JP5750761B2 - 光硬化性組成物とその湿式有機太陽電池用シーリング材としての使用、並びに湿式有機太陽電池 - Google Patents

光硬化性組成物とその湿式有機太陽電池用シーリング材としての使用、並びに湿式有機太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化性組成物に関し、更に詳しくは、色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池における電解液のシーリング材として優れた特性を示す光硬化性組成物に関し、また、該光硬化性組成物の湿式有機太陽電池用シーリング材としての使用、並びに、該光硬化性組成物から形成された光硬化物層をシーリング層として備えた湿式有機太陽電池に関する。
色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池は、従来の太陽電池のようにシリコーン半導体を使用せず、有機色素に代表される色素などの有機化合物を光電変換層として用いて太陽光から電気を取り出す新しい太陽電池である。湿式有機太陽電池を代表する色素増感型太陽電池は、低コストで製造することができることに加えて、プラスチックフィルム基板を用いることにより薄型化や屈曲性の付与が可能なこと、様々な色素を使用することによりカラフルな太陽電池を作製することができること、自動車や衣類、カーテンなどに簡単に装着できることなど、多彩な特徴を有している。
近年、色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池の実用化に向けて、エネルギー変換効率の向上に関する研究開発が進められているが、実用化を進める上で、電解液を封入するのに適したシーリング材の開発が欠かせない重要課題のひとつとなっている。色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池は、一般に、シーリング層を介して配置された2枚の導電性基板間に電解液を封入した構造を有している。すなわち、電解液の封入には、シーリング層が用いられるため、該シーリング層を形成するシーリング材の封止性や電解液に対する耐性の向上が、色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池の信頼性と耐久性を高める上で不可欠である。
より具体的に説明すると、湿式有機太陽電池として代表的な色素増感型太陽電池は、図1に示すような構造を有している。図1は、色素増感型太陽電池の基本構造を示す断面図である。ガラスまたはプラスチックフィルムからなる透明基板1の片面に、透明導電膜2が形成されており、該透明導電膜2の上に、二酸化チタン粒子などの金属酸化物半導体粒子を焼き付けてなる金属酸化物半導体層4が形成されている。この金属酸化物半導体層4は、通常、多孔質構造を有しており、その表面及び多孔質構造の内部に多数の色素3が吸着され、「色素を吸着した金属酸化物半導体膜」となっている。
上記の「透明基板/透明導電膜/色素を吸着した金属酸化物半導体膜」の層構成を有する第一導電性基板(作用電極基板)に対向して、基板8上に導電膜(導電層)7を形成した「導電膜/基板」の層構成を有する導電性の第二基板(対極基板。以下、「第二導電性基板」ということがある。)が配置されている。両導電性基板は、各導電膜側で対向して、これらの導電性基板の周辺部に枠状に設けられたシーリング層6を介して配置されている。
シーリング層6は、一般に、シーリング材により形成されるが、固体のスペーサーが用いられたり、固体のスペーサーと接着剤とが併用されたりすることがある。シーリング層6により形成された両導電性基板間の隙間に、様々な方法により電解液5を封入する。電解液5としては、一般に、有機溶媒に電解質を溶解した溶液が用いられている。このような電解液としては、例えば、ヨウ素とヨウ化リチウムとを含有するアセトニトリル/エチレンカーボネート混合溶液が代表的なものである。
色素増感型太陽電池に光を当てると、まず、色素3が光を吸収して、電子を放出する。電子は、金属酸化物半導体層4に素早く移動し、そこから透明導電膜2を伝わり、さらに回路9及び11を経て、対極の導電膜7に伝わる。対極の導電膜7に伝わった電子は、電解液中の三ヨウ化物イオン(I )を還元して、ヨウ化物イオン(I)に変換する。ヨウ化物イオンは、色素3上で再び酸化されて三ヨウ化物イオンとなる。このサイクルを繰り返すことにより、電流が流れる。回路9及び11を負荷(例えば、モーター、照明機器等)10に接続すれば、色素増感型太陽電池から、電気エネルギーを取り出すことができる。充放電過程で電荷輸送に関与する電解質としては、ヨウ素/ヨウ素化合物の組み合わせ以外にも、様々なレドックス系を用いることができ、その場合にも、同様の酸化−還元反応のサイクルが繰り返される。
色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池のシーリング層の封止性が悪いと、電解液が漏れやすくなる。また、使用開始初期の封止性が良好であっても、シーリング層の電解液に対する耐性が不十分であると、該シーリング層が、経時により、電解液によって膨潤したり、電解質との反応によって劣化したりする。その結果、電解液が漏れたり、電解質濃度が低下したりするため、色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池の信頼性と耐久性が著しく低下する。色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池は、その機能上、太陽光下などに長時間さらされ、高温になる場合があるので、シーリング材の高温での接着力が不十分であると、電解液が漏れたり、電解質濃度が低下したりするため、色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池の信頼性と耐久性が著しく低下する。また、反応性シーリング材の場合、反応時(=硬化時)にアウトガスが発生しやすく、該アウトガスは色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池の性能に影響を及ぼす。
色素増感型太陽電池の基本原理や構造については、例えば、特許第2664194号公報(特許文献1)及び特公平8−15097号公報(特許文献2)に詳細な開示がある。電解液の封止方法について、特許文献1には、合成樹脂やガラスなどの電気絶縁材料からなる枠を用いて封止する方法が記載されている。特許文献2には、シーラントとして、シリコーン接着剤、ポリエチレン及びエポキシ樹脂を用いることが記載されている。特開2000−30767号公報(特許文献3)には、色素増感型太陽電池の電解液注入用開口部をシリコーン樹脂やエポキシ樹脂で封止する方法が記載されている。特開2000−150005号公報(特許文献4)には、色素増感型半導体電極が形成されたチタン基板と、白金が蒸着されたITO薄膜の付いたガラス基板とを、スペーサー(ポリエステルフィルム)を介して張り合わせ、その隙間にヨウ素電解液を入れ、周囲にエポキシ樹脂を塗布し硬化させて接合したことが記載されている。特開2000−294814号公報(特許文献5)には、色素増感型太陽電池の電極間の4辺の端部にスペーサー(ポリテトラフルオロエチレンシート)を挟み、注入口2箇所を残し周囲をエポキシ接着剤でシールしたことが記載されている。
しかし、固体のスペーサーは、2枚の導電性基板間に圧縮された状態で配置されているため、経時により弾力性が損なわれて、シールとしての信頼性が低下しやすい。シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などのシーラントは、色素増感型太陽電池の電解液により侵されやすく、長期間にわたって電解液と接触することにより、膨潤したり、劣化したりして、電解液が漏れることがある。
特開2000−186114号公報(特許文献6)には、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーを太陽電池素子封止材料として使用することが提案されている。同様に、特開2001−144313号公報(特許文献7)には、エチレン−極性モノマー共重合体にカップリング剤を配合した樹脂組成物を太陽電池素子封止材料として使用することが提案されている。
特許文献6及び7に開示されている封止方法は、樹脂材料を押出成形またはプレス成形によりシートに成形し、次いで、該シートを所定形状に打抜き加工し、そして、打抜き加工品を樹脂材料の溶融温度に加熱して基板に圧着させるというものである。特許文献6及び7には、太陽電池モジュールとして、シリコン、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレンなどの半導体を用いたものが開示されているだけであって、電解液を用いる湿式有機太陽電池である色素増感型太陽電池については記載されていない。
特許文献6及び7に開示されているアイオノマーなどの樹脂材料は、シーリング材として使用するために、予め所定形状に打抜き加工する必要がある。該樹脂材料は、固体でかつ溶剤に難溶性であることから、スクリーン印刷などのパターン印刷技術により導電性基板上に塗工してシーリングパターンを形成することができない。そのため、該樹脂材料を使用する方法は、製造工程が多く、打抜き加工による歩留まりの低下もある。さらに、該樹脂材料の打抜き加工品を基板に接着させるには、樹脂材料の溶融温度にまで加熱する必要がある。色素増感型太陽電池における導電性基板の封止は、各導電性基板の導電膜側で行われるが、作用電極基板の導電膜上には、色素を吸着した金属酸化物半導体膜が存在している。色素増感型太陽電池に使用する色素は、必ずしも高度の耐熱性を有するものだけではないので、封止加工の際の加熱により色素が劣化もしくは破壊されないようにする必要があり、実際上、製造が困難である。色素増感型太陽電池では、電解質としてヨウ素/ヨウ素化合物の組み合わせが用いられることが多い。ヨウ素は、電解液中ではヨウ素イオンの形で存在しているが、金属イオンで架橋したアイオノマーなどの樹脂材料は、ヨウ素イオンと反応するため、ヨウ素イオン濃度が低下するおそれがある。
特開2004−311036号公報(特許文献8)には、少なくとも1つ以上の(メタ)アクリレート基を有するイソプレン重合体を主成分とする色素増感型太陽電池用封止組成物が開示されている。特許文献8には、該封止組成物に、希釈剤としてイソボルニルアクリレートを添加することや、光重合開始剤を添加することが記載されている。そのため、該封止組成物は、導電性基板上に所望の形状に塗布し、光硬化させることができる。しかし、該封止組成物は、光硬化後にも、イソプレンに由来する炭素−炭素二重結合が主鎖中に存在するため、この二重結合と電解液中のヨウ素が反応して、ヨウ素濃度の低下による色素増感型太陽電池の性能低下や封止層の接着性低下が生じるおそれがある。
特開2005−154528号公報(特許文献9)には、炭素数18〜25の鎖状脂肪族単官能(メタ)アクリレート100質量部、イソボルニル(メタ)アクリレート5〜10重量部、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体5〜30重量部、及びラジカル開始剤1〜10重量部からなる硬化性組成物が開示されている。特許文献9には、該硬化性組成物を色素増感型太陽電池などの封止剤に適用することが記載されている。該硬化性組成物の透湿度は良好な値であるが、高温接着力が低い。また、イソボルニル(メタ)アクリレートが組成物中の必須成分となっているが、実施例で使用されているイソボルニルアクリレートは、沸点があまり高くないため硬化時にアウトガスとして飛散しやすい。
特開2005−302564号公報(特許文献10)には、分子内に炭素数10〜20の直鎖脂肪族炭化水素を有する(メタ)アクリレート100重量部、脂環式(メタ)アクリレート5〜15重量部、マレイン酸変性水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体10重量部以上、光重合開始剤を主成分とする光硬化性の色素増感型太陽電池用シール剤が開示されている。該硬化性組成物は、透湿度が高く、高温接着力が低い。脂環式(メタ)アクリレートとしては、実施例でイソボルニルアクリレートやシクロヘキシルアクリレートを用いているが、これらは沸点があまり高くないため硬化時にアウトガスとして飛散しやすい。
特開2007−106822号公報(特許文献11)には、イソボルニルアクリレートとアルキル基の炭素数が4〜18のアルキル(メタ)アクリレートとの重量比が20:80〜70:30の範囲内であり、飽和熱可塑性エラストマーの割合が、該モノマー成分100重量部に対して、1〜40重量部の範囲であり、光重合開始剤の割合が、該モノマー成分100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内であり、かつ、温度20℃、せん断速度1sec−1の条件下で測定した粘度が5〜4000Pa・sの範囲にある光硬化性組成物が開示されている。特許文献11には、該光硬化性組成物を色素増感型太陽電池などの封止剤に適用することが記載されている。しかし、該硬化性組成物は、透湿度が高く、高温接着力が低く、沸点があまり高くないイソボルニルアクリレートを用いているため、硬化時にアウトガスが飛散するおそれがある。
特開2008−69302号公報(特許文献12)には、2官能(メタ)アクリレート、単官能アルキル(メタ)アクリレート、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、光重合開始剤、及びシリカ粉を含有する光硬化性シール材組成物が開示されている。特許文献12の実施例では、イソノニルアクリレートまたはイソオクチルアクリレートを主成分として含有するモノマー成分が用いられているが、これらの成分は、硬化反応時にアウトガスとして揮散しやすいものである上、シーリング層の高温接着力を低下させる。
特開2010−138290号公報(特許文献13)には、炭素数10〜22の単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、液状飽和エラストマー70〜180質量部、及び光重合開始剤0.1〜10質量部を含有する光硬化性組成物が開示されている。該硬化性組成物は、液状飽和エラストマーを用いていることから、液状物のブリードアウトが起こるおそれがある。
特開2010−180258号公報(特許文献14)には、(メタ)アクリル基を有する水添ポリブタジエン化合物、98.9℃における動粘度が100〜5000cStである水添ポリブテン化合物、脂環式炭化水素を有する(メタ)アクリル化合物、光開始剤成分からなる色素増感型太陽電池用シール剤組成物が開示されている。該硬化性組成物は、98.9℃における動粘度が100〜5000cStである水添ポリブテン化合物を用いているが、硬化反応に関与しない液状物のため、ブリードアウトが起こり、電解液が漏れることがある。
特開2010−180324号公報(特許文献15)には、単官能(メタ)アクリレート、飽和熱可塑性エラストマー、及び光重合開始剤を含有する光硬化性組成物であって、(a)該単官能(メタ)アクリレートが、炭素数15〜26の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートであり、(b)該飽和熱可塑性エラストマーが、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体を、該飽和熱可塑性エラストマーの全質量を基準として、40質量%以上の割合で含有するものであり、(c)該飽和熱可塑性エラストマーの含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、30〜80質量部の範囲内であり、(d)該光重合開始剤の含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内であり、(e)温度23℃及び回転数2rpmの条件下で測定した該光硬化性組成物の粘度(V)が、30〜300Pa・sの範囲内であり、並びに、(f)温度23℃及び回転数20rpmの条件下で測定した該光硬化性組成物の粘度(V20)に対する前記粘度(V)の比(V/V20)が、1.3〜20の範囲内にあることを特徴とする光硬化性組成物が開示されている。当該発明によれば、封止性、被着物に対する密着性、耐薬品性などに優れ、湿式有機太陽電池の電解液を封止するのに適した光硬化性組成物が提供され、スクリーン印刷適性、基板に対する接着性、電解液に対する耐性、光硬化時のガス放出量の抑制などの諸特性が高度にバランスした光硬化性組成物が提供されるが、高温での電解液封止性が十分でない場合があった。
また、特開2010−265412号公報(特許文献16)には、下記成分(a)〜(e):(a)炭素数15〜26の脂肪族単官能(メタ)アクリレート及び炭素数15〜26の脂環族単官能(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレート、(b)コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、及びフタル酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基含有(メタ)アクリレート、(c)飽和熱可塑性エラストマー、(d)脂環族飽和炭化水素樹脂、並びに、(e)光重合開始剤を含有し、かつ、(a)該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対する各成分(b)〜(e)の含有割合が、(b)該極性基含有(メタ)アクリレートが0.5〜9質量部の範囲内であり、(c)該飽和熱可塑性エラストマーが5〜60質量部の範囲内であり、(d)該脂環族飽和炭化水素樹脂が10〜70質量部の範囲内であり、及び(e)該光重合開始剤が0.1〜10質量部の範囲内であることを特徴とする光硬化性組成物が提案されている。当該発明によれば、封止性、電解液に対する耐性、高温での接着力、耐透湿性、スクリーン印刷適性などの諸特性に優れ、色素増感型太陽電池などの湿式有機太陽電池の電解液を封止するためのシーリング層の形成に適した光硬化性組成物が提供され、スクリーン印刷適性を有しており、作業性や生産性に優れた光硬化性組成物が提供されるが、高温での電解液封止性が十分でない場合があった。
特許第2664194号公報 特公平8−15097号公報 特開2000−30767号公報 特開2000−150005号公報 特開2000−294814号公報 特開2000−186114号公報 特開2001−144313号公報 特開2004−311036号公報 特開2005−154528号公報 特開2005−302564号公報 特開2007−106822号公報 特開2008−69302号公報 特開2010−138290号公報 特開2010−180258号公報 特開2010−180324号公報 特開2010−265412号公報
本発明の課題は、色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池の電解液を封止するのに適した光硬化性組成物を提供することにある。特に、本発明は、高温での電解液封止性に優れている光硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を進める中で、特許文献15または特許文献16の実施例においては、炭素数15〜26の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートが光硬化性組成物中の50質量%以上であるため、光硬化による収縮の影響が大きく現れることに着目し、更に研究を進めた結果、炭素数15以上の脂環族または脂肪族(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤、脂環族飽和炭化水素樹脂、及び充填剤を所定の比率で含有する光硬化性組成物が、高温での電解液封止性に優れ、湿式有機太陽電池の電解液を封止するのに適したシーリング材となり得ることを見いだし、本発明を想到した。
かくして、本発明によれば、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤、脂環族飽和炭化水素樹脂、及び充填剤を含有する光硬化性組成物であって、
(a)該単官能(メタ)アクリレートが、炭素数15以上の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートであり、
(b)該多官能(メタ)アクリレートの含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内であり、
(c)該光重合開始剤の含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内であり、
(d)該脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、50〜200質量部の範囲であり、
(e)該充填剤の含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、10質量部以上であり、かつ、
(f)該脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合と該充填剤の含有割合との合計が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、70質量部以上である
ことを特徴とする光硬化性組成物が提供される。
本発明によれば、実施態様として、以下の(1)及び(2)の光硬化性組成物が提供される。
(1)極性基を有する(メタ)アクリレートを、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、20質量部までの割合で更に含有する前記の光硬化性組成物。
(2)飽和熱可塑性エラストマーを、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、50質量部までの割合で更に含有する前記の光硬化性組成物。
また、本発明によれば、該光硬化性組成物の湿式有機太陽電池用シーリング材としての使用が提供される。さらに、本発明によれば、シーリング層を介して配置された2枚の基板間に封入された電解液中に有機化合物からなる光電変換層が配置された構造を有する湿式有機太陽電池において、該シーリング層が、前記光硬化性組成物から形成された光硬化物層であることを特徴とする湿式有機太陽電池が提供され、特に、有機色素等の色素からなる光電変換層が配置された色素増感型太陽電池が提供される。
本発明によれば、高温での電解液封止性に優れた光硬化性組成物が提供され、色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池の電解液を封止するのに適した光硬化性組成物が提供されるという効果が奏される。本発明の光硬化性組成物を色素増感型太陽電池のシーリング材として用いることにより、高温においても封止性と電解液に対する耐性に優れたシーリング層を有する色素増感型太陽電池を提供できるという効果が奏される。
図1は、色素増感型太陽電池の基本構造の一例を示す断面略図である。
本発明の光硬化性組成物は、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤、脂環族飽和炭化水素樹脂、及び充填剤を含有する光硬化性組成物である。なお、光硬化性組成物とは、光硬化前の状態を指し、光硬化物とは、光硬化後の状態を指す。
1.炭素数15以上の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレート
本発明では、光重合性モノマーとして、炭素数15以上の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレート(以下、単に、「単官能(メタ)アクリレート」ということがある。)を使用する。本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。したがって、炭素数が15以上の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートとは、炭素数が15以上であって、脂環族または脂肪族のアクリレートまたはメタクリレート、あるいはこれらの混合物を意味する。単官能とは、光重合性の炭素−炭素二重結合の数が1つであること、換言すれば、(メタ)アクリロイル基が1つであることを意味する。脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートとは、エステル残基〔式−C(=O)ORにおけるR〕が脂環族基または脂肪族基である(メタ)アクリレートを意味する。脂環族基または脂肪族基は、カルボキシル基、エポキシ基、リン酸エステル基、ハロゲン基などの極性基を有していない炭化水素基である。
単官能(メタ)アクリレートの炭素数が少なすぎると、その沸点が低くなるため、光硬化性組成物の製造工程や光硬化性組成物の塗工を含む湿式有機太陽電池の製造工程などを低温条件下で行う必要があり、これらの製造条件が制約を受ける。また、炭素数が少なすぎる単官能(メタ)アクリレートを用いると、光硬化性組成物の光硬化時にガス放出量が多くなることがある。したがって、本発明の光硬化性組成物は、炭素数15未満の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートに属するイソボルニルアクリレートやシクロヘキシルアクリレートなどの比較的低沸点でガス放出しやすい光重合性モノマーを含有しない。
本発明の光硬化性組成物に含有される単官能(メタ)アクリレートの炭素数は、15以上であり、好ましくは17以上、より好ましくは19以上、更に好ましくは21以上である。単官能(メタ)アクリレートの炭素数が上記範囲内にあることによって、他の成分との組み合わせと相まって、光硬化物の信頼性を十分なものとすることができる。なお、単官能(メタ)アクリレートの炭素数の上限は、特にない。ただし、工程上の取り扱いや基板への接着性等のバランスをとる観点から、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)で、通常10万以下、多くの場合5万以下のものを好適に使用できる。
炭素数15以上の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−ラウリルアクリレート(炭素数15)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(炭素数15)、イソミリスチルアクリレート(炭素数17)、n−ステアリルアクリレート(炭素数21)、イソステアリルアクリレート(炭素数21)、ベヘニルアクリレート(炭素数25)等のアクリレート類;n−ラウリルメタクリレート(炭素数16)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(炭素数16)、イソミリスチルメタクリレート(炭素数18)、n−ステアリルメタクリレート(炭素数22)、イソステアリルメタクリレート(炭素数22)、ベヘニルメタクリレート(炭素数26)等のメタクリレート類;片末端(メタ)アクリロイル変性水添ポリブタジエン(数平均分子量(Mn):7000)などが含まれる。
炭素数15以上の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートの中でも、イソステアリルアクリレートまたはイソミリスチルアクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレートや、片末端(メタ)アクリロイル変性水添ポリブタジエンが好ましく、アウトガス発生防止の観点からイソステアリルアクリレートまたは片末端(メタ)アクリロイル変性水添ポリブタジエンが、特に好ましい。
2.多官能(メタ)アクリレート
本発明の光硬化性組成物に含有される多官能(メタ)アクリレートとは、二官能以上の多官能アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。二官能以上の多官能(メタ)アクリレートとは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを意味する。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート等のジアクリレート類;1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート等のジメタクリレート類;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリアクリレート類;トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のトリメタクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリメチロールプロパンポリアクリレート等の四官能以上のアクリレート類;などが挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートの中でも、ジアクリレート類やジメタクリレート類などの二官能(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部、より好ましくは0.3〜7質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部の割合で使用する。多官能(メタ)アクリレートの添加割合が過小であると、電解液封止性の改善効果が少なく、過大であると、接着強度が低下したり、光硬化物の柔軟性が低下したりする。
3.光重合開始剤
本発明の光硬化性組成物は、前記単官能(メタ)アクリレートを含有するモノマーを光重合により硬化させるために、光重合開始剤を含有する。本発明で使用する光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、m−クロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、4−ジアルキルアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ミヒラーケトン等のミヒラーケトン類;ベンジル、ベンジルメチルエーテル等のベンジル類; ベンゾイン、2−メチルベンゾイン等のベンゾイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール等のベンジルジメチルケタール類;チオキサントン等のチオキサントン類;プロピオフェノン、アントラキノン、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル;などのカルボニル化合物を挙げることができる。
光重合開始剤としては、上記カルボニル化合物以外に、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ジフェニルジスルフィドなどの硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;が挙げられる。さらに、光重合開始剤として、フェニルグリオキシレート類;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド類;有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系化合物などが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。光重合開始剤として、これらの中でも、ベンゾイン類、アセトフェノン類、及びアシルホスフィンオキシド類が好ましく、アシルホスフィンオキシド類が特に好ましい。
色素増感型太陽電池の基板は、紫外線をカットする場合があるので、光硬化性組成物を色素増感型太陽電池用シーリング材として用いる場合には、好ましくは400nm付近または400nm以上の波長領域で光の吸収がある光重合開始剤を使用するのが望ましい。このような光重合開始剤としては、アシルホスフィンオキシド類が好ましい。
光重合開始剤は、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0. 1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部、より好ましくは0.3〜5質量部、更に好ましくは0.4〜3質量部の割合で用いられる。光重合開始剤の割合が過小であると、硬化に時間を要し、過大であると、光硬化物の接着強度が低下する。
4.脂環族飽和炭化水素樹脂
本発明の光硬化性組成物に含有される脂環族飽和炭化水素樹脂とは、石油樹脂、芳香族系石油樹脂を水添したものや芳香族系化合物を含む石油樹脂を水添したものも意味する。本発明の光硬化性組成物が、脂環族飽和炭化水素樹脂を含有することにより、光硬化性、特にUV硬化性を悪化させることなく、高温での電解液封止性に優れたシーリング層を有する色素増感型太陽電池を提供することができる。
好ましい脂環族飽和炭化水素樹脂の例としては、水添テルペン系樹脂〔クリアロン(登録商標)P、M、Kシリーズ等〕;石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1,3−ペンタジエンなどのC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂の水添加樹脂である水添ジシクロペンタジエン系樹脂〔エスコレッツ(登録商標)5300、5400シリーズ、Eastotac(登録商標)Hシリーズ等〕;部分水添芳香族変性ジシクロペンタジエン系樹脂〔エスコレッツ(登録商標)5600シリーズ等〕;石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン、α−またはβ−メチルスチレンなどのC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂を水添した樹脂〔アルコン(登録商標)PまたはMシリーズ〕;上記したC5留分とC9留分の共重合石油樹脂を水添した樹脂〔アイマーブ(登録商標)Pシリーズ〕;などが挙げられる。
脂環族飽和炭化水素樹脂は、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して50〜200質量部、好ましくは60〜170質量部、より好ましくは70〜140質量部、更に好ましくは75〜120質量部の割合で使用する。脂環族飽和炭化水素樹脂の添加割合が過小であると、電解液封止性の改善効果が少なく、過大であると光硬化物の柔軟性が低下することがある。
5.充填剤
本発明の光硬化性組成物に含有される充填剤としては、例えば、ステアリン酸アマイド、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ガラスフレーク、クラッシュガラス、カーボンブラックなど各種の有機・無機充填剤を、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
充填剤は、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上の割合で使用する。充填剤の添加割合が過小であると、電解液封止性の改善効果が少なく、過大であると光硬化物の柔軟性が低下することがあるので、充填剤の添加割合の上限は、通常300質量部程度であり、多くの場合250質量部程度である。
6.脂環族飽和炭化水素樹脂及び充填剤の含有割合
本発明の光硬化性組成物に含有される脂環族飽和炭化水素樹脂と充填剤は、該脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合と該充填剤の含有割合との合計が、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、70質量部以上、好ましくは100質量部以上、より好ましくは120質量部以上、更に好ましくは140質量部以上、特に好ましくは170質量部以上の割合で添加する。脂環族飽和炭化水素樹脂と充填剤の含有割合の合計が過小であると、電解液封止性の改善効果が得られない。脂環族飽和炭化水素樹脂及び充填剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で上限なく配合することができるが、通常500質量部以下、多くの場合、300質量部以下で好適に使用できる。
7.極性基を有する(メタ)アクリレート
本発明の光硬化性組成物には、所望により、極性基を有する(メタ)アクリレートを含有させることができる。極性基を有する(メタ)アクリレートにおける極性基は特に限定されず、例えば、カルボキシル基やリン酸エステル基、エポキシ基、ハロゲン基等の極性基を有する(メタ)アクリレートなど各種の極性基含有(メタ)アクリレートを使用することができる。好ましい極性基を有する(メタ)アクリレートとして、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸を挙げることができる。本発明の光硬化性組成物は、極性基を有する(メタ)アクリレートを含有することにより、接着性を向上させることができる。
極性基を有する(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、20質量部までの割合で含有させることができる。極性基を有する(メタ)アクリレートの含有割合は、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは2〜15質量部、特に好ましくは3〜15質量部である。極性基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が大きすぎると、柔軟性が低下したり、電解液封止性が悪化したりすることがある。他方、極性基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が過小であると、接着強度が低下することがある。
8.飽和熱可塑性エラストマー
本発明の光硬化性組成物には、所望により、飽和熱可塑性エラストマーを含有させることができる。飽和熱可塑性エラストマーとは、主鎖及び側鎖に炭素−炭素二重結合などの反応性の不飽和結合を実質的に含有しない未架橋エラストマーを意味する。該飽和熱可塑性エラストマーは、芳香族環を有するものであってもよい。
飽和熱可塑性エラストマーとしては、水添スチレン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の飽和熱可塑性エラストマーが好ましい。これらの中でも、水添スチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体がより好ましい。
飽和熱可塑性エラストマーは、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、50質量部までの割合で含有させることができる。飽和熱可塑性エラストマーの含有割合は、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、好ましくは1〜45質量部、より好ましくは2〜40質量部、更に好ましくは3〜35質量部、特に好ましくは4〜30質量部である。飽和熱可塑性エラストマーの含有割合が大きすぎると、塗布適正が低下したりすることがある。
9.各種添加剤
本発明の光硬化性組成物には、発明の目的を損なわない範囲で、各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、フェノール系やリン系等の老化防止剤;フェノール系等の熱劣化防止剤;ベンゾフェノン系等の紫外線安定剤;アミン系等の帯電防止剤;フタル酸エステルなどの可塑剤;界面活性剤;吸油性樹脂;有機顔料、無機顔料等の着色剤;安定剤;シランカップリング剤;スペーサー粒子などを挙げることができる。これらの各種添加剤は、その使用目的に応じて、適宜適量を使用することができる。また、光硬化性組成物を光の届きにくい部位に塗布したり、厚手の塗布を行ったりする場合には、硬化反応を十分に進行させるために、有機過酸化物などの熱重合開始剤を添加してもよい。熱重合開始剤は、電離放射線の照射と同時に、または、照射の前及び/または後に、加熱工程を配置することが好ましい。
10.光硬化性組成物
本発明の光硬化性組成物は、各成分を、サンドミル、ディスパー、コロイドミルなどの混合装置で撹拌分散させることにより調製することができる。本発明の光硬化性組成物は、上記の組成を備えることにより、常温(23℃)で液状を呈し、適度の粘度を有するため、スクリーン印刷その他の塗工法により所望の箇所に塗布することができる。
〔粘度〕
光硬化性組成物の粘度は、測定治具として直径25mmのコーンプレートを備えた、AntonPaar社製のPhysicaMCR301を使用して測定する。本発明の光硬化性組成物は、温度23℃及び回転数2rpmで測定した粘度(V)が、通常5〜500Pa・s、好ましくは10〜450Pa・s、より好ましくは20〜420Pa・s、更に好ましくは25〜400Pa・sの範囲内にあるものとすることができるので、光硬化性組成物の流動性が損なわれず、常温で容易に塗布をすることができる。また、本発明の光硬化性組成物は、温度23℃及び回転数20rpmで測定した粘度(V20)が、通常5〜500Pa・s、好ましくは8〜400Pa・s、より好ましくは10〜300Pa・s、更に好ましくは15〜200Pa・sの範囲内にあるものとすることができる。これらの粘度範囲であれば、取り扱い性が良好であり、常温で容易に塗布をすることができる。
11.光硬化
本発明の光硬化性組成物は、被着体に塗付した後、得られた塗膜に電離放射線を照射することにより硬化させて、光硬化物を得ることができる。電離放射線としては、紫外線、電子線(ベータ線)、ガンマ線、アルファ線が好ましく、紫外線及び電子線がより好ましい。電離放射線を照射するには、それぞれの線源を発生する装置を用いればよい。例えば、電子線を照射するには、通常20〜2000kVの電子線加速器から取り出される加速電子線を照射する。電子線は、加速電圧によって浸透する深さが変わる。電子線は、加速電圧が高いほど、塗膜中に深く浸透する。電子線の照射線量は、通常1〜300kGy、好ましくは5〜200kGy程度であるが、光硬化物の塗膜が得られる限りにおいて、この範囲に限定されない。
紫外線を照射するには、殺菌灯、紫外用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極ランプなどのUV照射装置を用いて、波長200〜400nmを含む光を照射する。UV照射装置のランプ出力は、発光長1cm当たりの出力ワット数(W/cm)で表示する。単位長当たりのワット数が大きくなれば、発生する紫外線強度が大きくなる。ランプ出力は、通常30〜300W/cmの範囲から選択される。発光長は、通常40〜2500mmの範囲から選ばれる。紫外線の照射エネルギーは、通常0.1〜10J/cm、好ましくは0.5〜5J/cmであるが、硬化塗膜が得られる限りにおいて、この範囲に限定されない。
硬化塗膜を形成するに際し、酸素による重合禁止効果を除去する必要がある場合には、電離放射線の照射処理を、窒素ガス、炭酸ガス、希ガスなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
12.湿式有機太陽電池
本発明の光硬化性組成物は、湿式有機太陽電池用シーリング材としての使用に好ましい諸特性を有している。本発明により提供される湿式有機太陽電池は、シーリング層を介して配置された2枚の基板間に封入された電解液中に有機化合物からなる光電変換層が配置された構造を有する湿式有機太陽電池において、該シーリング層が、該光硬化性組成物から形成された光硬化物層である湿式有機太陽電池である。また、本発明により提供される湿式有機太陽電池は、シーリング層を介して配置された2枚の基板間に封入された電解液中に有機色素等の色素からなる光電変換層が配置された構造を有する色素増感型太陽電池である湿式有機太陽電池とすることができる。さらにまた、本発明より提供される色素増感型太陽電池である湿式有機太陽電池は、「透明基板/透明導電膜/色素を吸着した金属酸化物半導体膜」の層構成を有する第一導電性基板と、該第一導電性基板に対向する導電性の第二基板とが、これら両基板の周辺部に枠状に設けたシーリング層を介して配置され、該シーリング層によって形成された両基板間の隙間に電解液が封入された構造を有する色素増感型太陽電池である湿式有機太陽電池とすることができる。
図1を参照しながら、前記の色素増感型太陽電池について説明する。
第一導電性基板は、「透明基板/透明導電膜/色素を吸着した金属酸化物半導体膜」の層構成を有する。透明基板1としては、ガラス板やプラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートなどの熱可塑性ポリエステルフィルムが代表的なものであるが、透明で耐熱性のある他のフィルムを使用することもできる。透明導電膜2(透明電極)としては、95%酸化インジウムと5%酸化スズからなる化合物を基板に薄く焼き付けたITO膜が代表的なものである。このほか、透明導電膜2としては、酸化スズにフッ素をドーピングした膜(FTO)が知られている。
金属酸化物半導体層4を形成する金属酸化物半導体としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、亜鉛、インジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンなどの酸化物が挙げられる。二酸化チタンが代表的なものであり、二酸化チタンは、例えば、直径が10〜30nmという超微粒子が好ましく、それによって、色素3を吸着させるのに適した広大な比表面積を有する二酸化チタン膜を形成することができる。
色素3としては、ルテニウム錯体〔RuL(NCS)、L=4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン〕、ポルフィリン系色素、シアニン系色素、C60誘導体、スチリルベンゾチアゾリウムプロピルスルフォネート(BTS)、植物の色素などが挙げられる。
第一導電性基板に対向する第二基板(対極基板)も、これと同様の透明基板と透明導電膜を備える導電性基板を用いることができるが、これに限定されない。ただし、対極基板として、ガラスなどの透明基板を用いても、該基板上に白金を蒸着して導電膜を形成すると、導電性基板全体の透明性が低下することがある。
本発明の色素増感型太陽電池は、本発明の光硬化性組成物から形成されたシーリング層を介して配置された2枚の基板間に、電解液が封入されている。電解液は、一般に、電解質を有機溶剤に溶解した溶液である。このような電解液としては、例えば、ヨウ素とヨウ化リチウムとを含有するアセトニトリル/エチレンカーボネート溶液が代表的なものである。電解質としては、ヨウ素/ヨウ素化合物、臭素/臭素化合物などの酸化還元対(レドックス系)が用いられているが、これらの中でも、ヨウ素/ヨウ素化合物の組み合わせが汎用されている。
電解質を溶解または分散させる有機溶剤としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレングリコール(例えば、PEG#220)、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、これらの2種以上の混合物などが用いられる。電解液には、電解質に加えて、増粘剤(例えば、PEG#600)、粘性を低下させてイオンの拡散を円滑にする常温溶融塩(1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオダイド)、逆電流を防ぎ開放起電力を高める4−tert−ブチルピリジンなどの各種添加剤を含有させてもよい。
本発明の光硬化性組成物を用いて色素増感型太陽電池を作製するには、下記工程1乃至4:
(1)「透明基板/透明導電膜/色素を吸着した金属酸化物半導体膜」の層構成を持つ第一導電性基板と、「導電膜/基板」の層構成を持つ第二導電性基板のいずれか一方の導電性基板の導電膜側の周辺部に、本発明の光硬化性組成物をスクリーン印刷により塗布して、枠状の光硬化性組成物層を形成する工程1;
(2)導電性基板の上に、他方の導電性基板を、各導電膜側で対向させて、該光硬化性組成物層を介して配置する工程2;
(3)電離放射線を照射して、該光硬化性組成物を硬化させる工程3;及び
(4)該光硬化性組成物の硬化物からなるシーリング層により形成された両導電性基板間の隙間に電解液を封入する工程4;
を採用することができる。
第二基板としては、前記の「導電膜/基板」の層構成を持つ第二導電性基板に代えて、「導電膜」からなる導電性基板または導電膜を有しない基板を用いることができる。第一導電性基板の構造や第二基板の種類などは、色素増感型太陽電池のタイプに応じて選択することができる。
光硬化性組成物の塗布厚みは、電解液の所望の厚みに応じて適宜調整することができるが、通常、5〜200μm、好ましくは10〜150μm、多くの場合15〜50μmの範囲内である。導電性基板上に光硬化性組成物を塗布する際のパターンとしては、環状、長方形、正方形など、色素増感型太陽電池の形状に合わせたものとする。
両導電性基板間の隙間に電解液を注入する場合、硬化または未硬化のシーリング層の一部に開口部を設けるか、あるいは基板の一部に開口部を設けて、シーリング層により形成された両導電性基板間の隙間に電解液を注入する方法を採用することができる。開口部(電解液注入孔)は、同じ光硬化性組成物または他の常温硬化性接着剤などを用いて封止する。これによって、電解液を両導電性基板間に封入することができる。ガラス基板の場合には、その端部(シーリング層の内側)に電解液の液溜めを設けて、その中に電解液を入れておき、シーリング層により形成された両導電性基板間の隙間に、毛管現象を利用して電解液を注入させてもよい。
本発明によれば、シーリング層を介して配置された2枚の基板間に封入された電解液中に有機化合物からなる光電変換層が配置された構造を有する湿式有機太陽電池において、該シーリング層が、前記光硬化性組成物から形成された光硬化物層である湿式有機太陽電池が提供される。
該湿式有機太陽電池は、シーリング層を介して配置された2枚の基板間に封入された電解液中に有機色素等の色素からなる光電変換層が配置された構造を有する色素増感型太陽電池を含む。該色素増感型太陽電池は、具体的には、「透明基板/透明導電膜/色素を吸着した金属酸化物半導体膜」の層構成を有する第一導電性基板と該第一導電性基板に対向する第二基板とが、これら両基板の周辺部に枠状に設けたシーリング層を介して配置され、該シーリング層によって形成された両基板間の隙間に電解液が封入された構造を有するものである。
第二基板は、通常、「導電膜/基板」または「導電膜」の層構成を有する第二導電性基板である。しかし、色素増感型太陽電池がモノリシック型である場合には、第二基板として導電膜のない基板を用いることができる。
〔高温での電解液封止性〕
本発明の光硬化性組成物から形成されたシーリング層(光硬化物層)は、電解液に対する耐性が十分であり、経時により電解液によって膨潤したり、電解質との反応によって劣化したりすることがなく、特に、高温での電解液封止性に優れている。
すなわち、前記の光硬化性組成物から形成されたシーリング層は、90℃程度の高温環境下においても、電解液が漏出することがない。高温での電解液封止性は、本発明の光硬化性組成物を光硬化させることにより得られた光硬化物シートの溶剤透過性によって測定することができる。湿式有機太陽電池における電解液の主成分としては、3−メトキシプロピオニトリル(MPN)、γ―ブチロラクトン、プロピレンカーボネートなどが知られているので、本発明においては、前記光硬化物シートの3−メトキシプロピオニトリル(MPN)の透過性によって、高温での電解液封止性の評価を行う。
表面に離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に、光硬化性組成物を、乾燥後膜厚1mmとなるように塗布し、該光硬化性組成物の塗布層の上面に、表面に離型処理を施したPETフィルムを載置して、高圧水銀灯(270mW/cm、UVA)で5秒間照射することによって、光硬化性組成物を硬化させた後、上下のPETフィルムを剥離して、光硬化物シートを得て、これを測定用シートとする。
〔MPN透過性試験(ウェットカップ法)〕
JIS Z0208に準拠して、MPNの透過性を測定する。3−メトキシプロピオニトリル(MPN)5gを、直径25mmの開口部を有するアルミニウム製カップに入れて、前記光硬化物シートをカップ上面に被せて、「初期の全質量」(すなわち、MPN、光硬化物シート及びカップの合計質量)(g)を測定する。次いで、光硬化物シートを被せたカップを、雰囲気温度90℃で24時間静置した後、カップを室温に戻して「放置後の全質量」(g)を測定する。「放置後の全質量」(g)と「初期の全質量」(g)との差から、「MPN透過性」(g/m・24h)を計算する。MPN透過性が、100g/m・24h未満であれば、高温での電解液封止性があると評価することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における物性または特性の測定方法は、以下のとおりである。
〔粘度〕
光硬化性組成物の粘度は、測定治具として直径25mmのコーンプレートを備えた、AntonPaar社製のPhysicaMCR301を用いて、温度23℃、回転数2rpm及び20rpmの条件下で測定した。
〔MPN透過性(ウェットカップ法)〕
光硬化性組成物の光硬化物のMPN透過性は、JIS Z0208に準拠して、測定した。具体的には、3−メトキシプロピオニトリル(MPN)5gを、直径25mmの開口部を有するアルミニウム製カップに入れて、測定用シートである光硬化物シートをカップ上面に被せて、「初期の全質量」(すなわち、MPN、光硬化物シート及びカップの合計質量)(g)を測定した。次いで、光硬化物シートを被せたカップを、雰囲気温度90℃で24時間静置した後、カップを室温に戻して「放置後の全質量」(g)を測定した。「放置後の全質量」(g)と「初期の全質量」(g)との差から、「MPN透過性」(g/m・24h)を計算した。
測定用シートは、表面に離型処理を施したPETフィルムの上に、光硬化性組成物を、乾燥後膜厚1mmとなるように塗布し、該光硬化性組成物の塗布層の上面に、表面に離型処理を施したPETフィルムを載置して、高圧水銀灯(270mW/cm、UVA)で5秒間照射することによって、光硬化性組成物を硬化させた後、上下のPETフィルムを剥離して、光硬化物シートを得て、これを測定用シートとした。
[実施例1]
単官能(メタ)アクリレートであるイソステアリルアクリレート(新中村化学工業株式会社製のNKエステルS−1800A)100質量部に対して、多官能(メタ)アクリレートとして2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート(共栄社化学株式会社製のライトアクリレートBEPG−A)2質量部、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド〔長瀬産業株式会社製のイルガキュア(登録商標)819〕1質量部、脂環族飽和炭化水素樹脂としてアルコン(登録商標)P−140(荒川化学工業株式会社製)100質量部、及び、充填剤としてガラスフレークREF−015A(日本板硝子株式会社製)50質量部を配合し、高速攪拌機を使用して100℃で攪拌し、光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[実施例2]
脂環族飽和炭化水素樹脂である前記アルコン(登録商標)P−140の配合量を80質量部に、充填剤である前記ガラスフレークの配合量を150質量部に、それぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[実施例3]
単官能(メタ)アクリレートを、イソステアリルアクリレート80質量部とn−ラウリルアクリレート(共栄社化学株式会社製のライトアクリレートL−A)20質量部との混合物(単官能(メタ)アクリレートの合計量100質量部)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[実施例4]
単官能(メタ)アクリレートを、イソステアリルアクリレート80質量部と片末端メタクリル変性水添ポリブタジエン(株式会社クラレ製のL−1253)20質量部との混合物(単官能(メタ)アクリレートの合計量100質量部)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[実施例5]
脂環族飽和炭化水素樹脂を、アイマーブ(登録商標)P−140(出光興産株式会社製)80質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様にして光硬化性組成物を調整した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[実施例6]
充填剤をガラスフレークRCF−015(日本板硝子株式会社製)150質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様にして光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[実施例7]
極性基を有する(メタ)アクリレートとして、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸(共栄社化学株式会社製のHOA−MS)5質量部を更に配合したこと以外は、実施例2と同様にして光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[実施例8]
飽和熱可塑性エラストマーとして、水添スチレン−ブタジエンゴム〔JSR株式会社製のダイナロン(登録商標)1320〕5質量部を更に配合したこと以外は、実施例2と同様にして光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[実施例9]
充填剤を、ガラスフレークREF−015A(日本板硝子株式会社製)140質量部と、シリカ〔日本アエロジル株式会社製のアエロジル(登録商標)R976S〕10質量部との混合物に変更したこと以外は、実施例2と同様にして光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[比較例1]
アルコン(登録商標)P−140の配合量を150質量部に変更し、ガラスフレークを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性組成物を調整した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[比較例2]
アルコン(登録商標)P−140を配合せず、ガラスフレークの配合量を150質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性組成物を調整した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
[比較例3]
アルコン(登録商標)P−140の配合量を30質量部に、ガラスフレークの配合量を30質量部に、それぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性組成物を調整した。該光硬化性組成物について粘度を測定した結果と、該光硬化性組成物の光硬化物シートのMPN透過性を測定した結果を表1に示す。
Figure 0005750761
表1の結果から、実施例1〜9の光硬化性組成物は、常温(23℃)で適度の粘度を有し、かつ、粘度の攪拌速度依存性が少ないため、塗工法により所望の箇所に塗布することが可能であることが分かった。また、3−メトキシプロピオニトリル(MPN)の透過性が小さいことから、湿式有機太陽電池の電解液封止性が良好であることが分かった。
これに対して、比較例1は、脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合と充填剤の含有割合との合計が、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、70質量部以上であるものの、充填剤を含有していないものである結果、常温(23℃)における粘度が高く、かつ、粘度の攪拌速度依存性が大きいことから、塗工時には加熱などが必要となる可能性があることが分かった。また、MPN透過性が大きいことから、湿式有機太陽電池の電解液封止性が悪いことが分かった。
また、比較例2は、脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合と充填剤の含有割合との合計が、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、70質量部以上であるものの、脂環族飽和炭化水素樹脂を含有していないものである結果、常温(23℃)における粘度が極めて低く、シャブシャブ状態であるため、光硬化性組成物を塗布する際に厚みの制御がしにくい等取り扱い性が悪いことが分かった。さらに、MPN透過性が大きいことから、湿式有機太陽電池の電解液封止性が悪いことが分かった。
比較例3は、脂環族飽和炭化水素樹脂と充填剤とをともに含有する光硬化性組成物であるが、脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合と充填剤の含有割合との合計が、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、70質量部未満である結果、常温(23℃)における粘度が極めて低く、シャブシャブ状態であるため、光硬化性組成物を塗布する際に厚みの制御がしにくい等取り扱い性が悪いことが分かった。また、MPN透過性が大きいことから、湿式有機太陽電池の電解液封止性が悪いことが分かった。
本発明の光硬化性組成物は、封止性、被着物に対する密着性、耐薬品性などが要求されるシーリング材をはじめとする各種用途に利用することができるので産業上の利用可能性が高い。また、本発明の光硬化性組成物から形成したシーリング層を備える色素増感型太陽電池等の湿式有機太陽電池は、高温での電解液封止性など信頼性及び耐久性に優れており、産業上の利用可能性が高い。
1 透明基板
2 透明導電膜
3 色素
4 金属酸化物半導体層
5 電解液
6 シーリング層
7 導電膜
8 基板
9 回路
10 負荷
11 回路

Claims (7)

  1. 単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤、脂環族飽和炭化水素樹脂、及び充填剤を含有する光硬化性組成物であって、
    (a)該単官能(メタ)アクリレートが、炭素数15以上の脂環族または脂肪族単官能(メタ)アクリレートであり、
    (b)該多官能(メタ)アクリレートの含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内であり、
    (c)該光重合開始剤の含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内であり、
    (d)該脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、50〜200質量部の範囲であり、
    (e)該充填剤の含有割合が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、10質量部以上であり、かつ、
    (f)該脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合と該充填剤の含有割合との合計が、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、70質量部以上である
    ことを特徴とする光硬化性組成物。
  2. 極性基を有する(メタ)アクリレートを、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、20質量部までの割合で更に含有する請求項1記載の光硬化性組成物。
  3. 飽和熱可塑性エラストマーを、該単官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、50質量部までの割合で更に含有する請求項1または2記載の光硬化性組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光硬化性組成物の湿式有機太陽電池用シーリング材としての使用。
  5. シーリング層を介して配置された2枚の基板間に封入された電解液中に有機化合物からなる光電変換層が配置された構造を有する湿式有機太陽電池において、該シーリング層が、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光硬化性組成物から形成された光硬化物層であることを特徴とする湿式有機太陽電池。
  6. 該湿式有機太陽電池が、シーリング層を介して配置された2枚の基板間に封入された電解液中に色素からなる光電変換層が配置された構造を有する色素増感型太陽電池である請求項5記載の湿式有機太陽電池。
  7. 該色素増感型太陽電池が、「透明基板/透明導電膜/色素を吸着した金属酸化物半導体膜」の層構成を有する第一導電性基板と、該第一導電性基板に対向する第二基板とが、これら両基板の周辺部に枠状に設けたシーリング層を介して配置され、該シーリング層によって形成された両基板間の隙間に電解液が封入された構造を有する色素増感型太陽電池である請求項6記載の湿式有機太陽電池。
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