以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1に示すように、この加湿装置は、ケーシング1を備え、このケーシング1は、ケーシング本体2と、このケーシング本体2に着脱可能に取り付けられた前面パネル3とからなる。
上記ケーシング1の両側面には吸込口5,5を設け(図3を参照。)、ケーシング1の上面の後部に吹出口6を設けている。
このように、この加湿装置では、吸込口5,5をケーシング1の側面に設け、吹出口6をケーシング1の上面に設けて、ケーシング1の後面7には吸込口および吹出口を無くしているから、この加湿装置のケーシング1の後面7は、図示しない部屋の壁面に密着させることができて、この加湿装置の設置の自由度が高くなっている。
従来の加湿装置は、吸込口がケーシングの後面にあるため、そのケーシングと部屋の壁面との間にある程度の大きさの隙間をあけないと、吸込抵抗が大きくなるため、部屋の壁面に密着させることができなくて、その設置の自由度が低かったのである。
一方、図2に示すように、上記ケーシング1内には、前面側に水タンク10を立設し、後面側にファンモータ21で駆動されるファン20を配置している。上記水タンク10は、石油ストーブの油タンクと同じ周知の構造を有するもので、底部の出口に、図示しないチェック弁が設けられていて、水タンク10を立設した状態で、チェック弁が押されて開放するものである。上記水タンク10とファン20との間には、前面側から順に、空気清浄フィルタユニット30と、加湿部材の一例としての加湿ロータ40とを配置している。
上記水タンク10と空気清浄フィルタユニット30とは、図2および4に示すように、正面視で大略矩形であり、略大部分が前後方向に重なる。また、上記空気清浄フィルタユニット30の下側の部分と加湿ロータ40とが前後方向に重なっている。さらに、上記水タンク10、空気清浄フィルタユニット30および加湿ロータ40の各々は、上記ファン20のベルマウス23の少なくとも一部に重なるように配置し、つまり、ベルマウス23の少なくとも一部を覆うように配置して、ファン20からの騒音を低減するようにしている。
なお、本明細書では、ベルマウス23とは、ベルマウス23自体の他、ベルマウス23で囲まれる開口をも含む概念である。
一般に、メンテナンス頻度の高い順に並べると、上記水タンク10、空気清浄フィルタユニット30、加湿ロータ40となる。例えば、上記水タンク10には、略毎日、水を補給しなければならなく、空気清浄フィルタユニット30の掃除または交換は約2週間から1年半に1回必要であり、加湿ロータ40の交換は約2年に1回必要である。つまり、上記水タンク10と空気清浄フィルタユニット30と加湿ロータ40とのうち、水タンク10の水補給の頻度が最も高く、次に、空気清浄フィルタユニット30の清掃、交換等の頻度が高く、加湿ロータ40の清掃、交換の頻度が最も低い。すなわち、メンテナンス作業の頻度の高い順にならべると、上記水タンク10、空気清浄フィルタユニット30、加湿ロータ40となっており、この水タンク10、空気清浄フィルタユニット30、加湿ロータ40の順番は、ケーシング1の前面側、つまり、前面パネル3に近い順番でもある。
このように、メンテナンス頻度の高いもの程、ケーシング1の前面側、つまり、前面パネル3に近く配置しているので、この水タンク10、空気清浄フィルタユニット30、加湿ロータ40のメンテナンスの作業性が良くなっている。
また、上記空気清浄フィルタユニット30は、大きな埃やペットの毛等を捕集するためのプレフィルタ31と、埃や塵等に帯電をさせるイオン化部32と、帯電した埃や塵等を捕集する例えばプリーツフィルタからなる集塵フィルタ33と、タバコの臭いやペットの臭い等の悪臭成分を捕集する脱臭フィルタ34とを含む。上記プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33および脱臭フィルタ34は、ケーシング1の前面側から順に、略一直線状に配列している。したがって、上記水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40は、ケーシング1の前面側から順に、配列していることになる。
一方、一般に、メンテナンス頻度の高い順に並べると、上記水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40となる。例えば、上記水タンク10には、略毎日、水を補給しなければならなく、プレフィルタ31の清掃の頻度は、約2週間に1回であり、イオン化部32のメンテナンスの頻度は、約半年に1回であり、集塵フィルタ33の清掃または交換の頻度は、約1年に1回であり、脱臭フィルタ34の清掃の頻度は、約1年半に1回であり、加湿ロータ40の交換は約2年に1回必要である。メンテナンス作業の頻度の高いもの順に並べると、上記水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34、加湿ロータ40となり、この水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34、加湿ロータ40の順番は、ケーシング1の前面側、つまり、前面パネル3に近い順番でもある。
このように、メンテナンス頻度の高いもの程、ケーシング1の前面側、つまり、前面パネル3に近く配置しているので、この水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40の各々のメンテナンスの作業性は、メンテナンス作業の頻度がより低いものが、メンテナンス作業の頻度のより高いものの邪魔をすることがないので、良くなっている。
また、上記イオン化部32は、加湿ロータ40よりも空気流の上流側に配置しているので、イオン化部32に付着した埃、塵が、加湿ロータ40からの水分を含むことがなく、したがって、放電不良を防止できるようになっている。
また、上記脱臭フィルタ34は、加湿ロータ40よりも空気流の上流側に配置されているから、加湿ロータ40からの水分が脱臭フィルタ34の吸着穴を埋めてしまうことがなく、したがって、脱臭性能の低下を防止できるようになっている。
なお、上記集塵フィルタ33は、プリーツがあるため表面積の大きなプリーツフィルタであるため、通風抵抗を低減できる。
一方、上記水タンク10の後面11は、図3に示すように、吸込口5,5から吸い込んだ空気を案内するガイド面として兼用して、独立したガイド部材を不要として、加湿装置の前後方向の寸法を小さくしている。
詳しくは、上記水タンク10は、図3に示すように、水平断面が略台形状をしており、側部から中央部にかけて徐々に厚さが厚くなるように、後面11は、両側の傾斜面12,12と中央の平坦面13とからなる。
上記水タンク10の後面11の傾斜面12,12は、ケーシング1の吸込口5,5から吸い込んだ空気を徐々に空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31へ向けて案内して、通風抵抗を低減する。
尤も、上記傾斜面12,12に代えて、吸込口5からの空気を徐々にプレフィルタ31に向けて案内する図示しない湾曲面を用いてもよい。
また、上記水タンク10の平坦面13を有する中央部は、側部よりも厚くして、中央のデッドスペースとなる箇所を水タンク10の中央部に有効に利用して、タンク容量を大きくしている。
一方、上記空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33および脱臭フィルタ34、並びに、加湿ロータ40は、前後方向に部分的に重ねて、略一直線状に配列して、吸込口5から吸い込んだ空気流の屈曲回数を少なくして、通風抵抗を小さくしている。
一方、図2および4に示すように、上記空気清浄フィルタユニット30の脱臭フィルタ34および集塵フィルタ33等は、ファン20のベルマウス23全体に重ねる一方、加湿ロータ40は、ベルマウス23の下側の部分に重ねるが、ベルマウス23の上側の部分には重ねない。したがって、上記脱臭フィルタ34の上側の部分からベルマウス23の上側の部分に至る非加湿通路51を流れる空気は、加湿ロータ40を経由しないので、非加湿通路51を流れる空気の通風抵抗を低減でき、特に、加湿運転を行わないで空気清浄運転のみを行う場合に、十分な風量(空気量)を確保できるようになっている。
一方、上記空気清浄フィルタユニット30の脱臭フィルタ34の下側の部分から加湿ロータ40への加湿通路52と、上記脱臭フィルタ34の上側の部分からファン20のベルマウス23の上側の部分に至る非加湿通路51とを、仕切り板50で仕切っている。
この仕切り板50により、加湿通路52から非加湿通路51への空気の流れを防止して、つまり、加湿通路52から加湿ロータ40をバイパスする空気の流れを防止して、加湿通路52に流れる空気の殆どを加湿ロータ40に流して、大きな加湿量を得ることができるようにしている。
もし、この仕切り板50が存在しないと、図5の模式図で示す比較例のように、加湿通路52を流れる空気流A3が非加湿通路51に流入して、加湿ロータ40をバイパスするから、加湿量が少なくなるのである。
また、上記仕切り板50は、空気清浄フィルタユニット30の脱臭フィルタ34からファン20の近傍まで延びている。あるいは、図示しないが、上記仕切り板50は、脱臭フィルタ34からベルマウス23の近傍まで延びていてもよい。
これにより、上記加湿ロータ40を出た加湿空気と、非加湿通路51を流れる非加湿空気との衝突による乱流を防止して、通風抵抗を低減し、また、騒音を低減するようにしている。
これを図6および7の模式図で具体的に説明すると、ファン20の近傍迄延びる仕切り板50により、非加湿通路51と加湿通路52が分離されるから、非加湿通路51を流れる空気流A1と加湿通路52を流れる空気流A2との衝突が防止でき、したがって、衝突による乱流を防止できて、通風抵抗を低減でき、騒音を低減できるのである。
尤も、図8の変形例に示すように、仕切り板58は、空気清浄フィルタユニット30から加湿ロータ40の箇所迄延びるものであってもよい。
こうすることによっても、上記仕切り板58によって、加湿ロータ40をバイパスする空気流を防止して、加湿ロータ40に十分に空気を通過させて、大きな加湿量を得ることができる。
また、図4に示すように、上記仕切り板50は、水平部53,54と、それらの水平部53,54を連結する傾斜部55とからなって、加湿ロータ40および水掛装置60に略沿うようにしている。
一方、上記加湿ロータ40は、例えば、不織布等からなり、いわゆる気化フィルタ等であって、空気を通過させ、この通過する空気に気化した水分で加湿する。この加湿ロータ40は、図2〜4に示すように、円板形状をしていて、水掛装置60に固定している。
この水掛装置60のバケット部61は、図2および3に模式的に示すように、加湿ロータ40の空気流の上流側に向けて水を掛けるように、加湿ロータ40に水を掛けるときに、バケット部61の開口81近傍、かつ、加湿ロータ40側の内面62が空気流の上流側が下になるように、傾斜している。
上記水掛装置60は、図9に示すように、支持脚部63と旋回枠65とバケット部61,61,…とを有する。上記支持脚部63に、旋回枠65を鉛直面に沿って旋回自在に取り付けている。より詳しくは、上記旋回枠65の中心のボス部66を支持脚部63の上部に水平な軸64を介して旋回自在に取り付けている。
図10に示すように、上記旋回枠65は、ボス部66と、輪状円板部67と、この輪状円板部67とボス部66とを連結する放射状の複数のアーム部68,68,…とを有する。上記アーム部68,68,…同士をリング部69で連結して補強をしている。
図10および11に示すように、上記旋回枠65の輪状円板部67の一方の端面には、複数のバケット部61,61,…を円周上等間隔に設けている。そして、図10および11では、上記加湿ロータ40を示していないが、上記バケット部61とバケット部61との間に加湿ロータ40の外周面が旋回枠65から露出するようにしている。
これにより、上記バケット部61とバケット部61との間において、旋回枠65から露出している加湿ロータ40の外周面から、バケット部61から放出された水を滲みこませることができて、加湿量が増大できるようになっている。
また、上記輪状円板部67の外周部に歯車79を形成し、この歯車79に図2に示すモータの一例としてのギヤードモータ74の歯車を噛合して、旋回枠65をギヤードモータ74で駆動できるようにしている。
上記ギヤードモータ74は、図2に示すように、加湿ロータ40に、空気流の流通方向に重ならないように配置して、ギヤードモータ74が、加湿ロータ40を通る空気流の邪魔にならないようにしている。
これにより、上記加湿ロータ40を通過する空気量が増大して、加湿量を増大できるようになっている。
また、図10および11に詳細に示すように、上記旋回枠65の輪状円板部67の内周側には、断続的に内フランジ部71,71,…を設けると共に、各バケット部61の旋回方向前方に向いた開口81の近傍から半径方向内側に向けて延びる略爪状の保持部75を設けている。上記輪状円板部67の内フランジ部71,71,…と保持部75,75,…によって、図10および11には示していないが、図2および3に示す加湿ロータ40の両端面を拘束して保持すると共に、上記輪状円板部67の内周面76とバケット部61の内周側の面77によって、加湿ロータ40の外周を保持している。
さらに、上記旋回枠65のアーム部68,68,…の各々には、線状のリブ部89を設けて、図示しないが、このリブ部89を加湿ロータ40に食い込ませて、この加湿ロータ40を旋回枠65とともに回転させるようにしている。
上記保持部75は、加湿ロータ40を保持する他に、水ガイドとしての役目を兼ねて、バケット部61の開口81から排出された水を半径方向内側にガイドする。
したがって、上記バケット部61の開口81から排出された水は、保持部75により、加湿ロータ40の半径方向内側に迅速に導かれて、広い範囲に速く行き亘り、加湿量を増大できる。
また、図10および11に示すように、上記バケット部61の開口81の旋回枠65の回転方向の前方に位置する輪状円板部67の部分78は、開口81からの水が加湿ロータ40に行かないで空気流の後方に行くのを遮る壁部として機能する。
この輪状円板部67の部分である壁部78は、バケット部61の開口81から排出された水が、加湿ロータ40に行かないで、空気流と共に加湿ロータ40よりも後方に行くのを防止して、開口81からの水を加湿ロータ40へ案内する。
したがって、この壁部78は、加湿ロータ40の後方への水飛びを防止して、加湿量を増大でき、かつ、ファン20および吹出口6からの水飛びを防止できる。
また、図2および12に示すように、上記水掛装置60のバケット部61は、加湿ロータ40に水を掛けるときに、開口81の近傍、かつ、加湿ロータ40側の内面62が空気流の上流側が下になるように傾斜している。
このように、上記加湿ロータ40に開口81から水を掛けるときに、バケット部61の開口81の近傍、かつ、加湿ロータ40側の内面62が空気流の上流側が下になるように傾斜しているから、開口81から排出される水は、空気流の上流側に向いた速度成分を有する。そのため、上記加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に水が掛けられ、さらに、その掛けられた水が空気流と共に加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分にも行き亘ることになって、結局、加湿ロータ40の厚さ方向の全体に水が行き亘って、大きな加湿量を得ることができる。
なお、図12に示す実施形態では、上記バケット61の加湿ロータ40側の内面は、開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62と、その内面62よりも奥に位置する内面72との2段になっているが、この加湿ロータ40側の内面は、上記内面62およびその延長面からなる一段にしてもよい。
さらに、図2および11に示すように、上記加湿ロータ40の厚さ方向のバケット部61の開口81の幅は、加湿ロータ40の厚さ寸法よりも小さく、かつ、上記バケット部61の開口81は、加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に対応している(図11においては、加湿ロータ40は示されていないが、この加湿ロータ40は、内フランジ部71と保持部75との間に挟まれている。)。
そのため、上記バケット部61の開口81から排出された水は、加湿ロータ40の厚さ方向の空気流の上流側の部分に掛けられる一方、加湿ロータ40の厚さ方向の空気流の下流側の部分に直接掛けられないようになっている。
したがって、水が掛けられた加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に水が行き亘ることは勿論のこと、その掛けられた水が空気流と共に加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分にも行き亘り、結局、加湿ロータ40の厚さ方向の全体に水が行き亘ることになって、大きな加湿量を得ることができる。
また、上記加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分に水を直接掛けないので、加湿ロータ40から下流側への水飛びを防止でき、ひいては、ファン20および吹出口6からの水飛びを防止できる。
一方、図13は、上記バケット部61の加湿ロータ40側の内面62の傾きを説明するために、加湿ロータ40の回転中心軸に直角な方向でバケット部61を断面した状態を表す模式図である。
図12および13から分かるように、上記水掛装置60のバケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62の縁62aの軌跡である3次元表示の円錐面(2次元表示では円)Cに対する接平面TPであって、かつ、上記開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62の縁62aを通る接平面TPに対して、上記バケット部61の加湿ロータ40側の内面62は反加湿ロータ40側に鋭角θに傾斜している。
このように、上記バケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62が上記接平面TPに対して、鋭角θだけ傾斜しているから、図13から明らかなように、バケット部61の開口81の内面62の縁62aが2次元表示での軌跡円Cの頂上Sに来る前の回転中心Oの回りの頂上Sの方向に対する中心角θ(上記鋭角θに等しい)で、上記開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62が水平になる。
そのため、図13および14に示すように、上記バケット部61は、軌跡円Cの頂上Sに行く前に、水を排出し始め、加湿ロータ40の頂上RS付近で水の全量を排出し終わる。
このように、上記バケット部61が、加湿ロータ40の頂上RSの上に行く前の中心角θよりも大きい角で水を排出し始めて、加湿ロータ40の頂上RS付近で水の全量を排出し終わることと、加湿ロータ40に掛けられた水が図14で矢印Wにより示すように加湿ロータ40と共に回転方向Rの前方に移動することとが相俟って、加湿ロータ40の頂上RSの両側の広い範囲に水を行き亘らせることができて、加湿量を多くすることができる。
なお、上記鋭角θの最適値は、旋回枠65の回転速度、加湿ロータ40の大きさによって、変わるが、例えば、5度〜30度程度が好ましい。
一方、図2に示すように、上記水掛装置60は、加湿ロータ40を水トレー90の水に浸らせない一方、バケット部61が汲み上げ部92の水に浸って汲み上げ部92から水を汲み上げることができるように、その寸法を設定し、かつ、配置している。
このように、上記加湿ロータ40は、水トレー90内の水に浸らないように配置することによって、水掛装置60の旋回枠65の停止時には、加湿ロータ40にバケット部61から水が掛けられない上に、加湿ロータ40が水トレー90の水に浸らなくて吸水しないようにして、加湿機能をオフにするようにしている。
したがって、上記ギヤードモータ74で、旋回枠65の旋回をオン、オフ制御することによって、加湿機能のオン、オフ制御ができるようになっている。
一方、上記水トレー90には、図2に示すように、断面逆L字状の仕切り壁91を設けて、汲み上げ部92と非汲み上げ部93とに仕切っている。上記汲み上げ部92からバケット部61が水を汲み上げる。上記非汲み上げ部93は空気清浄フィルタユニット30の上流側の空気圧力を受ける。
上記仕切り壁91の上部は、空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33および脱臭フィルタ34の下部に密着していて、空気清浄フィルタユニット30を通過する空気の抵抗損失によって、非汲み上げ部93上の空気圧力と汲み上げ部92上の空気圧力とに差圧が生じるようにしている。
上記非汲み上げ部93には、フロートスイッチ94を設けて、非汲み上げ部93の水位が定常状態よりも一定値だけ低くなると、水タンク10に水がないことを表す表示または警報を、図示しない表示部または警報部で行うようにしている。
図15により詳しく示すように、上記水トレー90には、バケット部61で水が汲み上げられる幅広の汲み上げ部92と、空気清浄フィルタユニット30の上流側の空気圧力を受ける非汲み上げ部93とを仕切る仕切り壁91(一部のみを示す)を設け、この仕切り壁91の下部に通水孔としての横に長い長穴95を設けている。
これにより、上記ファン20の回転速度の上昇に応じて、空気清浄フィルタユニット30の上流側と下流側との差圧が高くなると、この差圧の大きさに応じて、汲み上げ部92の水位は、非汲み上げ部93の水位よりも、高くなって、ファン20に回転速度に応じて、バケット部61の汲み上げ水量を自動的に調節できるようになっている。
したがって、上記ファン20に回転速度に応じて、加湿ロータ40に対する水掛け量を自動的に調節して、加湿量を簡単に自動的に調節できるようになっている。
上記水トレー90の仕切り壁91に設けた横に長い長穴95は、水位が低くなっても、空気に露出し難い上、非汲み上げ部93から汲み上げ部92に迅速に水を供給して、汲み上げ部92の水位の自動調節の応答速度を速くする。
一方、上記非汲み上げ部93には、水タンク10を設置する水タンク設置部98を設けており、この水タンク設置部98の底面98bの高さは、非汲み上げ部93の仕切り壁91近傍の底面93bの高さよりも高くしている。さらに、上記水タンク設置部98の周壁には、上端から切欠き101を設けている。
これにより、上記ファン20の回転を停止して、空気清浄フィルタユニット30の上流側と下流側の差圧がなくなって、汲み上げ部92から非汲み上げ部93に水が戻って、非汲み上げ部93の水位が一定値以上になった場合、非汲み上げ部93からバッファ水収容部99へ切欠き101を通して水を排出して、非汲み上げ部93から外部へ水がオーバーフローするのを防止するようにしている。
なお、上記切欠き101に代えて、水タンク設置部98の周壁の上部に貫通穴を設けてもよい。
なお、図2において、111は電源用プリント基板、112は操作制御用プリント基板、113は表示用プリント基板、114は埃センサ、115は予備用フィルタであり、図4において、121は高圧用プリント基板、122は臭いセンサ、123はストリーマ、124は受光部であり、図15において、96は抗菌剤のケースを取り付けるための穴、97はフロート取付穴であり、これらは本願発明の要旨とは関連が薄いので、詳しい説明は省略する。
上記構成の加湿装置は、次のように動作する。
図2および3に示すように、上記ファン20をファンモータ21で駆動し、水掛装置60の旋回枠65をギヤードモータ74で駆動すると、上記ケーシング1の側面3の吸込口5,5から空気が吸い込まれる。この吸い込まれた空気は、水タンク10の後面11と空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31との間から、プレフィルタ31に向けて流れの方向を90度1回変え、その後、略一直線状に配列された空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34、加湿ロータ40およびファン20を水平方向に略直線状に流れて、清浄化され、かつ、加湿されて、その後、ファン20から出るときに、略鉛直上方に流れの方向を90度1回変えて、ケーシング1の上面の吹出口6から排出される。
このように、この加湿装置では、上記ケーシング1の吸込口5,5から吸い込まれた空気の流れ、つまり、空気流路の屈曲回数は、大略、ケーシング1の側面3の吸込口5,5から空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31への1回とファン20を出るときの1回との計2回であって、空気流路の屈曲回数が少ないため、通風抵抗が小さい。
また、上記ケーシング1の吸込口5,5から吸い込まれた空気は、水タンク10の後面11の両側の傾斜面12,12によって、空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31へ向けて徐々に案内されて、急激な方向変化が少ないため、通風抵抗が小さい。
上記空気清浄フィルタユニット30の脱臭フィルタ34の上側の部分から出て来る清浄空気は、仕切り板50で加湿通路52と仕切られた非加湿通路51を流れて、加湿ロータ40を通過しないで、ベルマウス23の上側の部分を通って、ファン20に吸い込まれる一方、脱臭フィルタ34の下側の部分から出て来る清浄空気は、加湿通路52を流れて、加湿ロータ40を通過して、加湿されて、ベルマウス23の下側の部分を通って、ファン20に吸い込まれる。
このように、上記脱臭フィルタ34の上側の部分からベルマウス23の上側の部分に至る非加湿通路51を流れる空気は、加湿ロータ40を経由しないので、非加湿通路51を流れる空気の通風抵抗を低減できる。特に、ギヤードモータ74を停止して、水掛装置60の作動を停止して、加湿運転を行わないで、空気清浄運転のみを行っている場合に、この非加湿通路51の存在により、十分な風量(空気量)を確保できる。
また、上記加湿通路52を流れる清浄空気は、仕切り板50により、加湿通路52から加湿ロータ40をバイパスして非加湿通路51へ流入するのが防止されるため、脱臭フィルタ34の下側の部分から加湿通路52に流入した空気の殆どが加湿ロータ40を通過する。このように、上記脱臭フィルタ34からファン20の近傍まで延びている仕切り板50によって、加湿通路52から加湿ロータ40をバイパスする空気の流れが防止されるため、大きな加湿量を得ることができる。
図16の(A)および(B)は、この実施形態と比較例との加湿量試験結果を示す表およびグラフである。
図16において、Pはこの実施形態を表し、Nはこの実施形態から仕切り板50を除去した点のみがこの実施形態と異なる比較例を表す。
この図16の(A)および(B)から分かるように、この実施形態Pと比較例Nとがファン20の風量(主流風量)が同じ7.5m3/minで、比較例Nでは加湿ロータ40を通過する空気量が3.21m3/minであるのに対して、この実施形態では加湿ロータ40を通過する空気量が3.50m3/minに増大し、また、比較例Nでは加湿量が556cc/hであるのに対して、この実施形態では加湿量が597cc/hに増大した。
この実施形態Pの比較例Nに対する加湿量の増大の割合は、(597−556)/556=0.074となる。
すなわち、この実施形態Pでは、比較例Nに比べて、加湿量が、約7%強増大した。
また、上記空気清浄フィルタユニット30の脱臭フィルタ34からファン20の近傍まで延びている仕切り板50によって、上記加湿ロータ40を出た加湿空気と、非加湿通路51を流れる非加湿空気との衝突が防止されて、乱流の発生が防止される。その結果、通風抵抗を低減でき、かつ、騒音を低減できる。
一方、図2に示す加湿ロータ40は、水掛装置60のバケット部61の開口81から、水が掛けられる。詳しくは、図2,10,11および12に示すように、上記ギヤードモータ74によって、バケット部61,61,61…を有する旋回枠65が歯車79を介して、旋回駆動されて、バケット部61,61,61…が水トレー90の汲み上げ部92から水を順次汲み上げて、加湿ロータ40に水を掛ける。
このバケット部61から加湿ロータ40に水を掛けるとき、図2および12に示すように、バケット部61の開口81の近傍、かつ、加湿ロータ40側の内面62は、空気流の上流側が下になるように傾斜しているため、開口81から排出された水は、空気流の上流側に向いた速度成分を有する。そのため、加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に水が掛けられ、さらに、その掛けられた水が空気流と共に加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分にも行き亘って、結局、加湿ロータ40の厚さ方向の全体に水が行き亘って、大きな加湿量を得ることができる。
さらに、図2および11に示すように、上記加湿ロータ40の厚さ方向のバケット部61の開口81の幅は、加湿ロータ40の厚さ寸法よりも小さく、かつ、上記バケット部61の開口81は、加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に対応しているため、上記バケット部61の開口81から排出された水は、バケット部61とバケット部61との間で露出している加湿ロータ40の外周面の厚さ方向の空気流の上流側の部分のみに掛けられる。
したがって、この水が掛けられた加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分の外周面から加湿ロータ40内に水が滲みこんで、その上流側の部分に滲みこんだ水が空気流と共に加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分にも行き亘り、結局、加湿ロータ40の厚さ方向の全体に水が行き亘ることになって、大きな加湿量を得ることができる。
また、上記加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分に水を直接掛けないので、加湿ロータ40から下流側への水飛びを防止でき、ひいては、ファン20および吹出口6からの水飛びを防止できる。
さらにまた、図12および13に示すように、上記水掛装置60のバケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62の縁62aの3次元的な軌跡である円錐面Cに対する接平面TPであって、かつ、上記開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62の縁62aを通る接平面TPに対して、上記バケット部61の加湿ロータ40側の内面62は反加湿ロータ40側に鋭角θに傾斜しているため、図13の断面模式図から明らかなように、バケット部61の開口81近傍の内面62の縁62aが断面表示での軌跡円Cの頂上Sに来る前に、鉛直軸からの中心角θ(上記鋭角θに等しい)で、上記開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62が水平になり、それから、旋回枠65の回転に伴って、その内面62の水平面に対する傾斜を徐々に増大していく。
したがって、図13および14に示すように、上記バケット部61は、軌跡円Cの頂上Sに行く前に、水を排出し始め、加湿ロータ40の頂上RS付近で水の全量を排出し終わる。
したがって、上記バケット部61から、加湿ロータ40の頂上RSに行く前の中心角θよりも大きい角で水を排出し始めて、加湿ロータ40の頂上RS付近で水の全量を排出し終わることと、加湿ロータ40に掛けられた水が図14で矢印Wにより示すように加湿ロータ40と共に回転方向Rの前方に移動することとが相俟って、加湿ロータ40の頂上RSの両側の広い範囲に水を行き亘らせることができて、加湿量を多くすることができる。
さらに、上記バケット部61の開口81から排出された水は、図10〜12に示す保持部75により、加湿ロータ40の半径方向の内側に迅速に案内されて、加湿ロータ40の広い範囲に速く行き亘る。
したがって、この保持部75によっても、加湿量を増大できる。
上記保持部75は、加湿ロータ40を保持する機能の他、加湿量を増大する水ガイドとしての機能も有することになる。
また、上記バケット部61の開口81から排出された水は、図10および11に示すように、その開口81の前方に位置する旋回枠65の輪状円板部67の部分である壁部78によって、空気流と共に加湿ロータ40よりも後方に行くのが遮られて、加湿ロータ40に向けて落下する。
したがって、上記壁部78は、加湿ロータ40の後方への水飛びを防止して、加湿量を増大でき、かつ、ファン20および吹出口6からの水飛びを防止できる。
この実施形態では、上記バケット部61の開口81から水を加湿ロータ40に掛けるときに、このバケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62が空気流の上流側が下になるように傾斜しているという構成によって、掛けられた水が空気流の上流側に向けての速度成分を有していることと、上記バケット部61の開口81が加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に対応しているという構成によって、開口81からの水は加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に掛けられることと、上記バケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62の縁62aの軌跡である円錐面Cに対する接平面TPであって、かつ、その内面62の縁62aを通る接平面TPに対して、上記内面62が反加湿ロータ40側に鋭角θに傾斜しているという構成によって、バケット部61は、加湿ロータ40の頂上RSに行く前に、水を排出し始め、加湿ロータ40の頂上RS付近で水の全量を排出し終わることと、バケット部61の開口81の近傍に設けられた保持部75という構成によって、開口81から排出された水を加湿ロータ40の半径方向内側に迅速に案内することと、上記バケット部61の開口の前方に位置する旋回枠65の壁部78という構成によって、バケット部61の開口81から排出された水が空気流と共に加湿ロータ40よりも後方に行くのを遮って、加湿ロータ40に向けて落下させることとの相乗作用によって、極めて多い加湿量を得ることができる。
一方、図2に示すように、上記空気清浄フィルタユニット30に対する空気のバイパスは、仕切り壁91により遮られる。この空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33および脱臭フィルタ34を通過する空気の抵抗損失によって、空気清浄フィルタユニット30の上流側と下流側とに圧力差が生じる。この圧力差は、ファン20の回転速度、つまり、風量の増大に応じて、高くなる。
上記空気清浄フィルタユニット30および仕切り壁91の上流側の圧力は、略大気圧であり、この略大気圧が水トレー90の非汲み上げ部93の水に作用する一方、空気清浄フィルタユニット30および仕切り壁91の下流側の圧力は、大気圧よりも上記抵抗損失分だけ低い低圧であり、この低圧が水トレー90の汲み上げ部92の水に作用する。上記水トレー90の非汲み上げ部93の水に作用する略大気圧と汲み上げ部92の水に作用する低圧とには、上述の圧力差がある。
一方、上記水トレー90の非汲み上げ部93と汲み上げ部92とは、仕切り壁91の下部の長穴95によって互いに連通しているため、水トレー90の汲み上げ部92の水位は、非汲み上げ部93の水位よりも、上述の圧力差分だけ高くなる。この圧力差は、ファン20の回転速度、つまり、風量の増大に応じて、高くなる。
そのため、上記汲み上げ部92の水位は、ファン20の回転速度、つまり、風量の増大に応じて、高くなる。
したがって、上記水掛装置60のバケット部61は、汲み上げ部92から、ファン20の回転速度(風量)の増大に応じて汲み上げ水量が大きくなるように、水を汲み上げて、加湿ロータ40に掛けることができる。
このように、上記ファン20に回転速度に応じて、汲み上げ部92の水位が自動的に調節されるから、水掛装置60の旋回枠65の回転速度を制御しなくても、風量(空気量)に応じて、加湿ロータ40に対する水掛け量を自動的に調節でき、加湿量を簡単に自動的に調節できる。
この汲み上げ部92の水位の自動的な調節は、仕切り壁91の下部の長穴95を通して、汲み上げ部92に水を供給して行うため、迅速に、応答性よく行うことができる。特に、空気に露出しにくい横に長い長穴95を用いているので、この長穴95を通して迅速に水を供給して、応答性よく、汲み上げ部92の水位の自動調節を行うことができる。
次に、上記ファン20の回転が停止すると、空気清浄フィルタユニット30の上流側と下流側の差圧がなくなるため、水位が高かった汲み上げ部92から水位が低かった非汲み上げ部93に水が戻って、非汲み上げ部93の水位が一定値以上になる場合がある。
この場合、非汲み上げ部93からバッファ水収容部99へ切欠き101を通して水が排出されるため、非汲み上げ部93から外部へ水がオーバーフローすることがない。
次に、メンテナンスの作業性を説明する。
一般に、メンテナンス頻度の高い順に並べると、水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40となり、ケーシング1の前面側、つまり、前面パネル3に近い順番になる。例えば、上記水タンク10には、略毎日、水を補給しなければならなく、プレフィルタ31の清掃の頻度は、約2週間に1回であり、イオン化部32のメンテナンスの頻度は、約半年に1回であり、集塵フィルタ33の清掃または交換の頻度は、約1年に1回であり、脱臭フィルタ34の清掃の頻度は、約1年半に1回であり、加湿ロータ40の交換は約2年に1回必要である。
上記水タンク10に水を補給する場合、ケーシング本体2から前面パネル3を取り外して、ケーシング本体2から水タンク10を取り出して、水タンク10に水を補給する。
このとき、空気清浄フィルタユニット30や加湿ロータ40は、水タンク10の後面側にあるので、これらは、水タンク10への水の補給作業の邪魔になることがない。
したがって、水タンク10のメンテナンス作業性が良い。
次に、プレフィルタ31の清掃作業をする場合、ケーシング本体2から前面パネル3を取り外して、水タンク10を取り出した後、プレフィルタ31を取り出して、清掃する。
このとき、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40は、プレフィルタ31の後面側にあるので、取り外して、取り出す必要がない。
このように、プレフィルタ31の清掃には、その前にある水タンク10を取り外せばよいので、プレフィルタ31の清掃作業が容易である。
このように、メンテナンス頻度の高いもの程、ケーシング1の前面側、つまり、前面パネル3に近く配置しているので、この水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40の各々のメンテナンスの作業性は、メンテナンス作業の頻度がより低いものが、メンテナンス作業の頻度のより高いものの邪魔をすることがないので、良い。
上記実施形態の加湿装置は、吸込口5をケーシング1の側面に設け、吹出口6をケーシング1の上面に設けて、ケーシング1の後面7には吸込口および吹出口を無くしているので、ケーシング1の後面を、部屋の壁面に密着させることができて、その設置の自由度が高いという利点を有する。
また、上記実施形態の加湿装置では、ケーシング1の側面3の吸込口5,5から吸い込まれた空気は、水タンク10の後面11と空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31との間から、プレフィルタ31に向けて流れの方向を90度1回変え、その後、略一直線状に配列された空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40からファン20へ水平方向に略直線状に流れて、清浄化され、かつ、加湿されて、その後、ファン20から出るときに、鉛直上方に流れの方向を90度1回変えて、ケーシング1の上面の吹出口6から排出されるから、空気流路の屈曲回数は、大略、ケーシング1の側面3の吸込口5,5から空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31への1回とファン20を出るときの1回との計2回であって、空気流路の屈曲回数が少ないため、通風抵抗が小さいという利点を有する。
また、上記実施形態の加湿装置は、ケーシング1の吸込口5,5から吸い込まれた空気は、水タンク10の後面11の両側の傾斜面12,12によって、空気清浄フィルタユニット30のプレフィルタ31へ向けて徐々に案内されて、急激な方向変化が少ないため、通風抵抗が小さいという利点を有する。
また、上記実施形態の加湿装置では、水タンク10の後面11の傾斜面12,12をガイド面に兼用しているため、独立したガイド部材が不要で、そのため、加湿装置の前後方向の寸法を小さくすることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、水タンク10の平坦面13を有する中央部は、傾斜面12,12を有する側部よりも厚くしているので、中央のデッドスペースとなる箇所を有効に利用して、タンク容量を大きくすることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、イオン化部32を加湿ロータ40よりも空気流の上流側に配置しているので、イオン化部32に付着した埃、塵が、加湿ロータ40からの水分を含むことがなく、したがって、放電不良を防止できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、脱臭フィルタ34は、加湿ロータ40よりも空気流の上流側に配置されているので、加湿ロータ40からの水分が脱臭フィルタ34の吸着穴を埋めてしまうことがなく、したがって、脱臭性能の低下を防止できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、集塵フィルタ33として、プリーツがあるため表面積の大きなプリーツフィルタを用いているため、通風抵抗を低減できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、加湿ロータ40がベルマウス23の一部に重なり、空気清浄フィルタユニット30および水タンク10の各々がベルマウス23の全部に重なって、加湿ロータ40、空気清浄フィルタユニット30および水タンク10でベルマウス23を覆っているので、騒音を低減することができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、仕切り板50により、清浄空気が加湿通路52から加湿ロータ40をバイパスして非加湿通路51へ流入するのを防止して、脱臭フィルタ34から加湿通路52に流入した空気の殆どを加湿ロータ40に通過させるので、大きな加湿量を得ることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、空気清浄フィルタユニット30の脱臭フィルタ34からファン20またはベルマウス23の近傍まで延びている仕切り板50を備えているので、加湿ロータ40を出た加湿空気と、非加湿通路51を流れる非加湿空気との衝突を防止して、乱流の発生を防止して、通風抵抗を低減でき、かつ、騒音を低減できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、ファン20のベルマウス23の一部に、加湿ロータ40が重なり、ファン20のベルマウス23の他の一部に、加湿ロータ40が重ならないで、空気清浄フィルタユニット30の一部が重なっているので、通風抵抗を低減でき、特に、加湿運転を行わないで、空気清浄運転のみを行う場合に、十分な風量(空気量)を確保できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、バケット部61から加湿ロータ40に水を掛けるとき、バケット部61の開口81の近傍、かつ、加湿ロータ40側の内面62は、空気流の上流側が下になるように傾斜しているので、開口81から排出された水は、空気流の上流側に向いた速度成分を有して、加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に水が掛けられて、その掛けられた水が空気流と共に加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分にも行き亘って、結局、加湿ロータ40の厚さ方向の全体に水が行き亘って、大きな加湿量を得ることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、バケット部61の開口81は、加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に対応していて、バケット部61の開口81から排出された水は、加湿ロータ40の外周面の厚さ方向の空気流の上流側の部分に掛けられるので、加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に滲みこんだ水が空気流と共に加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分にも行き亘り、結局、加湿ロータ40の厚さ方向の全体に水が行き亘ることになって、大きな加湿量を得ることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、加湿ロータ40の厚さ方向の下流側の部分に水を直接掛けないので、加湿ロータ40から下流側への水飛びを防止でき、ひいては、ファン20および吹出口6からの水飛びを防止できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、水掛装置60のバケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62の縁62aの軌跡である円錐面Cに対する接平面TPであって、かつ、上記開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62の縁62aを通る接平面TPに対して、バケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62は反加湿ロータ40側に鋭角θに傾斜しているので、加湿ロータ40の頂上RS付近で水の全量を排出し終わることと、加湿ロータ40に掛けられた水が加湿ロータ40と共に回転方向Rの前方に移動することとが相俟って、加湿ロータ40の頂上RSの両側の広い範囲に水を行き亘らせることができて、加湿量を多くすることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、バケット部61の開口81の近傍に位置して、加湿ロータ40を保持すると共に、水ガイドとしての機能を有する保持部を、旋回枠65に設けているので、開口81からの水を加湿ロータ40の半径方向の内側に迅速に案内して、加湿ロータ40の広い範囲に速く行き亘らせて、加湿量を増大できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、バケット部61の開口81から排出された水が空気流と共に加湿ロータ40の後方に行くのを、その開口81の前方に位置する旋回枠65の壁部78によって、遮るので、加湿ロータ40の後方への水飛びを防止して、加湿量を増大でき、かつ、ファン20および吹出口6からの水飛びを防止できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、バケット部61の開口81から水を加湿ロータ40に掛けるときに、このバケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62が空気流の上流側が下になるように傾斜しているという構成によって、掛けられた水が空気流の上流側に向けての速度成分を有していることと、バケット部61の開口81が加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に対応しているという構成によって、開口81からの水は加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に掛けられることと、バケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62の縁62aの軌跡である円錐面Cに対する接平面TPであって、かつ、その内面62の縁62aを通る接平面TPに対して、上記内面62が反加湿ロータ40側に鋭角θに傾斜しているという構成によって、バケット部61は、加湿ロータ40の頂上RSに行く前に、水を排出し始め、加湿ロータ40の頂上RS付近で水の全量を排出し終わることと、バケット部61の開口81の近傍に設けられた保持部75という構成によって、開口81から排出された水を加湿ロータ40の半径方向内側に迅速に案内することと、上記バケット部61の開口の前方に位置する旋回枠65の壁部78という構成によって、バケット部61の開口81から排出された水が空気流と共に加湿ロータ40よりも後方に行くのを遮って、加湿ロータ40に向けて落下させることとの相乗作用によって、極めて多い加湿量を得ることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、バケット部61とバケット部61との間において、加湿ロータ40の外周面が旋回枠65から露出しているので、加湿ロータ40の露出した外周面から、加湿ロータ40に水を滲みこませて、加湿量を増大できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、旋回枠65の外周部に歯車79を設け、この歯車79を駆動するギヤードモータ74を加湿ロータ40と空気流の流れ方向に重ならないよう配置しているので、このギヤードモータ74が加湿ロータ40を通る空気流の邪魔にならなくて、加湿ロータ40を通る空気量を増大できて、加湿量を増大できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、加湿ロータ40を水トレー90の汲み上げ部92内の水に浸らないように配置しているので、ギヤードモータ74で旋回枠65の旋回をオン、オフすることによって、加湿機能のオン、オフ制御をすることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、仕切り壁91によって、水トレー90を、バケット部61で水が汲み上げられる汲み上げ部92と、空気清浄フィルタユニット30の上流側の空気圧力を受ける非汲み上げ部93とに仕切り、この仕切り壁91の下部に通水孔としての長穴95を設けているので、ファン20の風量の増大に応じて、空気清浄フィルタユニット30の上流側と下流側との差圧が高くなると、この差圧の高さに応じて、汲み上げ部92の水位が高くなって、旋回枠65の回転速度を変えなくても、ファン20の風量の増大に応じて、バケット部61の汲み上げ水量を自動的に調節できて、加湿ロータ40に対する水掛け量を自動的に調節して、加湿量を簡単に自動的に調節できる。
また、上記実施形態の加湿装置では、水トレー90の仕切り壁91の下部に、横に長い長穴95を設けているので、この横に長い長穴95は空気に露出しにくい上に、非汲み上げ部93から汲み上げ部92に迅速に水を供給して、汲み上げ部92の水位の自動調節の応答速度を速くすることができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、非汲み上げ部93の水位が予め定められた一定値以上になると、非汲み上げ部93から切欠き101を通して水が流入するバッファ水収容部99を設けているので、ファン20の回転が停止して、空気清浄フィルタユニット30の上流側と下流側の差圧がなくなって、汲み上げ部92から非汲み上げ部93に水が戻っても、非汲み上げ部93から外部へ水がオーバーフローするのを防止することができる。
また、上記実施形態の加湿装置では、ケーシング1の前面側から、メンテナンス頻度の高い順に略1直線状に、水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40を配置しているので、水タンク10、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33、脱臭フィルタ34および加湿ロータ40の各々のメンテナンスの作業性は、メンテナンス作業の頻度がより低いものが、メンテナンス作業の頻度のより高いものの邪魔をすることがなくて、メンテナンスの作業性が良い。
また、上記実施形態の加湿装置では、ファン20は、水タンク10、空気清浄フィルタユニット30および加湿ロータ40よりも後面側に位置しているので、ファン20が、水タンク10、空気清浄フィルタユニット30および加湿ロータ40の清掃、交換等のメンテナンス作業の邪魔になることがなく、したがって、メンテナンスの作業性が良い。
図17は、他の実施形態の要部を示す図である。この実施形態は、水掛装置160の旋回枠165のバケット部161の内面のみが、図12の実施形態の水掛装置60の旋回枠65のバケット部61の内面と異なる。したがって、図17において、図12の構成要素と同一構成要素については、図12の構成要素と同一参照番号を付して、説明を省略し、異なる構成要素のみについて、以下に説明する。
図17に示すように、上記水掛装置160のバケット部161の内面においては、上記加湿ロータ40(図2参照)側の内面62,72と、空気流の下流側の側面150とは、湾曲面162,172によって滑らかに連結している。
この湾曲面162,172の存在により、バケット部161内のコーナ部に表面張力で水が滞留することがなくて、水切れがよくなって、大きな加湿量を得ることができる。
なお、図示していなが、バケット部の内面において、さらに、加湿ロータ側の内面と、空気流の上流側の側面とを、湾曲面によって滑らかに連結してもよい。
こうすることによって、さらに、上記バケット部内のコーナ部に水が滞留することがなくなって、水切れがよくなって、大きな加湿量を得ることができる。
上記実施形態では、吹出口6をケーシング1の上面に設けたが、吹出口をケーシングの側面に設けてもよく、あるいは、ケーシングの上面と側面の両方に設けてもよい。
また、上記実施形態では、空気清浄フィルタユニット30は、プレフィルタ31、イオン化部32、集塵フィルタ33および脱臭フィルタ34を含んでいたが、これらの他、除菌フィルタを含んでいてもよく、あるいは、イオン化部32や脱臭フィルタ34等を除去してもよい。例えば、空気清浄フィルタユニットは、プレフィルタと集塵フィルタのみを含んでいてもよく、あるいは、単一のフィルタのみで構成してもよい。
また、上記実施形態では、仕切り板50を設けたが、この仕切り板は除去してもよい。
また、上記実施形態では、加湿部材として、加湿ロータ40を用いたが、これに代えて、水掛装置とは別体の静止した加湿部材を用い、この静止した加湿部材の上流側の部分に、水掛装置の旋回枠に設けたバケット部から水を掛けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、バケット部61の開口81から水を加湿ロータ40に掛けるときに、このバケット部61の開口81近傍の加湿ロータ40側の内面62が空気流の上流側が下になるように傾斜しているという構成と、バケット部61の開口81が加湿ロータ40の厚さ方向の上流側の部分に対応しているという構成との両方の構成を備えているが、一方のみの構成を備えていてもよい。
また、上記実施形態では、旋回枠65の外周に歯車79を設けたが、歯車に代えてベルト用のプーリ部を設けて、旋回枠をベルト駆動してもよく、あるいは、旋回枠の中心にモータの軸を連結して、旋回枠をモータで直接駆動してもよい。
また、上記実施形態では、水トレー90に仕切り壁91を設けて、汲み上げ部92と非汲み上げ部93とに仕切り、仕切り壁91の下部に通水孔としての長穴95を設けたが、通水孔は一個または複数のスリットまたは丸穴であってもよい。
また、上記実施形態では、水トレー90に、汲み上げ部92と非汲み上げ部93とを仕切る仕切り壁91を設け、この仕切り壁91に通水孔を設けて、風量に応じて、汲み上げ部92の汲み上げ水量を自動的に調節するようにしたが、仕切り壁91を取り除いて、水位の自動調節機能をなくしてもよい。
また、上記実施形態では、非汲み上げ部93の水位が予め定められた一定値以上になると、非汲み上げ部93から切欠き101を通して水が流入するバッファ水収容部99を設けているが、このバッファ水収容部99および切欠き101を除去してもよい。