JP5747541B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、転がり抵抗を低減できる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤの転がり抵抗を低減することは、自動車の燃費を改善するために有用である。タイヤの転がり抵抗を低減するため、例えばシリカ配合のゴムをトレッドに適用する等の技術がある。
土井昭政、「タイヤにおける最近の技術動向」、日本ゴム協会誌、1998年9月 Vol.71、p.588−594
特許文献1に記載されている空気入りタイヤの転がり抵抗を低減する手法は、材料に改良を加えるものであるが、空気入りタイヤの構造を変更することによって転がり抵抗を低減できる可能性もある。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、空気入りタイヤの転がり抵抗を低減する構造を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための手段は、円筒形状の構造体である環状構造体と、前記環状構造体の径方向外側に、前記環状構造体の周方向に向かって設けられてトレッド部となるゴム層と、ゴムで被覆された繊維を有し、前記環状構造体と前記ゴム層とを含む円筒形状の構造体の中心軸と平行な方向における両側に少なくとも設けられるカーカス部と、を含み、前記環状構造体の子午断面における形状は、少なくとも一つ以上の曲率を有することを特徴とする空気入りタイヤである。
上述した手段において、前記環状構造体の子午断面において、前記環状構造体の外径が最も大きい部分と外径が最も小さい部分との差は0.1mm以上20mm以下であることが好ましい。
上述した手段において、前記環状構造体の子午断面の形状は、少なくとも一つ以上の凸形状又は凹形状を有し、かつ、前記環状構造体の赤道面に対して対称であることが好ましい。
上述した手段において、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤの子午断面において、前記トレッド部の外側形状は、少なくとも一部に平坦部を有することが好ましい。
上述した手段において、前記カーカス部の一部は、前記環状構造体の径方向外側に配置されることが好ましい。
上述した手段において、前記環状構造体及び前記補強構造体は、弾性率が70GPa以上250GPa以下であることが好ましい。
上述した手段において、前記環状構造体及び前記補強構造体は、厚みが0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。
上述した手段において、前記環状構造体及び前記補強構造体は、金属であることが好ましい。
本発明は、空気入りタイヤの転がり抵抗を低減する構造を提供できる。
図1は、本実施形態に係るタイヤ子午断面図である。 図2は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の斜視図である。 図3は、本実施形態に係るが有するカーカス部の拡大図である。 図4は、環状構造体の子午断面図である。 図5は、環状構造体の変形例を示す子午断面図である。 図6は、本実施形態に係るタイヤの子午断面の一部を示す図である。 図7は、補強構造体を有する環状構造体を示す子午断面図である。 図8−1は、本実施形態の変形例に係るタイヤの子午断面を示す図である。 図8−2は、本実施形態の変形例に係るタイヤの子午断面を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
空気入りタイヤ(以下、必要に応じてタイヤという)の転がり抵抗を低減するため、タイヤの偏心変形を極限まで高めると、タイヤと路面との接地面積が小さくなり接地圧が増加する。その結果、トレッド部の変形による粘弾性エネルギ損失が大きくなり、転がり抵抗が増加する。本発明者らは、この点に注目し、タイヤと路面との接地面積を確保し、かつ偏心変形を維持することによって、転がり抵抗を低減し、かつ操安性を向上させることを試みた。偏心変形とは、タイヤのトレッドリング(クラウン領域のこと)が円形を保ったまま垂直に変位する一次モードの変形である。タイヤと路面との接地面積を確保し、かつ偏心変形を維持するため、本実施形態に係るタイヤは、例えば、金属の薄板で製造される円筒形状の環状構造体の外側に、前記環状構造体の周方向に向かってゴム層を設け、このゴム層をトレッド部とする構造を採用する。
図1は、本実施形態に係るタイヤ子午断面図である。図2は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の斜視図である。図3は、本実施形態に係るが有するカーカス部の拡大図である。タイヤ1は、環状の構造体であり、図1に示すような子午断面を有する。前記環状の構造体の中心を通る軸がタイヤ1の中心軸(Y軸)となる。タイヤ1は、使用時において、内部に空気が充填される。
タイヤ1は、中心軸(Y軸)を回転軸として回転する。Y軸は、タイヤ1の中心軸かつ回転軸である。タイヤ1の中心軸(回転軸)であるY軸に直交し、かつタイヤ1が接地する路面と平行な軸をX軸、Y軸とX軸とに直交する軸をZ軸とする。Y軸と平行な方向がタイヤ1の幅方向である。Y軸を通り、かつY軸に直交する方向がタイヤ1の径方向である。また、Y軸を中心とする周方向が空気入りタイヤ1の周方向(図1の矢印CRで示す方向)である。
図1に示すように、タイヤ1は、環状構造体10と、ゴム層11と、カーカス部12と、補強構造体15とを含む。図2に示すように、環状構造体10は、円筒形状の構造体である。ゴム層11は、環状構造体10の外側10soに、環状構造体10の周方向に向かって設けられることで、タイヤ1のトレッド部となる。カーカス部12は、図3に示すように、ゴム12Rで被覆された繊維12Fを有する。
図1に示すように、カーカス部12は、環状構造体10の径方向内側を通って、両方のビード部13間を連結している。すなわち、カーカス部12は、両方のビード部13、13間で連続している。なお、後述するように、カーカス部12は、環状構造体10の幅方向における両側に設けられるとともに、両方のビード部13、13間で連続していなくてもよい。このように、カーカス部12は、図3に示すように、少なくとも環状構造体10とゴム層11とを含む円筒形状の構造体2の中心軸(Y軸)と平行な方向(すなわち幅方向)における両側に設けられていればよい。
環状構造体10は、本実施形態においては金属材料で作られる。環状構造体10に用いることができる金属材料としては、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等があるが、これらに限定されるものではない。例えば、CFRP(Carbone Fiber Reinforced Plastics)やGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)等の繊維強化プラスチックを環状構造体10に用いることもできる。
環状構造体10の弾性率は、70GPa以上250GPa以下とすることが好ましい。また、環状構造体10の厚みtmは、0.1mm以上2.0mm以下とすることが好ましい。環状構造体10の厚みtmは、環状構造体10の材料によって適切な大きさに設定されることが好ましい。環状構造体10の弾性率の単位と厚みtの単位とをそれぞれGPa、mmとした場合、弾性率と厚みtmとの積で規定される剛性パラメータは、7以上500以下とすることが好ましい。
剛性パラメータを上記の範囲とすることにより、環状構造体10は、面内剛性が大きくなる。このため、タイヤ1に空気を充填したとき及びタイヤ1が路面に接地したときにおいては、環状構造体10によってトレッド部となるゴム層11の設置部における局所的な変形が抑制される。その結果、タイヤ1は、前記変形にともなう粘弾性エネルギの損失が抑制される。また、剛性パラメータを上記の範囲とすることにより、環状構造体10は、径方向における剛性は小さくなる。このため、タイヤ1は、従来の空気入りタイヤと同様に、路面との接地部でトレッド部が柔軟に変形する。このような機能により、タイヤ1は、接地部における局所的な歪み及び応力の集中を回避しながら偏心変形するので、接地部における歪みを分散させることができる。その結果、タイヤ1は、接地部におけるゴム層11の局所的な変形が抑制されるので、接地面積が確保され、転がり抵抗が低減される。
さらに、タイヤ1は、環状構造体10の面内剛性が大きいこと及びゴム層11の接地面積を確保できる結果、周方向における接地長さを確保できることから、舵角が入力されたときに発生する横力が大きくなる。その結果、タイヤ1は、大きなコーナーリングパワーを得ることができる。また、環状構造体10を金属で製造した場合、タイヤ1の内部に充填された空気は環状構造体10をほとんど透過しない。その結果、タイヤ1の空気圧の管理が容易になるという利点もある。このため、長期にわたり、タイヤ1に空気を充填しないような使用態様に対しても、タイヤ1の空気圧低下を抑制できる。
環状構造体10の中心軸(Y軸)と平行な方向、すなわち幅方向における環状構造体10の寸法(環状構造体幅)Wmは、図1に示す中心軸(Y軸)と平行な方向におけるタイヤ1の総幅(JATMA規定リム幅のホイールに組んで300kPaの空気を充填した状態)Wの50%(W×0.5)以上95%(W×0.95)以下とすることが好ましい。WmがW×0.5よりも小さい場合、環状構造体10の子午断面内における剛性が不足する結果、タイヤ幅に対して偏心変形を維持する領域が減少する。その結果、転がり抵抗を低減させる効果及びコーナーリングパワーも減少してしまうおそれがある。また、WmがW×0.95を超えると、接地時においてトレッド部が環状構造体10を中心軸(Y軸)方向に座屈変形させ、環状構造体10の変形を招くおそれがある。W×0.5≦Wm≦W×0.95とすることで、転がり抵抗を低減させつつコーナーリングパワーを維持し、さらに、環状構造体10の変形も抑制できる。
環状構造体10の外側10soとゴム層11の内側11siとは互いに接触している。本実施形態において、環状構造体10とゴム層11とは、例えば接着剤によって固定されている。このような構造により、環状構造体10とゴム層11との間で相互に力を伝達できる。環状構造体10とゴム層11とを固定する手段は、接着剤に限定されるものではない。
ゴム層11は、合成ゴムや天然ゴム又はこれらを混合したゴム材料と、当該ゴム材料に補強材として添加される炭素やSiO等を含む。また、環状構造体10は、ゴム層11の径方向外側には露出しないことが好ましい。このようにすれば、環状構造体10とゴム層11とをより確実に固定できる。さらに、環状構造体10は、ゴム層11内に埋設されていてもよい。このようにしても、環状構造体10とゴム層11とをより確実に固定できる。
ゴム層11は、無端のベルト状の構造体である。図1に示すように、本実施形態において、ゴム層11は、外側11soに複数の溝(主溝)Sを有している。ゴム層11は、溝Sの他にもラグ溝を有していてもよい。本実施形態において、ゴム層11の子午断面形状は限定されるものではないが、構造体2の子午断面において、ゴム層11の外側11so(タイヤ1のトレッド面)は、少なくとも一部に平坦部を有する(公差、誤差を含む)ことがより好ましい。
カーカス部12は、タイヤ1に空気を充填した際に、環状構造体10とともに圧力容器としての役目を果たす強度メンバーである。カーカス部12及び環状構造体10は、内部に充填された空気の内圧によってタイヤ1に作用する荷重を支え、走行中にタイヤ1が受ける動的荷重に耐える。本実施形態において、タイヤ1のカーカス部12は、内側にインナーライナー14を有する。インナーライナー14によって、タイヤ1の内部に充填された空気の漏洩を抑制する。両方のカーカス部12は、径方向内側に、それぞれビード部13を有する。ビード部13は、タイヤ1が取り付けられるホイールのリムと嵌合する。なお、カーカス部12は、ホイールのリムと機械的に結合していてもよい。
図1に示すように、タイヤ1は、環状構造体10の外側10soにおいて、幅方向における一端部から他端部に向かってカーカス部12が掛け渡され、かつ環状構造体10とゴム層11とによって両者の幅方向全領域でカーカス部12が挟まれる。このように、カーカス12を環状構造体10の径方向外側に配置することで、環状構造体10のタイヤ幅方向端部におけるゴム層11の変形を緩和できるので、タイヤ1の耐久性が向上する。
また、カーカス部12を環状構造体10とゴム層11とで挟むようにすると、カーカス部12は環状構造体10とゴム層11とに確実に固定され、高い強度を確保できるので好ましい。さらに、環状構造体10の外側10soにおいて幅方向全領域にわたりカーカス部12が覆うようにすることによって、カーカス部12がタイヤ1の幅方向において分断されないので、カーカス部12と環状構造体10との接合部に作用する力を抑制できる。その結果、タイヤ1は、前記接合部に不具合が発生するおそれが低減されるので、耐久性低下を抑制できる。
図4は、環状構造体の子午断面図である。図5は、環状構造体の変形例を示す子午断面図である。図4に示すように、環状構造体10の子午断面における形状は、少なくとも一つ以上の曲率を有する。すなわち、環状構造体10は、少なくとも1つの円弧を含む。環状構造体10は、幅方向中央に向かうにしたがって直径が大きくなっている。すなわち、環状構造体10は、径方向外側に突出する凸部を有する。また、図4の二点鎖線出示す環状構造体10’は、幅方向中央に向かうにしたがって直径が小さくなっている。すなわち、環状構造体10’は、径方向内側に凹む凹部を有する。さらに、図5に示す環状構造体10aは、径方向外側に突出する2つの円弧10T、10Tと、径方向内側に凹む1つの円弧10Uとを有する。
このように、本実施形態において、環状構造体10等は、子午断面における形状が、少なくとも1つの円弧を含んで入ればよい。環状構造体10等の子午断面の形状は少なくとも1つの円弧を有するので、環状構造体10等の剛性が増加し、その結果、コーナーリングパワーが増加する。また、同じコーナーリングパワーであれば、環状構造体10等の厚みを小さくできるので、材料節減及び質量低減が実現できる。環状構造体10等の質量が低減されることにより、タイヤ1の質量も低減されるので、タイヤ1が装着される車両においては、ばね下質量を低減させることができる。
環状構造体10等の子午断面において、環状構造体10等の外径が最も大きい部分と外径が最も小さい部分との差は0.1mm以上20mm以下であることが好ましい。すなわち、環状構造体10等の外径が最も大きい部分の半径をRmax、環状構造体10、10’の外径が最も小さい部分の半径をRminとすると、前記差はRmax−Rminとなる。このようにすることで、環状構造体10、10’の剛性(径方向における変形のしにくさを表す尺度)を適切な大きさにすることができるので、タイヤの性能(操縦安定性、乗り心地、耐衝撃性等)を確保することができる。
図4、図5に示すように、環状構造体10等の子午断面の形状は、少なくとも一つ以上の凸形状(径方向外側に突出する円弧)又は凹形状(径方向内側に凹む円弧)を有し、かつ、環状構造体10等の赤道面CPに対して対称であることが好ましい。このようにすることで、環状構造体10等の補強バランスを幅方向(Y軸と平行な方向)の両側で同様にすることができる。その結果、環状構造体10等及びタイヤ1の耐久性を向上させることができる。なお、環状構造体10等の子午断面における形状は、赤道面CPに対して対称でなくてもよい。環状構造体10等の子午断面における形状を、赤道面CPに対して非対称にすることで、タイヤ1の幅方向における特性を変更することができる。例えば、タイヤ1の装着する位置に左右の指定がある場合等に、タイヤ1の幅方向における特性を変化させて、より高い性能を追求することができる。
図6は、本実施形態に係るタイヤの子午断面の一部を示す図である。タイヤ1の子午断面において、トレッド部となるゴム層11の外側11soの形状(外側形状、トレッドプロファイル)は、少なくとも一部に平坦部FPを有することが好ましい。環状構造体10を有するタイヤ1は、トレッド部の剛性(面内剛性)が大きいため接地域と非接地域とにおけるトレッドプロファイルの変化が少ない。このため、タイヤ1のトレッドプロファイルを、タイヤ1の子午断面において路面と同様の平坦な形状とすることにより、タイヤ1の接地面を確保することができる。平坦部FPは、少なくとも環状構造体10が配置されている領域に配置されることが好ましい。また、平坦部FPは、環状構造体10の幅方向外側端部10t、10tからタイヤ1の幅方向外側に向かってそれぞれ3mm以上20mm以下の範囲(図6のWsで示す範囲)まで設けられることがより好ましい。
図7は、補強構造体を有する環状構造体を示す子午断面図である。環状構造体10の厚みは、0.1mm以上2.0mm以下と薄い。このため、タイヤ1へのインフレート時には環状構造体10の幅方向中央部が膨張しようとして、幅方向における両側にバックリングによる変形が発生することがある。その結果、環状構造体10及びタイヤ1の形状が歪み、タイヤ1の転動時における振動等の原因となることがある。この現象は、環状構造体10の厚みが小さい程、顕著になる。一方、環状構造体10の厚みが0.5mm以上になると、バックリングによる変形は抑制されるが、環状構造体10の質量が増加して、タイヤ1のばね下質量が増加する。
環状構造体10の幅方向における両端部の剛性をより向上させることにより、前記両端部で発生する、上述したバックリングによる変形を抑制することができる。このため、本実施形態では、補強構造体15を、環状構造体10のY軸と平行な方向における両側に設けることが好ましい。補強構造体15は、環状の構造体であり、幅方向における環状構造体10の両側の領域に設けられる。補強構造体15に用いることができる金属材料としては、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等があるが、これらに限定されるものではない。例えば、CFRP(Carbone Fiber Reinforced Plastics)やGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)等の繊維強化プラスチックを補強構造体15に用いることもできる。
補強構造体15により、Y軸と平行な方向における環状構造体10の両側の領域は、それ以外の領域よりも剛性が高くなる。このため、環状構造体10の両側に発生するバックリングによる変形を抑制しつつ、環状構造体10の質量増加を最小限に抑えることができる。剛性とは、径方向における剛性である。すなわち、一方の補強構造体15が設けられる領域(補強領域)と補強構造体15が設けられない領域(非補強領域)とに、それぞれ径方向に向かって同じ荷重を負荷した場合、補強領域の方が非補強領域よりも変形が少なくなる。
補強構造体15と環状構造体10とは、機械的に結合していることが好ましい。両者の結合においては、補強構造体15と環状構造体10とが直接結合していてもよいし、その他の部材(例えば、接着剤又はゴム等)を介して結合していてもよい。両者を機械的に結合させる例としては、例えば、溶接、リベット又はボルトによる締結、接着、焼き嵌め又は冷やし嵌め焼等がある。
補強構造体15は、弾性率が70GPa以上250GPa以下であることが好ましい。このようにすることで、バックリングによる変形を効果的に抑制できるとともに、タイヤ1の転がり抵抗を低減でき、さらに及び操安性を向上させることができる。なお、環状構造体10の弾性率と補強構造体15の弾性率とは異なっていてもよい。また、補強構造体15は、厚みthが0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。このようにすることで、バックリングによる変形を効果的に抑制できるとともに、タイヤ1の転がり抵抗を低減でき、さらに及び操安性を向上させることができる。なお、環状構造体10の厚みtmと補強構造体15の厚みthとは異なっていてもよい。
タイヤの子午断面1において、補強構造体15の断面2次モーメントは、0.004mm以上20mm以下であることが好ましい。このようにすれば、環状構造体10をより効果的に補強して、バックリングによる変形をより効果的に抑制することができる。図5に示す例において、補強構造体15の子午断面における形状は長方形である。この場合、断面2次モーメントIは、式(1)で求めることができる。補強構造体15の子午断面における形状は長方形である場合、I=0.004mmは、Wh=50mm、th=0.1mmに対応し、I=20mmは、Wh=30mm、th=2mmに対応する。Whは、補強構造体15の幅方向における寸法である。
I=Wh×th/12・・・(1)
図8−1、図8−2は、本実施形態の変形例に係るタイヤの子午断面を示す図である。これらの変形例は、環状構造体10に対するカーカス部12の取り付け方式が上述した実施形態と異なる他は、上述した実施形態と同様である。図8−1に示すタイヤ1aは、カーカス部12aの一端部が、環状構造体10の外側10soに取り付けられ、かつ環状構造体10とゴム層11とに挟まれる。補強構造体15は、環状構造体10の径方向内側に設けられる。このカーカス部12aは、タイヤ1aの幅方向において分断されている。このようにすることで、カーカス部12aが少なくなるため、タイヤ1aの質量を低減できる。
図8−2に示すタイヤ1bは、カーカス部12bが環状構造体10の内側10siの幅方向全域で固定される。このような構造により、タイヤ1bは、カーカス部12bがタイヤ1bの幅方向において分断されない。このため、タイヤ1bは、内圧をカーカス部12b全体で受けることになり、カーカス部12bと環状構造体10との接合部に内圧は作用しない。このように、図8−2に示すタイヤ1bは、幅方向においてカーカス部12bが分断されないので、カーカス部12bと環状構造体10との接合部に作用する力を抑制できる。その結果、タイヤ1bは、前記接合部に不具合が発生するおそれを低減できるので、タイヤ1bの耐久性低下を抑制できる。
(評価)
本実施形態に係るタイヤ1の性能を評価した。具体的には、本実施形態に係るタイヤ1を基にして、コンピュータで解析可能な数値解析モデルを作成し、コンピュータを用いて有限要素法で解析し、性能を評価した。数値解析モデルの元となったタイヤ1は、図1に示す子午断面形状を有している。評価に供したタイヤ1は、サイズが225/50R18である。環状構造体10は、厚みtm(図1参照)は0.2mm、幅Wmは150mmである。環状構造体10は、径方向外側にカーカス部12を配置し、両者をゴム層11に埋め込んだ。カーカス部12の両端部には、ビード部13が設けられる。
比較対象として、従来構造の空気入りタイヤについて、コンピュータで解析可能な数値解析モデルを作成し、コンピュータを用いて有限要素法で接地解析及び転動解析を実行した。従来構造の空気入りタイヤは、サイズが225/50R18である。本評価においては、内圧として230kPaを評価対象(タイヤ1及び従来構造の空気入りタイヤ)へ負荷した。この状態で、前記評価対象に4.5kNの接地荷重を負荷して、10km/hの転動速度で転動させた。
タイヤ1と従来構造の空気入りタイヤとを評価するための特性値は、転がり抵抗及びコーナーリングパワーである。コーナーリングパワーCPは、評価対象を定常転動させた状態において評価対象に舵角を1度与えたときに、横方向に発生する力の大きさである。転がり抵抗(転動抵抗)は、特許第3969821に記載された方法によって求めた。この方法は、まず静的接地解析結果において、タイヤモデルが一回転する場合に相当する周方向のひずみと応力の履歴を求め、その履歴のフーリエ変換結果である振幅と材料の損失正接を用いてタイヤモデルの各所の損失エネルギを求める。これをタイヤモデル全体で総和することによりタイヤモデル全体での損失エネルギを求め、この全損失エネルギをタイヤモデルの周長で除算することにより転がり抵抗を算出する方法である。コーナーリングパワーは、定常輸送解析を用いて求めた。
結果を表1に示す。従来例が従来構造の空気入りタイヤの評価結果であり、実施例が本実施形態に係るタイヤ1の評価結果である。評価結果は、従来例を100としたときの指数で表示してある。表1の結果から分かるように、本実施形態に係るタイヤ1は、従来例と比較して、転がり抵抗は低く、コーナーリングパワーは大きいことが分かる。なお、タイヤ1は、環状構造体10の幅方向両端にバックリングによる変形は発生しなかった。
Figure 0005747541
以上、本実施形態に係る空気入りタイヤは、性率の単位と厚みの単位とをそれぞれGPa、mmとした場合、弾性率と厚みとの積で規定される剛性パラメータが7以上500以下の環状構造体と、環状構造体の外側に配置されるゴム層とを有する。このような構造により、本実施形態に係るタイヤは、接地部におけるゴム層の局所的な歪み及び応力の集中を回避しながら偏心変形するので、接地部における歪みを分散させることができる。その結果、本実施形態に係るタイヤは、接地部におけるゴム層の局所的な変形が抑制されるので、接地部においては歪及び応力集中が分散されて、転がり抵抗が低減する。このように、本実施形態は、空気入りタイヤの転がり抵抗を低減する構造を提供できる。
また、本実施形態に係る空気入りタイヤは、環状構造体の子午断面の形状が少なくとも1つの円弧を有するので、環状構造体の剛性が増加する。その結果、本実施形態に係る空気入りタイヤは、コーナーリングパワーが増加する。また、同じコーナーリングパワーであれば、環状構造体の厚みを小さくできるので、本実施形態に係る空気入りタイヤは、材料節減及び質量低減が実現される。
また、上述した構造により、本実施形態に係る空気入りタイヤは、板状の部材を円筒状に成型して環状構造体とし、空気が充填される空間を環状構造体が囲むようになっている。このため、本実施形態に係る空気入りタイヤは、踏面(ゴム層の外側)から空気が充填される空間に対する異物の侵入は、環状構造体によって阻止される。このため、本実施形態に係る空気入りタイヤは、パンクしにくいという利点もある。さらに、補強構造体により、環状構造体の両端部におけるバックリングによる変形も抑制される。
1 空気入りタイヤ(タイヤ)
2 構造体
2S 両側
10、10a 環状構造体
10so 外側
10si 内側
11 ゴム層
11so 外側
11si 内側
12 カーカス部
12F 繊維
12R ゴム
13 ビード部
14 インナーライナー
15 補強構造体

Claims (7)

  1. 円筒形状の構造体である環状構造体と、
    前記環状構造体の径方向外側に、前記環状構造体の周方向に向かって設けられてトレッド部となるゴム層と、
    ゴムで被覆された繊維を有し、前記環状構造体と前記ゴム層とを含む円筒形状の構造体の中心軸と平行な方向における両側に少なくとも設けられるカーカス部と、
    金属の環状の構造体であり、幅方向における前記環状構造体の両側の領域に設けられる補強構造体と、を含み、
    前記環状構造体の子午断面における形状は、少なくとも一つ以上の曲率を有し、
    前記環状構造体及び前記補強構造体は、厚みが0.1mm以上2mm以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記環状構造体の子午断面において、前記環状構造体の外径が最も大きい部分と外径が最も小さい部分との差は0.1mm以上20mm以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記環状構造体の子午断面の形状は、少なくとも一つ以上の凸形状又は凹形状を有し、かつ、前記環状構造体の赤道面に対して対称である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤの子午断面において、前記トレッド部の外側形状は、少なくとも一部に平坦部を有する空気入りタイヤ。
  5. 前記カーカス部の一部は、前記環状構造体の径方向外側に配置される請求項1から4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記環状構造体及び前記補強構造体は、弾性率が70GPa以上250GPa以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記環状構造体は、金属である請求項1からのいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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