JP5761271B2 - 水性ポリウレタン樹脂分散体及びその使用 - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂分散体及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、水性ポリウレタン樹脂分散体及びその使用に関する。
近年、航空機・自動車等の内外装、住宅の外壁・床材、携帯電話の筐体といった様々な対象にコーティングが施されている。コーティングには、コーティングを適用する基材との密着性やコーティングの上に適用されるトップコートとの密着性が要求されるとともに、基材を保護する役割の点から、塗膜として良好な強度を有することも求められる。
上記の性能を満たすコーティングを形成しうる材料として、水性ポリウレタン樹脂分散体が着目されている。水性ポリウレタン樹脂分散体におけるポリウレタン樹脂は、一般には、ポリイソシアネート、ポリオール、及び親水性基を持つポリオールを反応させて得られるポリウレタンプレポリマーを、鎖延長剤によって、さらに鎖伸長したものである。
水性ポリウレタン樹脂分散体をコーティングに応用するに当り、密着性の改善の点から、鎖延長剤として、ヒドラジン等を使用することが提案されてきたが(特許文献1〜4)、これらは、ますます高くなる要求を、充分に満足するものとはいえなかった。
また、強靭な塗膜が得られることから、ポリオール成分として、ポリカーボネートポリオールを使用することが提案されており、なかでも、耐候性、耐湿熱性にも優れた塗膜を与えることから、脂環式構造をもつポリカーボネートジオールが着目されているが(特許文献5)、これには、得られる塗膜の硬度が十分でないという問題があった。
特開2008−231188号公報 特開平7−331169号公報 特開平7−188353号公報 特開平6−329744号公報 特開平6−248046号公報
本発明の目的は、基材及びトップコートとの密着性に優れるとともに、高い硬度を有する塗膜を形成しうる水性ポリウレタン樹脂分散体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を進めた結果、特定のポリオール及びポリイソシアネートを組み合わせ、さらに特定のヒドラジド誘導体を鎖延長剤として用いて製造した水性ポリウレタン樹脂分散体によって、上記課題が解決できることを見出した。
本発明は、以下のとおりである。
〔1〕本発明は、イソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネート化合物(a)とポリカーボネートポリオール(b1)及び酸性基含有ポリオール(b2)を含むポリオール化合物(b)とを反応させて得られたポリウレタンプレポリマー(A)に、二塩基酸ジヒドラジドを含む鎖延長剤(B)を反応させて得られるポリウレタン樹脂が、水系媒体中に分散されてなる、水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。
〔2〕本発明は、ポリカーボネートポリオール(b1)が、脂環式構造を有するポリカーボネートポリオールを含む、上記水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。
〔3〕本発明は、鎖延長剤(B)が、さらにヒドラジンを含む、上記水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。
〔4〕本発明は、二塩基酸ジヒドラジドが、脂肪族二塩基酸ジヒドラジドである、上記水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。
〔5〕本発明は、脂肪族二塩基酸ジヒドラジドが、アジピン酸ジヒドラジドである、上記水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。
〔6〕本発明は、上記水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、塗料組成物に関する。
〔7〕本発明は、上記水性ポリウレタン樹脂分散体又は上記塗料組成物を基材に適用し、硬化させて塗膜を形成したコーティング基材に関する。
〔8〕本発明は、塗膜の上に、さらにトップコートを備えた、上記コーティング基材に関する。
本発明によれば、基材及びトップコートとの密着性に優れるとともに、高い強度を有する塗膜を形成しうる水性ポリウレタン樹脂分散体が提供される。
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、イソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネート化合物(a)とポリカーボネートポリオール(b1)及び酸性基含有ポリオール(b2)を含むポリオール化合物(b)とを反応させてポリウレタンプレポリマー(A)を得る工程;ポリウレタンプレポリマー(A)の酸性基を中和する工程;ポリウレタンプレポリマー(A)を水系媒体中に分散させる工程;及びポリウレタンプレポリマー(A)のイソシアナト基と二塩基酸ジヒドラジドを含む鎖延長剤(B)とを反応させる工程により得ることができる。ここで、ポリウレタンプレポリマー(A)の酸性基を中和する工程と水系媒体中に分散させる工程は同時に行ってもよく、水系媒体中に分散させる工程と鎖延長剤(B)を反応させる工程は、同時に行ってもよい。
〔ポリイソシアネート化合物(a)〕
本発明では、イソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネート化合物(a)が用いられる。イソホロンジイソシアネートを用いることにより、基材との密着性やトップコートとの密着性が改善される。特に上記基材が、ポリカーボネート樹脂を含有する基材である場合には、基剤との密着性を大幅に改善できる。また、上記トップコートが溶剤系ウレタンを含有する塗料により形成される場合には、トップコートとの密着性が大幅に改善される。また、溶剤系ポリウレタンを含有する塗膜の上面に、本発明の水性ポリウレタン分散体を塗布して塗膜を形成することもできる。これにより、下地層となる溶剤系ポリウレタンを含有する塗膜との密着性を向上させることができる。
ポリイソシアネート化合物(a)は、イソホロンジイソシアネート以外のポリイソシアネートを含むことができるが、基材やトップコートとの密着性の観点から、ポリイソシアネート化合物(a)100モル%のうち、好ましくは50モル%以上、より好ましくは75モル%以上が、イソホロンジイソシアネートであり、特にイソホロンジイソシアネートのみ(100モル%)を用いることが好ましい。
その他のポリイソシアネート化合物としては、2個以上のイソシアナト基を有する、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物及び脂環式ポリイソシアネート化合物(ただし、イソホロンジイソシアネートを除く)が挙げられ、例えば、炭素原子数6〜20(イソシアナト基中の炭素原子を除く。以下も同様とする)の芳香族ポリイソシアネート化合物、炭素原子数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート化合物、炭素原子数4〜20の脂環式ポリイソシアネート化合物である。具体的には、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−ジクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネーネート等の脂環式ポリシアネート化合物等が挙げられる。また、トリフェニルメタントリイソシアネートのようなイソシアナト基を3個以上有するポリイソシアネートも使用することができる。
〔ポリオール化合物(b)〕
本発明においては、ポリカーボネートポリオール(b1)及び酸性基含有ポリオール(b2)を含むポリオール化合物(b)が用いられる。なお、酸性基を含有するポリカーボネートポリオールは、ポリカーボネートポリオールではなく、酸性基含有ポリオールに含まれることとする。
ポリオール化合物(b)100重量%のうち、ポリカーボネートポリオール(b1)は、好ましくは80〜97重量%であり、酸性基含有ポリオール(b2)は、好ましくは3〜20重量%である。ポリオール化合物(b)中の上記酸性基含有ポリオール(b2)の割合がこの範囲であると、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の保存安定性を良好にすることができ、酸性基含有ポリオール(b2)の割合がこの範囲であると、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体又は水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料組成物により形成される塗膜の耐水性を良好にすることができる。ポリカーボネートポリオール(b1)は、より好ましくは85〜95重量%である。また、酸性基含有ポリオール(b2)は、より好ましくは5〜15重量%である。
〔ポリカーボネートポリオール(b1)〕
ポリカーボネートポリオール(b1)は、特に限定されない。本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体又は上記水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料組成物により形成される塗膜の機械的強度の点から、ポリカーボネートポリオールは、数平均分子量が500〜10000であることが好ましく、より好ましくは500〜7000、最も好ましくは800〜5000である。ここで、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、ポリカーボネートポリオールが分子内に有する水酸基の個数と、ポリカーボネートポリオールの水酸基価(mgKOH/g)から算出される値とする。例えば、水酸基が分子内にN個存在する場合、水酸基価から以下式により算出できる。
数平均分子量=(56100×N)/(ポリカーボネートポリオールの水酸基価)
ポリカーボネートポリオール(b1)としては、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体及び水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料により形成される塗膜に高い硬度及び耐摩耗性を与えられる観点から、脂環式構造を有するポリカーボネートポリオールが好ましい。
脂環式構造を有するポリカーボネートポリオールは、ポリオール(脂環式構造を有するポリオールを少なくとも1種含むこととする)と炭酸エステルとを反応させて得ることができる。脂環式構造を有するポリオールは、特に限定されず、例えば、炭素原子5〜12の脂環式基を有するポリオール等が挙げられる。具体的には、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン、2,7−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等が挙げられ、なかでも入手の容易さから1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
さらに、脂環式構造を有するポリカーボネートポリオールは分子内に、脂環式構造を有しないポリオールに基づく構造を有することができる。そのようなポリオールは、特に限定されず、脂肪族ポリオールが挙げられ、例えば、炭素原子数3〜12の脂肪族ポリオールである。具体的には、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の脂肪族ポリオールが挙げられる。
炭酸エステルは、特に限定されず、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の脂肪族炭酸エステル、ジフェニルカーボネート等の芳香族炭酸エステル、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル等が挙げられる。また同様のポリカーボネートポリオールを生成することができるホスゲンも使用できる。中でも、ポリカーボネートポリオールの製造のしやすさから、脂肪族炭酸エステルが好ましく、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びジメチルカーボネートが特に好ましい。
ポリカーボネートポリオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むポリオールと炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールが好ましく、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むポリオール由来の単位のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位が20モル%以上であるポリカーボネートポリオールが好ましい。
その他のポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族ポリオールと炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールを使用することができる。脂肪族ポリオール及び炭酸エステルとしては、上述のものを使用することができる。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール及びこれらの異性体等の脂肪族ポリオールと炭酸エステルから反応させて得られるポリカーボネートポリオール等を挙げられる。ポリカーボネートポリオールを得るため、脂肪族ポリオールは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて炭酸エステルと反応させてもよい。ポリカーボネートポリオールは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオール及び炭酸エステルからポリカーボネートポリオールを製造する方法としては、例えば、反応器中に炭酸エステルのモル数に対して過剰のモル数のポリオールを仕込み、温度130〜220℃及び圧力50〜760mmHgで5〜6時間反応させた後、さらに数mmHg以下の減圧下において160〜240℃で数時間反応させる方法が挙げられる。
〔酸性基含有ポリオール(b2)〕
酸性基含有ポリオール(b2)は、酸性基を少なくとも1個分子内に有するポリオール化合物であり、分子内に2個以上の水酸基を有することができる。酸性基は、特に限定されず、例えば、カルボキシ基、スルホニル基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。中でも、カルボキシ基が好ましい。
酸性基含有ポリオール(b2)は、特に限定されず、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸、N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸等が挙げられる。入手可能性の観点から、2個のメチロール基を含む炭素原子数4〜12のアルカン酸(ジメチロールアルカン酸)が好ましく、中でも、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸が好ましい。酸性基含有ポリオールは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔その他のポリオール〕
ポリオール化合物(b)は、その他のポリオールを含むことができる。その他のポリオールとしては、高分子量ポリオールや低分子量ポリオールが挙げられる。高分子量ポリオールは、特に限定されず、例えば、数平均分子量400〜4000のものを使用することができる。具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、1,6−へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、エチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体等が挙げられる。さらに、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエーテルポリエステルポリオール等を用いることもできる。低分子量ポリオールは、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。さらに、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子量多価アルコールを用いてもよい。
〔ポリウレタンプレポリマー(A)〕
本発明においてポリウレタンプレポリマー(A)は、イソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネート化合物(a)とポリカーボネートポリオール(b1)及び酸性基含有ポリオール(b2)を含むポリオール化合物(b)とを反応させて得られる。
ポリイソシアネート化合物(a)のイソシアナト基のモル数は、得られるプレポリマーの鎖延長剤との反応性及び得られる水性ポリウレタン分散体の塗膜の性能の点から、ポリオール化合物(b)の水酸基のモル数に対して、1.01〜2.5であることが好ましく、より好ましくは、1.2〜2.2である。
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール化合物(b)を反応させる際の温度は、特に限定されない。作業性及び副反応の抑制の点から、40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃である。反応時間は、特に限定されず、例えば、ポリオール化合物(b)の水酸基モル数の90モル%以上、好ましくは95%モル以上、より好ましくは98モル%以上がポリイソシアネート化合物(a)と反応する時間とすることができる。
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール化合物(b)との反応には、触媒を用いることができる。触媒は、特に限定されず、例えば、スズ系触媒(トリメチルスズラウレート、ジブチルスズジラウレート等)や鉛系触媒(オクチル酸鉛等)等の金属と有機及び無機酸の塩、及び有機金属誘導体、アミン系触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等)、ジアザビシクロウンデセン系触媒等が挙げられる。反応性の観点から、ジブチルスズジラウレートが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール化合物(b)との反応は、無溶剤でも、有機溶剤を加えて行なってもよい。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、酢酸エチル等が挙げられる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、ポリウレタンプレポリマーを水に分散し、さらに鎖伸長反応に付した後に、加熱減圧により除去できるので好ましい。また、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンは、得られた水性ポリウレタン分散体の塗膜形成の際に造膜助剤として働くため好ましい。
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール化合物(b)との反応により、ポリウレタンプレポリマー(A)が、無溶剤又は有機溶剤溶液として得られる。このポリウレタンプレポリマーは、末端にイソシアナト基を有する。
〔水性ポリウレタン樹脂分散体〕
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、ポリウレタンプレポリマー(A)の酸性基を中和する工程、ポリウレタンプレポリマー(A)を水系媒体中に分散させる工程及びポリウレタンプレポリマー(A)のイソシアナト基と二塩基酸ジヒドラジドを含む鎖延長剤(B)とを反応させる工程により得ることができる。ここで、酸性基を中和する工程と、水系媒体中に分散させる工程は同時に行ってもよく、水系媒体中に分散させる工程と、鎖延長剤と反応させる工程は、同時に行ってもよい。
〔塩基性成分による中和〕
ポリウレタンプレポリマー(A)の酸性基を中和するのに使用される塩基性成分は、特に限定されず、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、アンモニア等が挙げられる。好ましくは、有機アミンであり、特に好ましいものはトリエチルアミンである。
塩基性成分の添加量は、ポリウレタンプレポリマー(A)中の酸性基に対して0.5〜2倍当量とすることができ、好ましくは0.7〜1.5倍当量であり、より好ましくは0.85〜1.3倍当量である。
塩基性成分の添加方法としては、ポリウレタンプレポリマー(A)に、塩基性成分を、直接添加する方法や、下記水系媒体に塩基性成分を予め溶解させておく方法等が挙げられる。
〔水系媒体への分散〕
上記のようにして、ポリウレタンプレポリマー(A)の酸性基を中和するのと同時に、又は中和した後、水系媒体に分散させる。分散の方法は、特に限定されず、例えば、ホモミキサーやホモジナイザーによって水系媒体を攪拌しながら、ポリウレタンプレポリマー(A)を添加する方法が挙げられる。また、ポリウレタンプレポリマー(A)に、水系媒体を添加して分散させることもできる。
水系媒体としては、水、水と親水性有機溶媒との混合媒体等が挙げられる。水としては、例えば、上水、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられるが、入手の容易さや塩の影響による粒子の不安定化を防止する点から、イオン交換水が好ましい。
親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級1価アルコール、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等の非プロトン性の親水性有機溶媒等が挙げられる。水系媒体中、親水性有機溶媒は、20重量%以下であることが好ましい。
水系媒体は、水性ポリウレタン樹脂分散体中のポリウレタン樹脂の割合が5〜60重量%となるように配合することが好ましく、より好ましくは20〜50重量%となるようにする。
〔鎖延長剤(B)〕
鎖延長剤(B)は、二塩基酸ジヒドラジドを含む。基材との密着性やトップコートとの密着性の点から、鎖延長剤(B)100モル%のうち、二塩基酸ジヒドラジドは、50モル%以上であることが好ましい。この範囲であれば、延長剤中の二塩基酸ジヒドラジドにより、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体及び水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料により形成される塗膜と、基材やトップコートとの高い密着性が容易に得られる傾向がある。二塩基酸ジヒドラジドは、より好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは100モル%である。
二塩基酸ジヒドラジドは、特に限定されず、例えば、脂肪族ジカルボン酸のジヒドラジド及び芳香族ジカルボン酸のジヒドラジドが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸のジヒドラジドとしては、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジドが挙げられ、芳香族ジカルボン酸のジヒドラジドとしては、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、1,2−フェニレンジ酢酸ジヒドラジド、1,3−フェニレンジ酢酸ジヒドラジド、1,4−フェニレンジ酢酸ジヒドラジドが挙げられる。炭酸ジヒドラジドも使用することができる。得られる水性ポリウレタン樹脂分散体及び水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料により得られる塗膜の硬度及び塗膜と基材若しくはトップコートとの密着性の点から、脂肪族ジカルボン酸のジヒドラジドが好ましく、直鎖状脂肪族ジカルボン酸のヒドラジドがより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状脂肪族ジカルボン酸のヒドラジドがさらに好ましい。具体的には、アジピン酸ジヒドラジド、炭酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジドが好ましく、特に好ましくはアジピン酸ジヒドラジドである。
上記二塩酸ジヒドラジド以外の鎖延長剤としては、ヒドラジン、エチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール化合物、ポリエチレングリコールに代表されるポリアルキレングリコール類、水等が挙げられる。得られる水性ポリウレタン樹脂分散体及び水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料により得られる塗膜の硬度及び塗膜と基材若しくはトップコートとの密着性の点から、鎖延長剤中における二塩基酸ジヒドラジドのモル数が、全鎖延長剤中の80モル%以上であることが好ましい。
鎖延長剤(B)の添加量は、水系媒体に分散されたウレタンプレポリマー(A)のイソシアナト基1モルに対して、0.2〜0.6モルとすることが好ましい。この範囲であると、得られるポリウレタン樹脂の分子量が適切な範囲となり、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体及び水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料により得られる塗膜の硬度が良好で、塗膜と基材若しくはトップコートとの良好な密着性を得ることができる。鎖延長剤(B)の添加量は、水系媒体に分散されたウレタンプレポリマー(A)のイソシアナト基1モルに対して、より好ましくは0.3〜0.52モルである。
鎖延長剤(B)の添加は、ポリウレタンプレポリマー(A)の水系媒体への分散後でもよく、分散中でもよいが、ウレタンプレポリマー(A)が加熱された状態で水系媒体へ分散される場合は分散後に鎖延長剤(B)を添加するのが好ましい。反応の温度は、例えば0〜60℃であり、好ましくは0〜40℃である。反応時間は、例えば0.1〜3時間であり、好ましくは0.1〜2時間である。
〔塗料組成物〕
本発明はまた、上記の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料組成物にも関する。本発明の塗料組成物には、水性ポリウレタン樹脂分散体以外の樹脂(他の樹脂)、硬化剤等を配合することができる。塗料組成物中、水性ポリウレタン樹脂分散体は、5〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。
他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。他の樹脂は、1個以上の親水性基を有することが好ましい。親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基等が挙げられる。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂が水酸基を有する場合には、樹脂中の一部又は全部の水酸基とポリイソシアネート化合物とをウレタン反応させることにより、これらの樹脂を伸長させ高分子量化した、いわゆるウレタン変性ポリエステル樹脂又はウレタン変性アクリル樹脂を併用してもよい。
ポリエステル樹脂は、通常、酸成分とアルコ−ル成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、通常、酸成分として使用される化合物を使用することができる。酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を使用することができる。
ポリエステル樹脂の水酸基価は、10〜300mgKOH/g程度が好ましく、50〜250mgKOH/g程度がより好ましく、80〜180mgKOH/g程度がさらに好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、15〜100mgKOH/g程度がより好ましく、25〜60mgKOH/g程度がさらに好ましい。ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、500〜50,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましく、1,500〜20,000がさらに好ましい。本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により測定した値である。
アクリル樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂が好ましい。水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の既知の方法によって共重合させることにより製造できる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;これらのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシ基含有重合性不飽和モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和モノマー等が挙げられる。
水酸基含有アクリル樹脂は、カチオン性官能基を有することが好ましい。カチオン性官能基を有する水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、重合性不飽和モノマーの1種として、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等のカチオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーを用いることにより製造できる。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜100mgKOH/g程度がより好ましく、3〜60mgKOH/g程度がさらに好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂がカルボキシ基等の酸基を有する場合、水酸基含有アクリル樹脂の酸価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜150mgKOH/g程度がより好ましく、5〜100mgKOH/g程度がさらに好ましい。水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜100,000がより好ましく、さらに好ましくは3,000〜50,000の範囲内であることが好適である。
ポリエーテル樹脂としては、エーテル結合を有する重合体又は共重合体が挙げられ、例えばポリオキシエチレン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテル、ポリオキシブチレン系ポリエーテル、ビスフェノールA又はビスフェノールF等の芳香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール化合物から製造された重合体が挙げられ、例えばビスフェノールAと炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等の各種ポリオール成分とポリイソシアネート化合物との反応によって得られるウレタン結合を有する樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹脂等が挙げられる。ビスフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFが挙げられる。
アルキド樹脂としては、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸等の多塩基酸と多価アルコールに、さらに油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られたアルキド樹脂が挙げられる。
本発明の塗料組成物は、硬化剤を含有させることにより、塗料組成物を用いた塗膜又は複層塗膜の耐水性等を向上させることができる。硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、カルボジイミド等を用いることできる。硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ樹脂としては、例えば、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分もしくは完全メチロール化アミノ樹脂が挙げられる。アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられ、アルデヒド成分としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアナト基を有する化合物が挙げられ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、前述のポリイソシアネート化合物のポリイソシアナト基にブロック剤を付加することによって得られるものが挙げられ、ブロック剤としては、フェノール、クレゾール等のフェノール系、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール系等のブロック剤が挙げられる。
メラミン樹脂としては、例えば、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン等のメチロールメラミン;これらのメチロールメラミンのアルキルエーテル化物又は縮合物;メチロールメラミンのアルキルエーテル化物の縮合物等が挙げられる。
本発明の塗料組成物には、さらに、着色顔料や体質顔料、光輝性顔料を配合することができる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、着色顔料としては、酸化チタン及び/又はカーボンブラックが好ましい。
体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、体質顔料としては、硫酸バリウム及び/又はタルクが好ましく、硫酸バリウムがより好ましい。
光輝性顔料は、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母等を使用することができる。
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤を、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。一般的には、塗料組成物は、水性ポリウレタン樹脂分散体に、場合により、他の樹脂、硬化剤、上述した各種添加剤を混合し、水系媒体を添加し、塗装方法に応じた粘度に調製することにより製造される。
本発明の水性ポリウレタン分散体又は塗料組成物を、基材に適用した後、硬化させて塗膜を形成してコーティング基材を得ることができる。基材は、特に限定されず、金属、プラスチック、無機材料等が挙げられる。適用方法は、特に限定されず、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装等が挙げられる。塗布後の塗料やコーティング剤の硬化は、常温乾燥や熱風乾燥、加熱乾燥等の一般的な硬化方法を採用することができる。
コーティング基材は、塗膜の上に、さらにトップコートを備えていることもできる。トップコートとしては、特に制限されないが、溶剤系アクリルウレタン塗料や溶剤系ウレタン塗料、溶剤系アクリル塗料、シリコン変性アクリル塗料、シリコン変性ウレタン塗料が挙げられる。
以下に、合成例、実施例及び比較例を参照して、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、「%」は、特に言及がない限り、重量基準である。
なお、数平均分子量は、JIS K 1557のB法に準拠して測定した水酸基価から次式のように計算した。
数平均分子量=112200/水酸基価
実施例1
攪拌機、窒素導入管及び加熱器を備えた4つ口セパラブルフラスコに、ポリイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート(商品名デスモジュールI、バイエル社製)908.6gと、ポリオールとして、数平均分子量900のポリカーボネートジオール(商品名ETERNACOLL UM−90(3/1)、宇部興産社製)977.6g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(東京化成製)145.7gと、N−メチルピロリドン(三菱化学社製)768.4gを仕込み、窒素雰囲気下で、反応液温度を92〜90℃に調整して、反応触媒としてジブチルスズジラウレート(和光純薬製)を微量加え、6時間で反応率99%以上まで反応させた。得られた反応溶液を80℃に冷却した後、トリエチルアミン(和光純薬製)109.7gを加えて30分撹拌し、ウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液の1092gを、強撹拌状態に保持された蒸留水1772gの中にゆっくりと加えて分散させ、アジピン酸ジヒドラジド(和光純薬製)94.9gを加えて鎖伸長反応を行い、得られた分散体を120メッシュのステンレス網を通して濾過し、水性ポリウレタン樹脂分散体−1を得た。
得られた水性ポリウレタン樹脂分散体−1の固形分濃度は29.0%であり、20℃での粘度は57mPa・s(B型粘度計で測定した)であった。
密栓状態で40℃、2ヶ月間保管後において、樹脂分の分離は見られずに良好な分散状態を保持していた。
得られた水性ポリウレタン樹脂について、固形分濃度(重量%)、粘度(mPa・s)及びポリウレタン樹脂についてウレタン基当量(mmol/g)及びウレア基当量(mmol/g)を表1示す。ウレタン基当量、ウレア当量は、仕込み原料から算出できる。
得られた水性ポリウレタン樹脂分散体を、ポリカーボネート樹脂基材(商品名「ユーピロン」、三菱エンジニアリングプラスチック社製)の板上に18番手のバーコーターを用いて塗布し、1時間20℃で放置後、80℃で10分間乾燥し、塗膜サンプル−Aを得た。さらに、塗膜サンプル−Aに市販の溶剤系ウレタンニスを薄く均等に吹き付け、2時間20℃で放置後、80℃で30分間乾燥した。この吹き付け・乾燥操作を2回繰り返して、塗膜サンプル−Aにウレタン樹脂トップコートを形成した塗膜サンプル−Bを得た。
実施例2、3及び比較例1、2、3
下記の表1に示す配合処方に基づいて、実施例1と同様の方法により、水性ポリウレタン樹脂を調製した。
また、実施例1と同様に、得られた水性ポリウレタン樹脂について、固形分濃度(重量%)、粘度(mPa・s)及びポリウレタン樹脂についてウレタン基当量(mmol/g)及びウレア基当量(mmol/g)を表1に示す。
さらに、実施例1と同様の方法により、塗膜サンプル−A、塗膜サンプル−Bを得た。
Figure 0005761271
なお、表1中の略号は、下記の通りである。
IPDI:イソホロンジイソシアネート、商品名;デスモジュールI、バイエル社製
H12MDI:4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、商品名;デスモジュールW、バイエル社製
UM−90:1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールが3モル部対1モル部で共重合された、数平均分子量900のポリカーボネートジオール、商品名;ETERNACOLL UM−90(3/1)、宇部興産社製
DMPA:ジメチロールプロピオン酸、東京化成製
NMP:N−メチルピロリドン、三菱化学社製
TEA:トリエチルアミン、和光純薬製
AH:アジピン酸ジヒドラジド、和光純薬製
HZ:10%抱水ヒドラジン、アルドリッチ製
MPDA:2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、東京化成製
溶剤系ウレタン−1:商品名;油性超耐久屋外用ニススプレー(1液型ウレタンニス、透明クリア)、アサヒペン製
溶剤系ウレタン−2:商品名;速乾油性ニススプレー(ウレタンニス、透明クリア)、和信ペイント製
評価は、以下のようにして行った。
1)碁盤目剥離試験−a,b
JIS D 0202−1988に準拠して実施し、セロハンテープ(商品名「CT24」、ニチバン社製)を用い、指の腹でフィルムに強く密着させた後剥離した。判定は100マス(1マス2mm四方)の内、剥離しないマス目の数で表し、塗膜が剥離しない場合を100/100、完全に剥離する場合を0/100として表した。
2)鉛筆硬度試験
JIS K5400−1990に準拠して所定硬度の鉛筆(三菱鉛筆製、ユニ)で塗膜の引掻き試験を行い、塗膜にへこみが生じない鉛筆硬度を判定結果とした。
表1に示されるように、本発明に対応する実施例1〜3では、高い強度を有し、かつ基材との密着性に優れた塗膜が得られた。
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、基材及びトップコートとの密着性に優れるとともに、高い強度を有する塗膜を形成することができ、塗料の原料やコーティング剤として有用性が高い。本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、特にポリカーボネート樹脂との密着性に優れているため、ポリカーボネート樹脂用塗料の原料やコーティング剤として有用である。また、本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、基材及びトップコートの両方に対して、高い密着性を有しているため、特にベースコート用塗料の原料としても有用である。

Claims (7)

  1. イソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネート化合物(a)とポリカーボネートポリオール(b1)及び酸性基含有ポリオール(b2)を含むポリオール化合物(b)とを反応させて得られたポリウレタンプレポリマー(A)に、ヒドラジン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンからなる群から選ばれる1種以上と二塩基酸ジヒドラジドを含む鎖延長剤(B)を反応させて得られるポリウレタン樹脂が、水系媒体中に分散されてなる、水性ポリウレタン樹脂分散体。
  2. ポリカーボネートポリオール(b1)が、脂環式構造を有するポリカーボネートポリオールを含み、鎖延長剤(B)が2−メチル−1,5−ペンタンジアミンと二塩基酸ジヒドラジドとを含む、請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  3. 二塩基酸ジヒドラジドが、脂肪族二塩基酸ジヒドラジドである、請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  4. 脂肪族二塩基酸ジヒドラジドが、アジピン酸ジヒドラジドである、請求項1〜3のいずれか1項記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、塗料組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の水性ポリウレタン樹脂分散体又は請求項5記載の塗料組成物を基材に塗布し、硬化させて塗膜を形成したコーティング基材。
  7. 塗膜の上に、さらにトップコート層を備えた、請求項6記載のコーティング基材。
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