JP5752024B2 - 内燃機関の出力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スロットル・バイ・ワイヤ(Throttle−by−Wire)で出力制御される内燃機関に関する。
運転者がアクセルグリップを回転させると、この回転量をセンサで検出し、この検出情報に基づいて制御部が、スロットルアクチュエータを制御し内燃機関の出力を制御することが、スロットル・バイ・ワイヤ制御と呼ばれる。アクセルグリップとスロットル弁とを繋ぐワイヤが廃止できる他、検出情報に別の要素を加味して制御部により運転に適した制御が行えるなどの利点を有する。
制御例として、例えば、スロットル・バイ・ワイヤ制御で且つファーストアイドル時に内燃機関の回転数制御を行うことが知られている(例えば、特許文献1(図1〜図3)参照。)。
特許文献1は、それの図3でアイドル運転の制御フローを示しており、ステップS2でアイドル運転がファーストアイドルか否かを判別し、ステップS3で電気負荷が投入されたか否かを判別する。
そして、アイドル運転がファーストアイドルでなく且つ電気負荷が投入されていないときに、特許文献1の図1のバイパス通路による運転が選択され、内燃機関の回転数が抑えられる。ファーストアイドルと電気負荷有りの条件の少なくも一方が満たされたときに、特許文献1の図2のメイン通路による運転が選択され、内燃機関の回転数を増加させる。
このように、特許文献1では、スロットル・バイ・ワイヤ制御を採用することで、同一のスロットル開度でありながら、他の条件を加味して内燃機関の回転数を増減制御することができる。
ただし、特許文献1は、アイドル運転中に、電気負荷変動に対して影響を軽減する技術であり、走行中における駆動トルクの変化を想定していない。
負荷の1つに、冷却ファンがある。特に、小型の内燃機関では、クランク軸に冷却ファンを備える。クランク軸端に冷却ファンを備えると、始動時、アイドル運転中、走行中の何れにおいても、冷却ファンはクランク軸と共に回転する。
始動時など内燃機関が低温である場合は、冷却は不要である。そこで、クランク軸と冷却ファンとにクラッチ機構を介在させ、始動時などに冷却ファンを停止させることが、従来考えられていた。
ところで、クラッチ機構の切断/接続制御(以下、断接制御と略記する。)は、条件により、走行中にも行われる。
走行中に、クラッチ機構が切断状態から接続状態になると、負荷増加により、内燃機関の出力から冷却ファンの負荷分が差し引かれ、駆動輪へ供給される出力が減少する。
逆に走行中に、クラッチ機構が接続状態から切断状態になると、冷却ファンの負荷分が駆動輪へ供給され、出力が増加される。
結果、乗員への乗り心地が僅かであるが変化する。この変化はゼロ又は少ない方が乗り心地の点から望ましい。
上述したように、特許文献1は走行中の制御を考慮していないので、特許文献1に代わる対策が必要になる。
そこで、クランク軸にクラッチ機構を介して冷却ファンが接続される内燃機関において、走行中の負荷変動を軽減することができる技術が求められる。
特開平6−229282号公報
本発明は、クランク軸にクラッチ機構を介して冷却ファンが接続される内燃機関において、走行中の負荷変動を軽減することができる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、スロットル操作子の操作量を操作量センサで検出して制御部へ送り、前記操作量に応じて前記制御部でスロットルアクチュエータを制御し、内燃機関への吸気量を制御して前記内燃機関の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、
前記内燃機関のクランク軸に、前記内燃機関を冷却する冷却ファンが備えられ、この冷却ファンと前記クランク軸との間に、クラッチ機構が備えられており、
前記制御部は、前記クラッチ機構の断接状態に対応して前記スロットルアクチュエータの作動量を、前記操作量に対応する値からオフセットさせて、前記クラッチ機構の断接に伴って発生する前記内燃機関の出力の変動を抑える制御を実施し、
クラッチ機構は、クランク軸が第1回転速度に達したら接続を開始し、第1回転速度より高速である第2回転速度で接続が完了する遠心クラッチであり、記制御部は、クランク軸の回転速度が第1回転速度未満の領域では、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、クランク軸の回転速度が第2回転速度を超える領域では、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とし、クランク軸の回転速度が第1回転速度以上で第2回転速度以下の領域では、オフセットを回転速度の増加に対応して漸減させることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、スロットル操作子の操作量を操作量センサで検出して制御部へ送り、前記操作量に応じて前記制御部でスロットルアクチュエータを制御し、内燃機関への吸気量を制御して前記内燃機関の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、
前記内燃機関のクランク軸に、前記内燃機関を冷却する冷却ファンが備えられ、この冷却ファンと前記クランク軸との間に、クラッチ機構が備えられており、
前記制御部は、前記クラッチ機構の断接状態に対応して前記スロットルアクチュエータの作動量を、前記操作量に対応する値からオフセットさせて、前記クラッチ機構の断接に伴って発生する前記内燃機関の出力の変動を抑える制御を実施し、
前記クラッチ機構は、前記クランク軸の回転速度が所定値未満で切断状態とされ、前記クランク軸の回転速度が所定値以上で接続状態とされる電磁クラッチであり、
前記制御部に、前記所定値と、この所定値よりも小さな第1閾値と、前記所定値よりも大きな第2閾値が設定され、
前記制御部は、
前記回転速度が増加するときには、前記クランク軸の回転速度が前記第1閾値未満の領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記クランク軸の回転速度が前記所定値を超える領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する量とし、前記クランク軸の回転速度が前記第1閾値以上で前記所定値以下の領域で、前記オフセットを前記回転速度の増加に対応して漸減させる制御を行うことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2において、回転速度が減少するときには、前記クランク軸の回転速度が前記第2閾値を超える領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する量とし、前記クランク軸の回転速度が前記所定値未満の領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記クランク軸の回転速度が前記所定値以上で前記第2閾値以下の領域で、前記オフセットを前記回転速度の減少に対応して漸増させる制御を行うことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、スロットル操作子の操作量を操作量センサで検出して制御部へ送り、前記操作量に応じて前記制御部でスロットルアクチュエータを制御し、内燃機関への吸気量を制御して前記内燃機関の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、
前記内燃機関のクランク軸に、前記内燃機関を冷却する冷却ファンが備えられ、この冷却ファンと前記クランク軸との間に、クラッチ機構が備えられており、
前記制御部は、前記クラッチ機構の断接状態に対応して前記スロットルアクチュエータの作動量を、前記操作量に対応する値からオフセットさせて、前記クラッチ機構の断接に伴って発生する前記内燃機関の出力の変動を抑える制御を実施し、
前記クラッチ機構は、前記内燃機関の温度が所定温度未満で切断状態とされ、前記内燃機関の温度が所定温度以上で接続状態とされる電磁クラッチであり、
前記制御部に、前記所定温度と、この所定温度よりも低い第1閾温度と、前記所定温度よりも高い第2閾温度が設定され、
前記制御部は、
前記内燃機関の温度が増加するときには、前記内燃機関の温度が前記第1閾温度未満の領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記内燃機関の温度が前記所定温度を超える領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する量とし、前記内燃機関の温度が前記第1閾温度以上で前記所定温度以下の領域で、前記オフセットを前記内燃機関の温度の増加に対応して漸減させる制御を行うことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記内燃機関の温度が減少するときには、前記内燃機関の温度が前記第2閾温度を超える領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する量とし、前記内燃機関の温度が前記所定温度未満の領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記内燃機関の温度が前記所定温度以上で前記第2閾温度以下の領域で、前記オフセットを前記内燃機関の温度の減少に対応して漸増させる制御を行うことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、スロットル操作子の操作量を操作量センサで検出して制御部へ送り、前記操作量に応じて前記制御部でスロットルアクチュエータを制御し、内燃機関への吸気量を制御して前記内燃機関の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、
前記内燃機関のクランク軸に、前記内燃機関を冷却する冷却ファンが備えられ、この冷却ファンと前記クランク軸との間に、クラッチ機構が備えられており、
前記制御部は、前記クラッチ機構の断接状態に対応して前記スロットルアクチュエータの作動量を、前記操作量に対応する値からオフセットさせて、前記クラッチ機構の断接に伴って発生する前記内燃機関の出力の変動を抑える制御を実施し、
前記クラッチ機構は、前記内燃機関の温度が所定温度未満で切断状態とされ、前記内燃機関の温度が所定温度以上で接続状態とされる電磁クラッチであり、
前記制御部に、前記所定温度と、この所定温度よりも低い第1閾温度と、前記所定温度よりも高い第2閾温度が設定され、
前記制御部は、車両が停止しているときの停車情報を取得したときに、前記電磁クラッチを切断状態にし、
車両が走行しているときの走行情報を取得したときに、前記制御部は、
前記内燃機関の温度が増加するときには、前記内燃機関の温度が前記第1閾温度未満の領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記内燃機関の温度が前記所定温度を超える領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する量とし、前記内燃機関の温度が前記第1閾温度以上で前記所定温度以下の領域で、前記オフセットを前記内燃機関の温度の増加に対応して漸減させる制御を行うことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項6において、内燃機関の温度が減少するときには、前記内燃機関の温度が前記第2閾温度を超える領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する量とし、前記内燃機関の温度が前記所定温度未満の領域で、前記スロットルアクチュエータの作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記内燃機関の温度が前記所定温度以上で前記第2閾温度以下の領域で、前記オフセットを前記内燃機関の温度の減少に対応して漸増させる制御を行うことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、制御部は、クラッチ機構の断接状態に対応してスロットルアクチュエータの作動量を、操作量に対応する値からオフセットさせてクラッチ機構の断接に伴って発生する内燃機関の出力の変動を抑える制御を実施する。
本発明によれば、クランク軸にクラッチ機構を介して冷却ファンが接続される内燃機関において、走行中の負荷変動を軽減することができる技術が提供される。
また、内燃機関に遠心クラッチを介して冷却ファンが接続される。そして、制御部は、クランク軸の回転速度が第1回転速度以上で第2回転速度以下の領域では、オフセットを回転速度の増加に対応して漸減させる。すなわち、第2回転速度で遠心クラッチが接続を完了するが、この時にはオフセットがゼロとされ内燃機関の出力が増加しているため、冷却ファンの負荷が相殺され、走行中の負荷変動が軽減される。
請求項2に係る発明では、スロットル操作子の操作量を操作量センサで検出して制御部へ送り、操作量に応じて制御部でスロットルアクチュエータを制御し、内燃機関への吸気量を制御して内燃機関の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、内燃機関のクランク軸に、内燃機関を冷却する冷却ファンが備えられ、冷却ファンとクランク軸との間にクラッチ機構が備えられており、制御部はクラッチ機構の断接状態に対応してスロットルアクチュエータの作動量を、操作量に対応する値からオフセットさせて、クラッチ機構の断接に伴って発生する内燃機関の出力の変動を抑える制御を実施し、クラッチ機構は、クランク軸の回転速度が所定値未満で切断状態とされ、クランク軸の回転速度が所定値以上で接続状態とされる電磁クラッチであり、制御部に所定値と、所定値よりも小さな第1閾値と、所定値よりも大きな第2閾値が設定され、制御部は、回転速度が増加するときにはクランク軸の回転速度が第1閾値未満の領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、クランク軸の回転速度が所定値を超える領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とし、クランク軸の回転速度が第1閾値以上で所定値以下の領域で、オフセットを回転速度の増加に対応して漸減させる制御を行う。
内燃機関に電磁クラッチを介して冷却ファンが接続される。そして、制御部は、回転速度が増加するときにはクランク軸の回転速度が第1閾値以上で所定値以下の領域で、オフセットを回転速度の増加に対応して漸減させる制御を行い、回転数が増加中は、所定値で電磁クラッチを接続させるが、この時にはオフセットがゼロとされ内燃機関の出力が増加しているため、冷却ファンの負荷が相殺され、走行中の負荷変動が軽減される。
請求項3に係る発明では、請求項2において、回転速度が減少するときには、クランク軸の回転速度が第2閾値を超える領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とし、クランク軸の回転速度が所定値未満の領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、クランク軸の回転速度が所定値以上で第2閾値以下の領域で、オフセットを回転速度の減少に対応して漸増させる制御を行う。
請求項2の効果に加えるに、回転速度が減少するときにはクランク軸の回転速度が所定値以上で第2閾値以下の領域で、オフセットを回転速度の減少に対応して漸増させる制御を行う。
回転数が減少中も所定値で電磁クラッチを切断させるが、この時にはオフセットを持たせることで内燃機関の出力を絞って、電磁クラッチ切断に伴う負荷変動が軽減され、走行中の乗り心地が良好に維持される。
請求項4に係る発明では、スロットル操作子の操作量を操作量センサで検出して制御部へ送り、操作量に応じて制御部でスロットルアクチュエータを制御し、内燃機関への吸気量を制御して内燃機関の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、内燃機関のクランク軸に、内燃機関を冷却する冷却ファンが備えられ、冷却ファンとクランク軸との間にクラッチ機構が備えられており、制御部は、クラッチ機構の断接状態に対応してスロットルアクチュエータの作動量を、操作量に対応する値からオフセットさせて、クラッチ機構の断接に伴って発生する内燃機関の出力の変動を抑える制御を実施し、クラッチ機構は、内燃機関の温度が所定温度未満で切断状態とされ、内燃機関の温度が所定温度以上で接続状態とされる電磁クラッチであり、制御部に所定温度と、所定温度よりも低い第1閾温度と、所定温度よりも高い第2閾温度が設定され、制御部は、内燃機関の温度が増加するときには、内燃機関の温度が第1閾温度未満の領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、内燃機関の温度が所定温度を超える領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とし、内燃機関の温度が第1閾温度以上で所定温度以下の領域で、オフセットを内燃機関の温度の増加に対応して漸減させる制御を行う。
内燃機関に電磁クラッチを介して冷却ファンが接続される。そして、制御部は、内燃機関の温度が増加するときには、内燃機関の温度が第1閾温度以上で所定温度以下の領域で、オフセットを内燃機関の温度の増加に対応して漸減させる制御を行う。
内燃機関の温度が増加中は、所定値で電磁クラッチを接続させるが、この時にはオフセットがゼロとされ内燃機関の出力が増加しているため、冷却ファンの負荷が相殺され、走行中の負荷変動が軽減される。
請求項5に係る発明では、請求項4において、内燃機関の温度が減少するときには、内燃機関の温度が第2閾温度を超える領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とし、内燃機関の温度が所定温度未満の領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、内燃機関の温度が所定温度以上で第2閾温度以下の領域で、オフセットを内燃機関の温度の減少に対応して漸増させる制御を行うことを特徴とする。
請求項5に係る発明では、請求項4の効果に加えるに、内燃機関の温度が減少するときには、内燃機関の温度が所定温度以上で第2閾温度以下の領域で、オフセットを内燃機関の温度の減少に対応して漸増させる制御を行う。
内燃機関の温度が減少中も所定値で電磁クラッチを切断させるが、この時にはオフセットを持たせることで内燃機関の出力を絞って、電磁クラッチ切断に伴う負荷変動が軽減され、走行中の乗り心地が良好に維持される。
請求項6に係る発明は、スロットル操作子の操作量を操作量センサで検出して制御部へ送り、操作量に応じて制御部でスロットルアクチュエータを制御し、内燃機関への吸気量を制御して内燃機関の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、内燃機関のクランク軸に、内燃機関を冷却する冷却ファンが備えられ、冷却ファンとクランク軸との間にクラッチ機構が備えられており、制御部は、クラッチ機構の断接状態に対応してスロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値からオフセットさせて、クラッチ機構の断接に伴って発生する内燃機関の出力の変動を抑える制御を実施し、クラッチ機構は、内燃機関の温度が所定温度未満で切断状態とされ、内燃機関の温度が所定温度以上で接続状態とされる電磁クラッチであり、制御部に所定温度と、所定温度よりも低い第1閾温度と、所定温度よりも高い第2閾温度が設定され、制御部は、車両が停止しているときの停車情報を取得したときに電磁クラッチを切断状態にし、車両が走行しているときの走行情報を取得したときに、制御部は、内燃機関の温度が増加するときには、内燃機関の温度が第1閾温度未満の領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、内燃機関の温度が所定温度を超える領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とし、内燃機関の温度が第1閾温度以上で所定温度以下の領域で、オフセットを内燃機関の温度の増加に対応して漸減させる。
請求項7に係る発明では、請求項7において、内燃機関の温度が減少するときには、内燃機関の温度が第2閾温度を超える領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とし、内燃機関の温度が所定温度未満の領域で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、内燃機関の温度が所定温度以上で第2閾温度以下の領域で、オフセットを内燃機関の温度の減少に対応して漸増させる。
請求項6及び請求項7によれば、停車情報を取得したときに電磁クラッチを切断状態にする。
走行中、負荷変動による乗員への乗り心地の変化を防止しつつ、停車中に制御により燃料消費の増加を防止することができる。
スクータ型車両の右側面図である。 実施例1に係る内燃機関の要部拡大断面図である。 図2の3−3線断面図である。 実施例1に係るブロック構成図である。 実施例1に係る、加速時の制御を説明する図である。 実施例1に係る、減速時の制御を説明する図である。 実施例2に係るブロック構成図である。 実施例2に係る内燃機関の要部拡大断面図である。 実施例2に係る、加速時の制御を説明する図である。 実施例2に係る、減速時の制御を説明する図である。 実施例3に係るブロック構成図である。 実施例3に係る、加速時の制御を説明する図である。 実施例3に係る、減速時の制御を説明する図である。 実施例4に係るブロック構成図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、車両10は、メインフレーム11の前部に設けられるヘッドパイプ12に操向自在にフロントフォーク13が取付けられ、このフロントフォーク13の上部にハンドル14が固定され、フロントフォーク13の下部に前輪15が回転自在に取付けられ、メインフレーム11の後端に連結部材16を介してパワーユニット17が上下スイング可能に取付けられ、このパワーユニット17に駆動輪としての後輪18が取付けられ、メインフレーム11の後部から斜め上へリヤフレーム19が延ばされ、このリヤフレーム19にヘルメット21が収納できる収納ボックス22が取付けられ、この収納ボックス22の車両後方位置にてリヤフレーム19に燃料タンク23が取付けられ、収納ボックス22及び燃料タンク23を覆うように、タンデムシート24が取付られ、車体カバー25で要部が囲われているスクータ型車両である。
パワーユニット17には、前部に内燃機関26が設けられる。この内燃機関26に、燃焼用空気を浄化するエアクリーナ27と燃焼ガスを排出する排気管28が接続され、この排気管28に消音器29が接続される。パワーユニット17とリヤフレーム19とにリヤクッション31が渡され、乗り心地性を高める。
図2は内燃機関の要部断面図であり、クランク軸33の一端に、カップ状のロータ34が取付けられ、このロータ34に永久磁石35が取付けられている。この永久磁石35の内側に発電コイル36が配置され、この発電コイル36と永久磁石35とで発電機37が構成される。
ロータ34にクラッチインナ38がボルト39で固定され、このクラッチインナ38にウエイト41、41が取付けられる。これらのウエイト41、41を囲うようにしてクラッチアウタ42が配置され、このクラッチアウタ42に冷却ファン43、43が固定される。クラッチアウタ42から軸部材44が延びる。
クランクケース45にファンカバー46が取付けられ、このファンカバー46の中央に軸部材44を回転自在に支える軸受47が取付けられ、この軸受47を囲うようにしてファンカバー46に空気取入れ用のルーバー48が設けられる。
図3に示すように、一対のウエイト41、41は、スイング可能にピン49、49でクラッチインナ(図2、符号38)に止められ、引張ばね51、51でクラッチ切断側に付勢される。クラッチインナ38が回転されると、ウエイト41、41に遠心力が作用する。この遠心力により、引張ばね51、51の付勢力に抗して、ウエイト41、41は径外方へ移動し始める。回転速度が増加するとウエイト41、41がクラッチアウタ42に接触し始める。このときの回転速度を「第1回転速度」と呼ぶ。
回転速度を更に増すと、ウエイト41、41がクラッチアウタ42に十分に接触する。この接触により十分なトルクが伝達可能となる。この十分なトルクにより、冷却ファン43、43がクランク軸に同期して回される。このときの回転速度を「第2回転速度」と呼ぶ。
図2に示すように、クラッチインナ38とウエイト41、41とクラッチアウタ42とからなる遠心クラッチ50を介して、クランク軸33に冷却ファン43が接続される。
クランク軸33が第1回転速度に達すると、いわゆる半クラッチ状態になり、冷却ファン43がクランク軸33よりスリップ分だけ低い回転速度で回り始める。
クランク軸33が第2回転速度に達すると、クラッチ接続状態になり、冷却ファン43がクランク軸33と同一の速度で回り始める。
以上に説明した遠心クラッチ50を備える内燃機関の作用を次に説明する。
図4に示すように、クランク軸33に遠心クラッチ50を介して冷却ファン43が設けられている。また、ハンドル14にスロットル操作子53が備えられる。このスロットル操作子53は運転者が右手で回すことで操作される。この操作量(スロットル操作子53の回転量)は、付属の操作量センサ54で検出され、ハーネス(信号線)55を介して制御部56へ送られる。
制御部56はスロットル操作子53の操作量に応じてスロットルアクチュエータ57に制御指令を出力し、スロットルアクチュエータ57でスロット弁58を開閉制御する。スロットル弁58が開かれると内燃機関26の出力が増加し、スロットル弁58が絞られると内燃機関26の出力が減少する。
図5で遠心クラッチを備える内燃機関が加速(回転速度が増加)するときの作用を説明する。
図5(a)に、上の線は、冷却ファンをクランク軸に備えない内燃機関の出力を示す。この出力はスロットル操作子の操作量に比例する。
一方、冷却ファンがフランク軸に固定されているときには、冷却ファンによる損失が発生する。この損失を差し引いたものが、「冷却ファン有り内燃機関」の線で示される。
すなわち、「冷却ファン有り内燃機関」は「冷却ファン無し内燃機関」に対して冷却ファンによる損失だけ、出力減側に「オフセット」していると言える。
図5(b)に示すように、横軸がクランク軸回転速度(エンジン回転速度とも言う。以下同じ)のグラフにて、遠心クラッチは、第1回転速度未満の領域では「切断状態」となり、第1回転速度から接続が開始され、第2回転速度で接続が完成する。第2回転速度を超えた領域では、「接続状態」のままとなる。
図5(c)は横軸がスロットル操作子の操作量、左縦軸が内燃機関の出力、右縦軸がスロットルアクチュエータの出力(作動量)であるグラフである。
実太線曲線でスロットルアクチュエータの出力が示され、破線曲線で内燃機関の出力が示される。
制御部は、図5(c)中、(1)〜(2)の領域では、図5(b)に示す「冷却ファン有り内燃機関」に沿うように、スロットルアクチュエータの出力を制御する。
また、制御部は、図5(c)中、(3)〜(4)の領域では、図5(b)に示す「冷却ファン無し内燃機関」に沿うように、スロットルアクチュエータの出力を制御する。
そして、制御部は、図5(c)中、(2)〜(3)の領域では、スロットル操作子の操作量の増加に対応してオフレットが1.0から0になるように漸減させる。
すなわち、制御部は、スロットル操作子の操作量に応じて、太実線で示すように、スロットルアクチュエータを作動させる。
(2)〜(3)の領域では、いわゆる半クラッチ状態であるため、冷却ファンの回転速度はクランク軸の回転速度より小さく、冷却ファンの損失分は小さい。そのため、(3)の近傍では曲線が上に凸になるものの、この凸は小さい。
すなわち、内燃機関の出力(取出し可能な出力)は、破線で示すようになり、(3)の近傍で僅かに変化するものの、全体的にリニアーに変化する。ほぼ、リニアーであるため、乗り心地の変化は僅かである。
次に、遠心クラッチを備える内燃機関が減速(回転速度が減少)するときの作用を説明する。
図6(a)は、図5(b)と同じであるため、説明を省略する。
図6(b)にて、制御部は、(3)〜(2)の領域で、スロットル操作子の操作量の減少に対応してオフレットが0から1.0になるように漸増させる。
(3)〜(2)の領域では、いわゆる半クラッチ状態であるため、冷却ファンの回転速度はクランク軸の回転速度より小さく、冷却ファンの損失分は小さい。そのため、(2)の近傍では曲線が上に凸になるものの、この凸は小さい。
すなわち、内燃機関の出力(取出し可能な出力)は、破線で示すようになり、(2)の近傍で僅かに変化するものの、全体的にリニアーに変化する。
図5及び図6から、クランク軸に遠心クラッチを介して冷却ファンが接続される内燃機関において、走行中の負荷変動を軽減することができる。
この実施例1及び後述の実施例2〜4をまとめると、次の通りである。
図4、図7、図11に示すように、スロットル操作子53の操作量を操作量センサ54で検出して制御部56へ送り、操作量に応じて制御部56でスロットルアクチュエータ57を制御し、内燃機関26への吸気量を制御して内燃機関26の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、内燃機関26のクランク軸33に、内燃機関26を冷却する冷却ファン43が備えられ、この冷却ファン43とクランク軸33との間に、クラッチ機構50又は60が備えられている。
そして、制御部(56)は、図5(c)、図6(b)、図9(b)、図10(b)、図12(b)、図13(b)に示すように、クラッチ機構50又は60の断接状態に対応してスロットルアクチュエータ57の作動量(出力)を、操作量に対応する値からオフセットさせる制御を実施する。
結果、クラッチ機構50又は60の断接に伴って発生する内燃機関(26)の出力の変動を抑えて乗り心地を改善することができる。
特に、実施例1においては、図5(b)に示すように、クラッチ機構は、クランク軸が第1回転速度に達したら接続を開始し、第1回転速度より高速である第2回転速度で接続が完了する遠心クラッチである。
図5(c)、図6(b)に示すように、制御部は、エンジン回転速度(クランク軸回転速度)が第1回転速度未満の領域((1)〜(2))では、スロットルアクチュエータの出力(作動量)を操作量に対応する値(図5(a)での冷却ファン無し内燃機関の線)から減らすようにオフセットさせる。
また、制御部は、クランク軸の回転速度が第2回転速度を超える領域((3)〜(4))では、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量(冷却ファン無し内燃機関の線)とする。
また、制御部は、クランク軸の回転速度が第1回転速度以上で第2回転速度以下の領域((2)〜(3))では、オフセットを回転速度の増加に対応して漸減させる。
結果、クラッチ機構の断接に伴って発生する内燃機関の出力の変動を抑えることができる。
なお、遠心クラッチの場合には、その接続開始又は切断開始の回転がばらつかないよう、ウエイトと引張りばねの組合せを選択することが好ましい。また、第1閾値や第2閾値は回転数のばらつきを考慮して幅広く設定されることが好ましい。
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図7に示すように、クランク軸33に電磁クラッチ60(詳細構造は後述する。)を介して冷却ファン43が設けられている。また、ハンドル14にスロットル操作子53が備えられる。このスロットル操作子53は運転者が右手で回すことで操作される。この操作量(回転量)は、付属の操作量センサ54で検出され、ハーネス(信号線)55を介して制御部56へ送られる。
また、クランク軸33の回転速度を検出するクランク軸速度センサ59が内燃機関26に付属され、このクランク軸速度センサ59からクランク軸33の回転速度情報が制御部56へ送られる。
制御部56はスロットル操作子53の操作量に応じてスロットルアクチュエータ57に制御指令を出力し、スロットルアクチュエータ57でスロット弁58を開閉制御する。スロットル弁58が開かれると内燃機関26の出力が増加し、スロットル弁58が絞られると内燃機関26の出力が減少する。
次に、電磁クラッチ60の詳細構造を説明する。なお、図2と重複する構成要素については、図2の符号を流用することにより、詳細な説明を省略する。
図8に示すように、電磁クラッチ60は、クランク軸33に取付けられるクラッチインナ38と、このクラッチインナ38の外周部に設けられるスプライン61に、軸方向移動可能に嵌められているインナクラッチプレート62と、このインナクラッチプレート62を挟むようにクラッチアウタ42に固定されているアウタクラッチプレート63と、クラッチアウタ42の外側に配置される電磁石64とからなる。
電磁石64に通電されると、磁力が発生し、この磁力でインナクラッチプレート62が引き寄せられる。すると、インナクラッチプレート62がアウタクラッチプレート63に押圧され、摩擦力が発生する。結果、クラッチ接続状態になり、冷却ファン43がクランク軸33と共に回転する。電磁石64への通電制御は、制御部(図7、符号56)で行われる。
電磁石64への通電が停止されると、磁力が消滅し、インナクラッチプレート62がアウタクラッチプレート63から離れる。結果、クラッチ切断状態になり、クランク軸33が回っていても冷却ファン43は停止する。
図9で電磁クラッチを備える内燃機関が加速(回転速度が増加)するときの作用を説明する。
図9(a)は、図5(a)と同一であるため、説明を省略する。「冷却ファン有り内燃機関」は「冷却ファン無し内燃機関」に対して冷却ファンによる損失だけ、出力減側に「オフセット」している。このオフレットが図9(c)、図10(b)で使われる。
図9(b)に示すように、横軸がクランク軸回転速度(エンジン回転速度)のグラフにて、電磁クラッチを切断状態から接続状態に切り換える回転数を「所定値」と定める。この所定値は電磁クラッチを接続状態から切断状態に切り換える回転数でもある。
「所定値」から一定回転速度を減らした値を「第1閾値」とし、「所定値」にある量の回転速度を加えた値を「第2閾値」とし、制御部に「所定値」、「第1閾値」、「第2閾値」を予め設定する。
図9(c)は横軸がスロットル操作子の操作量、左縦軸が内燃機関の出力、右縦軸がスロットルアクチュエータの出力(作動量)であるグラフである。
実太線曲線でスロットルアクチュエータの出力が示され、破線曲線で内燃機関の出力が示される。
(2)は第1閾値に合致し、(3)は所定値に合致する。
制御部は、図9(c)中、(1)〜(2)の領域では、図9(a)に示す「冷却ファン有り内燃機関」に沿うように、スロットルアクチュエータの出力を制御する。
また、制御部は、図9(c)中、(3)〜(4)の領域では、図9(a)に示す「冷却ファン無し内燃機関」に沿うように、スロットルアクチュエータの出力を制御する。
そして、制御部は、図9(c)中、(2)〜(3)の領域では、スロットル操作子の操作量の増加に対応してオフレットが1.0から0になるように漸減させる。
すなわち、制御部は、スロットル操作子の操作量に応じて、太実線で示すように、スロットルアクチュエータを作動させる。
(2)〜(3)の領域では、スロットル弁が余分に開けられることにより、内燃機関出力が増加する。ただし、内燃機関出力の増加は時間遅れがあるため、(3)の近傍では曲線が上に凸になるものの、この凸は小さい。
すなわち、内燃機関の出力(取出し可能な出力)は、破線で示すようになり、(3)の近傍で僅かに変化するものの、全体的にリニアーに変化する。
次に、電磁心クラッチを備える内燃機関が減速(回転速度が減少)するときの作用を説明する。
図10(a)は、図9(b)と同じであるため、説明を省略する。
図10(b)にて、(5)は第2閾値に合致し、(6)は所定値に合致する。
制御部は、(5)〜(6)の領域で、スロットル操作子の操作量の減少に対応してオフレットが0から1.0になるように漸増させる。
(5)〜(6)の領域では、スロットル弁が多目に閉じられるために、内燃機関出力が低下する。(6)で電磁クラッチが接続状態から切断状態に切換わり、冷却ファンが切り離されるため、ファン損失分がゼロになる。ファン損失分だけ内燃機関出力が急増する。この急増分と事前の減少分とが相殺される。すなわち、(6)の近傍で曲線が上に凸になるものの、この凸は小さい。
すなわち、内燃機関の出力(取出し可能な出力)は、破線で示すようになり、(6)の近傍で僅かに変化するものの、全体的にリニアーに変化する。
図9及び図10から、クランク軸に電磁クラッチを介して冷却ファンが接続される内燃機関において、走行中の負荷変動を軽減することができる。
実施例2をまとめると次の通りである。
図9(b)に示すように、クラッチ機構は、エンジン回転速度(クランク軸の回転速度)が所定値未満で切断状態とされ、所定値以上で接続状態とされる電磁クラッチである。
制御部に、所定値と、この所定値よりも小さな第1閾値と、所定値よりも大きな第2閾値が予め設定されている。
図9(c)に示すように、制御部は、回転速度が増加するときには、クランク軸の回転速度が第1閾値未満の領域((1)〜(2))で、スロットルアクチュエータの出力(作動量)を操作量に対応する値(冷却ファン無し内燃機関の線)から減らすようにオフセットさせる。
また、制御部は、クランク軸の回転速度が所定値を超える領域((3)〜(4))で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量(冷却ファン無し内燃機関の線)とする。
また、クランク軸の回転速度が第1閾値以上で所定値以下の領域((2)〜(3))で、オフセットを回転速度の増加に対応して漸減させる制御を行う。
図10(b)に示すように、回転速度が減少するときには、クランク軸の回転速度が第2閾値を超える領域((4)〜(5))で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とする。
また、クランク軸の回転速度が所定値未満の領域((6)〜(7))で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせる。
また、クランク軸の回転速度が所定値以上で第2閾値以下の領域((5)〜(6))で、オフセットを回転速度の減少に対応して漸増させる制御を行う。
この実施例2によれば、回転数が増加中は、所定値で電磁クラッチを接続させるが、この時にはオフセットがゼロとされ内燃機関の出力が増加しているため、冷却ファンの負荷が相殺され、走行中の負荷変動が軽減される。また、回転数が減少中も所定値で電磁クラッチを切断させるが、この時にはオフセットを持たせることで内燃機関の出力を絞って、電磁クラッチ切断に伴う負荷変動が軽減され、走行中の乗り心地が良好に維持される。
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。
図11に示すように、クランク軸33に電磁クラッチ60を介して冷却ファン43が設けられている。また、ハンドル14にスロットル操作子53が備えられる。このスロットル操作子53は運転者が右手で回すことで操作される。この操作量(回転量)は、付属の操作量センサ54で検出され、ハーネス(信号線)55を介して制御部56へ送られる。
また、内燃機関26の温度を検出する温度センサ66が内燃機関26に付属され、この温度センサ66から内燃機関26の温度情報が制御部56へ送られる。
制御部56はスロットル操作子53の操作量に応じてスロットルアクチュエータ57に制御指令を出力し、スロットルアクチュエータ57でスロット弁58を開閉制御する。スロットル弁58が開かれると内燃機関26の出力が増加し、スロットル弁58が絞られると内燃機関26の出力が減少する。
図12で電磁クラッチを備える内燃機関が加速(回転速度が増加)するときの作用を説明する。
図12(a)は、図9(a)と同一であるため、説明を省略する。「冷却ファン有り内燃機関」は「冷却ファン無し内燃機関」に対して冷却ファンによる損失だけ、出力減側に「オフセット」している。このオフレットが図12(c)、図13(b)で使われる。
図12(b)に示すように、横軸がエンジン温度(内燃機関の温度)のグラフにて、電磁クラッチを切断状態から接続状態に切り換える回転数を「所定値温度」と定める。この所定温度は電磁クラッチを接続状態から切断状態に切り換える回転数でもある。
「所定値温度」から一定温度を減らした温度を「第1閾温度」とし、「所定温度」にある大きさの温度を加えた温度を「第2閾温度」とし、制御部に「所定温度」、「第1閾温度」、「第2閾温度」を予め設定しておく。
図12(c)は横軸がスロットル操作子の操作量、左縦軸が内燃機関の出力、右縦軸がスロットルアクチュエータの出力(作動量)であるグラフである。
実太線曲線でスロットルアクチュエータの出力が示され、破線曲線で内燃機関の出力が示される。
(2)は第1閾温度に合致し、(3)は所定温度に合致する。
制御部は、図12(c)中、(1)〜(2)の領域では、図12(a)に示す「冷却ファン有り内燃機関」に沿うように、スロットルアクチュエータの出力を制御する。
また、制御部は、図12(c)中、(3)〜(4)の領域では、図12(a)に示す「冷却ファン無し内燃機関」に沿うように、スロットルアクチュエータの出力を制御する。
そして、制御部は、図12(c)中、(2)〜(3)の領域では、スロットル操作子の操作量の増加に対応してオフレットが1.0から0になるように漸減させる。
すなわち、制御部は、スロットル操作子の操作量に応じて、太実線で示すように、スロットルアクチュエータを作動させる。
(2)〜(3)の領域では、スロットル弁が余分に開けられることにより、内燃機関出力が増加する。ただし、内燃機関出力の増加は時間遅れがあるため、(3)の近傍では曲線が上に凸になるものの、この凸は小さい。
すなわち、内燃機関の出力(取出し可能な出力)は、破線で示すようになり、(3)の近傍で僅かに変化するものの、全体的にリニアーに変化する。
次に、電磁心クラッチを備える内燃機関が減速(回転速度が減少)するときの作用を説明する。
図13(a)は、図12(b)と同じであるため、説明を省略する。
図13(b)にて、(5)は第2閾温度に合致し、(6)は所定温度に合致する。
制御部は、(5)〜(6)の間で、スロットル操作子の操作量の減少に対応してオフレットが0から1.0になるように漸増させる。
(5)〜(6)の領域では、スロットル弁が多目に閉じられるために、内燃機関出力が低下する。(6)で電磁クラッチが接続状態から切断状態に切換わり、冷却ファンが切り離されるため、ファン損失分がゼロになる。ファン損失分だけ内燃機関出力が急増する。この急増分と事前の減少分とが相殺される。すなわち、(6)の近傍で曲線が上に凸になるものの、この凸は小さい。
すなわち、内燃機関の出力(取出し可能な出力)は、破線で示すようになり、(6)の近傍で僅かに変化するものの、全体的にリニアーに変化する。
図12及び図13から、クランク軸に電磁クラッチを介して冷却ファンが接続される内燃機関において、走行中の負荷変動を軽減することができる。
実施例3は次のようにまとめることができる。
図12(b)に示すように、クラッチ機構は、内燃機関の温度(エンジン温度)が所定温度未満で切断状態とされ、内燃機関の温度が所定温度以上で接続状態とされる電磁クラッチである。そして、制御部に、所定温度と、この所定温度よりも低い第1閾温度と、所定温度よりも高い第2閾温度が予め設定される。
図12(c)に示すように、制御部は、内燃機関の温度が増加するときには、内燃機関の温度が第1閾温度未満の領域((1)〜(2))で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせる。
また、内燃機関の温度が所定温度を超える領域((3)〜(4))で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とする。
また、内燃機関の温度が第1閾温度以上で所定温度以下の領域((2)〜(3))で、オフセットを内燃機関の温度の増加に対応して漸減させる制御を行う。
図13(c)に示すように、内燃機関の温度が減少するときには、内燃機関の温度が第2閾温度を超える領域((4)〜(5))で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する量とする。
また、内燃機関の温度が所定温度未満の領域((6)〜(7))で、スロットルアクチュエータの作動量を操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせる。
また、内燃機関の温度が所定温度以上で第2閾温度以下の領域((5)〜(6))で、オフセットを内燃機関の温度の減少に対応して漸増させる制御を行う。
この実施例3によれば、実施例2と同様に、回転数が増加中は、所定値で電磁クラッチを接続させるが、この時にはオフセットがゼロとされ内燃機関の出力が増加しているため、冷却ファンの負荷が相殺され、走行中の負荷変動が軽減される。また、回転数が減少中も所定値で電磁クラッチを切断させるが、この時にはオフセットを持たせることで内燃機関の出力を絞って、電磁クラッチ切断に伴う負荷変動が軽減され、走行中の乗り心地が良好に維持される。
実施例3の変更例である実施例4を、図面に基づいて説明する。
図14に示すように、前輪15に車速センサ67が備えられ、この車速センサ67から車速情報が制御部56に送られる。制御部56は車速情報に基づいて、停車中と走行中とを識別する。
そして、制御部56は、停車中には内燃機関26の温度に無関係に電磁クラッチ60を切断状態にし、走行中には、図12及び図13に基づく制御を実施する。
負荷変動による乗員への乗り心地の変化を防止しつつ、停車中に制御により燃料消費の増加を防止することができる。
尚、本発明の出力制御装置は、スクータ型車両に好適であるが、クランク軸にクラッチ機構を介して冷却ファンを接続する内燃機関を搭載する車両であればよく、小型自動二輪車、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
本発明の出力制御装置は、スクータ型車両に好適である。
10…車両、26…内燃機関、33…クランク軸、43…冷却ファン、50…遠心クラッチ、53…スロットル操作子、54…操作量センサ、56…制御部、57…スロットルアクチュエータ、59…クランク軸速度センサ、60…電磁クラッチ、66…温度センサ、67…車速センサ。

Claims (7)

  1. スロットル操作子(53)の操作量を操作量センサ(54)で検出して制御部(56)へ送り、前記操作量に応じて前記制御部(56)でスロットルアクチュエータ(57)を制御し、内燃機関(26)への吸気量を制御して前記内燃機関(26)の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、
    前記内燃機関(26)のクランク軸(33)に、前記内燃機関(26)を冷却する冷却ファン(43)が備えられ、この冷却ファン(43)と前記クランク軸(33)との間に、クラッチ機構(50)が備えられており、
    前記制御部(56)は、前記クラッチ機構(50)の断接状態に対応して前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を、前記操作量に対応する値からオフセットさせて、前記クラッチ機構(50)の断接に伴って発生する前記内燃機関(26)の出力の変動を抑える制御を実施し、
    前記クラッチ機構(50)は、前記クランク軸(33)が第1回転速度に達したら接続を開始し、前記第1回転速度より高速である第2回転速度で接続が完了する遠心クラッチ(50)であり、
    前記制御部(56)は、前記クランク軸(33)の回転速度が前記第1回転速度未満の領域では、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記クランク軸(33)の回転速度が前記第2回転速度を超える領域では、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する量とし、前記クランク軸(33)の回転速度が前記第1回転速度以上で前記第2回転速度以下の領域では、前記オフセットを前記回転速度の増加に対応して漸減させる、
    ことを特徴とする内燃機関の出力制御装置。
  2. スロットル操作子(53)の操作量を操作量センサ(54)で検出して制御部(56)へ送り、前記操作量に応じて前記制御部(56)でスロットルアクチュエータ(57)を制御し、内燃機関(26)への吸気量を制御して前記内燃機関(26)の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、
    前記内燃機関(26)のクランク軸(33)に、前記内燃機関(26)を冷却する冷却ファン(43)が備えられ、この冷却ファン(43)と前記クランク軸(33)との間に、クラッチ機構(60)が備えられており、
    前記制御部(56)は、前記クラッチ機構(60)の断接状態に対応して前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を、前記操作量に対応する値からオフセットさせて、前記クラッチ機構(60)の断接に伴って発生する前記内燃機関(26)の出力の変動を抑える制御を実施し、
    前記クラッチ機構(60)は、前記クランク軸(33)の回転速度が所定値未満で切断状態とされ、前記クランク軸(33)の回転速度が所定値以上で接続状態とされる電磁クラッチ(60)であり、
    前記制御部(56)に、前記所定値と、この所定値よりも小さな第1閾値と、前記所定値よりも大きな第2閾値が設定され、
    前記制御部(56)は、
    前記回転速度が増加するときには、前記クランク軸(33)の回転速度が前記第1閾値未満の領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記クランク軸(33)の回転速度が前記所定値を超える領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する量とし、前記クランク軸(33)の回転速度が前記第1閾値以上で前記所定値以下の領域で、前記オフセットを前記回転速度の増加に対応して漸減させる制御を行う、
    ことを特徴とする内燃機関の出力制御装置。
  3. 前記回転速度が減少するときには、前記クランク軸(33)の回転速度が前記第2閾値を超える領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する量とし、前記クランク軸(33)の回転速度が前記所定値未満の領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記クランク軸(33)の回転速度が前記所定値以上で前記第2閾値以下の領域で、前記オフセットを前記回転速度の減少に対応して漸増させる制御を行う、
    ことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の出力制御装置。
  4. スロットル操作子(53)の操作量を操作量センサ(54)で検出して制御部(56)へ送り、前記操作量に応じて前記制御部(56)でスロットルアクチュエータ(57)を制御し、内燃機関(26)への吸気量を制御して前記内燃機関(26)の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、
    前記内燃機関(26)のクランク軸(33)に、前記内燃機関(26)を冷却する冷却ファン(43)が備えられ、この冷却ファン(43)と前記クランク軸(33)との間に、クラッチ機構(60)が備えられており、
    前記制御部(56)は、前記クラッチ機構(60)の断接状態に対応して前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を、前記操作量に対応する値からオフセットさせて、前記クラッチ機構(60)の断接に伴って発生する前記内燃機関(26)の出力の変動を抑える制御を実施し、
    前記クラッチ機構(60)は、前記内燃機関(26)の温度が所定温度未満で切断状態とされ、前記内燃機関(26)の温度が所定温度以上で接続状態とされる電磁クラッチ(60)であり、
    前記制御部(56)に、前記所定温度と、この所定温度よりも低い第1閾温度と、前記所定温度よりも高い第2閾温度が設定され、
    前記制御部(56)は、
    前記内燃機関(26)の温度が増加するときには、前記内燃機関(26)の温度が前記第1閾温度未満の領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記内燃機関(26)の温度が前記所定温度を超える領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する量とし、前記内燃機関(26)の温度が前記第1閾温度以上で前記所定温度以下の領域で、前記オフセットを前記内燃機関(26)の温度の増加に対応して漸減させる制御を行う、
    ことを特徴とする内燃機関の出力制御装置。
  5. 前記内燃機関(26)の温度が減少するときには、前記内燃機関(26)の温度が前記第2閾温度を超える領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する量とし、前記内燃機関(26)の温度が前記所定温度未満の領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記内燃機関(26)の温度が前記所定温度以上で前記第2閾温度以下の領域で、前記オフセットを前記内燃機関(26)の温度の減少に対応して漸増させる制御を行う、
    ことを特徴とする請求項4記載の内燃機関の出力制御装置。
  6. スロットル操作子(53)の操作量を操作量センサ(54)で検出して制御部(56)へ送り、前記操作量に応じて前記制御部(56)でスロットルアクチュエータ(57)を制御し、内燃機関(26)への吸気量を制御して前記内燃機関(26)の出力を制御する内燃機関の出力制御装置であって、
    前記内燃機関(26)のクランク軸(33)に、前記内燃機関(26)を冷却する冷却ファン(43)が備えられ、この冷却ファン(43)と前記クランク軸(33)との間に、クラッチ機構(60)が備えられており、
    前記制御部(56)は、前記クラッチ機構(60)の断接状態に対応して前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を、前記操作量に対応する値からオフセットさせて、前記クラッチ機構(60)の断接に伴って発生する前記内燃機関(26)の出力の変動を抑える制御を実施し、
    前記クラッチ機構(60)は、前記内燃機関(26)の温度が所定温度未満で切断状態とされ、前記内燃機関(26)の温度が所定温度以上で接続状態とされる電磁クラッチ(60)であり、
    前記制御部(56)に、前記所定温度と、この所定温度よりも低い第1閾温度と、前記所定温度よりも高い第2閾温度が設定され、
    前記制御部(56)は、車両が停止しているときの停車情報を取得したときに、前記電磁クラッチ(60)を切断状態にし、
    車両が走行しているときの走行情報を取得したときに、前記制御部(56)は、
    前記内燃機関(26)の温度が増加するときには、前記内燃機関(26)の温度が前記第1閾温度未満の領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記内燃機関(26)の温度が前記所定温度を超える領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する量とし、前記内燃機関(26)の温度が前記第1閾温度以上で前記所定温度以下の領域で、前記オフセットを前記内燃機関(26)の温度の増加に対応して漸減させる制御を行う、
    ことを特徴とする内燃機関の出力制御装置。
  7. 前記内燃機関(26)の温度が減少するときには、前記内燃機関(26)の温度が前記第2閾温度を超える領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する量とし、前記内燃機関(26)の温度が前記所定温度未満の領域で、前記スロットルアクチュエータ(57)の作動量を前記操作量に対応する値から減らすようにオフセットさせ、前記内燃機関(26)の温度が前記所定温度以上で前記第2閾温度以下の領域で、前記オフセットを前記内燃機関(26)の温度の減少に対応して漸増させる制御を行う、
    ことを特徴とする請求項6記載の内燃機関の出力制御装置。
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