JP5743099B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

この発明は、垂直分割型の圧縮機に関するものである。
ローターや翼等が収容されている略円柱状のバンドルを略円筒状のケーシング内部に軸線方向から挿脱可能な垂直分割型の圧縮機が知られている。この垂直分割型の圧縮機にあっては、バンドルをケーシング内に挿入する際に、バンドルをケーシングの内周面に干渉させないために、バンドルの前端付近下部に左右一対の内部ローラーを設けると共に後部を支持する台車を設けて、バンドルとケーシングとの相対角度差が所定の角度差となるようにバンドルの傾斜角度を補正しながら、ケーシングにバンドルを挿入している(例えば、特許文献1参照)。
そして、上記圧縮機の場合、ケーシングの車室前端付近に、内周壁面よりも径方向外側に陥没した凹部が形成され、バンドルがケーシングに完全に収容された状態で、軸線方向で凹部と内部ローラーとの位置が重なり内部ローラーが凹部内に落ちることで、内部ローラーを荷重から開放するように設定されている。
特開2001−220307号公報
ところで、上述した圧縮機にあっては、図5に示すように、バンドル2の外周面2aにOリングなどのシール部材40が取り付けられている。このシール部材40は、内部ローラー20が凹部80に落ちる際にケーシング3の内周面3aに形成されたシール面60とバンドル2外周面2aとの間に挟み込まれて弾性変形しシールするようになっている。
しかしながら、バンドル2が軸線方向に変位しながら凹部80内に内部ローラー20が落ちるようになっているため、上述したシール部材40は、シール面60とバンドル2の外周面2aとの間の適正位置に配置される前に、シール面60のバンドル挿入方向における後側の内周面3a上で引き摺られてしまう。ここで、図5において、シール面60から内部ローラー20が落ちた直後の状態を二点差線で示しているが、シール面60の後側近傍に開口部50が形成されている場合には、開口部50の角部にシール部材40が引っ掛かり、シール部材40に損傷や切断が生じる場合があるという課題がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シール部材の損傷や切断を防止して、信頼性の向上を図ることができる圧縮機を提供するものである。
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明に係る圧縮機は、周壁に開口部を有する有底筒状のケーシングと、該ケーシングの内部に軸線方向から挿入されて格納されるバンドルと、前記バンドルの挿入方向の前部に設けられ、前記ケーシングの内周面上で軸線方向に転動する内部ローラーとを備え、前記ケーシングは、前記バンドルの挿入方向で、前記開口部の前縁近傍に、前記内周面から径方向内周側に向かって突出して形成されるシール面と、前記内周面に設けられ、前記ケーシングに前記バンドルが格納された格納状態で前記内部ローラーが没入される凹部とを備え、前記バンドルは、該バンドルの外周面に、前記ケーシングに前記バンドルが格納された格納状態で前記ケーシングの前記シール面に突き当たるシール部材を備え、前記ケーシングの前記内周面には、前記シール面を前記バンドルの挿入方向前側に延長する延長部が設けられていることを特徴としている。
このように構成することで、ケーシングに対してバンドルを格納した状態で内部ローラーが凹部に没入されることで、シール部材がシール面に突き当たりシール部材を変形させることができる。また、ケーシングに対してバンドルを挿入している過程で、シール部材が開口部を通り過ぎるまで、内部ローラーがシール面を延長する延長部上を転動している状態となるため、シール部材が開口部の角部に接触するのを防止することができる。
また、この発明に係る圧縮機は、上記圧縮機において、前記ケーシングの底部から前記開口部までの軸線方向の距離をb、前記バンドルの前面から挿入方向における前記内部ローラーの後端部までの軸線方向の距離をe、前記内部ローラーの回転中心から前記シール部材までの軸線方向の距離をdとした場合、前記延長部の挿入方向前側の端縁から前記開口部までの軸線方向の距離cは、b−e>c>dの関係を満たすように設定してもよい。
このように構成することで、内部ローラーが凹部に没入する際に、シール部材が開口部よりも挿入方向前側に配置されるので、シール部材が開口部の角部に接触するのをより確実に防止することができる。また、バンドルのシール部材の配置に応じてシール面を形成すると共に、内部ローラーの配置に応じて凹部を適正に形成しつつ、延長部を開口部の位置に応じた適正な長さに設定することができる。
また、この発明に係る圧縮機は、上記圧縮機において、前記ケーシングの底部から前記シール面のシール予定点までの軸線方向の距離をa、前記バンドルの前面から前記内部ローラーの回転中心までの距離をgとした場合、b>c+e>a、および、a>d+gの関係を満たすようにしてもよい。
このように構成することで、軸線方向における開口部とシール面との相対位置に応じて、延長部の軸線方向の寸法を適正化することができる。また、バンドルの前面をケーシングの底部に当接させた状態で、シール部材を軸線方向でシール面上または延長部上に配置させることができる。
この発明に係る圧縮機によれば、バンドルをケーシングに挿入する際に、シール部材の損傷及び切断を防止して、信頼性の向上を図ることが可能となる。
この発明の実施形態における圧縮機の概略構成を示す構成図である。 上記圧縮機におけるバンドル前部の拡大断面図である。 内部ローラーが延長部上を転動している状態を示す図2に相当する拡大断面図である。 内部ローラーが凹部に没入された状態を示す図2に相当する拡大断面図である。 従来の圧縮機における図2に相当する部分拡大図である。
次に、この発明の実施形態における圧縮機について図面を参照して説明する。
図1は、この実施形態の圧縮機の概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、圧縮機1は、垂直分割型(バレル型)の圧縮機であって、主に、内部にローター4等を収容すると共に、ローター4を回転可能に支持する静止部Cを備える略円柱状のバンドル2と、略有底筒状のケーシング3とから構成されている。
ケーシング3は、内部にバンドル2が収容可能とされており、その内周面3aの直径は、バンドル2の外周面2aの直径よりも僅かに大径(例えば、数mm程度)とされている。ケーシング3は、その軸線方向が水平方向を向くように架台10の水平な基面11上に固定されている。
ケーシング3には、軸線方向の一方に、バンドル2を挿脱するための軸線方向開口部5が形成されている。そして、ケーシング3には、下方に向かって拡径して開口する吸込ノズル6と排出ノズル7とがそれぞれ軸線方向に並んで取り付けられている。
架台10は、上記ケーシング3の下方から軸線に沿って軸線方向開口部5から離間される方向に延在されている。架台10の基面11には、左右一対のレール部材13が軸線に沿って上記ケーシング3の軸線方向開口部5から離間する方向に延在されている。このレール部材13は、上面14が水平面とされバンドル2の直径と略同じ間隔で平行に配設されている。また、一対のレール部材13の軌道内側には、バンドル2の外周面2aに対向する傾斜面を有した一対の内側レール部材(図示せず)が延在されている。
バンドル2は、その挿入方向(図1中、矢印で示す方向)の前部に、より具体的には外周面2aの前面2b近傍の下部に、バンドル2の軸線方向に沿って走行可能な内部ローラー20が設けられている。この内部ローラー20は、ケーシング3の内周面3a上を転動可能となっている。この内部ローラー20の転動によって、バンドル2をケーシング3へ挿入する際に、バンドル2の前部をケーシング3の底部3d側へ円滑に押し込むことが可能となる一方で、バンドル2をケーシング3から離脱させる際には、バンドル2の前部をケーシング3の軸線方向開口部5まで円滑に引き出すことが可能となっている。なお、内部ローラー20は、上述した内側レール部材の傾斜面上を、当該内側レール部材に沿って走行可能とされている。
バンドル2は、挿入方向の後部に、上記レール部材13の上面14を走行可能な後部走行機構21が取り付けられている。この後部走行機構21は、バンドル2の後部を挿入方向にスライド可能に支持するものであり、その下端部にアウターローラ36を有している。このアウターローラ36は、レール部材13の上面14を挿入方向に転動するようになっている。
架台10には、レール部材13に沿って油圧シリンダー22が取り付けられている。バンドル2をケーシング3内に収容する際には、上記油圧シリンダー22によって、バンドル2をレール部材13の延在方向に押圧可能であり、さらに、バンドル2をケーシング3から取り出す際には、バンドル2をレール部材13の延在方向に引き出すことが可能となっている。
図2に示すように、バンドル2は、バンドル挿入方向の前側(図2中、右側)の下部に内部ローラー20が取り付けられている。バンドル2の外周面2aには、内部ローラー20よりもバンドル挿入方向の後側に、Oリングなどのシール部材40が周方向に延在する状態で取り付けられている。このシール部材40は、バンドル2の外周面2aから径方向外周側に僅かに突出する取付座41上に取り付けられている。このシール部材40は、バンドル2がケーシング3に格納された状態で、後述するシール面60に突き当たることで弾性変形して、バンドル2の前部をシールするようになっている。
一方で、ケーシング3には、その周壁3bの下部に、ケーシング3の内部と外部とを連通する開口部50が形成されている。この開口部50は、内部ローラー20が転動する一対の軌道の幅方向内側に配置され、図示しないノズル等が外部に接続されるようになっている。
さらに、バンドル挿入方向における開口部50の前側縁部50aの前側近傍には、上述したシール部材40用のシール面60が形成されている。このシール面60は、ケーシング3の内周面3aの周方向に延在され、径方向内周側に所定高さで突出している。このシール面60は、ケーシング3に格納された状態のバンドル2の外周面2aと略平行な面とされている。なお、シール面60の高さは、バンドル2とケーシング3の内周面3aとの隙間の大きさに応じて設定される。
さらに、ケーシング3の内周面3aには、延長部70が形成されている。この延長部70は、上記シール面60をバンドル挿入方向の前側に所定長さだけ延長して形成されている。この延長部70は、シール面60に対して面一に形成されている。
ケーシング3には、さらに、延長部70よりもバンドル挿入方向の前側に、ケーシング3にバンドル2が完全に格納された格納状態のときに内部ローラー20が没入される凹部80が形成されている。この凹部80は、ケーシング3の内周面3aよりも更に径方向外周側に配置される内周面3cを備えている。そして、凹部80の前側、すなわちケーシング3のバンドル挿入方向における最も前側には、ケーシング3の内周面3aに対して略直角に延在する底部3dが形成されている。
この実施形態の圧縮機1は、上述した構成を備えており、次に、上述した圧縮機1のバンドル2及びケーシング3における各部の具体的配置について説明する。
図2に示すように、上述したケーシング3の底部3dから開口部50の前側縁部50aまでの軸線方向の距離を「b」、バンドル2の前面2bから挿入方向における内部ローラー20の後端部23までの軸線方向の距離を「e」、内部ローラー20の回転中心24からシール部材40までの軸線方向の距離を「d」、延長部70の挿入方向における前側の端縁71から開口部50の前側縁部50aまでの軸線方向の距離を「c」とすると、距離「c」は、b−e>c>dの関係を満たすように設定されている。ここで、内部ローラー20の直径はバンドル2の重量に応じて決定される。また、上述したバンドル2の内部にガスシール(図示せず)が設けられている場合、このガスシールに繋がるガスシール用の孔がバンドル2の軸線方向において、シール部材40よりも前側に配置される。この場合、当該ガスシール用の孔の配置と、内部ローラー20の直径等に応じて距離「b」および、後述する距離「a」が決定される。
上記のように各部を設定することで、ケーシング3にバンドル2が格納された格納状態のときに、軸線方向における内部ローラー20の後端部23の位置よりも、延長部70の前側の端縁71がバンドル挿入方向の後側に配置されることとなる。さらに、内部ローラー20が、延長部70から落ちて凹部80に没入される際、すなわち、内部ローラー20の回転中心24が延長部70の前側の端縁71の位置になったときに、開口部50の前側縁部50aよりもバンドル挿入方向の前側にシール部材40が配置されることとなる。
また、ケーシング3の底部3dからシール面60のシール予定点Fまでの軸線方向の距離を「a」、バンドル2の前面2bから内部ローラー20の回転中心24までの距離を「g」とした場合、b>c+e>a、および、a>d+gの関係を満たすように設定しても良い。このようにすることで、内部ローラー20が凹部80内に完全に没入された状態で、シール部材40を開口部50の前側縁部50aよりも前側に配置することができるとともに、前面2bが底部3dに当接する状態となったときには凹部80内に内部ローラー20を確実に没入させることができる。なお、シール予定点Fとは、ケーシング3にバンドル2が格納された格納状態でシール部材40が突き当たる予定位置である。
次に、上述した圧縮機1のバンドル2をケーシング3に挿入させる際の動作について図面を参照して説明する。
図2に示すように、内部ローラー20をケーシング3の内周面3a上でバンドル挿入方向の前側に転動させながらバンドル2をケーシング3内に挿入する。この際、シール部材40は、ケーシング3の内周面3aから浮いた状態となっている。
図3に示すように、バンドル2を挿入方向に更に変位させると、内部ローラー20が転動しながらシール面60上に移動する。この際、シール部材40は、内部ローラー20がシール面60上に移動する前よりも更に内周面3aから離間された状態となる。
そして、内部ローラー20は、シール面60から延長部70へとバンドル挿入方向に転動し、延長部70の前側の端縁71を過ぎると、延長部70から落ちて凹部80に没入される。さらに、図4に示すように、バンドル2の前面2bが底部3dに当接し、ケーシング3にバンドル2が格納された格納状態になると、シール部材40がシール面60に突き当たり弾性変形した状態となる。これにより、シール部材40及びシール面60によって、バンドル2のシール部材40よりも前側の部分がシールされた状態となる。
したがって、上述した実施形態の圧縮機1によれば、ケーシング3に対してバンドル2が格納された格納状態で内部ローラー20が凹部80に没入されるので、シール部材40がシール面60に突き当たり、シール部材40を弾性変形させることができる。
また、ケーシング3に対してバンドル2を挿入している過程で、シール部材40が開口部50を通り過ぎるまで、内部ローラー20がシール面60を延長する延長部70上を転動している状態となるため、シール部材40が開口部50の角部に接触するのを防止することができる。その結果、シール部材40の損傷や切断を防止して、信頼性の向上を図ることができる。
また、内部ローラー20が凹部80に没入する際には、シール部材40が開口部50の端縁71よりも前側に配置されるため、シール部材40が開口部50の角部に接触するのを確実に防止することができる。
また、バンドル2のシール部材40の配置に応じてシール面60を形成すると共に、内部ローラー20の配置に応じて凹部80を適正に形成しつつ、延長部70を開口部50の位置に応じた適正な長さに設定することができるため、ケーシング3の軸線方向の長さを最小限に抑えることができる。
さらに、軸線方向における開口部50とシール面60との相対位置に応じて、延長部70の軸線方向の寸法を適正化することができる。また、バンドル2の前面2bがケーシング3の底部3dに当接された状態(格納状態)で、シール部材40を軸線方向でシール面60上または延長部70上に配置させることができるため、ケーシング3内にバンドル2が格納された格納状態のときに、シール部材40をシール面60または延長部70に突き当てて弾性変形させることができる。その結果、シール部材40により確実にシールすることができる。
なお、この発明は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
上述した実施形態においては、シール部材40としてOリングを一例として挙げたが、Oリングに限られるものではない。例えば、シール部材40として、金属シールを用いても良い。
2 バンドル
2a 外周面
3 ケーシング
3a 内周面
20 内部ローラー
40 シール部材
50 開口部
60 シール面
70 延長部
80 凹部
F シール予定点

Claims (3)

  1. 周壁に開口部を有する有底筒状のケーシングと、
    該ケーシングの内部に軸線方向から挿入されて格納されるバンドルと、
    前記バンドルの挿入方向の前部に設けられ、前記ケーシングの内周面上で軸線方向に転動する内部ローラーとを備え、
    前記ケーシングは、
    前記バンドルの挿入方向で、前記開口部の前縁近傍に、前記内周面から径方向内周側に向かって突出して形成されるシール面と、
    前記内周面に設けられ、前記ケーシングに前記バンドルが格納された格納状態で前記内部ローラーが没入される凹部とを備え、
    前記バンドルは、
    該バンドルの外周面に、前記ケーシングに前記バンドルが格納された格納状態で前記ケーシングの前記シール面に突き当たるシール部材を備え、
    前記ケーシングの前記内周面には、前記シール面を前記バンドルの挿入方向前側に延長する延長部が設けられていることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記ケーシングの底部から前記開口部までの軸線方向の距離をb、前記バンドルの前面から挿入方向における前記内部ローラーの後端部までの軸線方向の距離をe、前記内部ローラーの回転中心から前記シール部材までの軸線方向の距離をdとした場合、前記延長部の挿入方向前側の端縁から前記開口部までの軸線方向の距離cは、b−e>c>dの関係を満たすように設定されている請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記ケーシングの底部から前記シール面のシール予定点までの軸線方向の距離をa、前記バンドルの前面から前記内部ローラーの回転中心までの距離をgとした場合、b>c+e>a、および、a>d+gの関係を満たしている請求項2に記載の圧縮機。
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