JP2011161866A - 衝撃吸収材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃吸収性能の異なる複数の材料を混じらないように組み合わせて一体に成型した衝撃吸収材およびその製造方法を課題とする。
【解決手段】金型10で成型される衝撃吸収材32は、硬質ポリウレタン発泡材料38Aより形成される衝撃吸収材32Aと、硬質ポリウレタン発泡材料38Bより形成される衝撃吸収材32Bとで構成される。衝撃吸収材32Bは表面の一部を樹脂フィルム34で被覆される一方で、衝撃吸収材32Aと32Bとの間を区分する位置に樹脂フィルム34が設けられ、樹脂フィルム34の一部が堰部34Bとなって衝撃吸収材32の内部を衝撃吸収材32Aと32Bとに区分される。
【選択図】図1

Description

本発明は衝撃吸収材およびその製造方法に係り、特に自動車の内装に組み込まれ、車輌衝突時において乗員が受ける衝撃を吸収する衝撃吸収材およびその製造方法に関する。
従来、自動車などの内装に用いられる衝撃吸収材においては、衝撃吸収性能の異なる部材を一体成型することが提案されている。
上記のような衝撃吸収材の製造方法の例として、成型金型の下型に堰(境界設定部材)を設け、堰で区切られた各区分に複数の異なる材料を供給することによって、複数の異なる衝撃性能をもつ部材を一体成型し、製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、硬質ポリウレタンフォームなどの衝撃吸収材に布状体、メッシュ状体などのサポータ層を一体に発泡成形する製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−193056号公報 特開2007−22146号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では堰Aの高さ(衝撃吸収材内部における深さ)が図14(A)のように大きければ、図14(B)に示すように脱型時あるは成型後の使用時に境界部分となる箇所の強度が不足して脆弱部Bとなり、図14(C)のように破損する虞があり、また図13(A)のように堰Aの高さが不足すれば図13(B)に示すように発泡原料(硬質ポリウレタン発泡材料38など)の投入条件等によっては、複数の異なる原料である硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bを投入しても両者の境界が一定とならず、衝撃吸収材としての性能(弾性、硬度、およびその分布)が製品毎に安定しにくくなる虞がある。また、予め一方の硬質ポリウレタン発泡材料38Bのみを別の金型で成型し、完成品用の金型にセットし他方の硬質ポリウレタン発泡材料38Aを注入して更に一体成型する方法では、工数や工程時間が略2倍必要となってしまう。
また上記特許文献2に記載の衝撃吸収材は布状体、メッシュ体などのサポータ層を衝撃吸収材の表面に一体的に発泡成形するため、部位によって衝撃吸収性能などの物性の異なる衝撃吸収材とすることは難しく、さらに衝撃吸収材の表面の一部のみにサポータ層を設けることは、衝撃吸収材の表面形状が複雑なものとなれば、その面形状への対応が加工面、精度面において難しくなる欠点が存在する。
本発明は上記事実を考慮して、衝撃吸収性能の異なる複数の材料を混じらないように組み合わせて一体に成型した衝撃吸収材およびその製造方法を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、第1の硬質ポリウレタンフォーム製の第1の衝撃吸収材と、前記第1のポリウレタンフォームと一体に成型され、前記第1のポリウレタンフォームとは衝撃吸収性能の異なる第2のポリウレタンフォーム製の第2の衝撃吸収材と、金型で一体に成型される前記第1の衝撃吸収材と前記第2の衝撃吸収材との境界面に設けられ、両者を区分する仕切部材と、からなることを特徴とする。
上記の発明では、衝撃吸収性能の異なる第1および第2のポリウレタンフォームからなる衝撃吸収材を、両者を区分する仕切部材を挟んで一体成型したことで、2種類のポリウレタンフォームが混じり合うことを抑制して所望の性能を保ったまま、部位によって衝撃吸収性能の異なる衝撃吸収材とすることができる。
請求項2に記載の発明は、衝撃吸収材成形用の金型内を複数区画に区分する仕切部材を、前記金型の内壁に引き抜き方向の溝として延設された支持部で支持し、衝撃吸収材を形成する複数種類の硬質ポリウレタン発泡材料を前記複数区画に区分された金型内にそれぞれ入れて発泡させることにより、複数種類の硬質ポリウレタンからなる衝撃吸収材を前記仕切部材と一体的に成形することを特徴とする。
上記の発明では、金型内壁に設けられた引き抜き方向の溝で仕切部材を支持し、仕切部材で仕切られた区画に注入された複数種類の硬質ポリウレタン発泡材料で、仕切部材ごと一体成型することで、複数種類のポリウレタンフォームが混じり合うことを抑制し所望の性能を保ったまま、部位によって衝撃吸収性能の異なる衝撃吸収材とすることができる。
請求項3に記載の発明は、衝撃吸収材成形用の金型の、下金型の内面形状に沿った外形に形成された離型フィルムを前記下金型内に配置し、前記離型フィルム内を複数区画に区分することで、衝撃吸収材を形成する複数種類の硬質ポリウレタン発泡材料をそれぞれ区分する仕切部材を、前記離型フィルム内面に突出して設けられた支持部で支持し、前記複数種類の硬質ポリウレタン発泡材料を前記複数区画に区分された前記金型内にそれぞれ入れて発泡させることにより、硬質ポリウレタン製の衝撃吸収材を前記仕切部材と一体的に成形することを特徴とする。
上記の発明では、離型フィルムの内面側に突出して設けられた支持部で仕切部材を支持し、仕切部材で仕切られた区画に注入された複数種類の硬質ポリウレタン発泡材料で、仕切部材ごと一体成型することで、複数種類のポリウレタンフォームが混じり合うことを抑制し所望の性能を保ったまま、部位によって衝撃吸収性能の異なる衝撃吸収材とすることができる。
請求項4に記載の発明は、前記仕切部材に設けられた脚部で、前記仕切部材を前記下金型内部で自立させることを特徴とする。
上記の発明では、仕切部材に脚部を設けて金型内部で自立させることで、支持部の数が少ない場合でも傾きにくくなり、仕切部材の金型内における位置精度を高めることができる。
本発明によれば、衝撃吸収性能の異なる複数の材料を混じりにくいように組み合わせて一体に成型した品質の高い衝撃吸収材およびその製造方法とすることができる。
本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図である。 本発明の第1実施形態に係る成形された衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法の離型後の工程を示す正面断面図である。 本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収材に使用される樹脂フィルムを示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図である。 本発明の第2実施形態に係る成形された衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 本発明の第3実施形態に係る衝撃吸収材に使用される樹脂フィルムを示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法を示す正面断面図および衝撃吸収材を金型から離型させる工程を示す正面断面図である。 本発明の第4実施形態に係る衝撃吸収材の成形方法に係る下金型と仕切部材との位置関係を示す斜視図、平面図および正面断面図である。 本発明の第4実施形態の、他の形態に係る衝撃吸収材の成形方法に係る下金型と仕切部材との位置関係を示す斜視図および正面断面図である。 本発明の第4実施形態の、他の構造に係る衝撃吸収材の成形方法に係る下金型と仕切部材との位置関係を示す斜視図および正面断面図である。 本発明の実施形態に係る衝撃吸収材の使用例を示す概念図である。 従来の衝撃吸収材において2種類の硬質ポリウレタン発泡材料が混じる例を示す概念図である。 従来の衝撃吸収材において2種類の硬質ポリウレタン発泡材料の境界部分が脆弱部となる構造を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る衝撃吸収材の、吸収エネルギーの大きい箇所と吸収エネルギーの小さい箇所とにおいて入力と変位の関係を示す比較図である。
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。なお、以下の実施形態で得られた衝撃吸収材は、自動車用内装材その他の産業資材に利用され、特に自動車のドアトリムの内側等に取り付け、衝突時のエネルギーを吸収して乗員を保護するなどの衝撃吸収材として好適なものである。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態では、下金型12と上金型14とで構成される衝撃吸収材成形用の金型(モールド)10を用いる。この金型10では、下金型12と上金型14とが開閉自在にヒンジ結合されている。下金型12は上部中央部に凹状の下型キャビティ16が形成され、上金型14はこの下型キャビティ16の上端開放部を閉塞する蓋体として形成されており、上金型14と下金型12とを閉じた状態では下型キャビティ16内の空間が上金型14で閉じられた状態になる。
また、本実施形態では、下金型12には真空成形法により予め下型キャビティ16の表面と同一形状に成形されたポリプロピレン製の離型フィルム18が設置されている。この離型フィルム18は下金型12の上端面に固定ピン(図示せず)により止められ、下金型12の上端面に配設されたフィルムエアーシール用パッキンと更にフィルム押え(何れも図示せず)とで挟持されて下金型12に強固に固定されている。本発明者らの検討によると、かかる固定状態で数十回の繰り返しの脱型にてもフィルムのズレは生じない。また、脱型作業も容易に行うことができる。
離型フィルム18を成形するには、フィルムの熱収縮などを考慮し、衝撃吸収材成形用の金型10とは別であるフィルム部材成形用金型を用いて成形することが好ましい。
さらに、金型10で成型される衝撃吸収材32は、硬質ポリウレタン発泡材料38Aより形成される衝撃吸収材32Aと、硬質ポリウレタン発泡材料38Bより形成される衝撃吸収材32Bとで構成される。衝撃吸収材32Bは表面の少なくとも一部を樹脂フィルム34で被覆される一方で、衝撃吸収材32Aと32Bとの間を区分する位置に樹脂フィルム34が設けられ、樹脂フィルム34の一部が堰部34Bとなって衝撃吸収材32の内部を衝撃吸収材32Aと32Bとに区分される。
硬質ポリウレタン発泡材料38Aより形成される衝撃吸収材32Aと、硬質ポリウレタン発泡材料38Bより形成される衝撃吸収材32Bとは衝撃吸収性能が異なり、それぞれ求められる性能に応じて、衝撃吸収材30内の適切な箇所に配置される。すなわち、図12(A)に示されるように例えば車体前方は小柄で体重の軽い乗員が当たるため衝撃吸収材Aの衝撃吸収性能、車体後方は大柄で体重の重い乗員が当たるため衝撃吸収材32Bの衝撃吸収性能が求められる場合、車体前後方向に対応して衝撃吸収材32Aと32Bとを配列する構成が望ましい。
また、下金型12の底部には、箱状の空気室Sが形成されており、この空気室Sには、圧力調整バルブ20を介装するエアー管22の一端が接続され、該エアー管22の他端は真空ポンプ等のエアー導入・吸引装置と連結されている。この空気室Sと下型キャビティ16とは複数のエアー連通孔(空気穴)24によって連通されている。
ここで、離型フィルム18は上述したように、硬質ポリウレタンフォームとの分離性を良好にし、繰り返し使用が可能であるものが望ましい。即ち、硬質ポリウレタンフォームの成形品と分離するものには、プラスチック製フィルムとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムがあるが、ポリエチレンフィルムは伸び、変形が起こり易く、数回の使用しかできない。これに対し、硬質ポリウレタンフォームとの分離時に伸び、変形が少なく、かつ分離性の良いポリプロピレンのフィルムを使用することが上記の観点より好ましい。
さらに、硬質ポリウレタンフォームは軟質ウレタンフォームと異なり、許容範囲を超えた力を加えると座屈変形、つまり破壊してしまうものである。一方、離型時には硬質ポリウレタンフォームは内部の反応熱で膨張しており、金型10の側面を0.5〜1kg/cm2 程度の力で押している。このような力で硬質ポリウレタンフォームで形成された衝撃吸収材32が金型10の側面を押していても、本実施形態では、上記のように離型フィルム18を金型10に設置し、離型フィルム18と下型キャビティ16との間に空気圧を加えることで、比較的スムーズに成形品が下金型12から上がってくる、つまり離型させることができる。
このポリプロピレンフィルムの厚さは0.3〜1.0mm、特に0.3〜0.6mmであることが好適である。0.3mmよりも薄いと十分な強度が維持できず、成形時にフィルムが破損する場合がある。一方、1.0mmよりも厚くなると、製品寸法誤差が大きくなり、金型を大きめに作らざるを得ない問題が生じ、脱型時のフィルムの変形が起こりにくくなり、また、成形品の形状によって複雑なものはフィルムとウレタンが分離しにくくなる場合が起きる。
また、ポリプロピレンフィルムからなる離型フィルム18は、予め真空成形法によって成形しておくことが望ましい。なお、予め成形しておかないと、硬質ポリウレタン発泡材料で発泡、成形し、脱型した後、離型フィルム18を元の状態に十分に追随、復元させることが難しい。
また、真空成形法ではなく、プレス成形法により所定の形状に形成した場合、このプレス成形法では、雄型形状のコーナー部が局部的に押されて製造されることになるため、形状が完全に下型キャビティ16に沿うことがやや困難で、下金型12からの浮きが生じ易い。また、離型フィルムのコーナー部が破れ易く、耐久性が劣る。特に下型キャビティ16が深い形状の場合には狭い隙間を薄いフィルムがすべり、伸ばされることになるので、離型フィルムが薄くなり易い。また、離型フィルムに均等に力が加わることが必要であるが、フィルム厚が薄いため、上金型14が離型フィルムを均等に押すことが困難となり、片当たりして、成形品に薄さがでたりキャビティ形状にピッタリと合うものを製造することができない場合が考えられる。なお、真空成形法は公知の方法を採用し得るが、本実施形態では、ポリプロピレンフィルムを180〜200℃、15〜20秒間程度加熱したものを真空成形することがよい。
以下、金型10を用い、硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとからなる衝撃吸収材32と樹脂フィルム34とが一体的に成形されてなる衝撃吸収材30を製造することについて説明する。
本実施形態では、予め、下金型12のキャビティ形状に沿った外形の樹脂フィルム34を成形しておく。樹脂フィルム34の材質は本実施形態ではポリカーボネイトである。樹脂フィルム34を成形するには、離型フィルム18を成形する際に用いたフィルム部材成形用金型で真空成形法により成形する。別の金型でも成型は可能だが、この場合は同じ金型を用いることができるので、新たに金型を設ける必要がなく、コスト・工数などを削減することができる。
樹脂フィルム34は例えば図4に示すような所謂バスタブ形の容器形状でよく、下金型12の内面に沿ってこれと接する露出部34Aと、下型キャビティ16内部を複数区画に区分する堰部34Bとを備え、液状の硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとを注入する方向(上)が開いた容器形状として形成される。
この成形された樹脂フィルム34を下金型12内に配置する。その際、エアー導入・吸収装置で空気吸引して離型フィルム18を下型キャビティ16に沿った成形開始前の形状(図1、図3参照)にしておき、この離型フィルム18の上側に樹脂フィルム34を配置する。
このとき樹脂フィルム34の一方の壁として設けられ、硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとを区分する堰部34Bは、図1に示すように上金型14に接触するほど上方まで延設され、衝撃吸収材32を完全に区分する形状であることが望ましい。すなわち堰部34Bによって下型キャビティ16内部を完全に2分割することで、硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとがより混じり合わず、衝撃吸収性能の安定した衝撃吸収材とすることができる。
更に、液状の硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとを下金型12内の下型キャビティ16を2分割する堰部34Bの両側に注入し、上金型14を閉じる(図1参照)。
そして、注入した硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bを発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で上型を型開きし、エアー導入・吸引装置を作動させ、エアー管22、空気室S、及びエアー連通孔24を介して、離型フィルム18と下型キャビティ16との間隙Nにエアーを吹き込み、図2に示すように、成形品を構成する衝撃吸収材30を樹脂フィルム34と共に押し上げる。
その際、離型フィルム18は端部のみ下金型12に固定されているので、空気圧で離型フィルム18と衝撃吸収材30とが押し上げられ、このときに離型フィルム18が樹脂フィルム34および樹脂フィルム34で被覆されていない衝撃吸収材32Aから分離することになる。所定量の空気を入れると所定位置で離型フィルム18の浮き上がりが止まり、図2に示すように、衝撃吸収材30が金型10から離型(脱型)される。
離型(脱型)の際の空気圧は0.5kg/cm2以上、特に1〜5kg/cm2 であることが好ましい。なお、成形品の形状や大きさにより異なるが、工場エアー圧5kg/cm2 付近にまで高めれば、ほとんどの形状の成形品を離型させることができる。また通常は、間隙Nに注入される流体は空気を用いるが、空気に替えて水などの液体を用いてもよい。さらに、離型フィルム18を用いず何らかの吸着手段を使用し、または人手で脱型させてもよいことは言うまでもない。
硬質ポリウレタン発泡材料38Aおよび硬質ポリウレタン発泡材料38Bとしては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを主成分とし、更に触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤、その他の助剤を所望により配合したものを使用し得る。これらの成分としては硬質ポリウレタンフォームの製造に通常使用する公知のものを使用でき、またその使用量も常用量とすることができる。
なお、成形品である衝撃吸収材30には抜きテーパーを設けることが脱型を容易にし、押し上げる際にヘコミや傷等が生じることなく、抵抗力も少なくなるため好ましい。このため、衝撃吸収材30の厚さや大きさにより異なるが3°以上、特に3°〜5°の範囲にテーパー角度θ(図1参照)を形成することが好適である。
その後、エアー導入・吸引装置を作動させて離型フィルム18と下型キャビティ16との間のエアーを吸引すると、図3に示すように、離型フィルム18は予め真空成形されているので容易に元の形状に戻ることができ、下型キャビティ面上に再設置されて、離型フィルム18の再使用が可能となる。従って、効率よく確実にキュア時間を縮めることが可能となり、一回の成形にかかるモールド使用時間を短縮して単位時間当りの成形回数を増やし生産性を上げることができる。また、エアーにより、成形品である衝撃吸収材30を全体的に均等に押し上げることができるため、衝撃吸収材30に無理な力がかからず、特に80℃±10℃でのキュア時間を効果的に縮めることができ、これによりモールド使用時間を短縮して単位時間当たりの成形回数を約30%も増やして生産性を上げることができる。
以上説明したように、本実施形態では、下型キャビティ16に沿った外形を有する樹脂フィルム34を予め成形する。この成形では、フィルムの熱収縮などを考慮し、衝撃吸収材成形用の金型10とは別のフィルム部材成形用金型を用いて真空成形している。ただし要求される性能等によっては金型10を用いるようにしてもよい。
従って、樹脂フィルム34を予め成形せずに離型フィルム18の上側に樹脂フィルムを単に配置して硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bを注入して衝撃吸収材を成形した場合に比べ、たとえ衝撃吸収材32Bの表面形状が複雑であっても、樹脂フィルム34が衝撃吸収材32Bの意図した位置、形状に容易に高精度で配置されて衝撃吸収材32Bを形成し、しかも衝撃吸収材32Bを被覆する樹脂フィルム34が剥がれ難い衝撃吸収材とすることができる。
すなわち、衝撃吸収材32Bが比較的単純な形状であれば成型後に樹脂フィルム34を貼付する方法も考えられるが、衝撃吸収材32Bが複雑な表面形状であった場合、この表面に樹脂フィルム34を正しく貼付することは工数、工作精度等の点から難しいのに対して、上記のように本発明に係る製造方法を用いることによって、複雑な表面形状の衝撃吸収材32Bであっても所望の位置に樹脂フィルム34を設けることができる。
そして、樹脂フィルム34を成形する際に真空成形で成形しているので、樹脂フィルム34の外形が複雑な形状であっても容易に製造することができる。また、樹脂フィルム34を成形する金型として、離型フィルム18を成形したフィルム部材成形用金型を用いることができる。従って、新たに金型を設置する必要がない。
さらに、樹脂フィルム34の材質をポリカーボネイトとしている。ポリカーボネイトは硬質ポリウレタンフォームとの接着性が良いので、衝撃吸収材32Bの表面に樹脂フィルム34をより確実に配置して固定することができる。なお、ポリエチレンテレフタレートも硬質ポリウレタンフォームとの接着性が良いので、樹脂フィルム34の材質をポリカーボネイトでなくポリエチレンテレフタレートとしても、同様に、衝撃吸収材32Bの表面に樹脂フィルム34をより確実に配置して固定することができる。
さらに樹脂フィルム34の厚さは0.05〜1.0mmの範囲が望ましい。すなわち、厚さ0.05mm未満では強度が不足して破れる虞があり、厚さ1.0mm超では衝撃吸収材32の吸収エネルギーが大きくなり、衝撃吸収性能が損なわれる虞があるためである。
また、下金型12に離型フィルム18を取り付け、衝撃吸収材30を下金型12から離型させる際に、離型フィルム18と下型キャビティ16の表面との間を空気で加圧することで樹脂フィルム34を離型フィルム18から分離させている。これにより、樹脂フィルム34の外形形状が複雑であっても、金型からの離型が容易である。
更に、本実施形態においては離型フィルム18の材質をポリプロピレンとしている。ポリプロピレン製の離型フィルム18はポリカーボネイト製やポリエチレンテレフタレート製の樹脂フィルムとの離型性がよい。従って、離型させる際に離型フィルム18と衝撃吸収材32Bを形成する樹脂フィルム34との分離が容易である。また、ポリプロピレンは硬質ポリウレタンフォームとの離型性がよい。従って、硬質ポリウレタン発泡材料38Aからなる衝撃吸収材32Aと離型フィルム18との接着部位が生じていても、衝撃吸収材32を離型フィルム18から容易に離脱させることができる。更に、ポリプロピレンは金型10との離型性がよいので、離型させる際に離型フィルム18を金型10から容易に分離させることができる。
また、衝撃吸収材30を成形する際に樹脂フィルム34の内側に硬質ポリウレタン発泡材料38Bを注入しており、衝撃吸収材32Bは樹脂フィルム34の内側に成形される。従って、衝撃吸収材32Bの表面から硬質ポリウレタンフォームの粉落ち現象を低減することができる。
このようにして形成された衝撃吸収材30では、衝撃吸収材32Bの表面に樹脂フィルム34が一体的に配置され、樹脂フィルム34で被覆されていない衝撃吸収材32Aと、樹脂フィルム34で被覆された衝撃吸収材32Bとを備えた構造とされている。従って、露出部分32Aと被覆部分32Bとでは例えば図15に示すように異なる衝撃吸収性能を示し、1個の衝撃吸収材30で、場所によって衝撃吸収性能の異なる衝撃吸収材とすることができる。このとき両者の境界には樹脂フィルム34が堰部34Bとして設けられているので混じり合う虞はなく、また両者と樹脂フィルム34との接着性は良好なので、樹脂フィルム34を境界として割れる虞もない。
このため、衝撃吸収材30に衝撃が加えられた際には元来、硬質ポリウレタン発泡材料38Aからなる衝撃吸収材32Aと、硬質ポリウレタン発泡材料38Bからなる衝撃吸収材32Bとが備えている衝撃吸収性能の差に加えて、樹脂フィルム34で被覆されているか否かによっても衝撃吸収材32Aと衝撃吸収材32Bとでは異なる衝撃吸収性能を示し、1個の衝撃吸収材30で、場所によって衝撃吸収性能の異なる衝撃吸収材とすることができる。
さらに、樹脂フィルム34が下金型12の内面に沿った容器の形状をしている部分では下金型12と樹脂フィルム34との間に衝撃吸収材32Bを形成する硬質ポリウレタン発泡材料38Bが流れ込みにくいため樹脂フィルム34の浮きを防止し、樹脂フィルム34の位置精度を高めることができる。同時に樹脂フィルム34を一部、堰部34Bとして衝撃吸収材32Aと衝撃吸収材32Bの間にインサートすることにより、樹脂フィルム34で衝撃吸収材32Bを塊として拘束することができ、樹脂フィルム34で被覆された衝撃吸収材32Bの衝撃吸収性能をさらに衝撃吸収材32Aよりも吸収エネルギー(応力)の高いものとすることもできる。
また、硬質ポリウレタン発泡材料38A、38Bの2種類のみならず3種類以上の硬質ポリウレタン発泡材料を使用することもできる。この場合は複数の堰部34Bが必要となるため、例えば3種類の発泡材料をA、B、Cの順に1列に並べて成型する場合であれば、樹脂フィルム34でBを被覆し、AとCをBから区分するなどの方法が考えられる。あるいは全部の発泡材料をそれぞれ樹脂フィルム34で被覆し、その端部を堰部34Bとしてもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図5、図6に示すように、本実施形態では、第1実施形態に比べ、金型10に離型フィルムを取り付けずに衝撃吸収材70を成形する。
本実施形態でも、第1実施形態と同様、予め、下金型12のキャビティ形状に沿った外形の樹脂フィルム74を成形する。そして、成形された樹脂フィルム74を下金型12内に配置する。
また、金型10で成型される硬質ポリウレタン発泡材料38Aからなる衝撃吸収材72Aと、硬質ポリウレタン発泡材料38Bからなる衝撃吸収材72Bとは、衝撃吸収材72Bの表面の一部を樹脂フィルム74で被覆される一方で衝撃吸収材72Aと72Bとの間にも樹脂フィルム74が堰部74Bとして設けられ、堰部74Bによって下金型12のキャビティ16内は複数の区画に区分される。
すなわち、第1実施形態と同様に樹脂フィルム74は下金型12の内面に沿った形状でこれと接触する露出部74Aと、衝撃吸収材72の内部にインサートされて衝撃吸収材72Aと72Bとを区分する堰部74Bとを備えている。この堰部74Bは上金型14に接触するほど上方まで延設され、衝撃吸収材72を完全に区分する形状であることが望ましい。すなわち堰部74Bによって下型キャビティ16内部を完全に2分割することで、硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとが混じり合うことを抑制し、衝撃吸収性能の安定した衝撃吸収材とすることができる点もまた第1実施形態と同様である。
更に、液状の硬質ポリウレタン発泡材料38A、38Bを下金型12内に注入し、上金型14を閉じ、注入した硬質ポリウレタン発泡材料38A、38Bを発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で上金型14を型開きし、エアー導入・吸引装置を作動させて、エアー管22、空気室S、及びエアー連通孔24を介して、樹脂フィルム74と下型キャビティ16との間隙Nにエアーを吹き込み、成形品である衝撃吸収材70を樹脂フィルム74と共に押し上げる。
本実施形態では、離型フィルムを用いない簡易な手法で衝撃吸収材70を成形することができる。そして、たとえ衝撃吸収材72の表面形状が複雑であっても、第1実施形態ほど容易ではないが、樹脂フィルム74が衝撃吸収材72Bの意図した位置、形状に容易に高精度で配置された衝撃吸収材70を製造することができる。
なお、必要により下型キャビティ16の表面に離型剤を塗布しておいてもよく、また、下型キャビティ16の表面にフッ素樹脂コーティングしておくことも可能である。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図7(A)に示すように、本実施形態で使用する樹脂フィルム35は図4に示す第1実施形態の樹脂フィルム34に比べ、樹脂フィルム35が所謂バスタブ状の容器形状とされておらず、堰部35Bの両側面が空いており単純な帯状の形状とされ、これにより成型された衝撃吸収材31は、図7(B)に示すように表面積において樹脂フィルム34で被覆された部分の占める割合の少ない形状とされる。
本実施形態によれば、樹脂フィルム35を図7(A)のように単純な一枚板を折り曲げた形状とすることで加工を容易なものとし、また露出した部分と樹脂フィルム34で被覆された部分との衝撃吸収性能の差を小さくしたい場合に、例えば図7(B)のように樹脂フィルム35に拘束される部分のうち2面が露出部分32Cとされるため、両者の衝撃吸収性能を近付けることができる。
これにより、求められる衝撃吸収性能の差によって第1実施形態と本実施形態、あるいは図7(C)に示すように堰部36Bに接する1面のみを空けた両実施形態の中間形状などから任意の形状を性能に応じて適宜選択することができ、所望の衝撃吸収性能を備えた衝撃吸収材とすることができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。図8に示すように、本実施形態においても第1実施形態と同様、下金型12と上金型14とで構成される衝撃吸収材成形用の金型(モールド)10を用いる。以下、第1実施形態と同様の部分は記載を省略する。また離型フィルム18は使用しても、使用しなくてもよい。
図8に示すように下金型12は上部中央部に凹状の下型キャビティ16が形成され、上金型14はこの下型キャビティ16の上端開放部を閉塞する蓋体として形成されており、上金型14と下金型12とを閉じた状態では下型キャビティ16内の空間が上金型14で閉じられた状態になる。
金型10で成型される衝撃吸収材32は、硬質ポリウレタン発泡材料38Aより形成される衝撃吸収材32Aと、硬質ポリウレタン発泡材料38Bより形成される衝撃吸収材32Bとで構成される。且つ、衝撃吸収材32Aと32Bとの間を区分する位置に仕切部材40が設けられ、堰となって衝撃吸収材32の内部を衝撃吸収材32Aと32Bとに区分される。
硬質ポリウレタン発泡材料38Aより形成される衝撃吸収材32Aと、硬質ポリウレタン発泡材料38Bより形成される衝撃吸収材32Bとは衝撃吸収性能が異なり、それぞれ求められる性能に応じて、衝撃吸収材30内の適切な箇所に配置される。すなわち、図12(A)に示されるように例えば車体前方は吸収エネルギーの小さい衝撃吸収材Aの衝撃吸収性能、車体後方は吸収エネルギーの大きい衝撃吸収材32Bの衝撃吸収性能が求められる場合、車体前後方向に衝撃吸収材32Aと32Bとを配列する構成が望ましい。
衝撃吸収材32Aと32Bとの間に配置される仕切部材40は、例えば樹脂板などでよく、成型時に衝撃吸収材32Aと32Bとの間にインサートされる樹脂フィルム34とは異なり、自立できる板材が望ましい。また仕切部材40の素材としては硬質ポリウレタンと接着性のよいPET樹脂などからなる素材が望ましいのは言うまでもない。
また、仕切部材40の硬度や衝撃吸収性能などの物性は、一体成型される硬質ポリウレタンのどちらか一方に準じるか、あるいは両者の中間などの値でもよい。仕切部材40を形成する樹脂などが硬質ポリウレタンに比較して突出して硬い、あるいは柔らかい等の組み合わせは図12(A)に示されるような実使用時の性能に影響を及ぼし、あるいは成型後の衝撃吸収材31の寸法精度等に影響する虞があるためである。さらに他の実施形態と同様に、硬質ポリウレタン発泡材料38A、38Bの2種類のみならず3種類以上の硬質ポリウレタン発泡材料を使用することもできる。この場合は複数の仕切部材40が必要となる。
図8(B)に示されるように、硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとを区分する仕切部材40は、図8に示すように上金型14に接触するほど上方まで延設され、衝撃吸収材32を完全に区分する形状であることが望ましい。すなわち仕切部材40によって下型キャビティ16内部を完全に2分割することで、硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとが混じり合うことを抑制し、衝撃吸収性能の安定した衝撃吸収材とすることができる。
更に、液状の硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bとを下金型12内の下型キャビティ16を2分割する仕切部材40の両側に注入し、上金型14を閉じる(図8(A))。
そして、注入した硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bを発泡させて膨張させる。膨脹が終了した段階で図8(B)に示すように上金型14を型開きし、衝撃吸収材32Aと衝撃吸収材32Bとからなる衝撃吸収材31を下金型12より取り出す。
衝撃吸収材31は異なった衝撃吸収性能をもつ衝撃吸収材32Aと衝撃吸収材32Bとからなり、両者の間は仕切部材40で区分されている。仕切部材40は硬質ポリウレタンと接着性がよいので、衝撃吸収材32Aと衝撃吸収材32Bの両方と一体化して成型され、仕切部材40で衝撃吸収材31が折れる虞はない。
図9には第4実施形態に係る下金型12のキャビティ16と、仕切部材40との関係が示されている。
キャビティ16には、仕切部材40が嵌合する支持溝42が引き抜き方向に設けられている。支持溝42は仕切部材40の位置決めと保持を行い、図9(A)に示すように引き抜き方向にテーパーが付いていても(d1<d2)よい。また、離型のし易さを考慮し支持溝42の幅が仕切部材40より大きく、仕切部材40との間に間隙が設けられていてもよい。さらに他の実施形態と同様に、硬質ポリウレタン発泡材料38A、38Bの2種類のみならず3種類以上の硬質ポリウレタン発泡材料を使用することもできる。この場合は複数の仕切部材40が必要となるので、支持溝42もまた仕切部材40と同数が必要となる。
図9に示されるキャビティ16に、硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bを仕切部材40で区分されたキャビティ16内に注入し、発泡させて膨張させ、仕切部材40を一体的に取り込んだ衝撃吸収材32Aと衝撃吸収材32Bとからなる衝撃吸収材31を成型し下金型12より取り出す。
衝撃吸収材31を下金型12より取り出す際には仕切部材40が支持溝42に沿って引き抜き方向に引き抜かれるので、引き抜き工程の邪魔になる虞はなく、また支持溝42の引き抜き方向にテーパーがついていれば更に引き抜きが容易となる。
図10には 第4実施形態の他の形態に係る下金型12のキャビティ16と、仕切部材40との関係が示されている。
図10(A)に示すように、本形態は離型フィルム18を下金型12のキャビティ16に設け、衝撃吸収材31を下金型12より取り出し易くした構成であり、さらに離型フィルム18に支持部44と支持溝46を設けて仕切部材40を保持する。硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bを仕切部材40で区分されたキャビティ16内に注入し、発泡させて膨張させ、衝撃吸収材32Aと衝撃吸収材32Bとからなる衝撃吸収材を成型し、下金型12より取り出すことで衝撃吸収材31とする。
このとき支持溝46だけでは仕切部材40の支持と位置決めが難しい場合には、例えば仕切部材40に脚部41を設け、キャビティ16内に配置した際に自立できる構造とされていてもよい。
支持溝46は離型フィルム18の内面において、支持部44の間に設けられた引き抜き方向の溝であり、支持溝46もまた引き抜き方向にテーパーがついていてもよく、また支持部44の内面形状も同様にテーパーがついていてもよい。
この構造とすることにより下金型12には図8に示すような支持溝42を設ける必要がなく、専用に下金型12を用意する必要がない。このため下金型12を流用できるのでコストを低減でき、また製造ラインの変更を迅速かつ容易に行うことができる。
図11には 第4実施形態の他の形態に係る下金型12のキャビティ16と、仕切部材40との関係が示されている。
図11(A)に示すように、本形態は離型フィルム18を下金型12のキャビティ16に設け、衝撃吸収材31を下金型12より取り出し易くした構成であり、さらに離型フィルム18に支持部44と支持溝46を設けて仕切部材40を保持する。
支持溝46は図10に示した構造とは異なり、離型フィルム18の深さ方向(引き抜き方向)にわたって設けられており、仕切部材40を保持しながら位置決めを行う。
さらに図10と同様に、硬質ポリウレタン発泡材料38Aと硬質ポリウレタン発泡材料38Bを仕切部材40で区分されたキャビティ16内に注入し、発泡させて膨張させ、仕切部材40を一体的に取り込んだ衝撃吸収材32Aと衝撃吸収材32Bとからなる衝撃吸収材を成型し、下金型12より取り出すことで衝撃吸収材31とする。
このとき仕切部材40は両端を保持されているので、確実に所望の位置で保持され且つキャビティ16内部での位置精度も保たれる。
支持溝46は離型フィルム18の内面において、引き抜き方向に設けられた溝であり、図11(B)に示すように引き抜き方向にテーパーがついていてもよく、また支持部44の形状も同様にテーパーがついていてもよい。
この構造とすることにより下金型12には図8に示すような支持溝42を設ける必要がなく、専用に下金型12を用意する必要がない。このため下金型12を流用できるのでコストを低減でき、また製造ラインの変更を迅速かつ容易に行うことができる。
なお、本発明の使用例としては、自動車の内装に組み込まれた衝撃吸収材が挙げられる。例えば図10(A)に示すように自動車の乗員はその体格によって最適なシートポジションが異なるが、主として車体前後方向にシートをスライドさせて最適なポジションを得ている。
この時、体格の大きい人P1はシートを車体後方に、体格の小さい人P2はシートを車体前方に調整するが、身体の大きく体重の重い人には吸収エネルギーが大きく、身体の小さく体重の軽い人には衝撃吸収材は吸収エネルギーが小さいこと望ましい。このため、図10(A)、(B)に示すように車体前後方向で衝撃吸収性能(変位/入力の関係)の異なる複数種類の衝撃吸収材を一体成型する必要がある。本発明の構成を適用することで、上記の要求を好適に満たす衝撃吸収材とすることができる。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。例えば、第1実施形態では真空成形された離型フィルム18を下金型12にしか配設していないが、上金型14にも同様にポリプロピレンフィルムを配設することができる。特に上金型14にキャビティを有し、そのキャビティ形状が複雑な場合では、上金型14のキャビティと同形状に真空成形した離型フィルムを配設することが好ましい。
また図12(A)に示すように衝撃吸収材30が設けられる面は車内の側壁であっても、あるいは天井などの内面であってもよく、また場所による衝撃吸収性能の変化は図12(A)に示す方向に限らず、分布の異なるものを複数配置するなど種々の応用が考えられる。
10 金型
12 下金型
14 上金型
16 キャビティ
18 離型フィルム
30 衝撃吸収材
31 衝撃吸収材
32 衝撃吸収材
32A 衝撃吸収材
32B 衝撃吸収材
34 樹脂フィルム
34A 被覆部分
34B 堰部
35 樹脂フィルム
38A 硬質ポリウレタン発泡材料
38B 硬質ポリウレタン発泡材料
40 仕切部材
41 脚部
42 支持溝
44 支持部
46 支持溝
70 衝撃吸収材
72 衝撃吸収材
72A 衝撃吸収材
72B 衝撃吸収材
74 樹脂フィルム
74A 被覆部分
74B 堰部
S 空気室
θ テーパー角度

Claims (15)

  1. 金型で成型される第1の衝撃吸収材と、前記第1の衝撃吸収材とは衝撃吸収性能の異なるポリウレタンフォーム製の第2の衝撃吸収材からなる衝撃吸収材本体と、
    金型成型前に前記金型の内面形状の一部に沿った形状に事前成型され、金型成型時には前記第1の衝撃吸収材と一体成型される樹脂フィルムと、を備え、
    前記樹脂フィルムは前記第1の衝撃吸収材本体の表面の一部を被覆し、
    前記衝撃吸収材本体の内部にインサートされた前記樹脂フィルムの一部は、堰として前記第1の衝撃吸収材と前記第2の衝撃吸収材とを前記衝撃吸収材本体の内部で区分することを特徴とする衝撃吸収材。
  2. 前記樹脂フィルムは前記金型に接触する面、および前記衝撃吸収材本体を区分する堰からなる容器を構成していることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収材。
  3. 前記樹脂フィルムは前記金型に接触する面、および前記衝撃吸収材本体を区分する堰からなる容器を構成し、前記容器は底面と前記堰以外の少なくとも一面が開放されていることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収材。
  4. 前記樹脂フィルムは前記金型に接触する底面、前記衝撃吸収材本体を区分する堰、および前記堰と対向する側面からなる帯を形成していることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収材。
  5. 前記樹脂フィルムは真空成型により形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の衝撃吸収材。
  6. 前記樹脂フィルムはポリカーボネートあるいはポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の衝撃吸収材。
  7. 車両内部の壁に設けられ、車体後方側の表面を前記樹脂フィルムで被覆されたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の衝撃吸収材。
  8. 車両内部の側壁に設けられ、車体上方側の表面を前記樹脂フィルムで被覆されたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の衝撃吸収材。
  9. 金型成型前に前記金型の内面形状の一部に沿った形状に樹脂フィルムを事前成型し、
    一部が前記金型内部を複数の区画に区分する区分する堰を形成した前記樹脂フィルムを前記金型内に配置した後に、前記堰で区分された前記金型内部の各区画にそれぞれ異なった衝撃吸収性能をもつ複数種類の硬質ポリウレタンフォームを形成する硬質ポリウレタン発泡材料を注入し、
    金型成型時には前記複数種類の硬質ポリウレタンフォームと前記樹脂フィルムとを一体成型することで衝撃吸収材を形成し、
    前記樹脂フィルムが前記衝撃吸収材の表面の一部を被覆していることを特徴とする衝撃吸収材の製造方法。
  10. 成型時には前記金型の下金型と、前記複数種類の硬質ポリウレタンフォームおよび前記樹脂フィルムとの間に離型フィルムを設け、前記離型フィルムと前記下金型との間に加圧流体を注入することで成型後の前記衝撃吸収材を脱型することを特徴とする請求項9に記載の衝撃吸収材の製造方法。
  11. 前記離型フィルムはポリプロピレンであることを特徴とする請求項10に記載の衝撃吸収材の製造方法。
  12. 第1の硬質ポリウレタンフォーム製の第1の衝撃吸収材と、
    前記第1のポリウレタンフォームと一体に成型され、前記第1のポリウレタンフォームとは衝撃吸収性能の異なる第2のポリウレタンフォーム製の第2の衝撃吸収材と、
    金型で一体に成型される前記第1の衝撃吸収材と前記第2の衝撃吸収材との境界面に設けられ、両者を区分する仕切部材と、からなることを特徴とする衝撃吸収材。
  13. 衝撃吸収材成形用の金型内を複数区画に区分する仕切部材を、前記金型の内壁に引き抜き方向の溝として延設された支持部で支持し、
    衝撃吸収材を形成する複数種類の硬質ポリウレタン発泡材料を前記複数区画に区分された金型内にそれぞれ入れて発泡させることにより、複数種類の硬質ポリウレタンからなる衝撃吸収材を前記仕切部材と一体的に成形する、衝撃吸収材の製造方法。
  14. 衝撃吸収材成形用の金型の、下金型の内面形状に沿った外形に形成された離型フィルムを前記下金型内に配置し、
    前記離型フィルム内を複数区画に区分することで、衝撃吸収材を形成する複数種類の硬質ポリウレタン発泡材料をそれぞれ区分する仕切部材を、前記離型フィルム内面に突出して設けられた支持部で支持し、
    前記複数種類の硬質ポリウレタン発泡材料を前記複数区画に区分された前記金型内にそれぞれ入れて発泡させることにより、硬質ポリウレタン製の衝撃吸収材を前記仕切部材と一体的に成形する、衝撃吸収材の製造方法。
  15. 前記仕切部材に設けられた脚部で、前記仕切部材を前記下金型内部で自立させることを特徴とする、請求項13または請求項14に記載の衝撃吸収材の製造方法。
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