〔第1の実施形態〕
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態における建物の概要を示す斜視図である。
図1に示すように、建物10は、複数の建物ユニットからなる2階建てユニット式建物として構築されており、特にユニット離隔配置工法を用いたものとなっている。建物10は、基礎11上に固定された建物本体12と、建物本体12の上方に設置された屋根13とを有して構成されている。建物本体12は、建物一側面(例えば正面)から見て左右に離し置きされた2つの建物ユニット群からなるユニット構造部X1,X2と、そのユニット構造部X1,X2の間の中間スペースに設けられた中間構造部X3とを有しており、これらの構造部X1〜X3により居室等の建物内空間が設けられている。本実施形態では、各ユニット構造部X1,X2の建物ユニット群がそれぞれ4体ずつの建物ユニット20で構築されており、各ユニット構造部X1,X2において対向配置される各建物ユニット20が互いの桁面(長辺部)同士を向き合わせて設置されている。また、中間構造部X3には建物ユニット20が設置されておらず、中間構造部X3は、ユニット構造部X1,X2の建物ユニット20を利用して、具体的には中間構造部X3を挟んで対向する建物ユニット20に各種建材を架け渡して構築されている。
建物本体12において中間構造部X3の一階部分には、自動車等の車両を駐車するためのガレージ15が形成されている。ガレージ15は、建物本体12に一体的に設けられた所謂インナガレージ(付属車庫)として構築されている。ガレージ15の一側面はガレージ開口部121となっており、このガレージ開口部121を介して車両の出入りが可能となっている。
ここで、ユニット隔離配置工法により構築された本建物10に関し補足説明をすると、本建物10では、計8体の建物ユニット20を用いて建物本体12が構築されているが、実質的には12体の建物ユニット20により構築された場合よりも大きい建物内空間が確保されるものとなっている。つまり、一般的なユニット式建物の場合、各建物ユニットが隣接し合う状態で互いに結合され、居室や廊下等の建物内空間は概ね全て建物ユニット内に設けられるが、本実施形態の建物10では、建物ユニットそのものにより形成される建物内空間(ユニット構造部X1,X2の建物内空間)以外に、複数の建物ユニットの間に挟まれる部分にも建物内空間(中間構造部X3の建物内空間)が形成され、その形成された建物内空間が建物ユニットにより形成される建物内空間よりも大きくなっている。なお、本建物10においてユニット構造部X1,X2のユニット個数は任意としてよい。
屋根13は寄せ棟式の屋根であり、建物本体12の各構造部X1〜X3に跨って設置されている。ただし、屋根13は切り妻式の屋根や平屋根であってもよい。
なお、以下の説明では便宜上、一階部分の建物ユニット20を「下階ユニット20A」、二階部分の建物ユニット20を「上階ユニット20B」とも称する。
次に、建物ユニット20の構成について図2を用いて説明する。図2は、建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして、すなわち溝部をユニット内側に向けるようにして設置されている。
より詳しくは、柱21は、柱本体21aと、その上下に連結された天井仕口21b及び床仕口21cとからなり、天井仕口21bの二方の仕口面に天井大梁22がそれぞれ連結され、床仕口21cの二方の仕口面に床大梁23がそれぞれ連結されている。柱本体21aと各仕口21b,21cとは、同じ断面構造を有する角形鋼が溶接により連結されて構成されている。
建物ユニット20の長辺部(桁部)の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されて固定されている。同じく建物ユニット20の長辺部(桁部)の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されて固定されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔でかつ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23に水平に(換言すると、長辺側(桁側)の天井大梁22及び床大梁23に垂直に)設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
なお、本実施形態の建物ユニット20では、天井大梁22及び床大梁23についてその長辺部の長さが短辺部の長さの2倍に設定されており、それ故建物ユニット20は、その長手方向(桁方向)の幅が短手方向(妻方向)の幅の2倍となる直方体状に形成されている。
次に、中間構造部X3の構成を説明する。中間構造部X3は、上述したとおりそれ自体は建物ユニット20により構成されるものではなく、ユニット構造部X1,X2の建物ユニット20を利用して構築されている。ここでは、中間構造部X3における二階部分の床部の構成を図3を用いて説明する。図3は建物本体12の平面図であって、二階部分の床部の構成を示す図(床面材を上にして示す平面図)である。
図3に示すように、中間構造部X3には、二階部分の床部を構築するための床フレーム30が設けられている。床フレーム30は、中間構造部X3を挟んで離し置きされた建物ユニット20(上階ユニット20B)の間に架け渡されるように設けられ、それら離し置きされた建物ユニット20間の中間スペースにおいて同ユニット20の長手(長辺)方向に沿って複数(図3では建物ユニット20の一長辺に対して2つずつ)並べられている。すなわち、中間構造部X3では、二階部分の床部が複数の床フレーム30によって構築されている。
図4は、床フレーム30の構成を示す斜視図である。床フレーム30は、対向して設けられた一対の床フレーム大梁31と、それら各床フレーム大梁31の間に互いに平行に架け渡された複数の床フレーム小梁32とを備える。各床フレーム大梁31は建物ユニット20の床大梁23と同じ溝形鋼よりなり、同床大梁23と同一長さで形成されている。そのため、床フレーム大梁31と床大梁23とは同一部材により構成されており、部材の共通化が図られている。各床フレーム大梁31は、互いに平行となる向きでかつ互いの溝開口を向き合わせた状態で設置されており、建物ユニット20における長辺側の一対の床大梁23の設置間隔と同じ間隔を隔てて配置されている。
床フレーム小梁32は、建物ユニット20の床小梁26と同じ角形鋼からなり、同床小梁26と同一長さで形成されている。そのため、床フレーム小梁32と床小梁26とは同一部材により構成されており、部材の共通化が図られている。各床フレーム小梁32はそれぞれ、床フレーム大梁31の長手方向の中間位置において、床フレーム大梁31と直交する向きで一対の床フレーム大梁31間に架け渡されており、その両端部がブラケット39(図5参照)を介して床フレーム大梁31に連結されている。この場合、床フレーム大梁31の長手方向両端側はそれぞれ、複数の床フレーム小梁32のうち両端に配置された各床フレーム小梁32に対して側方に突出している。なお、床フレーム小梁32は、例えば建物ユニット20の床小梁26と同じピッチで配置されている。
ここで、本床フレーム30では、建物ユニット20における長辺側の床大梁23とそれに直交する床小梁26との関係と同様に、床フレーム大梁31の長さが床フレーム小梁32の長さよりも長くなっている。そのため、床フレーム30において、床フレーム大梁31の長手方向が同フレーム30の長手方向となっており、床フレーム小梁32の長手方向(換言すると床フレーム大梁31の長手方向に直交する方向)が同フレーム30の短手方向となっている。そして、床フレーム30は、その長手方向の幅が(床フレーム大梁31の長さに相当)建物ユニット20の短手方向の幅よりも長くなっており、具体的には建物ユニット20の短手方向の幅の2倍となっている。また、床フレーム30は、その短手方向の幅が建物ユニット20の短手方向の幅と略同じとなっている。
なお、床フレーム30の構成を建物ユニット20の床部の構成と対比すると、その違いは、建物ユニット20には、床小梁26と平行な床大梁23(すなわち建物ユニット20の短辺側の床大梁23)が設けられているのに対し、床フレーム30には床フレーム小梁32と平行な床大梁が設けられていない点である。すなわち、建物ユニット20の床部では床大梁23が四辺に配されているのに対し、床フレーム30では床フレーム大梁31が四辺に配されていない。したがって、建物ユニット20の床部には、その四隅に床大梁23同士を連結する床仕口21cが設けられているのに対し、床フレーム30には、かかる床仕口が設けられていない。
図3の説明に戻り、床フレーム30を挟んで両側に配置される各上階ユニット20B(ひいては各ユニット構造部X1,X2)は、床フレーム30の長手方向の幅とほぼ同じ間隔を隔てて配置されている。そして、床フレーム30は、それら各上階ユニット20Bの間に、詳しくは各上階ユニット20Bにおいて対向する床大梁23の間に、各床フレーム大梁31がそれぞれ架け渡されることにより設置されている。この場合、床フレーム30は、床フレーム小梁32が建物ユニット20の床小梁26と直交する向きで設置されている。
また、床フレーム30は、上述したように、離し置きされた各上階ユニット20Bの間(中間スペース)において同ユニット20Bの長手方向に沿って複数(図3では4つ)並べられており、具体的には離し置きされた2つの上階ユニット20B間において同方向に複数(図3では2つ)並べられている。そして、これら各床フレーム30は、互いに当接又は近接した位置関係で配置されている。この場合、2つの上階ユニット20B間において同ユニット20Bの長手方向全域に亘り床フレーム30が設置され、ひいては離し置きされた上階ユニット20B間の中間スペース全域に床フレーム30が設置されている。そして、各床フレーム30上には床面材34が設置され、この床面材34により中間構造部X3の二階床面が形成されている。
以上の構成により、建物本体12では、上階ユニット20Bと床フレーム30とが横並びに並ぶ並び方向(換言すると、離し置きされた各上階ユニット20Bの離し置き方向)において中間構造部X3の幅(床フレーム30の長手方向の幅に相当)がユニット構造部X1,X2の幅(建物ユニット20の短手方向の幅に相当)よりも大きくなっている。したがって、本建物10では、中間構造部X3の建物内空間がユニット構造部X1,X2の建物内空間よりも広いものとして形成されている。
次に、床フレーム30において上階ユニット20Bとの連結部分の構成を図5に基づいて詳細に説明する。なお、図5は、上階ユニット20Bと床フレーム30との連結部及びその周辺の構成を示しており、(a)が同構成を示す平面図であり、(b)が側面図である。また、図5は、図3のA−A線断面図に相当する。なお、図中の符号39は床フレーム大梁31と床フレーム小梁32とを連結するブラケットである。
図5に示すように、各上階ユニット20Bにおいて中間構造部X3側に配置された長辺側の床大梁23には、第1連結部材としての第1連結梁35が固定されている。第1連結梁35は、溝形鋼により構成されており、その上下のフランジ部間の距離(詳しくは上下フランジ部の両内側面の間の寸法)が床フレーム30の床フレーム大梁31の高さ寸法(詳しくは上下フランジ部の両外側面の間の寸法)と略同じに設定されている。第1連結梁35は、床大梁23に沿って長尺状に形成されており、詳しくは床大梁23よりも若干短い長さ寸法で形成されている。
第1連結梁35は、そのウェブ部(詳細にはその外側面)を床大梁23のウェブ部(詳細にはその外側面)に当接させた状態で同大梁23に固定されている。したがって、第1連結梁35は、その溝開口を中間スペース(離し置きされた各上階ユニット20Bの間のスペース)側に向けた状態で設置されている。第1連結梁35の固定構成について具体的には、床大梁23のウェブ部の内側面には、同大梁23の長手方向に沿って複数のナット38が溶接固定されている。そして、それら各ナット38に対してそれぞれボルト37が第1連結梁35及び床大梁23の各ウェブ部を介して締結されることで、第1連結梁35が床大梁23に固定されている。この場合、これら2つの梁23,35の連結部分では、合成梁効果によって剛性が高められている。
上階ユニット20Bにおいて中間構造部X3側に配置された各柱21の床仕口21cには、第2連結部材としての第2連結梁36が固定されている。第2連結梁36は、第1連結梁35と同じ高さ寸法を有する溝形鋼により構成されており、その上下の各フランジ部間の距離が第1連結梁35のそれと同じとなっている。また、第1連結梁35が長尺状に形成されているのに対し、第2連結梁36は短尺状に形成され、詳しくは柱21の幅寸法よりも若干短めの長さで形成されている。
第2連結梁36は、第1連結梁35と同じ高さ位置において、その溝部の延びる方向を第1連結梁35の溝部の延びる方向と同方向に向け、かつウェブ部の外側面を床仕口21cの中間スペース側の仕口面(側面)に当接させた状態で、同床仕口21cに固定されている。この場合、第2連結梁36は、その溝開口を中間スペース側に向けた状態で設置されている。第2連結梁36の固定構成について具体的には、床仕口21cの内側面にはナット42が溶接固定されており、そのナット42に対してボルト41が第2連結梁36及び床仕口21cを介して締結されることにより、第2連結梁36が床仕口21cに固定されている。
対向配置された各上階ユニット20Bの連結梁35,36の間には、各床フレーム30が架け渡されて設けられている。この場合、各床フレーム30においてそれぞれ一方側の床フレーム大梁31(以下、床フレーム大梁31Aという)が各第1連結梁35の間に架け渡されており、他方側の床フレーム大梁31(以下、床フレーム大梁31Bという)が各第2連結梁36の間に架け渡されている。また、各床フレーム30の床フレーム大梁31Aはそれぞれ個別の第2連結梁36間に架け渡されているのに対し、各床フレーム30の床フレーム大梁31Aは共通の第1連結梁35間に架け渡されている。
床フレーム大梁31Aは、その端部が第1連結梁35の溝内に配設された状態で、下側フランジ部上に載置されて支持されている。なおここで、床フレーム大梁31Aが載置支持される下側フランジ部の上面が支持面部に相当する。床フレーム大梁31Aは、かかる支持状態において、上下の各フランジ部が第1連結梁35の上下の各フランジ部の間に挟み込まれており、上側フランジ部が第1連結梁35の上側フランジ部と対向し、かつ下側フランジ部が第1連結梁35の下側フランジ部と対向している。そして、床フレーム大梁31Aの上下各フランジ部はそれぞれ第1連結梁35の各フランジ部にボルト45等により固定されている。これにより、床フレーム大梁31Aが第1連結梁35に連結されている。
それに対して、床フレーム大梁31Bは、その端部が第2連結梁36の溝内に配設された状態で、下側フランジ部上に載置されて支持されている。床フレーム大梁31Bは、かかる支持状態において、上下の各フランジ部が第2連結梁36の上下の各フランジ部の間に挟み込まれており、上側フランジ部が第2連結梁36の上側フランジ部と対向し、かつ下側フランジ部が第2連結梁36の下側フランジ部と対向している。そして、床フレーム大梁31Bの上下各フランジ部はそれぞれ第2連結梁36の各フランジ部に対してボルト47等により固定されている。これにより、床フレーム大梁31Bが第2連結梁36に連結されている。よって、各床フレーム大梁31A,31Bひいては床フレーム30は、連結梁35,36を介して、各上階ユニット20Bの床部(詳しくは床仕口21c及び床大梁23)にそれぞれ連結されている。
次に、本実施形態における建物10の施工手順について説明する。ここでは、離し置きした建物ユニット20の間に床フレーム30を設置する際の施工手順を中心に説明する。図6は、床フレーム30を第1連結梁35に沿ってスライドさせる様子を示す斜視図である。
施工作業の際には、まず基礎11上に各下階ユニット20Aを設置し、その後下階ユニット20Aの上に上階ユニット20Bを設置する。ユニット設置後、各上階ユニット20Bにおいて中間構造部X3側の床大梁23に第1連結梁35を取り付けるとともに、中間構造部X3側の柱21(天井仕口21b)に第2連結梁36を取り付ける。
次に、対向配置された上階ユニット20Bの間に床フレーム30を架け渡して設置する作業を行う。この作業では、対向配置された各上階ユニット20Bの間に複数(詳しくは2つ)の床フレーム30を順に設置していく。まず、図6に示すように、対向配置された各上階ユニット20Bの第1連結梁35の溝内に、最初の床フレーム30における一方側の床フレーム大梁31Aの両端部をそれぞれ第1連結梁35の端部から挿し入れる。これにより、当該床フレーム大梁31Aは、その両端部がそれぞれ第1連結梁35の下側フランジ部上に支持された状態で、各第1連結梁35の間に架け渡される。
続いて、かかる床フレーム大梁31Aの支持状態で、床フレーム30を第1連結梁35に沿って所定の設置位置までスライド移動させる。この場合、床フレーム30の移動作業を容易とすることができる。また、このとき、床フレーム30の他方側の床フレーム大梁31Bの両端部をそれぞれ、対向配置された各上階ユニット20Bの第2連結梁36の溝内に挿し入れる。これにより、床フレーム大梁31Aが各第1連結梁35の間に架け渡され、かつ床フレーム大梁31Bが各第2連結梁36の間に架け渡された状態で、床フレーム30が所定の設置位置において支持される。
次に、床フレーム30において、床フレーム大梁31Aを第1連結梁35にボルト45で固定するとともに、床フレーム大梁31Bを第2連結梁36にボルト47で固定する。これにより、床フレーム30が、各連結梁35,36を介して各上階ユニット20Bに連結される。
続いて、上記の手順と同様の手順で、次の床フレーム30を対向する上階ユニット20Bの間における所定の設置位置に設置し固定する。これにより、複数の床フレーム30が各上階ユニット20B間において横並びに設置される。その後、これら各床フレーム30上に床面材34を設置する。これをもって中間構造部X3における二階床部の施工作業が終了する。
その後、対向配置される各建物ユニット20の間に外壁パネル等の各種建材を架け渡す等して中間構造部X3を構築する。こうした一連の作業を行うことで、本建物10が構築される。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
離し置きした各建物ユニット20(上階ユニット20B)において互いに対向する柱21の天井仕口21b及び天井大梁22にそれぞれ連結梁35,36を固定した。そして、床フレーム30を、対向する一対の床フレーム大梁31と、それら各床フレーム大梁31の間に架け渡された複数の床フレーム小梁32とを備えて構成し、かかる床フレーム30を、各連結梁35,36の間に床フレーム大梁31をそれぞれ架け渡し該連結梁35,36に連結することで設置した。この場合、床フレーム30において床フレーム小梁32が当該床フレーム30の架け渡し方向とは異なる方向(具体的には架け渡し方向と直交する方向)に延びているため、床フレーム小梁32の長さひいては対向する一対の床フレーム大梁31の間隔を小さくすることができ、その結果床フレーム30について床フレーム大梁31と直交する方向の幅を小さくすることができる。そのため、床フレーム30の上記幅を輸送制限を超えない寸法に設定することで、床フレーム30の輸送を行うことができる。
また、床フレーム大梁31は、荷台上での床フレーム30の積載状態において車両前後方向に延びる向きで配置されることで、その長さを荷台幅よりも長くすることができ、例えば建物ユニット20の短手方向の幅よりも大きくすることができる。この場合、離し置きされる各建物ユニット20の間隔を、同ユニット20の短手方向の幅よりも大きくしても、床フレーム大梁31を、ひいては床フレーム30を各建物ユニット20間に架け渡すことができる。これにより、離し置きされる各建物ユニット20間の間隔を拡張することができるため、各建物ユニット20間に構築される中間構造部X3の建物内空間、例えばガレージ15内空間を拡張することができる。
各床フレーム大梁31の間隔を建物ユニット20の長辺側の一対の床大梁23の間隔と同じにした。この場合、床フレーム30について、その床フレーム大梁31と直交する方向の幅が、建物ユニット20の短手方向の幅と同じか又はそれよりも小さくなっているため、床フレーム30の輸送に際し、床フレーム30を荷台上において輸送制限を超えることなく平積みできる。そのため、床フレーム30上に他の建材を積んだ状態で輸送ができるため、輸送効率の低下を抑制しつつ上記の効果を得ることができる。
第1連結梁35に、建物ユニット20の桁面に沿って水平方向に延びる長尺状の支持面部(具体的には下側フランジ部の上面)を設け、床フレーム30について、その床フレーム大梁31の端部をその支持面部上に載置した状態で支持する構成とした。この場合、床フレーム大梁31が建物ユニット20の桁面に沿った水平方向つまり建物ユニット20の桁方向においていずれかの位置で支持される。そのため、床フレーム30が支持可能となる位置を建物ユニット20の桁方向に沿って広くとることができる。この場合、例えば床フレーム30をまず建物ユニット20の桁方向においていずれかの位置で支持させ、その後その支持状態で所定の設置位置までスライドさせること等が可能となる。
離し置きされた2つの上階ユニット20Bの間に複数の床フレーム30を当該上階ユニット20Bの桁面方向に沿って横並びに配置し、それら各床フレーム30の床フレーム大梁31をそれぞれ連結梁35,36の間に架け渡した。具体的には、建物ユニット20の長手方向の幅を、床フレーム30において床フレーム大梁31と直交する方向の幅のn倍(具体的には2倍)とし、離し置きされた2つの上階ユニット20Bの間においてn個の床フレーム30を互いに近接又は当接させた状態で横並びに配置した(nは整数)。この場合、中間構造部X3において、中間スペース全域(詳しくは平面視における中間スペース全域)に拡がる二階床部を構築することができる。また、かかる構成では、床フレーム小梁32の長さを過剰に長くしなくても、比較的幅の大きい中間構造部X3において安定した二階床部を構築できる。
また、上述したように、第1連結梁35に、建物ユニット20の桁面に沿って水平方向に延びる長尺状の支持面部を設けたため、複数の床フレーム30の各床フレーム大梁31をそれぞれ共通の支持面部に載置させた状態で第1連結梁35に連結できる。この場合、各床フレーム30を同じ高さ位置に支持した状態で第1連結梁35に連結できる。そのため、床フレーム30の設置に際し、各床フレーム30間で床段差が生じないようにするために、各床フレーム30を上下させて高さ位置調整を行う等の煩わしい作業を回避できる。これにより、離し置きされた2つの上階ユニット20B間に複数の床フレーム30を横並びに設置する場合において、床フレーム30の設置作業を容易とすることができる。
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、中間構造部X3における二階部分の床部の構成が第1の実施形態とは異なる。そこで、以下に、本実施形態における構成を第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図7及び図8は、建物本体12の平面図であって、図7が中間構造部X3の一階部分の天井部の構成を示す図(天井面材を上にして示す平面図)であり、図8が中間構造部X3の二階部分の床部の構成を示す図(床面材を上にして示す平面図)である。なお、図7及び図8(さらに、図10乃至図12についても同様)では第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態においても、離し置きされた各建物ユニット20は、上記第1実施形態と同様、建物ユニット20の短手方向の幅(ユニット幅)よりも大きな間隔を隔てて配置されている。
図7に示すように、中間構造部X3において一階部分の天井部には、中間天井梁ユニット51が設けられている。中間天井梁ユニット51は、中間構造部X3を挟んで対向する2つの下階ユニット20Aの間に架け渡して設けられている。中間天井梁ユニット51は、離し置きされた2つの下階ユニット20Aの天井仕口21bにそれぞれ連結された片持ち状(キャンチ構造)の支持梁52と、一対の支持梁52の間に設けられる中間天井梁53とを有して構成されている。
図8に示すように、中間構造部X3において二階部分の床部には、矩形フレーム状に形成された床フレーム55が設置されている。床フレーム55は、離し置きされた2つの上階ユニット20Bの間において、中間天井梁ユニット51(詳細には支持梁52)上に載置されることにより設置されている。本実施形態では、床フレーム55が、基本的に建物ユニット20の床部分と同様の構成を有するものとなっており、その平面視における大きさ(縦横寸法)が建物ユニット20の床部の大きさと同じとなっている。
図9は、床フレーム55の構成を示す斜視図である。図9に示すように、床フレーム55は、その四隅に配設される4本の柱レス仕口56と、各柱レス仕口56をそれぞれ連結する4本の床フレーム大梁57とを備える。そして、それら柱レス仕口56と床フレーム大梁57とにより矩形状のフレーム本体が形成され、その長辺部(桁部)の相対する床フレーム大梁57の間に所定間隔で複数の床フレーム小梁58が架け渡されて固定されている。床フレーム大梁57及び床フレーム小梁58は建物ユニット20のそれと同じ構成を有する。すなわち、床フレーム大梁57は床大梁23と同じ溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。具体的には、長辺側の床フレーム大梁57は、建物ユニット20の長辺側の床大梁23と同じ長さで形成され、短辺側の床フレーム大梁57は、建物ユニット20の短辺側の床大梁23と同じ長さで形成されている。
床フレーム小梁58は床小梁26と同じ角形鋼よりなり、建物ユニット20の床小梁26と同じ長さで形成されている。また、床フレーム小梁58は、床小梁26と同じピッチで設置されている。
床フレーム55の構成を建物ユニット20の床部の構成と対比すると、その違いは、床仕口21cの代わりに柱レス仕口56が設けられる点である。柱レス仕口56は、2つの床フレーム大梁57を接合するための2つの仕口板部56aと、その底部に設けられた底板部56bとを有する。2つの仕口板部56aは端部同士が直角に接合され、その頂部をユニット内側に向けて配置されている。
本実施形態の床フレーム55は、基本的に建物ユニット20の床部構成と同じ構成を有しているため、床小梁材や床面材など、床構成部の各種建材を共通化でき、部品製造の観点、施工作業性の観点からして好都合な構成となっている。
図8の説明に戻り、床フレーム55が、離し置きされた両上階ユニット20Bの間において中間天井梁ユニット51上に載置された状態では、床フレーム55と各上階ユニット20Bの床部とがその短手方向において横並びとなっている。具体的には、床フレーム55は、両上階ユニット20Bの間の中間スペースにおいて、前記横並び方向(換言すれば両上階ユニット20Bの離し置き方向)における略中央に設置されている。そのため、床フレーム55は、その両側の各上階ユニット20Bとの間にそれぞれ所定の間隔(詳しくは等間隔)を設けて配置されている。具体的には、床フレーム55と上階ユニット20Bの床部との間隔L1は、隣り合う上階ユニット20B(下階ユニット20A)間の間隔L2よりも大きくなっている。より詳しくは、間隔L1は、隣り合う床フレーム55及び上階ユニット20Bにおいて隣接する柱レス仕口56及び床仕口21cの間の間隔であり、間隔L2は、隣り合う上階ユニット20Bにおいて隣接する床仕口21c同士の間の間隔である。また、床フレーム55上には、床面材54が設置されている。
なお、L1とL2との差(実際には((L1−L2)×2)は、離し置きされた各上階ユニット20B間の間隔、換言すると各上階ユニット20Bの離し置き方向における中間構造部X3の幅において、床フレーム30の短辺方向の幅に対し拡張された拡張寸法に相当する。
床フレーム55と上階ユニット20Bとの間、詳しくは床フレーム55の床フレーム大梁57と上階ユニット20Bの床大梁23との間には、複数(図8では片側に4つ)の中間床小梁59が所定の間隔で架け渡されている。本実施形態では、これら各中間床小梁59がそれぞれ、上階ユニット20Bの床小梁26及び床フレーム55の床フレーム小梁58と一直線に並ぶように配置されている。床フレーム55と上階ユニット20Bとの間には、これら各中間床小梁59上に床繋ぎ材65が設けられている。床繋ぎ材65は、上階ユニット20Bの床面材28と床フレーム55の床面材54との間の隙間を埋めるように設置されている。
次に、中間天井梁ユニット51において下階ユニット20Aの天井仕口21bとの連結部分の構成について図10を用いて説明する。なお、図10は、中間天井梁ユニット51と下階ユニット20Aの天井仕口21bとの連結部及びその周辺の構成を示しており、(a)が同構成を示す平面図、(b)が断面図である。また、図10(b)は、図8のB−B線断面図に相当する。
図10に示すように、下階ユニット20Aにおいて中間構造部X3側に配置された各柱21の床仕口21cには、梁連結ブラケット61が固定されている。梁連結ブラケット61は、床仕口21cにおいて中間構造部X3側の仕口面(側面)に固定されている。梁連結ブラケット61が固定される仕口面は、建物ユニット20の内通り天井仕口面である。なお、天井仕口21bには柱本体21aとの連結部(天井仕口21bの下端部)において裏当て金が設けられるが、便宜上図示を省略している。
梁連結ブラケット61は、略コ字状をなす鋼板により構成されており、両端部が天井仕口21bの仕口面に溶接等により固定されている。梁連結ブラケット61には、天井仕口21bの仕口面に平行となる梁取付面62が形成されており、その梁取付面62の裏側(仕口面側)の面には上下に複数のナット64が固定されている。
梁連結ブラケット61は、ユニット製造工場において下階ユニット20Aの天井仕口21bに溶接固定(先付け)されるものであり、天井仕口21bからの突出高さは、施工現場へのユニット輸送作業を考慮した寸法となっている。具体的には、梁連結ブラケット61の厚み方向の幅(張出寸法)は最大でも30mm程度であり、これにより、当該ブラケット61が工場先付けとされる場合にも、ユニット寸法が道路交通法の輸送制限を超えてしまうといった不都合が回避できるものとなっている。
また、図10(a)に示すように、天井仕口21bの上面部に設けられたエンドプレート66(柱頭プレート部)には、後述するドッキングプレート68を用いた建物ユニット20同士の連結に使用するためのピン孔69が形成されている。
梁連結ブラケット61には、中間天井梁ユニット51が連結されている。中間天井梁ユニット51において、中間天井梁53の両端には継手プレート71を介して一対の支持梁52が連結されている。支持梁52及び中間天井梁53はいずれも建物ユニット20の天井大梁22と同じ溝形鋼で構成され、そのウェブ部同士が継手プレート71により連結されている。そして、中間天井梁ユニット51において支持梁52が天井仕口21bの梁連結ブラケット61に固定され、支持梁52の自由端側に中間天井梁53が連結される構成となっている。
ここで、継手プレート71は、一部が中間天井梁53からはみ出た状態で中間天井梁53のウェブ部に溶接等により固定され、そのはみ出し部分が、支持梁52のウェブ部に接合されてボルト74等により固定されるようになっている。また、継手プレート71においてボルト74が差し入れられるボルト挿入孔(図示略)は、中間天井梁53の長手方向に延びる長孔になっているとよい。これにより、中間天井梁53を支持梁52に連結した状態で、中間天井梁ユニット51の長さの微調整が可能となる。なお、継手プレート71及び支持梁52の連結部では少なくともいずれか一方のボルト挿入孔が長孔になっていればよい。
支持梁52の溝形鋼の端面部には溶接等により端面プレート76が固定されている。この端面プレート76は、支持梁52を梁連結ブラケット61の梁取付面62に接合させるための部位である。端面プレート76が梁連結ブラケット61に接合された状態で、ボルト74が端面プレート76及び梁連結ブラケット61を介してナット64と締結されており、これにより、端面プレート76が梁連結ブラケット61に固定され、ひいてはこれら両部材61,76を介して支持梁52が天井仕口21bに連結されている。
支持梁52の内側(梁内)には、平板状の板金からなるスチフナ73が設けられている。スチフナ73は、支持梁52の上下の各フランジ部を繋ぐようにして縦向きに設けられ、支持梁52に対して溶接により固定されている。これにより、片持ち状に延びる支持梁52についてその剛性が高められている。また、スチフナ73は、支持梁52の延びる方向に沿って所定の間隔で複数(図10では2つ)設けられている。
支持梁52(詳細にはその上側フランジ)の上にはベースプレート78が設置されている。ベースプレート78は、支持梁52において天井仕口21bのエンドプレート66と同様の構成及び機能を持たせるものであり、かかる設置状態においてその上面がエンドプレート66の上面と同じ高さとなっている。また、ベースプレート78とエンドプレート66との離間距離L3は、隣り合う建物ユニット20において隣接するエンドプレート66同士の離間距離よりも大きくなっている。
ベースプレート78には、天井仕口21bのエンドプレート66と同様に、ドッキングプレート68による連結に使用するためのピン孔79,80が形成されている。一方、支持梁52の上側フランジ部には、ベースプレート78のピン孔79に対応する位置にピン孔(図示略)が形成されている。そして、支持梁52の上側フランジ部にベースプレート78が固定されるとともに、支持梁52のピン孔79とベースプレート78のピン孔とに下方からスタッキングピン81が挿通され固定されている。また、天井仕口21bのエンドプレート66には、上方に延びる向きでスタッキングピン82が取り付けられている(これは従来同様)。なお、この場合、各スタッキングピン81,82間の離間距離L4は、隣り合う建物ユニット20において隣接する各天井仕口21bのスタッキングピン82間の離間距離よりも大きくなっている。
図11は、天井仕口21b及び支持梁52にドッキングプレート68を取り付けた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
ドッキングプレート68は、平板状をなす板金部材からなり、支持梁52のベースプレート78上及び天井仕口21bのエンドプレート66上にそれぞれ重ねられる一対の重ね部68aと、それら各重ね部68aを接続する接続部68bとを有している。上述したように、ベースプレート78とエンドプレート66との離間距離L3が、各エンドプレート66間の離間距離よりも大きくなっていることから、このドッキングプレート68は接続部68bの長さが通常のドッキングプレート(つまり、エンドプレート66同士を連結するドッキングプレート。これについては図示を省略する。)の接続部長さよりも長くなっている。
ドッキングプレート68には、下方に向けて突出する一対のスタッキングピン85,86が取り付けられている。ドッキングプレート68は、ベースプレート78とエンドプレート66との上に跨って設置された状態において、各スタッキングピン85,86が天井仕口21bのピン孔69とベースプレート78のピン孔80とにそれぞれ挿し込まれている。なお、各スタッキングピン85,86間の離間距離L5は、通常のドッキングプレートの各スタッキングピン間の離間距離よりも大きくなっている。
支持梁52上において、ベースプレート78とエンドプレート66との間には、これら各プレート66,78と同じ厚みを有してなる補強プレート89が設けられている。補強プレート89は、支持梁52の上側フランジ部とドッキングプレート68(接続部68b)との間に介在されており、その介在状態でボルト91が支持梁52の上側フランジ部、補強プレート89及びドッキングプレート68を介してナット92と締結されている。これにより、ドッキングプレート68を通常のドッキングプレートよりも長く形成した構成において剛性が確保されている。
図12は、下階ユニット20Aの上に上階ユニット20Bを設置するとともに、支持梁52の上に床フレーム55を設置した状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図12に示すように、支持梁52の上方であってドッキングプレート68上には床フレーム55が設置されている。この場合詳しくは、床フレーム55の柱レス仕口56がドッキングプレート68上に設置されるとともに、柱レス仕口56の底板部56bに形成されたピン孔56cにスタッキングピン81が差し込まれている。また、複数箇所でのボルト95の締結により、床フレーム55が支持梁52に対して固定されている。
一方、下階ユニット20Aの上方であってドッキングプレート68上には上階ユニット20Bが設置されている。この場合詳しくは、上階ユニット20Bの床仕口21cがドッキングプレート68上に設置されるとともに、床仕口21cのエンドプレート96(柱脚プレート)に形成されたピン孔96aにスタッキングピン82が差し込まれている。また、複数箇所でのボルト97の締結により、上階ユニット20Bが下階ユニット20Aに対して固定されている。これにより、ドッキングプレート68を介して床フレーム55と上階ユニット20Bとが連結されている。
ここで、隣接する建物ユニット20同士の間隔よりも大きな間隔を隔てて配置された床フレーム55と上階ユニット20Bとの間には上述した中間床小梁59等により床部が構築されている。そこで、以下に、かかる床部の構成を図13に基づいて説明する。なお、図13は、床フレーム55と上階ユニット20Bとの間及びその周辺の構成を示す縦断面図である。また、図13は、図8のC−C線断面図に相当する。
床フレーム55と上階ユニット20Bとの間の床部の説明をする前にまず中間構造部X3における一階部分の天井部の構成を説明する。図13に示すように、下階ユニット20Aの天井大梁22においてウェブ部の外側面には、木製角材からなる下地材101が天井大梁22に沿って取り付けられている。下地材101における天井大梁22とは反対側の側面にはランナ102がビス等で固定されている。ランナ102は、天井大梁22に沿って延びており、離し置きされた各下階ユニット20Aの天井大梁22(詳しくは下地材101)においてそれぞれ対向した状態で設けられている。対向する一対のランナ102の間には、複数のスタッド103が所定の間隔で架け渡されており、それら各スタッド103の両端部はランナ102に対してビス等で固定されている。各スタッド103の下面にはバッキング材104が取り付けられ、バッキング材104の下面には天井面材105がビス等で固定されている。天井面材105は、例えば石膏ボードからなり、下階ユニット20Aの天井面材27と略面一の天井面を形成している。
上記各スタッド103は、一対のランナ102の間に架け渡されて支持されているとともに、複数の吊り具107により吊下げ支持されている。ここで、かかる吊下げ支持に関する構成について説明すると、対向する2つの下階ユニット20Aの天井大梁22間には複数の天井支持梁108が架け渡されている。これら各天井支持梁108はそれぞれスタッド103の上方に配設され、例えば角形鋼により形成されている。各天井支持梁108の両端部には平板状の支持梁連結プレート109が固定されている。支持梁連結プレート109は、上下に隣接する下階ユニット20Aの天井大梁22と上階ユニット20Bの床大梁23とに跨って上下に延びており、それら各大梁22,23のウェブ部にボルト111等で固定されている。なお、詳しくは、支持梁連結プレート109は天井大梁22に対してはスペーサ113を介して固定され、床大梁23に対しては後述する床小梁連結プレート115を介して固定されている。
吊り具107は、その上部に吊りボルト107aを備え、その吊りボルト107aがスタッド103の下面に固定された下地プレート110の貫通孔(図示略)に挿通された状態で固定されている(図14も参照)。詳しくは、吊りボルト107aには一対のナット112が螺合されており、それら各ナット112が下地プレート110を挟み込むことにより固定されている。これにより、吊り具107は、天井支持梁108に対して吊り下げ状態で固定されている。吊り具107の下端部には、スタッド103を支持する支持部107bが設けられており、支持部107bには上方に開口された溝部107c(図14参照)が設けられている。スタッド103は、支持部107bの溝部107cに挿し入れられた状態で当該支持部107bにより支持されている。これにより、スタッド103は吊り具107により吊り下げ支持されている。なお、詳しくは、吊り具107は、スタッド103の長手方向に複数設けられており、それら複数の吊り具107によってスタッド103が吊り下げ支持されている。
続いて、床フレーム55と上階ユニット20Bとの間の床部の構成について説明する。
横並びに設けられた床フレーム55及び上階ユニット20Bにおいて対向する床フレーム大梁57及び床大梁23の間には、角形鋼よりなる中間床小梁59が所定の間隔で複数架け渡されている(図8参照)。各中間床小梁59の両端部には平板状の床小梁連結プレート115が縦向きの状態で固定されている。各床小梁連結プレート115はそれぞれ床大梁23のウェブ部及び床フレーム大梁57のウェブ部に対しボルト111,116等で固定されている。これにより、中間床小梁59が各大梁23,57に対して固定されている。
中間床小梁59の上面高さは床フレーム55の床フレーム小梁58及び上階ユニット20Bの床小梁26の上面高さと略同じとなっており、またこれら各床小梁26,58,59の上面高さは床大梁23上及び床フレーム大梁57上に設けられた各根太117,118の上面高さと略同じとなっている。上階ユニット20Bでは、根太117及び床小梁26の上に床面材28が設けられ、床フレーム55では、根太118及び床フレーム小梁58の上に床面材54が設けられている。これら各床面材28,54は、例えばパーティクルボードからなる。そして、上階ユニット20Bと床フレーム55との間では、各根太117,118と各中間床小梁59との上に床繋ぎ材65が設けられている。床繋ぎ材65は、床面材28,54と同じ材料からなり、各床面材28,54と略面一の床面を形成している。
次に、中間構造部X3の一階部分に設けられたガレージ15についてその出入口周辺の構成を図14に基づいて説明する。なお、図14は、ガレージ15の天井部周辺の構成を示す縦断面図であり、図8のD−D線断面図に相当する。
図14に示すように、ガレージ15の一側面には、当該ガレージ15への車両の出入りを可能とするガレージ開口部121が形成されている。ガレージ開口部121の上方には、天井面材105から垂下された垂壁124が設けられており、この垂壁124の下端部(詳細には、当該下端部に設けられた後述のガレージ開口天板131)によりガレージ開口部121の上端部が規定されている。垂壁124は、天井面材105を介してスタッド103に対しビスにより固定されている。なお、垂壁124が固定されているスタッド103は、吊り具107により吊り下げ支持されている。
垂壁124の屋外側面には、巻き取り式のシャッタ装置123が取り付けられている。シャッタ装置123は、昇降することによりガレージ開口部121を開閉するシャッタカーテン125と、シャッタカーテン125を巻き取り状態で収納するシャッタボックス126とを備える。シャッタボックス126は、垂壁124の屋外側面にビスにより固定されている。
シャッタ装置123を挟んで垂壁124とは反対側、すなわちシャッタ装置123の屋外側には、外壁パネル127が設けられている。外壁パネル127は、外壁面材128と、外壁面材128の裏面側(屋内面側)に設けられた下地フレーム129とを備え、下地フレーム129が中間天井梁53のウェブ部の外側面にボルト等で固定されている。つまり、ここでは、中間天井梁53が、壁部材としての外壁パネル127を固定するための外壁固定用横架材として機能している。
外壁パネル127の下端部は垂壁124の下端部と略同じ高さに設定されており、外壁パネル127の下端部と垂壁124の下端部とに跨って水平方向に延びる向きでガレージ開口天板131が設けられている。このガレージ開口天板131によりシャッタボックス126が下側から遮蔽され、これによりガレージ開口部121上方の外観が損なわれるのが回避されている。なお、ガレージ開口天板131には、シャッタカーテン125が上下に挿通されるスリット状の挿通部131aが形成されている。
次に、本実施形態における建物10の施工手順について説明する。ここでは、中間構造部X3の二階床部を構築する際における施工手順を中心に説明する。
施工作業の際には、まず基礎11上に各下階ユニット20Aを設置する。この場合、下階ユニット20Aに取り付けられた梁連結ブラケット61が中間スペース(離し置きされた各下階ユニット20Aの間のスペース)側(換言すると内通り天井仕口面)に位置するように下階ユニット20Aを設置する。なお、梁連結ブラケット61はユニット製造工場にて先付けされている。
次に、対向配置された下階ユニット20Aの天井仕口21bの間に架け渡すようにして中間天井梁ユニット51を設置する。このとき、中間天井梁ユニット51を構成する支持梁52と中間天井梁53とのうち、支持梁52を先に梁連結ブラケット61に対して固定し、その後、離間配置された一対の支持梁52に対して中間天井梁53を固定する。そして、天井仕口21bのエンドプレート66及び支持梁52のベースプレート78に対してドッキングプレート68を取り付ける。
次に、一階天井部分の中間天井梁ユニット51の上に床フレーム55を設置する。このとき、床フレーム55の荷重は実質的に支持梁52にて支えられる。なお、床フレーム55上には床面材54がユニット製造工場において先付けされている。
次に、下階ユニット20Aの上に上階ユニット20Bを設置し、上階ユニット20Bの床大梁23と床フレーム55の床フレーム大梁57との間に中間床小梁59を架け渡して設置する。その後、中間床小梁59上に床繋ぎ材65を設置する。これをもって中間構造部X3における二階床部の施工作業が終了する。
その後、対向配置される各建物ユニット20の間に天井面材105や外壁パネル等の各種建材を架け渡す等して中間構造部X3を構築する。こうした一連の作業を行うことにより、本建物10が構築される。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
離し置きされた各下階ユニット20Aの柱21の天井仕口21bにそれぞれ中間スペース側に延びる向きで支持梁52を設け、それら支持梁52上に跨った状態で床フレーム55を支持した。そして、かかる支持状態において、床フレーム55と、それと隣り合う上階ユニット20Bとの離間距離L1が、隣接する建物ユニット20同士の離間距離L2よりも大きくなるように床フレーム55を配置した。この場合、離し置きされる各上階ユニット20B間の間隔を、その離し置き方向における床フレーム55の幅よりも大きくすることができる。本実施形態では、離し置き方向における床フレーム55の幅が、同方向における建物ユニット20の幅と同じに設定されているため、離し置きした各上階ユニット20B間の間隔を、離し置き方向における上階ユニット20Bの幅(1ユニット分の幅)よりも拡張できる。したがって、床フレーム55上に床面材54を設置等するとともに、床フレーム55と上階ユニット20Bの床部との間に床面材65等を架け渡して設置等することで、中間構造部X3において1ユニット分の幅よりも大きな幅の床部を構築できる。これにより、中間構造部X3の建物内空間、例えばガレージ15内空間を拡張することができる。
また、離し置きされる各上階ユニット20B間の間隔を拡張しつつも、離し置き方向における床フレーム55の幅を、同方向における上階ユニット20Bの幅と同じとすることができ、つまりは輸送制限を越えない幅寸法とすることができる。そのため、床フレーム55の輸送を可能としつつ、中間構造部X3の建物内空間を拡張できる。
また、床フレーム55は、建物ユニット20(上階ユニット20B)の床部と同じ大きさで形成されていることが望ましい。この場合、床フレーム55の輸送に際し、床フレーム55を荷台上において輸送制限を超えることなく平積みできるため、床フレーム55上に他の建材を積んだ状態での輸送が可能となる。これにより、輸送効率の低下を抑制しつつ上記の効果を得ることができる。さらに、この場合には、床フレーム55の設計において建物ユニット20の床部の構造を流用できるため、設計負荷を大いに軽減できるという利点も得られる。
床フレーム55を、対向する一対の床フレーム大梁57の間に架け渡された複数の床フレーム小梁58と、それら床フレーム小梁58上に設けられた床面材54とを備えて構成し、隣り合う床フレーム55及び上階ユニット20Bにおいて床フレーム大梁57及び床大梁23を同じ高さ位置にて対向配置した。そして、それら複数の中間床小梁59上に、床繋ぎ材65を設置した。この場合、隣接する上階ユニット20B同士の間隔L2よりも大きな間隔L1を隔てて隣り合う床フレーム55と上階ユニット20Bとの間の床繋ぎ材65と、床フレーム55の床面材54とにより、中間構造部X3に連続した床面を形成できる。
支持梁52上において、天井仕口21bのエンドプレート66と同じ高さ位置に、床フレーム55の柱レス仕口56を載置して支持するベースプレート78を設け、ベースプレート78を、天井仕口21bのエンドプレート66に対して、隣り合う下階ユニット20Aの隣接するエンドプレート66同士の離間距離よりも大きな距離L3を隔てて設置した。この場合、複数の上階ユニット20Bが隣り合わせで設置されそのユニット境界部で床仕口21c同士が隣接して設けられる場合と同様の構成を、上階ユニット20Bと床フレーム55との境界部において実現することができる。したがって、例えば床フレーム55の柱レス仕口56と上階ユニット20Bの床仕口21cとを、隣り合う上階ユニット20Bの隣接する床仕口21c同士を連結するのと同様の手法で連結すること等が可能となる。
ベースプレート78の上面とエンドプレート66の上面とに跨って延びるようにドッキングプレート68を形成し、このドッキングプレート68を介してそれら各プレート66,78を連結した。そして、ドッキングプレート68上においてベースプレート78の上方となる位置に床フレーム55の底板部56bを載置し、エンドプレート66の上方となる位置に上階ユニット20Bのエンドプレート96を載置することで、それら底板部56bとエンドプレート96とをドッキングプレート68を介して連結した。この場合、上階ユニット20Bと床フレーム55とを、建物ユニット20同士の連結手法と同様の手法で連結できるという利点が得られる。
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記第1の実施形態では、建物ユニット20(上階ユニット20B)の長手方向の幅を床フレーム30の短手方向の幅の整数倍つまりn倍(具体的には2倍)とし、離し置きされた2つの上階ユニット20Bの間に、n個の床フレーム30を上階ユニット20Bの長手方向に並べて設けることで、2つの上階ユニット20B間において床フレーム30を同ユニット20Bの長手方向全域に配置したが、これを変更してもよい。例えば、上階ユニット20Bの長手方向の幅を床フレーム30の短手方向の幅の整数倍つまりn倍(具体的には2倍)よりも大きくし、離し置きされた2つの上階ユニット20B間において、複数の床フレーム30を同ユニット20Bの長手方向に所定の間隔をおいて並べてもよい。その一例を図15に示す。
図15(a)に示す建物ユニット20は、その長手方向の幅が床フレーム30の短手方向の幅の2倍よりも大きくなっている。つまり、本例の建物ユニット20では、対向する短辺側の一対の床大梁23間の間隔が、床フレーム30において対向する一対の床フレーム大梁31間の間隔よりも大きくなっている。かかる建物ユニット20の構成において、離し置きされた2つの上階ユニット20Bの間には、2つの床フレーム30A,30Bが上階ユニット20Bの長手方向(以下、ユニット長手方向ともいう)において所定の間隔を隔てて設置されている。そのため、2つの上階ユニット20B間にはこれら各床フレーム30A,30Bの間に所定の隙間142が形成されている。この場合、2つの上階ユニット20B間においてユニット長手方向の一部の領域にのみ床フレーム30A,30Bが設置されていることとなる。そして、この隙間142を埋めるべく、各床フレーム30A,30B上を跨ぐようにして床繋ぎ材141が設置されている。この場合、床繋ぎ材141と各上階ユニット20Bの床面材34とにより連続した床面が形成されている。
かかる構成によれば、建物ユニット20(上階ユニット20B)について、その長手方向の幅を床フレーム30の短手方向の幅の2倍より大きくして形成しても、つまり複数(2つ)の床フレーム30を離し置きされた2つの上階ユニット20B間においてユニット長手方向に並べた場合に床フレーム30を同方向全域に配置できない場合でも、それら各床フレーム30をユニット長手方向に離し置きするとともに離し置きした各床フレーム30の間に床繋ぎ材141を架け渡せば、中間構造部X3の二階部分に連続した床面を形成できる。この場合、建物ユニット20(又は床フレーム30)の大きさについて選択の自由度を高めることができる。
なお、かかる床繋ぎ材141を用いて構成した二階床部を、例えば図15(b)に示すように、一階部分のガレージ144とその上方の二階居室148との間に構築することが考えられる。
また、図15(a)に示すように、離し置きした2つの上階ユニット20Bの間に床フレーム30Cを1つだけ設置してもよい。その場合、それら2つの上階ユニット20B間において床フレーム30Cが設置されていない領域は上下階間を連通する開口領域145となる。そのため、例えば図15(b)に示すように、建物内に、当該開口領域145を介して上階空間及び下階空間に連続する吹き抜け空間146を形成することができる。したがって、離し置きした各上階ユニット20B間に床フレーム30を架け渡して設置する上記第1の実施形態の構成は、同中間構造部X3において吹き抜け空間146を形成するにあたって都合のよい構成となっている。
なお、離し置きした2つの上階ユニット20B間において2つの床フレーム30を上階ユニット20Bの長手方向において所定間隔を隔てて設置することで、それら各床フレーム30の間に上下階間を連通する開口領域を形成し、該開口領域を通じて上階空間及び下階空間に連続する吹き抜け空間を形成してもよい。例えば、上述した各床フレーム30A,30Bの間の隙間142をかかる開口領域として利用することが考えられる。
(2)上記各実施形態では、中間構造部X3における一階部分と二階部分との階間部分において一階天井側には、ユニット構造部X1,X2の階間部分とは異なり、天井小梁が設置されていないため、比較的広いスペースが確保されている。そこで、このスペースを有効利用すべく、例えば中間構造部X3の一階天井部を図16に示すような構成とすることが考えられる。
図16は、図15の建物におけるガレージ144と二階居室148との階間部分を示す断面図である。本図では、各床フレーム30A,30Bの床フレーム大梁31の下面に、当該下面から垂下されるようにして吊り具151が固定されており、この吊り具151によりガレージ144の天井面を形成する天井面材152が吊り下げ支持されている。そして、この天井面材152と床面材34及び床繋ぎ材141との間には、階間空間154が形成されており、この階間空間154がタイヤT等を保管しておく保管スペースとして利用されている。この場合、ガレージ144内にタイヤT等が保管(放置)されることで、ガレージ144内の駐車スペースが狭くなるのを抑制できる。
また、図16では、離し置きされた各下階ユニット20A(詳しくはその天井仕口21b)の間に中間天井梁ユニット51が架け渡されている。すなわち、離し置きされた各上階ユニット20Bの連結梁35,36の間に床フレーム30を架け渡して設置する第1実施形態の構成では、中間天井梁ユニット51上に床フレーム55を設置する第2実施形態の構成とは異なり、かかる中間天井梁を不要とできるため、中間天井梁を設けていなかったが、図16の構成では中間天井梁ユニット51が設けられている。そして、この中間天井梁ユニット51(詳細には中間天井梁53)に対してシャッタ装置156が固定金具157を介して固定されているとともに、外壁パネル158が固定されている。この場合、中間天井梁ユニット51をシャッタ装置156等各種部材を支持する支持梁として機能させることができるため、中間構造部X3を構築する上で好都合な構成となる。
なお、この場合、中間天井梁ユニット51上には、床フレーム30が載置されておらず、それ故同ユニット51に対して床フレーム30の荷重は作用していない。
(3)上記第1の実施形態では、上記第2の実施形態とは異なり、中間構造部X3において一階天井部の外周部に中間天井梁ユニット51が設置されていない。そこで、この点に着目し、第1の実施形態において、図17に示すように、ガレージ15のガレージ開口部上方に設けられる外壁部161に採光窓162を設置してもよい。なお、図17では、(a)が外壁部161に採光窓162が設置された構成を示す正面図、(b)が同構成を示す側面図となっている。図示の構成では、採光窓162の裏側に中間天井梁ユニット51等の部材が設けられておらず、それ故採光窓162を通じてガレージ15内に光を採り込むことが可能となっている。したがって、ガレージ開口部がシャッタ装置(図示略)により閉鎖されている場合でも、ガレージ15内を明るく照らすことができる。つまり、ここでは、採光窓162が所謂ハイサイドライト窓として構成される。
また、この場合、採光窓162の下端部から屋外側に延びるようにして庇163を設置し、庇163をライトシェルフとして機能させてもよい。そうすれば、庇163の上面に反射した光を採光窓162を通じてガレージ15内に取り込むとともに、その取り込んだ光をガレージ天井面に反射させガレージ15の奥方に取り込むことができる。この場合、奥行き方向に長く形成されているが故に奥側が暗くなりがちなガレージ15内を好適に照らすことができる。
(4)上記各実施形態において、床フレーム30,55の下面に冷暖房パネルを設置してもよい。例えば、図18(a)には、床フレーム30の下面側に冷暖房パネル167が設置されている構成が示されている。冷暖房パネル167は、熱を輻射することにより冷房及び暖房を行う放射パネルからなる。冷暖房パネル167は、床フレーム30の床フレーム小梁32の下面に取り付けられており、ガレージ15の天井面を形成している。
冷暖房パネル167は、図18(b)に示すように、一対のパネル材167aの間に冷温水配管167bを挟み込ませて構成されており、冷温水配管167bを流れる冷水又は温水の熱をパネル表面から放射することで冷暖房を行うものである。冷温水配管167bを流れる水は、熱交換システム170により加熱又は冷却される。熱交換システム170は、熱交換器171、圧縮機172、室外機173、膨張弁174等を備え、これら各装置171〜174が循環配管175により接続されることで構成される周知のシステムである。熱交換システム170では、循環配管175を循環する熱媒が加熱されたり冷却されたりして熱交換器171に送り込まれる。冷温水配管167bの入口側及び出口側はそれぞれ熱交換システム170の熱交換器171と接続されている。熱交換器171では、冷温水配管167bを流れる水と循環配管175を循環する熱媒との間で熱交換が行われ、これにより冷温水配管167b内の水が加熱及び冷却されるようになっている。また、冷温水配管167bには、同配管167b内を流れる水の温度を検知する温度検知手段(例えばサーモスタット)が設けられ、熱交換システム170には当該温度検知手段により検知された水の温度を予め設定された設定温度とすべく、フィードバック制御を行う制御手段が設けられている。上記の構成によれば、階間部分に設置されている冷暖房パネル167から上階側及び下階側に対してそれぞれ冷熱又は温熱が放射されるため、上階側及び下階側のそれぞれを冷暖房することができる。
また、床フレーム30上に支持されている床面材34の下面側にはステンレス鋼板からなる熱放射板176が設けられている。熱放射板176は、各床フレーム小梁32間にそれぞれ配設されており、冷暖房パネル167から輻射された輻射熱により加熱される。そして、その加熱された熱放射板176により床面材34が暖められるようになっている。そのため、二階床部について床暖房を実現できる。
(5)床フレーム30の各床フレーム大梁31A,31Bをそれぞれ第1連結梁35に連結するようにしてもよい。この場合、第2連結梁36を不要とすることができる。また、複数の床フレーム30の各床フレーム大梁31Aごとにそれぞれ第1連結梁35を設けてもよい。
(6)上階ユニット20Bに、複数の床フレーム30の各床フレーム大梁31A,31Bに跨って延びる長尺状の連結梁を設け、その連結梁に対して各床フレーム30の各々の床フレーム大梁31A,31Bを共通に連結してもよい。例えば、上階ユニット20Bにおける中間構造部X3側の各柱21の床仕口21cに跨るようにして長尺状の連結梁を設け、その連結梁に対して複数の床フレーム30の各床フレーム大梁31A,31Bを共通に連結することが考えられる。
(7)上記(6)で説明したように、第1の実施形態において、連結梁を、中間構造部X3側の各柱21に跨るようにして長尺状に形成する場合には、図19に示すように、連結梁181を柱21(詳細には柱本体21a)の中間高さに設けてもよい。その場合、床フレーム30を一階(又は二階)床部と一階(又は二階)天井部との中間高さに設置することができ、床フレーム30によりスキップ床を構築することができる。
また、一階部分の中間高さ及び二階部分の中間高さにそれぞれ連結梁181A,181Bを設ける場合、すなわち一階部分及び二階部分の両方において中間高さに床フレーム30を設置する場合には、上下に配された各連結梁181A,181Bを補強柱182を用いて上下に連結してもよい。補強柱182は、各連結梁181A,181Bの間において下階ユニット20A及び上階ユニット20Bの各柱21に沿って延びており、それら各柱21の側面にボルト等により固定されている。そして、補強柱182の下端部が下階ユニット20Aの連結梁181Aの上面に固定され、補強柱182の上端部が上階ユニット20Bの連結梁181Bの下面に固定されている。この場合、連結梁181に作用する床フレーム30の荷重を補強柱182に伝達できるため、床フレーム30を一階部分又は二階部分の中間高さに設置する構成において床フレーム30を安定した状態で設置できる。なお、補強柱182は、上下階の各柱21のいずれか一方にのみ固定されていてもよい。
(8)上記第1の実施形態では、床フレーム30を用いて中間構造部X3の二階床部を構築した場合を説明したが、床フレーム30を用いて中間構造部X3の一階床部を構築してもよい。この場合、各連結梁35,36をそれぞれ下階ユニット20Aの床仕口21c及び床大梁23に固定し、これら各連結梁35,36の間に床フレーム30を架け渡せばよい。
(9)上記第1の実施形態において、連結梁35,36を溝形鋼以外で構成してもよい。例えば、連結梁を、断面L字状をなす板金部材により構成することが考えられる。具体的には、連結梁35,36から上側フランジ部を取り除いた形状とする。この場合でも、第1連結梁35の下側フランジの上面を支持面部として機能させることができる。
(10)上階ユニット20Bを互いの妻面同士を対向させて離し置きし、その離し置きした中間スペースに床フレーム55を上階ユニット20Bと長手方向に横並びに設置してもよい。この場合でも、離し置きされた上階ユニット20Bの間隔を床フレーム55の長手方向の幅よりも大きくすることができるため、中間構造部X3において建物内空間を拡張することができる。
(11)上記第2の実施形態では、支持部材としての支持梁52を建物ユニット20において天井仕口21bに設ける構成としたが、床仕口21cに設ける構成としてもよい。また、天井大梁22又は床大梁23に支持梁52を設ける構成としてもよい。
さらに、建物ユニット20の柱本体21a(すなわち柱21の中間部分)に支持梁52を設けてもよい。この場合、建物ユニット20の床部と異なる高さ位置において床フレーム55を支持梁52上に支持させることができるため、例えば中間構造部X3にスキップ床を形成することができる。
かかる構成において、隣り合う建物ユニット20と床フレーム55との間に床部を構築する際には、以下のようにすればよい。例えば、床フレーム55が、支持梁52により建物ユニット20の天井大梁22と同じ高さ位置で支持される場合には、床フレーム大梁57と天井大梁22との間に複数の中間床小梁59を架け渡し、それら中間床小梁59上に中間床面材を設置すればよい。また、床フレーム55が、天井大梁22の設置高さよりも下方であり、かつ、床大梁23の設置高さよりも上方となる高さ位置で支持梁52により支持される場合には、建物ユニット20の中間構造部X3側の各柱本体21a間に長尺状の梁材を床フレーム55と同じ高さ位置で架け渡し、その梁材と床フレーム55の床フレーム大梁57との間に複数の中間床小梁59を架け渡せばよい。これらの場合、中間床面材と床フレーム55上の床面材54とにより、中間構造部X3において連続したスキップ床面を形成することができる。
(12)上記第2の実施形態では、床フレーム55を、離し置きされた各建物ユニット20の間において両建物ユニット20に対してそれぞれ均等に離して設置したが、これを変更し、床フレーム55をいずれかの建物ユニット20の側に寄せて配置してもよい。例えば、床フレーム55を、離し置きされた各建物ユニット20の間において一方の建物ユニット20に寄せることで、当該建物ユニット20と床フレーム55との間隔を隣接する建物ユニット20間の間隔L2と同じとしてもよい。この場合、当該建物ユニット20と床フレーム55との間では中間床小梁59(ひいては床繋ぎ材65)を不要とすることができる。
(13)上記第2の実施形態において、床フレーム55と上階ユニット20Bとの間に中間床小梁59を架け渡さないようにしてもよい。例えば、床フレーム55と上階ユニット20Bとの間隔L1が比較的小さい場合には、中間床小梁59を設けずに、床フレーム55の床フレーム大梁57に設けられた根太118上と、上階ユニット20Bの床大梁23に設けられた根太117上とに跨って床繋ぎ材65を設置してもよい。
(14)上記第2の実施形態では、建物ユニット20の天井仕口21bに梁連結ブラケット61を先付けしておき、その梁連結ブラケット61に支持梁52を固定する構成としたが、これを変更し、梁連結ブラケット61を使わずに、支持梁52を直接天井仕口21bに固定してもよい
(15)上記第2の実施形態において、一対の支持梁52の間において中間天井梁53を設けない構成であってもよい。
(16)上記第2の実施形態において支持梁52を、溝形鋼以外で構成してもよい。例えば、H形鋼や角形鋼により構成してもよい。