に示すように複雑な表面形状の衝撃吸収材であっても所望の位置に樹脂フィルム134を設けることができる。
そして、樹脂フィルム134を成形する際に真空成形で成形しているので、樹脂フィルム134の外形が複雑な形状であっても樹脂フィルム134を容易に製造することができる。また、樹脂フィルム134を成形する金型として、離型フィルム118を成形したフィルム部材成形用金型を用いた場合には、新たに金型を設置する必要がない。なお、離型フィルム118と樹脂フィルム134との形状を変えれば同じ金型でも形状の異なる衝撃吸収材を容易に製造可能とすることができる。
また、樹脂フィルム134の材質をポリカーボネイトとしている。ポリカーボネイトは硬質ポリウレタンフォームとの接着性が良いので、衝撃吸収材132の表面に樹脂フィルム134を確実に配置して固定することができる。なお、ポリエチレンテレフタレートも硬質ポリウレタンフォームとの接着性が良いので、樹脂フィルム134の材質をポリカーボネイトでなくポリエチレンテレフタレートとしても、同様に、衝撃吸収材132の表面に樹脂フィルム134を確実に配置して固定することができる。また、樹脂フィルム134の材質として熱可塑性エラストマー(TPE)を用いてもよい。
樹脂フィルム134の厚さは、0.05〜1.0mmの範囲が望ましい。すなわち、厚さ0.05mm未満では強度が不足して破れる虞があり、厚さ1.0mm超では衝撃吸収材132の吸収エネルギーが大きくなり、衝撃吸収性能が損なわれる虞があるためである。
また、下金型112に離型フィルム118を取り付け、フィルム付き衝撃吸収材130を下金型112から離型させる際に、離型フィルム118と下型キャビティ116側の下型表面との間を空気で加圧することで樹脂フィルム134を離型フィルム118から分離させている。これにより、樹脂フィルム134の外形形状が複雑であっても、金型からの離型が特に容易である。
更に、本実施形態においては離型フィルム118の材質をポリプロピレンとしている。ポリプロピレン製の離型フィルム118はポリカーボネイト製の樹脂フィルムに対する離型性が良好である。従って、離型させる際に離型フィルム118と被覆部分132Bを形成する樹脂フィルム134との分離が容易である。また、ポリプロピレンは硬質ポリウレタンフォームに対する離型性が良好である。従って、硬質ポリウレタンフォームからなる衝撃吸収材132の露出部分132Aと離型フィルム118との接触部位が生じていても、衝撃吸収材132を離型フィルム118から容易に離脱させることができる。更に、ポリプロピレンは金型100に対する離型性も良好であるので、離型させる際に離型フィルム118を金型100から容易に分離させることができる。
また、フィルム付き衝撃吸収材130を成形する際に樹脂フィルム134の内側に硬質ポリウレタン発泡材料を注入しており、衝撃吸収材132の被覆部分132Bは樹脂フィルム134の内側に成形される。従って、被覆部分132Bにおいては衝撃吸収材132から硬質ポリウレタンフォームの粉落ち現象を低減することができる。
このようにして形成されたフィルム付き衝撃吸収材130では、衝撃吸収材132の表面に樹脂フィルム134が一部インサートされる形で一体的に配置され、露出部分132Aと被覆部分132Bとを備えた構造とされている。従って、フィルム付き衝撃吸収材130に衝撃が加えられた際には露出部分132Aと被覆部分132Bとでは図19に示すように異なる衝撃吸収性能を示し、1個のフィルム付き衝撃吸収材130で、場所によって衝撃吸収性能の異なる衝撃吸収材とすることができる。
さらに、樹脂フィルム134が下金型112の内面に沿った容器の形状をしている部分では下金型112と樹脂フィルム134との間に衝撃吸収材130を形成する硬質ポリウレタンが流れ込みにくいため樹脂フィルム134の浮きを防止し、樹脂フィルム134の位置精度を高めることができる。同時に樹脂フィルム134を一部、衝撃吸収材132の内部にインサートすることにより、樹脂フィルム134で衝撃吸収材132を塊として拘束することができ、樹脂フィルム134で被覆された被覆部分132Bの衝撃吸収性能をさらに露出部分132Aよりも硬いものとすることもできる。
なお、第2実施形態では真空成形された離型フィルム118を下金型112にしか配設していないが、上金型114にも同様にポリプロピレンフィルムを配設することができる。特に上金型114にキャビティを有し、そのキャビティ形状が複雑な場合では、上金型114のキャビティと同形状に真空成形した離型フィルムを配設することが好ましい。
また、フィルム付き衝撃吸収材130が設けられる面は車内の側壁であっても、あるいは天井などの内面であってもよく、また場所による衝撃吸収性能の変化は、分布の異なるものを複数配置するなど種々の応用が考えられる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図15、図16に示すように、本実施形態では、第2実施形態に比べ、金型100に離型フィルムを取り付けずにフィルム付き衝撃吸収材170を成形する。
本実施形態でも、第2実施形態と同様、予め、下金型112のキャビティ形状に沿った外形の樹脂フィルム174を成形する。そして、成形された樹脂フィルム174を下金型112内に配置する。なお、樹脂フィルム174の材質や厚さについては、第2実施形態における樹脂フィルム134と同様である。
また、金型100で成型される硬質ポリウレタンフォームからなる衝撃吸収材172は、表面の一部を樹脂フィルム174で被覆される一方で内部にも樹脂フィルム174がインサートされ、且つ樹脂フィルム174の一部によって衝撃吸収材172の内部は複数の区画に区分される。すなわち、第2実施形態と同様に樹脂フィルム174は下金型112の内面に沿った形状でこれと接触する被覆部174Aと、衝撃吸収材172の内部にインサートされ、これを複数の区画に区分する堰部174Bとを備えている。この堰部174Bは上金型114に接触するほど上方まで延設され、衝撃吸収材172を完全に区分する形状であっても、あるいは高さ方向の途中まで設けられ、衝撃吸収材172を途中まで区分する形状の何れであってもよい点もまた第2実施形態と同様である。
更に、硬質ポリウレタン発泡材料を下金型112内に注入し、上金型114を閉じ、注入した硬質ポリウレタン発泡材料を発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で上金型114を型開きし、エアー導入・吸引装置を作動させて、エアー管122、空気室S、及びエアー連通孔124を介して、樹脂フィルム174と下型キャビティ116側の下型表面との間隙Nにエアーを吹き込み、成形品であるフィルム付き衝撃吸収材170を樹脂フィルム174と共に押し上げる。
本実施形態では、離型フィルムを用いない簡易な手法でフィルム付き衝撃吸収材170を成形することができる。そして、たとえ衝撃吸収材172の表面形状が複雑であっても、第2実施形態ほど容易ではないが、樹脂フィルム174が衝撃吸収材172の意図した位置、形状に容易に高精度で配置されたフィルム付き衝撃吸収材170を製造することができる。
なお、必要により下型キャビティ116の表面に離型剤を塗布しておいてもよく、また、下型キャビティ116の表面にフッ素樹脂コーティングしておくことも可能である。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。図17(A)に示すように、本実施形態で使用する樹脂フィルム135は図14に示す第2実施形態の樹脂フィルム134に比べ、樹脂フィルム135が所謂バスタブ状の容器形状とされておらず、堰部135Bの両側面が空いており単純な帯状の形状とされ、これにより成型されたフィルム付き衝撃吸収材31は、図17(B)に示すように表面積において被覆部分132Bの占める割合の少ない形状とされる。なお、樹脂フィルム135の材質や厚さについては、第2実施形態における樹脂フィルム134と同様である。
本実施形態によれば、樹脂フィルム135を図17(A)のように単純な一枚板を折り曲げた形状とすることで加工を容易なものとし、また露出部分132Aと被覆部分132Bとの衝撃吸収性能の差を小さくしたい場合に、例えば図17(B)のように樹脂フィルム135に拘束される部分のうち更に2面が露出部分132Cとされるため、両者の衝撃吸収性能を近付けることができる。
これにより、求められる衝撃吸収性能の差によって第2実施形態と本実施形態、あるいは図17(C)に示すように堰部136Bに接する1面のみを空けた両実施形態の中間形状などから任意の形状を性能に応じて適宜選択することができ、所望の衝撃吸収性能を備えたフィルム付き衝撃吸収材とすることができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。図20〜図22に示すように、本実施形態では、下金型212と上金型214とで構成される衝撃吸収材成形用の金型(モールド)210を用いる。この金型10では、下金型212と上金型214とが開閉自在にヒンジ結合されている。下金型212は上部中央部に凹状の下型キャビティ216が形成され、上金型214はこの下型キャビティ216の上端開放部を閉塞する蓋体として形成されており、上金型214と下金型212とを閉じた状態では下型キャビティ216内の空間が上金型214で閉じられた状態になる。
また、本実施形態では、下金型212には真空成形法により予め下型キャビティ216と同一形状に成形されたポリプロピレン製の離型フィルム218が設置されている。この離型フィルム218は下金型212の上端面に固定ピン(図示せず)により止められ、下金型212の上端面に配設されたフィルムエアーシール用パッキンと更にフィルム押え(何れも図示せず)とで挟持されて下金型212に強固に固定されている。本発明者らの検討によると、かかる固定状態で数十回の繰り返しの脱型を行っても、問題となるようなフィルムのズレは生じない。また、脱型作業も容易に行うことができる。
離型フィルム218を成形するには、フィルムの熱収縮などを考慮し、衝撃吸収材成形用の金型210とは別であるフィルム部材成形用金型を用いて成形する。
さらに、金型210で成型される衝撃吸収材232は、硬質ポリウレタン発泡材料238Aより形成される衝撃吸収材232Aと、硬質ポリウレタン発泡材料238Bより形成される衝撃吸収材232Bとで構成される。衝撃吸収材232Bは、表面の一部を樹脂フィルム234で被覆される一方で、衝撃吸収材232Aと232Bとの間を区分する位置に樹脂フィルム234が設けられている。衝撃吸収材232の内部は、樹脂フィルム234の一部が堰部234Bとなって、衝撃吸収材232Aと232Bとに区分されている。なお、樹脂フィルム234の材質や厚さについては、第2実施形態における樹脂フィルム134と同様である。
硬質ポリウレタン発泡材料238Aより形成される衝撃吸収材232Aと、硬質ポリウレタン発泡材料238Bより形成される衝撃吸収材232Bとは衝撃吸収性能が異なり、例えば衝撃吸収材232Aは衝撃吸収性能(吸収できるエネルギー)が比較的小さく、衝撃吸収材232Bは衝撃吸収性能が比較的大きい。この衝撃吸収材232A,232Bは、それぞれ求められる性能に応じて、衝撃吸収材230内の適切な箇所に配置される。すなわち、図23に示すように、例えば車体233の前方側では比較的小さい衝撃吸収性能が求められ、車体233の後方側では比較的大きい衝撃吸収性能が求められる場合、車体233の前方側に衝撃吸収材232Aが位置し、後方側に衝撃吸収材232Bが位置するように、該衝撃吸収材232A,232Bを車体前後方向に配列する構成が望ましい。
また、下金型212の底部には、箱状の空気室Sが形成されており、この空気室Sには、圧力調整バルブ220を介装するエアー管222の一端が接続され、該エアー管222の他端は真空ポンプ等のエアー導入・吸引装置と連結されている。この空気室Sと下型キャビティ216とは複数のエアー連通孔(空気穴)224によって連通されている。
ここで、離型フィルム218は、硬質ポリウレタンフォームとの分離性を良好にし、繰り返し使用を数十回行う上で、上述したようにポリプロピレンフィルムで形成されていることが好ましい。即ち、硬質ポリウレタンフォームの成形品と分離するものには、プラスチック製フィルムとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムがあるが、伸び、変形が起こり難いことにより硬質ポリウレタンフォームとの分離時に伸び、変形が少なく、かつ分離性が良くて数十回の使用を行う、という観点で、離型フィルム218はポリプロピレンフィルムで形成されていることが好ましい。
さらに、硬質ポリウレタンフォームは軟質ウレタンフォームと異なり、許容範囲を超えた力を加えると座屈変形、つまり破壊してしまうものである。一方、離型時には硬質ポリウレタンフォームは内部の反応熱で膨張しており、金型210の側面を0.5〜1kgf/cm2 程度の力で押している。このような力で硬質ポリウレタンフォームで形成された衝撃吸収材232が金型210の側面を押していても、本実施形態では、上記のように離型フィルム218を金型210に設置し、離型フィルム218と下型キャビティ216との間に空気圧を加えることで、比較的スムーズに成形品が下金型212から上がってくる、つまり離型させることができる。
このポリプロピレンフィルムの厚さは0.3〜1.0mm、特に0.3〜0.6mmであることが好適である。0.3mmよりも薄いと十分な強度が維持できず、成形時にフィルムが破損する場合がある。一方、1.0mmよりも厚くなると、製品寸法誤差が大きくなり、金型を大きめに作らざるを得ない問題が生じ、脱型時のフィルムの変形が起こりにくくなり、また、成形品の形状によって複雑なものはフィルムとウレタンが分離しにくくなる場合が起きる。
また、ポリプロピレンフィルムからなる離型フィルム218は、予め真空成形法によって成形しておくことが望ましい。なお、予め成形しておかないと、硬質ポリウレタン発泡材料で発泡、成形し、脱型した後、離型フィルム218を元の状態に十分に追随、復元させることが難しい。
また、真空成形法ではなく、プレス成形法により所定の形状に形成した場合、このプレス成形法では、雄型形状のコーナー部が局部的に押されて製造されることになるため、形状が完全に下型キャビティ216に沿うことがやや困難で、下金型212からの浮きが生じ易い。また、離型フィルムのコーナー部が破れ易く、耐久性が劣る。特に下型キャビティ216が深い形状の場合には狭い隙間を薄いフィルムがすべり、伸ばされることになるので、離型フィルムが薄くなり易い。また、離型フィルムに均等に力が加わることが必要であるが、フィルム厚が薄いため、上金型214が離型フィルムを均等に押すことが困難となり、片当たりして、成形品に薄さがでたりキャビティ形状にピッタリと合うものを製造することができない場合が考えられる。なお、真空成形法は公知の方法を採用し得るが、本実施形態では、ポリプロピレンフィルムを180〜200℃、15〜20秒間程度加熱したものを真空成形することがよい。
以下、金型210を用い、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとからなる衝撃吸収材232と樹脂フィルム234とが一体的に成形されてなる衝撃吸収材230を製造することについて説明する。
本実施形態では、予め、下金型212のキャビティ形状に沿った外形の樹脂フィルム234を成形しておく。樹脂フィルム234の材質は本実施形態ではポリカーボネイトである。樹脂フィルム234を成形するには、離型フィルム218を成形する際に用いたフィルム部材成形用金型で真空成形法により成形する。
樹脂フィルム234は例えば図24に示すような所謂バスタブ形の容器形状でよく、下金型212の内面に沿ってこれと接する露出部234Aと、下型キャビティ216内部を複数区画に区分する堰部234Bとを備え、溶融した硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとを注入する方向(上)が開いた容器形状として形成される。
この成形された樹脂フィルム234を下金型212内に配置する。その際、エアー導入・吸収装置で空気吸引して離型フィルム218を下型キャビティ216に沿った成形開始前の形状(図20、図22参照)にしておき、この離型フィルム218の上側に樹脂フィルム234を配置する。
このとき樹脂フィルム234の一方の壁として設けられ、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとを区分する堰部234Bは、図20に示すように上金型214に接触するほど上方まで延設され、衝撃吸収材232を完全に区分する形状であることが望ましい。すなわち堰部234Bによって下型キャビティ216内部を完全に2分割することで、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとが混じり合わず、衝撃吸収性能の安定した衝撃吸収材とすることができる。
更に、溶融した硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとを下金型212内の下型キャビティ216を2分割する堰部234Bの両側に注入し、上金型214を閉じる(図20参照)。
そして、注入した硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bを発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で上型を型開きし、エアー導入・吸引装置を作動させ、エアー管222、空気室S、及びエアー連通孔224を介して、離型フィルム218と下型キャビティ216との間隙Nにエアーを吹き込み、図21に示すように、成形品を構成する衝撃吸収材230を樹脂フィルム234と共に押し上げる。
その際、離型フィルム218は端部のみ下金型212に固定されているので、空気圧で離型フィルム218と衝撃吸収材230とが押し上げられ、このときに離型フィルム218が樹脂フィルム234および樹脂フィルム234で被覆されていない衝撃吸収材232Aから分離することになる。所定量の空気を入れると所定位置で離型フィルム218の浮き上がりが止まり、図21に示すように、衝撃吸収材230が金型210から離型(脱型)される。
離型(脱型)の際の空気圧は0.5kgf/cm2 以上(4.9N/cm2 以上)、特に1〜5kgf/cm2 (9.8〜49N/cm2 以上)であることが好ましい。なお、成形品の形状や大きさにより異なるが、エアー圧5kgf/cm2 付近(49N/cm2 付近)にまで高めれば、ほとんどの形状の成形品を離型させることができる。また通常は、間隙Nに注入される流体は空気を用いるが、空気に替えて水などの液体を用いてもよい。
硬質ポリウレタン発泡材料238Aおよび硬質ポリウレタン発泡材料238Bとしては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを主成分とし、更に触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤、その他の助剤を所望により配合したものを使用し得る。これらの成分としては硬質ポリウレタンフォームの製造に通常使用する公知のものを使用でき、またその使用量も常用量とすることができる。
なお、成形品である衝撃吸収材230には抜きテーパーを設けることが脱型を容易にし、押し上げる際にヘコミや傷等が生じることなく、抵抗力も少なくなるため好ましい。このため、衝撃吸収材230の厚さや大きさにより異なるが3°以上、特に3°〜5°の範囲にテーパー角度θ(図20参照)を形成することが好適である。
その後、エアー導入・吸引装置を作動させて離型フィルム218と下型キャビティ216との間のエアーを吸引すると、図22に示すように、離型フィルム218は予め真空成形されているので容易に元の形状に戻ることができ、下型キャビティ面上に再設置されて、離型フィルム218の再使用が可能となる。従って、効率よく確実にキュア時間を縮めることが可能となり、一回の成形にかかるモールド使用時間を短縮して単位時間当りの成形回数を増やし生産性を上げることができる。また、エアーにより、成形品である衝撃吸収材230を全体的に均等に押し上げることができるため、衝撃吸収材230に無理な力がかからず、特に80℃±10℃でのキュア時間を効果的に縮めることができ、これによりモールド使用時間を短縮して単位時間当たりの成形回数を約230%も増やして生産性を上げることができる。
以上説明したように、本実施形態では、下型キャビティ216に沿った外形を有する樹脂フィルム234を予め成形する。この成形では、フィルムの熱収縮などを考慮し、衝撃吸収材成形用の金型210とは別のフィルム部材成形用金型を用いて真空成形している。
従って、樹脂フィルム234を予め成形せずに離型フィルム218の上側に樹脂フィルムを単に配置して硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bを注入して衝撃吸収材を成形した場合に比べ、たとえ衝撃吸収材232Bの表面形状が複雑であっても、樹脂フィルム234が衝撃吸収材232Bの意図した位置、形状に容易に高精度で配置されて衝撃吸収材232Bを形成し、しかも衝撃吸収材232Bを被覆する樹脂フィルム234が剥がれ難い衝撃吸収材とすることができる。
すなわち、衝撃吸収材232Bが比較的単純な形状であれば成型後に樹脂フィルム234を貼付する方法も考えられるが、衝撃吸収材232Bが複雑な表面形状であった場合、この表面に樹脂フィルム234を正しく貼付することは工数、工作精度等の点から難しいのに対して、上記のように本発明に係る製造方法を用いることによって、複雑な表面形状の衝撃吸収材232Bであっても所望の位置に樹脂フィルム234を設けることができる。
そして、樹脂フィルム234を成形する際に真空成形で成形しているので、樹脂フィルム234の外形が複雑な形状であっても樹脂フィルム234を容易に製造することができる。また、樹脂フィルム234を成形する金型として、離型フィルム218を成形したフィルム部材成形用金型を用いた場合には、新たに金型を設置する必要がない。なお、離型フィルム218と樹脂フィルム234との形状を変えれば同じ金型でも形状の異なる衝撃吸収材を容易に製造可能とすることができる。
さらに、樹脂フィルム234の材質をポリカーボネイトとしている。ポリカーボネイトは硬質ポリウレタンフォームとの接着性が良いので、衝撃吸収材232Bの表面に樹脂フィルム234を確実に配置して固定することができる。なお、ポリエチレンテレフタレートも硬質ポリウレタンフォームとの接着性が良いので、樹脂フィルム234の材質をポリカーボネイトでなくポリエチレンテレフタレートとしても、同様に、衝撃吸収材232Bの表面に樹脂フィルム234を確実に配置して固定することができる。
また、下金型212に離型フィルム218を取り付け、衝撃吸収材230を下金型212から離型させる際に、離型フィルム218と下型キャビティ216側の下型表面との間を空気で加圧することで樹脂フィルム234を離型フィルム218から分離させている。これにより、樹脂フィルム234の外形形状が複雑であっても、金型からの離型が特に容易である。
更に、本実施形態においては離型フィルム218の材質をポリプロピレンとしている。ポリプロピレン製の離型フィルム218はポリカーボネイト製の樹脂フィルムに対する離型性が良好である。従って、離型させる際に離型フィルム218と衝撃吸収材232Bを形成する樹脂フィルム234との分離が容易である。また、ポリプロピレンは硬質ポリウレタンフォームに対する離型性が良好である。従って、硬質ポリウレタン発泡材料238Aからなる衝撃吸収材232Aと離型フィルム218との接触部位が生じていても、衝撃吸収材232を離型フィルム218から容易に離脱させることができる。更に、ポリプロピレンは金型210に対する離型性も良好であるので、離型させる際に離型フィルム218を金型210から容易に分離させることができる。
また、衝撃吸収材230を成形する際に樹脂フィルム234の内側に硬質ポリウレタン発泡材料238Bを注入しており、衝撃吸収材232Bは樹脂フィルム234の内側に成形される。従って、衝撃吸収材232Bの表面から硬質ポリウレタンフォームの粉落ち現象を低減することができる。
このようにして形成された衝撃吸収材230では、衝撃吸収材232Bの表面に樹脂フィルム234一体的に配置され、樹脂フィルム234で被覆されていない衝撃吸収材232Aと、樹脂フィルム234で被覆された衝撃吸収材232Bとを備えた構造とされている。両者の境界には樹脂フィルム234が堰部234Bとして設けられているので混じり合う虞はなく、また両者と樹脂フィルム234との接着性は良好なので、樹脂フィルム234を境界として割れる虞もない。
このため、衝撃吸収材230に衝撃が加えられた際には元来、硬質ポリウレタン発泡材料238Aからなる衝撃吸収材232Aと、硬質ポリウレタン発泡材料238Bからなる衝撃吸収材232Bとが備えている衝撃吸収性能の差に加えて、樹脂フィルム234で被覆されているか否かによっても衝撃吸収材232Aと衝撃吸収材232Bとでは異なる衝撃吸収性能を示し、1個の衝撃吸収材230で、場所によって衝撃吸収性能の異なる衝撃吸収材とすることができる。
さらに、樹脂フィルム234が下金型212の内面に沿った容器の形状をしている部分では下金型212と樹脂フィルム234との間に衝撃吸収材232Bを形成する硬質ポリウレタン発泡材料238Bが流れ込みにくいため樹脂フィルム234の浮きを防止し、樹脂フィルム234の位置精度を高めることができる。同時に樹脂フィルム234を一部、堰部234Bとして衝撃吸収材232Aと衝撃吸収材232Bの間にインサートすることにより、樹脂フィルム234で衝撃吸収材232Bを塊として拘束することができ、樹脂フィルム234で被覆された衝撃吸収材232Bの衝撃吸収性能をさらに衝撃吸収材232Aよりも硬いものとすることもできる。
また、硬質ポリウレタン発泡材料238A、238Bの2種類のみならず3種類以上の硬質ポリウレタン発泡材料を使用することもできる。この場合は複数の堰部234Bが必要となるため、例えば3種類の発泡材料をA、B、Cの順に1列に並べて成型する場合であれば、樹脂フィルム234でBを被覆し、AとCをBから区分するなどの方法が考えられる。あるいは全部の発泡材料をそれぞれ樹脂フィルム234で被覆し、その端部を堰部234Bとしてもよい。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明する。図25、図26に示すように、本実施形態では、第5実施形態に比べ、金型210に離型フィルムを取り付けずに衝撃吸収材270を成形する。
本実施形態でも、第5実施形態と同様、予め、下金型212のキャビティ形状に沿った外形の樹脂フィルム274を成形する。そして、成形された樹脂フィルム274を下金型212内に配置する。
また、金型210で成型される硬質ポリウレタン発泡材料238Aからなる衝撃吸収材272Aと、硬質ポリウレタン発泡材料238Bからなる衝撃吸収材272Bとは、衝撃吸収材272Bの表面の一部を樹脂フィルム274で被覆される一方で衝撃吸収材272Aと272Bとの間にも樹脂フィルム274が堰部274Bとして設けられ、堰部274Bによって下金型212のキャビティ216内は複数の区画に区分される。
すなわち、第5実施形態と同様に樹脂フィルム274は下金型212の内面に沿った形状でこれと接触する露出部274Aと、衝撃吸収材272の内部にインサートされて衝撃吸収材272Aと272Bとを区分する堰部274Bとを備えている。この堰部274Bは上金型214に接触するほど上方まで延設され、衝撃吸収材272を完全に区分する形状であることが望ましい。すなわち堰部274Bによって下型キャビティ216内部を完全に2分割することで、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとが混じり合わず、衝撃吸収性能の安定した衝撃吸収材とすることができる点もまた第5実施形態と同様である。
更に、溶融した硬質ポリウレタン発泡材料238A、238Bを下金型212内に注入し、上金型214を閉じ、注入した硬質ポリウレタン発泡材料238A、238Bを発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で上金型214を型開きし、エアー導入・吸引装置を作動させて、エアー管222、空気室S、及びエアー連通孔224を介して、樹脂フィルム274と下型キャビティ216側の下型表面との間隙Nにエアーを吹き込み、成形品である衝撃吸収材270を樹脂フィルム274と共に押し上げる。なお、エアーでなく、金型210に設けられたピン(図示せず)の飛出しにより脱型を行うことも可能である。
本実施形態では、離型フィルムを用いない簡易な手法で衝撃吸収材270を成形することができる。そして、たとえ衝撃吸収材272の表面形状が複雑であっても、第5実施形態ほど容易ではないが、樹脂フィルム274が衝撃吸収材272Bの意図した位置、形状に容易に高精度で配置された衝撃吸収材270を製造することができる。
なお、必要により下型キャビティ216の表面に離型剤を塗布しておいてもよく、また、下型キャビティ216の表面にフッ素樹脂コーティングしておくことも可能である。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明する。図27(A)に示すように、本実施形態で使用する樹脂フィルム235は図24に示す第5実施形態の樹脂フィルム234に比べ、樹脂フィルム235が所謂バスタブ状の容器形状とされておらず、堰部235Bの両側面が空いており単純な帯状の形状とされ、これにより成型された衝撃吸収材231は、図27(B)に示すように表面積において樹脂フィルム234で被覆された部分の占める割合の少ない形状とされる。
本実施形態によれば、樹脂フィルム235を図27(A)のように単純な一枚板を折り曲げた形状とすることで加工を容易なものとし、また露出した部分と樹脂フィルム234で被覆された部分との衝撃吸収性能の差を小さくしたい場合に、例えば図27(B)のように樹脂フィルム235に拘束される部分のうち2面が露出部分232Cとされるため、両者の衝撃吸収性能を近付けることができる。
これにより、求められる衝撃吸収性能の差によって第5実施形態と本実施形態、あるいは図27(C)に示すように堰部236Bに接する1面のみを空けた両実施形態の中間形状などから任意の形状を性能に応じて適宜選択することができ、所望の衝撃吸収性能を備えた衝撃吸収材とすることができる。
[第8実施形態]
次に、第8実施形態について説明する。図28に示すように、本実施形態においても第5実施形態と同様、下金型212と上金型214とで構成される衝撃吸収材成形用の金型(モールド)210を用いる。以下、第5実施形態と同様の部分は記載を省略する。また離型フィルム218は使用しても、使用しなくてもよい。
図28に示すように下金型212は上部中央部に凹状の下型キャビティ216が形成され、上金型214はこの下型キャビティ216の上端開放部を閉塞する蓋体として形成されており、上金型214と下金型212とを閉じた状態では下型キャビティ216内の空間が上金型214で閉じられた状態になる。
金型210で成型される衝撃吸収材232は、硬質ポリウレタン発泡材料238Aより形成される衝撃吸収材232Aと、硬質ポリウレタン発泡材料238Bより形成される衝撃吸収材232Bとで構成される。且つ、衝撃吸収材232Aと232Bとの間を区分する位置に仕切部材240が設けられ、堰となって衝撃吸収材232の内部を衝撃吸収材232Aと232Bとに区分される。
硬質ポリウレタン発泡材料238Aより形成される衝撃吸収材232Aと、硬質ポリウレタン発泡材料238Bより形成される衝撃吸収材232Bとは衝撃吸収性能が異なり、例えば衝撃吸収材232Aは衝撃吸収性能(吸収できるエネルギー)が比較的小さく、衝撃吸収材232Bは衝撃吸収性能が比較的大きい。この衝撃吸収材232A,232Bは、それぞれ求められる性能に応じて、衝撃吸収材230内の適切な箇所に配置される。すなわち、図23に示すように、例えば車体233の前方側では比較的小さい衝撃吸収性能が求められ、車体233の後方側では比較的大きい衝撃吸収性能が求められる場合、車体233の前方側に衝撃吸収材232Aが位置し、後方側に衝撃吸収材232Bが位置するように、該衝撃吸収材232A,232Bを車体前後方向に配列する構成が望ましい。
衝撃吸収材232Aと232Bとの間に配置される仕切部材240は、例えば樹脂板などでよく、成型時に衝撃吸収材232Aと232Bとの間にインサートされる樹脂フィルム234とは異なり、自立できる板材が望ましい。また仕切部材240の素材としては硬質ポリウレタンと接着性のよいPET樹脂などからなる素材が望ましいのは言うまでもない。
また、仕切部材240の硬度や衝撃吸収性能などの物性は、一体成型される硬質ポリウレタンのどちらか一方に準じるか、あるいは両者の中間などの値でもよい。仕切部材240を形成する樹脂などが硬質ポリウレタンに比較して突出して硬い、あるいは柔らかい等の組み合わせは図23に示されたような実使用時の性能に影響を及ぼし、あるいは成型後の衝撃吸収材231の寸法精度等に影響する虞があるためである。さらに他の実施形態と同様に、硬質ポリウレタン発泡材料238A、238Bの2種類のみならず3種類以上の硬質ポリウレタン発泡材料を使用することもできる。この場合は複数の仕切部材240が必要となる。
図28(B)に示されるように、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとを区分する仕切部材240は、図28に示すように上金型214に接触するほど上方まで延設され、衝撃吸収材232を完全に区分する形状であることが望ましい。すなわち仕切部材240によって下型キャビティ216内部を完全に2分割することで、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとが混じり合わず、衝撃吸収性能の安定した衝撃吸収材とすることができる。
更に、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bとを下金型212内の下型キャビティ216を2分割する仕切部材240の両側に注入し、上金型214を閉じる(図28(A))。
そして、注入した硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bを発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で図28(B)に示すように上金型214を型開きし、衝撃吸収材232Aと衝撃吸収材232Bとからなる衝撃吸収材231を下金型212より取り出す。
衝撃吸収材231は異なった衝撃吸収性能をもつ衝撃吸収材232Aと衝撃吸収材232Bとからなり、両者の間は仕切部材240で区分されている。仕切部材240は硬質ポリウレタンと接着性がよいので、衝撃吸収材232Aと衝撃吸収材232Bの両方と一体化して成型され、仕切部材240で衝撃吸収材231が折れる虞はない。
図29には第8実施形態に係る下金型212のキャビティ216と、仕切部材240との関係が示されている。
キャビティ216には、仕切部材240が嵌合する支持溝242が引き抜き方向に設けられている。支持溝242は仕切部材240の位置決めと保持を行い、図29(A)に示すように引き抜き方向にテーパーが付いていても(d1<d2)よい。また、離型のし易さを考慮し支持溝242の幅が仕切部材240より大きく、仕切部材240との間に間隙が設けられていてもよい。さらに他の実施形態と同様に、硬質ポリウレタン発泡材料238A、238Bの2種類のみならず3種類以上の硬質ポリウレタン発泡材料を使用することもできる。この場合は複数の仕切部材240が必要となるので、支持溝242もまた仕切部材240と同数が必要となる。
図29に示されるキャビティ216に、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bを仕切部材240で区分されたキャビティ216内に注入し、発泡させて膨張させ、仕切部材240を一体的に取り込んだ衝撃吸収材232Aと衝撃吸収材232Bとからなる衝撃吸収材231を成型し下金型212より取り出す。
衝撃吸収材231を下金型212より取り出す際には仕切部材240が支持溝242に沿って引き抜き方向に引き抜かれるので、引き抜き工程の邪魔になる虞はなく、また支持溝242の引き抜き方向にテーパーがついていれば更に引き抜きが容易となる。
図30には、第8実施形態の他の形態に係る下金型212のキャビティ216と、仕切部材240との関係が示されている。
図30(A)に示すように、本形態は離型フィルム218を下金型212のキャビティ216に設け、衝撃吸収材231を下金型212より取り出し易くした構成であり、さらに離型フィルム218に支持部244と支持溝246を設けて仕切部材240を保持する。硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bを仕切部材240で区分されたキャビティ216内に注入し、発泡させて膨張させ、衝撃吸収材232Aと衝撃吸収材232Bとからなる衝撃吸収材を成型し、下金型212より取り出すことで衝撃吸収材231とする。
このとき支持溝246だけでは仕切部材240の支持と位置決めが難しい場合には、例えば仕切部材240に脚部241を設け、キャビティ216内に配置した際に自立できる構造とされていてもよい。
支持溝246は離型フィルム218の内面において、支持部244の間に設けられた引き抜き方向の溝であり、支持溝246もまた引き抜き方向にテーパーがついていてもよく、また支持部244の内面形状も同様にテーパーがついていてもよい。
この構造とすることにより下金型212には図28に示すような支持溝242を設ける必要がなく、専用に下金型212を用意する必要がない。このため下金型212を流用できるのでコストを低減でき、また製造ラインの変更を迅速かつ容易に行うことができる。
図31には 第8実施形態の他の形態に係る下金型212のキャビティ216と、仕切部材240との関係が示されている。
図31(A)に示すように、本形態は離型フィルム218を下金型212のキャビティ216に設け、衝撃吸収材231を下金型212より取り出し易くした構成であり、さらに離型フィルム218に支持部244と支持溝246を設けて仕切部材240を保持する。
支持溝246は図30に示した構造とは異なり、離型フィルム218の深さ方向(引き抜き方向)にわたって設けられており、仕切部材240を保持しながら位置決めを行う。
さらに図30と同様に、硬質ポリウレタン発泡材料238Aと硬質ポリウレタン発泡材料238Bを仕切部材240で区分されたキャビティ216内に注入し、発泡させて膨張させ、仕切部材240を一体的に取り込んだ衝撃吸収材232Aと衝撃吸収材232Bとからなる衝撃吸収材を成型し、下金型212より取り出すことで衝撃吸収材231とする。
このとき仕切部材240は両端を保持されているので、確実に所望の位置で保持され且つキャビティ216内部での位置精度も保たれる。
支持溝246は離型フィルム218の内面において、引き抜き方向に設けられた溝であり、図31(B)に示すように引き抜き方向にテーパーがついていてもよく、また支持部244の形状も同様にテーパーがついていてもよい。
この構造とすることにより下金型212には図28に示すような支持溝242を設ける必要がなく、専用に下金型212を用意する必要がない。このため下金型212を流用できるのでコストを低減でき、また製造ラインの変更を迅速かつ容易に行うことができる。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態)に限定されないことは言うまでもない。
10 金型
30 シート状部材付き衝撃吸収材
32 衝撃吸収材
32B 車両後方側部分(車両後方側)
32U 車両上方側部分(車両上方側)
34 シート状部材
34E 端部
100 金型
130 フィルム付き衝撃吸収材
132 衝撃吸収材
134 樹脂フィルム
135 樹脂フィルム
170 フィルム付き衝撃吸収材
172 衝撃吸収材
174 樹脂フィルム
210 金型
230 衝撃吸収材
232 衝撃吸収材
231 衝撃吸収材
232A 衝撃吸収材
232B 衝撃吸収材
233 車体(配置車両)
234 樹脂フィルム
270 衝撃吸収材
272A 衝撃吸収材
272B 衝撃吸収材
274 樹脂フィルム

Claims (8)

  1. 衝撃吸収材の部分的な設定表面位置にシート状部材を配置して1つの部材とすることにより、前記シート状部材が配置された部位と配置されていない部位とで衝撃吸収性能を異ならせており、
    乗員の車幅方向外側における車両の内装の内側に配置され、前記設定表面位置が、前記シート状部材が配置されていない部位よりも車両後方側の位置とされた、シート状部材付き衝撃吸収材。
  2. 衝撃吸収材の部分的な設定表面位置にシート状部材を配置して1つの部材とすることにより、前記シート状部材が配置された部位と配置されていない部位とで衝撃吸収性能を異ならせており、
    乗員の車幅方向外側における車両の内装の内側に配置され、前記設定表面位置が、前記シート状部材が配置されていない部位よりも車両上方側の位置とされた、シート状部材付き衝撃吸収材。
  3. 前記シート状部材の端部が前記衝撃吸収材の内部に入り込んでいる請求項1又は請求項2に記載のシート状部材付き衝撃吸収材。
  4. 前記シート状部材の厚さは、0.05〜1.0mmである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のシート状部材付き衝撃吸収材。
  5. 前記衝撃吸収材は、硬質ポリウレタンフォーム又は熱可塑性エラストマーであり、
    前記シート状部材は、ポリカーボネイト又はポリエチレンテレフタレートである請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のシート状部材付き衝撃吸収材。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のシート状部材付き衝撃吸収材が設置された、シート状部材付き衝撃吸収材の配置車両。
  7. 請求項3に記載のシート状部材付き衝撃吸収材の製造方法であって、
    前記シート状部材を予め成形し、
    前記シート状部材を金型内に配置し、前記金型内で硬質ポリウレタン発泡材料を発泡及び膨張させて、前記シート状部材の端部が前記衝撃吸収材の内部に入り込むように、前記シート状部材と硬質ポリウレタンフォーム製の衝撃吸収材とを一体的に成形する、シート状部材付き衝撃吸収材の製造方法。
  8. 前記シート状部材を予め成形する際に、前記シート状部材を前記金型内に配置すると前記シート状部材の端部がキャビティ内側に突出するように成形する、請求項に記載のシート状部材付き衝撃吸収材の製造方法。
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