JP5765574B2 - 二次電池及びその製造方法ならびに該電池に用いられる負極シートの製造方法 - Google Patents

二次電池及びその製造方法ならびに該電池に用いられる負極シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池とその製法に関する。詳しくは、負極シートの製造方法及びこれを用いた二次電池とその製造方法に関する。
近年、リチウム二次電池(例えばリチウムイオン電池)、ニッケル水素電池等の二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末の電源として好ましく用いられている。特に、リチウム二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることから、車両搭載用の高出力電源あるいは電力貯蔵システムの電源等としての重要性が高まっている。
この種の電池の一つとして、長尺の正極シートと負極シートとをセパレータを介して積層させて渦巻き状に捲回した捲回電極体を備える電池構造が知られている。電極体を渦巻き状とすることにより正負極の反応面積を増大させることができ、これによってエネルギー密度を高め、高出力を可能としている。
この捲回電極体において、正極シートおよび負極シートは、一般的に、集電体の両面に活物質層形成用組成物(例えば、ペースト状、スラリー状に調製され得る。)を供給して活物質層を形成することで作製されている。また、例えば、車両搭載用等の高出力用途の場合には、これらの電極シート(すなわち正極シートおよび/または負極シート)の長手方向に直交する幅方向の一方の端部の両面に、活物質層が形成されない未塗工部を、集電効率を高めるために帯状に設けて集電部として利用するようにしてもいる。
この電極シートの製造方法について、例えば、負極シートの場合を例にして説明する。図7Aに示すように、負極シート50は、生産性を高める目的で、例えば、一旦倍幅で製造した後に、半分にスリットする手法が採用され得る。すなわち、まず、長尺の負極集電体52上に、その両端部に未塗工部53が形成されるように、負極活物質層形成用組成物を間欠塗工により一条で供給して、負極活物質層54を形成する。その後、この負極シート50を幅方向の略中心(図7Aにおける一点破線)にて長手方向に切断することで2条化し、図7Bに示すような断面構造を有する負極シート50を得るようにしている。
このような電極シートを用いて捲回電極体を構築する際には、正極シートの未塗工部と負極シートの未塗工部とが幅方向の反対側に突出するように両電極シートの未塗工部を互い違いに配置し、かつ、両電極シートの活物質層が完全に絶縁されるように両活物質層よりも幅広のセパレータを介在させて、捲回するようにしている。すなわち、セパレータは両活物質層から露出している露出部を有している。
また、セパレータとしては、一般的に、シート状のポリオレフィン樹脂製の微多孔膜が用いられている。このシート状のポリオレフィン樹脂の工業的製法は、細孔の形成原理によって相分離法と延伸法とに二分される。そして、これら何れの製法においても長尺方向への延伸によるシート形成は欠かすことのできない工程であり、それ故、シート状のポリオレフィン樹脂からなるセパレータには長尺方向で収縮する性質がある。
特開平04−028175号公報
ところで、図7Aに示したような2条化した負極シートを用いて捲回電極体を備える二次電池を構築すると、以下の課題が生じることが考えられる。すなわち、
(1)2条化した負極シートの未塗工部が設けられていない側の端面の断面には、2条化の際の切断により略90°の角部が形成されており、セパレータ(特に露出部)が何らかの要因で収縮した際には該角部がセパレータに当接し、当該セパレータを損傷する可能性がある。
(2)過度な過充電時にはこれに伴う発熱により当該セパレータの収縮が顕著となり、該セパレータが負極シートの角部により損傷を受けることも考えられる。セパレータの過度な収縮は、最悪の事態には、セパレータの破断および正極シートと負極シートとの短絡へと繋がることも想定される。
本発明は、かかる課題を鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、過度な過充電等による発熱が、上記のようなセパレータを用いた捲回電極体を有する電池に対して悪影響を与えないように、例えばセパレータの破断という最悪の事態を未然に防ぐべく、予め対処が施された二次電池を提供することである。また、他の側面では、セパレータを破断させることがないように対処が施された負極シートの製造方法およびこれを利用した二次電池の製造方法を提供することである。
すなわち、本発明が提供する二次電池は、長尺な正極集電体上に正極活物質層を備える正極シートと、長尺な負極集電体上に負極活物質層を備える負極シートと、上記正極シートと上記負極シートとの間に介在するセパレータとを重ねて捲回した捲回電極体を備える二次電池である。ここで、上記負極活物質層は、上記負極集電体の長手方向に直交する幅方向の一方の端部に未塗工部を設け、かつ、他方の端部には実質的に未塗工部が設けられないように形成されている。また、上記セパレータは、幅方向に上記負極活物質層を覆うように幅広に形成されている。
そして、かかる二次電池において、上記負極集電体の少なくとも捲回外周側に形成された上記負極活物質層には、上記未塗工部が形成されていない側の端部において、長手方向に沿う周縁部であって、該周縁部に隣接する上記幅方向の内側の負極活物質層の厚みよりも厚みが薄い周縁部が形成されており、上記周縁部には、90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部が存在しないことを特徴としている。
かかる構成によると、負極活物質層の周縁部には90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部(コーナー部)が存在しない。そのため、何らかの要因により二次電池の内部の温度が上昇してセパレータが熱収縮する場合であっても、この熱収縮によりセパレータが負極活物質層の周縁部を圧縮する応力は、角部に集中することなく拡散される。したがって、セパレータの損傷の問題は解消される。
なお、上記の特許文献1には、捲回電極体を備える非水電解液二次電池において、正極活物質層の周辺部すべてを面取りする構成が開示されている。しかしながら、特許文献1の技術は、片状リチウムが遊離するのを防止する目的で、正極活物質層の周辺部がセパレータからの圧迫を受けやすいように、隙間を生じさせなくするための構成である。すなわち、特許文献1は、本質的に本発明とは、技術的思想及び発明の構成が異なるものである。
ここに開示される二次電池の好ましい態様では、上記周縁部は、横断面からみて、曲率半径Rが0.13〜5.87の範囲となるように曲面化されている。かかる構成によると、負極活物質層における周縁部の形態を円弧に見立てて、より明確な指標により規定することができる。
なお、上記曲率半径Rは、上記周縁部の横断面からみて、上記負極活物質層の厚みが上記曲面化により減少し始める点をaとし、上記負極活物質層の表面が上記負極集電体に当接する点をbとし、上記点aと上記点bの中間点をcとし、直線abに垂直でかつ上記点cを通る線が上記負極活物質層の表面と交わる点をdとしたとき、次式
Figure 0005765574
で表されるものとすることができる。ただし、式中のLは上記点aおよび上記点bの間の距離を示し、Dは上記点cおよび上記点dの間の距離を示す。曲率半径は、様々な手法により求めることができるが、かかる構成によると、たとえば、負極活物質層の断面形状の観察や、レーザ測定器を用いる等して、曲率半径を簡便に算出することができる。
ここに開示される二次電池の他の好ましい一態様では、上記周縁部は、横断面からみて、上記負極活物質層の厚みが減少し始める点aにおける上記負極活物質層の厚さをt1とし、上記点aと上記周縁部が上記負極集電体に当接する点bとの中間点cにおける上記負極活物質層の厚さをt2としたとき、上記厚さt1に対する上記厚さt2の比t2/t1が0.33〜0.95の範囲である。かかる構成によると、負極活物質層における上記周縁部の形態が傾斜面をなす場合であっても、その形態を、厚みの減少具合を表すより明確な指標に基づいて、より簡易に規定することができる。
ここに開示される二次電池の好ましい一態様では、上記正極活物質層は、上記正極集電体の少なくとも一方の面で、長手方向の一方の端部に帯状に設けられる未塗工部を除いた全面に備えられており、上記負極活物質層の幅が上記正極活物質層の幅よりも広く、上記負極活物質層が上記正極活物質層を覆う状態で、かつ、上記負極集電体と上記正極集電体とは、互いの未塗工部が幅方向の反対側に突出するように、配置されて捲回されている。かかる構成によると、負極活物質層が正極活物質層を覆うべく幅方向の端部を突出させた状態でセパレータが熱収縮する場合であっても、負極活物質層の周縁部は角部が存在しないためにセパレータの圧縮応力は十分に拡散されて集中することがない。したがって、セパレータの破損、ひいてはこれに起因する正極シートと負極シートの短絡の問題を解消することができる。また、負極活物質が正極活物質を覆う形態であることから、正極から放出される電荷担体の負極での受け入れ性が高まり、より高容量の二次電池が実現される。
ここに開示される二次電池の好ましい一態様では、上記セパレータが、シート状のポリオレフィン樹脂からなる。シート状のポリオレフィン樹脂は、その製法に由来して、長手方向の熱収縮率が20%程度にも上るものもある。かかる構成によると、たとえセパレータがこのように大きく熱収縮した場合であっても、負極活物質層の周縁部でセパレータが損傷を受けるのを防ぎ、セパレータの破断を防止することができる。
ここに開示される二次電池の好ましい一態様では、上記捲回電極体の捲回断面形状が、円形を扁平に拉げさせた小判型である。捲回電極体は、電池の外装ケースの形状に合わせて、たとえば、捲回断面形状が円形のものからこれを拉げさせた小判型のもの等、様々な形態のものが用意される。そして、捲回電極体の断面形状が円形のものよりも、より長尺の小判型(すなわち、アスペクト比の高い捲回断面形状を有する。)のものの方が、セパレータが熱収縮する際の収縮量が多くなる。すなわち、捲回断面において最も長尺な部位の負極活物質層の周縁部に、セパレータの収縮による引張り応力が集中する。しかしながら、かかる構成によると、負極活物質層の周縁部に角部は存在しないため、捲回断面において最も長尺な部位であっても引張り応力は拡散される。したがって、捲回断面形状が判型の捲回電極体を備える場合であっても、セパレータの損傷は十分に抑制され得る。
ここに開示される二次電池の好ましい一態様では、上記負極集電体が銅箔であって、上記正極集電体がアルミニウム箔である。上記のセパレータの収縮および負極活物質層の角部によるセパレータの損傷は、負極集電体として銅箔を用い、正極集電体としてアルミニウム箔を用いる場合に顕著にみられる。すなわち、捲回電極体においては、負極集電体と正極集電体の未塗工部が渦巻き状に幅方向の反対側の端部で突出している。負極集電体が銅箔である場合は、放熱性に優れるためその未塗工部に熱は籠り難い。しかしながら、正極集電体がアルミニウム箔の場合、アルミニウムは銅に比べて放電性に劣り、渦巻き状に突出している未塗工部の間には熱が籠りやすく、温度が上昇しやすい傾向にある。そのため、正極集電体の未塗工部の間に位置するセパレータの露出部は、熱収縮を生じやすく、負極集電体の未塗工部が形成されていない側の端部にセパレータの収縮による応力が加わりやすい。しかしながら、かかる構成によると、少なくとも負極集電体の外周側に形成される負極活物質層の周縁部に角部が存在しないため、該応力は集中することなく拡散される。したがって、負極集電体が銅箔であって、正極集電体がアルミニウム箔である場合でも、セパレータが損傷を受けること回避される。
以上の二次電池は、セパレータの熱収縮により負極活物質層の周縁部において引張り応力が局所的に集中し、セパレータが損傷を受けるのを防ぐことができ、安全性がより高められている。したがって、かかる構成は、例えば高エネルギー密度特性を備えるため、自身の中心に発熱を蓄熱する傾向のある大型電池や、組電池等の形態の二次電池に対して好適に適用し得る。特に、例えば、ハイレートでの入出力特性が求められる動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)等として好適であり、本発明は、ここで開示される二次電池を備える車両(例えば自動車)を提供する。
他の一側面として、本発明が提供する負極シートの製造方法は、長尺の負極集電体上に負極活物質層が備えられた二次電池用の負極シートを製造する方法である。この製造方法は、負極活物質とバインダとを含む負極活物質層形成用組成物を用意する工程と、上記負極集電体を用意し、該負極集電体の長尺方向に直交する幅方向の両端に未塗工部が設けられるように、上記負極集電体の中央側に上記負極活物質層形成用組成物を長手方向に塗布する塗布工程と、上記負極活物質層形成用組成物が塗布された負極集電体を幅方向の略中心で長手方向に切断する工程とを包含する。そして、かかる塗布工程において、上記負極集電体の上記幅方向の略中心の表面部に凹部が設けられるように、上記負極活物質層形成用組成物を二峰性に塗工し、また、かかる切断工程において、上記凹部の最深部で長手方向に切断することで、上記未塗工部が形成されていない側の端部の長手方向に沿う周縁部に90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部が存在しないように負極活物質層を形成するようにしている。
かかる構成によると、未塗工部が形成されていない側の負極活物質層の端部の長手方向に沿う周縁部に角部が存在しない負極シートを、作業性良く、簡便に製造することができる。例えば、従来は負極集電体の長尺方向に直交する幅方向の両端に未塗工部が設けられるように、幅方向のやや中心寄りに、スラリー状の負極活物質層形成用組成物を所定の目付量で長手方向に一峰性に(すなわち、一条に)塗布していた。これに対し、例えば、スラリー状の負極活物質層形成用組成物の組成を変化させることなく、塗工機の吐出口を二口に分けて二峰性に(すなわち、二条に)塗工するという簡便な手段で、負極集電体の幅方向の略中心の表面部に凹部が設けられ、周縁部に角部が存在しない負極シートを製造することができる。
ここに開示される負極シートの製造方法の好ましい一態様では、上記塗布工程と上記切断工程は、横断面からみて、上記周縁部の曲率半径Rが0.13〜5.87の範囲となるように行う。かかる構成により、上記負極シートにおける負極活物質層の周縁部を明確な指標に基づいて適正な形態とすることができる。
ここで、曲率半径Rは、上記周縁部の横断面からみて、上記負極活物質層の厚みが上記曲面化により減少し始める点をaとし、上記負極活物質層の表面が上記負極集電体に当接する点をbとし、上記点aと上記点bの中間点をcとし、直線abに垂直でかつ上記点cを通る線が上記負極活物質層の表面と交わる点をdとしたとき、次式
Figure 0005765574
で表される値を採用する。ただし、式中のLは上記点aおよび上記点bの間の距離を示し、Dは上記点cおよび上記点dの間の距離を示す。曲率半径Rは、様々な手法により求めることができるが、かかる構成によると、たとえば、負極活物質層の断面の観察や、レーザ測定器を用いる等して、曲率半径を簡便に算出して負極シートを製造することができる。
ここに開示される負極シートの製造方法の好ましい一態様では、上記塗布工程と上記切断工程は、横断面からみて、上記負極活物質層の厚みが減少し始める点aにおける上記負極活物質層の厚さをt1とし、上記点aと上記周縁部が上記負極集電体に当接する点bとの中間点cにおける上記負極活物質層の厚さをt2としたとき、上記周縁部の上記厚さt1に対する上記厚さt2の比t2/t1が0.33〜0.95の範囲となるように行う。かかる構成によると、負極活物質の周縁部の形態をより簡易な手法により規定しながら負極シートを製造することができる。たとえば、その場で周縁部の形態を確認しながら負極シートを製造することができる。
さらに他の一側面として、本発明が提供する二次電池の製造方法は、長尺の正極シートと、長尺の負極シートとを、セパレータを介して重ね合わせて捲回してなる捲回電極体を所定のケース内に収納してなる二次電池の製造方法であって、上記負極シートとして、上記のいずれかに記載の方法により製造された負極シートを使用する。かかる製造方法によると、負極活物質層の未塗工部が設けられていない側の端部の周縁部には角部が存在しないため、セパレータが熱収縮した場合であっても、該周縁部において引張り応力が集中することがなく、セパレータの損傷および破損を防止できる二次電池を製造することができる。
一実施形態に係る非水電解質二次電池(例えば、リチウムイオン電池)を示す斜視図である。 図1中のII−II線に沿う縦断面図である。 一実施形態に係る捲回電極体を示す模式図である。 一実施形態に係る負極シートの構造を示す横断面図である。 負極活物質層の端部を横断面から見たときの曲率半径の求め方を示す図である。 一実施形態に係る非水二次電池を備えた車両を示す側面図である。 従来の負極シートの製造方法の一例を示す図である。 従来の負極シートの構造を示す横断面図である。
本明細書において「二次電池」とは、リチウム二次電池、ニッケル水素電池等の繰り返し充電可能な電池一般をいう。
また、本明細書において「リチウム二次電池」とは、リチウムイオンを電荷担体として繰り返し充電可能な電池一般をいい、典型的にはリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等を包含する。
さらに、本明細書において「活物質」は、二次電池において電荷担体となる化学種(例えば、リチウムイオン電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および離脱)可能な物質をいう。
以下、本発明の二次電池を、好適な実施形態としてのリチウムイオン電池を例にし、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン電池10を模式的に示す斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿う縦断面図である。図3は、捲回電極体20の構成を説明するための図である。
本実施形態に係るリチウムイオン電池10は、図1〜図3に示すように、本質的に、長尺な正極集電体32上に正極活物質層34を備える正極シート(正極)30と、長尺な負極集電体52上に負極活物質層54を備える負極シート(負極)50と、上記正極シート30と上記負極シート50との間に介在する2枚のセパレータ70とを、重ね合わせて捲回した捲回電極体20を備える。
また、リチウムイオン電池10は、この電極体20と適切な非水系の電解質(典型的には電解液)とを収容する電池ケース80(典型的には扁平な直方体形状)を備える。
捲回される正極シート30は、図3に示したように、正極集電体32の長手方向に直交する幅方向の一方の端部には、正極活物質層34が形成されずに正極集電体32が露出している未塗工部33を設けている。また、他方の端部には実質的に未塗工部33が設けられないように正極活物質層34が形成されている。同様に、捲回される負極シート50において、負極集電体52の長手方向に直交する幅方向の一方の端部には、負極活物質層54が形成されずに負極集電体52が露出している未塗工部53を設けている。そして負極活物質層54は、他方の端部には実質的に未塗工部53が設けられないように形成されている。
なお、ここで「実質的に未塗工部が設けられない」とは、意図的に未塗工部33、53が設けられていないことを意味するものである。したがって、例えば、未塗工部33、53を設けなかったにもかかわらず、その後の何らかの意図しない要因により集電体32、52が伸長したり、あるいは、活物質層34、54が収縮したりして、微視的に未塗工部33、53が生じた場合等は、ここでいう「実質的に未塗工部が設けられない」ものに包含され得る。
また、例えば図3に示すように、セパレータ70は、正極活物質層34と負極活物質層54とを確実に絶縁するために、幅方向に負極活物質層54を覆うように幅広に形成されている。そのため、セパレータ70は、正極活物質層34と負極活物質層54とから突出した露出部を有する。この露出部は、通常は、セパレータ70の幅方向で面一である。しかしながら、捲回電極体20の温度がある温度(典型的には、セパレータ70の軟化点)にまで上昇すると、セパレータ70が熱収縮し得る。ここで、セパレータ70の正極活物質層34と負極活物質層54とに挟まれた部分においては、両活物質層34、54による拘束力によりセパレータ70の収縮は抑制される。しかしながら、負極活物質層54と正極活物質層34とから突出した露出部においては両活物質層34、54によって直接拘束されない。つまり、セパレータ70の露出部においては、両活物質層34、54による拘束力が急激に減少するとともに、幅方向端部に向かうにつれて弱まるために、セパレータ70の収縮は著しく大きくなる。その結果、負極活物質層54の未塗工部53のない側の端部に、セパレータ70の熱収縮による引張り応力が集中し得る。
図4は、一実施形態に係る負極シート50の構造を示す横断面図である。ここに開示されるリチウムイオン電池10において、負極集電体52の少なくとも捲回外周側に形成された負極活物質層54は、例えば図4に示したように、未塗工部53が形成されていない側の端部において、長手方向に沿って周縁部が形成されている。当該周縁部は、隣接する幅方向の内側の負極活物質層の厚みよりも厚みが薄くなっている。そして、かかる二次電池は、この周縁部には、90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部(コーナー部)が存在しないことを特徴としている。
この図4の例では、未塗工部53が形成されていない側の端部の両面に、長手方向に沿って周縁部が形成されているが、必ずしも負極シート50の両面において周縁部が形成される必要はない。少なくとも、捲回電極体20を構築する際に捲回外周側に位置する一方の面に、90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部が存在しない周縁部が形成されていれば良い。また、この図4の例では、周縁部の負極活物質層54の厚みが負極集電体52の端部に向けて徐々に減少し、負極集電体52の端部において厚みがゼロとなっているが、必ずしも負極集電体52の端部において負極活物質層54の厚みがゼロである必要はない。該周縁部において90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部が存在しなければ、負極集電体52の端部において負極活物質層54に厚みがあっても良い。
かかる構成によると、例えば過度な過充電などによりリチウム二次電池10の内部の温度が上昇し、負極シート50よりも捲回外周側に位置するセパレータ70が熱収縮しても、負極活物質層54の周縁部には角部が存在しないために、該セパレータ70の収縮により圧縮する応力は断面の一点に集中せずに周縁部の全体に拡散される。したがって、セパレータ70の損傷および破損等の問題や、ひいてはこれに起因する正極シート30と負極シート50の短絡といった問題は、解消されることになる。
なお、上記の負極活物質層54の周縁部の形態を表す「角部が存在しない」とは、90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部が存在しないことであり、負極活物質層54の厚みが端部に向かうにつれて、急激にではなく、緩やかに減少される状態を示す。より好ましくは周縁部が滑らかに曲面化されている様子であり得る。例えば、図7Bに示したような従来の負極活物質層54の切断面にみられる略90°のいわゆる「角部」の角がとれて、内角が90°を超える傾斜面(好ましくは内角が100°を超える、より好ましくは120°を超える、更には150°を超える傾斜面)を構成する形態や、例えば図4に示すような丸みを帯びた曲面を形成する形態等を含むことができる。なお、周縁部は、このような傾斜面および曲面の両方を備えていてもよい。
以上のようなセパレータ70の損傷および破断を防止し得る負極活物質層54の周縁部のより好ましい形態は、例えば、該周縁部を横断面から見たときの形状を円弧であるとみなし、曲率半径Rを評価の基準として用いることで、より明確に規定することができる。すなわち、上記の周縁部の形態とは、曲率半径Rが0.13〜5.87の範囲となるように曲面化された状態とすることができる。
曲率半径Rが0.13よりも小さいときは、微視的にみて負極活物質層54の周縁部に角部がないと判断できるが、巨視的にみるとセパレータ70の損傷を確実に防止できる程度に十分に曲面化されているとはいえないために好ましくない。曲率半径Rが5.87よりも大きい場合は、セパレータ70の破断を確実に防止できるもののその曲率が緩やかすぎて負極活物質層54の体積が減少され、結果として対向する正極30に対応する負極50の容量を確保できなくなるために好ましくない。
なお、この周縁部の形態は、必ずしも一定の曲率で曲面化されている必要はない。すなわち、周縁部の断面形状は、厳密な意味での円弧状である必要はない。例えば、全体としての平均的な曲率半径Rが上記の範囲であればよい。
このような曲率半径Rの求め方としては、様々な手法を考慮することができる。例えば、次式で示す曲率半径Rは、この負極活物質層54の角部が存在しない周縁部の曲面化された状態を簡便に表すことができる。すなわち、例えば、図5に示したように、周縁部の横断面からみて、負極活物質層54の厚みが曲面化により減少し始める点(すなわち、周縁部の始まる(境界となる)点)をaとし、負極活物質層54の表面が負極集電体52に当接する点をbとし、点aと点bの中間点をcとし、直線abに垂直でかつ上記点cを通る線が負極活物質層54の表面と交わる点をdとしたとき、曲率半径Rは、次式で表されるものとすることができる。
Figure 0005765574
ただし、式中のLは上記点aおよび上記点bの間の距離を示し、Dは上記点cおよび上記点dの間の距離を示す。なお、これらの点a〜dの決定や、LおよびDの計測は、例えば、SEM等の電子顕微鏡を用いた負極活物質層の断面観察や、レーザ測定器を用いた計測等により、適宜に行うことができる。これにより、簡便に曲率半径Rを算出することができる。
また、ここに開示される非水電解質二次電池においては、セパレータ70の破断を防止し得る負極活物質層54の周縁部のより好ましい形態について、上記の曲率半径R以外にも、例えば、負極活物質層の厚みの減少具合によって、明確に規定することができる。すなわち、図5に示したように、周縁部の横断面からみて、負極活物質層54の厚みが減少し始める点(すなわち、周縁部の始まる(境界となる)点)をaとし、負極活物質層54の表面が負極集電体52に当接する点をbとし、点aと点bの中間点をcとしたとき、平面視で点aにおける負極活物質層54の厚さをt1、点cにおける負極活物質層54の厚さをt2としたとき、厚さt1に対する厚さt2の比t2/t1が0.33〜0.95の範囲である状態として規定することができる。
ここで、t2/t1が0.33よりも小さいと、負極活物質層54の厚みが減少し始める点aにおいて、90°よりも内角が大きくなる傾斜面ではあるがセパレータ70の破断を確実に防止できないおそれがある角部が形成され得るために好ましくない。t2/t1が0.95よりも大きいと、負極活物質層の厚みの減少割合が少なく、負極活物質層54の表面が負極集電体52に当接する点b近傍で上記のような90°以下の角部が形成されてセパレータ70の破断を確実に防止できないおそれがあるために好ましくない。あるいは、なだらかな傾斜が広範囲に広がり、結果として負極活物質の容量を削減してしまうことになるために好ましくない。かかる構成によると、周縁部の形態をより簡易な手法によって好適に規定することができる。例えば、厚さt1に対する厚さt2の比は、負極シート50の製造工程においてその場で簡便に求めることができる値であり、この値を適切に制御しながら負極シート50を製造することも可能とされる。
また、上記のとおり負極シート50は、負極集電体52の一方の端部には未塗工部53が設けられるが、他方の端部には実質的に未塗工部53は設けられない。また、未塗工部53が設けられていない側の負極集電体52の端部は表面に対して略垂直に切断され得る。したがって、例えば、負極集電体52が負極活物質層54よりも突出して段部や突出部を形成することがないため、負極集電体52によりセパレータ70を損傷させるおそれもない。
本実施形態では、図3に示すように、上記のとおり作製した正極シート30および負極シート50を2枚のセパレータ70とともに積み重ね合わせて捲回している。負極集電体52と正極集電体32とは、集電性を高める目的で、互いの未塗工部53、33が捲回電極体20の幅方向で反対側に突出するように、配置される。
負極活物質層54の幅は正極活物質層34の幅よりも広く、負極活物質層54が正極活物質層34を幅方向に覆う状態であることが好ましい。また、セパレータ70は、負極活物質層54を幅方向に覆うことで、正極シート30と負極シート50の絶縁を確保する。すなわち、これらの幅方向の寸法関係は、正極活物質層34の幅lよりも負極活物質層54の幅mが少し広く、さらに負極活物質層54の幅mよりもセパレータ70の幅nが少し広いものとなっている(n>m>l)。
かかる構成によると、負極活物質層54が正極活物質層34よりも幅広のため、正極から放出される電荷担体の負極での受け入れ性が高まり、負極の容量を確保することができる。そのため、例えば、負極でのリチウムの析出を抑制する効果を得ることができる。
また、負極集電体52として銅箔を用い、正極集電体32としてアルミニウム箔を用いることができる。これらの集電体材料は一般的に用いられているものではあるが、例えば、捲回電極体20を備える大型電池等に用いた場合には、正極集電体32の未塗工部33において熱が籠り易く、該大型電池の放熱性を更に低下させる原因ともなり得る。しかしながら、ここに開示される電池10においては、負極活物質層54の未塗工部53が形成された側の周縁部に角部は存在しない。そのため、たとえ過度な過充電により正極集電体32の未塗工部33において蓄熱し、セパレータ70が熱収縮したとしても、セパレータ70の収縮による圧縮応力は負極活物質層54の周縁部で十分に拡散されるため局所的に集中することはない。したがって、セパレータの損傷および破損、ひいてはこれに起因する正極シートと負極シートの短絡等の問題は解消される。
セパレータ70は、熱可塑性樹脂からなるシート状の微多孔質体であり得る。したがって、かかるポリオレフィンの軟化点もしくは融点以上の温度で収縮し得る。この実施形態において、セパレータ70は、典型的には、ポリオレフィン樹脂である。したがって、熱収縮により20%程度の収縮を生じる可能性もある。しかしながら、ここに開示される電池10においては、負極活物質層54の未塗工部53が形成された側の周縁部に角部は存在せず、セパレータ70の収縮による圧縮応力が負極活物質層54の周縁部で局所的に集中することはない。したがって、セパレータの損傷および破損が抑制される。
電池ケース80は、上記扁平な直方体形状における幅狭面の一つが開口部(図1および図2では角型形状の上面)となっている箱型のケース本体84と、その開口部に取り付けられて(例えば溶接されて)該開口部を塞ぐ蓋体82とを備えている。電池ケース80を構成する材質としては、一般的なリチウム二次電池で使用されるものと同様のものを適宜使用することができ、特に制限はない。例えば、金属(例えばアルミニウム、スチール等)製の容器、合成樹脂(例えばポリオレフィン系樹脂等、ポリアミド系樹脂等の高融点樹脂等)製の容器等を好ましく用いることができる。本実施形態に掛かる電池ケース80は例えばアルミニウム製である。蓋体82は、ケース本体84の開口部の形状に適合する長方形状に形成されている。さらに、蓋体82には、外部接続用の正極端子40と負極端子60とがそれぞれ設けられており、これらの端子40、60の一部は蓋体82から電池ケース80の外方に向けて突出するように形成されている。
捲回電極体20は、通常、所定の電池ケース80の形状に合わせて成形され得る。例えば、円筒形の電池ケース80捲回断面形状が円形の捲回電極体が用意され、角形径の電池ケース80には捲回断面形状が小判型の捲回電極体が用意される。そこで、ここに開示される捲回電極体20は、捲回断面形状が円形を側面方向から押しつぶして扁平に拉げさせることによって捲回断面形状が小判型に形成したものであり得る。
捲回電極体20においては、捲回外周側よりも、内周側の方が捲回曲率が大きくなる。また、断面形状が円形のものよりも、長手方向が生じる小判型(すなわち、アスペクト比の高い捲回断面形状を有する。)のものの方が、セパレータの熱収縮する向きが一方向(すなわち、長手方向)に揃う。これらのことから、断面形状が円形のものよりも、長手方向が発生している小判型のものの方が、熱収縮による応力が特定の部位または方向に集中しやすくなる。しかしながら、かかる捲回電極体20において、未塗工部が形成されていない側の端部の負極活物質層54の周縁部に角部が存在しておらず、応力は拡散される。したがって、捲回断面形状が小判型の捲回電極体20を備える場合であっても、セパレータ70の損傷および破損は十分に抑制される。
以上のようにして得られた捲回電極体20は、正極集電体32の未塗工部33に正極端子40が接合され、捲回電極体20の正極シート30と電池ケース80の蓋体82とが電気的に接続される。同様に、負極集電体52の未塗工部53に負極端子60が接合され、負極シート50と電池ケース80の蓋体82とが電気的に接続されている。なお、正・負極端子40、60と正・負極集電体32、52とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合され得る。
そして捲回電極体20は、その捲回軸(WL)が横倒しとなるようにして、ケース本体84内に収容される。そして、適切な支持塩(例えばLiPF等のリチウム塩)を所定量(例えば濃度1M)含むECとDMCとの混合溶媒(例えば質量比1:1)のような非水電解液を注入する。その後、ケース本体84の開口部に蓋体82を装着し封止することによって、本実施形態のリチウムイオン電池10を構築することができる。ケース本体84の開口部の封止は、例えば、ケース本体84に蓋体82を溶接するとよい。この場合、溶接は、例えばレーザ溶接で行なうとよい。また、従来のリチウム二次電池のケースと同様に、蓋体82には、電池異常の際に電池ケース80内部で発生したガスを電池ケース80の外部に排出するための安全弁88が設けられている。安全弁88は、電池ケース80内部の圧力が所定レベルを超えて上昇したときに、開弁して電池ケース80の外部にガスを排出する機構を備えていれば特に制限無く使用することができる。
以上の二次電池は、セパレータ70の熱収縮による引張り応力が負極活物質層54の周縁部において局所的に集中し、セパレータ70を破断するのを防ぐことができる。これにより、例えば、過度な過充電等で電池の温度が上昇した際の安全性がより高められている。したがって、かかる構成は、例えば、高エネルギー密度特性を備える大型電池や、組電池等の形態の二次電池に対して好適に適用し得る。また、ハイレートでの入出力特性が求められる動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)としても好適に適用でき、本発明は、ここで開示される二次電池を備える車両(例えば自動車)をも提供し得る。
以上のような特徴的な形態を有する負極シート50は、例えば、本発明が提供する以下の製造方法により製造することができる。かかる製造方法は、長尺の負極集電体上に負極活物質層が備えられた二次電池用の負極シートを製造する方法であって、本質的に、以下の工程を含む。
(A1)負極活物質とバインダとを含む負極活物質層形成用組成物を用意する工程。
(A2)負極集電体を用意し、該負極集電体の長尺方向に直交する幅方向の両端に未塗工部が設けられるように、上記負極集電体の中央側に上記負極活物質層形成用組成物を長手方向に塗布する塗布工程。
(A3)負極活物質層形成用組成物が塗布された負極集電体を幅方向の略中心で長手方向に切断する工程。
A1.負極活物質層形成用組成物を用意する工程
負極活物質層形成用組成物は、典型的には、負極活物質、バインダおよび必要に応じて添加される導電材、各種の助剤等を溶媒に分散または溶解させてスラリー状またはペースト状に調製することができる。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質は、例えば、天然黒鉛、非晶質の炭素材料で表面の少なくとも一部をコートした天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、または、これらを組み合わせた炭素材料でもよい。また、例えば、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、In、As、Sb、Bi等を構成金属元素とする金属化合物(好ましくは金属酸化物)などとしても良い。また、負極活物質粒子として、LTO(チタン酸リチウム)を用いることも可能である。導電性に乏しい負極活物質については、例えば、炭素被膜を設けて金属化合物の表面の少なくとも一部を被覆したり、負極活物質層に導電材料を含ませるなどして、導電性を備えるようにしてもよい。この場合、負極活物質層に導電材を含有させなくてもよいし、従来よりも導電材の含有率を低減させてもよい。このような負極活物質の付加的な態様や、粒径等の形態は、所望の特性に応じて適宜に選択することができる。
上記導電材としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる導電材の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、具体的には、カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料、ニッケル粉末等の導電性金属粉末が例示される。カーボン粉末としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックを好ましく採用することができる。このような導電材は、一種を単独で、または二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記バインダについても、従来からリチウムイオン電池に用いられるバインダの一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、具体的には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。このようなバインダは、一種を単独で、または二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
また、特に限定するものではないが、負極活物質100質量部に対する導電材の使用量は、例えば、およそ1〜30質量部(好ましくは、およそ2〜20質量部、例えば5〜10質量部程度)とすることができる。また、負極活物質100質量部に対するバインダの使用量は、例えば0.5〜10質量部とすることができる。
負極活物質層形成用組成物の調製は、例えば、上記の負極活物質、導電材、バインダ等の固形分材料と、必要に応じて分散剤、増粘剤等の各種の添加剤と、溶媒とをミキサーに投入し、混練する。混練のためのミキサーとしては、活物質層形成用組成物の調製に用いられる一般的な混練機を用いることができる。例えば、ニーダー、撹拌機、分散機、乳化機、混合機などと呼ばれる該組成物の調製が可能な装置等を使用できる。
A2.塗布工程
かかる製造方法においては、生産性を高める目的で、負極シート50は一旦倍幅で製造した後に、半分にスリットする手法を採用している。すなわち、上記のとおり用意した負極活物質層形成用組成物を、負極集電体52上に塗布する等して供給する。負極集電体52としては、例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。
負極活物質層形成用組成物は、用意した長尺の負極集電体52の長尺方向に直交する幅方向の両端に未塗工部53が設けられるように、中央寄りで長手方向に供給される。また、この供給は、負極集電体52の幅方向の略中心の表面部に凹部が設けられるように、負極活物質層形成用組成物を二峰性に塗工する。例えば、具体的には、負極活物質層形成用組成物を二条で(あるいは二筋)供給し、この二条の塗布物が自身の流動性により負極集電体52の幅方向に流動し、負極集電体52の略中心で接合して二峰性の塗布物となるようにしてもよい。また、最初から、組成物を二峰性に供給するようにしてもよい。
組成物の二筋での供給は、例えば、二口のスラリー吐出口から組成物を供給することで実現できる。具体的には、例えば、塗工機に板状のシムを組み込んで吐出口を二口に分けたり、2台の塗工機を用いてスラリー吐出口を二口とすることができる。いずれの場合も、組成物の粘度等の物性に応じて、吐出量や吐出方向を調整することで、凹部の形態を制御することができる。このような塗工には、公知の各種の塗工装置を用いることができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター等の適切な塗布装置を使用することで好適に行うことができる。
負極活物質層形成用組成物の塗布については、負極活物質層形成用組成物の塗布量は特に限定されず、例えば、目的の特性を達成し得るように任意に設定することができる。例えば、具体的には、3〜50mg/cm程度の範囲内で適宜に設定することができる。
ここに開示される負極シートの製造方法では、上記塗布工程は、横断面からみて、上記周縁部の曲率半径Rが0.13〜5.87の範囲となり得るように行うのが好ましい態様として示される。この曲率半径Rについては、既に述べたように、周縁部の横断面からみて、上記負極活物質層の厚みが上記曲面化により減少し始める点(すなわち周縁部の始まる点)をaとし、上記負極活物質層の表面が上記負極集電体に当接する点をbとし、上記点aと上記点bの中間点をcとし、直線abに垂直でかつ上記点cを通る線が上記負極活物質層の表面と交わる点をdとしたとき、上記の式(1)で表される値を採用し得る。
また、ここに開示される負極シートの製造方法では、上記の周縁部は、横断面からみて、上記負極活物質層の厚みが減少し始める点aにおける上記負極活物質層の厚さをt1とし、上記点aと上記周縁部(すなわち周縁部の始まる点)が上記負極集電体に当接する点bとの中間点cにおける上記負極活物質層の厚さをt2としたとき、上記厚さt1に対する上記厚さt2の比t2/t1が0.33〜0.95の範囲となるよう曲面化するのも、他の好ましい態様として示される。
上記のいずれの態様においても、負極集電体52上に供給する組成物の粘度等の物性に応じて、吐出量や吐出方向を調整することで、凹部の形態を好適に制御することができる。
かかる構成によると、負極活物質層54の周縁部の形態をより明確で、簡易な手法により規定し、管理しながら負極シートを製造することができる。また、この周縁部の形態の管理を、状況に応じて使い分けることも可能となる。
なお、凹部の断面形状については特に制限されない。典型的には、略V字状であるが、その幅および深さ等については、例えば、該端部断面が所望の曲率半径Rあるいはt2/t1値を達成するように適宜に設定ならびに調整することができる。すなわち、凹部の深さは、負極活物質層54の厚みと等しく凹部の最深部が負極集電体52に接していても良いし、負極活物質層54の厚みよりも浅く凹部の最深部が負極集電体52に接していなくても良い。しかしながら、この凹部は、塗布された負極活物質層形成用組成物を幅方向で分割するものであってはならない。すなわち、凹部は、負極集電体52に幅をもって接することはできない。負極活物質層形成用組成物を幅方向で分割すると、その部分は負極集電体52が幅を持って露出するいわゆる未塗工部53となり得る。このような未塗工部53が塗布物中に存在すると、例えば、実際的な製造ラインでの移動や、後工程として行い得る、乾燥、圧延の際に、負極集電体52にしわが発生するなどの弊害が生じる可能性があるからである。
乾燥については、余分な揮発成分(すなわち溶媒)を除去できる手法であれば特に限定されず、必要に応じて適切な手段を採用することができる。このとき、必要に応じて適当な乾燥促進手段(ヒータ、送風機等)を用いてもよい。圧延は、ロール圧延または負極活物質が目的とする厚みおよびサイズのものとなるように圧力を調整して行うことができる。圧延(プレス)方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。正極活物質層の厚さを調整するにあたり、膜厚測定器で厚みを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。
A3.切断する工程
上記のとおり、負極シート50は倍幅で製造しているため、塗布された組成物に対して適宜乾燥、圧延等の処理を施した後、所定の寸法となるように上記凹部の最深部で長手方向に切断(スリット)する。これにより、上記未塗工部53が形成されていない側の端部の長手方向に沿う周縁部に90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部が存在しないように負極活物質層54を形成すことができる。
なお、切断は、塗布工程において形成した凹部の最も凹んだ部位において、長手方向に沿って切断する。より望ましくは、切断面が集電体の表面に対して略垂直となるように切断する。これにより、負極シート50は、未塗工部53が形成されていない側の端部の長手方向に沿う周縁部に角部が存在しないように形成される。
また、このようにして製造される負極シート50は、負極集電体52の一方の端部には未塗工部53が形成されているが、他方の端部には実質的に未塗工部53は形成されない。この点において、実幅(すなわち、倍幅でない。)で製造される負極シート50とは、本質的に異なるものである。さらに、該他方の端部において負極集電体52の端部は表面に対して垂直に切断され得る。したがって、例えば、負極集電体52が負極活物質層54よりも突出して段部や突出部を形成することがなく、負極集電体52によりセパレータ70を損傷させるおそれもない。
さらに本発明が提供する非水電解質二次電池の製造方法は、長尺の正極シート30と、長尺の負極シート50とを、セパレータ70を介して重ね合わせて捲回してなる捲回電極体20を所定のケース内に収納してなる二次電池の製造方法である。かかる製造方法は、負極シート50として、上記で説明した負極シート50の製造方法により製造された負極シート50を使用することを特徴としている。
正極シート30は、所定の長尺の正極集電体32上に正極活物質を含む正極活物質層形成用組成物を供給することで、正極活物質層34が形成されたものを用いることができる。以下に、正極を構成する材料等について説明する。
正極集電体は、従来の非水電解液二次電池(典型的にはリチウム二次電池)の正極に用いられる集電体と同様、導電性の良好な金属からなる導電性部材を用いることができる。例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、鉄等を主成分とする金属またはその合金等を用いることができる。より好ましくは、アルミニウムまたはアルミニウム合金である。正極集電体の形状については特に制限はなく、所望の二次電池の形状等に応じて様々なものを考慮することができる。例えば、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態のものであり得る。典型的には、シート状のアルミニウム製の正極集電体が用いられる。なお、大型電池の正極集電体としてアルミニウム箔を用いると、電池構造およびアルミニウムともに放熱性に乏しいことから、捲回電極体20においてはこのアルミニウム箔の未塗工部33が渦巻き状に突出している部分において熱が籠り、温度が上昇する傾向にある。しかしながら、かかる製法によると、その影響を解消してリチウムイオン電池10を構築し得る。
正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な材料が用いられ、従来からリチウム二次電池に用いられている各種の物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。このような正極活物質としては、リチウム遷移金属酸化物(典型的には粒子状)が好適に用いられ、典型的には、層状構造の酸化物あるいはスピネル構造の酸化物を適宜選択して使用することができる。例えば、リチウムニッケル系酸化物(代表的には、LiNiO)、リチウムコバルト系酸化物(代表的には、LiCoO)およびリチウムマンガン系酸化物(代表的には、LiMn)から選択される一種または二種以上のリチウム遷移金属酸化物の使用が好ましい。
また、その他、一般式:
Li(LiMnCoNi)O
(前式中のa、x、y、zはa+x+y+z=1を満たす。)
で表わされるような、遷移金属元素を3種含むいわゆる三元系で、リチウムを過剰に含むリチウム過剰遷移金属酸化物や、一般式:
xLi[Li1/3Mn2/3]O・(1−x)LiMeO
(前式中、Meは1種または2種以上の遷移金属であり、xは0<x≦1を満たす。)
で表わされるような、いわゆる固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物等であってもよい。
さらに、上記正極活物質として一般式がLiMAO(ここでMは、Fe,Co,NiおよびMnから成る群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Aは、P,Si,SおよびVから成る群から選択される元素である。)で表記されるポリアニオン型化合物も挙げられる。
導電性材料、バインダおよび正極の製造に用いる溶媒としては、上記負極で使用し得るものを同様に用いることができる。また、正極の製造方法についても、従来と同様に行うことができる。すなわち、典型的には、上記の正極活物質、導電性材料、バインダおよび必要に応じて添加される助剤等を溶媒に分散または溶解させて正極活物質層形成用組成物を調整し、この正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に塗布、乾燥させることで作製することができる。なお、このような正極シート30の作製は、それ自体は何ら本発明を特徴づけるものではない。
B2.負極シートの用意
かかる製造方法において、上記負極シート50は、上記A1〜A3で説明した製造方法により、負極集電体52の長尺方向に直交する幅方向の一方の端部に未塗工部53を設け、他方の端部には実質的に未塗工部53が設けられないように、かつ、該他方の端部の長手方向に沿う周縁部に角部が存在しないように負極活物質層54を形成したものを用いるようにする。
かかる負極シート50を用意することで、セパレータが熱収縮した場合であっても、負極活物質層54の未塗工部53が設けられていない側の端部の周縁部はに角部が存在しないように形成されているため、該周縁部において引張り応力が集中することはなく、セパレータの破損が防止される。
セパレータは、正極と負極との接触を防止する機能を有する。このようなセパレータとしては、従来と同様のセパレータを使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。かかる多孔性シートの構成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。特に、PEシート、PPシート等の単層シート、PE層とPP層とが積層された二層構造シート、二層のPP層の間に一層のPE層が挟まれた形態の三層構造シート等、の多孔質ポリオレフィンシートを好適に使用し得る。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
上記のとおり用意した正極シート30および負極シート50を、図3に示すように、2枚のセパレータ(例えば多孔質ポリオレフィン樹脂)70を間に介するように積み重ね合わせて捲回する。このとき、正極活物質層34の幅lと、負極活物質層54の幅mと、セパレータ70の幅nとの間には、l<m<nの関係がある。したがって、負極活物質層54がセパレータ70を介して幅方向で正極活物質層34を覆うように配置する。また、セパレータ70が、負極活物質層54を幅方向で覆うように配置する。また、負極シート50は、負極活物質層54の未塗工部53が設けられていない側の周縁部が、捲回電極体20において外周側となるように配置する。例えば、図3の場合では、未塗工部53が設けられていない側の周縁部が裏面(パレータ70を介して正極シート30が載せられていない側)に位置するようにする。
捲回された捲回電極体20は、例えば必要に応じて、扁平に拉げさせることで捲回断面形状が小判型のものとすることができる。あるいは、最初から小判型に捲回する等してもよい。小判型とすることで、セパレータが熱収縮したときの収縮量が多くなるが、かかる負極シート50はその影響を受けることは特になく、セパレータの破損は十分に抑制され得る。
そして得られた捲回電極体20の捲回軸(WL)が横倒しとなるように、ケース本体84内に捲回電極体20を収容する。そして、適切な非水電解液を注入する。
非水電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒(非水溶媒)中に含んだものである。常温で液状の非水電解質(すなわち電解液)を好ましく使用し得る。
リチウム塩としては、例えば、従来からリチウム二次電池の非水電解質の支持塩として用いられている公知のリチウム塩を、適宜選択して使用することができる。例えば、かかるリチウム塩として、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。上記非水電解質は、例えば、上記支持塩の濃度が0.7〜1.6mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
また、上記非水溶媒として、一般的なリチウム二次電池に用いられる有機溶媒を適宜選択して使用することができる。特に好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。これら有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
その後、ケース本体84の開口部に蓋体82を装着し封止することによって本実施形態のリチウムイオン電池10を構築することができる。ケース本体84の開口部の封止は、例えば、ケース本体84に蓋体82を溶接するとよい。この場合、溶接は、例えばレーザ溶接で行なうとよい。
これにより、リチウムイオン電池10を製造することができる。このように製造されるリチウムイオン電池10は、相対的に限界電流密度が高く、各種ハイレート特性を要する用途向けの二次電池として好適に利用し得る。そのため、例えば、図6に示すように、自動車等の車両1に搭載される車両駆動用モータ(電動機)の電源としてのリチウムイオン電池10として好適に利用することができる。車両1の種類は特に限定されないが、典型的には、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車等であり得る。かかるリチウムイオン電池10は、単独で使用されてもよく、直列および/または並列に複数接続されてなる組電池100の形態で使用されてもよい。
以上、二次電池の一形態としてリチウムイオン電池を例にして説明を行ってきた、本発明がかかる実施形態に限定されることはない。即ち、負極シートとして、ここに開示される負極集電体52の未塗工部53が設けられていない側の負極活物質層54の周縁部に角部が存在しないものを用い、該端部を捲回外周側に配置される限りにおいて、その他に使用される構成材料および構成部材の組成や形態、構築される二次電池の形状(外形やサイズ)等には特に制限されない。例えば、二次電池としては、水系電解質を有する二次電池あるいは非水系電解質を備える二次電池のいずれであっても良い。また、例えば、電解質についても、有機溶媒、高分子固体電解質、溶融塩電解質あるいは無機固体電解質等のいずれのものであっても良い。電池外装ケースは角型形状、円筒形状等の形状でもよく、あるいは小型のボタン形状であってもよい。また、外装がラミネートフィルム等で構成される薄型シートタイプであってもよい。
以下に実施例を示し、本発明についてさらに説明する。ただし、本発明がこれらの例に限定されることがないことは言うまでもない。
以下の手順で、評価用セルとしての、捲回電極体を備える車載用のリチウムイオン電池を作製した。
[負極シートの作製]
<サンプル1〜20>
負極活物質として、非晶質炭素で被覆したグラファイト粉末を用い、これをバインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)との質量比が、負極活物質:バインダ:増粘剤として98:1:1となるように溶媒としての水と混合して、ペースト状の負極活物質層形成用組成物を調製した。
この負極活物質層形成用組成物を、負極集電体としての厚さ10μmの長尺状の銅箔の両面に塗布した。該組成物の塗布には、塗布口が2口となるようにシムプレートをかませたスロットダイコーターを用いた。また、連続的に移動する負極集電体の両端部に所定の幅の未塗工部を残して、中心寄りに該組成物を2条に安定して供給することで塗布した。2条に塗布された組成物は、幅方向に流動しながら負極集電体の幅方向中心で互いに接触して、その接触部に断面形状が幅広の略V字状の凹部を形成し、扁平な二峯性の外観を呈した。
この塗布物を乾燥させた後、ロールプレス機にて負極活物質層の密度が1.1g/ccとなるようにプレスすることによりシート状に成形した。その後、押出カッターにより凹部において長手方向にスリットし、長さ4700mmの二枚の負極シートを得た。なお、負極活物質層形成用組成物の塗布条件を様々に変化させて、負極活物質層の厚みが29μm〜58μmの所定の値で、未塗工部が設けられていない端部の断面形状がそれぞれ異なる20とおりの負極シートを用意した。
これらの負極シートは、いずれも未塗工部が形成されていない側の端部の厚みが減少されて曲面化され、周縁部に角部が存在しないことが確認された。そこで、この端部の形態について、断面SEM像を観察することで、負極活物質層の厚みが曲面化により減少し始める点をaとし、負極活物質層の表面が上記負極集電体に当接する点をbとした時のab間の長さを測定した。また、線分abの中点cを通る垂線と負極活物質層の表面とが交わる点をdとし、cd間の長さも測定した。さらに、点aと点cにおける負極活物質層の厚みも測定した。これらの結果は表1に示した。
<サンプル21〜24>
塗布口が1口のスロットダイコーターを用いて負極活物質層形成用組成物の塗布を行うこと以外は、サンプル1〜20と同様にして負極シートを作製した。すなわち、連続的に移動する負極集電体の両端部に所定の幅の未塗工部を残して、中心近くに負極活物質層形成用組成物を1条で安定して供給することで塗布した。この塗布物を乾燥させた後、ロールプレス機にて負極活物質層の密度が1.1g/ccとなるようにプレスすることによりシート状に成形した。その後、押出カッターにより、負極集電体の幅方向の中心において長手方向にスリットし、長さ4700mmの二枚の負極シートを得た。なお、負極活物質層形成用組成物は塗布条件を変化させて、負極活物質層の厚みが異なる4とおりの負極シートを用意した。
サンプル21〜24の負極シートは、いずれも未塗工部が形成されていない側の端部の周縁部は90°を超える部分を有する略直角で、角部が形成されていることが確認された。
[正極シートの作製]
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのPVdFとを用意し、これらの材料の質量比が正極活物質:導電材:バインダとして85:10:5となるように混合し、溶媒としてのN−メチルピロリドン(NMP)に分散させてスラリー状の正極活物質層用組成物を調製した。この正極活物質層用組成物を、正極集電体としての厚さ15μmの長尺シート状のアルミニウム箔の両面に、幅方向の両端に未塗工部を設けるよう中心寄りに、一条に塗布した。この塗布物が乾燥した後、ロールプレス機にて密度が2.1g/ccとなるようにプレスすることによりシート状に成形した。そして、集電体の幅方向中心において押出カッターにより長手方向にスリットし、長さ4500mmの二枚の正極シートを得た。
[セパレータ]
セパレータは、製造方法および構成の異なる2種類を用意した。すなわち、1つ目は、PP/PE/PPの三層構造を有する三層セパレータ(厚み:20μm、多孔度:47%)であって、乾式一軸延伸法により製造されたものである。2つ目は、PEからなる単層セパレータ(厚み:16μm、多孔度:65%)であって、湿式相分離法により製造されたものである。
また、これらのセパレータには、無機フィラーとしてアルミナを含む耐熱層を設け、セパレータの全体の厚みを24μmに調整した。耐熱層の形成は、無機フィラーとしてアルミナをバインダとしてのアクリル系樹脂、増粘剤としてのCMCとともに溶媒としてのN−メチルピロリドン(NMP)に分散させてスラリー状の耐熱層形成用の組成物を調製し、これをセパレータに塗布することで行った。
上記正極シートと上記負極シートとを未塗工部が互いに反対方向となるように積層し、2枚のセパレータが両シート間にそれぞれ介在するように挿入して捲回し、捲回電極体を作製した。この捲回電極体を非水電解質とともに角型の電池ケースに挿入して封口し、24とおりの評価試験用のリチウムイオン電池(サンプル1〜サンプル24)を構築した。なお、非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で含む混合溶媒に支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させたものを用いた。
[過充電時の耐性評価]
上記で作製した評価用のリチウムイオン電池(サンプル1〜24)に対し、過充電試験を行い、この過充電状態によってセパレータが損傷を受けるかどうかを確認した。
まず、作製した評価試験用セルのそれぞれに対して、所定のコンディショニング(0.1Cの充電レートで4.1Vまで定電流定電圧で充電する操作と、0.1Cの放電レートで3.0Vまで定電流定電圧放電させる操作を、3回繰り返す初期充放電処理)を行った。
次いで、過充電試験を施した。試験の内容は、SOC50%に調整された各電池に対し、低温(0℃)にて、48A(2C相当)のレートで充電上限電圧20Vまで充電し、次いで20VでSOC200%となるまで充電するものである。また、評価用のリチウムイオン電池がシャットダウンし通電不可となった場合は、その後も少なくとも5分間は電池の挙動を観察した。
試験後に電池を分解し、捲回電極体におけるセパレータの状態を観察した。その結果を表1のセパレータの状態の欄に示した。評価は、目視観察の結果、負極の外周側に位置するセパレータの捲回曲部に損傷または破断等が確認された場合に×を、特にセパレータに損傷が見られなかった場合を○とした。
Figure 0005765574
[評価]
過充電試験により、評価用セルを過充電の状態にしたところ、全てのサンプルに温度上昇が確認された。冷却後の各評価用セルを分解して捲回電極体の状態を確認したところ、ここに開示された特徴を備えるサンプル1〜20の電池については、セパレータに熱収縮が見られたものの、いずれのセパレータにも破断等の損傷は見られなかった。一方の、従来のサンプル21〜24については、捲回電極体の捲回曲部においてセパレータが破断して、短絡が生じていた。破断は、いずれも負極シートの外周側に位置するセパレータに見られ、セパレータの収縮時に負極活物質層の端部の角部に接触することで破れたものと考えられた。なお、過充電時のセパレータの収縮に関して、セパレータの製造方法および構造の違いによる差は見られなかった。
これらのことから、負極集電体の外周側に位置する負極活物質層の、未塗工部が形成されていない側の端部の周縁部に角部が存在しないようにすることで、過充電時における電池の安全性および耐性が高められることが確認された。
また、未塗工部が形成されていない端部の周縁の形態については、曲率半径Rを0.13m〜5.87mとすることや、あるいは、端部における厚みの減少具合t2/t1を0.33〜0.95とすることなどで、セパレータの損傷を確実に防止できることが確認された。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
本発明の構成によれば、過充電等による発熱に対する耐久性が高められた非水電解質二次電池を提供することができる。特に、捲回電極体を有する電池において過度な過充電等による発熱が生じた場合に、セパレータに対する影響を未然に防ぐべく予め対処が施された二次電池が提供される。また、そのような二次電池に用いられる負極シートの製造方法および該二次電池の製造方法も提供される。
1 車両
10 リチウムイオン電池
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
32 正極集電体
33 未塗工部
34 正極活物質層
40 正極端子
50 負極シート(負極)
52 負極集電体
53 未塗工部
54 負極活物質層
60 負極端子
70 セパレータ
72 露出部
80 電池ケース
82 蓋体
84 容器本体
88 安全弁
100 組電池
WL 捲回軸

Claims (5)

  1. 長尺の負極集電体上に負極活物質層が備えられた二次電池用の負極シートを製造する方法であって、
    負極活物質とバインダとを含む負極活物質層形成用組成物を用意する工程と、
    前記負極集電体を用意し、該負極集電体の長尺方向に直交する幅方向の両端に未塗工部が設けられるように、前記負極集電体の中央側に前記負極活物質層形成用組成物を長手方向に塗布する塗布工程と、
    前記負極活物質層形成用組成物が塗布された負極集電体を幅方向の略中心で長手方向に切断する工程とを包含し、
    前記塗布工程において、前記負極集電体の前記幅方向の略中心の表面部に凹部が設けられるように、前記負極活物質層形成用組成物を二峰性に塗工し、
    前記切断工程において、前記凹部の最深部で長手方向に切断することで、
    前記未塗工部が形成されていない側の端部の長手方向に沿う周縁部に90°もしくは90°以下の鋭角を為す角部が存在しないように負極活物質層を形成する、負極シートの製造方法。
  2. 前記塗布工程と前記切断工程は、
    横断面からみて、前記周縁部の曲率半径Rが0.13〜5.87の範囲となるように行う、請求項に記載の負極シートの製造方法。
  3. 前記曲率半径Rは、前記周縁部の横断面からみて、
    前記負極活物質層の厚みが前記曲面化により減少し始める点をaとし、
    前記負極活物質層の表面が前記負極集電体に当接する点をbとし、
    前記点aと前記点bの中間点をcとし、
    直線abに垂直でかつ前記点cを通る線が前記負極活物質層の表面と交わる点をdとしたとき、次式
    Figure 0005765574
    (ただし、式中のLは前記点aおよび前記点bの間の距離を示し、Dは前記点cおよび前記点dの間の距離を示す。)
    で表される値を採用する、請求項に記載の負極シートの製造方法。
  4. 前記塗布工程と前記切断工程は、
    横断面からみて、
    前記負極活物質層の厚みが減少し始める点aにおける前記負極活物質層の厚さをt1とし、
    前記点aと前記周縁部が前記負極集電体に当接する点bとの中間点cにおける前記負極活物質層の厚さをt2としたとき、
    前記周縁部の前記厚さt1に対する前記厚さt2の比t2/t1が0.33〜0.95の範囲となるように行う、請求項に記載の負極シートの製造方法。
  5. 長尺の正極シートと、長尺の負極シートとを、セパレータを介して重ね合わせて捲回してなる捲回電極体を所定のケース内に収納してなる二次電池の製造方法であって、
    前記負極シートとして、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により製造された負極シートを使用する、二次電池の製造方法。
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