JP5764916B2 - 染料分散液、カラーフィルター用樹脂組成物、カラーフィルター及び有機発光表示装置 - Google Patents
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Description
これらの液晶表示装置や有機発光表示装置には、カラーフィルターが用いられる。例えば液晶表示装置のカラー画像の形成は、カラーフィルターを通過した光がそのままカラーフィルターを構成する各画素の色に着色されて、それらの色の光が合成されてカラー画像を形成する。また、有機発光表示装置では、白色発光の有機発光素子にカラーフィルターを用いた場合は液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
着色層の着色剤として、トリアリールメタン系染料を用いる場合、熱や光への耐久性を向上させるためにカチオン(陽イオン)性染料であるトリアリールメタン染料の対アニオンとして芳香族スルホン酸を用いた例が知られている(例えば、特許文献1、2)。
しかし、芳香族スルホン酸を対アニオンに持つトリアリールメタン染料は溶媒に溶解して用いられるが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのエステル系溶媒やアクリル酸樹脂および架橋性モノマーへの溶解性に乏しいため、均一なインキ組成物を与えず、たとえ溶液にできても塗膜中で染料が析出するため、染料の特徴である高い透過性を損なってしまうなどの課題があり、カラーフィルター用着色剤としての仕様を十分に満たしていないために未だ実用に至っていなかった。
また、特許文献2には、トリアリールメタン系染料の熱への耐久性を向上させるためにトリアリールメタン染料の対アニオンに塩化物イオン又はアリール硫酸イオンを用いた例が知られている。しかし、特許文献2に開示されているトリアリールメタン染料を含む組成物は耐熱性が十分ではなかった。
更に、トリアリールメタン系染料を敢えて溶解させず、微粒子として分散させて用いることにより、染料の均一性が得られ、かつ、耐熱性の高い染料分散液が得られるとの知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
また、本発明は、上記カラーフィルターと、対向基板と、前記カラーフィルターと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
更に、本発明は、上記カラーフィルターと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
本発明に係る染料分散剤は、染料と、分散剤と、溶媒とを含有する分散液であって、前記染料が下記一般式(I)で表わされるトリアリールメタン系染料を含み、前記溶媒が前記トリアリールメタン系染料を実質的に溶解しない溶媒であることを特徴とする。
本発明において用いられるトリアリールメタン系染料は、アニオン部が400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物にスルホナト基が2つ以上結合し当該スルホナト基の全てがトリアリールメタンカチオンとイオン結合している構造を有するため、トリアリールメタンが本来有する色を保ち、透過率が高く、結晶状態が保持されることにより、耐熱性に優れている。
トリアリールメタン系染料は、後述する実質的に溶解しない溶媒に分散させて用いることができる。この場合、その結晶状態を保持したまま溶媒中に分散されるため、溶媒に溶解させて用いた場合に比べ、染料のイオン対の解離や分解が生じにくく、耐熱性が高くなる。また、本発明に係るトリアリールメタン系染料は正塩であるため、酸性塩を用いた場合のように、分散が好適に進行しない場合や、分散液が保存時にゲル化するといった問題が生じず、分散性及び分散安定性が高い。
以下、このような本発明の染料分散液の各成分について順に詳細に説明する。
本発明において用いられる染料は、下記一般式(I)で表わされるトリアリールメタン系染料を含有するものである。トリアリールメタン系染料は下記一般式(I)から選択される1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
アニオン部が400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物であることから、アニオン部は可視光をほとんど吸収せず、トリアリールメタンの本来の色が保持され、かつ、トリアリールメタンが有する高い透過率が保持される。更にトリアリールメタンカチオンを1分子中に2つ以上有するので、トリアリールメタンカチオンが1つの染料と比較して単位重量当たりの着色力が高い。また更に、芳香族化合物Arのアニオン部にトリアリールメタンカチオンを2つ以上有するため耐熱性が高い。これは、一分子あたりの分子量が増大することの効果に加え、固体状態での凝集力がより高まることにより、結晶状態を保持し、イオン対の解離や分解を抑制できるためと推測される。
芳香族化合物におけるスルホナト基の置換位置は特に限定されないが、カチオン部がイオン結合しやすい点から、スルホナト基が置換された炭素原子同士が隣接していないことが好ましい。
R1〜R6におけるアリール基とは、特に限定されないが、例えばフェニル基、ナフチル基、フェニルメチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
本発明に用いられる染料の平均分散粒径としては、カラーフィルターの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、コントラストを向上させる点から、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、10〜80nmの範囲内であることがより好ましい。染料の平均分散粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルター用樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置、有機発光表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
染料分散液中の染料の平均分散粒径は、少なくとも溶媒を含有する分散媒体中に分散している染料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、染料分散液に用いられている溶媒で、染料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製なのトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
本発明に係る染料分散液において、前記トリアリールメタン系染料は溶媒中に分散させて用いられる。本発明においては染料を良好に分散させるために、分散剤が用いられる。分散剤としては、従来顔料分散剤として用いられているものの中から適宜選択して用いることができる。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
主鎖又は側鎖に窒素原子を含む高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリエチレンイミン誘導体;ポリアリルアミン誘導体等が挙げられる。
ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類としては、例えば(Disperbyk2000、2001(以下全てビックケミー社製)等を用いることができる。
ポリウレタン類としては、例えば(Disperbyk161)等を用いることができる。
不飽和ポリアミド類としては、例えば(Disperbyk101、130)等を用いることができる。
ポリアリルアミン誘導体の市販品としては、例えば、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)等を用いることができる。
ポリエチレンイミン誘導体の市販品としては、例えば、Solsperse33500(日本ルーブリゾール社製)等を用いることができる。
その他市販されている分散剤としては、Dysperbyk116、同140、同160、同162、同163、同164、同166、同167、同168、同170、同171、同174、同182、同2050(以上ビックケミー社製)、;EFKA4046、同4047、(以上EFKA CHEMICALS社製);Solsperse12000、同13250、同13940、同17000、同20000、同24000GR、同24000SC、同27000、同28000、同32000、同33500、同35200、同37500(以上、日本ルーブリゾール社製);アジスパーPB711、同822、823、824、880(以上、味の素ファインテクノ製)等を挙げることができる。
本発明に用いられる溶媒は、前記トリアリールメタン系染料を実質的に溶解しない溶媒である。このような溶媒を用いることにより、本発明に係る染料分散液は前記トリアリールメタン系染料を溶媒中で微細な粒子として分散させて用いることができる。本発明に用いられるトリアリールメタン系染料は、その結晶状態を保持したまま溶媒中に分散させて用いることにより、耐熱性が向上する。
20mLサンプル管瓶に評価する溶媒を10g投入し、更に前記トリアリールメタン系染料0.1gを投入し、ふたをして20秒間よく振った後、10分間静置する。この上澄み液5gをろ過し不要物を除く。得られたろ液の吸光スペクトルを紫外可視分光硬度計(例えば、島津製作所社製 UV−2500PC)で1cmセルを用いて測定し、波長595nmにおける吸光度(595nm)を求める。このとき、595nmにおける吸光度が2未満であれば当該溶媒は、トリアリールメタン系染料を実質的に溶解しない溶媒であると評価できる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等が挙げられる。
本発明の染料分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む染料分散液の全量に対して、通常は60〜85重量%の割合で用いて調製する。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、分散性が低下しやすい。また、溶媒が多すぎると、染料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
本発明の染料分散液には、更に必要に応じて、顔料や分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
顔料は、色調の制御を目的として必要に応じて配合される。顔料は従来公知のものを目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。顔料の配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されず、後述するカラーフィルター用樹脂組成物で用いる場合と同様とすることができる。
分散補助樹脂としては、例えば後述するカラーフィルター用樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって染料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の染料分散液は、前記分散剤を溶媒に混合、撹拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、染料と必要に応じてその他の化合物を混合し、分散機を用いて分散させることによって染料分散液を調製することができる。また、本発明の染料分散液は、染料と分散剤を溶媒に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって染料分散液を調製してもよい。
このようにして、染料粒子の分散性に優れた染料分散液が得られる。該染料分散液は、染料分散性に優れたカラーフィルタ用樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いられる。
本発明に係るカラーフィルター用樹脂組成物は、前記染料分散液とバインダー成分と溶媒とを含むことを特徴とする。
また、本発明に係るカラーフィルター用樹脂組成物を後述する感光性樹脂組成物とした場合には現像性が良好である。通常、トリアリールメタン染料のようなカチオン染料は後述するアルカリ可溶性樹脂中のアクリル酸基と染料のもつカチオンとの静電相互作用によって現像時のアルカリ水溶液への溶解性が低下してしまう。特に樹脂組成物中に均一に溶解している場合にはその影響は大きいため、現像溶解性が乏しい。一方、本発明に係るカラーフィルター用樹脂組成物においては、トリアリールメタン系染料は分散剤によって分散されるため、染料微粒子の周りを分散剤が覆い、その立体障害によって上記のアルカリ可溶性のアクリル酸基との静電相互作用がなくなるため、十分な現像溶解性を有すると推測される。
以下、本発明のカラーフィルター用樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
なお、上記本発明に係る染料分散液に含まれ得る成分については、上記染料分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明に係るカラーフィルター用樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与し、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルターの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダー成分と、インクジェット方式に用いるのに適した熱硬化性バインダー成分について具体的に説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂及び感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物を含んだ系が挙げられ、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリイミド前駆体等が挙げられる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環はカラーフィルター用樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルター用樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
本発明のカラーフィルター用樹脂組成物において用いられる多官能性モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
本発明のカラーフィルター用樹脂組成物において用いられる上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常5〜500重量部程度、好ましくは20〜300重量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
本発明のカラーフィルター用樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
通常硬化性バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
式(2)において、R13として好ましいのは水素またはメチル基である。式(2)で表される構成単位を誘導するモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
本発明に用いられる熱硬化性バインダーには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
本発明の熱硬化性バインダーには、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。 熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
本発明のカラーフィルター用樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ顔料や各種添加剤を含むものであってもよい。
顔料は、色調の制御を目的として必要に応じて配合される。顔料は従来公知のものを目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。
添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
染料及び必要に応じて配合される顔料の合計の含有量は、カラーフィルター用樹脂組成物の固形分全量に対して、5〜65重量%、より好ましくは8〜55重量%の割合で配合することが好ましい。染料等が少なすぎると、カラーフィルター用樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また染料等が多すぎると、カラーフィルター用樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またそのカラーフィルター用樹脂組成物中の染料分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、分散剤の含有量としては、染料及び必要に応じて配合される顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、染料及び顔料100重量部に対して10〜150重量部用いることができる。更に、染料及び顔料100重量部に対して15〜45重量部の割合で配合するのが好ましく、特に15〜40重量部の割合で配合するのが好ましい。分散剤の合計の含有量は、カラーフィルター用樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜60重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜50重量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、カラーフィルター用樹脂組成物の固形分全量に対して、1重量%未満の場合には、染料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、60重量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
バインダー成分は、これらの合計量が、カラーフィルター用樹脂組成物の固形分全量に対して24〜94重量%、好ましくは40〜90重量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む上記カラーフィルター用樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88重量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用樹脂組成物の製造方法としては、例えば(1)溶媒中に、上記本発明に係る染料分散液と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法、及び(2)溶媒中に、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに上記本発明に係る染料分散液を加えて混合する方法などを挙げることができる。
[カラーフィルター]
本発明のカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該着色層の少なくとも1つが前記本発明のカラーフィルター用樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層であることを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルターについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルターの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルター10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
本発明のカラーフィルターに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルター用樹脂組成物を用いて硬化させて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルター用樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
まず、前述した本発明のカラーフィルター用樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルター用樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルター用樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルター用樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
まず、前記本発明のカラーフィルター用樹脂組成物を含み、青(B)用、緑(G)用及び赤(R)用の染料及び/又は顔料がそれぞれ配合されたカラーフィルター用樹脂組成物を用意する。そして、透明基板1の表面に、遮光部2のパターンにより画成された各色(R、G、B)の着色層形成領域に、対応する色のカラーフィルター用樹脂組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、カラーフィルター用樹脂組成物は、インクジェットヘッドの先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続ける必要がある。各色のカラーフィルター用樹脂組成物を、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、各色のインク層を乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜加熱乃至露光することにより硬化させる。インク層を適宜加熱乃至露光すると、カラーフィルター用樹脂組成物中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化して着色層3R,3G,3Bが形成される。
本発明のカラーフィルターにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルターに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用カラーフィルター用樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルターにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルターに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルターの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルターは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルターと、対向基板と、前記カラーフィルターと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルター10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルター10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルターが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルター及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルターの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルターを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルター及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
[有機発光表示装置]
本発明の有機発光表示装置は、前述した本発明のカラーフィルターと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルター10と、有機発光体80とを有している。
カラーフィルター10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルターが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
東京化成工業(株)製 Disodium Naphthalene−2,6−sulfonate1.62g(50.2mmol)をメタノール50mL、水50mLの混合液に50−55℃で加熱溶解させ、東京化成工業(株)製 Basic Blue 7(CI−42595)5g(97.3mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。エバポレータで溶液中のメタノールを濃縮し、水を100mL加え沈殿物を濾取し、水で洗浄した。該ケーキを減圧乾燥して下記化学式(A)で表される合成例1のトリアリールメタン系染料(A)5.2g(収率86%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):478(+)、143(2−)(2価)
・元素分析値:CHN実測値 (73.12%、6.77%、6.86%);理論値(73.40%、6.97%、6.76%)
東京化成工業(株)製 Trisodium Naphthalene−1,3,6−sulfonate3.0g(6.9mmol)をメタノール100mL、水100mLの混合液に50−55℃で加熱溶解させ、東京化成工業(株)製 Basic Blue 7(CI−42595)10.7g(20.7mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。エバポレータで溶液中のメタノールを濃縮し、水を30mL加え沈殿物を濾取し、水で洗浄した。該ケーキを減圧乾燥して下記化学式(B)で表される合成例2のトリアリールメタン系染料(B)11.2g(収率90%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):478(+)、122(3−)(3価)
・元素分析値:CHN実測値 (72.88%、6.78%、6.85%);理論値(72.67%、6.99%、7.00%)
合成例1の合成において、Disodium Naphthalene−2,6−sulfonateの代わりに、東京化成(株)製2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムを2倍モル用いた以外は、合成例1と同様にして下記化学式(C)で表わされる比較合成例1のトリアリールメタン系染料(C)を収率90%で得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI)(m/z):478(+)、207(−)
・元素分析値:CHN実測値(76.07%、6.67%、6.35%);理論値(75.29%、6.91%、6.13%)
合成例1の合成において、Disodium Naphthalene−2,6−sulfonateの代わりに、和光純薬工業(株)製p−トルエンスルホン酸を2倍モル用いた以外は、合成例1と同様にして下記化学式(D)で表わされる比較合成例2のトリアリールメタン系染料(D)を収率92%で得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI)(m/z):478(+)、171(−)
・元素分析値:CHN実測値(73.71%、7.45%、6.23%);理論値(73.93%、7.29%、6.47%)
合成例1で得られたトリアリールメタン系染料(A)(試験例1)、合成例2で得られたトリアリールメタン系染料(B)(試験例2)及び下記化学式で表わされる化合物(E)(参考例1)、化合物(F)(比較試験例1)並びに化合物(G)(参考例2)のメタノール溶液をそれぞれ作製し、透過率のピークの値が90%前後になるように濃度を適宜調整した。化合物(E)及び(G)は、東京化成(株)製のものを用いた。また、化合物(F)は、特許文献5に記載の手法に従って、化合物(E)と(G)から合成したものを用いた。透過率は、紫外可視分光光度計(島津製作所社製 UV−2500PC)で1cmセルを用いて測定した。
試験例1〜2、参考例1〜2及び比較試験例1の分光スペクトルを図4および図5に示す。図4の結果から、参考例1の示す分光スペクトルがトリアリールメタン系染料単体の透過光を示すが、比較試験例1は参考例1のカチオン部と参考例2のアニオン部の2:1の塩であるため、その分光スペクトルは参考例1から参考例2の領域にシフトし、トリアリールメタン系染料単体のスペクトルとは異なっている。
トリアリールメタン系染料(参考例1)の純粋な色を得ようとする場合、比較試験例1のように可視光を吸収するアニオンを用いることは適さないといえる。
図5の結果から、試験例1及び2は、トリアリールメタンカチオンが無色透明なアニオンと塩形成しているため、参考例1とほぼ同じ分光スペクトルを得ることができるため、参考例1からの色変化が小さい。よって本発明に用いられる染料は、トリアリールメタン系染料が本来有する色を保つことができる。
また、試験例1及び2の透過幅は可視光を吸収するアニオンを有する比較試験例1の透過幅と比較して狭い。よって、試験例1及び2の透過幅を比較試験例1の透過幅とそろえた場合、試験例1及び2の透過率のピークの値は、比較試験例1よりも高くなる。したがって、本発明によれば透過率の高いトリアリールメタン系染料を得ることができる。
20mLサンプル管瓶にトリアリールメタン系染料(A)〜(D)それぞれ0.1gずつをPGMEA10gに投入し、ふたをして20秒間よく振った後、10分間静置した。この上澄み液をさらにろ過し不溶物を除いた。得られた液体の吸光スペクトルを測定し、波長595nmにおける吸光度(595nm)を求めた。
使用装置:紫外可視分光光度計UV−2500PC(島津製作所社製)
セル長:1cm。
本発明においては、上記条件で測定した吸光度(595nm)が2以下であれば、実質的に溶解しないといえる。
○:吸光度(595nm)<2
×:吸光度(595nm)≧2
また、比較例3及び4のように、溶媒にPGMEを用いた場合にはトリアリールメタン系染料(A)及び(B)は溶解した。
以上より、PGMEAはトリアリールメタン系染料(A)及び(B)に対しては、実質的に溶解しない溶媒であるということがいえる。
30mlマヨネーズ瓶に合成例1のトリアリールメタン系染料(A)1.0重量部、アジズパーPB821(味の素ファインテクノ製)0.6重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEA、ダイセル化学製)8.4重量部、径2mmのジルコニアビーズ2.0重量部を入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼製)にて1時間予備解砕した後、溶液を別の30mlマヨネーズ瓶に移し変え、径0.1mmのジルコニアビーズ2.0重量部を加えてペイントシェーカーにて20時間振とうし、参考例3の染料分散液(A)を得た。得られた染料分散液(A)0.1重量部をPGMEA9.9重量部で希釈し、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用いて、粒度分布を測定した。評価は50%平均粒子径で行い、体積換算(MV)で80nmであった。
参考例3において、トリアリールメタン系染料(A)の代りにトリアリールメタン系染料(B)を用いた以外は、参考例3と同様にして、実施例2の染料分散液(B)を得た。得られた染料分散液(B)0.1重量部をPGMEA9.9重量部で希釈し、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用いて、粒度分布を測定した。評価は50%平均粒子径で行い、体積換算(MV)で80nmであった。
参考例3において、トリアリールメタン系染料(A)の代りにトリアリールメタン系染料(C)及び(D)それぞれ用いた以外は、参考例3と同様にして分散処理を行ったところ、径2mmのジルコニアビーズ2.0重量部を入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼製)にて1時間予備解砕した段階で激しく粘度が高くなりゲル化したため、所望の分散液を調製することができなかった。
参考例3において、トリアリールメタン系染料(A)を0.1重量部とし、PGMEAの代りにプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を用いた以外は、参考例3と同様にして分散処理を行ったところ、トリアリールメタン系染料(A)はPGMEに溶解した。
比較例3において、トリアリールメタン系染料(A)の代りにトリアリールメタン系染料(B)を用いた以外は、比較例3と同様にして分散処理を行ったところ、トリアリールメタン系染料(B)はPGMEに溶解した。
上記参考例3、実施例2及び比較例1、2の結果(表1)から、トリアリールメタン系染料(A)及び(B)を用いた参考例3及び実施例2の染料分散液は、PEGMAに対し好適に分散させることができ分散適正があったのに対し、トリアリールメタン系染料(C)及び(D)を用いた比較例1及び2の染料分散液はゲル化し分散適性はなかった。
結果は表1の通りであった。
参考例3の染料分散液(A)を3.31重量部、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体(モル比:10/30/50、重量平均分子量:9000、酸価:70mgKOH/g、有効成分含量40質量%)2.07重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートモノマー(東亜合成製『アロニックスM−403』)0.59重量部、IRGACURE 907(チバ・スペシャルティケミカルズ製)0.38重量部、KAYACURE DETX−S(日本化薬製)0.08重量部、KBM503(信越化学製)0.03重量部、メガファックR08MH(DIC製)0.0003重量部、PGMEA9.09重量部を加えて攪拌し、0.25μmメッシュでろ過してカラーフィルター用樹脂組成物を得た。
参考例3の染料分散液(A)の代りに実施例2及び比較例1〜4の染料分散液をそれぞれ用いて同様の方法でカラーフィルター用樹脂組成物を得た。
参考例3、実施例2及び比較例1〜4の染料分散液からそれぞれ得られたカラーフィルター用樹脂組成物をそれぞれガラス基板上に700rpmで5秒間スピンコートし、80℃のホットプレート上で3分間乾燥した。この基板をウシオ(株)製UI−501C超高圧水銀灯で20μmのストライプパターンのマスクを介して、空気中、ギャップ150μmで露光した。露光量はウシオ(株)製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して100mJ/cm2とした。露光後のガラス基板を、純水5000gに水酸化カリウム2.5gとポリオキシエチレンラウリルエーテル7.5gを溶解した現像液でシャワー現像し、未露光部を除去した。
同様の方法で別個に塗膜を作製し、高圧水銀灯にてマスクを介さず全面露光した。紫外線照射後(ベーク前)の着色層の色度を測定した後、この着色層が形成されたガラス板を220℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、得られた青色カラーフィルタ基板の色度を測定し、加熱前後の色差(ΔEab)を求めた。色度の測定は分光輝度計OSP200(オリンパス製)を用いた。ΔEab値は小さい方が耐熱性に優れることを示す。
前記塗膜の作製にしたがい80℃のホットプレート上で3分間乾燥したガラス基板上の塗膜を、アルカリ現像液(0.05質量%水酸化カリウム水溶液)で60秒間シャワー現像し、さらに60秒間超純水で洗浄した。塗膜が全て溶解したかどうかを目視で判別し、以下の基準により現像溶解性を評価した。現像前後の膜厚は、アルバック社製触針式表面形状測定器Dektak 150により測定した。
<現像溶解性の評価基準>
◎:現像後の膜厚が現像前の膜厚に比べ0%であった。
○:現像後の膜厚が現像前の膜厚に比べ0より大きく、50%未満であった。
×:現像後の膜厚が現像前の膜厚に比べ50%以上であった。
参考例3及び実施例2の染料分散液においては、アニオンに対するトリアリールメタン骨格の分子数が2つ以上であるため、イオン対同士の凝集密度が高まり、より強固な結晶状態で分散されているため、熱による分解や褪色を抑えることができたためだと考えられる。一方比較例3及び4のように分散させずに溶解した場合ではイオン対が分子状態で均一に樹脂成分中に存在するため、上記のような効果を発揮できず、耐熱性が低くなっていると考えられる。
また、トリアリールメタン系染料は、染料に含まれるカチオンが現像溶解性を発現するアクリル酸基と静電相互作用することによって、現像時のアルカリ水溶液への溶解性を低下させてしまう。特にトリアリールメタン系染料が樹脂組成物中に均一に溶解している場合にはその影響は大きいため、比較例1〜4のように染料を溶解する溶媒と組合わせた場合は、現像性に乏しい。一方、参考例3及び実施例2のように不溶性の溶媒中で分散剤を用いて染料を分散させた染料分散剤の場合には染料微粒子の周りを分散剤が覆っているため、その立体障害によって上記アクリル酸基との静電相互作用がなく、十分な現像性を有すると考えられる。
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルター
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
Claims (9)
- 前記一般式(I)におけるArがナフタレンである、請求項1に記載の染料分散液。
- 前記一般式(I)におけるR5が水素原子であり、R1〜R4及びR6が各々独立に炭素数1〜20のアルキル基である請求項1又は2に記載の染料分散液。
- R1〜R4及びR6がすべて同一である請求項3に記載の染料分散液。
- 前記溶媒がエステル系溶媒である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の染料分散液。
- 少なくとも前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の染料分散液と、バインダー成分と溶媒とを含む、カラーフィルター用樹脂組成物。
- 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該着色層の少なくとも1つが前記請求項6に記載のカラーフィルター用樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルター。
- 前記請求項7に記載のカラーフィルターと、対向基板と、前記カラーフィルターと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記請求項7に記載のカラーフィルターと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置。
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