JP5746152B2 - 末端不飽和のオキセタン系マクロモノマー及びその製造方法 - Google Patents

末端不飽和のオキセタン系マクロモノマー及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は末端不飽和のオキセタン系マクロモノマー及びその製造方法に関する。
マクロモノマーは、少なくとも1つの官能性末端基を有するオリゴマー又はポリマーであり、官能性末端基により重合反応が進行する。すなわち、マクロモノマーは、規定構造を有するホモ−又はコポリマーに変換可能な高分子のモノマーである。例えば、マクロモノマーをエチレン性不飽和末端基とフリーラジカル重合によって反応させると、規定の長さの側鎖を有するグラフトコポリマー又は櫛型ポリマーが生成され得る。
特許文献1には、2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物由来のコアを持ち、しかも少なくとも1つのヒドロキシオキセタンから生じる少なくとも1つの分岐の創生を伴う、樹枝状ポリエーテルの製造方法が記載されている。樹枝状ポリエーテルのコアは、1つ以上のアリル基を含有する場合がある。しかし、アリル基は、フリーラジカル重合反応では比較的低い反応性しか示さない。
特許文献2には、少なくとも2つの官能基を有するオキセタンモノマーの熱開始型触媒開環によって生成される、超分岐樹枝状ポリエーテルの合成法が記載されている。生成する超分岐樹枝状ポリエーテルの末端ヒドロキシル基はその後、例えばエポキシド基、アリル基又はアクリレート基で官能化することで更に変換することも可能である。ただし、この方法では、1分子につきフリーラジカル重合可能な基をそれぞれ1つだけ有する規定のポリエーテルを得ることはできない。
1分子につき複数のフリーラジカル重合可能な基を含む前記マクロモノマーをフリーラジカル重合すると、望ましくない架橋反応のリスクが生じる。
PCT国際公開特許WO02/40572A1 PCT国際公開特許WO00/56802A1
本発明が取り組む課題は、新規オキセタン系マクロモノマー及びその製造方法を提供することであり、前記新規オキセタン系マクロモノマーはそれぞれ、1分子につき1つの容易にフリーラジカル重合可能なヘッド基を含み、しかもそれから、任意に追加のコモノマーとのフリーラジカルホモ重合又は共重合によって新規なホモポリマー及び/又はコポリマーが生成され、前記新規なホモポリマー及び/又はコポリマーは、コーティング組成物及び/又はプラスチック中で添加物として使用するのに適している。
新規なホモポリマー及び/又はコポリマーを添加物として用いることで、コーティング組成物又はコーティング及び/又はプラスチックの特性を制御された方式で変更することができる。
例えば、流れ調整剤として好適な添加物を生成することが可能であり、しかも、例えばコーティング組成物、若しくはコーティング又はプラスチックのレベリング、つや及び/又は乳光を向上させることも可能である。
例えば、コーティング組成物、又はコーティング及び/又はプラスチックに非粘着性表面を付与する添加物を生成することが可能であり、その結果、例としては、防汚性、撥水性及び/又は撥油性の表面を得ることができる。
例えば、湿潤剤や分散剤として好適で、しかも、例としては、顔料を添加した及び/又は充填剤を含むコーティング組成物の粘度を下げたり、及び/又はコーティング組成物中での顔料及び/又は充填剤の分散を安定させることができる添加物を得ることができる。
例えば、コーティング組成物又はコーティング及び/又はプラスチックに改善された濡れ性を付与する添加物を生成することが可能であり、その結果、例としては、更に印刷し易い表面が得られ、及び/又はコーティングの接着性が向上する。多くのコーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックは、表面エネルギーが小さな無極性表面を有している。そのため、このような表面は、例えば水性コーティング組成物、印刷用インク、水性ポリマー分散液、接着剤又は密着促進剤によって濡れ難い。このような基材表面の濡れ性を極性(例えば、水性の)コーティング組成物を用いて改善するには、基材の表面エネルギーを添加物により増強させる必要があり、そうすることで、基材表面の極性が大きくなる。このために、濡れ性を改善するのに合わせて、またそれ故に、例えば様々なコーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックの印刷適性又は塗装適性を高めるのに合わせて、添加物を開発する必要がある。
その上、添加することで前記の改善された特性を付与する添加物は、コーティング組成物又はコーティング、ポリマー成形組成物又は熱可塑性プラスチックの他の特性もできる限り損なわないものである。添加される添加物は、更に、比較的少量でその効果を発揮できるものである。コーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックもまた、それらの改善された表面特性を屋外の気候に暴露されても数年間は事実上維持するものである。これには、例えば非粘着性及び/又は防汚効果といった効果が何回もの洗浄サイクルにわたって長持ちすることも含まれる。
驚くべきことに、前記課題は、独立クレームの主題によって解決される。本発明の特定の実施態様は、従属クレームに記載されている。
本発明は、マクロモノマーの製造方法であって、式(I):
Figure 0005746152
〔式中、R1は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシであり、R2は、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシであり、そしてR3は、いずれの場合も独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシである〕の少なくとも1つのヒドロキシオキセタンをスターター分子U−L−X−H〔ここで、Uはアリル基(H2C=CH−CH2−)以外の、エチレン性不飽和のフリーラジカル重合可能なヘッド基であり、Lはフリーラジカル重合可能な基を持たない、二価の有機ラジカルであり、及びX−Hはフリーラジカル重合できずしかも活性な水素原子Hを有する基である〕とモル比〔前記式(I)のヒドロキシオキセタン(類):前記スターター分子〕100:1〜1:1で、少なくとも1つのカチオン開環重合において好適な触媒の存在下で反応させる前記方法を提供する。
本発明はさらに、本方法によって得ることのできるマクロモノマーも提供する。
本発明の方法によって生成される本発明のオキセタン系マクロモノマーがそれぞれ、1分子につき1つのフリーラジカル重合可能なヘッド基を含むことが必須である。これにより、規定の櫛型構造を有するポリマーをその後のフリーラジカルホモ重合又は共重合で生成することが可能となる。さらに、前記ヘッド基が容易にフリーラジカル重合できることも本発明において必須である。したがって、アリル基(H2C=CH−CH2−)は、フリーラジカル重合する傾向をほんのわずかしか示さず、ヘッド基としてはふさわしくない。
ヒドロキシオキセタン
本発明の方法では、式(I):
Figure 0005746152
〔式中、R1は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシであり、R2は、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシであり、そしてR3は、いずれの場合も独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシである〕の少なくとも1つのヒドロキシオキセタンを前記のスターター分子と反応させる。
好ましくは、式(I)の少なくとも1つのヒドロキシオキセタンは、
3−アルキル−3−(ヒドロキシアルキル)オキセタン[すなわち、R1はアルキル、R2はヒドロキシアルキル、全てのR3はH]、3,3−ジ(ヒドロキシアルキル)オキセタン[すなわち、R1、R2はヒドロキシアルキル、全てのR3はH]、3−アルキル−3−(ヒドロキシアルコキシ)オキセタン[すなわち、R1はアルキル、R2はヒドロキシアルキコキシ、全てのR3はH]、3−アルキル−3−(ヒドロキシアルコキシアルキル)オキセタン[すなわち、R1はアルキル、R2はヒドロキシアルコキシアルキル、全てのR3はH]、又はこれらヒドロキシオキセタンの混合物であり、更に好ましくは3−アルキル−3−(ヒドロキシアルキル)オキセタン[すなわち、R1はアルキル、R2はヒドロキシアルキル、全てのR3はH]及び/又は3−アルキル−3−(ヒドロキシアルコキシ)オキセタン[すなわち、R1はアルキル、R2はヒドロキシアルコキシ、全てのR3はH]である。
本明細書で「アルキル」という語句は、好ましくは、炭素原子数1〜24、例えば炭素原子数1〜12又は1〜8の直鎖又は分岐アルキルラジカルを表す。さらに好ましくは、「アルキル」という語句は、メチル又はエチルを表す。
本明細書で「アルコキシ」という語句は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、フェニルエトキシを表し、更に好ましくは、エトキシ及び/又はプロポキシを表しており、そして20個までのアルコキシ単位か或いは、ランダム、ブロック、又はグラジエント形に配置されていてよい2つ以上のアルコキシ単位の組み合わせを含む。
特に好適なヒドロキシオキセタンの例は3−メチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン[すなわち、R1はメチル、R2はヒドロキシメチル、全てのR3はH]、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン[すなわち、R1はエチル、R2はヒドロキシメチル、全てのR3はH](トリメチロールプロパンオキセタン)、及びヒドロキシル基をエトキシル化及び/又はプロポキシル化して、ランダム、ブロック、又はグラジエント形に配置されていてよい1〜20個のエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位を有する、これらの誘導体、3,3−ジ(ヒドロキシメチル)オキセタン[すなわち、R1、R2はヒドロキシメチル、全てのR3はH]、又はこれらヒドロキシオキセタンの混合物である。
3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(トリメチロールプロパンオキセタン、TMPO)及び/又は、ヒドロキシル基をエトキシル化及び/又はプロポキシル化して、ランダム、ブロック、又はグラジエント形に配置されていてよい1〜20個のエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位を有するその誘導体を用いることが特に好ましい。
エトキシル化されたTMPOに基づいて製造されたマクロモノマーの長所の一つは、直鎖ポリエチレングリコールメタクリレートと比較すると、それらが、同じモル質量であれば、融点が低く(結晶化度が低い)しかも低粘性であることである。これらの特性は、これらマクロモノマーから製造されるポリマーにも見出される。
ヒドロキシオキセタンのヒドロキシル基(類)は、遊離状態で存在していても、又は好適な保護基で保護されていてもよい。保護基とは、開裂し易い基、例えばアセタールを表すと考えられる。
ヒドロキシオキセタンのヒドロキシル基(類)は、誘導体化に使用することも可能である。例えば、ヒドロキシオキセタンのヒドロキシル基類は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はスチレンオキシドでアルコキシル化してもよい。アルキレンオキシドの混合物を用いてもよい。好ましくは、ヒドロキシオキセタンをエトキシル化及び/又はプロポキシル化してから、開環重合する。さらには、例えばヒドロキシル基とイソシアネートとの反応により追加の側鎖を導入することでウレタンを形成することも可能である。例えば、ポリエチレンオキシド(EO)、ポリプロピレンオキシド(PO)又はEO−PO混合側鎖(EO/POは、本明細書ではランダムポリマー、ブロックポリマー又はグラジエントポリマーとして)は、ポリアルキレンオキシド(類)の対応するTDI(トリレンジイソシアネート)モノ付加体をヒドロキシオキセタンのヒドロキシル基と反応させることでグラフト化側鎖として導入することが可能である。ヒドロキシオキセタンのヒドロキシル基を更に誘導体化する方法は、例えば、ウィリアムソンのエーテル合成、酸無水物との反応又はカルボキシメチル化である。あらゆる既知の誘導体化法が原理上は利用可能であるが、後続のヒドロキシオキセタン類のカチオン性開環重合又はそれを用いた場合に生じるオキセタン系マクロモノマーの不飽和ヘッド基のフリーラジカル重合に悪影響を及ぼさないことを条件とする。ヒドロキシオキセタンの誘導体化は、本発明のオキセタン系マクロモノマーの特性に影響を及ぼす可能性があるので、本発明のマクロモノマーを用いてポリマーを作製する場合、ポリマーの特性、例えば様々なコーティング組成物及びプラスチックとの相溶性に関するものに影響を与える可能性もある。
<スターター分子U−L−X−H>
スターター分子U−L−X−Hには、アリル基(H2C=CH−CH2−)以外の、エチレン性不飽和のフリーラジカル重合可能なヘッド基Uが含まれる。ヘッド基が容易にフリーラジカル重合できることは、本発明の本質的な特徴である。そのため、アリル基(H2C=CH−CH2−)は、フリーラジカル重合する傾向がほんのわずかしか示さず、ヘッド基にはふさわしくない。好ましくは、エチレン性不飽和のヘッド基は、Uはアクリロイル[H2C=CH−C(=O)−]又はメタクリロイル[H2C=C(CH3)−C(=O)−]である。
二価の有機ラジカルLは、フリーラジカル重合可能な基を含まない。フリーラジカル重合可能な基とは、その通常の条件でフリーラジカル重合可能な官能基、例えばエチレン性不飽和基を表すものと考えられる。ラジカルLは、例えば、アルキレンラジカル、アリーレンラジカル又はポリアルキレンオキシドラジカルであってよい。
好ましくは、二価の有機ラジカルLの構造は−O−L’で表され、ここで−O−は酸素原子であり、そしてL’は、アルキレンラジカル及びポリアルキレンオキシドラジカルからなる群から選択される。
さらに好ましくは、二価の有機ラジカルLの構造は−O−L’で表され、ここで−O−は酸素原子であり、そしてL’は、炭素原子数2〜5のアルキレンラジカル、2〜5個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレンオキシドラジカル、2〜5個のプロピレンオキシド単位を有するポリプロピレンオキシドラジカル及び2〜5個のアルキレンオキシド単位を有するポリエチレン/ポリプロピレン混合ラジカルからなる群から選択される。
特に好ましくは、二価の有機ラジカルLの構造は−O−L’で表され、ここで−O−は酸素原子であり、そしてL’は、炭素原子数2〜5のアルキレンラジカルである。
X−H基は、フリーラジカル重合できずしかも活性な水素原子Hを有する、官能基である。活性な水素原子とは、オキセタンのカチオン性開環重合を酸性触媒作用下で、例としてはルイス酸〔例えば、AlCl3、BF3、TiCl4、ZnI2、SiF4、SbF5、PF5、AsF5又はSbCl5〕により或いは例としてはハロゲン化酸〔例えば、FSO3H、ClSO3H、HClO4、HIO4又はCF3SO3H〕又は別のブレンステッド酸〔例えば、パラトルエンスルホン酸、スルホン酸〕により、30℃〜130℃で開始できる水素原子を表すものと考えられる。X−H基は、例えば、N−H基、S−H基又はO−H基であってもよい。X−H基は、好ましくはヒドロキシル基O−H又はチオール基S−Hである。というのも、一般には結果として高収率が得られるためである。特に好ましくは、X−H基はヒドロキシル基O−Hである。
スターター分子U−L−X−Hは、好ましくは、メタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル[H2C=C(CH3)−C(=O)−O−(CH2a−OH]及びメタクリル酸のポリエチレンオキシドエステル[H2C=C(CH3)−C(=O)−O−(CH2−CH2−O)a−H]〔ただし、a=1〜20、好ましくはa=1〜10、さらに好ましくはa=2〜5である〕からなる群から選択される。
スターター分子U−L−X−Hは、特に好ましくはヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシブチルメタクリレートである。
<オキセタン系マクロモノマーの製造>
本発明のオキセタン系マクロモノマーは、式(I):
Figure 0005746152
〔式中、R1は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシであり、R2は、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシであり、そしてR3は、いずれの場合も独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシである〕の少なくとも1つのヒドロキシオキセタンをスターター分子U−L−X−H
〔ここで、Uはアリル基(H2C=CH−CH2−)以外の、エチレン性不飽和のフリーラジカル重合可能なヘッド基であり、Lはフリーラジカル重合可能な基を持たない、二価の有機ラジカルであり、及びX−Hはフリーラジカル重合できずしかも活性な水素原子Hを有する基である〕とモル比〔式(I)のヒドロキシオキセタン(類):スターター分子〕100:1〜1:1で、カチオン開環重合において少なくとも1つの好適な触媒の存在下で反応させる本発明の製造方法により生成される。
好ましくは、前記モル比〔式(I)のヒドロキシオキセタン(類):スターター分子〕は、50:1〜2:1であり、25:1〜3:1が更に好ましい。
本発明のオキセタン系マクロモノマーがそれぞれヘッド基としてフリーラジカル重合可能な基を1分子につき1つ含有することは、本発明において必須である。これにより、規定の櫛型構造のポリマーを、その後のマクロモノマーのフリーラジカルホモ重合又は共重合で生成することができる。ただし、周知の通り、化学合成では通常、副生成物が生じる。本発明のマクロモノマーの合成では、そのために、2つ以上のフリーラジカル重合可能な基を有する少ない割合のマクロモノマーと、フリーラジカル重合可能な基を有しない少ない割合の生成物と、が生成される可能性もある。しかし、本発明の製造法によれば、このような副生成物の割合をごく少量に抑えることができる。したがって、本発明により合成されるマクロモノマーは、フリーラジカル重合可能な基を全く持たないか又は2つ以上持った分子の割合がほんのごく少量であるか、少しも有していないことが更に好ましい。
本発明のマクロモノマーは、ヒドロキシオキセタン類とスターター分子とを約30℃〜130℃、好ましくは約50℃〜110℃において少なくとも1つの好適な触媒の存在下でカチオン性オキセタン開環重合することにより製造される。
カチオン性オキセタン開環重合に好適な触媒は、例えばルイス酸、特にAlCl3、BF3、TiCl4、ZnI2、SiF4、SbF5、PF5、AsF5又はSbCl5、ハロゲン化酸、特にFSO3H、ClSO3H、HClO4、HIO4又はCF3SO3H、そして更にはブレンステッド酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、スルホン酸)である。用いる触媒は、オニウム塩、例えばスルホニウム塩、オキソニウム塩及び/又はヨードニウム塩であってもよい。このような化合物の例は、ベンジルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロホスフェート及びベンジルテトラメチレンスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートである。用いる触媒は、好ましくはCF3SO3H(トリフルオロメタンスルホン酸)である。というのも、スターター分子U−L−X−Hのエチレン性不飽和ヘッド基が、カチオン性オキセタン開環重合中にできる限り損なわれず、更に好ましくは早期に重合せず、むしろ前記不飽和基がまさに実質上、温存されるためである。このことは、この点に関してカチオン重合に対して穏やかな触媒、例えばトリフルオロメタンスルホン酸を用いることで促進される。
本発明のマクロモノマーは、好ましくはフリーラジカル重合禁止剤の存在下で製造される。好適なフリーラジカル重合禁止剤は、例えば、ヒドロキノン又はヒドロキノンモノメチルエーテルである。フリーラジカル重合禁止剤を用いて、オキセタンモノマーの保存中又は熱促進型カチオン性開環重合中に形成される可能性のあり得るフリーラジカルを除去することで、スターター分子のエチレン性不飽和のフリーラジカル重合可能なヘッド基Uの安定性が保障される。したがって、フリーラジカル重合禁止剤を使用する場合の利点の一つは、反応が容易に遂行され、しかも副生成物の量がより少なくなることである。
好ましくは、ヒドロキシオキセタン(類)は、スターター分子U−L−X−Hと少なくとも1つの酸性触媒と、好ましくは、更に少なくとも1つのフリーラジカル重合抑制剤とを含む、予熱した反応混合物に徐々に加える。ヒドロキシオキセタン(類)を徐々に加えることで、より優れた規定の生成物が得られる。
溶媒を使用してもよい。ただし、それらは、カチオン性オキセタン開環重合に影響を及ぼすものであってはいけない。好適な溶媒は、例えば活性水素原子も、重合可能な環も、又はヒドロキシオキセタン(特に、ヒドロキシオキセタンのヒドロキシル基)、スターター分子又はオキセタン系マクロモノマーと反応し得る基も含有しないものである。好ましくは、脂肪族、脂環式及び芳香族溶媒、ケトン類並びにブロック化ポリエーテルを溶媒として使用することができる。溶媒の選択は、マクロモノマーから引き続き合成されるポリマーのその後の最終用途に左右される。低沸点溶媒を使用することで、その後生成されるポリマーを100%配合物として使用するべき前記用途、例えばUV硬化塗料系の場合に、蒸留で除去し易くすることが好ましい。
反応終了時に、生成物を冷却し、そして塩基を加えるか又は塩基性イオン交換樹脂で処理することで中和する。スターター分子はどの程度の量残っていても、その後のフリーラジカル重合に悪影響を及ぼすのであれば、好適な蒸留手段によって、例えば薄膜蒸発によって除去することが可能である。
ヒドロキシオキセタンとスターター分子U−L−X−Hとのカチオン性開環重合は、特定のスターター分子U−L−X−Hを選択することで実行し易くなる。一般に、前記反応は、(メタ)アクリル酸エステル群に由来するスターター分子を用いると特に効率良く実行できる。一方、対応するアミド又はビニルベンジルアルコールをスターター分子として使用する場合は、反応がいくぶん実行しにくくなる可能性がある。
オキセタン系マクロモノマーは、ポリマー類似反応で更に変性してから、その後引き続きフリーラジカル重合を行ってもよい。例えば、遊離ヒドロキシル基の全て又は一部を、例えば酢酸でエステル化してもよい。エステル化は、例えば、ポリマーを使用する際の塗料系における中間層の密着問題を回避したり或いはポリマーの極性を変えるのに有用な場合がある。マクロモノマー中の遊離ヒドロキシル基の全て又は一部をイソシアネート、例えばアルキルイソシアネートと反応させてもよい。比較的長鎖のアルキルイソシアネート、例えばステアリルイソシアネートで変性してからフリーラジカル重合することで、ポリマーの極性を疎水性に変えることができ、そうすることで、ポリマーが非極性熱可塑性プラスチック中で利用し易くなる。これとは対照的に、高い親水性と場合により高い水溶性は、マクロモノマー(類)の遊離ヒドロキシル基の全て又は一部を親水性化合物、例えばTDIモノ付加体と反応させてからフリーラジカル重合することで達成される。好適な例は、トリレンジイソシアネート(TDI)とメタノール開始型ポリエチレングリコールとの反応に由来するモノ付加体である。マクロモノマー類の親水性変性物と疎水性変性物との適切な混合物を用いてからフリーラジカル重合することで、両親媒性ポリマー構造を製造することも可能である。
<使用>
本発明のポリマーは、前記マクロモノマー及び任意に追加のコモノマーから、式(I):
Figure 0005746152
〔式中、R1は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシであり、R2は、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシであり、そしてR3は、いずれの場合も独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシアルキル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール又はヒドロキシアリールオキシである〕の少なくとも1つのヒドロキシオキセタンをスターター分子U−L−X−H〔ここで、Uはアリル基(H2C=CH−CH2−)以外の、エチレン性不飽和のフリーラジカル重合可能なヘッド基であり、Lはフリーラジカル重合可能な基を持たない、二価の有機ラジカルであり、及びX−Hはフリーラジカル重合できずしかも活性な水素原子Hを有する基である〕とモル比〔前記式(I)のヒドロキシオキセタン:前記スターター分子〕100:1〜1:1で、少なくとも1つのカチオン開環重合において好適な触媒の存在下で反応させることで生成される1つ以上のマクロモノマー、及び場合により1つ以上の別のフリーラジカル重合可能なコモノマーをフリーラジカル重合することで生成される。
前記ポリマーを製造するために、1つ以上の別個の本発明のマクロモノマーをフリーラジカルホモ重合又は共重合してもよい。前記ポリマーは、本発明のマクロモノマー類のうち、前記の好ましい態様に従って生成される前記マクロモノマーを用いて製造される。
本発明のマクロモノマーに加えて、1つ以上の別個のフリーラジカル重合可能なコモノマーを重合することも可能である。少なくとも1つのこのようなコモノマーを用いることが好ましい。フリーラジカル重合可能なコモノマーとは、フリーラジカル重合可能な基を少なくとも1つ有する化合物を表すものと考えられる。フリーラジカル重合可能な基とは、その通常の条件下でフリーラジカル重合可能な官能基、例えばエチレン性不飽和基を表すものと考えられる。このエチレン性不飽和基は、特に使用するマクロモノマーがヘッド基Uとしてアクリロイル基、メタクリロイル基又はスチレン基を有する場合、好ましくは置換又は非置換のアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アクリルアミドアルキル基、メタクリルアミドアルキル基、スチリル基、α−メチルスチリル基、アリル基、ビニルベンジル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基及びビニルケトン基からなる群から選択される。
好適なコモノマーの例は、炭素原子数1〜24の直鎖、分岐又は脂環式アルコールのアルキルアクリレート類及びアルキルメタクリレート類、炭素原子数8〜18のアラルキルアルコールのアラルキルアクリレート類及びアラルキルメタクリレート類、炭素原子数2〜36の直鎖、分岐又は脂環式ジオールのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、炭素原子数1〜22の直鎖、分岐又は脂環式アミンのアルキル(メタ)アクリルアミド類、炭素原子数2〜8の直鎖、分岐又は脂環式アミノアルコールのアミノアルキル(メタ)アクリレート類、アルコキシル化(メタ)アクリレート類[例えば、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート類、ポリプロピレンオキシド(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール−ポリプロピレンオキシド(メタ)アクリレート類、ポリエステル変性(メタ)アクリレート類(例として、例えば日本のダイセル(Daicel)製のカプロラクトン変性(メタ)アクリレート類)、(メタ)アクリロニトリル類、ビニルアルカノエート類、炭素原子数2〜30のアルケン及びアリールアルケン類、スチレン類及び置換スチレン類、α−メチルスチレン類及び置換α−メチルスチレン類、アルキルビニルエーテル類、ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート類及び対応する部分フッ素化(メタ)アクリレート類、ペルフルオロアルキルブロックポリエーテル(メタ)アクリレート類、ペルフルオロアルキルエチルチオカルボニルアミノエチル(メタ)アクリレート類、ペルフルオロオレフィン類、(メタ)アクリロイルオキシアルキルシロキサン類、(メタ)アクリロイルオキシアルキルポリシロキサン類、(メタ)アクリロイルオキシポリエーテルアルキルポリシロキサン類、N−ビニルカルバゾール類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びメサコン酸(メチルフマル酸)のフッ素化アルキルエステル類及びフッ素を含まないアルキルエステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド類、メタクリル酸、アクリル酸、ヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリルアミド類、ヒドロキシ官能性アルキルビニルエーテル類、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリジン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]−2−イミダゾリジノン、アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、炭素原子数1〜22の直鎖、分岐又は脂環式アルキル基を有するN−アルキル−及びN,N−ジアルキル−置換アクリルアミド類、例えば、N−(t−ブチル)アクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド、イオン性モノマー、アリルアルコール、アルコキシル化アリルアルコール誘導体(例えば、エトキシル化アリルアルコール、プロポキシル化アリルアルコール及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの割合を含む混合アルコキシル化アリルアルコール)、並びにポリエステル(例えば、カプロラクトンを用いて)変性されたアリルアルコール系誘導体である。
好ましくはポリジメチルシロキサンモノ(メタ)アクリレート類、例えば直鎖(メタ)アクリロイルオキシアルキルポリジメチルシロキサン類(例えば、α−ブチルジメチルシロキシ−ω−(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン又はα−ブチルジメチルシロキシ−ω−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシプロピル)ポリジメチルシロキサン)、分岐(メタ)アクリロイルオキシアルキルポリジメチルシロキサン類[例としては、メタクリロイルオキシプロピル末端の分岐ポリジメチルシロキサン類であって、例えば、(メタクリロイルオキシプロピル)メチルシロキサン−ポリジメチルシロキサンコポリマー類又はT型構造のメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサン類等]、(メタ)アクリルポリエーテルアルキルポリジメチルシロキサン類[例えば、α−ブチルジメチルシロキシ−ω−(3−メタクリロイルオキシ(ポリエチレンオキシド)プロピル)ポリジメチルシロキサン]又はポリジメチルシロキサンモノアルケン類等のコモノマー類を用いることが好ましく、更に好ましくは、ポリジメチルシロキサンモノ(メタ)アクリレート類を用いる。これによりコポリマー類が得られ、前記コポリマー類を添加物として使用すると、コーティング組成物及びプラスチックの表面張力を下げるか、又は長持ちする防指紋効果及び防汚特性を持った耐引掻性表面が得られるといった、良い結果を得ることができる。
フッ素化コモノマー類を用いることが好ましい。これにより、コーティング組成物及びプラスチックの表面張力を低下させるか又は防汚性表面を与える添加物として、流れ調整剤として特に優れた有用性を示すコポリマー類が得られる。
(メタ)アクリル酸とアルカノール類[例えばC1〜C14−モノヒドロキシアルカン]とのエステルをコモノマー類として用いることが好ましい。これにより、添加物として、コーティング組成物若しくはコーティング又はプラスチックのレベリング、つや及び/或いは乳光を向上させるのに特に優れた有用性を示すコポリマーが得られる。例えば、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート及び/又はイソボルニルメタクリレートが利用可能である。更に好ましいモノマー類は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、スチレン、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メタクリル酸及びアクリル酸である。
湿潤剤及び分散剤、密着促進剤並びに乳化剤を製造する場合は、次のコモノマー類も好ましい。無水マレイン酸、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール。
好ましくは、前記好ましいコモノマー類の混合物及び前記コモノマー類と他のコモノマー類との混合物も利用可能である。
「(メタ)アクリレート」という表記には、アクリレートとメタクリレートの両方が包含される。
イオン基は、対応するイオン性のエチレン性不飽和モノマーとして前記ポリマーに導入されてもよく、又はポリマー類似反応、例えば塩形成又は3級アミノ化合物の4級化によって、その後生成されてもよい。
例として、前記ポリマー中の酸官能基(例えば、カルボン酸類及びリン酸エステル類)を塩基と反応させてもよい。無水マレイン酸等の酸無水物から始めて、水での加水分解或いは1価アルコール又はポリエーテルとのモノエステル又は部分エステルの形成によって先ずカルボン酸官能基を生成してから、これを塩基と反応させてもよい。
前記ポリマー中のオキシラン構造をo−リン酸等の求核試薬と反応させてから、塩基を用いて塩を形成することで、イオン基を生成してもよい。
前記ポリマー中のヒドロキシ官能基をポリリン酸と反応させて、リン酸エステルを形成してから、塩基で塩形成することで、イオン基を生成してもよい。
好適な塩基は、例えば、アミン、例えば、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)プロパン−1−オール、トリエチルアミン、ブチルアミン及びジブチルアミン、元素周期律表第1群〜第3群の金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム及び炭酸水素ナトリウムである。
米国特許第6,111,054に記載されているように、前記ポリマーと結合したアミンを、カルボン酸又はリン酸及びそれらのエステルを用いて塩に変換してもよい。
また、アミン類は、ハロゲン化アルキル(例えば、塩化ベンジル)とのアルキル化反応中に又はオキシランをカルボン酸と組み合わせることで、4級アンモニウム塩に変換してもよい。
3級アミンは、酸素、過カルボン酸類及び過酸化水素類等のペルオキソ化合物類を用いてアミンオキシドへ変換可能であり、さらには塩酸等の酸を用いて塩類へも変換可能である。
イオン性のエチレン性不飽和モノマーの例としては、次のリストを挙げることができ、ここで「(メタ)アクリレート」という表現には、アクリレートとメタクリレートの両方が包含される。アクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸の塩、4級アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えば、2−トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド及び2−ベンジルジメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートクロライド、リン酸を含むモノマー類の塩、例えば、トリプロピレングルコールメタクリレートリン酸ナトリウム。
自己架橋型ポリマー類は、例えばエポキシ官能性コモノマー類、例えば、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートを用いるか又はシラン官能性コモノマー類を用いることで、制御された方法で生成することができる。前記ポリマー類は、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。好ましくは、前記ポリマー類はコポリマーである。
1つ以上のコモノマーを本発明のオキセタン系マクロモノマー(類)のフリーラジカル重合に用いる場合、形成されるコポリマー中の本発明のオキセタン系マクロモノマー(類)の単位の割合は、いずれの場合もコポリマー全体に対して好ましくは1〜60モル%、更に好ましくは2〜30モル%、特に好ましくは2〜15モル%である。
本発明のポリマーは、有機溶媒中又はバルク中で過酸化物又はアゾ化合物等のフリーラジカル開始剤の存在下において、当業者に既知の方法でフリーラジカル重合することによって製造することができる。有用な溶媒としては、特にエステル、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル又は1−メトキシ−2−プロピルアセテート及び芳香族溶媒、例えば、トルエン又はキシレン並びにケトン、例えば、メチルイソブチルケトン又はメチルエチルケトンが挙げられる。溶媒の選択は、前記ポリマー類のその後の最終用途に左右される。例えばUV硬化コーティング系中で又はポリマー中で、前記ポリマー類を100%製品として使用すべき用途の場合、低沸点溶媒を用いることで溶媒を蒸留で除去し易くすることが好ましい。
フリーラジカル重合は、約40℃〜180℃、好ましくは60℃〜150℃、更に好ましくは80℃〜130℃の温度で行う。
フリーラジカル重合は、連続プロセスとして又はバッチ式プロセスとして実行してよい。
フリーラジカル重合は、例えばバルク重合として、溶液重合として、沈殿重合として、乳化重合として又は懸濁重合として行ってよい。
フリーラジカル重合は、未制御のフリーラジカル重合として行っても、又は制御されたフリーラジカル重合として行ってもよい。
制御されたフリーラジカル重合法によって、狭い分子量分布を有する、より優れた規定のポリマー構造を得ることができる。制御されたフリーラジカル重合としては、当業者に既知の方法、例えばATRP(原子移動ラジカル重合)、GTP(官能基移動重合)、NMP(ニトロオキシド媒介重合)、RAFT(可逆的付加開裂連鎖移動法)又はMADIX(キサンテートの交換反応による高分子設計)が利用可能である。
制御された重合法としては、特に「可逆的付加開裂連鎖移動法(RAFT)」が挙げられ、これは、特定の重合制御剤を用いる場合、「MADIX(キサンテートの交換反応による高分子設計)」及び「付加開裂連鎖移動」とも呼ばれる。RAFTは、例えば、ポリマー・インターナショナルズ(Polym. Int.)、2000年、 49巻、993頁、オーストラリアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Aust. J. Chem)、2005年、58巻、379頁、高分子科学パートA:高分子化学(J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem.)、2005年、43巻、5347頁、ケミストリー・レターズ(Chem. Lett.)、1993年、22巻、1089頁、高分子科学パートA、1989年、27巻、1741頁、1991年、29巻、1053頁、1993年、31巻、1551頁、1994年、32巻、2745頁、1996年、34巻、95頁、2003年、41巻、645頁、2004年、42巻,597頁及び2004年、42巻、6021頁、そして更にはマクロモレキュラー・ラピッド・コミュニケーションズ(Macromol. Rapid Commun.)、2003年、24巻、197頁、並びに米国特許第6,291,620号、PCT国際公開特許WO98/01478、同WO98/58974及び同WO99/31144に記載されている。
更なる制御された重合法は、ニトロキシル化合物を重合制御剤(NMP)として用いるものであり、例えば、ケミカル・レヴューズ(Chem. Rev.)、2001年、101巻、3661頁に記載されている。
別の制御された重合法は、「官能基移動重合(GTP)」であって、例えば、O.W.ウェブスター(O.W. Webster)著、「高分子科学工業百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」、第7巻の「官能基移動重合(Group Transfer Polymerization)」、H.F.マーク(H.F. Mark)、N.M.バイカルズ(N.M. Bikales)、C.G.オバーバーガー(C.G. Overberger)及びG.メンゲス(G. Menges)編、ワイリー・インターサイエンス(Wiley Interscience)、ニューヨーク1987年、580頁以降並びにO.W.ウェブスター著、最新高分子科学(Adv. Polym. Sci.)、2004年、167巻、1〜34頁に開示されているようなものである。
テトラフェニルエタンを用いる制御されたフリーラジカル重合は、例えばマクロモレキュラー・シンポジウム(Macromol. Symp.)、1996年、111巻、63頁に記載されているように、制御された重合法の追加例である。
1,1−ジフェニルエテンを重合制御剤として用いる制御されたフリーラジカル重合法は、例えば、マクロモレキュラー・ラピッド・コミュニケーションズ(Macromolecular Rapid Communications)、2001年、22巻、700頁に記載されている。
イニファーターを用いる制御されたフリーラジカル重合法は、例えば、マクロモレキュラー・ケミストリー・ラピッド・コミュニケーションズ(Makromol. Chem. Rapid. Commun.)、1982年、3巻、127頁に開示されている。
有機コバルト錯体を用いる制御されたフリーラジカル重合法は、例えば、米国化学会(J. Am. Chem. Soc.)、1994年、116巻、7973頁、高分子科学:パートA:高分子化学(Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry)、38巻、1753〜1766頁(2000年)、ケミカル・レヴューズ(Chem. Rev.)、2001年、101巻、3611〜3659頁及びマクロモレキュールズ(Macromolecules)、2006年、39巻、8219〜8222頁から既知である。
追加の制御された重合法は、例えばマクロモレキュールズ(Macromolecules)、2008年、41巻、6261頁又は米国特許第7,034,085号に記載されているような、ヨウ素化合物を用いた退行性連鎖移動反応である。
チオケトン存在下での制御されたフリーラジカル重合は、例えば、ケミカル・コミュニケーションズ(Chem. Commun.)、2006年、835〜837頁及びマクロモレキュラー・ラピッド・コミュニケーションズ(Macromol. Rapid Commun.)、2007年、28巻、746〜753頁に記載されている。
前記ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー又はグラジエントコポリマーであってよく、2つ以上の親水性及び/又は疎水性モノマーから構成され得る。
前記ポリマー類の数平均分子量は、1,500〜200,000、好ましくは5,000〜75,000、更に好ましくは7,500〜50,000までの範囲である。前記ポリマー類の数平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより、テトラヒドロフランを溶離剤として用い、そして標準ポリスチレンを利用して求められる。
前記ポリマー類の数平均分子量及び分子量分布に影響を与えるのに適した制御剤又は連鎖移動剤を用いることができる。例としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン又はt−ドデシルメルカプタン等のチオールや、α−メチルスチレンの二量体が挙げられる。例えば、少量の二官能性モノマー(例えば、ヘキサンジオールジアクリレート)を重合に用いることで、制御された方法で分子量を増加させることも考えられる。
前記ポリマー類は、引き続き、ポリマー類似反応を用いて変性することが可能である。例えば、無水マレイン酸とのその後の反応により、反応性二重結合と酸官能基を組み込むことができる。この酸官能基を、例えばトリエタノールアミンを用いて塩に変換することで、水溶性を向上させることも可能である。さらに、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートを用いたその後のエステル交換反応(化学的又は酵素的エステル交換反応)によれば、UV硬化や電子線硬化等の放射線硬化法であっても表面コーティング系に決まったやり方で組み込むことが可能な生成物が得られる。例えばその後の無水酢酸との反応によって遊離OH基をエステル化することで、前記ポリマー類を流れ調整剤として表面コーティングに用いたときに起こり得る中間層の密着問題を回避することも可能である。
<添加物としてのポリマーの使用>
前記ポリマー類は、例えばコーティング組成物又はプラスチック中で添加物として使用してもよい。プラスチックとは、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックを表すものと考えられる。
例えば、前記ポリマー類をコーティング組成物中で流れ調整剤として使用すると、例えば得られるコーティングの光学特性が改善される可能性がある。前記ポリマー類を流れ調整剤として使用することにより、例えば、コーティング組成物若しくはコーティング又はプラスチックのレベリング、つや及び/又は乳光を高めることも可能である。
例えば、前記ポリマー類を用いて、コーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックの表面特性を変えることも可能である。前記ポリマー類の添加によって、コーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックの表面エネルギーが影響を受ける可能性がある。表面を更に親水性又は疎水性にすることも可能であり、そうすることで、この表面への付着力が改善又は抑制されて、防汚性の洗浄し易い表面が得られる。一般に、表面エネルギーを増強すると、親水性の高い表面が得られ、それにより、濡れ易くしかも優れた密着状態を付与することができる。一方、表面エネルギーを下げると、一般に、濡れにくくしかも防汚性の非粘着特性を示す、疎水性に優れた表面が得られる。表面エネルギーを高めるのに適したポリマー類は、例えば、比較的親水性の本発明のマクロモノマー類(例えば、エトキシル化TMPO系のもの)を重合するか又はそれと多少親水性のコモノマー類(例えば、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸等の親水性アクリレート)とを共重合させることによって、生成され得る。表面エネルギーを下げるのに適したポリマー類は、例えば、比較的疎水性の本発明のマクロモノマー類(例えば、TMPO系又はプロポキシル化TMPO系のもの)を重合するか又はそれと多少疎水性のコモノマー類又は特に好適なコモノマー類(例えば、ペルフルオロ基及び/又はポリシロキサン基を含むコモノマー類)とを共重合させることによって、生成され得る。
<防汚性、非粘着性表面をもたらす添加物>
コーティング組成物、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックに添加でき、しかもその添加によって防汚性で洗浄し易い非粘着性表面をもたらすコポリマー類は、例えば、少なくとも1つの本発明のマクロモノマーを重合すること又は少なくとも1つの本発明のマクロモノマーを少なくとも1つのコモノマー、例えば、ペルフルオロ基及び/又はポリシロキサン基を含むコモノマーとを共重合することによって製造することができる。
適切なコポリマー類が添加されるコーティング組成物、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックは、優れた非粘着性と防汚性を有している。前記コポリマー類はまた、コーティング組成物又はコーティング、ポリマー成形組成物又は熱可塑性プラスチックの他の特性にほとんど悪影響を及ぼさない。前記コポリマー類は、コーティング組成物、ポリマー成形組成物又は熱可塑性プラスチックに比較的少ない量(添加量)で添加され得る。特にコーティング組成物や、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチック等のプラスチックでは、前記ポリマー類は好ましくは、いずれの場合もコーティング組成物全体又はプラスチック全体に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%の比較的少ない量で使用され得る。
元のコーティング組成物又はコーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックの物理的性質、例えば腐食防止、つやの維持及び耐候性に関するものは、低濃度の添加物によって悪影響を受けない。前記コポリマーを含むコーティング組成物又はコーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックは、一般に、所望の特性を長年にわたって発現し、しかもその特性を何回もの洗浄サイクルにわたって維持するものである。
その上、前記ポリマー類中のオキセタン系マクロモノマー単位のヒドロキシル基は、結合剤の反応性基と架橋できるので、永続的効果を確保できることが特に利点であることも分かった。
前記ポリマー類を添加物としてコーティング組成物、ポリマー成形組成物又は熱可塑性プラスチック中で使用することで、帯電防止特性又は防曇性を有する表面を得ることも可能である。
<濡れ易い表面をもたらす添加物>
前記コポリマー類は、コーティング組成物、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックに添加できることから、その添加によってコーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックの表面エネルギーが増強され、その結果、前記表面の濡れ性が改善される。
適切なコポリマーが添加されるコーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックは、非常に濡れ易い表面を有している。濡れ性は、水に対する表面の接触角を常套法で測定して求めることができる。親水性表面の場合、接触角は<60°でなければならない。前記コポリマー類はまた、コーティング組成物又はコーティング、ポリマー成形組成物又は熱可塑性プラスチックの他の特性にほとんど悪影響を及ぼさない。前記コポリマー類は、コーティング組成物、ポリマー成形組成物又は熱可塑性プラスチックに、いずれの場合もコーティング組成物全体又はプラスチック全体に対して比較的少ない量(添加量)で、好ましくは0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%で添加され得る。元のコーティング組成物又はコーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックの物理的性質、例えば腐食防止、つやの維持及び耐候性に関するものは、低濃度の添加物によって悪影響を受けない。前記コポリマー類を含むコーティング組成物又はコーティング、ポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックは、一般には、所望の特性を長年にわたって示して、しかもその特性を何回もの洗浄サイクルにわたって維持するものである。
その上、前記ポリマー類中のオキセタン系マクロモノマー単位のヒドロキシル基は、結合剤の反応性基と架橋できるので、永続的効果を確保できることが特に利点であることも分かった。
<湿潤剤及び分散剤>
前記ポリマー類は、従来技術から既知の分散剤に関する使用分野において分散剤としても使用でき、従来技術から既知の分散剤の代わりの分散剤として又は従来技術から既知の分散剤と組み合わせて分散剤として使用するのに適している。例えば、それらは、特にそれらが顔料及び/又は充填剤などの固体を含有する場合、表面コーティング、印刷用インク、紙加工、皮革及び布地着色剤、ペースト、顔料濃厚物、セラミックス又は化粧品を製造又は加工するのに使用してもよい。それらはまた、合成、半合成又は天然の高分子物質、例えばポリ塩化ビニル、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンをベースとしたキャスティング組成物及び/又は成形材料の製造又は加工にも使用してよい。例えば、前記コポリマー類は、キャスティング組成物、PVCプラスチゾル、ゲルコート、ポリマーコンクリート、回路基板、工業用表面コーティング、木材及び家具用の表面コーティング、車両用塗料系、船舶塗料、防食塗料、缶用及びコイル用塗料、商業用塗料及び石造建築用塗料を製造する際に、結合剤及び/又は溶媒、顔料、並びに適切ならば、充填剤、櫛形コポリマー及び汎用添加物と混合して利用してもよい。汎用の結合剤の例は、ポリウレタン、硝酸セルロース、セルロース酢酸ブチレート、アルキド、メラミン、ポリエステル、クロロゴム、エポキシド及びアクリレート系の樹脂類である。水性コーティングの例は、カソード用又はアノード用電着塗装であって、例えば自動車車体用のものである。追加の例は、しっくい及び下塗り、ケイ酸塩塗料、エマルション塗料、水希釈型アルキド系の水性塗料、アルキドエマルション、ハイブリッド系、2成分系、ポリウレタン分散体及びアクリレート分散体である。
前記コポリマー類はまた、固体濃厚物、例えば顔料濃厚物の製造用分散剤としても特に好適である。このために、前記コポリマー類は、例えば、先ず有機溶媒、可塑剤及び/又は水などのキャリア溶剤に加え、そして分散させようとする固体を、攪拌しながら添加する。前記濃厚物は更に、結合剤及び/又は他の助剤を含有していてもよい。ただし、前記コポリマー類を用いる場合は、特に、結合剤を含まない安定な顔料濃厚物を製造することも可能である。同様に、前記ポリマー類を用いて、顔料圧延ケーキから流動性固体濃厚物を製造することも可能である。これは、前記コポリマーを、有機溶媒、可塑剤及び/又は水をまだ含んでいる可能性のある圧延ケーキに混合し、そしてこの方法で得た混合物を分散することで製造される。様々な方法で製造した固体濃厚物は、次に、様々な基材、例えばアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂又はエポキシ樹脂に組み込むことができる。ただし、顔料は、溶媒の不存在下で前記コポリマー類に直接分散してもよく、その後、熱可塑性及び熱硬化性高分子配合物を着色するのに特に適している。
前記コポリマー類はまた、「サーマルインクジェット」及び「バブルジェット法」等の「ノンインパクト」印刷法用インクの製造にも有利に使用され得る。これらインクは、例えば、水性インク配合物、溶剤系インク配合物、UVを利用する無溶媒又は低溶媒インク、或いはワックス状のインクであってよい。
前記コポリマー類はまた、液晶ディスプレイ用、液晶VDU用、色解像度器具用、センサー用、プラズマスクリーン用、SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)系ディスプレイ用及びMLCC(多層セラミックコンパウンド)用のカラーフィルターの製造に有利に使用され得る。この場合、前記液状カラーフィルター塗料は、着防とも呼ばれ、スピンコーティング、ナイフコーティング、これら2つの組み合わせ又はインクジェット法のような「ノンインパクト」印刷法等の様々な塗布方法で塗布可能である。MLCC法は、マイクロチップ及び回路基板の製造に用いられる。
前記コポリマー類を用いて、化粧品、例えばメーキャップ、パウダー、口紅、ヘアカラー、クリーム、マニキュア液及び日焼け防止製剤を製造してもよい。これらは、通常の形態、例えばW/O又はO/Wエマルション、溶液、ゲル、クリーム、ローション又はスプレーの中に含まれていてよい。前記コポリマー類は、これら製剤を製造するのに用いられる分散体中で有利に使用され得る。これらは、化粧品における前記目的のために従来使用されるキャリア溶剤、例えば、水、ヒマシ油又はシリコーンオイル及び固体、例えば、有機顔料及び二酸化チタン又は酸化鉄等の無機顔料を含んでいてもよい。
最後に、このような分散剤を用いることで、着色コーティング材料を基材に塗布し、そして基材に塗布された前記着色コーティング材料を焼き付け又は硬化又は架橋することによって、基材上に着色コーティングを作製することも可能である。
前記コポリマー類は、単独で使用しても、又は当該技術分野で従来使用される結合剤と併用してもよい。これらをポリオレフィン中で使用する場合、例えばキャリア材料として適切な低分子量ポリオレフィンを櫛型コポリマーと併用するのが有利な場合もある。
前記コポリマー類の考えられる別の用途は、分散性粉末粒子状固体及び/又は繊維粒子状固体、特に分散性顔料又はポリマー充填剤の製造であって、前記粒子は、櫛形コポリマーでコーティングされている。このような有機及び無機固体のコーティングは、例えば欧州特許公開第0270126号に記載されているようにして、既知の方法で行われる。この場合、溶媒又はエマルション溶剤は、除去してもよく、又は混合物中に残してペーストを形成することも可能である。これらペーストは、標準的な市販品であり、結合剤並びに追加の助剤及び添加剤を更に含有していてもよい。特に顔料の場合、顔料表面は、顔料の合成中又は合成後に、例えば前記コポリマー類を顔料懸濁物に添加することにより或いは顔料の仕上げ加工中又はその後で、コーティングすることが可能である。この方法で前処理した顔料は、混入し易く、未処理の顔料に比べて粘度、凝集及びつや特性が改善されており、しかも色が非常に濃い、といった点で優れている。
顔料の例は、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、トリアゾ顔料及びポリアゾ顔料、オキサジン顔料、ジオキサジン顔料、チアジン顔料、ジケトピロロピロール、フタロシアニン、ウルトラマリン及び他の金属錯体顔料、インジゴイド顔料、ジフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、アクリジン、キナクリドン及びメチン顔料、アントラキノン、ピラントロン及びペリレン顔料、並びに他の多環式カルボニル顔料である。有機顔料の更なる例は、W.ハープスト(W.Herbst)及びK.ハンガー(K. Hunger)著のモノグラフ「工業用有機顔料(Industrial Organic Pigments)」、1997年(出版社:ワイリー−VCH(Wiley-VCH)、ISBN:3−527−28836−8)に見出すことができる。無機顔料の例は、カーボンブラック、グラファイト、亜鉛、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸バリウム、リトポン、酸化鉄、ウルトラマリン、リン酸マンガン、アルミン酸コバルト、スズ酸コバルト、亜鉛酸コバルト、酸化アンチモン、硫化アンチモン、酸化クロム、クロム酸亜鉛をベースとする顔料、及びニッケル、ビスマス、バナジウム、モリブデン、カドミウム、チタン、亜鉛、マンガン、コバルト、鉄、クロム、アンチモン、マグネシウム、アルミニウム系の混合金属酸化物をベースとする顔料(例えば、ニッケル・チタン・イエロー、ビスマス・バナジウム・モリブデン・イエロー又はクロム・チタン・イエロー)である。更なる例は、G.バックスバウム(G. Buxbaum)著のモノグラフ「工業用無機顔料(Industrial Inorganic Pigments)」、1998年(出版社:ワイリー−VCH、ISBN: 3-527-28878-3)に見出すことができる。無機顔料はまた、純粋な鉄、酸化鉄及び酸化クロム並びに混合酸化物をベースとする磁性顔料、アルミニウム、亜鉛、銅又は真ちゅうを含む金属エフェクト顔料、並びに真珠光沢顔料、蛍光及び燐光発光顔料であってもよい。更なる例は、粒径が100nm未満のナノサイズの有機又は無機固体であって、例えば、特定種のカーボンブラック或いは金属又は半金属の酸化物又は水酸化物からなる粒子、そして更には混合金属及び/又は半金属の酸化物又は水酸化物からなる粒子である。例えば、アルミニウム、珪素、亜鉛、チタン等の酸化物及び/又は水酸化物を用いて、このように極微細化した固体を製造してもよい。これら酸化物又は水酸化物又は酸化物−水酸化物粒子は、多種多様な方法、例えばイオン交換法、プラズマ法、ゾルゲル法、沈降法、微粉砕法(例えば、摩砕によるもの)又は火炎加水分解法等で製造され得る。これらナノスケールの固体はまた、無機コアと有機シェル又はこの逆から成る、ハイブリッド粒子と呼ばれるものであってもよい。
粉状又は繊維状充填剤の例は、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、多孔質珪藻土、珪藻土、石英、シリカゲル、タルク、カオリン、雲母、パーライト、長石、粉砕ケツ岩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、方解石、白雲石、ガラス又は炭素の粉状又は繊維状粒子から製造されるものである。顔料又は充填剤の更なる例は、例えば、欧州特許公開第0270126号に見出すことができる。例えば、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムのような難燃剤、及び、例えば、シリカ類のような艶消し剤に優れた分散性及び安定性を付与することも可能である。
さらに前記コポリマー類は、エマルション用の乳化剤として使用してもよい。エマルションは一般に、自然発生的には形成されない不安定な系であって、その相の相互分散が震盪、撹拌、均質化又は噴霧法でのみ生じるものであることから、乳化剤を用いて、この不安定な構造を安定化させている。乳化剤を利用すると、前記相が分離しない。
前記コポリマー類はまた、レオロジー添加剤としても使用可能である。
前記コポリマー類はまた、接着促進剤としても使用可能である。
また、前記ポリマー類は、コーティング組成物、ポリマー成形組成物、熱可塑性プラスチック又は他の組成物に、いずれの場合もコーティング組成物全体又はプラスチック全体に対して、0.01〜100重量%までの比較的広範な量で、好ましくは0.05〜50重量%、特に好ましくは0.1〜40重量%で使用してよい。
特にコーティング組成物及びプラスチック、例えばポリマー成形組成物及び熱可塑性プラスチックでは、好ましくは前記ポリマー類は、いずれの場合もコーティング組成物全体又はプラスチック全体に対して、0.01〜5重量%までの比較的少ない量で、好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%で使用してもよい。
前記ポリマー類は、コーティング組成物、ポリマー成形組成物、熱可塑性プラスチック又は他の組成物の種類及びその塗布方法に応じて、溶液又はエマルションとして又は100%の物質として使用してもよい。
略語
「TMPO」:3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン
「TMPO−EOX」:3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタンを、平均3.3モルのエチレンオキシドで変性したもの。
「HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
「BA」:酢酸ブチル
「EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート
「IBMA」:イソブチルメタクリレート
「STY」:スチレン
「DMAEMA」:2−(N.N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート
「AA」:アクリル酸
「PMA」=1−メトキシ−2−プロピルアセテート(例えば、ダワノール(Dowanol)PMA)
トリゴノックス(Trigonox)C(tert−ブチル過安息香酸)は、フリーラジカル重合開始剤である〔アクゾ・ノーベル・ケミカルズ(Akzo Nobel Chemicals)製〕。
ペルカドックス(Perkadox)AMBN〔2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)〕は、フリーラジカル重合開始剤である(アクゾ・ノーベル・ケミカルズ製)。
シラプレーン(Silaplane)FM0721は、チッソ社(Chisso Corp.)から入手可能なポリシロキサンモノメタクリレート(Mw:約5000)である。
ブレンマー(BLEMMER)PME−1000は、ノフ・コーポレーション(NOF CORPORATION)製の直鎖メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(Mw:約1000)である。
ビソマー(BISOMER)MPEG550MAは、コグニス(Cognis)から入手可能な直鎖メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(Mw:約628)である。
フルオウェット(Fluowet)MA600は、クラリアント(Clariant)のフッ素化メタクリレートである(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート)。
アンバーリスト(Amberlyst)IR120Hは、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)のカチオン交換樹脂である。
アンバーリストA−21は、ローム・アンド・ハースのアニオン交換樹脂である。
分析方法
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):
サイズ排除クロマトグラフィーは、40℃において高圧液体クロマトグラフィー用ポンプ〔ビショフ(Bischoff)HPLC2200〕及び屈折率検出器〔ウォーターズ(Waters)419〕を用いて行った。使用した溶離剤は、テトラヒドロフラン(THF)であり、溶出速度は1ml/分であった。ポリスチレン標準を用いて標準的な較正を行った。数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び多分散度Q=Mw/Mnは、プログラムNTeqGPCで計算した。
NMRスペクトル分析
NMR分析は、NMRシステム〔ブラッカー(Bruker)DPX 300〕を用いて、300MHz(1H)又は75MHz(13C)で行った。使用した溶媒は、重クロロホルム(CDCl3)及び重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)であった。
実施例1
本発明のマクロモノマーの合成
マクロモノマー1
<製造>
室温において、100gのHEMAをメカニカルスターラー、滴下漏斗、温度計、加熱ジャケット及び冷却器を取り付けた反応容器に入れた。反応は標準大気圧(空気中)で行った。
178.4gのTMPO及び200gのTMPO−EOXを滴下漏斗に入れてここで混合した。このオキセタンモノマー混合物は均質であった。
240mgのヒドロキノン及び240mgの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを反応容器中のスターター分子(HEMA)に加えた。混合物を、溶液になるまで撹拌した。ここに、0.36gのトリフルオロメタンスルホン酸を触媒として加えて温度を80℃まで上げた。
その後、オキセタンモノマー混合物を8時間かけて連続して滴下し、その間、温度は80℃を超えないように制御した。オキセタンモノマー混合物を添加し終えると、反応混合物を80℃で更に2時間撹拌した。
反応混合物を室温まで冷却して、粘稠な生成物を160gのPMAに溶解させた。触媒をアンバーリスト(Amberlyst)A−21で中和して、イオン交換樹脂を濾別した。
<生成物の分析>
NMR:オキセタンを示さず
ヒドロキシ価:269mgKOH/g
ヨウ素価:28.5g I2/100g
マクロモノマー2
<製造>
室温において、100gのHEMAをメカニカルスターラー、滴下漏斗、温度計、加熱ジャケット及び冷却器を取り付けた反応容器に入れた。反応は標準大気圧(空気中)で行った。267.7gのTMPOを滴下漏斗に入れた。
184mgのヒドロキノン及び184mgの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを、反応容器中のスターター分子(HEMA)に加えた。混合物を、溶液になるまで撹拌した。ここに、0.28gのトリフルオロメタンスルホン酸を触媒として加えて、温度を75℃まで上げた。
その後、前記オキセタンモノマーを6時間かけて連続して滴下し、その間、温度は80℃を超えないように制御した。オキセタンモノマーを添加し終えると、反応混合物を80℃で更に1時間撹拌した。
その後、反応混合物を室温まで冷却して、粘稠な生成物を368gのPMAに溶解させた。触媒をアンバーリスト(Amberlyst)A−21で中和して、イオン交換樹脂を濾別した。
<生成物の分析>
NMR:オキセタンを示さず
ヒドロキシル価:214mgKOH/g
ヨウ素価:24.9gI2/100g
マクロモノマー3
<製造>
撹拌機、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた1000mlの4つ口フラスコに、先ず、室温において67.94gのHEMA、0.375gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール及び0.375gのヒドロキノンを入れる。反応中、穏やかに空気流を保ちながら、反応混合物を加熱する。温度が約40℃に達したところで、0.77gのトリフルオロメタンスルホン酸を加える。温度が80℃に達したら、682.06gのTMPO−EOXの計量添加を開始する。計量添加は5.5時間で行い、その間、温度は80℃に保つ。1時間45分の後反応時間後に、混合物を冷却する。250gのPMAを加える。撹拌しながら3.5gのアンバーリスト(Amberlyst)A−21を加えることで、触媒を中和する。45分後、イオン交換樹脂を濾過によって除去する。これにより、淡黄色の粘稠液体が得られる。
<生成物の分析>
NMR:オキセタンを示さず
ヒドロキシ価:185mgKOH/g
ヨウ素価:12.3gI2/100g
マクロモノマー4
<製造>
撹拌機、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた250mlの4つ口フラスコに、先ず、室温において28.50gのHEMA、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール及び0.1gのヒドロキノンを入れる。反応全体に穏やかに空気流を保ちながら、反応混合物を加熱する。温度が約40℃に達したところで、0.22gのトリフルオロメタンスルホン酸を加える。温度が80℃に達したら、171.50gのTMPO−EOXの計量添加を開始する。計量添加は2時間で行い、その間、温度は80℃に保つ。3時間30分の後反応時間後に、50gのメチルイソブチルケトンを加えて、混合物を60℃まで冷却する。撹拌しながら1gのアンバーリスト(Amberlyst)A−21を加えることで、触媒を中和する。60℃で1時間後、濾過によってイオン交換樹脂を除去する。これにより、淡黄色の粘稠液体が得られる。
<生成物の分析>
NMR:オキセタンを示さず
ヒドロキシル価:209mgKOH/g
ヨウ素価:21.4gI2/100g
マクロモノマー5
<製造>
1.グリシドールを用いたTMPO−EOXの誘導体化による、TMPO−EOX−Glの生成
反応は窒素雰囲気下(P25で乾燥させながら)で行った。400gのTMPO−EOXを先ず1000mlの4つ口フラスコに入れた。滴下漏斗を用いて17.59gのカリウムtert−ブトキシドを加え、そして混合物を、溶液が得られるまで撹拌した。淡い橙色の溶液を80℃まで加熱した。時折減圧しながら、生成するtert−ブタノールを1時間かけて溜去した。反応混合物の温度は80℃に保った。その後、340.22gのグルシドールモノマーを反応混合物に、撹拌しながら4時間かけてゆっくりと滴下した(発熱反応)。その間、反応混合物の温度は、常に90℃未満を維持するように制御した。滴下終了後、反応混合物を80℃で更に1時間撹拌した。
次に、試料を採取して、直ぐにNMRスペクトル分光法を用いて分析することで、グリシドールモノマーがもはや存在しないことと、オキセタン環が完全体であることを確認した。その後、反応を停止して、反応混合物を室温まで冷却した。粘稠な黄色がかった液体が得られ、これを200mlのメタノールで希釈し、そしてアンバーリスト(Amberlyst)A−21で中和した。イオン交換樹脂を濾別した。溶媒を減圧下で溜去した(50℃において2ミリbarまで減圧)。引き続きNMR分析により、生成物がオキセタン1モルにつき4モルのヒドロキシル基を含んでいることを確認した。
2.HEMAとTMPO−EOX及びTMPO−EOX−Glとの反応
メカニカルスターラー、滴下漏斗、温度計、加熱ジャケット及び冷却器を取り付けた反応容器に室温で25gのHEMAを入れた。反応は標準大気圧(空気中)で行った。150.73gのTMPO−EOX及び92.98gのTMPO−EOX−Glを滴下漏斗に入れた。
134mgのヒドロキノン及び134mgの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを、反応容器中のスターター分子(HEMA)に加えた。混合物を、溶液が得られるまで撹拌した。ここに、0.20gのトリフルオロメタンスルホン酸を触媒として加えて、温度を75℃まで上げた。
その後、オキセタンモノマー混合物を6時間かけて連続して滴下し、その間、温度は、80℃を超えないように制御した。オキセタンモノマー添加終了後、反応混合物を80℃で更に1時間撹拌した。
次に、反応混合物を室温まで冷却し、粘稠な生成物を269gのイソブタノールに溶解した。触媒をアンバーリスト(Amberlyst)A−21で中和し、そしてイオン交換樹脂を濾別した。
<生成物の分析>
NMR:オキセタンを示さず
ヒドロキシル価:547mgKOH/g
ヨウ素価:10.0gI2/100g
3.マクロモノマーの更なる誘導体化
マクロモノマー6
<製造>
撹拌機、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた250mlの4つ口フラスコに、先ず、室温において100gのマクロモノマー2及びジブチル錫ラウレート(DBTL)の10%キシレン溶液0.2gを入れる。反応中、通して穏やかに窒素流を保ちながら、反応混合物を60℃まで加熱する。前記温度に達したところで、ステアリルイソシアネート100gを、反応熱を放出した結果として温度が65℃を超えて上昇しないように30分で計り入れる。添加終了後、混合物を60℃で更に4時間保持する。反応を停止する。
NCOの測定から、ステアリルイソシアネートに基づく完全変換を確認する。淡黄色の粘稠な液体が得られ、これを低温状態で部分的に凝固する。
マクロモノマー7
<製造>
撹拌機、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた250mlの4つ口フラスコに、先ず、室温において100gのマクロモノマー4及びジブチル錫ラウレート(DBTL)の10%キシレン溶液0.3gを入れる。反応全体に穏やかに空気流を保ちながら、反応混合物を70℃まで加熱する。前記温度に達したところで、200gのMPEG350−TDI付加物(MPEG350とTDIとの反応によって生成したもの、NCO含量7.97%、ドイツ特許第10039837と同様にして製造)を、温度が75℃を超えて上昇しないように45分で計り入れると、結果として反応熱を放出する。添加終了後、混合物を70℃で更に3時間保持する。反応を停止する。
NCO測定結果から、MPEG350−TDI付加物に基づく完全変換を確認する。これにより、淡黄色の粘稠な液体が得られる。
実施例2
ポリマーの合成
ポリマー1
<製造>
窒素を吹き込むことで、溶媒及びモノマーから空気を除去した。反応は、窒素雰囲気下で行った。
重合は、冷却ユニット、加熱ジャケット、温度計、メカニカルスターラー及び窒素導入装置を取り付けた500mlの4つ口フラスコで行った。
PMA溶媒(142.61g)、IBMAモノマー(14.56g)、STY(9.80g)、マクロモノマー3(21.14g)及びシラプレーン(Silaplane)FM0721(10.63g)並びにフリーラジカル開始剤トリゴノックス(Trigonox)C(0.61g)を反応容器に入れて、混合し、窒素で空気を取り除いて、130℃まで3時間加熱した。
その後、フリーラジカル開始剤トリゴノックスCを更に0.1g加えた。それから30分後、再びフリーラジカル開始剤を更に0.1g追加した。反応を更に30分間続けてから、反応混合物を室温まで冷却した。溶媒を減圧下で溜去した。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:14,899
多分散度:4.47
ポリマー2
<製造>
窒素を吹き込むことで、溶媒及びモノマーから空気を除去した。反応は、窒素雰囲気下で行った。
重合は、冷却ユニット、加熱ジャケット、温度計、メカニカルスターラー及び窒素導入装置を取り付けた500mlの4つ口フラスコで行った。
PMA溶媒(142.61g)及びシラプレーン(Silaplane)FM0721モノマー(10.50g)を反応容器に入れて、混合し、窒素で空気を取り除いて、130℃まで加熱した。
追加モノマー〔IBMA(14.10g)、STY(9.68g)、マクロモノマー3(20.89g)、フルオウェット(Fluowet)MA600(0.89g)〕並びにフリーラジカル開始剤〔トリゴノックス(Trigonox)C(0.60g)〕及び連鎖移動剤〔α−メチルスチレン2量体(0.73g)〕を混合し、窒素で空気を取り除いて、滴下漏斗に入れた。次いで、モノマー、フリーラジカル開始剤及び連鎖移動剤を反応容器に3時間かけて徐々に加えた。
その後、フリーラジカル開始剤(トリゴノックスC)を更に0.1g加えた。それから30分後、再びフリーラジカル開始剤(トリゴノックスC)を0.1g追加した。これを30分後にもう一度繰り返した後、反応を更に30分間続けてから、反応混合物を室温まで冷却した。溶媒を減圧下で溜去した。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:10,560
多分散度:3.64
ポリマー3
<製造>
窒素を吹き込むことで、溶媒及びモノマーから空気を除去した。反応は、窒素雰囲気下で行った。
重合は、冷却ユニット、加熱ジャケット、温度計、メカニカルスターラー及び窒素導入装置を取り付けた500mlの4つ口フラスコで行った。
PMA溶媒(71.33g)及びシラプレーン(Silaplane)FM0721(26.38g)を反応容器に入れて、混合し、窒素で空気を取り除いて、110℃まで加熱した。
追加モノマー〔EHA(5.74g)、マクロモノマー2(15.88g)〕並びにフリーラジカル開始剤〔ペルカドックス(Perkadox)AMBN(0.30g)〕及び連鎖移動剤〔α−メチルスチレン2量体(0.37g)〕を混合し、窒素で空気を取り除いて、滴下漏斗に入れた。次いで、モノマー、フリーラジカル開始剤及び連鎖移動剤を反応容器に3時間かけて徐々に加えた。
添加終了後、反応を更に4.5時間続けた。その後、フリーラジカル開始剤を更に0.07g加えた。それから30分後、再びフリーラジカル開始剤0.07gを追加した。これを30分後にもう一度繰り返した後、反応を更に2時間続けてから、反応混合物を室温まで冷却した。溶媒を減圧下で溜去した。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:17,410
多分散度:4.81
ポリマー4
<製造>
窒素を吹き込むことで、溶媒及びモノマーから空気を除去した。反応は、窒素雰囲気下で行った。
重合は、冷却ユニット、加熱ジャケット、温度計、メカニカルスターラー及び窒素導入装置を取り付けた500mlの4つ口フラスコで行った。
PMA溶媒(50.18g)を反応容器に入れて、混合し、窒素で空気を取り除いて、110℃まで加熱した。
モノマー[EHA(33.33g)、AA(0.77g)、マクロモノマー3(PMA中43.9g)]並びにフリーラジカル開始剤〔ペルカドックス(Perkadox)AMBN(0.82g)〕及び連鎖移動剤〔α−メチルスチレン2量体(1.01g)〕を混合し、窒素で空気を取り除いて、滴下漏斗に入れた。次いで、モノマー、フリーラジカル開始剤及び連鎖移動剤を反応容器に3時間かけて徐々に加えた。
添加終了後、反応を更に4時間続けた。その後、フリーラジカル開始剤を更に0.15g加えた。それから30分後、再びフリーラジカル開始剤0.15gを追加した。これを30分後にもう一度繰り返した後、反応を更に2時間続けてから、反応混合物を室温まで冷却した。溶媒を減圧下で溜去した。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:10,508
多分散度:4.31
ポリマー5
<製造>
窒素を吹き込むことで、溶媒及びモノマーから空気を除去した。反応は、窒素雰囲気下で行った。
重合は、冷却ユニット、加熱ジャケット、温度計、メカニカルスターラー及び窒素導入装置を取り付けた500mlの4つ口フラスコで行った。
イソブタノール溶媒(85.24g)を反応容器に入れてかき混ぜ、窒素で空気を取り除いて、110℃まで加熱した。
モノマー[EHA(38.97g)、AA(1.86g)、ビソマー(BISOMER)MPEG550MA(64.92g)、マクロモノマー3(104.57g)]並びにフリーラジカル開始剤[[ペルカドックス(Perkadox)AMBN(2g)]及び連鎖移動剤[α−メチルスチレン2量体(2.44g)]を混合し、窒素で空気を取り除いて、滴下漏斗に入れた。次いで、モノマー、フリーラジカル開始剤及び連鎖移動剤を反応容器に4時間かけて徐々に加えた。
添加終了後、反応を更に3時間続けた。その後、フリーラジカル開始剤を更に0.15g加えた。それから30分後、再びフリーラジカル開始剤0.15gを追加した。これを30分後にもう一度繰り返した後、反応を更に2時間続けてから、反応混合物を室温まで冷却した。溶媒を減圧下で溜去した。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:10,877
多分散度:2.81
ポリマー6
撹拌器、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた250mlの4つ口フラスコに、先ず室温において47.94gのダワノール(Dowanol)PMA及び2.57gのシラプレーン(Silaplane)FM−0721を入れる。反応全体を通して窒素を流しておく。反応混合物を135℃まで加熱する。前記温度に達したら、43.96gのn−ブチルアクリレートと4.88gのマクロモノマー4と0.5gのトリゴノックス(Trigonox)Cとの混合物を3時間で計り入れる。計量添加終了後とその30分後及び60分後に、トリゴノックスCを再び0.25gずつ添加する。更に60分後、反応を停止する。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:15,128
多分散度:3.14
ポリマー7
撹拌器、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた250mlの4つ口フラスコに、先ず室温において47.94gのダワノール(Dowanol)PMA及び2.57gのシラプレーン(Silaplane)FM−0721を入れる。反応全体を通して窒素を流しておく。反応混合物を135℃まで加熱する。前記温度に達したら、39.07gのn−ブチルアクリレートと9.77gのマクロモノマー4と0.5gのトリゴノックス(Trigonox)Cとの混合物を3時間で計り入れる。計量添加終了後とその30分後及び60分後に、トリゴノックスCを再び0.25gずつ添加する。更に60分後、反応を停止する。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:22,660
多分散度:4.73
ポリマー8
撹拌器、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた250mlの4つ口フラスコに、先ず室温において73.50gのダワノール(Dowanol)PMA及び4.45gのシラプレーン(Silaplane)FM−0721を入れる。反応全体を通して窒素を流しておく。反応混合物を135℃まで加熱する。前記温度に達したら、19.91gのi−ブチルメタクリレートと13.05gのスチレンと10.42gのHEMAと1.16gのマクロモノマー4と0.67gのトリゴノックス(Trigonox)Cとの混合物を3時間で計り入れる。計量添加終了後とその30分後及び60分後に、トリゴノックスCを再び0.112gずつ添加する。更に60分後、反応を停止する。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:19,965
多分散度:3.99
ポリマー9
撹拌器、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた500mlの4つ口フラスコに、先ず室温において192gのダワノール(Dowanol)PMAを入れる。反応全体を通して窒素を流しておく。反応混合物を135℃まで加熱する。前記温度に達したら、176.80gのn−ブチルアクリレートと31.20gのマクロモノマー4と1.03gのトリゴノックス(Trigonox)Cとの混合物を2.5時間で計り入れる。計量添加終了後とその30分後及び60分後に、トリゴノックスCを再び0.52gずつ添加する。更に60分後、反応を停止する。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:14,551
多分散度:2.96
ポリマー10
撹拌器、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を取り付けた500mlの4つ口フラスコに、先ず室温において144gのダワノール(Dowanol)PMAを入れる。反応全体を通して窒素を流しておく。反応混合物を135℃まで加熱する。前記温度に達したら、107.48gのエチルヘキシルアクリレートと25.12gのエチルアクリレートと32.96gのマクロモノマー4と0.773gのトリゴノックス(Trigonox)Cとの混合物を3時間で計り入れる。計量添加終了後とその30分後及び60分後に、再びトリゴノックスCを0.38gずつ添加する。更に60分後、反応を停止する。
<生成物の分析(SEC)>
Mw:8,798
多分散度:2.26
ポリマー11
PMA(47.4g)、マクロモノマー3(50g)及びα−メチルスチレン2量体(1.1g)を反応容器において窒素下で120℃まで加熱する。
次に、DMAEMA(15.2g)とペルカドックス(Perkadox)AMBN(1.1g)との混合物を0.5ml/分で計り入れる。その後、ペルカドックスAMBN(0.5g)を前記反応物に追加する。後反応時間は2時間である。ポリマー溶液の固体含量をPMAで40%に調節する。
Mn:6,751g/モル
Mw/Mn:5.42
比較例
比較ポリマーC1
直鎖MPEGモノメタクリレート〔ブレンマー(Blemmer)PMA1000〕を用いて製造したランダムコポリマー
PMA(56.5g)、ブレンマーPME1000(38g)及びα−メチルスチレン2量体(1.1g)を反応容器において窒素雰囲気下で120℃まで加熱する。
次に、DMAEMA(16.3g)とペルカドックス(Perkadox)AMBN(1.1g)との混合物を0.5ml/分の速度で計り入れる。その後、ペルカドックスAMBN(0.5g)を前記反応物に追加する。後反応時間は2時間である。ポリマー溶液の固体含量は50%である。
Mn:10,125g/モル
Mw/Mn:5.67
ポリマー12(分散剤3)
PMA(47.4g)、マクロモノマー3(50g)及びα−メチルスチレン2量体(1.1g)を反応容器において窒素雰囲気下で120℃まで加熱する。
次に、DMAEMA(15.2g)とペルカドックス(Perkadox)AMBN(1.1g)との混合物を0.5ml/分で計り入れる。その後、ペルカドックスAMBN(0.5g)を前記反応物に追加する。
12gの塩化ベンゾイル及び30gのブチルグリコールを加え、そして前記混合物を120℃で2時間反応させる。ポリマー溶液の固形分をPMAで40%に調節する。
ポリマー13(分散剤4)
PMA(47.4g)、マクロモノマー3(50g)及びα−メチルスチレン2量体(1.1g)を反応容器において窒素雰囲気下で120℃まで加熱する。
次に、DMAEMA(15.2g)とペルカドックス(Perkadox)AMBN(1.1g)との混合物を0.5ml/分の速度で計り入れる。その後、ペルカドックスAMBN(0.5g)を前記反応物に追加する。
25gのディスパーバイク(Disperbyk)102を加え、そして前記混合物を50℃で30分間均質化する。ポリマー溶液の固形分をPMAで40%に調節する。
ポリマー14(分散剤5)
PMA(47.4g)、マクロモノマー3(50g)及びα−メチルスチレン2量体(1.1g)を反応容器において窒素雰囲気下で120℃まで加熱する。
次に、ビニルイミダゾール(15.2g)とペルカドックス(Perkadox)AMBN(1.1g)との混合物を0.5ml/分で計り入れる。その後、ペルカドックスAMBN(0.5g)を前記反応物に追加する。
後反応時間は2時間である。ポリマー溶液の固形分をPMAで40%に調節する。
使用例
a)流れ調整剤
試験系:アクリレート−メラミン焼き付け塗料、透明
組成(重量部で示す)
セタラックス(Setalux)1760VB64 44.0
セタラックスC91389VX45 16.5
ルウィパル(Luwipal)018 25.3
酢酸ブチルジグリコール 2.1
ソルベッソ(Solvesso)150 4.8
ブタノール 6.1
ブチルジグリコール 1.2
上記組成を混合してから、以下を加える。
ブタノール 8.0
ソルベッソ(Solvesso)150 3.8
ブチルジグリコール 1.8
セタラックス(Setalux)1760VB64:アクリレート焼き付け樹脂、ベルヘン・オプ・ソーム(Bergen op Zoom)のニュープレックス・レジンズ(Nuplex Resins)製
セタラックスC91389VX45:アクリレート焼き付け樹脂、ベルヘン・オプ・ソームのニュープレックス・レジンズ製
ルウィパル(Luwipal)018:メラミン焼き付け樹脂、ルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)のBASF AG製
流れ調整剤〔以下の表により、ポリマー6、ポリマー7、ポリマー9、ポリマー10、モダフロー(Modaflow)、又は流れ調整剤含まず〕は塗布前日に投与した。投与量は、混合物全体に対して0.15重量%であった。
塗布当日、ソルベッソ(Solvesso)150を用いて粘度を24秒、DIN4mmフローカップ(23℃)に調製した。塗布は自動噴霧器を用いて行った。
30分の脱気時間後、硬化を140℃において30分以内で行った。層の厚さは20μmであった。
レベリングは、Byk−ガードナー(Byk-Gardner)製ウェーブスキャンDOIにおいて長波、短波及びDOI(イメージの明瞭さ)値を求めることで評価した。つや及び曇り値は、ガードナー(Gardner)製ヘーズ−グロス(Haze-Gloss)で評価した。
Figure 0005746152
結果からは、ポリマーを流れ調整剤として用いると、従来の流れ調整剤を用いた場合又は流れ調整剤を用いなかった場合よりも、レベリング、つや及び曇り値に関して更に優れた結果が得られることが分かる。
b)防汚性表面
試験系:アクリレート/メラミン焼き付け塗料
セタラックス(Setalux)C1502 54.00%
マプレナル(Maprenal)MF600 28.00%
シェルソル(Shellsol)A 4.00%
ソルベッソ(Solvesso)150 4.00%
キシレン 10.00%
合計 100.00%
セタラックス(Setalux)C1502:アクリレート焼き付け樹脂、オランダのベルヘン・オプ・ソーム(Bergen op Zoom)のニュープレックス・レジンズ(Nuplex Resins)製
マプレナル(Maprenal)MF600:メラミン焼き付け樹脂、ドイツ、フランクフルトのイネオス・メラミンズ(Ineos Melamines)製
前記百分率は、混合物全体に対する重量割合である。
アクリレート−メラミン焼き付け塗料の製造:
成分全てを、溶解器を用いて周速5m/秒で10分間混合して均質化する。その後、キシレンを用いて粘度を24秒、DIN規格の4mmカップ(23℃)に調整する。
試験しようとする添加物を、混合物全体に対して1重量%の活性物質濃度で、スキャンデクス(Scandex)撹拌機を用いて焼き付け塗料に10分間混入する。
混入後、添加物を含む焼き付け塗料を、下塗りしたアルミニウムシートにコーティングナイフを用いて100μmのウェットフィルムとして塗布する。10分間の脱気時間後に、前記シートを140℃で20分間焼き付ける。添加物を含む焼き付け塗料それぞれにつき2枚のシートを製造する。
得られた塗膜の防汚効果、撥水効果及び撥油効果を、以下の基準にしたがって評価する。
<塗料表面の目視評価>
塗料表面のフィルムの不透明性と表面欠陥、例えば、くぼみ、シミ、非相溶性を評価する。
評価:1〜5
1:表面欠陥が無い塗料表面
5:表面欠陥が多い塗料表面
<エディング(Edding)試験>
エジング400マジックインクを用いて塗料表面に刻みつけて、表面に書き込みが可能かどうかについて目視評価を行う。前記表面上のインクが広がるか又は近づいているかを評価する。インクを乾燥させてから、それを乾いた布でふき取ってみる。
評価:1〜5
1:インクは近付いており、ペーパータオルで残らず除去できる。
5:インクは表面に結構広がっており、事実上除去不可能である。
<ビチューメン(Bitumen)試験>
ビチューメンを、前記塗料表面に塗布できる程度に液化するまで加熱する。ビチューメン物質を冷却した後、更に、いかに上手く手で表面から残らず除去できるかについて目視評価を行う。
評価:1〜5
1:ビチューメンは容易にしかも残らず除去できる。
5:ビチューメンは表面にしっかり付着しており、事実上除去不可能である。
<ベイフェロックス(Bayferrox)粉末による染色>
スプーン3杯のベイフェロックス130M〔バイエル(Bayer AG)社製の酸化鉄顔料〕を塗料表面に散布し、そして洗浄瓶を用いて蒸留水を5回吹き掛けて洗い流す。ほぼ残渣の無い表面を目視評価する。
評価:1〜5
1:ベイフェロックス粉末を水で残らず洗い流すことができる。
5:水での洗い流しによる洗浄効果は得られず、大きな赤いしみが残る。
<水の流出試験>
表面に水を1滴付与する。続いて、水滴が流出するまで、塗装した塗料表面を傾ける。水滴が流出する角度と、水滴が残らず流出するかどうか、を目視評価する。
評価:1〜5
1:小さな角度で十分であり、しかも水滴は、跡を残さずしかも水滴を残さずに完全に流出する。
5:塗装したシートは、水滴が流出するまでかなり傾けなければならず、水残渣が塗料表面に残っている可能性がある。
<鉱油の流出試験>
塗料表面に市販の鉱油を1滴付与する。その後、油滴が約10cm流れるまで、塗装した塗料表面を傾ける。5分経過後、油の跡又は新たな油滴の形成について目視評価する。
評価:1〜5
1:油の跡が直ぐに個々の油滴になる。
5:油の跡は形が変わらず、更に広がる可能性がある。
得られた結果を以下の表に示す。
Figure 0005746152
結果から、ポリマーを添加物として用いることで、防汚性、撥油性及び撥水性に非常に優れた表面が得られることが分かる。
c)湿潤剤及び分散剤
顔料濃厚物製造用の湿潤剤及び分散剤としてのポリマーの使用、並びに塗料系でのその使用
出発物質
ウララック(Uralac)SN831:ポリエステル樹脂〔メーカー:DSMレジンズ(DSMResins)〕
サイメル(Cymel)303:メラミンホルムアルデヒド樹脂〔メーカー:サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)〕
ダイナポール触媒(Dynapol Catalyst)1203:触媒〔メーカー:エヴォニク・デグッサ(Evonik Degussa)〕
Tiピュア(Ti Pure)R960:二酸化チタン顔料〔メーカー:デュポン(Du Pont)〕
ベイフェロックス(Bayferrox)140M:酸化鉄赤色顔料〔メーカー:ランキセス(Lanxess)〕
エアロジル(Aerosil)R972:疎水性ヒュームドシリカ〔メーカー:デグッサ〕
BYK057:シリコンを含まないポリマー消泡剤〔メーカー:Bykケミー(Byk Chemie)〕
BYK355:アクリレートレベリング添加物〔メーカー:Bykケミー〕
ソルベッソ(Solvesso)150ND:芳香族溶媒〔メーカー:エクソンモービル(ExxonMobil)〕
ダワノール(Dowanol)PMA:1−メトキシ−2−プロピルアセテート〔メーカー:ダウ・ケミカル(Dow Chemical)〕
手順
Tiピュア(Ti Pure)R960顔料濃厚物の製造
摩砕条件:
装置:ラウ・ペイント(Lau Paint)製震盪器DAS H[/A]200−K
摩砕時間:60分、標準速度、最大冷却
ミルベース添加物:50重量%ガラス玉(直径1mm)
Tiピュア(Ti Pure)960顔料濃厚物の組成:
Figure 0005746152
顔料濃厚物〔ベイフェロックス(Bayferrox)140M〕の製造:
摩砕条件:
装置:ラウ・ペイント(Lau Paint)製震盪器DAS H[/A]200−K
摩砕時間:120分、標準速度、最大冷却
ミルベース添加物:50重量%ガラス玉(直径1mm)
ベイフェロックス(Bayferrox)140M顔料濃厚物の組成:
Figure 0005746152
試験配合物の製造
クリアコートの組成
Figure 0005746152
試験配合物の組成
Figure 0005746152
本発明のポリマー11を用いて製造した顔料濃厚物〔Tiピュア(Ti Pure)1顔料濃厚物及びベイフェロックス(Bayferrox)1顔料濃厚物〕を含む試験配合物と同様に、比較例C1のポリマーを用いて製造した顔料濃厚物(Tiピュア2顔料濃厚物及びベイフェロックス2顔料濃厚物)を含む比較試験配合物も製造した。
製造後、試験配合物の粘度を、ソルベッソ(Solvesso)150NDを用いて90〜110秒(DIN規格4のフローカップ、23℃)に調整した。いずれの場合も、このために必要なソルベッソ150NDの量は以下の表から分かる。
Figure 0005746152
結果:
ポリマー11(本発明の分岐オキセタン系マクロモノマーから製造したもの)を湿潤剤及び分散剤として使用することで、非本発明の比較ポリマーC1(非本発明の直鎖ポリエーテルモノマーから製造したもの)を含む比較配合物よりも低粘度のコーティング組成物が得られる。
試験配合物の塗布
製造当日、試験配合物を以下の条件で基材に塗布した。
基材:アルカン(Alcan)製アルミニウムシート、厚さ約5μmのPU下塗り層でプリコートしたもの
ナイフコーティング塗布:80μm(ウェット)
オーブン温度:320℃
焼付け時間:30秒
最大メタル温度:235℃
乾燥塗膜層の厚さ:18〜20μm
分離、浮上及び凝集特性は次のようにして評価した。
摩擦試験
塗布直後に、二等分した基材表面に新たに塗布した塗料層で摩擦試験を行った。
このために、新たな塗料層の一部を、塗布後に機械的に擦ることで、擦っていない塗料に対して、摩擦により生じた色相の変化(摩擦効果)を求めた。摩擦効果を引き起こす原因は、例えば、顔料の凝集及び/又は浮上である。顔料の凝集塊が存在すると、擦っている間にそれがせん断作用によって崩壊し、そして当初の目標の色相がもたらされる。摩擦効果は、好適な分散剤によって抑えることもできるので、分散剤効力の標準になる。
比色分析(ΔE、Lab)
装置: カラー・ガイド(color guide)、BYK−ガードナー
(BYK-Gardner)製
光源: D65標準光源(昼光)
分析範囲: 10°
解析幾何学: d/8°スピン(拡散照明、観察角8°)
測定数: n=3
比色試験結果を以下の表に転載する。
配合物について求めたΔEは、コーティングの擦った部位と擦っていない部位との色の差を示す(摩擦効果)。
Lab値は、CIE LAB色空間のカラーパラメータL(明度)、a(赤〜緑)及びb(青〜黄)に相当する。
Figure 0005746152
本発明のオキセタン系マクロモノマーから生成されるポリマーを湿潤剤及び分散剤として使用することで、予備攪拌を行わなくても、直鎖ポリエーテル系モノマーから製造される従来の分散剤を含む配合物よりも摩擦効果(ΔE)が低い配合物が得られる。

Claims (12)

  1. マクロモノマーの製造方法であって、3-アルキル-3-(ヒドロキシアルキル)オキセタン、3,3-ジ(ヒドロキシアルキル)オキセタン、3-アルキル-3-(ヒドロキシアルコキシ)オキセタン、および3-アルキル-3-(ヒドロキシアルコキシアルキル)オキセタンから選ばれる少なくとも1つのヒドロキシオキセタン(ヒドロキシル基がエトキシル化及び/又はプロポキシル化されており、ランダム、ブロック、又はグラジエント形に配置されていてよい1〜20個のエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位を有していてもよい)を、スターター分子U−L−X−H〔ここで、Uはアクリロイル基または(メタ)アクリロイル基であり、Lは−O-L´−でL´はアルキレンラジカル、ポリアルキレンオキサイドラジカルから選ばれ、X−HはOH基である〕と、モル比〔前記ヒドロキシオキセタン:前記スターター分子〕100:1〜1:1で、少なくとも1つのカチオン開環重合において触媒の存在下で反応させることを特徴とする前記方法。
  2. 前記反応が、少なくとも1つのフリーラジカル重合禁止剤の存在下で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記モル比〔前記ヒドロキシオキセタン:前記スターター分子〕が50:1〜2:1である請求項1及び2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記モル比〔前記ヒドロキシオキセタン:前記スターター分子〕が25:1〜3:1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ヒドロキシオキセタンが、3−アルキル−3−(ヒドロキシアルキル)オキセタン及び/又は3−アルキル−3−(ヒドロキシアルコキシ)オキセタンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ヒドロキシオキセタンが、(1)3−メチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、(2)トリメチロールプロパンオキセタン、(3)ヒドロキシル基がエトキシル化及び/又はプロポキシル化されており、ランダム、ブロック、又はグラジエント形に配置されていてよい1〜20個のエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位を有する、トリメチロールプロパンオキセタンの誘導体、(4)3,3-ジ(ヒドロキシメチル)オキセタン或いは前記(1)〜(4)のいずれかの混合物である請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記ヒドロキシオキセタンが、(2)トリメチロールプロパンオキセタン、或いは(3)ヒドロキシル基がエトキシル化及び/又はプロポキシル化されており、ランダム、ブロック、又はグラジエント形に配置されていてよい1〜20個のエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位を有する、トリメチロールプロパンオキセタンの少なくとも1つの誘導体である請求項6に記載の方法。
  8. 前記スターター分子U−L−X−HがHC=C(CH)−C(=O)−O−(CH−OH及びHC=C(CH)−C(=O)−O−(CH−CH−O)−Hからなる群から選択され、a=1〜20である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記aが1〜10である請求項8に記載の方法。
  10. 前記スターター分子U−L−X−Hが、ヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシブチルメタクリレートである請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 請求項110のいずれか1項に記載の方法で生成されるマクロモノマー。
  12. フリーラジカル重合によってポリマーを製造するための請求項11に記載のマクロモノマーの使用。
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