JP5750895B2 - スキミング防止機能を有した非接触型情報媒体付属冊子 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも非接触型情報媒体、内貼り用紙、表紙用部材から成る冊子に、スキミング防止機能を付与した非接触型情報媒体付属冊子に関する。
近年、非接触ICカードや非接触ICタグを用いたシステムが普及する中、例えばパスポートや預貯金通帳等冊子に、非接触ICモジュールとそれに接続されたアンテナからなるICインレットを外装基材で挟み込んで非接触型情報媒体とし、この非接触型情報媒体を、カバークロスなどを用いた表紙用部材に貼り合わせた上で、内貼り用紙と本文用紙を取り付けて装丁した、電子データの記入や印字が可能な非接触型情報媒体付属冊子が開発され公知となっている。
その非接触型情報媒体付属冊子の一事例として、例えば、特許文献1(第3−5頁)には、第1の基材シートの上面側に、所定の広さの開口部を有する第2の基材シートが接着されて凹部が形成され、この凹部内にIC チップとこれに接続されたコイルアンテナが備えられ、前記第1の基材シートの下面側に接着剤層が設けられている非接触型情報媒体と、この非接触型情報媒体が裏表紙の内面に貼付されてなる非接触型情報媒体付属冊子が開示されている。
非接触型情報媒体付属冊子の1つである電子パスポートを例に取ると、多くの偽造と変造が報告されており、それらの偽変造を防止するため、冊子に偽変造防止機能を付加させることが行なわれている。冊子の偽造を防止するためには一般的に用いられている偽造防止技術を使用することが出来、例えば見る角度によって色が変化するインキ(OVI)や、UVライトに反応するUV蛍光インキなどを印刷したり、用紙自体に特殊な蛍光を発する糸を漉き込んだり、セキュリティスレッドを挿入したりすることも行なわれている。また近年では機械検知によって偽変造を判別するため、例えば特許文献2(第2、5頁)に開示されているような感温変色インキを使用した印刷物や、あるいは、特許文献3(第2−4頁)に開示されているように、可視光および赤外光に対して反射性を有する印刷基材上に、可視光領域では光透過性が高く且つ赤外波長領域では吸収を示す赤外吸収体を含有する赤外吸収層と、赤外波長領域における吸収のない黒色の色素を含有する着色層とを重層した印刷物が用いられている。
また、同じくパスポートを例に取ると、名前や顔写真などの個人情報を守るために、例えばホログラムフィルムのラミネートが施されていたり、レーザーエングレービングによって個人情報を記録したりして偽造や変造に対してのセキュリティ性の向上が施されている。
ICチップを搭載した非接触型情報媒体には、氏名、性別、住所、ID番号などの個人情報だけでなく顔写真、指紋など生態情報など膨大な情報が記録されており、近年では、偽造や変造に対するセキュリティ性の向上以外に悪意あるものからのスキミングと呼ばれている不正な読み取りに対しての対策も求められている。スキミングは接触型ICカードのような接触型情報媒体などは悪意のある者が不正に読み取り機を接触させることで情報を違法取得するという問題があるが、接触させなければ情報を読み取られることはないため、使用時以外は外からの読み取りを不可能にするような携帯用物入れのようなスキミング防止アイテムが提案されている。
その一方で、非接触型ICやパスポートのような非接触型情報媒体は、読み取り機の電
磁波の影響を及ぼす範囲であれば情報の読み取りが可能であり、接触せずに離れていてもスキミングをされ、情報を読み取られる可能性がある。そこで、例えば特許文献4には、非接触型ICカードや携帯電話を入れる小物入れ等に使用できる、織成して成る複数本の経糸及び複数本の緯糸のうちの少なくとも複数本の糸を電磁シールド材料若しくは磁気シールド材料から構成したスキミング防止織物が開示されている。また、例えば特許文献5には、電磁波を遮断又は吸収若しくは干渉する性質を有する導電性材料を、冊子内部の少なくとも1頁に付与したスキミング防止冊子が開示されている。
特開2002−42068号公報 特開2000−6512号公報 特開2008−308555号公報 登録実用新案第3114340号公報 特開2005−279975号公報
非接触型情報媒体に冊子に貼り付けることで、簡単な方法で非接触型情報媒体付属冊子を製造できるが、スキミング対策が施されていない場合、外部からの不正な情報読み取りが行なわれる危険性があるという問題があった。さらに、このような非接触型情報媒体は、ICカードに代表されるように熱ラミネート方式で製造される事が主流になっている。これは熱可塑性の基材や熱可塑性の接着剤を使用して、ICチップおよびアンテナを基材間に挟んで成形するものであり、製造方法が容易である。このような製造方法に大きな変更を生じさせることなく、スキミング防止性能を付与させることが課題としてある。
また、非接触型情報媒体付属冊子の場合、使用していない時、つまり閉じている状態ではスキミングされることなく、使用している時、つまり開いて正規の機械読み取りをしている状態では機械読み取りを遮断してはならず、これら2つの性能を併せ持つ冊子とすることが求められている。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、非接触型情報媒体と内貼り用紙と表紙用部材からなる非接触型情報媒体付属冊子を提供する手段において、前記非接触型情報媒体と表紙用部材の少なくとも一部にスキミング防止機能を付与させ、かつ、正規の機械読み取りは支障なく行なえる、非接触型情報媒体付属冊子を提供することにある。
本発明の請求項1に係る発明は、少なくとも、2枚以上の多孔質熱可塑性シートからなる基材にICインレットを挟み積層して熱圧により接着形成された非接触型情報媒体と、前記非接触型情報媒体の一方の面に接着剤層を介して接着された内貼り用紙と、前記非接触型情報媒体の他方の面と接着剤層を介して接着された表紙用部材と、を備える非接触型情報媒体付属冊子において、前記非接触型情報媒体付属冊子は電磁波遮蔽部と磁性シートとを併せ持ち、前記電磁波遮蔽部が、電磁波を遮蔽するような導電性材料を織り込んだ表紙用部材を用い、前記磁性シートが、実数部透磁率μ’90.7、虚数部透磁率μ”26.4、厚み0.05mmから1.0mmであることを特徴とする非接触型情報媒体付属冊子である。
また、本発明の請求項に係る発明は、前記非接触型情報媒体はICインレットを中心に折りたたんだ際に、前記ICインレットが前記磁性シートと前期電磁波遮蔽部で挟み込まれることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載する非接触型情報媒体付属冊子である。
また、本発明の請求項に係る発明は、前記磁性シートが前記電磁波遮蔽部と前記非接触型情報媒体の間に設けられ、冊子を開いた状態で内側からのみ特定のリーダライタによる読み取りが可能になることを特徴とする、請求項1または2に記載の非接触型情報媒体付属冊子である。
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。即ち、請求項1に係る発明によれば、表紙用部材と一体化した非接触型情報媒体に電磁波遮蔽部と磁性シートを併せ持つことで、外部からの不正な読み取りを防止できる機能を非接触型情報媒体に付与することが出来る。
また、請求項2に係る発明は、電磁波遮蔽部と磁性シートを併せ持ち、内貼り用紙側からICインレット、磁性シート、電磁波遮蔽部の順に構成することで、冊子を閉じた不使用状態では外部からの不正な情報の読み取りを防ぐことが出来、また冊子を開き使用時には内部からの正規な情報読み取りのみ可能にすることが出来る。
また、請求項の発明に示すように、電磁波遮蔽部は表紙用部材に電磁波を遮断するような導電性材料を少なくともICモジュール上にスッポト的に形成されていればよいが、全面に施されていても問題はない。電磁波を遮蔽する材料を用いることで電磁波防止部上にうず電流が流れ、ICチップおよびICコイルが電磁波の影響を受けなくなるため、ICチップ内の情報を読み取られることがなくなる。このように簡便にスキミング防止機能を非接触型情報媒体に付与することが出来、外部からの不正な読み取りを未然に防ぐことが可能となる。
また、請求項に係る発明では、磁性シートを電磁波遮蔽部とICインレット間に設けることで、磁束を磁性シートに集中させ、かつ、磁気損失を抑えて流すことが出来、冊子を開き正規に内側から機械読み取りをする際にのみ電磁波遮蔽部の阻害を受けることなく、情報の読み取りを可能とすることが出来るため、使用時以外で、例えば非接触型情報媒体付き冊子を携帯時でも不正に情報を読み取られることがなくなる。
本発明の非接触型情報媒体付属冊子の一実施形態を説明する斜視図である。 本発明係る、非接触ICインレットの実施形態例を説明する平面図である。 本発明の実施例1に基づく、電磁波遮蔽部および磁性シートを併せ持った非接触型情報媒体付属冊子の実施の形態を説明する断面図である。 本発明に係る、比較例1に基づく、電磁波遮蔽部を有していない非接触型情報媒体付属冊子の実施形態を説明する断面図である。 本発明に係る、比較例2に基づく、電磁波遮蔽部を有した非接触型情報媒体付属冊子の実施の形態を説明する断面図である。
本発明の非接触型情報媒体付属冊子を、一実施形態に基いて、図面を用いて以下に説明する。
本発明の非接触型情報媒体付属冊子は、図1に示すような形状であり、非接触型情報媒体(1)を表紙用部材(2)とその内面に貼着する内貼り用紙(3)とで挟み込んで接着され、これに複数の本文用紙(4)が加わったものである。この非接触型情報媒体の一部であるICインレットは、図2に示すように、ICチップ(5)とアンテナシート基材(6)とアンテナコイル(7)とから構成される。このICインレットは、例えば図3に示すように、2枚の外装基材(8)の間に挟み込まれることで非接触型情報媒体(1)を構成している。
また、本発明の非接触型情報媒体付属冊子は、図3に示すように、スキミング防止機能を付与するために、電磁波を遮蔽する導電性材料を用いて表紙用部材を作製することで電磁波遮蔽部(11)とし、さらに、内部からのみ機械読み取りを可能にするために、非接触媒体(1)と電磁波遮蔽部(11)との間に磁性シート(12)を設けることでスキミング防止機能を有する非接触情報媒体付属冊子を構成している。
図2に示すICインレットにおいては、アンテナ基材上にエッチング方式やワイヤボンディング方式、印刷アンテナ方式などによってアンテナが形成される。このアンテナに、ICが溶接方式などによって接続される。また、ICチップ(5)とアンテナシート基材(6)とアンテナコイル(7)からなるICインレットは、ICチップ自身の厚みや、アンテナの厚み、ジャンパ線とアンテナの接合部や、アンテナシート基材自体の厚みなどにより、凹凸のあるシートとなっている。このICインレットを外装基材(8)の間に挟ん
で非接触型情報媒体に加工する際、外観上はこれらの凹凸を無くすことが望ましい。
外装基材(8)としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、テレフタル酸/グリコール/1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体(PET−G)などだけではなく、多孔質熱可塑性基材を使用することが出来る。このような材料は一般にインクジェットやオフセットなどに対する印刷適性を付与した樹脂シート又は合成紙として市販されている。特に、基材に多孔質熱可塑性基材を使用することで、柔軟性のある非接触型情報媒体を形成することが可能となり、また、接着剤と良好な密着性を得ることが出来るため加工性に優れている。
上記多孔質熱可塑性基材を使用する場合、図3に示すように2枚の外装基材(8)のそれぞれ内側にあたる部分に、あらかじめ熱可塑性の接着剤(9)を塗布してから積層し、熱圧をかけることで接着させ、非接触型情報媒体(1)を得る。ここで使用可能な熱可塑性の接着剤(9)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、エチレン−メタクリル酸共重合体系、ポリエステル系、アクリル系樹脂、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系など、一般的な各種熱可塑性の樹脂を使用することができる。これらの中でも、特に水分に強く、酸素や塩化物イオンの透過を抑制するような塗膜を形成する樹脂、また熱や湿度により劣化ぜず接着部分に剥がれを生じないものを使用する。これらの性能を両立させるために2種類以上の樹脂を混合したり、2層に塗工したりすることも可能である。また、後工程や作業性の面から、塗工が容易で、乾燥後のブロッキングが生じにくく、耐久性の高いものが使用に適する。例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体系の水系エマルジョン接着剤にエポキシ系架橋剤を添加したものや、ポリオレフィン系、アクリル系の接着剤などをグラビアコーターで塗工するなどで好適な性能を得ることが出来る。一方、一般的にポリエステル系の接着剤は湿度による加水分解が生じる可能性があり、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤は経時劣化し易いので注意が必要である。また、上記の樹脂を使用してエマルジョンやディスパージョンにした水系のヒートシール剤を用いる場合には、それらのヒートシール剤自体がアンテナ等に悪影響を与えないかについても注意が必要である。
また、本発明の非接触型情報媒体付属冊子は、この非接触型情報媒体(1)を表紙用部材(2)と内貼り用紙(3)との間に挟み込んで接着し、冊子形状に加工されたものである。非接触型情報媒体(1)は内貼り用紙(3)と接着剤によって接着されるが、この接着剤は作業性や環境の側面からも水系のエマルジョン接着剤を使用する場合が多く、また、実際にはこれまで冊子を製造してきた設備を使用することも多いので、布と紙の貼り合わせ用としての接着剤が選ばれてきた。仮に非接触型情報媒体付属冊子に使用する非接触型情報媒体を、一般のICカードに使われるような外装基材、例えばPVCやPET−Gを使用して作成した場合、既存の設備および接着剤で内貼り用紙を接着することはできない上、剛度が高いことによる問題が生じる。このような問題を解決するため、多孔質熱可塑性基材シートを外装用基材として使用することで、様々なタイプの接着剤と良好な密着性を示し、かつ、凹凸が無く、柔軟な非接触型情報媒体付冊子を作成することが出来る。
非接触型情報媒体(1)と表紙用部材(2)を接着する際には体積変化の無い反応硬化型の接着剤を好適に用いることが出来る。仮に体積変化のある乾燥硬化型の接着剤を使用した場合、非接触型情報媒体の一部が凹んでいたとすると接着剤の使用量が多くなるため乾燥時の体積減少が大きくなり、表紙用部材の外側に凹みが生じてしまうため外観上の問題となる。このような問題を解決するために体積変化の無い接着剤を使用することが望ましく、例えば、2液混合型エポキシ系接着剤、湿気硬化型シリコン系接着剤、1液硬化型ウレタン系接着剤、などが使用できる。また、エチレン‐酢酸ビニル共重合体系、エチレン‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系など、各種のホットメルト接着剤なども使用可能である。
電磁波遮蔽部(11)は、電磁波を遮断するような導電性材料であればよく、導電性樹脂、アルミニウム、ステンレス、銀、銅、ニッケルなどの金属類、磁性粉、カーボンブラック、半導体、導電性有機材料が挙げられる。特に、表紙用部材(2)に織り込む場合は、金属繊維や炭素繊維が好適に選ばれる。また、銅やニッケルは高い電磁波遮断性があることやアルミニウムは安価であることなど用途に応じて選択する必要がある。また、電磁波遮蔽部(11)として、導電性材料を表紙用部材(2)にあらかじめ織り込んだ材料を使用することで、非接触型情報媒体付属冊子を作製する製造工程を変更することなく機能を付与出来ることも利点である。
磁性シート(12)の存在は、本発明におけるポイントとなる点であり、磁性シート(12)を設けない場合は、電磁波遮蔽部(11)の影響で、読み取り用の電波が反射・擾乱を受け、内側からであってもICチップの情報が正確には読み取れない問題がある。そこで磁性シート(12)は、電磁波遮蔽部(11)と非接触情報媒体(1)間に設ける。磁性シート(12)は、実数部透磁率μ’の値が虚数部透磁率μ”の値よりも低ければ使用出来、更にはtanδ(=μ”/μ’)の値が小さい程、磁性シートとしての性能が高いため効果的に用いることが出来る。また、磁性シートの厚みは例えば0.05mmから1.0mmなど様々なものがあり用途に応じて選択する必要があるが、非接触型情報媒体付属冊子とする場合は柔軟性が必要であるため出来る限り薄い磁性シートが良い。磁性シートのtanδの値や厚みは幅広いため、用途に応じて選択する必要がある。更には、磁性シート(12)と外装基材(8)を接着する必要があるが、その接着に用いる接着剤は特に限定されるものではなく、粘着剤が既に塗布されている磁性シートでも使用することが可能である。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
[ICインレットの作成]
38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートをアンテナシート基材(6)とし、両面にアルミ蒸着とアンテナ状のマスク層の印刷を行い、パターンエッチングによって表面にアンテナコイル(7)と裏面にジャンパ線を形成した。さらに、かしめ接合により、アンテナコイルとジャンパ線を接合し、アンテナコイルの接続端子部にICチップ(5)を溶接した。アンテナコイルの外周は80mm×48mmで、内周は67mm×37mmである。さらに、アンテナコイルの内側を65mm×35mmの大きさで打ち抜いて除去した。さらに、アンテナコイルの外周およびICチップから2mm離れた輪郭を取ってその外側のアンテナシート基材を打ち抜いて除去しICインレットを得た。
[非接触型情報媒体の作製]
外装基材(8)として、380μmの合成紙「TESLIN(商標)シート」(PPG Industry社製)を準備し、このシートの片面に熱可塑性接着剤(9)を10μm塗布し、乾燥させてサンプルを作製した後、150mm×200mmのシート2枚に断裁した。この準備した片方の外装基材に、作成した上記ICインレットを配置し、スポット加熱により固定した。さらにもう1枚の外装基材を積層し、スポット加熱により固定した。この積層されたシートを、2枚のSUS板に挟み込み加熱加圧することで接着して非接触型情報媒体(1)を得た。加熱加圧条件は、加熱部温度110℃以上160℃以下、圧力0.49MPa以上2.94MPa以下、処理時間15秒以上120秒以下の間で調整し、最適なものを選択した。
[磁性シートの貼り合わせ]
上記した非接触型情報媒体に、あらかじめ接着剤(13)が塗布された、実数部透磁率μ’90.7、虚数部透磁率μ”26.4、厚み0.05mmの磁性シートを、冊子表紙用クロスカバー側の外装基材(8)に貼り合わせ、非接型情報媒体サイズに断裁した。
[電磁波遮蔽部の貼り合わせ]
次に、冊子表紙用クロスカバーに金属繊維を織り込んだクロスを用いて非接型情報媒体サイズに断裁し、表紙用部材として電磁波遮蔽部(11)を得た。湿気硬化型ホットメルト接着剤(10)「エスダイン」(商品名:積水フーラー社製)をヒートロールコータで溶融させ、20g/m2の塗布量で前記電磁波遮蔽部(11)に塗工した。ホットメルト接着剤(10)が塗工された電磁波遮蔽部(11)に、先に作成してある非接型情報媒体に上記磁性シート(12)を介して接着させ、ローラで加圧し、その後エージングした。
[非接触型情報媒体冊子の作製]
複数枚の本文用紙と一枚の内貼り用紙(3)を丁合いし、中央をミシンで縫うことで内貼り用紙が最外部に取り付けられた本文用紙(4)を作成した。上記で得られた電磁波遮蔽部(11)と磁性シート(12)を併せ持つ表紙用部材(2)が接着された非接触型情報媒体(1)に水系エマルジョン接着剤(31)「SP−2850」(コニシ社製)を20g/m2の塗布量で塗工し、上記の内貼り用紙の裏側と接着した。得られた冊子を広げた状態で125mm×180mmに断裁し、図3に示すスキミング防止機能を有した非接触型情報媒体付属冊子を得た。
<比較例1>
ICインレットの作成および非接触型情報媒体の作製は実施例1と同様の手順と内容で行った。冊子表紙用クロスカバー「Enviromate」(ICG/Holliston社製)を非接型情報媒体サイズに断裁し、表紙用部材(2)を得た。湿気硬化型ホットメルト接着剤(10)エスダイン(商品名:積水フーラー社製)をヒートロールコータで溶融させ、20g/m2の塗布量で上記表紙用部材(2)に塗工した。ホットメルト接着剤(10)が塗工された表紙用部材(2)に非接触型情報媒体(1)を接着させ、ローラで加圧し、その後エージングし、図4に示す比較例1の非接触型情報媒体付属冊子を得た。
<比較例2>
ICインレットの作成および非接触型情報媒体の作製は実施例1と同様の手順と内容で行った。次に、冊子表紙用クロスカバーに金属繊維を織り込んだクロスを用いて非接型情報媒体サイズに断裁し、表紙用部材として電磁波遮蔽部(11)を得た。その後の処理は実施例1及び比較例1と同様の手順で行い、図5に示す電磁波遮蔽部のみを有する比較例2の非接型情報媒体付属冊子を得た。
(効果の確認)
実施例1及び比較例1,2について、リーダライタを用いてICチップ内情報を読み取れるか確認を行った。実施例1の本発明の非接触情報媒体付属冊子では、外部からの読み取りは出来なかったが、内部からの読み取りは出来、電磁波遮蔽部と非接触情報媒体間の磁性シートの効果が確認された。それに対して、比較例1では、外部および内部関係なく情報を読み取ることが出来、スキミング防止機能はなかった。また、比較例2では、外部および内部関係なく情報を読み取ることが出来ず、電磁波遮蔽部として導電体材料を用いることで読み取りを不可能にする効果は確認されたが、実用面で問題があった。これらのことから、本発明の非接触型情報媒体付属冊子は、閉じた状態では外部からの不正な情報の読み取りはされず、即ちスキミングを未然に防ぐことが可能であり、さらには使用時には不具合なく情報を読み取ることも可能であることが確認された。
本発明の非接触型情報媒体付属冊子は、未然にスキミングを防ぐために不使用時では外部からの読み取り不可能になり、正規に使用する時のみ内部からの機械読み取りが可能になり、スキミング防止機能を備えた冊子を得ることができる。そのため、接触型情報媒体だけでなくパスポートなど冊子状の非接触型情報媒体においても、スキミングを防止することを必要とする冊子に対して優れた実用上の効果を発揮する。
1・・・非接触型情報媒体 2・・・表紙用部材 3・・・内貼り用紙
4・・・本文用紙 5・・・ICチップ 6・・・アンテナシート基材
7・・・アンテナコイル 8・・・外装基材 9・・・接着剤(外装基材用)
10・・・接着剤(表紙用)
11・・・電磁波遮蔽部(スキミング防止機能を有した表紙用部材)
12・・・磁性シート 13・・・接着剤(磁性シート用)

Claims (3)

  1. 少なくとも、2枚以上の多孔質熱可塑性シートからなる基材にICインレットを挟み積層して熱圧により接着形成された非接触型情報媒体と、前記非接触型情報媒体の一方の面に接着剤層を介して接着された内貼り用紙と、前記非接触型情報媒体の他方の面と接着剤層を介して接着された表紙用部材と、を備える非接触型情報媒体付属冊子において、前記非接触型情報媒体付属冊子は電磁波遮蔽部と磁性シートとを併せ持ち、前記電磁波遮蔽部が、電磁波を遮蔽するような導電性材料を織り込んだ表紙用部材を用い、前記磁性シートが、実数部透磁率μ’90.7、虚数部透磁率μ”26.4、厚み0.05mmから1.0mmであることを特徴とする非接触型情報媒体付属冊子。
  2. 前記非接触型情報媒体はICインレットを中心に折りたたんだ際に、前記ICインレッ
    トが前記磁性シートと前記電磁波遮蔽部で挟み込まれることを特徴とする、請求項1に記
    載する非接触型情報媒体付属冊子。
  3. 前記磁性シートが前記電磁波遮蔽部と前記非接触型情報媒体の間に設けられ、冊子を開
    いた状態で内側からのみ特定のリーダライタによる読み取りが可能になることを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の非接触型情報媒体付属冊子。
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