JP5748333B2 - 電気加熱式バイオマスガス化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオマスのガス化技術に関し、とくに電気的熱エネルギーでバイオマスを乾燥、熱分解、およびガス化することにより、一般人がバイオマスの発生地点において比較的少量の様々なバイオマスを対象としてガス化を行い、発電に利用できるようにした技術に関するものである。
間伐材や端材などの木質性バイオマスや、稲わらなどの草本性バイオマスや、おからなどの食品製造残渣などの廃棄物バイオマスは、単なる焼却処分から焼却発電への活用に進み、さらに近年は、可燃性ガスに変換したうえで、液体燃料の合成や発電に利用する技術が多く提案されるようになった。
従来のバイオマスガス化技術は、鉄鉱石から銑鉄を生成する高炉を適用する技術や、高炉のコンセプトから派生した技術が主体になっていた。その1例としてのアップドラフト型固定床方式は、上方からバイオマスを投入し、下方から高温空気と水蒸気を連続的に流入する技術である。この例では、炉内の下方ゾーンでバイオマスが燃焼して酸素が消費され、燃焼熱でバイオマス熱分解と高温過熱水蒸気生成を行い、上昇した高温過熱水蒸気によって水性ガスを生成し、最上部でバイオマスを乾燥する(非特許文献1)。この方式においては、投入されたバイオマスは、熱を得るための燃料としての役割と、水性ガスの原料としての役割を、二重に担っていた。
従来の技術としては、固定床や流動床のみならず多様な形式のガス化炉が提案された。これらはすべて、バイオマスを燃焼して獲得した熱エネルギーで熱分解とガス化を行うという点で共通の技術基盤に基づくものであった。それは、発熱反応と吸熱反応を同一空間内の少し離れた位置において同時に行うので、うまく反応を制御するには高度なスキルを必要とした。以下は制御法の1例である(非特許文献1)。
(1)バイオマスのガス化速度は、ガス化炉に供給する酸化剤(空気あるいは酸素)の量によって制御する。投入する酸素と水蒸気の比を一定に保ち、酸素分圧が一定になるように制御すると、炉内の反応速度が一定になり、温度も一定になる。
もしも反応速度が増加すると、燃焼・熱分解のガス流量が大幅に増加し、様々な弊害が発生する。
(2)燃焼ゾーンの温度は、炉底からの水蒸気の吹き込み量によって制御する。即ち水蒸気の吹き込み量の増減で熱容量を増減させて温度を制御する。
しかし水蒸気は、温度調節の機能ばかりでなく、水素と一酸化炭素を生成する水性ガス化反応の反応物でもあるので、その考慮が必要である。
このような操作は、バイオマスが一旦点火すれば、燃焼は自発的に進行するので、釜焚きの制御と同様であり、発熱反応と吸熱反応のバランスをとり、全体システムとして暴走したり消火したりしない安定状態を維持することが肝要である。それは酸素や水の供給量によっても変化するが、バイオマスの種類によっても、含有成分と含有水分が異なるため、大きな影響を受ける。そのため、従来技術における炉内反応の制御は、炉内で生起する事象に対する高度な理解に基くスキルを前提とするものであった。
このような理由から、バイオマスの加熱による熱分解と、熱分解でできた生成物のガス化とを分離して行う技術が開示された。これらの技術においては、まずバイオマスを加熱して炭化物と熱分解ガスと熱分解タールを生成し、炭化物を取り出して粉砕した後、熱分解ガスと熱分解タールと共に高温過熱水蒸気により可燃性ガスを生成する技術である(特許文献1)。
以上は、空気あるいは酸素と水蒸気の混合気体を加熱してバイオマスを部分酸化する技術であるが、当初から空気などの酸化剤を含まない無気的雰囲気においてガス化する技術も開示された。
その1例は、まずバイオマスを無気的雰囲気で還元的に加熱して熱分解ガスと炭化物を生成し、次に炭化物を燃焼してつくった過熱水蒸気によって熱分解ガスを改質して水性ガスを生成する技術である(特許文献2)。
この技術もバイオマスの熱分解工程と過熱水蒸気による熱分解生成物の改質工程と分離することによって、それぞれの制御をより容易に行うことができるようにした。
このほか、バイオマスを粉体化して炉内で高温の過熱水蒸気と混合し、熱分解とガス化を瞬時に生起せしめる技術が提案された。この技術は、空中に浮遊する粉体バイオマスと過熱水蒸気分子の遭遇機会を増加させるため、物理的ビークルとして大量の過熱水蒸気を送り込む必要から、バイオマスの倍量の水を要するという課題が生じた(非特許文献2)。
以上のように、バイオマスを燃焼して熱エネルギー源として利用する技術においては、適用するバイオマスが燃料としても有用な素材であることが前提であったことは論ずるまでもない。木質バイオマスや草本バイオマスはその条件に適合する素材であった。
しかし日々大量に産出されるその他のバイオマスは、必ずしも燃料として適していない。例えば数十%の油脂分を含有するコーヒー滓やおからなどは、同じ食品系バイオマスでも、燃料としての熱量が野菜系残渣とはまったく異なることは明らかである。また、含有成分によっては、熱分解で大量のすすやタールが発生するので、それぞれ最適の条件で熱分解を行うことが重要である。
このように燃料として不適当なバイオマスは、ガス化利用の素材として「暗黙の除外者」にされていたのである。
特許第3914474号公報 特開2004−83340号公報 特開平9−245938号公報
「バイオマス及び廃棄物のガス化装置の開発」、三井造船技報、No.185(2005-6) 「バイオマス燃料製造技術の開発と利活用の推進"農林バイオマス3号機による実証"」、www.q-biomass.jp/report/20091028-02.pdf、平成21年10月21日付
本発明は、種々のバイオマスを対象として、一般人でもガス化利用ができる装置化技術の実現を目的としている。この目的から見ると、従来技術には以下のような課題が存在していた。
解決しようとする第1の課題は、従来のバイオマスガス化技術において、バイオマスの熱分解のために必要な熱エネルギーも、過熱水蒸気生成のために必要な熱エネルギーも、共にガス化の原料となるバイオマスを燃焼して獲得していた点である。
このため、ガス化の全工程が連続的な流れ作業工程となり、全反応システムの統合的な制御はたいへん高度な水準の技術を必要とするため、専門家による操作を前提としていた。即ち技術の一般化あるいは普及が困難であった。
また解決しようとする第2の課題は、ガス化の反応系が個々の反応を順次的に進行させるため、反応装置を直列的に配列したプラント型施設になる点である。
このため、施設は移動不可能な大型施設となり、バイオマスのそれぞれの発生地点において運搬コストなしにガス化を行うという本来の目的を達成することができなかった。
本発明は、ガス化炉内空間を電気的に直接加熱するので、電気的制御によって炉内温度を所定の温度に調節することにより、バイオマスの熱分解反応と引き続くガス化反応を、高精度に制御された温度条件下で行えるようにしたので、バイオマスの種類や含水量に応じて、一般人が操作できる電気加熱式バイオマスガス化装置を実現したことを最も主要な特徴とする。
本発明は、個々のバイオマス発生地点において、バイオマスの種類に応じて、一般人が操作し、使用できる電気加熱式バイオマスガス化装置が実現するという利点がある。
図1は電気加熱式バイオマスガス化装置の構成を示す説明図である。(実施例1) 図2は電気加熱式バイオマスガス化装置の構成を示す説明図である。(実施例2) 図3は電気加熱式バイオマスガス化装置のバッチモードにおける温度と水分量の変化を示すグラフ図である。(実施例1、実施例2)
バイオマスの種類に応じた熱分解処理とガス化処理を行って可燃性バイオガスを生成し、しかも炭化物残渣やタール等の副産物の生成を最小限化するという目的を、電気的熱エネルギーで過熱水蒸気を生成してバイオマスに作用させることによって実現した。
本発明になる請求項1の電気加熱式バイオマスガス化装置は、バイオマスをガス化するガス化炉と、水蒸気発生手段と、水蒸気供給調節手段と、ガス化炉内に電気的発熱体を配置し、炉内に供給される水蒸気を加熱して連続的に過熱水蒸気を生成すると共に、炉内空間の加熱を行う電気加熱手段と、電気加熱制御手段と、ガス化炉内測定点(複数)の温度をそれぞれ検出する温度センサー(複数)と、ガス化炉からの気体の排出量を調節してガス化炉内の気圧を調節する気圧調節手段と、ガス化炉内の気圧を検出する気圧センサーと、バイオマスの種類とバイオマスの処理モードに応じて、ガス化炉内の温度と気圧が所定の値をとるように、水蒸気供給調節手段と電気加熱制御手段と気圧調節手段をシステム的に制御するシステム制御手段とより成り、電気加熱により生成した過熱水蒸気でバイオマスの乾燥と熱分解とガス化を行い、可燃性ガスを生成することを特徴とする。
本発明になる請求項2の電気加熱式バイオマスガス化装置は、請求項1記載の電気加熱式バイオマスガス化装置の前記電気加熱手段が、ガス化炉内に電気抵抗加熱ヒータを配置し、炉内に供給された水蒸気を加熱して連続的に過熱水蒸気を生成すると共に、炉内空間の加熱を行うことを特徴とする。
本発明になる請求項3の電気加熱式バイオマスガス化装置は、請求項1記載の電気加熱式バイオマスガス化装置の前記電気加熱手段が、ガス化炉内に配置した導電体をガス化炉外に配置した電磁誘導加熱器によって電磁誘導し、炉内に供給された水蒸気を加熱して連続的に過熱水蒸気を生成すると共に、炉内空間の加熱を行うことを特徴とする。
本発明になる請求項4の電気加熱式バイオマスガス化装置は、請求項3記載の電気加熱式バイオマスガス化装置の前記電気加熱手段においてガス化炉内に配置した導電体の形状が塊状であって、ガス化炉内に繰り返し投入して使用可能な熱媒体としての機能もあわせ有することを特徴とする。
図1は、本発明になる電気加熱式バイオマスガス化装置の実施例1の全体構成を、アップドラフト式固定床型を例として示した説明図である。
実施例1において、バイオマス2をガス化炉1の上方より投入する。また水蒸気あるいは高温水蒸気3を、ガス化炉1の下方より流入する。
ガス化炉1内の底部には、電気抵抗加熱ヒータ4が配置され、流入した水蒸気あるいは高温水蒸気3を加熱し、過熱水蒸気を生成する。
ガス化炉1内には、少なくとも各ゾーン(後述)に対応する位置に温度センサを配設し(図示せず)、炉内温度のモニタリングを行っている。水蒸気あるいは高温水蒸気3は、連続的に炉内に流入し、電気抵抗加熱ヒータ4で連続的に加熱されて過熱水蒸気になる。
生成する過熱水蒸気の温度は、電気抵抗加熱ヒータ4の電力値と、水蒸気あるいは高温水蒸気3の単位時間当たりの流入量(流入速度)によってに決まる。そこで、あらかじめバイオマスの種類に応じて最適の過熱水蒸気温度を設定しておき、加熱ゾーン(c)で生成される過熱水蒸気がその温度になるように、電気抵抗加熱ヒータ4の電力値と、水蒸気あるいは高温水蒸気3の流入速度を決定する。加熱ゾーン(c)で生成される過熱水蒸気の温度はこのゾーンに配設された温度センサによって検出される。過熱水蒸気の温度は500℃以上でバイオマスの種類に対応して設定している。
電気抵抗加熱ヒータ4として、特許文献3で開示された多孔体製電気抵抗ヒータなどの適用が可能である。
バイオマス2は水分を含んでいるので、過熱水蒸気が保有する熱エネルギーは水分の気化が完了するまで、バイオマス2の乾燥のために費消される。その間、バイオマス2に接触している過熱水蒸気の温度は所定の温度まで上昇しない。
バイオマス2の乾燥は、加熱ゾーン(c)近隣から順次完了してゆき、近隣過熱水蒸気の温度も所定の温度まで上昇するので、乾燥したバイオマス2の熱分解が始まり、引き続き水性ガス化反応が進行する。このようにして、ガス化炉1内では、加熱ゾーン(c)の上方に、バイオマス2の乾燥ゾーン(a)と熱分解・ガス化ゾーン(b)が形成される。
このさい、温度の上昇と共に過熱水蒸気の容積が増大してガス化炉1内の気圧が上昇し、供給される水蒸気3が高圧高温水蒸気になるいっぽう、排出気体5の流出量が増大する。ガス化炉1内の気圧は、炉内に配置した気圧センサー(図示せず)によって検出している。
ここで、従来技術と異なる点は、ガス化炉1に流入する水蒸気あるいは高温水蒸気3が、空気あるいは酸素等の酸化剤を含まない点である。そのため、バイオマス2は燃焼しない。バイオマス2の熱分解とガス化は、燃焼熱エネルギーではなく、電気抵抗加熱ヒータ4の放射伝熱と、高温過熱水蒸気の放射伝熱と凝縮伝熱と対流伝熱によって、いわゆる「蒸し焼き状態」で行われる。加熱エネルギーがすべて電気エネルギー由来であることは、バイオマス2の加熱処理が電気的に制御できることを意味しており、換言すれば、高度なスキルを要する「釜焚き」技術から解放されたことと同義である。
即ち、本発明は、従来技術における、バイオマスの種類と、酸化剤の流入量と、水蒸気の流入量の微妙な調節の上に成り立つ燃焼制御操作から解放され、バイオマスの種類に対応した過熱水蒸気の温度設定だけですべて事足りるようになったのである。
以上、バイオマスを連続的あるいは断続的に投入する「連続モード」について説明したが、本発明では、バイオマスをバッチ投入して処理する「バッチモード」も可能である。従来の燃焼熱利用技術は、燃料としてのバイオマスの投入が断絶すると熱分解が停止するので、バッチ処理ができなかった。バッチ処理は、少量処理に適しているので、バイオマスの発生地点において少量ずつ処理を行う用途に最適である。
バッチモードの場合、1回投入分のバイオマスに対して、乾燥ステージ、熱分解ステージ、ガス化ステージに分け、プロファイル制御することが有効である(図3参照)。各ステージに、それぞれ適した過熱水蒸気温度を設定することによって、タール等の副産物の生成を最少化すると共に、可燃性ガスの収率を最大化することができる。
(1)乾燥ステージ:タールや熱分解チャーの生成を最少化するために、予めバイオマスを乾燥する。即ち、200℃以下の過熱水蒸気を生成してバイオマスを乾燥する。
(2)熱分解ステージ:乾燥が完了すると、過熱水蒸気の温度が投与時の温度にまで上昇するので、次に加熱水蒸気を例えば550℃程度に上昇させ、熱分解ステージに入る。このとき気圧も上昇するので、システム制御手段によってガス化炉内を所定の温度と気圧に調節する。熱分解ステージで発生した熱分解ガスは過熱水蒸気と共に排出され、熱分解チャーが炉内に残存する。
(3)ガス化ステージ:最後に過熱水蒸気の温度を800℃程度に再上昇させて、ガス化ステージに入り、残存している熱分解チャーをガス化する。
ガス化の残渣である灰分は、ガス化炉1の底部(c)に堆積するので、これを取り出す(6)。
熱分解によって生成した熱分解ガスの一部は水蒸気で改質されて水性ガスになる。大部分の熱分解タールは、乾燥ゾーン(a)に堆積するバイオマス2に付着し、熱分解・ガス化ゾーン(b)において熱分解される。
ガス化炉1からの排出気体5は、熱分解ガスと水性ガスと熱分解タールと微粒化チャーと飛灰と揮発成分と過熱水蒸気を含んでいる。
その中の熱分解ガスと熱分解タールと微粒化チャーは、800℃以上に維持された改質炉7を通過する際に過熱水蒸気によって改質されて水性ガスになり、なお残存する微粒化チャーや飛灰がガス浄化システム8で浄化処理され、熱交換器9において、水溶性成分を含んだ過熱水蒸気が除かれる。
このようにして得られたクリーンなバイオガスは、水素、一酸化炭素、メタン、二酸化炭素などから成る可燃性ガスであり、ガスエンジンと発電機から成るガス発電システム(10)によりガス発電を行う。
得られた電力は二次電池(11)に蓄電し、その一部を電気抵抗加熱ヒータ4等の本装置の必要電力として利用する。
図2は、本発明になる電気加熱式バイオマスガス化装置の実施例2の全体構成を、アップドラフト式固定床型を例として示した説明図である。
実施例2において、バイオマス2と塊状の導電体3を、ガス化炉1の上方より投入する。また水蒸気あるいは高温水蒸気4を、ガス化炉1の下方より流入する。導電体3は、自重によりガス化炉1の底部に堆積して、加熱ゾーン(c)を形成する。
ガス化炉1の底辺外部には、高周波電源と励磁コイルを備えた電磁誘導加熱器5が配置され、ガス化炉1の断熱絶縁体壁を通してガス化炉1底部に堆積した導電体3を発熱させ、流入した水蒸気あるいは高温水蒸気4を加熱し、過熱水蒸気を生成する。
ガス化炉1内には、少なくとも各ゾーン(後述)に対応する位置に温度センサを配設し(図示せず)、炉内温度のモニタリングを行っている。炉内に流入した水蒸気あるいは高温水蒸気4は、加熱ゾーン(c)において加熱されて過熱水蒸気になる。
生成する過熱水蒸気の温度は、電磁誘導加熱器5の電力値と、水蒸気あるいは高温水蒸気4の単位時間当たりの流入量(流入速度)によって決まる。そこで、あらかじめバイオマスの種類に応じて最適の過熱水蒸気温度を設定し、加熱ゾーン(c)で生成される過熱水蒸気がその温度になるように、電磁誘導加熱器5の電力値と、水蒸気あるいは高温水蒸気4の流入速度を決定する。加熱ゾーン(c)で生成される過熱水蒸気の温度はこのゾーンに配設された温度センサによって検出される。過熱水蒸気の温度は500℃以上でバイオマスの種類に対応して設定している。
バイオマス2は水分を含んでいるので、過熱水蒸気が保有する熱エネルギーは水分の気化が完了するまで、バイオマス2の乾燥のために費消される。その間、バイオマス2に接触している過熱水蒸気の温度は所定の温度まで上昇しない。
バイオマス2の乾燥は、導電体3近隣から順次完了してゆき、近隣過熱水蒸気の温度も所定の温度まで上昇するので、乾燥したバイオマス2の熱分解が始まり、引き続き水性ガス化が進行する。このようにして、ガス化炉1内では、加熱ゾーン(c)の上方に、バイオマス2の乾燥ゾーン(a)と熱分解・ガス化ゾーン(b)が形成される。
このさい、温度の上昇と共に過熱水蒸気の容積が増大してガス化炉1内の気圧が上昇し、供給される水蒸気4が高圧高温水蒸気になるいっぽう、排出気体6の流出量が増大する。ガス化炉1内の気圧は、炉内に配置した気圧センサー(図示せず)によって検出している。
ここで、従来技術と異なる点は、ガス化炉1に流入する水蒸気あるいは高温水蒸気4が、空気あるいは酸素等の酸化剤を含まない点である。そのため、バイオマス2は燃焼しない。バイオマス2の熱分解とガス化は、燃焼熱エネルギーではなく、導電体3の放射伝熱と、高温過熱水蒸気の放射伝熱と凝縮伝熱と対流伝熱によって、いわゆる「蒸し焼き状態」で行われる。加熱エネルギーがすべて電気エネルギー由来であることは、バイオマス2の加熱処理が電気的に制御できることを意味しており、換言すれば、高度なスキルを要する「釜焚き」技術から解放されたことと同義である。
即ち、本発明は、従来技術における、バイオマスの種類と、酸化剤の流入量と、水蒸気の流入量の微妙な調節の上に成り立つ燃焼制御操作から解放され、バイオマスの種類に対応した過熱水蒸気の温度設定だけですべて事足りるようになったのである。
以上、バイオマスを連続的あるいは断続的に投入する「連続モード」について説明したが、本発明では、バイオマスをバッチ投入して処理する「バッチモード」も可能である。従来の燃焼熱利用技術は、燃料としてのバイオマスの投入が断絶すると熱分解が停止するので、バッチ処理ができなかった。バッチ処理は、少量処理に適しているので、バイオマスの発生地点において少量ずつ処理を行う用途に最適である。
バッチモードの場合、1回投入分のバイオマスに対して、乾燥ステージ、熱分解ステージ、ガス化ステージに分け、プロファイル制御することが有効である(図3参照)。各ステージに、それぞれ適した過熱水蒸気温度を設定することによって、タール等の副産物の生成を最少化すると共に、可燃性ガスの収率を最大化することができる。
(1)乾燥ステージ:タールや熱分解チャーの生成を最少化するために、予めバイオマスを乾燥する。即ち、200℃以下の過熱水蒸気を生成してバイオマスを乾燥する。
(2)熱分解ステージ:乾燥が完了すると、過熱水蒸気の温度が投与時の温度にまで上昇するので、次に加熱水蒸気を例えば550℃程度に上昇させ、熱分解ステージに入る。このとき気圧も上昇するので、システム制御手段によってガス化炉内を所定の温度と気圧に調節する。熱分解ステージで発生した熱分解ガスは過熱水蒸気と共に排出され、熱分解チャーが炉内に残存する。
(3)ガス化ステージ:最後に過熱水蒸気の温度を800℃程度に再上昇させて、ガス化ステージに入り、残存している熱分解チャーをガス化する。
ガス化の残渣である灰分は、ガス化炉1の底部(c)に堆積するので、使用済み導電体3と共に取り出す(7)。使用済み導電体3は、表面に付着した熱分解タールを主とする汚れを加熱処理等によってクリーニングし、再使用する。
熱分解によって生成した熱分解ガスの一部は水蒸気で改質されて水性ガスになる。大部分の熱分解タールは、乾燥ゾーン(a)に堆積するバイオマス2に付着し、熱分解・ガス化ゾーン(b)において熱分解される。
ガス化炉1からの排出気体6は、熱分解ガスと水性ガスと熱分解タールと微粒化チャーと飛灰と揮発成分と過熱水蒸気を含んでいる。
その中の熱分解ガスと熱分解タールと微粒化チャーは、800℃以上に維持された改質炉8を通過する際に過熱水蒸気によって改質されて水性ガスになり、なお残存する微粒化チャーや飛灰がガス浄化システム9で浄化処理され、熱交換器10において、水溶性成分を含んだ過熱水蒸気が除かれる。
このようにして得られたクリーンなバイオガスは、水素、一酸化炭素、メタン、二酸化炭素などから成る可燃性ガスであり、ガスエンジンと発電機から成るガス発電システム(11)によりガス発電を行う。
得られた電力は二次電池(12)に蓄電し、その一部を電磁誘導加熱器5等の本装置の必要電力として利用する。
以上、ガス化炉1の機能をアップドラフト式固定床型を例として説明したが、本発明技術は、炉内で発生した電気的熱エネルギーによってバイオマスを熱分解する限りにおいては、ガス化炉の形式が攪拌手段を備えた流動床型でも構わないし、その他の形式のガス化炉を採用した場合でも構わないことは言うまでもない。
また同様に、炉内で発生した電気的熱エネルギーによってバイオマスを熱分解する限りにおいては、本発明技術は、ガス発電の排熱を再利用するコージェネレーションシステムに適用しても構わない。
電気的熱エネルギーを炉内で発生させて、バイオマスを熱分解およびガス化することにより、バイオマスの燃焼熱を利用する必要がなくなったので、バイオマスの発生地点において一般人がバイオマスから可燃性バイオガスを生成し、発電に利用する用途に適用できる。
1 ガス化炉
2 バイオマス
3 導電体
4 水蒸気あるいは高温水蒸気
5 電磁誘導加熱器
6 排出気体
8 改質炉
11 ガス発電システム

Claims (4)

  1. バイオマスをガス化するガス化炉と、
    水蒸気発生手段と、
    水蒸気供給調節手段と、
    ガス化炉内に電気的発熱体を配置し、炉内に供給される水蒸気を加熱して連続的に過熱水蒸気を生成すると共に、炉内空間の加熱を行う電気加熱手段と、
    電気加熱制御手段と、
    ガス化炉内測定点(複数)の温度をそれぞれ検出する温度センサー(複数)と、
    ガス化炉からの気体の排出量を調節してガス化炉内の気圧を調節する気圧調節手段と、
    ガス化炉内の気圧を検出する気圧センサーと、
    バイオマスの種類と、バイオマスを連続的あるいは断続的に投入する連続モード及びバイオマスをバッチ投入して処理するバッチモードに応じて、ガス化炉内の温度と気圧が所定の値をとるように、水蒸気供給調節手段と電気加熱制御手段と気圧調節手段をシステム的に制御するシステム制御手段と
    より成り、
    電気加熱により生成した過熱水蒸気でバイオマスの乾燥と熱分解とガス化を行い、可燃性ガスを生成することを特徴とする電気加熱式バイオマスガス化装置。
  2. 前記電気加熱手段は、ガス化炉内に電気抵抗加熱ヒータを配置し、炉内に供給された水蒸気を加熱して連続的に過熱水蒸気を生成すると共に、炉内空間の加熱を行うことを特徴とする請求項1記載の電気加熱式バイオマスガス化装置。
  3. 前記電気加熱手段は、ガス化炉内に配置した導電体をガス化炉外に配置した電磁誘導加熱器によって電磁誘導し、炉内に供給された水蒸気を加熱して連続的に過熱水蒸気を生成すると共に、炉内空間の加熱を行うことを特徴とする請求項1記載の電気加熱式バイオマスガス化装置。
  4. 前記電気加熱手段においてガス化炉内に配置した導電体の形状は塊状であって、ガス化炉内に繰り返し投入して使用可能な熱媒体としての機能もあわせ有することを特徴とする請求項3記載の電気加熱式バイオマスガス化装置。
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