以下、図面を用いて本実施例について説明する。
以下、本発明を横長の吹出し口を持った壁掛型の空気調和機を実施例にして、説明する。
先ず、その全体構成について図1〜図3を用いて説明する。図1は実施例1の空気調和機の構成図である。図2は空気調和機の室内機の正面図である。図3は室内機の側断面図である。
なお、実施例では横長の吹出し口を持つ壁掛型の空気調和機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、略長方形の吹出し風路を持つ天井埋込形や壁埋込形、あるいはウインド形の空気調和機にも容易に適用でき、同様の効果を発揮できることは勿論のことである。
(本実施例の構成の概要)
空気吹出し口に吹出し空気の風向を上下に偏向する複数の上下風向板を有する空気調和機において、前記複数の上下風向板のうちの上側風向板が、吹出し風路の上面との間に気流が流れないように上下方向に回動自在に備えられ且つ、水平方向付近への送風状態において吹出し風路の上面の延長面を形成する面と、この延長面を形成する面の気流の下流側の端部から上方向にくの字状に折れ曲がるように形成された面とから構成される。
そして、水平方向付近への送風状態において、上記くの字状に折れ曲がった部分までの面と下側風向板の気流の下流側の端部までの面との間に流路を形成し、下方向への送風状態において前記吹出し風路の上面の延長面を形成する面及びこの面の端部からくの字状に折れ曲がるように形成された面と、下側風向板の気流の下流側の端部までの面との間に流路を形成する構成にした。
上記延長面を形成する面の気流の下流側の端部から上方向にくの字状に折れ曲がるように形成された面が室内機の前面下部の前方を覆うように形成している。これにより、室内機の外観を向上することができる。また、上記上側風向板のくの字状に折れ曲がった部分角度が114から156度の範囲であると、水平方向および下方向への送風性能の両方が好ましい状態となる。
上記構成にすることにより、上側風向板と下側風向板の長さ寸法が、水平方向状態及び下方向状態のいずれにおいても一方が極端に短くならず、略同じ長さになるようにできる。この結果、上側風向板と下側風向板との間の流路を、水平方向状態及び下方向状態のいずれにおいても長くすることができる。これによって、水平方向状態及び下方向状態のいずれにおいてもショートサーキットを抑制できる、若しくは水平方向および下方向(床面方向)への送風性能を充分確保して、空調能力を充分発揮できるようになる。
(本実施例の詳細な構成)
空気調和機1は、室内機2と室外機6を接続配管8でつなぎ、室内を空気調和する。室内機2は、筐体ベース21にユニット枠22を取付け、ユニット枠22の周りを化粧枠23、下パネル24、露受皿35で覆い、前方に化粧パネル25をユニット枠22に着脱可能に取付けて構成される。また、運転中、化粧パネル25の前方の吸込みパネル251は、図3のように、下部を支点にして回動自在である。
室内機2の上方には室内空気を吸込む吸込み口27が設けられ、室内機2の下方には調和空気を室内機2から室内に吹出す吹出し口28が設けられる。吹出し口28は、前ケーシング280a、後ケーシング280bに取付けられた上側風向板29、下側風向板29′の回動により、開閉自在である。これらの上側風向板29、下側風向板29′は、室内機2から吹出す気流を上下に風向制御して室内に送風する。
室内機2の化粧パネル25と上面の吸込み口27の内方には、フィルター231、231′が設置され、ユニット枠22に着脱自在に取付けられる。フィルター231、231′の内方には、パイプとフィンで構成された熱交換器33が配置される。熱交換器33は、水平方向の長さが略等しい送風ファン311を囲むように配置される。送風ファン311は、前ケーシング280aと後ケーシング280bの間に配置され、送風ファン311の回転軸は送風モータに連結される。
送風ファン311と吹出し口28の間に、吹出し風路280が前ケーシング280a、後ケーシング280bによって形成され、吹出し風路280内に、左右方向に所定間隔で左右風向板285が配置される。
このように、室内機2の外筐は、筐体ベース21、ユニット枠22、化粧枠23、下パネル24等からなる筐体20によって形成され、筐体20に化粧パネル25、送風ファン311、フィルター231、231′、熱交換器33、露受皿35、左右風向板285、吸込みパネル251、上側風向板29、下側風向板29′等の基本的な構造体が取付けられ室内機2を構成する。
化粧パネル25の奥には、電気部品ユニットの電装部が設けられる。また、電気部品ユニットの制御基板には、マイコンが設けられており、リモコン5から送られてきた信号を受光部を介して受信し、信号に応じて空気調和機を運転制御する。この時、運転モードに合わせて表示部のランプを点灯および消灯させることで、運転モードを確認できる。
運転が開始されると、化粧パネル25の吸込みパネル251は、下部を支点にして前方へ回動して所定角度傾き、室内機2の前面上部が開口する。上側風向板29、下側風向板29′は、マイコンによって制御されて回動し、室内機2の吹出し口28を開閉する。室内機2が、リモコン5からの運転信号を受信すると、室外機6も作動する。室外機6から送られた冷媒は、接続配管8を介して熱交換器33を循環する。送風ファン311に連結する送風モータは、マイコン制御により、運転状態に合わせて駆動される。
次に、空気の吸込みから吹出しまでの流れについて説明する。送風ファン311が図3において右回りに回転すると、上面の上側吸込み口27と化粧パネル25の開口部(前側吸込み口27′)から室内空気が吸込まれる。そして、吸込まれた気流はフィルター231、231′を通過する際、フィルター231、231′の網目により埃等が取り除かれ、室内機2の内部に流れる。
気流はさらに熱交換器33へ流入し、熱交換された後、送風ファン311へ吸込まれる。送風ファン311からの吹出した気流は、ケーシング280a、280bの下流に設けられた左右風向板285、上下風向板29、29′を通過して、風向制御されて室内に送風される。一方、運転を停止する時は、送風ファン311の駆動を停止しし、化粧パネル25の吸込みパネル251を回動させて図3に点線で示すように前面上部の開口を閉ざし、上下風向板29、29′を回動させて、図3に点線で示すように吹出し口28を閉ざす。
また、熱交換器33の下方には、露受皿35が配置されており、冷房運転時や除湿運転時に熱交換器33に発生する凝縮水を受け止める。露受皿33に集められた凝縮水は、ドレン配管37を通して室外に排出される。このように、気流の流路が形成され、送風ファン311を駆動させることで、室内空気が吸込み口27、27′から吸込まれ、フィルター231、231′を通過して、熱交換器33において熱交換された後、吹出し口28から室内に吹出しされる。
次に、吹出し口周辺部品の配置に関係する語句の定義について図4、図5を用いて説明する。図4は室内機の運転停止時の簡略化した断面図である。図5は室内機の運転停止時の簡略化した拡大断面図である。
実施例の空気調和機では吹出し口周辺に前ケーシング280a、上側風向板29、下側風向板29′、センサー類392、393、センサー取付基板390などが配置されている。本発明を詳細に説明するに当たって、これらの部品の取付に関する語句を定義しておく。前ケーシング280aは吹出し風路を構成し、貫流ファン311からの吹出し空気を誘導する役目を果たし、図4にαで示す前ケーシング角は吹出し空気の吹出し方向に大きな影響を与える。
下側風向板29′を閉じたときの下側風向板の傾斜β(下側風向板29′の翼型の前縁と後縁を結ぶ線分の傾斜で代表し、吹出し面収納角と言う)は空気調和機の外形と密接に関係し、且つ、吹出し空気の吹出し方向の制御に大きな影響を与える。また、センサー類392、393の方向λは室内情報を得て、空気調和機を制御するときに、収集した室内情報の適切さに大きく影響する。尚、吹出し面収納角の吹出し面とは、吹出し口の開口端の仮想面を称する。
センサー類392、393などはセンサー方向λをセンサー取付基板390に垂直にして取付けるのが一般的であり、このセンサー取付基板390の面をセンサー面FSと言い、その傾斜をセンサー面角γと言う。センサー面角γはセンサー方向λと余角の関係になる。また、空気調和機停止時に上側風向板29を収納してセンサー類を隠したときの風向面291dの方向を風向面収納角ιと言う。
風向面291dの方向は風向面の先端と、後述する上側風向板29の基準線BLから最高点となる風向面291dの点Pとを結んだ風向面代表直線DLの方向である。また、風向面収納角ιは最小の面積でセンサー類を隠すために、センサー面角γと略等しくするのが良い。
次に、上下方向に風向を偏向する上側風向板の構成について図2、図8(b)、図10(b)を用いて説明する。図8は室内機の主に暖房運転時の斜視図、(b)はその時の吹出し口の断面図である。図10は室内機の上側風向板回動部の拡大図、(a)は主に送風・弱暖房運転時、(b)は主に強暖房運転時である。
上側風向板29は風向片291と軸カバー292、293で構成され、その回動軸29aは風向片291の回動軸部291aに軸カバー292、293を軸カバー固定ネジ298で固定して形成される。また、風向片291は回動軸部291aと風向面291dを遮風面291eでつないだ形(くの字状)になっている。
この上側風向板29の回動軸29aを筐体20を構成する下パネル24の溝部24cの両端に設けられる支持部24a、24bで支持する。支持部24aには支軸24eが、支持部24bには駆動モータ287が設けられる。上側風向板29はこれらの間に懸架されて筐体20に取付けられ、駆動モータ287の駆動力を伝達部材296を介して上側風向板29の回動軸29aで受け、回動される。
下パネル24の溝部24cは上側風向板29を筐体20に取付けたときの回動軸29aの軸心の位置を中心とした円筒状の凹面を有し、溝部24c内で回動軸29aが支障なく回動できるようになっている。291bは回動軸29aに形成された軸側間隙形成部であり、回動軸29aと溝部24cの円筒状凹面との間隙Gpを小さい値に保持しているものである。
次に、上下方向に風向を偏向する上側風向板の動作について図6〜図10を用いて説明する。図6は室内機の運転停止時の斜視図、(b)はその時の吹出し口の断面図である。図7は室内機の主に冷房運転時の斜視図、(b)はその時の吹出し口の断面図である。図9は室内機の上側風向板回動部の拡大図、(a)は停止時、(b)は主に冷房運転時である。
運転停止時は、図6に示すように、吸込みパネル251及び上側風向板29、下側風向板29′は前側空気吸込み口27′及び空気吹出し口28を閉じている。この状態では、空気調和機の室内機2の外観は凹凸の少ない形状になって、室内の雰囲気を乱さず、また、掃除がしやすく、更に、室内機内への塵埃の進入を防いでいる。
次に、溝部での調和空気の流れについて図7〜図10を用いて説明する。
冷房運転時、上側風向板29、下側風向板29′は吹出し空気の風量が最大となるように、上側風向板29の遮風面291eと下側風向板29′を前ケーシング280aとほぼ平行にして、図7(b)の如く回動され、吹出し空気は黒矢印のように流れる。この時、図9(b)に示すように、吹出し空気に誘引されて、上側風向板29の回動軸29aに設けた軸側間隙形成部291bと下パネル24の溝部24cの間の間隙Gpを通って、上側風向板29の上方の室内空気が吹出し風路に流入してくる。
流入した室内空気は吹出し空気と上側風向板29の間を流れ吹出し空気が直接上側風向板29に触れるのを妨げる。このため、上側風向板29は冷やされず、室内温度に近い温度に保たれ、絶対湿度の高い室内空気に触れても、結露が生ずることは無く、室内に結露水が滴下することもない。
上側風向板29の回動軸29aと下パネル24の溝部24cの間の間隙Gpが狭すぎて、吹出し空気に誘引されて吹出し風路に流入する室内空気の量が少ないと、上側風向板29を吹出し空気から部分的にしか隔離できず、上側風向板29の温度が下がり、室内空気の露点温度より下がるとその部に室内空気の水分が結露するが、上側風向板29の回動軸29aと下パネル24の溝部24cの間の間隙Gpを調整することで、少量の結露に抑制することができ、結露水が室内に滴下するのを防ぐことができる。
また、この時、吹出し空気は前ケーシング280aの空気吹出し口28に近い部分を流れる空気とほぼ同じ速度と方向で噴流のごとく空気吹出し口28から吹出し、あまり拡散せずに風向面291dから離れて、室内に直進してゆく。このため、風向面291dは吹出し空気によって冷やされる度合いが更に小さく、ほとんど冷やされない。従って、風向面291dの裏面もほとんど冷やされず、冷却された部分に室内空気が触れて空気中の水分が凝縮して生ずる結露の現象が抑制される。
この場合、室内の湿度が特に高いときには上側風向板29に結露が多くなるが、このような場合は、上側風向板29の結露が生じた位置を覆うように断熱材を貼るなどの処置をすることで結露した水滴が室内に落下して周囲を汚す恐れは無くなる。このように誘引される室内空気の量が少ない場合でも、上側風向板29に貼る断熱材の厚さを薄くできるので、資源の節約になる。
暖房運転時、上側風向板29、下側風向板29′は吹出し空気をできるだけ下方に送り、足元を暖かくするように、上側風向板29の風向面291dと下側風向板29′をほぼ平行にして、図8(b)の如く回動され、吹出し空気は黒矢印のように流れる。この時、図10(b)に示すように、上側風向板29の風向片291を下パネル24の溝部24cと前ケーシング280aとの交線付近で当接させる如くにする。
これにより、上側風向板29の回動軸29aと下パネル24の溝部24cの間を通って、風向面291d、遮風面291eの裏面に漏れ出す吹出し空気はほとんどなくなり、吹出し空気を効果的に下向き方向に送ることができる。なお、種々の事情により、上側風向板29の風向片291を下パネル24の溝部24cと前ケーシング280aとの交線付近で当接させない場合、上側風向板29の回動軸29aと下パネル24の溝部24cの間を通って、吹出し空気が漏れ出す。
この場合でも、この部分の隙間をできるだけ小さくすることで、漏れ出てくる吹出し空気の量をわずかにでき、暖房効果や足元近くに吹出し空気を送る効果を大きな差は生じさせないで維持できる。
次に、上側風向板29の別の使用形態について図11、図12を用いて説明する。図11は室内機の主に冷房・送風運転時の吹出し口の断面図、(b)はその時の上側風向板回動部の拡大図である。図12は室内機の主に送風運転時の上側風向板回動部の拡大図である。
送風運転時など、冷風を伴わない運転のときには、下側風向板29′を所望の方向に回動させ、図11(a)のように、上側風向板29の風向面291dを下側風向板29′とほぼ平行の位置に回動させると、吹出し空気は上側風向板29の遮風面291eで縮流され、上側風向板29の風向面291dと下側風向板29′に挟まれ整流されて平行な流れになって黒矢印のように流れる。
このように、縮流させた後に、平行な流れに整流させることで、吹出し空気は風速が速い平行流となり、より遠方まで到達するようになる。上側風向板29の風向面291dと下側風向板29′が作る平行方向を任意の方向に調整することで、室内の広い範囲に風を送ることができ、一層の節電が求められているおり、冷房に代わって涼感を得る方法として有効性が高い。
この場合、図11(b)のように、回動軸29aと溝部24cの隙間を通って室内空気が前ケーシング280aで形成される吹出し風路280に流入してくる。この状態と図10(a)の状態の中間に、図12のように、漏れ出ようとする吹出し空気と流入しようとする室内空気が拮抗し、回動軸29aと溝部24cの間の隙間をほとんど、空気が流れない状態がある。これらの現象についての詳細な説明は図20〜図25を用いて後述する。
このように、実施例の空気調和機は、空気吹出し口に吹出し空気の風向を上下に偏向する複数の上下風向板を有し、最上部の上下風向板(上側風向板)を支持する空気調和機本体側の筐体の支持部の間に、該上側風向板の回動軸を収納する溝部が形成され、該回動軸の外面に、回動の動作の間、該回動軸と該溝部との間の間隙を最小に保つ間隙形成部が形成され、該上側風向板の風向面291dと該回動軸が遮風面291eで連結されている。
これにより、上側風向板は筐体の溝部に半分埋め込まれたようになり、その間の隙間を通って漏れる空気の量は少なく、前側ケーシングに沿って流れる吹出し空気の殆ど全てが遮風面で遮られて風向面291dに流れ、使用者の意図した方向に吹出してき、ショートサーキットを効果的に抑えることができる。
また、回動軸と風向面291dを遮風面291eで連結したことで、従来の上側風向板の支柱を伴なった支持機構のような、横方向に断続のある構成から、横方向に連続性のある構成になるので、視覚的なノイズを低減でき、空気調和機の使用者に、落ち着いた雰囲気で快適な環境を提供することができる。
風量を最大とするときには、遮風面291eを前ケーシングの傾斜とほぼ同じ傾斜なるように上側風向板を回動させる。この時、吹出し空気は前ケーシングの空気吹出し口に近い部分を流れる空気とほぼ同じ速度と方向で噴流のごとく空気吹出し口から吹出し、あまり拡散せずに風向面291dから離れて、室内に直進してゆく。このため、風向面291dは吹出し空気によって冷やされる度合いが小さく、あまり冷やされない。従って、風向面291dの裏面もあまり冷やされず、冷却された部分に室内空気が触れて空気中の水分が凝縮して生ずる結露の現象が抑制される。
送風運転時など、冷風を伴わない運転のときには、下側風向板を所望の方向に回動させ、上側風向板の風向面291dを下側風向板とほぼ平行の位置に回動させると、吹出し空気は上側風向板の遮風面291eで縮流され、上側風向板の風向面291dと下側風向板に挟まれ整流されて平行な流れになる。
このように、縮流させた後に、平行な流れに整流させることで、吹出し空気は風速が速い平行流となり、より遠方まで到達するようになる。上側風向板の風向面291dと下側風向板が作る平行方向を任意の方向に調整することで、室内の広い範囲に風を送ることができ、一層の節電が求められているおり、冷房に代わって涼感を得る方法として有効性が高い。
このように、回動軸と風向面291dを遮風面291eで連結したことと、上側風向板の回動軸と筐体の溝部との間を吹出し空気が殆ど流れない隙間にすることで、暖房時など、吹出し空気を下向きにしたい時に、上側風向板より空気吸込み口側を流れてショートサーキットを起こす無駄な流れを大幅にカットできる。
このため、ショートサーキットを効果的に抑制し、視覚的なノイズが小さく、メンテナンスが容易で、室内の雰囲気を乱さない空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、冷房運転時に上側風向板の回動軸と下パネルの溝部との隙間から室内空気が前ケーシング280aで形成される吹出し風路280に流入するように、上側風向板の傾きを制御する。
これにより、上側風向板が冷たい吹出し空気に直接触れるのが防止され、上側風向板の温度が維持され、上側風向板の結露が抑制され、結露の室内への滴下なども抑制されて、室内を汚す恐れが少なくなる。
このため、結露が少なく、室内を汚す恐れが少ない空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、暖房運転時の上側風向板の回動範囲で、上側風向板の回動軸と下パネルの溝部の隙間が最小となる上側風向板の回動位置における暖房時最小間隙が、冷房運転時の上側風向板の回動範囲で、上側風向板の回動軸と下パネルの溝部の隙間が最小となる上側風向板の回動位置における冷房時最小間隙より小さい。
これにより、暖房運転時に、吹出し空気が上側風向板の回動軸と下パネルの溝部の隙間を通って室内に漏れ出る量が減少し、ショートサーキットを抑制し、且つ、漏れ出る吹出し空気の量が少なくなるので、下向きの吹出し空気を効率よく床面近くまで届けることができるようになる。
このため、暖房時のショートサーキットが抑制され、吹出し空気を床面近くまで届けることができる空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、空気吹出し口に吹出し空気の風向を上下に偏向する複数の上下風向板を有し、前記上側風向板の回動軸中心と、該回動軸に垂直な面内で回動軸中心から最も遠い上側風向板の下流端とを結ぶ線分を基準線とし、該基準線からの高さが最大となる上側風向板の最高点の位置に該基準線が貼る角が114から156度の範囲である。
一般に、壁掛け型の空気調和機では暖房の運転開始時に風向をできるだけ下に向けることが求められるため、空気調和機の前面下部に吹出し口が配置され、また、送風機には低騒音で、吹出した風を一様な流れに乗せて空調空間の遠方まで届けるために、回転軸方向にほぼ一様な風速が得られる貫流ファンが採用されることが多い。
この場合、空気調和機の前ケーシング280aで形成される吹出し風路280は必然的に斜め下向きに設けられ、吹出し風路280を構成するノーズから続く前ケーシング280aの傾斜角は、暖房の観点から考えれば急角度で下向きにするのが良いが、冷房時には若干上向きの風向も必要となることも考慮に入れて、水平に対して20度前後の傾きにすることが多く、経験的に、15度から25度の範囲の角度が用いられている。
これに応じて、吹出し口は空気調和機の底面から前面に掛けた部分に設けられ、吹出し面の傾斜は、暖房時の下吹出しから冷房時の若干上吹出しの風向が可能なように、15度から20度前後のすることが多く、経験的に10度から25度の範囲の角度が用いられている。
また、近年、人センサーなどを備え、得られた室内の情報を基に、空気調和機を制御することが行われ始めているが、これらのセンサーは室内の居住空間の情報を最大限に取得可能な位置が望ましく、空気調和機の前面下部に設けられることが多く、センサーを向ける角度はセンサーの検知可能角度範囲を考慮して決める必要がある。
この場合、センサーが空気調和機を据付けた壁と対向する反対側の壁の近くにいる人、および、空気調和機に近い位置にいる人の情報も取得できるようにする必要があり、必要に応じてセンサーの個数を増やすなどの方法が採用されている。この時、センサーの方向(感度が最大となる方向)を、空気調和機を側面から見たときに、センサーの方向が床面となす角を40度前後にすることが多く、経験的に、30度から50度の値が用いられている。
実施例の空気調和機では、空気調和機の運転停止時に、上側風向板、下側風向板を最も上に向けてから停止させることで、空気吹出し口や上側風向板の回動軸から始まる遮風面291eを下側風向板で隠して、室内機の外観を凹凸の少ない滑らかな形状にすることができると共に、室内の居住空間の状態を検知すべく、空気調和機に搭載された人センサーを上側風向板で隠すことで、見られていることへの抵抗感を払拭して室内の穏やかな雰囲気を乱すことが無い。
この場合、人センサーの方向にほぼ垂直となる上側風向板の風向面291dで人センサーを隠すことができ、無駄な空間を省くことができる。また、人センサーの方向を床面から30度から50度の範囲にし、前ケーシングの傾斜角を15度から25度の範囲、吹出し面の傾斜を10度から25度の範囲にすることができ、適正な吹出し風路280、吹出し面(空気吹出し口開口端の仮想面)、人センサーの配置を実現できる。
なお、基準線からの風向面291dの最大高さの位置に該基準線が貼る角が114度未満では人センサーの方向が上を向き過ぎて空気調和機に近い位置にいる人の情報を十分に取得できない恐れが強くなり、室内の制御が適正に行われなくなるなどの障害が生じたり、運転停止で上側風向板を閉じて収納する時に、下側風向板との距離が開きすぎて、無駄なスペースとなり、空間の使用効率が低下する。
また、無駄なスペースを解消しようとすると、吹出し面(空気吹出し口開口端の仮想面)の傾斜が小さくなり、冷房時に若干上向きの風向で室内の広範囲に冷風を届けることが困難になり、更には、通常冷房時の上側風向板の位置と運転停止時の上側風向板の収納位置とが近づき過ぎて、冷房運転時に涼しい吹出し空気を室内の遠方に送る風向調整ができなくなるなど、冷房時の若干上向きの風向制御が困難になる恐れが強くなる。
また、上側風向板の風向面291dと下側風向板をほぼ平行にして、吹出し空気を縮流、増速して室内の遠方まで送るときに、吹出し空気の流れが縮流から平行流に変化する部分で流れの方向が変ることから、この部の方向変化が大きく(貼る角が小さく)なると渦が生じやすくなり、騒音の発生や、風量の減少などが起こり、上質で効果的な空気調和を行うことが困難になる。
これらを解消するために、上側風向板、人センサー取付け部周りに余分な空間が必要となって空間の使用効率が低下して、容積の拡大を招き、資源の節約に反し、流通のコストなどのアップに繋がる。
他方、該貼る角が156度を超えると、逆に、人センサーの方向が下を向き過ぎて空気調和機から遠い位置にいる人の情報を十分に取得できない恐れが強くなり、前述と同様に、室内の制御が適正に行われなくなるなどの障害が生じたり、運転停止で上側風向板を閉じて収納する時に、下側風向板との距離が近すぎて、空気調和機の下側風向板から上側風向板に掛けての外観をスムーズに連続させることが困難になり、外観を損ねる。
また、外観をスムーズに連続させようとすると吹出し面(空気吹出し口開口端の仮想面)の傾斜が大きくなり、暖房の運転開始時に風向を十分下向きにすることが困難になり、更に、空気調和機の運転時の上側風向板の位置からこれを収納する位置に収めるまでの角度が大きくなり、上側風向板と干渉しない領域を広く取る必要が出て、空間の利用効率が低下する。更にまた、上側風向板が平板に近づくため剛性が減少し、上側風向板を略水平に保持したときの変形が大きくなり、高級感が失われ、製品のイメージダウンを招き、外観の品質が低下する。
これらを解消するためには、該基準線が貼る角が小さすぎる場合と同様に、上側風向板、人センサー取付け部周りに余分な空間が必要となって空間の使用効率が低下して、容積の拡大を招き、資源の節約に反し、流通のコストなどのアップに繋がる。
このため、吹出し口周りを適正な構成にして、尚且つ、停止時には室内機の外観を凹凸の少ない滑らかな形状にし、人センサーを上側風向板で隠して室内の穏やかな雰囲気を乱さない空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、前記遮風面291eの長さとなる前記回動軸中心と前記最高点を結ぶ線の長さが、該回動軸に垂直な面内の吹出し風路の高さの40から60%である。
これにより、暖房運転時に上側風向板を最大限下向きに回動し、前ケーシングの傾斜方向に吹出しされてくる吹出し空気の半分近くを遮風面291eで遮り、下方に転回させ、遮風面291eに続く風向面291dと下側風向板とで吹出し空気を縮流し、増速して下向きに送り出すことができる。
この場合、該遮風面291eの長さが該吹出し風路の高さの40%未満では吹出し空気の下方への転回が不十分となり、また、遮風面291eに続く風向面291dと下側風向板とによる縮流や増速も不十分となって、暖房運転開始時の効果的な暖房が困難になる。
他方、遮風面291eの長さが該吹出し風路の高さの60%を超えると、吹出し空気の下方への転回は支障なく行われるが、続いて行われる風向面291dと下側風向板とによる縮流が過度になり、吹出し空気の量が減少し、吹出し空気が床面まで届かなくなる恐れが増してくる。
このため、暖房運転開始時に吹出し空気が床面まで届いて、優れた暖房効果を発揮する空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、冷房の最大能力運転時の前記上側風向板の回動位置から、停止時の上側風向板を閉じた状態までの該上側風向板の回動角度が18から51度である。
これにより、請求項1の空気調和機と同様に、空気調和機の運転停止時に、上側風向板、下側風向板を最も上に向けてから停止させることで、空気吹出し口や上側風向板の回動軸から始まる遮風面291eを下側風向板で隠して、室内機の外観を凹凸の少ない滑らかな形状にすることができると共に、室内の居住空間の状態を検知すべく、空気調和機に搭載された人センサーを上側風向板で隠すことで、見られていることへの抵抗感を払拭して室内の穏やかな雰囲気を乱すことが無い。
この場合も、請求項2の空気調和機と同様に、適正な吹出し風路、吹出し面(空気吹出し口開口端の仮想面)、人センサーの配置を実現できる。
なお、該回動角が51度を超えると、空気調和機の運転時の上側風向板の位置からこれを収納する位置に収めるまでの角度が大きくなり、上側風向板と干渉しない領域を広く取る必要が出て、空間の利用効率が低下し、また、運転停止で上側風向板を閉じて収納する時に、下側風向板との距離が近すぎて、空気調和機の下側風向板から上側風向板に掛けての外観をスムーズに連続させることが困難になり、外観を損ねる。更に、外観をスムーズに連続させようとすると吹出し面(空気吹出し口開口端の仮想面)の傾斜が大きくなり、暖房の運転開始時に風向を十分下向きにすることが困難になる。
また、冷房の最大能力運転時には圧縮機を冷房の最高回転数で運転すると共に、送風量を最大にすべく、風向板の抵抗が最も少ない状態にする。この状態は、吹出し風路から出た吹出し空気をそのままの方向に何の制約も加えずに吹出させることで実現できる。このため、上側風向板の遮風面291eが前側ケーシングの傾斜角の延長上に位置するように上側風向板の回動軸の位置と回動角度を選定する。
他方、室内の情報を得るための人センサーなどのセンサー類を搭載するセンサー面の空気調和機の横方向から見た床面に対する傾斜角度(センサー面角)はセンサーの方向(センサーの感度が最大となる方向)を空気調和機の横方向から見た床面との角度の補角となり、前述のように40度から60度(センサーの方向を空気調和機の横方向から見た角度としては30度から50度)となる。
運転停止時には、このセンサー面を上側風向板の風向面291dで覆うことで、室内を落ち着いた雰囲気にすることができる。この状態から冷房の最大能力運転時の状態までの上側風向板の回動角度を過大に設定すると、遮風面291eの傾斜角が大きくなって、必然的に前ケーシングの傾斜角を大きくすることになり、吹出し空気の方向がより下向きになって、冷房時の若干上向きで室内を広範囲で冷房する利用法が困難になる。
また、遮風面291eが軸角基線から過度に乖離した場合も、回動角が大きくなるが、この場合、回動軸と前ケーシングの間を大きくとらなければならなくなり、無駄な空間が増える。更には、前ケーシングの傾斜角とセンサー面角を維持して該回動角を過度に大きくすると、前述した上側風向板の最高点の位置に基準線が貼る角大きくなり、上側風向板が平板に近づくため剛性が減少し、上側風向板を略水平に保持したときの変形が大きくなり、高級感が失われ、製品のイメージダウンを招き、外観の品質が低下する。
他方、該回動角が18度未満では、通常冷房時の上側風向板の位置と運転停止時の上側風向板の収納位置とが近づき過ぎて、冷房運転時に涼しい吹出し空気を室内の遠方に送る風向調整ができなくなるなど、冷房時の若干上向きの風向制御が困難になる恐れが強くなる。
また、運転停止で上側風向板を閉じて収納する時に、下側風向板との距離が開きすぎて、無駄なスペースとなり、空間の使用効率が低下し、無駄なスペースを解消しようとすると、吹出し面(空気吹出し口開口端の仮想面)の傾斜が小さくなり、冷房時に若干上向きの風向で室内の広範囲に冷風を届けることが困難になる。
また、運転停止時の、センサー面を上側風向板の風向面291dで覆った状態から冷房の最大能力運転時の状態までの上側風向板の回動角度を過小に設定すると、遮風面291eの傾斜角が小さくなって、必然的に前ケーシングの傾斜角を小さくすることになり、吹出し空気の方向がより上向きになって、暖房時に吹出し空気を下向きにして床面まで届けるのが困難になる。
また、遮風面291eが軸角基線に接近し過ぎる場合も、回動角が小さくなるが、この場合、回動軸の寸法を小さくしなければならなくなり、回動軸を十分な強度にすることが困難になって、上側風向板の動作が円滑に行われなくなったり、最悪の場合、破損に至ることも考えられ、空気調和機の信頼性が大幅に低下する。
また、上側風向板の風向面291dと下側風向板をほぼ平行にして、吹出し空気を縮流、増速して室内の遠方まで送るときに、吹出し空気の流れが縮流から平行流に変化する部分で流れの方向が変ることから、この部の方向変化が大きく(貼る角が小さく)なると渦が生じやすくなり、騒音の発生や、風量の減少などが起こり、上質で効果的な空気調和を行うことが困難になる。
このため、吹出し口周りを適正な構成にして、尚且つ、停止時には室内機の外観を凹凸の少ない滑らかな形状にし、人センサーを上側風向板で隠して室内の穏やかな雰囲気を乱さない空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、前記間隙形成部を一箇所に設ける。
これにより、該間隙形成部での隙間を調節することで、冷房時、暖房時の漏れ空気の量を適切な量に管理する。具体的には、上側風向板が冷房運転の位置であるときは適切な量の漏れ空気が吹出し風路側に漏れるようにし、吹出し空気をできるだけ下向きに送りたい暖房運転の立ち上がり時(室温が低く、急速に床近くの温度を上げたい時)には、遮風面291eを溝部と前ケーシングとの接続部に当てる。
これにより、吹出し空気が軸側間隙形成部、カバー側間隙形成部と溝部の間の隙間に流れるのを阻止され、遮風面291eに遮られて、吹出し空気の全部が下方に向かい、床面を効果的に暖める。
このため、冷房時、暖房立ち上がり時ともに、漏れ量を適切にでき、結露を抑制し、暖房立ち上がり時に床面を効果的に暖房する空気調和機を提供することができる。
次に、実施例2の空気調和機の上側風向板の回動軸について図13、図14を用いて説明する。図13は実施例2の空気調和機の室内機の吹出し口の断面図である。図14は室内機の主に冷房・送風運転時の上側風向板の回動部の拡大図である。
実施例2の空気調和機は上側風向板29の回動軸29aを図13に示すように、円形にしたものであり、他の部分は実施例1と同じである。このように回動軸29aを円形にすることにより、上側風向板29の回動軸29aと下パネル24の溝部24cの間で構成される吹出し空気が漏れ出る通路が幅は間隙Gpで長さは溝の筒状の内面に沿った長さとなり通路の長さLpが長くなる。このように、間隙Gpはそのままで、通路の長さLpが長くなるので、漏れ出る吹出し空気に対する抵抗が大きくなって、漏れ出る吹出し空気の量が少なくなる。
送風運転時には、上側風向板29は図14のように回動され、通路の長さはLpとなり、実施例1の場合に比べかなり大きく、漏れ出る吹出し空気の量は少ない。冷房運転時は、上側風向板29は図7(b)と同様の角度に回動されるが、回動軸29aを円形にしているので、通路の長さは溝部24cの形状で定まるので、送風運転時の通路の長さLpと同じになり、回動軸の回動位置によらず一定となって、漏れ出す吹出し空気の量も一定となり、安定した少ない量にすることができる。
このように、実施例の空気調和機は、前記回動軸の中空形状部の外面を円柱状に形成する。
これにより、回動軸部から吹出し空気が漏れる時の通路になる筐体の溝部との間の隙間の通路の長さが、大略、溝部の円周方向の長さ迄長くなり、隙間を通る空気の抵抗が増え、漏れでる吹出し空気の量が減少する。
また、回動軸部の外観が一様な曲率の滑らかな面になるので、視覚的なノイズを減少できる。
また、同じ半円形状の溝部に対して、中空部の面積が広くなり、伝達部材の強度、剛性を上げることができる。逆に、必要となる伝達部材の強度、剛性に対して、回動軸の外径を小さくできるので、この部の質量を減らし、風向板を軽量化できる。
このため、ショートサーキットを効果的に抑制する空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、前記溝部の、前記回動軸に垂直な断面が円の一部をなす凹形状である。
これにより、上側風向板の回動軸と下パネルの溝部の間で構成される吹出し空気が漏れ出る通路が幅は間隙で長さは溝の筒状の内面に沿った長さとなり通路の長さが長くなる。このように、間隙はそのままで、通路の長さが長くなるので、漏れ出る吹出し空気に対する抵抗が大きくなって、漏れ出る吹出し空気の量が少なくなる。
送風運転時には、上側風向板は回動され、通路の長さはかなり大きくなり、漏れ出る吹出し空気の量は少ない。冷房運転時は、上側風向板は回動軸を円形にしているので、通路の長さは溝部の形状で定まるので、送風運転時の通路の長さと同じになり、回動軸の回動位置によらず一定となって、漏れ出す吹出し空気の量も一定となり、安定した少ない量にすることができる。
このため、上側風向板の回動位置によらず、漏れ空気の量が定量になって、安定した運転になる空気調和機を提供することができる。
次に、上側風向板の構造について図15〜図17を用いて説明する。図15は上側風向板の斜視図、(b)は上側風向板の分解斜視図である。図16は上側風向板の風向片の斜視図、(b)は上側風向板の風向片を別の角度から見た斜視図である。図17は上側風向板の風向片の回動軸部詳細図、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図、(d)は断面AAである。
上側風向板29は図15に示すように、風向片291に軸カバー292、293を取付け、風向片291と軸カバー292で回動軸29aに形成された中空部に伝達部材296を挿入して組立てられる。伝達部材296は上側風向板29を筐体20に取付けたときに上側風向板29の駆動モータ287と結合され、駆動モータ287の駆動力を上側風向板29に伝達し、上側風向板29を回動させる。
風向片291には図16(a)、(b)のように、風向面291d、遮風面291e291e、回動軸部291aが形成され、回動軸部291aの両端部を除いた中央部は外面が半円筒状で内面は伝達部材296を収納できるよう凹面に形成した半円筒部291gとなっている。半円筒の外面は軸カバー292の外面と組合わさって、回動軸29aの外面を遮風面291e291eとの接続部を除いて円筒状にする。
このように、この実施例では回動軸29aの外面を円筒状にしたので、下パネル24の溝部24cとの隙間は円筒上のどこでも同じ隙間になるので、風向片291の円筒の外面全部が図17(d)に示すように軸側間隙形成部291bとなり、同様に、右軸カバー292の円筒の外面全部がカバー側間隙形成部292bとなる。
次に、吹出し口周辺の構成について図18〜図20を用いて詳細に説明する。図18は室内情報センサー類の配置説明図である。図19は室内情報センサー類の検知範囲説明図である。図20は上側風向板関係部品の水平面に対する角度説明図、(b)はセンサー面角、(c)は前ケーシング角、(d)は吹出し面収納角である。
空気調和機には室内の情報を取込んで空気調和機の制御に使用するため各種のセンサー類が組込まれていて、近年では省エネのため、室内に人が居るか居ないか、室内の何処に居るか、室内の明るさ、室内の音などの情報を得て空気調和機を制御することも行われつつある。このようなセンサーは室内の情報を的確に捉える位置に搭載する必要があるため、壁掛型空気調和機では使用者の居るであろう位置に近い前面下部の吹出し口の直ぐ上に設けるのが理に適っている。
図18はこの状態を示したもので、赤外線センサー393、音センサー392などが空気調和機の前面下部に設けられている。この場合、これらのセンサーは、人が居るであろう位置に向けて設置することが求められるので、センサーの方向は室内中央部に向けるのが良い。このように、使用者が居る蓋然性の高い室内中央部に向けてセンサーを設置することで、空気調和機は室内の情報を的確に得ることができる。この時、センサーの方向が床面と交わる角λをセンサーの方向と言うこととする。
大容量の空気調和機は広い室内に据付けられ、小容量の空気調和機は狭い室内に据付けられる。他方、壁掛型空気調和機の据付け高さは空気調和機の容量に応じての変化はほとんどなく、床面から1.7mから2.0m程度の範囲になっている。これは、室内の天井の高さや、置かれる家具の高さ、更には、メンテナンスのし易さなどから決まってくるもので、天井高の高いロフト付の部屋では3.0m程度になる場合もある。
このため、図19のように、広い部屋用の大容量の空気調和機のセンサーの方向λ1は小さくし、狭い部屋用の小容量の空気調和機のセンサーの方向λ2は大きくする。センサーの方向λは経験的に30度から50度の範囲で設定されることが多い。センサーの方向は一般的にセンサーの感度が最も鋭敏な方向で、この鋭敏な感度の周りに、実用的な感度の領域が広がり、その外側に、不確実な感度の領域が有って、更にその外側が不感領域となる。
図19には、角度μ1、μ2でセンサーの実用的な感度領域を示している。センサーの実用的な感度領域の広さは、センサーの種類、価格、製造メーカー等により様々であり、一概には言えないが、用途に応じて、複数のセンサーで領域を分担することも行われている。この時、センサーはその取付け基板390に垂直に搭載されることが一般的であり、取付け基板390の角度γ(センサー面角)はセンサー方向λの余角となり、γ=90−λの関係となる。このため、取付け基板390の角度の範囲は40度から60度となる。
吹出し口の周辺には空気調和機の機能、性能を左右する前ケーシング280a、上側風向板29、下側風向板29′センサー取付け基板390などの構成品があり、実施例では図20のように配置されている。図20のHLは水平線であり、センサー取付け基板390の傾斜γ(センサー面角)は図18のセンサーの方向λの余角γと同じである。上側風向板29の風向面291dは空気調和機運転停止時に風向板を閉じた時に、センサー類を隠す働きをする。
上側風向板29の回動軸29aの軸心と風向面291dの先端を結ぶ線分を基準線BLとし、基準線BLの長さをLとする。上側風向板29の風向面291d、遮風面291eの基準線BLからの高さが一番大きい点をPとして、風向面291dの先端と点Pを結ぶ線は風向面291dの方向を代表する直線になるのでこれを風向面代表直線DLと言う。
図20(a)のように、空気調和機の運転停止時の上側風向板29を閉じた状態で、上側風向板29の基準線BLからの最高点Pと回動軸29aの軸心を結ぶ線分を軸角基線JLと言い、軸角基線JLの長さをSnとする。軸角基線JLの長さSnは遮風面291eの長さにほぼ等しくなるので、これを遮風面長さSnといっても差し支えない。
この場合、図20(b)のように空気調和機停止時の上側風向板29を閉じた時に風向面291dの傾斜ι(風向面収納角)をセンサー取付け基板390の傾斜γ(センサー面角)にほぼ等しくすることで、センサー類を最小の面積で隠すことができる。前ケーシング280aは吹出し方向を冷房運転時の若干上向きから暖房運転時のできるだけ下向きの方向にまで対応できるように、図20(c)のα(本明細書では前ケーシング角と言う)を、これも経験的に、15度から25度の範囲にすることが行われている。
また、下側風向板29′は空気調和機停止時に吹出し口28を閉じ、空気調和機の外形を形造り、その時の傾斜β(吹出し面収納角:図20(d)参照)は吹出し口28の傾斜に他ならず、吹出し口28の傾斜も前ケーシング角αと同様に吹出し方向を冷房運転時の若干上向きから暖房運転時のできるだけ下向きの方向にまで対応できるように、これも経験的に、10度から25度の範囲にすることが行われている。
次に、空気調和機の運転停止時の上側風向板と下側風向板の位置関係について図21を用いて説明する。図21は上側風向板関係部品の軸角基準線に対する角度説明図、(b)は風向面−軸角、(c)は遮風面−軸角、(d)は吹出し面−軸収納角である。
図21でEJLで示すのは、前述した軸角基線JLの延長線であり、水平線HLに対して若干傾いている。図21(b)のように、軸角基線の延長線EJLと風向面代表直線FDで形成される角をζ(風向面−軸角=形成角)とすると、形成角ζは上側風向板29の基準線BLからの最高点Pに対し基準線BLが貼る角νの補角になり、ζ=180−νの関係になる。
点Pから回動軸29aの外形に引いた接線は遮風面291eにほぼ沿った直線となるので、これを遮風面代表直線FOと言う(図21(c)参照)。遮風面代表直線FOと軸角基線JLとで形成される角δ(遮風面−軸角)は上側風向板29を構成する風向片291の材料の強度に応じて、上側風向板29を回動させる力や撓みの許容量などから定まる回動軸29aの外径や風向板の厚さに依存し、材料の強度が高ければ小さく、弱い材料では大きくする必要がある。
また、図21(d)のように、空気調和機の運転停止時に軸角基線JLと下側風向板29′が成す角をε(吹出し面−軸収納角)とすると、下側風向板29′から上側風向板29にかけての空気調和機運転停止時の外形を滑らかにつなぐため、εをδより大きくする必要がある。さもないと、回動軸29aが下側風向板29′に接触し、下側風向板29′が所定の位置まで回動できなくなり、下側風向板29′と上側風向板29の間に隙間ができて、停止時の概観を損なう恐れが有る。
次に、風向板の位置とその時の吹出し空気の流れについて図22〜図25を用いて説明する。図22は冷房時の吹出し口周辺の風の流れである。図23は暖房運転開始時の吹出し口周辺の風の流れである。図24は冷房・送風時の吹出し口周辺の風の流れ、(a)は若干上向き冷房時、(b)は送風時である。図25は暖房時の吹出し口周辺の風の流れ、(a)は弱暖房時、(b)は通常暖房時である。
図22のように、前ケーシングの延長線ECLと遮風面代表直線SLとが成す角を前ケーシング−遮風面角κとする。最大冷房能力運転のときのように冷房でフル能力を発揮させようとする場合は、吹出し風路280の抵抗も最小にして、吹出し空気の量が最大となるよう図22のように、上側風向板29の遮風面291eを前ケーシング280aの傾斜にほぼ等しくする。
このように、上側風向板29の遮風面291eを前ケーシング280aの傾斜にほぼ等しくすることで、吹出し風路280を流れる吹出し空気がそのままの速度と方向を大略保ったまま空気調和機から吹出す。言い換えると、上側風向板29を、水平方向付近への送風状態において吹出し風路280の上面の延長面を形成する面と、この延長面を形成する面の気流の下流側の端部から上方向にくの字状に折れ曲がるように形成された面とから構成し、水平方向付近への送風状態において、上記くの字状に折れ曲がった部分までの面と下側風向板の気流の下流側の端部までの面との間に流路を形成することで、吹出し風路280を流れる吹出し空気がそのままの速度と方向を大略保ったまま空気調和機から吹出すことができる。
この時、遮風面291eは吹出し風路280の外側に位置するか、吹出し空気を浅い角度、つまり、前ケーシング−遮風面角κが小さい角度、で受けるようにする。
これにより、吹出し空気に誘引されて回動軸29aと溝部24cとの隙間を通って上側風向板29の上面付近の室内空気が吹出し口28に漏れてくる。漏れてきた室内空気は吹出し空気と上側風向板29の間を流れ、上側風向板29に冷たい吹出し空気が直接触れるのを防止する。このため、上側風向板29の温度はあまり下がらず、上側風向板29に生ずる結露を抑制することができる。
暖房運転開始時には、図23のように、上側風向板29の遮風面291eを前ケーシング280aの終端に当接させる。こうすることにより、吹出し風路280から吹出した吹出し空気は遮風面291eに遮られて、ほぼ全量が下方に方向を変え、風向面291d及び下側風向板29′に案内されて床面近くまで到達する。このように、暖房運転開始時には、吹出し空気を効率良く床面近くまで到達させ、素早く室内を暖める。言い換えると、下方向への送風状態において前記吹出し風路280の上面(前ケーシング280aが形成する吹出し風路280の上面)の延長面を形成する面(遮風面291e)及びこの面の端部からくの字状に折れ曲がるように形成された面(風向面291d)と、下側風向板の気流の下流側の端部までの面との間に流路を形成する構成にした。
若干上向きの冷房を行う場合は、図24(a)のように、上側風向板29を冷房のフル能力運転時よりも上側にし、下側風向板29′をほぼ水平にする。この時、遮風面291eは前ケーシング280aの傾斜から外れているので冷房のフル能力運転の場合と同様に、吹出し空気に誘引されて回動軸29aと溝部24cとの隙間を通って上側風向板29の上面付近の室内空気が吹出し口28に漏れて来て、上側風向板29が冷やされるのを抑え、結露を抑制する。
通常の冷房・送風を行う場合は、図24(b)のように、上側風向板29を冷房のフル能力運転時よりも下側にし、下側風向板29′を上側風向板29の風向面291dとほぼ平行にする。この時、遮風面291eは吹出し空気を浅い角度κ(前ケーシング−遮風面角)で受ける。これにより、吹出し空気に誘引されて回動軸29aと溝部24cとの隙間を通って上側風向板29の上面付近の室内空気が吹出し口28に漏れて来て、上側風向板29が冷やされるのを抑え、結露を抑制する。
送風・弱暖房を行う場合は、図25(a)のように、上側風向板29を通常の冷房・送風運転時よりも下側にし、下側風向板29′を上側風向板29の風向面291dとほぼ平行にする。この時、遮風面291eは吹出し空気を前よりも深い角度κ(前ケーシング−遮風面角)で受ける。これにより、吹出し空気に誘引される空気と、吹出し空気が遮風面291eに衝突してできる隙間から漏れ出ようとする空気が拮抗して、隙間を流れる空気がほとんどゼロになる。この時、上側風向板29は直接吹出し空気に触れるが、送風・暖房運転時なので、吹出し空気の温度は室温と同じか室温より高く、上側風向板29が冷やされることはなく、結露の心配もない。
通常の暖房を行う場合は、図25(b)のように、上側風向板29を送風・弱暖房運転時よりも下側にし、下側風向板29′を上側風向板29の風向面291dとほぼ平行にする。この時、遮風面291eは吹出し空気を深い角度κ(前ケーシング−遮風面角)で受ける。これにより、吹出し空気が遮風面291eに衝突し、吹出し空気の一部が隙間から漏れ出る。この時、上側風向板29は直接吹出し空気に触れるが、通常暖房運転時なので、吹出し空気の温度は室温より高く、上側風向板29が冷やされることはなく、結露の心配もない。
この時の運転状態は通常暖房運転なので、吹出し空気の一部が漏れ出ても、暖房能力には余裕があり、暖房運転に支障をきたす恐れはない。なお、漏れ出た一部の吹出し空気は上昇し、吸込み口に吸込まれるが、回動軸29aと溝部24cの隙間を調節することで、その量を、暖房運転の妨げにならない僅かな量に抑えることもできる。
次に、実施例3の空気調和機の上側風向板について図26〜図29を用いて説明する。図26は実施例3の空気調和機の室内機の吹出し口の断面図である。図27は室内機の主に冷房運転時の上側風向板の回動部の拡大図である。図28は室内機の他の運転状態の時の上側風向板の回動部の拡大図、(a)は停止時、(b)は主に冷房・送風運転時、(c)は主に送風運転時である。図29は室内機の他の運転状態の時の上側風向板の回動部の拡大図、(a)は主に送風・弱暖房運転時、(b)は主に強暖房運転時である。
実施例3の空気調和機では冷房運転時に吹出し風路に進入してくる室内空気が多くなるようにする。このため、実施例3の空気調和機では実施例2の空気調和機の溝部24cの断面形状を半円形から径を大きくした半長円形にし、半長円形にしたことにより、回動軸29aと溝部24cの間で大きくなった隙間に、断熱性シート24pを貼ったものであり、他の部分は実施例2と同じである。
実施例2の空気調和機では冷房運転時に図7(b)と同様に吹出し空気の流れに吸寄せられて、上側風向板29の回動軸29aの軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cで形成された隙間を通して、小矢印のように、少量の室内空気が吹出し風路280に流れ込む。
また、暖房運転時には、この隙間から図10(a)と同様に、小矢印のように少量の吹出し空気が吹出し風路280から漏れ出す。従って、暖房運転時に、この隙間を流れる空気の量を少なくすることで、吹出し温風を効果的に下向きに送風することができることは前述した。また、冷房運転時に遮風面291eの上面に室内の湿度が高いときに結露を生ずることや、遮風面291eの上面に断熱材を貼付して結露を抑制することも前述した。
実施例3の空気調和機では暖房運転時に吹出し温風を効果的に下向きに送風することができ、且つ、室内の湿度が高いときの冷房運転でも遮風面291eの上面の結露を抑制する構造を提案する。図26のように、回動軸29aと溝部24cとの間の隙間を大きくすることで、冷房運転時、図27のように、この隙間から、上側風向板29の上面の室内空気が実施例2の場合より多く流れ込む。
このように、冷房運転時、広くなった軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間を通して、図27の小矢印のように、多くの室内空気が吹出し風路280に流れ込む。この流れ込んだ上側風向板29の上面の室内空気で上側風向板29の遮風面291e、風向面291dが覆われ、大きな矢印で示す冷たい吹出し空気に直接触れることが無くなり、上側風向板29の上面の温度が上がって、結露が少なくなる。
このため、直進してくる冷たい吹出し空気から回動軸29aを確実に退避するように、溝部24cの断面形状を半長円形にし、回動軸29aの位置を前ケーシング280aから遠ざけるようにする。この時、回動軸29aと前ケーシング280a側の溝部24cの間に、より広い隙間ができるが、この隙間に、次に説明するように、断熱性シート24pを貼る。
これは、冷たい吹出し空気に直接触れている前側ケーシング280aに近い部分の溝部24cは冷やされて低温になるため、軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間から流れ込んだ上側風向板29の上面の室内空気の水分が結露し、室内の湿度が高いときに、結露した水分が落下する恐れがあり、これを防ぐため、断面を半長円形にした溝部24cの前ケーシング280aに近い部分に断熱性シート24pを貼り、結露が抑制されるようにしているためである。
このように、図27や図28(b)のような冷房及び冷房・送風運転時の上側風向板29の回動位置では回動軸29a及び遮風面291eが前ケーシング280aの延長線の外側(図27、図28では上側)に位置するようにする。図27や図28(b)のように、遮風面291eと前ケーシング280aの延長線が交差しないか、浅い角度で交差する場合は、軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間から上側風向板29の上方の室内空気が吸込まれる。
これにより、前述のように、吹出し空気と遮風面291eの間を流れ、吹出し空気が直接、遮風面291eに触れるのを防ぐ作用をする。また、図29(a)のように、深い角度で交差する場合は、吹出し空気が軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間から、上側風向板29の上方に抜けてゆく。
これらの中間の角度で交差する場合は、図28(c)の小さい矢印のように、軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間を出ようとする吹出し空気と入ろうとする室内空気とが拮抗し、出入りがほとんど無い状態になる。また、図29(b)のように遮風面291eを前ケーシング280aに当接させた場合は、吹出し空気は軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間から漏れることなく、空気調和機の直下をめがけて吹出し、床面を効果的に暖める。
冷房、暖房の運転状態と上側風向板29の回動角度との関係は、冷房運転時には、冷たい吹出し空気は自然と室内の下部空間に滞留しがちになるので、吹出し空気の風向を上に向けるのが良い。しかし、風向を上に向け過ぎると吹出し口から吹出し空気が直ぐに吸込み口から吸込まれるショートサーキットの現象が起こり、室内を有効に冷房できなくなる。
これを防ぐため、強力な冷房が必要なときには、吹出し風路280の通風抵抗が最小になるよう、図7(b)のように、上側風向板29、下側風向板29′を回動させ、吹出し空気が前ケーシング280aと略平行に吹出るようにし、更に、送風ファン311の回転数を増して、強風で運転し、室内の遠方まで吹出し空気を送り、冷たい吹出し空気が空気調和機近くで滞留しないようにする。
このとき、強風で運転しているので、室内空気を空気吸込み口27、27′から吸込む力も強いが、風向を前ケーシング280aと略平行に斜め下向きにしているので、ショートサーキットが起きることは無い。逆の言い方をすれば、強風冷房運転のときにショートサーキットを起こさず、且つ、室内遠方まで吹出し空気が届くような斜め下向きの角度に合わせて前ケーシングの設置角度を設定しているとも言える。
また、穏やかな冷房を行うときには、冷凍サイクルの冷凍能力を下げるなどすると共に、風量を少なくして、静かな運転を行う。このとき、室内空気を空気吸込み口27、27′から吸込む力は弱く、風向をより上向きにしてもショートサーキットが起きにくく、且つ、風向を上向きにした方が、冷たい吹出し空気が自然対流で下降する範囲が分散し、室内の快適範囲を広げることができる。
一方、冷房運転のときに風向を下に向け過ぎると、冷たい吹出し空気が床面に達し、床を這って広がるようになり、暑さ寒さを感じやすい顔付近が適温になるまでに脚、腰を冷やし過ぎて、快適感が損なわれる。また、外出から帰宅したときなど、風向を下向きにし、顔付近に冷たい吹出し空気を集中的に浴びるようにしたいと言うニーズも有るが、このような時でも、数分間は快適感が得られるが、じきに、快適感は薄れるので、冷房運転時に長時間、風向を下向きに維持する必要性は希薄である。
このため、冷房運転時の上側風向板29の回動範囲は図7(b)の位置を中心として、これより上側の範囲、及び、下側は図11の冷房・送風運転時の位置までを考慮すれば十分である。このとき、上側風向板29は、概ね、遮風面291eと前ケーシング280aの延長線が交差しないか、浅い角度で交差する。
このため、吹出し空気は図27、図28(b)の大きな矢印のように流れ、軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間を通って、上側風向板29の上面の室内空気が小さい矢印のように吹出し空気と遮風面291eの間に流れ込むので、遮風面291eが冷たい吹出し空気に直接触れることが無く、上側風向板29に断熱性のシートを貼らなくても、上側風向板29の上面の温度が低くならず、上面の結露が少なくて済み、室内の湿度が高いときでも、結露した水滴で室内を汚す恐れが少ない。
図29(a)のように、遮風面と291eと前ケーシング280aの延長線が深い角度で交差する場合は、吹出し空気が軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間から、上側風向板29の上方に抜け、また、深くも浅くも無い中間の角度で交差する場合は、図28(c)の小さい矢印のように、軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間を出ようとする吹出し空気と入ろうとする室内空気とが拮抗し、出入りがほとんど無い状態になることは前述した。
上側風向板29が、このような、回動位置で運転されるのは、冷房運転以外のときで、暖房運転や空気清浄運転などのときであり、吹出し空気が直接遮風面291eに触れても、冷房運転のときのように結露が生じたりすることは無く、支障なく運転できる。吹出し空気をできるだけ下向きに送りたい暖房運転の立ち上がり時(室温が低く、急速に床近くの温度を上げたい時)には、図29(b)のように、遮風面291eを溝部24cと前ケーシング280aとの接続部に当てる。
これにより、吹出し空気が軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間に流れるのが阻止され、遮風面291eに遮られて、吹出し空気の全部が下方に向かい、床面を効果的に暖める。このように、遮風面291eと前ケーシング280aの傾斜を工夫することで、冷房、暖房など、どのような運転種別のときでも、上側風向板29に結露が生じないので、上側風向板29に断熱性シートを貼り付ける必要が無くなる。
上述のように、強力な暖房を行いたい場合には、遮風面291eを溝部24cと前ケーシング280aとの接続部に当てて運転するが、これ以外の穏やかな暖房の場合は、風量を少なくして静かな運転とするので、図29(a)のように、軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間から吹出し空気が漏れて小さなショートサーキットが起きる。
しかし、小さなショートサーキットが起きても、空気調和機の室内空気を吸込む力は弱く、暖房運転に支障がでるほどではない。また、床面近くを是が非でも暖めなければならない場合でもないので、この状態での暖房ニーズに対して十分適応した暖房運転になる。
このように、実施例の空気調和機は、前記溝部の、前記回動軸に垂直な断面が長円の一部をなす凹形状である。
これにより、直進してくる冷たい吹出し空気から回動軸を確実に退避するように、回動軸の位置を前ケーシングから遠ざけるようにし、この時、回動軸と前ケーシング側の溝部の間にできるより広い隙間に、断熱性シートを貼り、この部の結露を抑制する。この場合、回動軸と溝部との間の隙間を大きくすることで、冷房運転時、この隙間から、上側風向板の上面の室内空気がより多く流れ込む。
このように、冷房運転時、広くなった軸側間隙形成部、カバー側間隙形成部と溝部の間の隙間を通して、多くの室内空気が吹出し風路に流れ込む。この流れ込んだ上側風向板の上面の室内空気で上側風向板の遮風面、風向面が覆われ、大きな矢印で示す冷たい吹出し空気に直接触れることが無くなり、上側風向板の上面の温度が上がって、結露が少なくなる。
このため、直進してくる冷たい吹出し空気から回動軸を確実に退避するように、溝部の断面形状を半長円形にし、回動軸の位置を前ケーシングから遠ざけるようにする。この時、回動軸と前ケーシング側の溝部の間に、より広い隙間ができるが、この隙間に、次に説明するように、断熱性シートを貼る。
これは、冷たい吹出し空気に直接触れている前側ケーシングに近い部分の溝部は冷やされて低温になるため、軸側間隙形成部、カバー側間隙形成部と溝部の間の隙間から流れ込んだ上側風向板の上面の室内空気の水分が結露し、室内の湿度が高いときに、結露した水分が落下する恐れがあり、これを防ぐため、断面を半長円形にした溝部の前ケーシングに近い部分に断熱性シートを貼り、結露が抑制されるようにしているためである。
このため、前側ケーシングの最後流部の結露が抑制され、室内を汚す恐れが少ない空気調和機を提供することができる。
次に、実施例4の空気調和機の上側風向板について図30〜図33を用いて説明する。図30は実施例4の空気調和機の室内機の吹出し口の断面図である。図31は室内機の主に冷房運転時の上側風向板の回動部の拡大図である。図32は室内機の他の運転状態の時の上側風向板の回動部の拡大図、(a)は停止時、(b)は主に冷房・送風運転時、(c)は主に送風運転時である。図33は室内機の他の運転状態の時の上側風向板の回動部の拡大図、(a)は主に送風・弱暖房運転時、(b)は主に強暖房運転時である。
実施例4の空気調和機では冷房運転時に吹出し風路に進入してくる室内空気が多くなるようにするため、実施例2の空気調和機の溝部24cの断面形状を半円形から半長円形にし、上側風向板29の風向片291の遮風面291eに通気開口291hを設けたものであり、実施例3の空気調和機のように軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cの間の隙間を大きくする代わりに、通気開口291hを設けたものである。他の部分は実施例2と同じである。
実施例4の空気調和機では、図30のように、遮風面291eの回動軸29aとの付け根の部分に、通気開口291hを設けたので、冷房運転時、図31のように、この通気開口291hから、上側風向板29の上面の室内空気が流れ込む。これにより、実施例3と同様に、図30、図31の大きな矢印のように吹出し風路280を直進してくる吹出し空気の流れに上側風向板が直接触れることが無くなり、上側風向板29の上面の温度が上がって、結露が少なくなる。
このように、冷房運転時には、通気開口291hの位置は開口端が上側風向板29の回動位置にかかわらず、前ケーシング280aの延長線の外側(図30、図31では上側)に位置するようにする。図31や図32(b)のように、遮風面291eと前ケーシング280aの延長線が交差しないか、浅い角度で交差する場合は、通気開口291hから上側風向板29の上方の室内空気が吸込まれ、前述のように、吹出し空気と遮風面291eの間を流れ、吹出し空気が直接、遮風面291eに触れるのを防ぐ作用をする。
また、図33(a)のように、深い角度で交差する場合は、吹出し空気が通気開口291hから、上側風向板29の上方に抜けてゆく。これらの中間の角度で交差する場合は、図32(c)の小さい矢印のように、通気開口291hを出ようとする吹出し空気と入ろうとする室内空気とが拮抗し、出入りがほとんど無い状態になる。
冷房運転時の上側風向板29の回動範囲は前述したように、図7(b)の位置を中心として、これより上側の範囲、及び、下側は図11の冷房・送風運転時の位置までを考慮すれば十分である。このとき、上側風向板29は、概ね、遮風面291eと前ケーシング280aの延長線が交差しないか、浅い角度で交差するので、吹出し空気は図31、図32(b)の大きな矢印のように流れ、通気開口291hを通って、上側風向板29の上面の室内空気が小さい矢印のように吹出し空気と遮風面291eの間に流れ込む。
このことから、冷房運転時の上側風向板29の回動位置では、上側風向板29の上面の室内空気が小さい矢印のように吹出し空気と遮風面291eの間に流れ込み、遮風面291eが冷たい吹出し空気に直接触れることが無いので、上側風向板29に断熱性のシートを貼らなくても、上側風向板29の上面の温度が低くならず、上面の結露が少なくて済み、室内の湿度が高いときでも、結露した水滴で室内を汚す恐れが少ない。
また、実施例4でも、吹出し空気をできるだけ下向きに送りたい暖房運転の立ち上がり時(室温が低く、急速に床近くの温度を上げたい時)には、図33(b)のように、遮風面291eを溝部24cと前ケーシング280aとの接続部に当てて、吹出し空気が通気開口291hに流れるのを阻止する。これにより、遮風面291eに遮られて、吹出し空気の全部が下方に向かい、床面を効果的に暖める。
このように、通気開口291eの位置と前ケーシング280aの傾斜を工夫することで、冷房、暖房など、どのような運転種別のときでも、上側風向板29に断熱性シートを貼り付ける必要が無くなる。
上述のように、強力な暖房を行いたい場合には、遮風面291eを溝部24cと前ケーシング280aとの接続部に当てて運転するが、これ以外の穏やかな暖房の場合は、風量を少なくして静かな運転とするので、図33(a)のように、通気開口291hから吹出し空気が漏れても、空気調和機の室内空気を吸込む力は弱いので、ショートサーキットを起こすほどの気流は起きず、また、床面近くを是が非でも暖めなければならない場合でもないので、この状態での暖房ニーズに対して十分適応した暖房運転になる。
このように、実施例の空気調和機は、前記上側風向板の遮風面の、冷房運転時の上側風向板の回動位置で吹出し風路外となる場所に上側風向板を貫通する通気開口を設けた。
これにより、冷房運転時、この通気開口から、上側風向板の上面の室内空気が吹出し空気に流れ込む。これにより、吹出し風路を直進してくる吹出し空気の流れに上側風向板が直接触れることが無くなり、上側風向板の上面の温度が上がって、結露が少なくなる。この場合、回動軸と溝部との隙間からの空気の漏れ量は少なければ少ないだけ好都合で、前述したような漏れ量の調節は不要となる。
このように、通気開口の位置は開口端が上側風向板の回動位置にかかわらず、前ケーシングの延長線の外側に位置するように、遮風面と前ケーシングの延長線が交差しないか、浅い角度で交差する場合は、通気開口から上側風向板の上方の室内空気が吸込まれ、前述のように、吹出し空気と遮風面の間を流れ、吹出し空気が直接、遮風面に触れるのを防ぐ作用をする。
これにより、遮風面の温度低下が抑制され、遮風面上部に結露が発生する恐れが低減され、上側風向板に断熱性のシートを貼らなくても、上側風向板の上面の結露が少なくて済み、室内の湿度が高いときでも、結露した水滴で室内を汚す恐れが少なくなる。
このため、回動軸と溝部との隙間からの空気の漏れ量の調節が不要で、遮風面上面の断熱材も省略でき、省資源となる空気調和機を提供することができる。
次に、実施例5の空気調和機の上側風向板について図34〜図37を用いて説明する。図34は実施例5の空気調和機の室内機の吹出し口の断面図である。図35は室内機の主に冷房運転時の上側風向板の回動部の拡大図である。図36は室内機の他の運転状態の時の上側風向板の回動部の拡大図、(a)は停止時、(b)は主に冷房・送風運転時、(c)は主に送風運転時である。図37は室内機の他の運転状態の時の上側風向板の回動部の拡大図、(a)は主に送風・弱暖房運転時、(b)は主に強暖房運転時である。
実施例5の空気調和機は実施例4の空気調和機の上側風向板29の通気開口291hをカバーするように開口カバー291jを設けたものであり、他の部分は実施例4と同じである。実施例4の空気調和機では冷房運転時に図31、図32(b)のように吹出し空気の流れに吸寄せられて、上側風向板29の通気開口291hを通って、小矢印のように、室内空気が吹出し風路280に流れ込む。
実施例5の空気調和機でも、冷房運転時は図34、図35、図36(b)のように、実施例4と同様に、上側風向板29の通気開口291hを通って、小矢印のように、室内空気が吹出し風路280に流れ込み、冷たい吹出し空気と上側風向板29の間を流れて、上側風向板29が過度に冷やされず、結露が少なくなって、結露水で室内を汚すのを防いでいる。
暖房運転時に、上側風向板29の回動位置が図37(a)のような場合は、暖かい吹出し空気が通気開口291hを通って、上側風向板29の上面側(図37(a)では左側)に漏れてゆくが、通気開口291hに開口カバー291jが設けられているので、漏れ出た吹出し空気は下向きに変向されて、上側風向板29の上面に沿って下向きに流れ、上側風向板29の先端で風路側の吹出し空気本流と合流し、床面近くを効果的に暖める。
このとき、通気開口291hから漏れ出した吹出し空気の一部は自然対流により上昇し、空気調和機の空気吸込み口に達するが、その量は下向きに流れる量に比べて僅かであり、空気調和機の空調制御を撹乱するまでには至らず、暖房運転に支障をきたすほどではない。
このように、実施例の空気調和機は、前記上側風向板の通気開口の反吹出し風路側に、通気開口を覆うように開口カバーを設けた。
これにより、暖房運転時など、上側風向板を下向きにしたときに、通気開口が吹出し空気の流路内に入っても、通気開口を通って遮風面の反吹出し風路側に漏れ出た吹出し空気は開口カバーで下方に偏向され、上側風向板の反吹出し風路側に沿って下向きに流れ、上側風向板の先端で吹出し風路側の吹出し空気本流と合流し、床面近くを効果的に暖める。
このため、暖房時にショートサーキットを防ぎ、吹出し空気を効果的に下向きにする空気調和機を提供することができる。
次に、実施例6の空気調和機の上側風向板について図38〜図41を用いて説明する。図38は実施例6の空気調和機の室内機の吹出し口の断面図である。図39は室内機の主に冷房・送風運転時の上側風向板の回動部の拡大図である。図40は室内機の他の運転状態の時の上側風向板の回動部の拡大図、(a)は停止時、(b)は主に冷房運転時、(c)は主に送風運転時である。図41は室内機の他の運転状態の時の上側風向板の回動部の拡大図、(a)は主に送風・弱暖房運転時、(b)は主に強暖房運転時である。
実施例6の空気調和機では冷房運転時に吹出し風路に進入してくる室内空気を多くし、暖房運転時に漏れ出る吹出し空気を少なくする。このため、実施例6の空気調和機では実施例1の空気調和機の溝部24cの断面形状を半円形から径を大きくした半長円形にし、下パネル24の溝部24cに突起を設け、溝側間隙形成部24qとし、他の部分は実施例1と同じである。
このように、溝部24cに突起を設けたことにより、暖房運転時、上側風向板29を最も下に向けたときに、上側風向板29の軸側間隙形成部291bと該溝側間隙形成部24qとが当接し、この部から吹出し空気が漏れ出ることはなくなる。
実施例1の空気調和機では冷房運転時に図9(b)、図11(b)のように吹出し空気の流れに吸寄せられて、上側風向板29の軸側間隙形成部291b、カバー側間隙形成部292bと溝部24cとの隙間を通って、小矢印のように、室内空気が吹出し風路280に流れ込む。
実施例6の空気調和機でも、冷房運転時は図38、図39、図40(b)のように、実施例1の図11(a)、図11(b)、図9(b)と同様に、回動軸29aと溝部24cの間隙Gpを通って、小矢印のように、実施例1より多くの室内空気が吹出し風路280に流れ込み、冷たい吹出し空気と上側風向板29の間を流れて、上側風向板29が過度に冷やされず、結露が少なくなって、結露水で室内を汚すのを防ぐ。
穏やかな暖房を行う場合は、上側風向板29の回動位置を図41(a)にするので、暖かい吹出し空気が回動軸29aと溝部24cの間隙Gpを通って、上側風向板29の上面側(図41(a)では左側)に漏れて小さなショートサーキットが起きる。しかし、回動軸29aと溝部24cの間隙Gpを形成すべく溝側間隙形成部24qが設けられ、間隙Gpが小さくなっているので、漏れ出る吹出し空気の量は少なく、暖房運転に支障がでるほどではない。
この場合、大部分の吹出し空気は遮風面291eにさえぎられて下向きに方向を変え、床面近く暖める。穏やかな暖房を望み、床面近くを是が非でも暖めなければならない場合でもないので、この状態での暖房ニーズに対して十分適応した暖房運転になる。
強力な暖房を望む場合は、上側風向板29を図41(b)の位置にし、回動軸29aと溝部24cの間隙Gpをほとんどゼロにする。こうすることで、回動軸29aと溝部24cの隙間を通って吹出し風路280aから上側風向板29の左側に漏れ出る吹出し空気の量をほとんどゼロにすることができ、吹出し空気のほぼ全量を床面近くに送り、室内を強力に暖房することができる。
このように、上側風向板29を下に向けるほど回動軸29aと溝部24cの間隙Gpを小さくすることで、冷房運転時は多くの室内空気が吹出し風路280に流れ込んで、上側風向板29が直接冷たい吹出し空気に触れないように、上側風向板29と吹出し空気との間を効果的に隔離し、暖房運転時は上側風向板29を回動して、吹出し空気を下に向けるほど、吹出し空気の漏れが少なくなって、効果的に吹出し空気を床面近くまで送ることができる。
このように、実施例の空気調和機は、前記溝部の内面に突起部を設け、該突起部と回動軸の軸側間隙形成部とを当接可能に構成する。
これにより、冷房運転時は回動軸と溝部の間隙を通って、室内空気が吹出し風路に流れ込み、冷たい吹出し空気と上側風向板の間を流れて、上側風向板が過度に冷やされず、結露が少なくなって、結露水で室内を汚すのを防ぐ。
穏やかな暖房を行う場合は、上側風向板の回動位置を変え、暖かい吹出し空気が回動軸と溝部の間隙を通って、上側風向板の上面側(反吹出し風路側)に漏れて小さなショートサーキットが起きる。しかし、回動軸と溝部の間隙を形成すべく溝側間隙形成部が設けられ、間隙が小さくなっているので、漏れ出る吹出し空気の量は少なく、暖房運転に支障がでるほどではない。
この場合、大部分の吹出し空気は遮風面にさえぎられて下向きに方向を変え、床面近く暖める。穏やかな暖房を望み、床面近くを是が非でも暖めなければならない場合でもないので、この状態での暖房ニーズに対して十分適応した暖房運転になる。
強力な暖房を望む場合は、上側風向板を一番下向きの位置にし、回動軸と溝部の間隙をほとんどゼロにする。こうすることで、回動軸と溝部の隙間を通って吹出し風路から上側風向板の左側に漏れ出る吹出し空気の量をほとんどゼロにすることができ、吹出し空気のほぼ全量を床面近くに送り、室内を強力に暖房することができる。
このため、上側風向板の回動位置に応じて回動軸と溝部の隙間を適切に設定して、結露の抑制と、暖房効果を両立できる空気調和機を提供することができる。
以上説明したように、請求項1記載の空気調和機によれば、空気吹出し口に吹出し空気の風向を上下に偏向する複数の上下風向板を有する空気調和機において、前記複数の上下風向板のうちの上側風向板が、吹出し風路の上面との間に気流が流れないように上下方向に回動自在に備えられ且つ、水平方向付近への送風状態において吹出し風路の上面の延長面を形成する面と、この延長面を形成する面の気流の下流側の端部から上方向にくの字状に折れ曲がるように形成された面とから構成され、水平方向付近への送風状態において、上記くの字状に折れ曲がった部分までの面と下側風向板の気流の下流側の端部までの面との間に流路を形成し、下方向への送風状態において前記吹出し風路の上面の延長面を形成する面及びこの面の端部からくの字状に折れ曲がるように形成された面と、下側風向板の気流の下流側の端部までの面との間に流路を形成する構成にした。これにより、水平方向及び下方向への送風のいずれにおいても送風の気流の指向性または送風性能を充分確保して、空調能力を充分発揮できる空気調和機を提供することができる。
尚、上記延長面を形成する面の気流の下流側の端部から上方向にくの字状に折れ曲がるように形成された面が室内機の前面下部の前方を覆うように形成されることにより、室内機の外観を向上することができる。また、上記上側風向板のくの字状に折れ曲がった部分角度が114から156度の範囲であると、水平方向および下方向への送風性能上好ましい。
これにより、空気調和機の運転停止時に、上側風向板、下側風向板を最も上に向けてから停止させることで、空気吹出し口や上側風向板の回動軸から始まる遮風面を下側風向板で隠して、室内機の外観を凹凸の少ない滑らかな形状にすることができる。さらには、室内の居住空間の状態を検知する人センサーを備える場合は、上側風向板で隠すことができる。この場合、人センサーの方向にほぼ垂直となる上側風向板の風向面で人センサーを隠すことができ、無駄な空間を省くことができる。また、人センサーの方向を床面から30度から50度の範囲にし、前ケーシングの傾斜角を15度から25度の範囲、吹出し面(空気吹出し口開口端の仮想面)の傾斜を10度から25度の範囲にすることができ、適正な吹出し風路、吹出し面、人センサーの配置を実現できる。
なお、基準線からの風向面の最大高さの位置に該基準線が貼る角が114度未満では人センサーの方向が上を向き過ぎて空気調和機に近い位置にいる人の情報を十分に取得できない恐れが強くなり、室内の制御が適正に行われなくなるなどの障害が生じたり、運転停止で上側風向板を閉じて収納する時に、下側風向板との距離が開きすぎて、無駄なスペースとなり、空間の使用効率が低下する。
また、無駄なスペースを解消しようとすると、吹出し面の傾斜が小さくなり、冷房時に若干上向きの風向で室内の広範囲に冷風を届けることが困難になり、更には、通常冷房時の上側風向板の位置と運転停止時の上側風向板の収納位置とが近づき過ぎて、冷房運転時に涼しい吹出し空気を室内の遠方に送る風向調整ができなくなるなど、冷房時の若干上向きの風向制御が困難になる恐れが強くなる。
また、上側風向板の風向面と下側風向板をほぼ平行にして、吹出し空気を縮流、増速して室内の遠方まで送るときに、吹出し空気の流れが縮流から平行流に変化する部分で流れの方向が変ることから、この部の方向変化が大きく(貼る角が小さく)なると渦が生じやすくなり、騒音の発生や、風量の減少などが起こり、上質で効果的な空気調和を行うことが困難になる。
これらを解消するために、上側風向板、人センサー取付け部周りに余分な空間が必要となって空間の使用効率が低下して、容積の拡大を招き、資源の節約に反し、流通のコストなどのアップに繋がる。
他方、該貼る角が156度を超えると、逆に、人センサーの方向が下を向き過ぎて空気調和機から遠い位置にいる人の情報を十分に取得できない恐れが強くなり、前述と同様に、室内の制御が適正に行われなくなるなどの障害が生じたり、運転停止で上側風向板を閉じて収納する時に、下側風向板との距離が近すぎて、空気調和機の下側風向板から上側風向板に掛けての外観をスムーズに連続させることが困難になり、外観を損ねる。
また、外観をスムーズに連続させようとすると吹出し面の傾斜が大きくなり、暖房の運転開始時に風向を十分下向きにすることが困難になり、更に、空気調和機の運転時の上側風向板の位置からこれを収納する位置に収めるまでの角度が大きくなり、上側風向板と干渉しない領域を広く取る必要が出て、空間の利用効率が低下する。更にまた、上側風向板が平板に近づくため剛性が減少し、上側風向板を略水平に保持したときの変形が大きくなり、高級感が失われ、製品のイメージダウンを招き、外観の品質が低下する。
これらを解消するためには、該基準線が貼る角が小さすぎる場合と同様に、上側風向板、人センサー取付け部周りに余分な空間が必要となって空間の使用効率が低下して、容積の拡大を招き、資源の節約に反し、流通のコストなどのアップに繋がる。
このため、吹出し口周りを適正な構成にして、尚且つ、停止時には室内機の外観を凹凸の少ない滑らかな形状にし、人センサーを上側風向板で隠して室内の穏やかな雰囲気を乱さない空気調和機を得ることができる。
また、請求項2記載の空気調和機によれば、冷房運転時に上側風向板の回動軸と下パネルの溝部との隙間から室内空気が吹出し風路に流入するように、上側風向板の傾きを制御する。
これにより、上側風向板が冷たい吹出し空気に直接触れるのが防止され、上側風向板の温度が維持され、上側風向板の結露が抑制され、結露の室内への滴下なども抑制されて、室内を汚す恐れが少なくなる。
このため、結露が少なく、室内を汚す恐れが少ない空気調和機を得ることができる。
また、請求項3記載の空気調和機によれば、暖房運転時の上側風向板の回動範囲で、上側風向板の回動軸と下パネルの溝部の隙間が最小となる上側風向板の回動位置における暖房時最小間隙が、冷房運転時の上側風向板の回動範囲で、上側風向板の回動軸と下パネルの溝部の隙間が最小となる上側風向板の回動位置における冷房時最小間隙より小さい。
これにより、暖房運転時に、吹出し空気が上側風向板の回動軸と下パネルの溝部の隙間を通って室内に漏れ出る量が減少し、ショートサーキットを抑制し、且つ、漏れ出る吹出し空気の量が少なくなるので、下向きの吹出し空気を効率よく床面近くまで届けることができるようになる。
このため、暖房時のショートサーキットが抑制され、吹出し空気を床面近くまで届けることができる空気調和機を得ることができる。
また、請求項4記載の空気調和機によれば、冷房の最大能力運転時の前記上側風向板の回動位置から、停止時の上側風向板を閉じた状態までの該上側風向板の回動角度が18から51度である。
これにより、請求項1の空気調和機と同様に、空気調和機の運転停止時に、上側風向板、下側風向板を最も上に向けてから停止させることで、空気吹出し口や上側風向板の回動軸から始まる遮風面を下側風向板で隠して、室内機の外観を凹凸の少ない滑らかな形状にすることができると共に、室内の居住空間の状態を検知すべく、空気調和機に搭載された人センサーを上側風向板で隠すことで、見られていることへの抵抗感を払拭して室内の穏やかな雰囲気を乱すことが無い。
この場合も、請求項2の空気調和機と同様に、適正な吹出し風路、吹出し面、人センサーの配置を実現できる。
なお、該回動角が51度を超えると、空気調和機の運転時の上側風向板の位置からこれを収納する位置に収めるまでの角度が大きくなり、上側風向板と干渉しない領域を広く取る必要が出て、空間の利用効率が低下し、また、運転停止で上側風向板を閉じて収納する時に、下側風向板との距離が近すぎて、空気調和機の下側風向板から上側風向板に掛けての外観をスムーズに連続させることが困難になり、外観を損ねる。更に、外観をスムーズに連続させようとすると吹出し面の傾斜が大きくなり、暖房の運転開始時に風向を十分下向きにすることが困難になる。
また、冷房の最大能力運転時には圧縮機を冷房の最高回転数で運転すると共に、送風量を最大にすべく、風向板の抵抗が最も少ない状態にする。この状態は、吹出し風路から出た吹出し空気をそのままの方向に何の制約も加えずに吹出させることで実現できる。このため、上側風向板の遮風面が前側ケーシングの傾斜角の延長上に位置するように上側風向板の回動軸の位置と回動角度を選定する。
他方、室内の情報を得るための人センサーなどのセンサー類を搭載するセンサー面の空気調和機の横方向から見た床面に対する傾斜角度(センサー面角)はセンサーの方向(センサーの感度が最大となる方向)を空気調和機の横方向から見た床面との角度の補角となり、前述のように40度から60度(センサーの方向を空気調和機の横方向から見た角度としては30度から50度)となる。
運転停止時には、このセンサー面を上側風向板の風向面で覆うことで、室内を落ち着いた雰囲気にすることができる。この状態から冷房の最大能力運転時の状態までの上側風向板の回動角度を過大に設定すると、遮風面の傾斜角が大きくなって、必然的に前ケーシングの傾斜角を大きくすることになり、吹出し空気の方向がより下向きになって、冷房時の若干上向きで室内を広範囲で冷房する利用法が困難になる。
また、遮風面が軸角基線から過度に乖離した場合も、回動角が大きくなるが、この場合、回動軸と前ケーシングの間を大きくとらなければならなくなり、無駄な空間が増える。更には、前ケーシングの傾斜角とセンサー面角を維持して該回動角を過度に大きくすると、前述した上側風向板の最高点の位置に基準線が貼る角大きくなり、上側風向板が平板に近づくため剛性が減少し、上側風向板を略水平に保持したときの変形が大きくなり、高級感が失われ、製品のイメージダウンを招き、外観の品質が低下する。
他方、該回動角が18度未満では、通常冷房時の上側風向板の位置と運転停止時の上側風向板の収納位置とが近づき過ぎて、冷房運転時に涼しい吹出し空気を室内の遠方に送る風向調整ができなくなるなど、冷房時の若干上向きの風向制御が困難になる恐れが強くなる。
また、運転停止で上側風向板を閉じて収納する時に、下側風向板との距離が開きすぎて、無駄なスペースとなり、空間の使用効率が低下し、無駄なスペースを解消しようとすると、吹出し面の傾斜が小さくなり、冷房時に若干上向きの風向で室内の広範囲に冷風を届けることが困難になる。
また、運転停止時の、センサー面を上側風向板の風向面で覆った状態から冷房の最大能力運転時の状態までの上側風向板の回動角度を過小に設定すると、遮風面の傾斜角が小さくなって、必然的に前ケーシングの傾斜角を小さくすることになり、吹出し空気の方向がより上向きになって、暖房時に吹出し空気を下向きにして床面まで届けるのが困難になる。
また、遮風面が軸角基線に接近し過ぎる場合も、回動角が小さくなるが、この場合、回動軸の寸法を小さくしなければならなくなり、回動軸を十分な強度にすることが困難になって、上側風向板の動作が円滑に行われなくなったり、最悪の場合、破損に至ることも考えられ、空気調和機の信頼性が大幅に低下する。
また、上側風向板の風向面と下側風向板をほぼ平行にして、吹出し空気を縮流、増速して室内の遠方まで送るときに、吹出し空気の流れが縮流から平行流に変化する部分で流れの方向が変ることから、この部の方向変化が大きく(貼る角が小さく)なると渦が生じやすくなり、騒音の発生や、風量の減少などが起こり、上質で効果的な空気調和を行うことが困難になる。
このため、吹出し口周りを適正な構成にして、尚且つ、停止時には室内機の外観を凹凸の少ない滑らかな形状にし、人センサーを上側風向板で隠して室内の穏やかな雰囲気を乱さない空気調和機を得ることができる。
また、請求項5記載の空気調和機によれば、前記遮風面の長さとなる前記回動軸中心と前記最高点を結ぶ線の長さが、該回動軸に垂直な面内の吹出し風路の高さの40から60%である。
これにより、暖房運転時に上側風向板を最大限下向きに回動し、前ケーシングの傾斜方向に吹出されてくる吹出し空気の半分近くを遮風面で遮り、下方に転回させ、遮風面に続く風向面と下側風向板とで吹出し空気を縮流し、増速して下向きに送り出すことができる。
この場合、該遮風面の長さが該吹出し風路の高さの40%未満では吹出し空気の下方への転回が不十分となり、また、遮風面に続く風向面と下側風向板とによる縮流や増速も不十分となって、暖房運転開始時の効果的な暖房が困難になる。
他方、遮風面の長さが該吹出し風路の高さの60%を超えると、吹出し空気の下方への転回は支障なく行われるが、続いて行われる風向面と下側風向板とによる縮流が過度になり、吹出し空気の量が減少し、吹出し空気が床面まで届かなくなる恐れが増してくる。
このため、暖房運転開始時に吹出し空気が床面まで届いて、優れた暖房効果を発揮する空気調和機を得ることができる。
また、請求項6記載の空気調和機によれば、前記上側風向板の通気開口の反吹出し風路側に、通気開口を覆うように開口カバーを設けた。
これにより、暖房運転時など、上側風向板を下向きにしたときに、通気開口が吹出し空気の流路内に入っても、通気開口を通って遮風面の反吹出し風路側に漏れ出た吹出し空気は開口カバーで下方に偏向され、上側風向板の反吹出し風路側に沿って下向きに流れ、上側風向板の先端で吹出し風路側の吹出し空気本流と合流し、床面近くを効果的に暖める。
このため、暖房時にショートサーキットを防ぎ、吹出し空気を効果的に下向きにする空気調和機を得ることができる。
また、請求項7記載の空気調和機によれば、前記間隙形成部を一箇所に設ける。
これにより、該間隙形成部での隙間を調節することで、冷房時、暖房時の漏れ空気の量を適切な量に管理する。具体的には、上側風向板が冷房運転の位置であるときは適切な量の漏れ空気が吹出し風路側に漏れるようにし、吹出し空気をできるだけ下向きに送りたい暖房運転の立ち上がり時(室温が低く、急速に床近くの温度を上げたい時)には、遮風面を溝部と前ケーシングとの接続部に当てる。
これにより、吹出し空気が軸側間隙形成部、カバー側間隙形成部と溝部の間の隙間に流れるのを阻止され、遮風面に遮られて、吹出し空気の全部が下方に向かい、床面を効果的に暖める。
このため、冷房時、暖房立ち上がり時ともに、漏れ量を適切にでき、結露を抑制し、暖房立ち上がり時に床面を効果的に暖房する空気調和機を得ることができる。
また、請求項8記載の空気調和機によれば、前記溝部の、前記回動軸に垂直な断面が長円の一部をなす凹形状である。
これにより、直進してくる冷たい吹出し空気から回動軸を確実に退避するように、回動軸の位置を前ケーシングから遠ざけるようにし、この時、回動軸と前ケーシング側の溝部の間にできるより広い隙間に、断熱性シートを貼り、この部の結露を抑制する。この場合、回動軸と溝部との間の隙間を大きくすることで、冷房運転時、この隙間から、上側風向板の上面の室内空気がより多く流れ込む。
このように、冷房運転時、広くなった軸側間隙形成部、カバー側間隙形成部と溝部の間の隙間を通して、多くの室内空気が吹出し風路に流れ込む。この流れ込んだ上側風向板の上面の室内空気で上側風向板の遮風面、風向面が覆われ、大きな矢印で示す冷たい吹出し空気に直接触れることが無くなり、上側風向板の上面の温度が上がって、結露が少なくなる。
このため、直進してくる冷たい吹出し空気から回動軸を確実に退避するように、溝部の断面形状を半長円形にし、回動軸の位置を前ケーシングから遠ざけるようにする。この時、回動軸と前ケーシング側の溝部の間に、より広い隙間ができるが、この隙間に、次に説明するように、断熱性シートを貼る。
これは、冷たい吹出し空気に直接触れている前側ケーシングに近い部分の溝部は冷やされて低温になるため、軸側間隙形成部、カバー側間隙形成部と溝部の間の隙間から流れ込んだ上側風向板の上面の室内空気の水分が結露し、室内の湿度が高いときに、結露した水分が落下する恐れがあり、これを防ぐため、断面を半長円形にした溝部の前ケーシングに近い部分に断熱性シートを貼り、結露が抑制されるようにしているためである。
このため、前側ケーシングの最後流部の結露が抑制され、室内を汚す恐れが少ない空気調和機を得ることができる。
また、請求項9記載の空気調和機によれば、前記溝部の内面に突起部を設け、該突起部と回動軸の軸側間隙形成部とを当接可能に構成する。
これにより、冷房運転時は回動軸と溝部の間隙を通って、室内空気が吹出し風路に流れ込み、冷たい吹出し空気と上側風向板の間を流れて、上側風向板が過度に冷やされず、結露が少なくなって、結露水で室内を汚すのを防ぐ。
穏やかな暖房を行う場合は、上側風向板の回動位置を変え、暖かい吹出し空気が回動軸と溝部の間隙を通って、上側風向板の上面側(反吹出し風路側)に漏れて小さなショートサーキットが起きる。しかし、回動軸と溝部の間隙を形成すべく溝側間隙形成部が設けられ、間隙が小さくなっているので、漏れ出る吹出し空気の量は少なく、暖房運転に支障がでるほどではない。
この場合、大部分の吹出し空気は遮風面にさえぎられて下向きに方向を変え、床面近く暖める。穏やかな暖房を望み、床面近くを是が非でも暖めなければならない場合でもないので、この状態での暖房ニーズに対して十分適応した暖房運転になる。
強力な暖房を望む場合は、上側風向板を一番下向きの位置にし、回動軸と溝部の間隙をほとんどゼロにする。こうすることで、回動軸と溝部の隙間を通って吹出し風路から上側風向板の左側に漏れ出る吹出し空気の量をほとんどゼロにすることができ、吹出し空気のほぼ全量を床面近くに送り、室内を強力に暖房することができる。
このため、上側風向板の回動位置に応じて回動軸と溝部の隙間を適切に設定して、結露の抑制と、暖房効果を両立できる空気調和機を得ることができる。