JP5755173B2 - 不織布および不織布の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不織布に関し、とくにワイプスに好適な不織布に関する。また、本発明は、上記不織布の製造方法に関する。
吸引部に沿って周回する開孔パターンネットに、水分率が50〜85重量%の繊維シートを移送させ、その繊維シートを開孔パターンネット上に保持した状態でその繊維シートを吸引すると共に、その吸引と同時に、またはその吸引の前後に、5kcal/kg以上の熱量を有する水蒸気を繊維シートに吹き付けて、開孔パターンネットに対応するパターンを繊維シートに形成し、乾燥工程において乾燥させることによりパターン付けされた嵩高紙を得ることを特徴とする嵩高紙の製造方法が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。この製造方法によって作製された嵩高紙は、クッキングペーパー、ペーパータオル、ティッシュなどのワイプスとして使用される。この嵩高紙の製造方法によれば、厚さが大きく、吸収性が高く、柔らかさに優れ、かつ適度な丈夫さを有する嵩高紙を製造することができる。
特開2000−34690号公報
不織布をワイプスとして使用する場合、厚さが大きく、吸収性が高く、柔らかさに優れ、かつ適度な丈夫さを有する以外に、拭いたときに汚れをよく除去できることが重要である。とくに、使用者は、ワイプスの機械方向および幅方向を意識せずにワイプスを使用するので、ワイプスを使用して対象物を拭く方向がワイプスの機械方向であるかワイプスの幅方向であるかに関係なくワイプスが汚れをよく除去できることが重要である。
本発明は、拭き取る方向が不織布の機械方向である場合も、幅方向である場合も、汚れをよく落とすことができる不織布およびその不織布の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の不織布の製造方法は、水分を含んだ抄紙原料を、一方向に移動するベルト上に供給して、該ベルト上に紙層を形成する工程と、紙層に高圧水流を噴射し、機械方向に延在し、幅方向に間欠的に並ぶ凹部を表面に形成する工程と、高圧水流を噴射した紙層を、回転する円筒状ドライヤの表面に付着させることによって、高圧水流を噴射した紙層を、10〜45%以下の水分率になるように乾燥する工程と、円筒状ドライヤの表面に付着させた紙層を、ドクター刃を介して該表面から引き離すことによって、紙層にクレープを形成する工程と、蒸気ノズルから、クレープを形成した紙層に高圧水蒸気を噴射することによって、凹部の幅よりも大きな幅を有し機械方向に延びる溝部を、紙層に形成したクレープを残しながら紙層の表面に形成する工程とを含む。
また、本発明の不織布は、縦方向と、縦方向に交差する横方向と、縦方向および横方向に対して垂直をなす厚さ方向と、厚さ方向に対して垂直をなす一方の面と、一方の面に対して厚さ方向に対向する他方の面とを有し、一方の面に、縦方向に延在し、横方向に並ぶ溝部と、一方の面および他方の面に、横方向に延在し、縦方向に並ぶクレープとを有する。
本発明によれば、拭き取る方向が不織布の機械方向である場合も、幅方向である場合も、汚れをよく落とすことができる不織布を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態における不織布の製造方法に使用する不織布製造装置を説明するための図である。 図2は高圧水流ノズルの一例を示す図である。 図3は高圧水流ノズルのノズル穴の一例を示す図である。 図4は、高圧水流によって紙層の繊維同士が交絡する原理を説明するための図である。 図5は、高圧水流が噴射された紙層の幅方向の断面概略図である。 図6は高圧水蒸気ノズルの一例を示す図である。 図7は高圧水蒸気ノズルのノズル穴の一例を示す図である。 図8は、高圧水蒸気によって、紙層の繊維がほぐれ、紙層の嵩が高くなる原理を説明するための図である。 図9は、高圧水蒸気が噴射された紙層の一部を切り出したものの概略斜視図である。 図10は、本発明の一実施形態における不織布の表面を示す顕微鏡写真である。
以下、図を参照して本発明の一実施形態の不織布の製造方法を説明する。図1は、本発明の一実施形態における不織布の製造方法に使用する不織布製造装置1を説明するための図である。
繊維懸濁液などの水分を含んだ抄紙原料が原料供給ヘッド11に供給される。原料供給ヘッド11に供給された抄紙原料は、原料供給ヘッド11から紙層形成コンベア16の紙層形成ベルト上に供給され、紙層形成ベルト上に堆積する。紙層形成ベルトは、蒸気が通過可能な通気性を有する支持体であることが好ましい。たとえば、ワイヤーメッシュ、毛布などを紙層形成ベルトとして使用できる。
原料供給ヘッド11に供給された抄紙原料に用いる繊維として、たとえば繊維長20mm以下の短繊維が好ましい。このような短繊維には、たとえば針葉樹や広葉樹の化学パルプ、半化学パルプおよび機械パルプなどの木材パルプ、これら木材パルプを化学処理したマーセル化パルプおよび架橋パルプ、麻や綿などの非木材系繊維ならびにレーヨン繊維などの再生繊維のようなセルロース系繊維、ならびにポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維のような合成繊維などが挙げられる。抄紙原料に用いる繊維は、とくに木材パルプ、非木材パルプ、レーヨン繊維などのセルロース系繊維が好ましい。
紙層形成ベルト上に堆積した抄紙原料は吸引ボックス15により適度に脱水され、紙層23が形成する。紙層23は、紙層形成ベルト上に配置された2台の高圧水流ノズル12と、紙層形成ベルトを挟んで高圧水流ノズル12に対向する位置に配置された2台の吸引ボックス15との間を通過する。高圧水流ノズル12は紙増23に高圧水流を噴射する。吸引ボックス15は高圧水流ノズル12から噴射された水を吸引して回収する。高圧水流ノズル12から高圧水流が紙層23に噴射され、紙層23の表面に凹部が形成される。
高圧水流ノズル12の一例を図2に示す。高圧水流ノズル12は、紙層23の幅方向(CD)に並んだ複数の高圧水流31を紙層23に向けて噴射する。その結果、紙層23の表面には、紙層23の幅方向(CD)に間欠的に並び、機械方向(MD)に延びる複数の凹部32が形成される。
高圧水流ノズル12のノズル穴の一例を図3に示す。高圧水流ノズル12のノズル穴121は、たとえば、紙層の幅方向(CD)に一列に並んで配置される。ノズル穴121の穴径は、好ましくは90〜150μmである。ノズル穴121の穴径が90μmよりも小さいと、ノズルが詰まりやすくなる場合がある。ノズル穴121の穴径が150μmよりも大きいと、処理効率が悪くなる場合がある。
ノズル穴121の穴ピッチ(幅方向(CD)に隣接する穴の中心間の距離)は、好ましくは0.5〜1.0mmである。ノズル穴121の穴ピッチが0.5mmよりも小さいと、ノズルの耐圧が低下し、破損する場合がある。また、ノズル穴121の穴ピッチが1.0mmよりも大きいと、繊維交絡が不十分となる場合がある。
紙層23が高圧水流を受けると、図2に示すように紙層23に凹部32が形成されるとともに紙層23の繊維同士が交絡し、紙層23の強度が高くなる。紙層23が高圧水流を受けると、紙層23の繊維同士が交絡する原理を、図4を参照して説明する。しかし、この原理は本発明を限定するものではない。
図4に示すように、高圧水流ノズル12が高圧水流31を紙層23に噴射すると、高圧水流31は、紙層23および紙層形成ベルト41を通過する。これにより紙層23の繊維は、高圧水流31が紙層形成ベルト41を通過する部分42に向かって引き込まれることになる。その結果、紙層23の繊維が、高圧水流31が紙層形成ベルト41を通過する部分42に向かって集まり、これにより繊維同士が交絡することになる。
紙層23の繊維同士が交絡することにより紙層23の強度は高くなる。これにより、後の工程で、高圧水蒸気を紙層23に噴射しても、紙層23に穴が開いたり、紙層23が破れたり、および吹き飛んだりすることが少なくなる。また、抄紙原料に紙力増強剤を添加しなくても紙層23の湿潤強度を増加させることができる。
2台の高圧水流ノズル12と、2台の吸引ボックス15との間を通過した後の位置(図1の符号24の位置)の紙層23の幅方向の断面の概略図を図5に示す。高圧水流によって紙層23の表面に凹部32が形成される。高圧水流が噴射された面の反対側の面には、紙層形成ベルトのパターンに対応するパターン(不図示)が形成される。
その後、図1に示すように、紙層23は、吸引ピックアップ17によって紙層搬送コンベア18に転写される。さらに、紙層23は紙層搬送コンベア19に転写され、そして、乾燥ドライヤ20に転写される。
乾燥ドライヤ20は、高圧水流が噴射された紙層23を乾燥する。乾燥ドライヤ20には、たとえば、ヤンキードライヤが用いられる。乾燥ドライヤ20は、回転する円筒状ドライヤを含み、円筒状ドライヤの表面は蒸気などにより約160℃に加熱される。乾燥ドライヤ20は、回転する円筒状ドライヤの表面に紙層23を付着させて、紙層23を乾燥する。
乾燥ドライヤ20は、好ましくは10〜45%、より好ましくは20〜40%の水分率になるように紙層23を乾燥する。ここで、水分率とは、紙層23の乾燥質量を100%としたときの紙層に含有している水の量である。
紙層23の水分率が10%よりも小さいと、紙層23の繊維間の水素結合力が強くなり、後述の高圧水蒸気によって紙層23の繊維をほぐすために必要なエネルギーが非常に高くなる場合がある。また、紙層23の水分率が10%よりも小さいと、円筒状ドライヤの表面への紙層23の付着力が弱くなり、後述のクレープを形成する工程によってクレープが紙層23に形成できない場合がある。
一方、紙層23の水分率が45%よりも大きくなると、後述の高圧水蒸気によって紙層23を所定の水分率以下に乾燥させるために必要なエネルギーが非常に高くなる場合がある。また、紙層23の水分率が45%よりも大きくなると、紙層中の繊維間の水素結合力が弱くなる。これにより、後述のクレープを形成する工程によって紙層23に形成したクレープが紙層23にかかっている張力によって変形し、なくなったり、クレープ形成時に紙層23の強度が大きく低下し、紙層23が破れたりする場合がある。
図1に示すように、乾燥ドライヤ20における回転する円筒状ドライヤの表面に付着した紙層23は、ドクター刃26を介して円筒状ドライヤの表面から引き離される。このとき、幅方向(CD)方向に延在し、機械方向(MD)に並ぶクレープが紙層23に形成される。円筒状ドライヤの表面に付着している紙層23は、円筒状ドライヤの表面に当接しているドクター刃26の端面に衝突した後に円筒状ドライヤの表面から引き離される。この衝突によって紙層23は機械方向(MD)の断面の形状が波状になるように曲げられ、紙層23にクレープが形成される。
紙層23に形成されるクレープのクレープ率は、好ましくは5〜50%である。紙層23に形成されるクレープのクレープ率が5%よりも小さいと、不織布の機械方向(MD)の拭き取り性があまり改善されない場合がある。紙層23に形成されるクレープのクレープ率が50%よりも大きいと、クレープを形成した紙層に溝部を均一に形成することが難しい場合があったり、生産速度が半分以下となり生産性が悪くなったりする場合がある。
紙層23のクレープ率は、たとえば、以下のようにして測定することができる。
(1)機械方向(MD)の長さが150mmであり幅方向(CD)の長さが50mmである測定用試料を、クレープを形成した紙層から切り出す。
(2)切り出した測定用試料の幅方向(CD)中央の表面に、機械方向(MD)に延びる長さ100mmの直線を、油性ボールペンなどを使用して描く。この直線を描くとき、紙層が破れないように注意する。
(3)測定用試料を水の中に10秒間浸す。
(4)測定用試料を水の中から取りだし、ガラス板の上に載せる。そして、紙層のクレープが消失するまで、測定用試料を機械方向(MD)に伸ばす。
(5)伸ばした測定用試料に描かれた直線の機械方向(MD)の長さA(mm)を測定する。
(6)以下の式からクレープ率を算出する。
クレープ率(%)=(A−100)/A×100
(7)同じ測定用試料について上記(3)〜(6)をさらに2回繰り返す。
(8)算出した3つのクレープ率の平均値をその紙層のクレープ率とする。
次に、図1に示すように、クレープを形成した紙層23は、円筒状のサクションドラム13のメッシュ状の外周面上に移動する。このとき、サクションドラム13の外周面の上方に配置された1台の蒸気ノズル14から高圧水蒸気が紙層23に噴射される。サクションドラム13は吸引装置を内蔵しており、蒸気ノズル14から噴射された水蒸気は吸引装置によって吸引される。蒸気ノズル14から噴射された高圧水蒸気によって、紙層23の表面に、高圧水流によって形成された凹部よりも幅が大きい溝部が形成される。
高圧水蒸気を噴射する紙層23の面は、高圧水流を噴射した面の反対側の面であることが好ましい。高圧水流を噴射した面の反対側の面における紙層23の繊維に比べて、高圧水流を噴射した面における紙層23の繊維は強く交絡しており、高圧水蒸気によって紙層中の繊維をほぐすのに、よりエネルギーを要するからである。
蒸気ノズル14から噴射される高圧水蒸気は、100%の水からなる水蒸気でもよいし、空気などの他の気体を含んだ水蒸気でもよい。しかし、蒸気ノズル14から噴射される高圧水蒸気は、100%の水からなる水蒸気であることが好ましい。
高圧水蒸気の温度は、好ましくは105〜220℃である。これにより、高圧水蒸気を紙層23に噴射しているときも紙層23の乾燥は進み、紙層23は嵩が高くなるのと同時に乾燥する。紙層23が乾燥すると紙層23の繊維同士の水素結合が強くなるので、紙層23の強度は高くなり、紙層23の高くなった嵩はつぶれにくくなり、紙層23に形成されたクレープは消えにくくなる。また、紙層23の強度は高くなることによって、高圧水蒸気の噴射により紙層23に穴が開いたり、切れたりすることを防止できる。
サクションドラム13の上方に配置された蒸気ノズル14の一例を図6に示す。蒸気ノズル14は、機械方向(MD)および紙層23の幅方向(CD)に並んだ複数の高圧水蒸気51を、クレープ52が形成された紙層23に向けて噴射する。その結果、紙層23の上面には、紙層23の幅方向にならび、機械方向(MD)に延びる複数の溝部53が形成される。上述したようにこの溝部53の幅は、高圧水流31によって形成された凹部32(図2参照)の幅よりも大きい。
図7は、高圧水蒸気ノズル14のノズル穴141の一例を示す図である。図7に示す蒸気ノズル14のように、幅方向(CD)に並んだ複数のノズル穴141Aのノズル穴列が、機械方向(MD)に3列に並ぶ。したがって、図6に示すように、幅方向(CD)に並んだ複数の高圧水蒸気51は、機械方向(MD)に3列に並ぶ。なお、幅方向(CD)に並んだ複数のノズル穴のノズル穴列が、機械方向(MD)に並ぶ列の数は、3に限定されず、1、2および4以上であってもよい。また、複数の高圧水蒸気ノズルを、機械方向(MD)に並べることによって、幅方向(CD)に並んだ複数のノズル穴のノズル穴列を機械方向(MD)に並ぶようにしてもよい。なお、幅方向(CD)に並んだ複数のノズル穴のノズル穴列が、機械方向(MD)に複数並ぶように、ノズル穴を配置することによって、溝部を紙層に確実に形成することができ、これにより、紙層の嵩を確実に高めることができる。
蒸気ノズル14のノズル穴の穴径は、好ましくは150〜500μmである。ノズル穴の穴径が150μmよりも小さいと、エネルギーが不足し、十分に繊維を掻き分けられない場合がある。また、蒸気ノズル14の穴径が500μmよりも大きいと、エネルギーが大き過ぎ基材ダメージが大きくなり過ぎる場合がある。
ノズル穴の穴ピッチ(幅方向(CD)に隣接するノズル穴の中心間の距離)は、好ましくは3.0〜7.0mmである。ノズル穴の穴ピッチが3.0mmよりも小さいと、隣接する高圧水蒸気の幅方向(CD)の間隔が小さくなり過ぎてしまい、相互の間隔が小さい高圧水蒸気によって紙層23に形成されたクレープの大部分がかき消されてしまう場合がある。また、ノズル穴の穴ピッチが7.0mmよりも大きいと、紙層23の嵩があまり高くならず、高圧水蒸気による紙層23の柔軟性改善効果が低下する場合がある。
蒸気ノズル14から噴射される高圧水蒸気の蒸気圧力は、好ましくは0.2〜1.5MPaである。高圧水蒸気の蒸気圧力が0.2MPaよりも小さいと、紙層23の嵩が、高圧水蒸気によってあまり高くならない場合がある。また、高圧水蒸気の蒸気圧力が1.5MPaよりも大きいと、紙層23に穴が開いたり、紙層23が破れたり、および吹き飛んだりする場合がある。なお、紙層23にクレープを形成するときに紙層23の繊維はほぐれるので、クレープを形成しない場合に比べて、低い蒸気圧力の高圧水蒸気によって紙層23の嵩を高くすることができる。
紙層23に高圧水蒸気が噴射されると、紙層23の繊維はほぐれ、そして紙層23の嵩は高くなる。これにより、紙層23の柔軟性が高まり、紙層23の触感が改善される。紙層23が高圧水蒸気を受けると、紙層23の繊維がほぐれ、紙層23の嵩が高くなる原理を、図8を参照して説明する。しかし、この原理は本発明を限定するものではない。
図8に示すように、蒸気ノズル14が高圧水蒸気51を噴射すると、高圧水蒸気51はサクションドラム13にあたる。高圧水蒸気51は、大部分はサクションドラム13にはね返される。これにより紙層23の繊維は、巻き上がり、そしてほぐされる。そして、ほぐされた紙層23の繊維は、高圧水蒸気51によってかき分けられ、紙層23に溝部が形成される。かき分けられた繊維は、高圧水蒸気51が紙層23にあたる部分54の幅方向側に移動して集まり、紙層23の嵩が高くなる。また、紙層23に含まれる水分は、高圧水蒸気51の熱により蒸発し、紙層23から除去される。これにより、紙層23の乾燥が進む。
本発明の一実施形態の不織布の製造方法では、紙層の嵩を高くするために、高圧水蒸気によって紙層に溝部を形成する。したがって、高圧水蒸気によってかき分けられる繊維の量を多くするために、高圧水蒸気によって形成された溝部の幅は、高圧水流によって形成された凹部の幅よりも大きくなる。
高圧水蒸気が噴射された部分では紙層の繊維はほぐされるため、溝部の内部の表面において、クレープは小さくなるかまたはなくなる。これにより、溝部の表面の部分では、クレープが残っている他の部分に比べて紙層が機械方向(MD)に伸びにくくなる。したがって、紙層の溝部は、紙層のクレープが伸びて消滅することを抑制し、クレープの形状を保持するための固定部分になる。これにより、製造された不織布が湿潤状態になっても、不織布はクレープを保持することができる。また、上述したように、10〜45%以下の水分率になるように乾燥した紙層23にクレープを形成したので、クレープが紙層23に強固に形成され、上述の高圧水蒸気によって紙層23の繊維がほぐされても、溝部の表面の部分以外では、紙層23に形成されたクレープは保持される。
図9は、高圧水蒸気が噴射された紙層23(図1の符号25の位置)の一部を切り出したものの概略斜視図である。紙層23は、縦方向と、縦方向に交差する横方向と、縦方向および横方向に対して垂直をなす厚さ方向と、厚さ方向に対して垂直をなす一方の面と、一方の面に対して厚さ方向に対向する他方の面とを有し、一方の面に、縦方向に延在し、横方向に並ぶ溝部53と、一方の面および他方の面に、横方向に延在し、縦方向に並ぶクレープ52とを有する。ここで、縦方向は機械方向(MD)に対応し、横方向は幅方向(CD)に対応する。一方の面では、クレープ52は隣接する溝部53の間に設けられている。
紙層23のうち、高圧水流によって形成された凹部32が複数存在する面側の領域55は、紙層23の強度が強い領域であり、高圧水蒸気によって溝部53が形成されている面側の領域56は、高圧水蒸気によって紙層23の強度が上記領域55に比べて若干弱くなっているものの紙層23の嵩が高くなっている領域である。このように、紙層23に強度の強い領域55と強度は弱いが嵩は高い領域56とを形成すことによって、紙層23における強度と嵩高とのバランスをとることができる。すなわち、これにより、嵩高であり、強度が高い紙層23を形成することができる。
図9に示すように、溝部53の内部の表面には、クレープ52がほとんど見えないが、隣接する溝部53の間にはクレープが残っている。また、高圧水流によって凹部32が形成された面にもクレープ52(不図示)は残る。
不織布を幅方向(CD)に移動させて汚れを拭き取る場合、溝部53によって汚れをかき取ることができる。したがって、不織布に形成した溝部53は、不織布の幅方向(CD)に不織布を動かして汚れを拭き取るときに、不織布における汚れを拭き取る能力を向上させる。
不織布を機械方向(MD)に移動させて汚れを拭き取るとき、不織布のクレープ52によって汚れをかき取ることができる。したがって、不織布のクレープ52は、不織布の機械方向(MD)に不織布を動かして汚れを拭き取るときに、不織布における汚れを拭く取る能力を向上させる。
平面状態の紙層23を高圧水蒸気によってほぐす場合に比べて、コルゲート状(蛇腹状)の紙層23を高圧水蒸気によってほぐす方が紙層23は起毛しやすい。紙層23にクレープを形成することにより、紙層23をコルゲート状(蛇腹状)にした状態で、高圧水蒸気により紙層23をほぐすことができるので、紙層23に起毛が生じやすくなる。また、上述したように、紙層23には、繊維長20mm以下の短繊維が用いられるため、紙層23に起毛がさらに生じやすくなる。このため、図9に示すように、高圧水蒸気を噴射した紙層23における繊維の一方の端が紙層23の表面から突出し、紙層23に起毛57が生じる。この起毛57は汚れをよく付着させるので、この起毛57により、不織布は汚れをさらによく落とすことができる。
水蒸気ノズル14のノズル穴141のノズルピッチ、高圧水蒸気の水蒸気圧などを調整することによって、不織布を幅方向(CD)に移動させて汚れを拭き取るときの不織布の拭き取り性能と、不織布を機械方向(MD)に移動させて汚れを拭き取るときの不織布の拭き取り性能との間のバランスを制御することができる。たとえば、水蒸気ノズル14のノズル穴141のノズルピッチを小さくすると、不織布の幅方向(CD)に不織布を動かして汚れを拭き取るときに、不織布における汚れを拭き取る能力をさらに向上させることができ、水蒸気ノズル14のノズル穴141のノズルピッチを大きくすると、不織布のクレープが残っている部分の割合が大きくなるので、不織布の機械方向(MD)に不織布を動かして汚れを拭き取るときに、不織布における汚れを拭く取る能力をさらに向上させることができる。
蒸気ノズル14から噴射された蒸気を吸引する、サクションドラム13に内蔵された吸引装置により、サクションドラム13が紙層23を吸引する吸引力は、好ましくは−1〜−12kPaである。サクションドラム13の吸引力が−1kPaよりも小さいと蒸気を吸いきれず吹き上がりが生ずる場合がある。また、サクションドラム13の吸引力が−12kPaよりも大きいとサクション内への繊維脱落が多くなる場合がある。
蒸気ノズル14の先端と紙層23の上面との間の距離は、好ましくは1.0〜10mmである。蒸気ノズル14の先端と紙層23の上面との間の距離が1.0mmよりも小さいと、紙層23に穴が開いたり、紙層23が破れたり、吹き飛んだりする場合がある。また、蒸気ノズル14の先端と紙層23の上面との間の距離が10mmよりも大きいと、高圧水蒸気における紙層23の表面に溝部を形成するための力が分散してしまい、紙層23の表面に溝部を形成する能率が悪くなる場合がある。
高圧水蒸気を噴射した後の紙層23の水分率は、好ましくは35%以下であり、さらに好ましくは30%以下である。高圧水蒸気を噴射した後の紙層23の水分率が35%よりも大きいと、後述の乾燥ドライヤによる乾燥によって紙層23の水分率を5%以下にすることが難しい場合がある。この場合、さらに追加の乾燥が必要であり、不織布の製造効率が悪くなる。
その後、図1に示すように、乾燥ドライヤ20とは別の乾燥ドライヤ22に転写される。乾燥ドライヤ22は、高圧水蒸気を噴射した紙層23を、最終製造物である不織布になるまで乾燥する。乾燥ドライヤ22には、たとえば、ヤンキードライヤが用いられる。乾燥ドライヤ22は、蒸気により約150℃に加熱された円筒状ドライヤの表面に紙層23を付着させて、紙層23を乾燥させる。
乾燥ドライヤ22を通過した後の紙層23は十分に乾燥していることが必要である。具体的には、乾燥ドライヤ22を通過した後の紙層23の水分率は、好ましくは5%以下である。なお、高圧水蒸気を噴射した直後の紙層23の水分率が5%以下である場合、高圧水蒸気を噴射した紙層23を、乾燥ドライヤ22などを使用して乾燥しなくてもよい。
乾燥した紙層23(不織布)は、巻き取り機21に巻き取られる。
以上のようにして製造した不織布の表面の顕微鏡写真を図10に示す。この表面は、高圧水蒸気を噴射した面である。図10から、製造した不織布は、機械方向(MD)に延在し、幅方向(CD)に並ぶ溝部と幅方向(CD)に延在し、機械方向(MD)に並ぶクレープとを有することがわかる。
なお、高圧水蒸気を噴射する前ではなく、高圧水蒸気を噴射した後に、クレープを形成する工程を実施すると、水蒸気を紙層に噴射することによって形成した溝部がクレープを形成する工程で破壊されたり、繊維がほぐされて繊維抜け、シート破れなどのトラブルが発生したりする場合がある。
以上のように作製した不織布を所定寸法に裁断することによって、この不織布を乾燥ワイプスとして使用することができる。また、以上のように作製した不織布を所定寸法に裁断し、所定量の薬液を裁断した不織布に含浸させることによって、この不織布を湿潤ワイプスとして使用することができる。
上述したように、クレープ52を紙層23に形成した後に、高圧水蒸気によって溝部53を紙層23に形成したので、不織布からワイプスを作製する工程、たとえば、不織布を裁断する工程、薬液を不織布に含浸させる工程などで、不織布のクレープがなくなることはない。したがって、本発明の一実施形態の不織布から作製されたワイプスは、ワイプスの拭き取る方向に関係なく汚れをよく落とすことができる。
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例および比較例において、蒸気吹付け前紙層水分率、クレープ前紙層目付、クレープ後紙層目付、乾燥厚さ、密度、乾燥引張強度、乾燥引張伸度、湿潤引張強度、湿潤引張伸度、高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率および高圧水流噴射面における汚れ除去率を、以下のようにして測定した。
(蒸気吹付け前紙層水分率)
乾燥ドライヤ20で乾燥した紙層から30cm×30cmのサイズのサンプル片をサンプリングし、そのサンプル片の重量(W1)を測定した。その後、サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し乾燥させたのち、重量(D1)を測定した。蒸気吹付け前紙層水分率は、N=10での測定値の平均値である。
蒸気吹付け前紙層水分率=(W1−D1)/W1×100(%)
(クレープ前紙層目付)
紙層の目付は、乾燥ドライヤ20で乾燥したクレープを形成する前の紙層から30cm×30cmのサイズの測定用試料をサンプリングし、サンプリングした測定用試料の重量を測定することにより算出した。紙層目付は、N=10での測定値の平均値である。
(クレープ後紙層目付)
紙層の目付は、クレープを形成した高圧水蒸気を噴射する前の紙層から30cm×30cmのサイズの測定用試料をサンプリングし、サンプリングした測定用試料の重量を測定することにより算出した。紙層目付は、N=10での測定値の平均値である。
(乾燥厚さ)
製造した不織布から10cm×10cmのサイズの測定用試料をサンプリングした。15cm2の測定子を備えた厚み計((株)大栄化学精器製作所製 型式FS-60DS)を使用して、3gf/cm2の測定荷重の測定条件で、測定用試料の厚さを測定した。1つの測定用試料について3ヶ所の厚さを測定し、3ヶ所の厚さの平均値を乾燥厚さとした。
(密度)
製造した不織布から10cm×10cmのサイズの測定用試料をサンプリングした。測定用試料の重量を測定し、上記乾燥厚さから不織布の密度を算出した。
(乾燥引張強度)
製造した不織布から、長手方向が紙層の機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向が紙層の幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製した。機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ 型式AGS-1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張強度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張強度の平均値を機械方向および幅方向の乾燥引張強度とした。
(乾燥引張伸度)
製造した不織布から、長手方向が紙層の機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向が紙層の幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製した。機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ 型式AGS-1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張伸度を測定した。ここで、引張伸度とは、引張試験機で測定用試料を引っ張ったときの最大の伸び(mm)をつかみ間距離(100mm)で割り算した値である。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張伸度の平均値を機械方向および幅方向の乾燥引張伸度とした。
(湿潤引張強度)
製造した不織布から長手方向が紙層の機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向が紙層の幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製し、測定用試料の質量の2.5倍の水を測定用試料に含浸させた(含水倍率、250%)。そして、機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ 型式AGS-1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張強度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張強度の平均値を機械方向および幅方向の湿潤引張強度とした。
(湿潤引張伸度)
製造した不織布から長手方向が紙層の機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向が紙層の幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製し、測定用試料の質量の2.5倍の水を測定用試料に含浸させた(含水倍率、250%)。そして、機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ 型式AGS-1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張伸度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張伸度の平均値を機械方向および幅方向の湿潤引張伸度とした。
(高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率)
以下の手順で不織布の高圧水蒸気を噴射した面(高圧水蒸気噴射面)における汚れ除去率を測定した。
(1)12.6重量%のカーボンブラック(Carbon Black、米山薬品工業(株)製)、20.8重量%の牛脂極度硬化油(日本油脂(株)製)および66.6重量%の流動パラフィン(ナカライテスク(株)製)を含む模擬汚れペーストを作製した。汚れペースト:ヘキサン(ナカライテスク(株)製)が重量比で85:15になるように、模擬汚れペーストをヘキサンで希釈し、模擬汚れ剤を作製した。
(2)プレパラート上に模擬汚れ剤を0.05ml滴下し、20℃の温度および60%の湿度の条件の雰囲気中で、模擬汚れ剤を滴下したプレパラートを24時間乾燥した。
(3)乾燥後、スキャナー(Calario GT-750、Epson社製)を使用して、原稿種:フィルム、タイプ:ポジフィルム、イメージ:16bitグレー、品質:画質優先、解像度:1200dpi、原稿サイズ:68.6×237mm、出力:等倍の条件でプレパラートの画像を取り込み、取り込んだ画像の画像データから、プレパラートの模擬汚れ剤が付着している部分のうちの16.9mm×16.9mmの範囲の色味を算出した。ここで、色味を以下のように算出した。所定のしきい値を設定して調補正で取り込んだ画像を2階調化した。汚れが付着している部分の階調が0(黒)、汚れが付着していない部分の階調が255(白)になるように、2階調化するためのしきい値を設定した。そして、エクセル2007(Microsoft社製)を使用して横軸が階調、縦軸が頻度のヒストグラムを作成した。0の階調の頻度を色味とした。
(4)不織布によるプレパラートに付着した模擬汚れ剤の拭き取りは、プラスチックフィルム−およびシート−摩擦係数試験方法(JIS−K−7125:1999)を応用して実施した。製造した不織布から140×190mmのサイズの測定用試料をサンプリングし、摩擦係数測定装置(テスター産業株式会社製)のテーブルに、高圧水蒸気噴射面が上になるように測定用試料を取り付けた。このとき、滑り片の移動方向が、測定用試料が拭き取る方向(機械方向(MD)または幅方向(CD))なるように測定用試料を配置した。模擬汚れ剤が付着した面が測定用試料と接触するように、模擬汚れ剤が付着したプレパラートを、測定用試料の上に載せた後、プレパラートの模擬汚れ剤が付着した面の反対側の面に滑り片およびロードセルを取り付けた。そして、150mm/分の送り速度および60g荷重の条件で摩擦係数測定を1回行うことによって、プレパラートに付着した模擬汚れ剤を測定用試料で拭き取った。
(5)プレパラートに付着した模擬汚れ剤を拭き取った後、上述のスキャナーを使用して同一の条件でプレパラートの画像を取り込み、取り込んだ画像の画像データから、模擬汚れ剤を拭き取る前のプレパラートにおいて色味を算出した範囲と同じ範囲の色味を算出した。
(6)プレパラートに付着した模擬汚れ剤を拭き取る前の色味からプレパラートに付着した模擬汚れ剤を拭き取った後の色味を引き算し、プレパラートに付着した模擬汚れ剤を拭き取る前の色味でその値を割り算することによって色味の変化率を算出した。この値を測定用試料の汚れ除去率とした。測定用試料の拭き取り性がよいと、プレパラートに付着した模擬汚れ剤は測定用試料によってきれいに拭き取られるので、色味の変化率、すなわち汚れ除去率は大きくなる。一方、測定用試料の拭き取り性が悪いと、測定用試料によって模擬汚れ剤を拭き取ったプレパラートには模擬汚れ剤が多く残っているので、色味の変化率、すなわち汚れ除去率は小さくなる。このように汚れ除去率の値によって、測定用試料の汚れを拭く取る能力を評価することができる。3つの測定用試料について、汚れ除去率を測定し、その平均値をその測定用試料の汚れ除去率とした。
(高圧水流噴射面における汚れ除去率)
摩擦係数測定装置のテーブルに、高圧水流噴射面(高圧水流を噴射した面)が上になるように測定用試料を取り付けた以外、高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率と同じ方法で高圧水流噴射面における汚れ除去率を測定した。
以下、実施例および比較例の作製方法について説明する。
(実施例1)
本発明の一実施形態における不織布製造装置1を使用して実施例1を作製した。70重量%の針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、繊度が1.1dtexであり、繊維長が7mmである30重量%のレーヨン(ダイワボウレーヨン(株)製、コロナ)とを含む抄紙原料を作製した。そして、原料ヘッドを使用して紙層形成ベルト(日本フィルコン(株)製 OS80)上に抄紙原料を供給し、吸引ボックスを使用して抄紙原料を脱水して紙層を形成した。このときの紙層の紙層水分率は80%であった。その後、2台の高圧水流ノズルを使用して高圧水流を紙層に噴射した。2台の高圧水流ノズルを使用して紙層に噴射した高圧水流の高圧水流エネルギーは0.2846kW/m2であった。ここで、高圧水流エネルギーは下記の式から算出される。
高圧水流エネルギー(kW/m2)=1.63×噴射圧力(kg/cm2)×噴射流量(m3/分)/処理速度(M/分)/60
ここで、噴射流量(立方M/分)=750×オリフィス開孔総面積(m2)×噴射圧力(kg/cm2)0.495
また、高圧水流ノズルの先端と紙層の上面との間の距離は10mmであった。さらに、高圧水流ノズルのノズル穴の穴径は92μmであり、ノズル穴の穴ピッチは0.5mmであった。
紙層は、2台の紙層搬送コンベアに転写された後、160℃に加熱されたヤンキードライヤに転写され、乾燥された。このヤンキードライヤにおけるライン速度は80m/分であった。そして、ヤンキードライヤの表面に付着させた紙層を、ドクター刃を介してその表面から引き離すことによってクレープ加工が実施され、紙層にクレープが形成された。後述の高圧水蒸気を噴射した紙層を乾燥するヤンキードライヤのライン速度は68m/分であった。この2つのヤンキードライヤのライン速度の速度差により、形成したクレープのクレープ率を14%にすることができた。
次に、1台の蒸気ノズルを使用して高圧水蒸気を紙層の高圧水流が噴射された面の反対の面(高圧水流噴射面の反対面)に噴射した。このときの高圧水蒸気の蒸気圧力は0.7MPaであり、蒸気温度は210℃であった。また、蒸気ノズルの先端と紙層の上面との間の距離は2.0mmであった。蒸気ノズルのノズル穴は、機械方向(MD)に3列に並べた。さらに、蒸気ノズルのノズル穴の穴径は500μmであり、穴ピッチは4.0mmであった。また、サクションドラムが紙層を吸引する吸引力は、−5kPaであった。サクションドラムの外周にはステンレス製の18メッシュ開孔スリーブを使用した。
そして、紙層は、150℃に加熱したヤンキードライヤに転写され、乾燥した。乾燥した紙層が実施例1となる。
(比較例1)
比較例1は、高圧水流を紙層に噴射しなかった点を除いて、実施例1の製造方法と同様な方法によって製造された。
(比較例2)
比較例2は、クレープを形成する工程を実施しなかった点を除いて、実施例1の製造方法と同様な方法によって製造された。
(比較例3)
実施例3は、高圧水蒸気を噴射しなかった点を除いて、実施例1の製造方法と同様な方法によって製造された。
以上の実施例および比較例の製造条件を表1に示す。
以上の実施例および比較例の、蒸気吹付け前紙層水分率、クレープ前紙層目付、クレープ後紙層目付、乾燥厚さ、密度、乾燥引張強度、乾燥引張伸度、湿潤引張強度および湿潤引張伸度を表2に示す。
以上の実施例および比較例の、高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率および高圧水流噴射面における汚れ除去率を表3に示す。
(1)実施例1と比較例1との比較
比較例1の強度が弱かったため、比較例1では高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率の測定および高圧水流噴射面における汚れ除去率の測定が実施できなかった。また、比較例1では、乾燥引張強度および湿潤引張強度が非常に低かった。一方、実施例1では、乾燥引張強度および湿潤引張強度は高く、高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率の測定および高圧水流噴射面における汚れ除去率の測定を実施することができた。これらから、高圧水流を紙層に噴射する工程を実施することによって、不織布の強度を高められることがわかった。
(2)実施例1と比較例2との比較
比較例2では、乾燥厚さが小さく、密度が高かった。また、比較例2では、不織布の幅方向(CD)における汚れ除去率が大きかったが、不織布の機械方向(MD)における汚れ除去率が小さかった。一方、実施例1および2では、乾燥厚さは大きく、密度が低かった。また、比較例1では、幅方向(CD)のみならず機械方向(MD)においても汚れ除去率が大きかった。これらから、クレープを形成する工程を実施することによって、不織布の嵩を高くできること、および不織布の幅方向(CD)のみならず機械方向(MD)においても汚れの拭き取り性を向上させることができることがわかった。
(3)実施例1と比較例3との比較
比較例3では、乾燥厚さが小さく、密度が高かった。また、比較例3では、不織布の幅方向(CD)および機械方向(MD)において汚れ除去率が小さかった。一方、実施例1では、乾燥厚さは大きく、密度が低かった。また、実施例1および2では、幅方向(CD)および機械方向(MD)において汚れ除去率が大きかった。これらから、クレープを紙層に形成する工程を実施しても、高圧水蒸気を紙層に噴射する工程を実施しなければ、不織布の機械方向(MD)の汚れ拭き取り性を向上させることはできないことがわかった。また、高圧水蒸気を紙層に噴射する工程を実施することによって、不織布の嵩を高くし、不織布の幅方向(CD)の汚れ拭き取り性を向上させることができることがわかった。
1 不織布製造装置
11 原料供給ヘッド
12 高圧水流ノズル
13 サクションドラム
14 蒸気ノズル
15 吸引ボックス
16 紙層形成コンベア
17 吸引ピックアップ
18,19 紙層搬送コンベア
20,22 乾燥ドライヤ
21 巻き取り機
23 紙層
26 ドクター刃
31 高圧水流
32 凹部
41 紙層形成ベルト
51 高圧水蒸気
52 クレープ
53 溝部
57 起毛

Claims (6)

  1. 水分を含んだ抄紙原料を、一方向に移動するベルト上に供給して、該ベルト上に紙層を形成する工程と、
    前記紙層に高圧水流を噴射し、機械方向に延在し、幅方向に間欠的に並ぶ凹部を表面に形成する工程と、
    前記高圧水流を噴射した紙層を、回転する円筒状ドライヤの表面に付着させることによって、前記高圧水流を噴射した紙層を、10〜45%以下の水分率になるように乾燥する工程と、
    前記円筒状ドライヤの表面に付着させた前記紙層を、ドクター刃を介して該表面から引き離すことによって、前記紙層にクレープを形成する工程と、
    蒸気ノズルから、前記クレープを形成した紙層に高圧水蒸気を噴射することによって、前記凹部の幅よりも大きな幅を有し機械方向に延びる溝部を、前記紙層に形成したクレープを残しながら前記紙層の表面に形成する工程とを含む不織布の製造方法。
  2. 前記蒸気ノズルのノズル穴のノズルピッチは3.0〜7.0mmである、請求項1に記載の不織布の製造方法。
  3. 前記蒸気ノズルは、幅方向に並んでいるノズル穴のノズル穴列を機械方向に複数列備える、請求項1または2に記載の不織布の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた不織布。
  5. 前記クレープは、隣接する前記溝部の間に設けられている、請求項4に記載の不織布。
  6. 前記不織布に含まれる繊維の繊維長は20mm以下であり、前記不織布は起毛している、請求項4または5に記載の不織布。
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