JP5751512B2 - 粉末中心軸供給式hvaf溶射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属の酸化や金属酸化物等の変質を抑え、緻密な溶射皮膜を形成することができるHVAF溶射装置に関する。
金属や金属酸化物を溶射することにより材料の変質を抑制した金属、セラミックス又は樹脂の皮膜を基材にコーティングする方法については、様々な方法が提案されている。例えば、減圧プラズマ溶射では、チャンバー内を不活性減圧雰囲気にして、原料の金属をプラズマジェットによって溶融して成膜する。しかし、この減圧プラズマ溶射では、皮膜の品質は優れているものの、コストが非常に高いという問題がある。
また、酸素を燃焼の酸化剤(助燃剤)として使用する高速フレーム溶射(High Velocity Oxy−Fuel:HVOF)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、フレームが高温であるため、金属が酸化されてしまう問題がある。上記問題を解決すべく、不活性ガスを混合することにより、燃焼ガス温度を制御した高速フレーム溶射が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかし、この方法では、金属の溶融温度未満での溶射が可能であるものの、燃焼の酸化剤に純酸素及びガス温度制御に窒素などの不活性ガス等を用いるため、コストが高いという問題がある。
さらに、低温での溶射が可能なコールドスプレーが提案されている。しかし、この方法では、アルミニウムや銅などの軟質金属では緻密な皮膜が得られるが、チタンでは作動ガスに高価なヘリウムを使わなければ、緻密な皮膜の形成は困難である。また、コールドスプレーでは、作動ガスとして、ヘリウムや窒素等の工業用ガスを大量に使用するため、コストが非常に高いという問題がある。
金属や金属酸化物を溶射する際に、コストを比較的低く抑える方法として、圧縮空気を燃焼の酸化剤として使用するHVAF(High Velocity Air−Fuel)溶射装置があるが、HVAF溶射装置を用いた場合であっても、フレームは比較的高温であるため、金属の酸化や金属酸化物の変質が発生するという問題があった。
液体燃料を用いるHVAF溶射装置は安全面では気体燃料を用いる装置に勝るが、燃焼のためには液体の気化が必要であり、必然的に燃焼室は長くならざるを得ず、構造上空冷型では粉末を中心軸に供給する装置はない。
特開2009−214020号公報 特開2006−274326号公報 特開2007−29950号公報
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、比較的コストを低く抑えて溶射することが可能であり、金属の酸化や金属酸化物の変質を抑え、基材との密着性に優れた、緻密な溶射皮膜を形成することができるHVAF溶射装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は、これらの課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、HVAF溶射装置において、特殊な形状のラバルノズルを連結し、粉末状の金属、セラミックス又は樹脂(以下、金属等という)をラバルノズル内の燃焼ガスの流路上に直接供給することで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、液体燃料を圧縮空気により燃焼させ、発生した燃焼ガスを利用して高温から低温まで幅広い温度領域を有する金属等を基材に衝突させるHVAF溶射装置であって、燃料と圧縮空気を混合し燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼室と、燃焼室に連結され、低温のガスを利用する場合、燃焼室で生成された燃焼ガスを冷却する冷却室と、金属等を噴射する燃焼ガス噴射方向とは逆の方向を背面方向とした場合に、冷却室の背面方向から粉末状の金属等を装置内に供給する粉末供給路と、冷却室の正面方向に連結され、粉末供給路から供給された金属等が燃焼ガスとともに通過するラバルノズルと、ラバルノズルに連結され、ラバルノズルを通過した金属等が超音速の燃焼ガスとともに通過し、且つ、通過の過程で金属等を加速させるバレルとを備えたHVAF溶射装置に関する。
本発明では、底面が冷却室に隣接して配置された略円錐台形状の短円錐部と、上面が短円錐部の上面と隣接して配置され、底面がバレルと隣接して配置された略円錐台形状の長円錐部とから構成されており、長円錐部の底面の径が短円錐部の底面の径より大きく、長円錐部の高さが短円錐部の高さより高く、短円錐部の上面の径と長円錐部の上面の径が、短円錐部及び長円錐部の両底面より小さいラバルノズルを有することが好ましい。
本発明では、燃焼室と冷却室が燃焼ガス噴射方向に対して垂直方向に隣接して配置されることが好ましい。
本発明では、粉末供給路が冷却室の背面方向から燃焼ガス噴射方向に対して水平方向に設けられ、金属等がラバルノズルを通過する燃焼ガスの流路の略中心軸上に供給されることが好ましい。
本発明では、粉末供給路がラバルノズルの直前(冷却室前面の略円錐台形状の短円錐部の端部の手前)まで伸びており、金属等がラバルノズル内へ直接供給されることが好ましい。
本発明によれば、特殊な形状のラバルノズルを用いることで、金属等を超音速で噴射させることができ、比較的低温で金属等を溶射させることが可能なHVAF溶射装置を提供することができる。本発明では、比較的低温で金属等を溶射することができるため、金属の酸化や金属酸化物の変質を抑えることが可能であり、基材との密着性に優れた緻密な溶射皮膜を形成することが可能となる。また、粉末状の金属等を、ラバルノズルを通過する燃焼ガス噴射方向への燃焼ガスの流路の中心軸上に沿って供給できるため、ラバルノズル内やバレル内が汚染及び損耗されにくく、これらの耐久性が向上する。
本発明の実施の形態にかかるHVAF溶射装置の全体像を表わす図である。 本発明の実施の形態にかかるラバルノズル5を燃焼ガス噴射方向とは水平な面に沿って切断した断面図である。 実施例1にて得られる溶射皮膜表面の走査型電子顕微鏡による写真である。 実施例1にて得られる溶射皮膜断面の走査型電子顕微鏡による写真である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態の説明を行なうが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明はこれらの実施の形態に限定されない。本発明のHVAF溶射装置では、金属等を溶射することが可能である。図1は、本発明の実施の形態にかかるHVAF溶射装置1の全体像を表わす図(HVAF溶射装置における金属等の噴射方向、及び、燃料と圧縮空気の供給方向と水平な面に沿って切断した断面図)である。HVAF溶射装置1は、燃焼室(チャンバー)2と、燃焼室2に隣接して配置された冷却室3と、冷却室3の背面方向から金属等の噴射方向に対して水平方向に配置された金属等供給路4と、冷却室3の正面方向に連結されたラバルノズル5と、ラバルノズル5に連結されたバレル6とを備えている。
燃焼室2は、灯油等の液体燃料を導入する燃料導入口7と、圧縮空気を導入する圧縮空気導入口8が設けられている。燃料が燃料導入口7より、圧縮空気が圧縮空気導入口8より燃料室2に導入されると、燃料と圧縮空気は燃焼室2内で混合され、燃焼し、燃焼ガスが生成する。
燃焼室2に導入される燃料の流量は、1〜10L/hourであることが好ましく、さらには2〜8L/hourであることが好ましい。1L/hourより少ないと、金属等の加熱温度が低いため、緻密な溶射皮膜が得られない傾向にあり、10L/hourより多いと、金属等の加熱温度が高すぎるため、金属等の変質や酸化が起こりやすくなる傾向にある。
燃焼室2に導入される圧縮空気の流量は、燃焼室及び冷却室の容量、ラバルノズル及びバレル形状、接合口径などに関係するが、2〜5m/minであることが好ましく、さらには2.3〜3.3m/minであることが好ましい。2m/minより少ないと、金属等の加速が不十分となり、溶射皮膜の剥離が発生しやすく、3.5m/minより多いと、金属等の加熱温度が低いため、緻密な溶射皮膜が得られない傾向にある。
燃焼室2におけるチャンバー圧力は、0.2〜0.7MPaであることが好ましく、さらには0.3〜0.6MPaであることが好ましい。0.2MPaより小さいと、金属等の加速が不十分となり、緻密な溶射皮膜が得られない傾向にあり、0.7MPaより大きいと、金属等の加速が速すぎるため、金属等が基材に衝突する際に飛散が発生してしまう傾向がある。加えて圧縮空気を供給するコンプレッサーが特殊仕様となり、コスト上昇の要因となる。
燃焼室2における燃焼温度は、1700〜2300Kであることが好ましく、さらには1800〜2300Kであることが好ましい。1700Kより低いと、燃焼室圧力が低下し燃焼ガスの速度も低下するので緻密な溶射皮膜が得られない傾向にある。
燃焼室2において、生成した燃焼ガスは、冷却室3において空冷された後、ラバルノズル5内に供給される。冷却室3には、冷却ガス導入管9から空気等の冷却ガスが導入される。金属等供給路4は、冷却室3の背面から粉末状の金属等を供給することが可能であり、粉末状の金属等が圧縮空気不活性ガスとともに金属等供給路4へ供給されると、冷却室3を通過し、ラバルノズル5の直前(後述する短円錐部の底面側の端部の近傍)に金属等が排出される。金属等供給路4は、燃焼ガス噴射方向に水平で、且つ金属等がバレルから噴射される際のバレル6の噴射口の略中心軸上、すなわち、ラバルノズル5を構成する円錐部略中心軸上(すなわち、円錐台の上面と底面の円の中心を通る軸、ここでは、軸Xという)に沿って設置されている。金属等供給路4を通過して、ラバルノズル5内に直接供給された金属等は、金属等供給路4の先端にある金属等排出口4bから軸X上に排出され、ラバルノズル5内の燃焼ガスの流れに乗って噴射される。その結果、金属等の粒子に付与される運動エネルギーが、燃焼ガス噴射方向とは異なる他の方向へ分散されることがなくなり、また、ラバルノズル5やバレル6の内壁の汚染及び損耗を防ぐことができる。また、金属等供給路4において、金属等は圧縮空気または不活性ガスとともに供給されるため、金属等の酸化や変質を防ぐことができる。
超音速の燃焼ガスとともにラバルノズル5を通過した金属等は、バレル6内を通過することでさらに加速され、基材に向かって排出される。このような過程を経て、金属等が基材に衝突し、堆積することにより溶射皮膜が形成される。冷却室3は、燃焼室2と金属等の噴射方向に対して垂直方向に隣接して配置されており、空冷により、燃焼室2で生成された燃焼ガスを冷却する。なお、金属等供給路4を冷却室3の背面方向から燃焼ガス噴射方向に対して水平方向に設けて、金属等がラバルノズルを通過する燃焼ガスの流路の略中心軸上に供給されるようにするため、燃焼室2は冷却室3に対して、燃焼ガス噴射方向とは垂直に隣接して配置されることが好ましい。
本発明で用いられる金属等の金属等供給路4からの供給量は、10〜100g/minであることが好ましく、さらには20〜80g/minであることが好ましい。10g/minより少ないと、高速成膜のメリットが少なくなる。
次に、本発明の実施の形態にかかるラバルノズル5について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかるラバルノズル5を燃焼ガス噴射方向とは水平な面に沿って切断した断面図である。ラバルノズル5は、底面が冷却室3に隣接して配置された略円錐台形状の短円錐部10、底面がバレル6と隣接して配置された略円錐台形状の長円錐部11から構成される。
図2において、金属等の噴射方向に対して水平方向である短円錐部10の高さをa、金属等の噴射方向に対して水平方向である長円錐部11の高さをbと定義した場合、a<bであることが好ましい。
また、短円錐部10の高さaと長円錐部11の高さbの比は、a/b=1/1.2〜1/5であることが好ましく、さらに、a/b=1/1.5〜1/3であることが好ましい。
ここで、図2において、短円錐部10の底面の径をa、長円錐部11の底面の径をb、短円錐部10の上面と長円錐部11の上面との接合部をcと定義する。すなわち、金属等の噴射方向に対して垂直方向である、短円錐部10の上面の径、及び金属等の噴射方向に対して垂直方向である、長円錐部11の上面の径はcとなる。このように定義した場合、C<a≦bとなることが好ましい。このような形状とすることで、ラバルノズル5を通過する燃焼ガスの流路の略中心軸(図1における軸X)上に供給された金属等は、超音速となりラバルノズル5を通過する。また、金属排出路4は、ラバルノズル5の直前まで水平方向に伸びており、好ましくは、ラバルノズルの入口部分である短円錐部10の底面の直前まで伸びていることが好ましい。金属等が金属等供給口4aから供給されると、ラバルノズル5を通過する燃焼ガスの流路の略中心軸上に供給されるため、ラバルノズル5の内壁は金属等で汚染及び損耗されにくく、ラバルノズル5の耐久性が向上する。
バレル6は、略円柱形状に成形されており、ラバルノズル5を通過した金属等が超音速燃焼ガスとともに通過し、基材に向かって排出される。バレル6の周囲は、冷却水が循環しており、バレル6を通過する超音速ガス及び飛行粒子の速度減少及び温度上昇を防ぐ働きをする。さらに、金属等は、バレルを通過する燃焼ガスの流路の略中心軸上に供給されるため、バレル6内は金属等で汚染及び損耗されにくく、バレル6の耐久性も向上する。
バレル6の先端から基材までの溶射距離は、適宜調整されることが好ましい。溶射距離が短くなると、燃焼ガスの影響により基材の過熱が生じるなど悪影響を及ぼし、溶射距離が長くなると、金属等の基材に対する衝突速度が不十分となり、溶射皮膜の剥離が発生しやすい傾向にある。
本発明で用いられる金属としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛、アルミニウム、チタン、銅、ニッケル、モリブデン、タングステンなどの金属、アルミニウム亜鉛、ニッケルアルミ、ニッケルクロムなどの合金などがあげられる。本発明で用いられるセラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア(酸化チタン)等の金属酸化物、炭化ケイ素、窒化ケイ素等があげられる。酸化チタンを通常の方法で溶射した場合はルチル型の結晶構造を有する溶射皮膜となるが、本発明では、比較的低温で溶射することが可能となることで、アナターゼ型の結晶構造を有した溶射皮膜(すなわち、光触媒活性を有した溶射皮膜)が得られる。また、これらセラミックスを溶射することで、タイル等の建築資材とすることも可能である。本発明で用いられる樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックがあげられる。
本発明で用いられる基材としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレスなどが挙げられる。また、本発明で用いられる基材は、アンダーコート処理やブラスト処理などの前処理を行っても良い。基材の厚さは必要に応じて、適宜調整することが好ましく、基材の厚さが薄くなると、溶射をした後に基材に歪みが生じてしまう傾向にある。
本発明で用いられるHVAF溶射装置のトラバース速度は、100〜10000mm/min材料により大幅に変化するが、500〜80000mm/minであることが好ましく、さらには1000〜6000mm/minであることが好ましい。80000mm/min以上であると、均一な溶射皮膜が得られない傾向にあり、1000mm/minより遅いと、基材に衝突した金属等の温度が低減しにくく、金属等の変質や酸化が進む傾向にある。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない
(HVAF溶射装置)
HVAF溶射装置を図1に示すように構成したものを用いた。ノズル長さ、末広部長さ、スロート内径、バレル長さ、バレル内径については、以下の条件のものを用いた。
ノズル長さ :25mm
末広部長さ :15mm
スロート内径:14.3mm及び10.1mm
バレル長さ :123mm
バレル内径 :19mm
(実施例1)
灯油と酸素の燃焼炎を熱源とする上記のHVAF溶射装置を用い、表1に示す溶射条件で、酸化チタン(平均粒径10μm)をアルミニウム基材の表面に溶射し、溶射皮膜−1を得た。
(実施例2)
溶射条件を表1に示す条件とし、酸化チタン(平均粒径17μm)に変更してアルミニウム基材の表面に溶射し、溶射皮膜−2を得た。
Figure 0005751512
(比較例1)
溶射条件を表1に示す条件とし、粉末中心軸供給式HVAF溶射装置でなく、通常のHVAFにラバルノズルを装着した装置で実施例1の粉末を溶射したところ、ガス温度が高温のためにアルミニウム基材が溶融し皮膜作製は出来なかった。
(溶射皮膜の定性評価)
得られた溶射皮膜について、X線回折装置(株式会社島津製作所製、装置名XRD−7000)により、皮膜の結晶状態の定性評価を行い、溶射前の酸化チタンの結晶状態と比較した。溶射皮膜−1、及び2では、溶射前の酸化チタンと同じアナターゼ相のみのピークを示し、ルチル相は確認されなかった。結果を表2に示す。
(溶射皮膜の観察)
得られた溶射皮膜について、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、装置名S−4100)により、表面の観察を行った。皮膜表面において、酸化チタンの粒子の溶融は観察されず、断面から緻密な皮膜であることが判明した。図3に実施例1にて得られる溶射皮膜表面の写真を示す。また、図4に実施例1にて得られる溶射皮膜断面の写真を示す。
(溶射皮膜の光触媒特性評価)
湿式メチレンブルー分解性能試験を実施して光触媒特性の評価を行った。酸化チタン溶射皮膜をメチレンブルー水溶液に浸漬させ、紫外線光を照射することにより発生するメチレンブルー水溶液濃度の変化を測定することで評価を行う。ここで示す分解活性指数はメチレンブルー水溶液を単位時間当たりに分解させるモル濃度であり、この指数が高いほど活性が高い。実施例1、2に対して試験を行った。自記可視紫外分光光度計(日本分光株式会社製、装置名V−560)により、メチレンブルーの吸収波長ピーク(約664nm)を測定した。
予めメチレンブルーを飽和吸着させた酸化チタン皮膜をメチレンブルー水溶液(10μmol/L、10mL)に浸漬させ、ブラックライトを使用して中心波長約350nmの紫外線(1.2mW/cm)を照射させ、吸光度の時間変化から分解活性指数を求めた。結果を表3に示す。実施例1よりも実施例2の方が皮膜表面の均一性に優れていること及び膜厚が厚いためと推測する。
Figure 0005751512
Figure 0005751512
実施例1、2で得られた溶射皮膜は、いずれも緻密な皮膜であり、溶射前の酸化チタンと比較して、相変態は認められなかった。従って、本発明のHVAF溶射装置を用いることにより、金属の酸化を抑え、若しくは加熱による相変態が発生しない緻密な溶射皮膜を形成することができる。
1 溶射装置
2 燃焼室
3 冷却室
4 金属等供給路
4a 金属等供給口
4b 金属等排出口
5 ラバルノズル
6 バレル
7 燃料導入口
8 圧縮空気導入口
9 冷却ガス導入管
10 短円錐部(convergent部)
11 長円錐部(divergent部)

Claims (5)

  1. 液体燃料を圧縮空気により燃焼させ、発生した燃焼ガスを利用して高温の金属、セラミックス又は樹脂を基材に衝突させるHVAF溶射装置であって、
    燃料と圧縮空気を混合し燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼室と、
    燃焼室に連結され、燃焼室で生成された燃焼ガスを冷却する冷却室と、
    冷却室内へ冷却ガスを導入する冷却ガス導入管と、
    金属、セラミックス又は樹脂を噴射する燃焼ガス噴射方向とは逆の方向を背面方向とした場合に、冷却室の背面方向から粉末状の金属、セラミックス又は樹脂を装置内に供給する粉末供給路と、
    冷却室の正面方向に連結され、粉末供給路から供給された金属、セラミックス又は樹脂が燃焼ガスとともに通過するラバルノズルと、
    ラバルノズルに連結され、ラバルノズルを通過した金属、セラミックス又は樹脂が超音速の燃焼ガスとともに通過し、且つ、通過の過程で金属、セラミックス又は樹脂を加速させるバレルとを備えたHVAF溶射装置。
  2. 底面が冷却室に隣接して配置された略円錐台形状の短円錐部と、
    上面が短円錐部の上面と隣接して配置され、底面がバレルと隣接して配置された略円錐台形状の長円錐部とから構成されており、
    長円錐部の底面の径が短円錐部の底面の径より大きく、長円錐部の高さが短円錐部の高さより高く、短円錐部と長円錐部の上面の径が、短円錐部及び長円錐部の両底面より小さいラバルノズルを有する請求項1記載のHVAF溶射装置。
  3. 燃焼室と冷却室が燃焼ガス噴射方向に対して垂直方向に隣接して配置されることを特徴とする請求項1又は2記載のHVAF溶射装置。
  4. 粉末供給路が冷却室の背面方向から燃焼ガス噴射方向に対して水平方向に設けられ、金属、セラミックス又は樹脂がラバルノズル及びバレルを通過する燃焼ガスの流路の略中心軸上に供給されることを特徴とする請求項1、2又は3記載のHVAF溶射装置。
  5. 粉末供給路がラバルノズルの直前まで伸びており、金属、セラミックス又は樹脂がラバルノズル内へ直接供給されることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のHVAF溶射装置。
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