JP5748510B2 - 立坑における作業用足場構造 - Google Patents
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Description
図2(ロ)は、この種の集水井1の設置状況を説明するもので、地すべりが起こりやすい斜面に、例えば直径が3.5m等で地盤状況に応じた深さの集水井1が設置され、この集水井1に、集水のための複数本の集水管3が接続され、かつ、川等に流すための1本の排水管4が接続される。すべり面を破線5で示す。
この種の集水井1において、集水管3が例えば目詰まりなどなく正常に集水機能を果たしているか等の点検作業をする場合、昇降タラップ6から点検することができない場合は、集水管3の位置に合わせて水平な作業用足場を設ける等の対処が必要となる。この場合、複数の短尺足場を円周方向に連接して作業用足場を構成する。
このライナープレート用足場は、同じサイズの複数の足場板を内壁に円周方向に連接して内向き鍔状をなす構造(特許文献1の図7、図8)である。
この特許文献1では、その図1〜図4に示すように、足場板1に固定したアーム2に、上下のライナープレートのフランジ部を接合しているボルトの頭又はナットが入る取付孔9を持つ載置部4を有する取付部材3を回転可能に取り付け、互いにボルト接合された上下のライナープレートのフランジ部を前記取付部材3の載置部4と足場板側のアーム2とで挟持することで、足場板をライナープレートのフランジ部に取り付ける構造であり、足場板の取り付け、取り外しを簡単にできるようにしたというものである。
なお、このライナープレート用足場は、実施例としては深礎工法において適用されており、ライナープレートからなる立坑内で、底から始めて順次高い位置で配筋をする際の配筋作業用の作業用足場として用いられており、取り付け・取り外しが繰り返される。
特許文献2では、本体プレート20に円弧状に設けられたボルト取付孔24、25を、ボルト12が可動できる範囲で自由に位置変更して固定できるため、ライナープレート2の横フランジ2a、3aと梁部材12の位置関係に多少のずれが生じても、梁部材11をライナープレート2の内面に固定できる構造としている。
図1(ロ)の集水井のように垂直補強部材8を設けた場合、図1(ロ)のように円周方向に90°間隔で配置されることが多く(荷重負担を考えて等間隔にする)、その場合、垂直補強部材8の設置数は4本となる。
その場合、円周方向の垂直補強部材8間に存在するボルト孔の数Nは70÷4=17.5となり、端数になる。なお、集水井の直径が3.5mではない場合でも、一般に切りのよい直径とすることを求められるので、全周のボルト孔の数を4で割った値Nが整数にならずに前記のように0.5の付く端数になることが多々ある。例えば、直径3.3mの場合はN=16.5、直径3.7mの場合はN=18.5となり、端数となる。
このため、垂直補強部材8を設けた立坑において、昇降タラップを構成する短尺タラップを上下のライナープレートのフランジ接合部(円周フランジ同士の接合部)に接合用のボルトを利用して取り付ける場合、短尺タラップの支柱の円周方向の位置と接合用のボルトの位置(すなわち、円周フランジの孔の位置)とが互いにずれる等、両者の位置関係が一定しない。
そこで、昇降タラップの短尺タラップの支柱を、円周フランジを利用してボルト接合する際には、取付部材として取付用長孔を備えて、回動により位置調整できる可動式金具を用いる。この可動式金を用いて取り付ける構造により、支柱からずれた位置の接合用のボルトに対応できるようにしている。
また、施工後は内部にコンクリートが充填されて立坑ではなくなる深礎工法に適用した実施例で説明しているように、螺旋状の昇降タラップを備えた立坑の作業用足場には向いていない。すなわち、集水井の点検作業等のための半ば恒久的な作業用足場の場合、着脱を繰り返すことはないので、引用文献1のような着脱の容易に特殊な構造は無用なコスト高になる。また、昇降タラップとは全く別構造の作業用足場を設けることになるので、全体として繁雑なものとなり、コスト高になる。
引用文献2におけるライナープレートによる立坑も、垂直補強部材を有さない構造であり、垂直補強部材が配置されている場合に干渉を回避する構造は開示されていない。
そして、引用文献2の作業用足場のような概ね立抗横断面全体を占める広さの作業用足場は、集水井の点検作業等のため下へと降りていくことができず、点検作業を兼ねた恒久的な作業足場としては当然使用できない。
しかし、作業用足場の場合、平場構造となり、面積当たりの上載人数が増加するので、負荷重量をさらに大きく設定する必要がある。また、短尺タラップのように上下に取付部の間隔を大(ライナープレートが上下に2つ又は3つ分)とすることは、作業用足場が水平方向に延びる構造にもかかわらず、設置のためだけに鋼材を上下に多く必要となり不経済であるため、作業用足場を構成する個々の短尺足場についての取付部の上下間隔を小としたい。これらの理由から、立坑内壁への取付構造として、短尺タラップよりも堅固な取付構造としたい。
また、短尺タラップの取付構造のように、回動により位置調整のできる可動式金具を用いた取付構造では、短尺タラップの取付構造より堅固な構造にすると、多数ある部品の全てが大型化し、構造が複雑になり、部品点数が多くなり取付作業も煩雑になるので、施工コストも高くなる。
したがって、垂直補強部材とライナープレートの円周フランジのボルト孔(円周フランジ孔)との位置関係が互いにずれていても、個々の短尺足場の上下の取付部について可動部なしのボルト接合が可能で、簡単かつ堅固な取付構造が望まれる。
前記複数のライナープレートは、円周方向には垂直フランジにて互いにボルト接合され上下方向には均一ピッチpの円周フランジ孔を持つ円周フランジにて互いにボルト接合されて円筒体を形成するものであり、
前記複数のライナープレートがなす円筒の直径である立坑径Dは、ライナープレートの360°全周の円周フランジ孔数を4で割った値Nに0.5の端数が出るような直径であり、
前記円筒体を形成したライナープレートにおける、前記円周方向に90°間隔の各垂直補強部材のウエブ位置Qにそれぞれ最も近い円周フランジ孔2d0は、前記垂直補強部材のウエブ位置Qに対してずれているとともに、そのずれの種類は垂直補強部材のウエブ位置Qに対して上から見て円周方向の右側と左側との2種類でそのずれ量sは同じであり、
前記作業用足場は、前記垂直補強部材の位置に当該垂直補強部材と干渉しない態様で配置される干渉回避短尺足場と、この干渉回避短尺足場に連接される連接短尺足場とが、ライナープレートの円周フランジの円周フランジ孔に挿入される接合ボルトにて立坑内壁に取り付けられ、
前記干渉回避短尺足場は、前記垂直補強部材とライナープレートの円周フランジ孔との前記2種類のずれの位置関係がいずれもの場合でも、垂直補強部材のウエブ位置を挟む2つの円周フランジ孔より円周方向外側の円周フランジ孔におけるボルト接合により立坑内壁に取り付けられていることを特徴とする。
前記複数のライナープレートは、円周方向には垂直フランジにて互いにボルト接合され上下方向には均一ピッチpの円周フランジ孔を持つ円周フランジにて互いにボルト接合されて円筒体を形成するものであり、
前記補強リングは、等長のH形鋼を四分の一円弧状に湾曲させた4つの補強リング片を連結してなり、ライナープレートの円周フランジ孔のピッチpと同じピッチpの円周フランジ孔を有するとともに、その一端側の円周フランジ孔は前記一端から円周フランジ孔ピッチpの0.5ピッチ(0.5p)だけ離れた位置にあり、他端に、隣接する補強リングの他端を突き合わせた時に円周フランジ孔を形成する半円状切欠きを有し、
前記垂直補強部材は、H形鋼からなり、そのウエブ位置が前記4つの補強リング片のそれぞれ円周方向の中央に位置する態様で、そのフランジにて補強リングのフランジにボルト接合されており、
前記複数のライナープレートがなす円筒の直径である立坑径Dは、ライナープレート及び補強リングの360°全周の円周フランジ孔数を4で割った値Nに0.5の端数が出るような直径であり、
前記円筒体を形成したライナープレートにおける、前記円周方向に90°間隔の各垂直補強部材のウエブ位置Qにそれぞれ最も近い円周フランジ孔2d0は、前記垂直補強部材のウエブ位置Qに対してずれているとともに、そのずれの種類は垂直補強部材のウエブ位置Qに対して上から見て円周方向の右側と左側との2種類でそのずれ量sは同じであり、
前記作業用足場は、前記垂直補強部材の位置に当該垂直補強部材と干渉しない態様で配置される干渉回避短尺足場と、この干渉回避短尺足場に連接される連接短尺足場とが、ライナープレートの円周フランジの円周フランジ孔に挿入される接合ボルトにて立坑内壁に取り付けられ、
前記干渉回避短尺足場は、前記垂直補強部材とライナープレートの円周フランジ孔との前記2種類のずれの位置関係がいずれもの場合でも、垂直補強部材のウエブ位置を挟む2つの円周フランジ孔より円周方向外側の円周フランジ孔におけるボルト接合にて立坑内壁に取り付けられていることを特徴とする。
前記干渉回避短尺足場は、上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ平面視略台形状をなし、立坑内壁側の辺の長さによってその干渉回避短尺足場が占める円周フランジ孔の数が4つ以上であることを特徴とする。
前記ブラケットは、基端側が立坑内壁に取付けられ先端側が立坑中心方向に延びる水平材と、上端側が前記水平材の先端側に固定され基端側が水平材の基端側の下方で立坑内壁に取付けられる斜め材とからなり、
前記水平材又は斜め材は、それぞれの基端側に固定した、ライナープレートの円周フランジ孔に合せた1つのボルト孔を有して円周フランジに重ね合わされる接合部材によりライナープレートの円周フランジにボルト接合されていることを特徴とする。
しかし、本発明によれば、様々な直径の立坑に対し個別に対応する設計とすることなく、ごく少数の汎用サイズを組み合わせて、ずれ調整のための可動部のない堅固な位置固定構造により、干渉回避短尺足場及び連接短尺足場を上下のライナープレートのフランジ接合部に直接取り付けることができる。
短尺足場を可動部のない位置固定構造により、接合ボルトで上下のライナープレートのフランジ接合部に取り付けることができるので、可動部を有する取付構造と比べて、堅固な取付構造となる。堅固な取付構造となるので、短尺足場の立坑内壁への取付構造として、上下の取付部がライナープレート1つ分の間隔であるブラケットで取り付ける取付構造を採用することが可能となる。したがって、上下の取付部の間隔が小さく済む。これにより、上下の取付部の間隔がライナープレート2つ又は3つ分の取付構造と比べて、鋼材の使用量も少なく済み経済的であり、立坑を構築するコストを低減することができる。
また、回動により位置調整のできる可動式金具を堅固にして用いた取付構造と比べて、多数ある部品を大型化することなく、構造も簡単に済み、さらに部品点数も少なく済み、取付作業も単純になるので、施工コストも安くなる。
このように隣り合う垂直補強部材の間の円周フランジ孔配列が不均等であるにも関わらず、本発明によれば、垂直補強部材を回避可能な干渉回避短尺足場を、ずれ調整のための可動部のない位置固定構造により、接合ボルトで上下のライナープレートのフランジ接合部に取り付けることができる。
また、後述するように、干渉回避短尺足場のサイズ(側辺挟み角)を定めれば、垂直補強部材の位置に干渉回避短尺足場を取り付けた時、垂直補強部材間の連接短尺足場配置スペースは2種類に限られるので、連接短尺足場のサイズ(側辺挟み角)及びその種類として、この2種類の連接短尺足場配置スペースに合せられるサイズ及びその種類を設定すれば済むので、様々な直径の立坑に対し個別に対応して設計する短尺足場とすることなく、少ない種類の汎用サイズを組み合わせにより、種々の立坑に対応させることが容易である。
集水井1は、前述した通り、地すべりが起こりやすい場所で地下水を集めて川等に流すために設ける土木構造物であり、図2(イ)に示すような円弧状のライナープレート2を円周方向及び鉛直方向に連結して構築される。この集水井1に、図2(ロ)にも示すように、集水のための複数本の集水管3が接続され、かつ、川等に流すための1本の排水管4が接続される。すべり面5を破線で示す。
複数のライナープレート2を、垂直フランジ2c同士をボルト接合して円筒体を形成するとともに、上下に隣接するライナープレート2の円周フランジ2b同士をボルト接合して、円筒状の立坑(集水井)1を構築する。その施工は一般に、立坑の頂部(最初の1〜3リング分)を組み立てその周囲を裏込めしかつ固定した後、掘削、組立てを繰り返してライナープレートを下に継ぎ足していき、所望の深さの立坑1を構築する。
また、通常、高さ方向の適宜の間隔で、上下に隣接するライナープレート2間に、ライナープレート2と同様に円弧状をなすH形鋼による補強リング7を介在させ、かつ、ライナープレート2に対する鉛直方向の補強材としてH形鋼の垂直補強部材8を円周方向に90°間隔をあけた4箇所に設ける。
立坑(集水井)には、立坑内壁に立坑上端縁から底近傍まで達する螺旋状の昇降タラップ6が設けられるが、本発明では昇降タラップ6の中間に水平な作業用足場41を構築する。
複数のライナープレート2は、円周方向には垂直フランジ2cにて左右に隣り合うライナープレート2が互いにボルト接合されて円周方向に連結され、均一ピッチpの円周フランジ孔(接合ボルト孔)2dを持つ円周フランジ2bにて上下に隣り合うライナープレート2が互いにボルト接合されて円筒体を形成する。
補強リング7は、図6に示すように、等長のH形鋼を四分の一円弧状に湾曲させた4つの補強リング片7’を連結してなる。隣接する補強リング片7’どうしは、図示は省略したが、内面及び外面においてそれぞれ両補強リング片7’に跨る継ぎ手プレートを添えボルトで固定して連結される。
各補強リング片7’は、そのウエブ7bにライナープレート2の円周フランジ孔2dのピッチpと同じピッチpの円周フランジ孔7dを有している。補強リング片7’の一端側の円周フランジ孔7d(7d’)は前記一端から円周フランジ孔ピッチp=157mmの0.5ピッチ(すなわち、0.5p=78.5mm)だけ離れた位置にあり、他端に、図6中にA部として拡大して示すように隣接する補強リング片7’の他端を突き合わせた時に円周フランジ孔7d(7d”)を形成する半円状切欠き7e(図8にも示す)を有している。
補強リング7のH形鋼のサイズはH125×125×6.5×9mm、垂直補強部材8のH形鋼のサイズはH175×175×7.5×11mmである。補強リング7にあけた垂直補強部材固定用のボルト孔のピッチは215mmである。
複数のライナープレート2がなす円筒体の直径である立坑径Dは3500mmである。ライナープレート2及び補強リング7の円周フランジ孔2d、7dのピッチpは同じく157mmなので、円筒体をなすライナープレート2及び補強リング7の360°全周の円周フランジ孔2d、7dの数は70(3500×3.14÷157=70)である。全周の円周フランジ孔数70を垂直補強部材8の設置数4で割った値N=17.5(70÷4=17.5)であり、0.5の端数が出る。
ボルト接合できるようにそれぞれの円周フランジ孔7d、2dが一致している補強リング7及びライナープレート2における、前記4箇所の垂直補強部材8のウエブ位置Qにそれぞれ最も近い円周フランジ孔7d0、2d0は、図7にも詳細を示すように、垂直補強部材8のウエブ位置Qに対してずれている。そのずれの種類は垂直補強部材8のウエブ位置Qに対して上から見て円周方向の右側と左側との2種類でそのずれ量sは同じである(s=39.25mm)。
ずれの種類が2種類とは、立坑の中心位置から立坑内壁を見たときに、垂直補強部材8のウエブ位置Qにそれぞれ最も近い円周フランジ孔7d0、2d0は、図6(又は図5)において上と下の垂直補強部材8の位置(B1位置、B2位置)では右側にずれ、左と右の垂直補強部材8の位置(A1位置、A2位置)では左側にずれていることを指す。
各短尺足場を配置する場合、ずれた4つの円周フランジ孔7d0のうち図5で右側の円周フランジ孔7d0(7d00)を基準孔とし、この基準孔7d00を基準として、各短尺足場を配列する。
図9に前記干渉回避短尺足場20を示す。図10に連接短尺足場21、図11に連接短尺足場22を示す。なお、連接短尺足場の種類はこれに限らず、例えば、図12に示す幅の狭い連接短尺足場23を用いるなど、3種あるいはそれ以上とすることもできる。
図9〜図12の各図において、それぞれ(イ)は平面図、(ロ)は(イ)の背面図、(ハ)は(イ)の右側から斜めに見た図である。
各短尺足場20、21、22、23はいずれも、上から見ていずれも立坑中心に向かう図示例では等長の2側辺を持つ等脚台形状をなす等脚台形枠20a、21a、22a、23aの上面に例えばエキスパンドメタル等の足場板20b、21b、22b、23bを溶接固定した構造である。なお、エキスパンドに代えて、縞鋼板、平鋼板その他の部材を用いることができる。また、いずれも立坑中心側に転落防止用の手摺26を取り付けている。実施例の台形枠20a、21a、22a、23aは山形鋼を溶接接合したものである。
干渉回避短尺足場20の側辺挟み角(αで示す)は20°34'17"、連接短尺足場21の側辺挟み角は20°34'17"、連接短尺足場22の側辺挟み角は15°25'43"、連接短尺足場23の側辺挟み角は10°17'8"である。
各短尺足場20、21、22、23の左右の側辺の側面に、隣接する短尺足場どうしをボルトで連結するためのボルト孔24を有する。
短尺足場21、22、23には、その台形の上底側及び下底側にそれぞれ当該短尺足場21、22、23を後述のブラケット61にボルトで固定するためのボルト孔25を有する。
干渉回避短尺足場20には、その上底側及び下底側にそれぞれ、当該干渉回避短尺足場20を2本のブラケット61にボルトで固定するためのボルト孔25を有する。
干渉回避短尺足場20は、垂直補強部材8との干渉を回避する形状とされている。図示例では、台形枠20aの下底側(立坑内壁側)に、垂直補強部材8との干渉を回避することができるコ字形の切欠き20cを形成している。この切欠き20cの部分は、コ字形に折曲したフラットバーを溶接固定してなる。
なお、干渉回避短尺足場20におけるボルト孔25の位置(したがって、ブラケット61の位置)は、図5、図8、図17にも示すように、上面から見て左右対称であり、短尺足場22におけるボルト孔25の位置(したがって、ブラケット61の位置)は上面から見て左右方向の中心位置である(左右対称)。但し、短尺足場21におけるボルト孔25の位置(したがって、ブラケット61の位置)は、図5、図8、図17にも示すように、上面から見て左右方向の中心位置から外れている(左右非対称)。左右対称であることが施工上その他で好ましいが、強度的には隣接する短尺足場どうしをボルト接合するので問題はない。なお、左右非対称の短尺足場21の使用数は、左右対称の短尺足場20、22の数より少ない。
この場合、ライナープレート2の円周フランジ2bの円周フランジ孔2dに挿入される接合ボルト(すなわち上下のライナープレート2の円周フランジ2bどうしを接合する接合ボルト)28による、ずれ調整のための可動部のない位置固定構造により立坑内壁に取り付けられている。
前記斜め材63の基端側には鋼板をL形に折曲した取付部材64が溶接固定され、このL形取付部材64のボルト孔64bをあけた水平部64aを、上下のライナープレート2の重ねあわせた円周フランジ2bの上に重ね、円周フランジ2b同士を接合する接合ボルト28で円周フランジ2bに固定(すなわち立坑内壁に固定)されている。
前記水平材62の基端側には、L形に折曲した取付片65を持つ取付部材66が溶接固定され、この取付部材66の取付片65のボルト孔65bをあけた水平部65aを、上下のライナープレート2の重ねあわせた円周フランジ2bの上に重ね、円周フランジ2b同士を接合する接合ボルト28で円周フランジ2bに固定(すなわち立坑内壁に固定)されている。但し、この取付部では、上下のライナープレート2の円周フランジ2b間に介在しているH形鋼である補強リング7のウエブ7bに円周フランジ2bと一緒にボルト接合されている。
隣接する短尺足場どうしは、例えば図19に短尺足場21と短尺足場22との隣接部の場合を示したように、短尺足場21、22の等脚台形枠21a、22aの側辺部の側面にあけたボルト孔24に挿通した連結ボルト72で連結している。
上記の通り、各短尺足場20、21、22は、2つあるいは3つのライナープレートの高さを占める取付部材ではなく、1つのライナープレート2の高さを占める取付部材(ブラケット61)により立坑内壁に取り付けられている。
なお、図16に示すように、ブラケット61の立坑内壁への上下の取付部がいずれも、補強リング7を介在させないライナープレート2の円周フランジ接合部である場合もある。
しかし、上述した作業用足場構造によれば、ずれ調整のための可動部のない位置固定構造により、接合ボルトで干渉回避短尺足場20及び連接短尺足場21、22を上下のライナープレート2の円周フランジ2b同士を接合するフランジ接合部に直接取り付けることができる。
短尺足場20、21、22を可動部のない位置固定構造により、接合ボルト28で上下のライナープレート2のフランジ接合部に取り付けることができるので、可動部を有する取付構造と比べて、堅固な取付構造となる。
堅固な取付構造となるので、短尺足場の立坑内壁への取付構造として、上述したように上下の取付部の間隔がライナープレート1つ分であるブラケット61で取り付ける取付構造を採用することが可能となる。したがって、上下の取付部の間隔が小さく済む。これにより、上下の取付部の間隔がライナープレート2つ又は3つ分の取付構造と比べて、鋼材の使用量が少なく済み経済的であり、立坑を構築するコストを低減することができる。
また、回動により位置調整のできる可動式金具を堅固にして用いた取付構造と比べて、多数ある部品を大型化することなく、構造も簡単に済み、さらに部品点数も少なく済み、取付作業も単純になるので、施工コストも安くなる。
したがって、干渉回避短尺足場20のサイズ(側辺挟み角)を定めれば、連接短尺足場のサイズ(側辺挟み角)及びその種類として、前記2種類の連接短尺足場配置スペースに合せられるサイズ及びその種類を設定すれば済むので、短尺足場のサイズ種類を多くしなくても、種々の立坑に対応させることが容易である。
なお、隣接する垂直補強部材8間に昇降タラップの短尺タラップが存在する場合で、短尺タラップとの間の隙間が生じる場合には、その隙間に合せた隙間調整材(例えば図17の符号76)を用いるとよい。
作業用足場42は、図5と同様に、垂直補強部材8の位置に当該垂直補強部材8と干渉しない態様で配置される3箇所の干渉回避短尺足場20と、この干渉回避短尺足場20に直接連接される連接短尺足場を含む図示例では2種類の連接短尺足場21、22を円周方向に連接してなる。なお、この図でも短尺足場に設ける手摺の図示は省略している。
補強リング7及びライナープレート2における、4箇所の垂直補強部材8のウエブ位置Qにそれぞれ最も近い円周フランジ孔7d0、2d0は、図18にも詳細を示すように、垂直補強部材8のウエブ位置Qに対してずれており、そのずれの種類は、図5の場合と同様に、垂直補強部材8のウエブ位置Qに対して上から見て円周方向の右側と左側との2種類でそのずれ量sは同じであるが、ずれた4つの円周フランジ孔7d0のなかで基準とする図17、図18で右側の円周フランジ孔7d0(7d00)のウエブ位置Qに対するずれの方向が図5、図6の場合と逆(ずれ方向が図面上で上下に逆)である。3箇所の各垂直補強部材8の位置における干渉回避短尺足場20はいずれも、干渉回避短尺足場20自体は同じものであるが、ウエブ位置Qのラインに関して対称的な位置となる態様でずれている。したがって、図5と図16とでは、円周方向のA1−B1間領域の短尺足場配列と、B1−A2間領域の短尺足場の配列とが入れ替わっている。
なお、この場合、上側に繋がる昇降タラップ12との間に広い隙間が生じているので、その隙間に隙間調整材76を取り付けている。隙間調整材76は、短尺タラップの台形枠に用いる山形鋼と同じサイズ山形鋼を用い、短尺タラップにボルト接合している。
また、集水井に限らず、ライナープレート製の種々の立坑に適用することができる。
また、本発明において、昇降タラップの構造は実施例のものに限らず任意である。
本発明における干渉回避短尺足場及び連接短尺足場はいずれも、上から見て立坑中心に向かう等長の2側辺を持つ等脚台形状をなすが、等脚台形である必要はなく、支障のない範囲で形状を変えることを妨げるものではない。また、台形の上底及び下底を円弧状にすれば扇形となるが、そのような形状とすることも妨げるものではない。
また、短尺足場の台形枠を山形鋼で構成しているが、使用鋼材は任意である。
また、干渉回避短尺足場の場合、垂直補強部材8を回避する構成として、図20に示した干渉回避短尺足場20’のように、台形枠20a’の下底側に立坑内壁側に伸びる腕部20c’を固定して、回避空間を形成した構造としてもよい。
2 ライナープレート
2a 波付け鋼板部
2b 円周フランジ
2c 垂直フランジ(端面プレート)
3 集水管
4 排水管
5 すべり面
6 昇降タラップ
7 補強リング(H形鋼)
7’ (補強リングを構成する)補強リング片
7a フランジ
7b ウエブ
7d 円周フランジ孔
7d0 円周フランジ孔(垂直補強部材のウエブ位置Qに最も近い円周フランジ孔)
7d00 円周フランジ孔(基準孔)
7d1 円周フランジ孔(垂直補強部材のウエブ位置Qを挟む一方の円周フランジ孔)
7d2 円周フランジ孔(垂直補強部材のウエブ位置Qを挟む2つの円周フランジ孔より円周方向外側の円周フランジ孔)
7d” (2つの半円状切欠きを合せた)円周フランジ孔
7e 半円状切欠き
8 垂直補強部材(H形鋼)
8a フランジ
8b ウエブ
11、12、13 (昇降タラップを構成する)短尺タラップ
20 干渉回避短尺足場
21、22、23 連接短尺足場
21a、22a、23a 台形枠
21b、22b、23b 足場板(エキスパンドメタル)
24 (短尺足場どうしの接合用の)ボルト孔
25 ボルト孔
26 手摺
28 (ライナープレートのフランジ接合用の)ボルト
29 ナット
41、42 作業用足場
61 ブラケット
62 水平材
63 斜め材
64、66 取付部材
64a、65a 水平部
64b、65b ボルト孔
65 取付片
72 連結ボルト
76 隙間調整材
Q 垂直補強部材のウエブの位置(円周方向位置)
s ずれ量
A1、A2、B1、B2 垂直補強部材の円周方向の位置
p (ライナープレート及び補強リングの)円周フランジ孔のピッチ
Claims (5)
- 複数のライナープレートを円周方向及び上下方向に接合して円筒体を形成するとともに、鉛直方向の補強材であるH形鋼からなる垂直補強部材を立坑内壁の円周方向の90°間隔の複数箇所に取り付けた円形断面の立坑について、立坑内壁に取り付けた螺旋状の昇降タラップの中間に水平な作業用足場を介在させた作業用足場構造であって、
前記複数のライナープレートは、円周方向には垂直フランジにて互いにボルト接合され上下方向には均一ピッチpの円周フランジ孔を持つ円周フランジにて互いにボルト接合されて円筒体を形成するものであり、
前記複数のライナープレートがなす円筒の直径である立坑径Dは、ライナープレートの360°全周の円周フランジ孔数を4で割った値Nに0.5の端数が出るような直径であり、
前記円筒体を形成したライナープレートにおける、前記円周方向に90°間隔の各垂直補強部材のウエブ位置Qにそれぞれ最も近い円周フランジ孔2d0は、前記垂直補強部材のウエブ位置Qに対してずれているとともに、そのずれの種類は垂直補強部材のウエブ位置Qに対して上から見て円周方向の右側と左側との2種類でそのずれ量sは同じであり、
前記作業用足場は、前記垂直補強部材の位置に当該垂直補強部材と干渉しない態様で配置される干渉回避短尺足場と、この干渉回避短尺足場に連接される連接短尺足場とが、ライナープレートの円周フランジの円周フランジ孔に挿入される接合ボルトにて立坑内壁に取り付けられ、
前記干渉回避短尺足場は、前記垂直補強部材とライナープレートの円周フランジ孔との前記2種類のずれの位置関係がいずれもの場合でも、垂直補強部材のウエブ位置を挟む2つの円周フランジ孔より円周方向外側の円周フランジ孔におけるボルト接合により立坑内壁に取り付けられていることを特徴とする立坑における作業用足場構造。 - 複数のライナープレートを円周方向及び上下方向に接合して円筒体を形成するとともに、高さ方向の適宜の間隔でライナープレート間にH形鋼からなる補強リングを介在させ、鉛直方向の補強材であるH形鋼からなる垂直補強部材を立坑内壁の円周方向の90°間隔の複数箇所で前記補強リングに取り付けた円形断面の立坑について、立坑内壁に取り付けた螺旋状の昇降タラップの中間に水平な作業用足場を介在させた作業用足場構造であって、
前記複数のライナープレートは、円周方向には垂直フランジにて互いにボルト接合され上下方向には均一ピッチpの円周フランジ孔を持つ円周フランジにて互いにボルト接合されて円筒体を形成するものであり、
前記補強リングは、等長のH形鋼を四分の一円弧状に湾曲させた4つの補強リング片を連結してなり、ライナープレートの円周フランジ孔のピッチpと同じピッチpの円周フランジ孔を有するとともに、その一端側の円周フランジ孔は前記一端から円周フランジ孔ピッチpの0.5ピッチ(0.5p)だけ離れた位置にあり、他端に、隣接する補強リングの他端を突き合わせた時に円周フランジ孔を形成する半円状切欠きを有し、
前記垂直補強部材は、H形鋼からなり、そのウエブ位置が前記4つの補強リング片のそれぞれ円周方向の中央に位置する態様で、そのフランジにて補強リングのフランジにボルト接合されており、
前記複数のライナープレートがなす円筒の直径である立坑径Dは、ライナープレート及び補強リングの360°全周の円周フランジ孔数を4で割った値Nに0.5の端数が出るような直径であり、
前記円筒体を形成したライナープレートにおける、前記円周方向に90°間隔の各垂直補強部材のウエブ位置Qにそれぞれ最も近い円周フランジ孔2d0は、前記垂直補強部材のウエブ位置Qに対してずれているとともに、そのずれの種類は垂直補強部材のウエブ位置Qに対して上から見て円周方向の右側と左側との2種類でそのずれ量sは同じであり、
前記作業用足場は、前記垂直補強部材の位置に当該垂直補強部材と干渉しない態様で配置される干渉回避短尺足場と、この干渉回避短尺足場に連接される連接短尺足場とが、ライナープレートの円周フランジの円周フランジ孔に挿入される接合ボルトにて立坑内壁に取り付けられ、
前記干渉回避短尺足場は、前記垂直補強部材とライナープレートの円周フランジ孔との前記2種類のずれの位置関係がいずれもの場合でも、垂直補強部材のウエブ位置を挟む2つの円周フランジ孔より円周方向外側の円周フランジ孔におけるボルト接合にて立坑内壁に取り付けられていることを特徴とする立坑における作業用足場構造。 - 前記連接短尺足場は、上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ平面視略台形状をなし、立坑内壁側の辺の長さによってその連接短尺足場が占める円周フランジ孔の数が2つ以上の複数種類であり、
前記干渉回避短尺足場は、上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ平面視略台形状をなし、立坑内壁側の辺の長さによってその干渉回避短尺足場が占める円周フランジ孔の数が4つ以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の立坑における作業用足場構造。 - 前記立坑径Dが3500mm、ライナープレートの円周フランジ孔pが157mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の立坑における作業用足場構造。
- 前記干渉回避短尺足場又は連接短尺足場は、立坑内壁に基端側を取り付けたブラケットの上面に固定されており、
前記ブラケットは、基端側が立坑内壁に取付けられ先端側が立坑中心方向に延びる水平材と、上端側が前記水平材の先端側に固定され基端側が水平材の基端側の下方で立坑内壁に取付けられる斜め材とからなり、
前記水平材又は斜め材は、それぞれの基端側に固定した、ライナープレートの円周フランジ孔に合せた1つのボルト孔を有して円周フランジに重ね合わされる接合部材によりライナープレートの円周フランジにボルト接合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の立坑における作業用足場構造。
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