図1は、本発明の実施例に係る油圧制御装置50を含む動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図であり、図2は、動力伝達装置20の概略構成図である。図1に示す自動車10は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料と空気との混合気の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関である動力発生源としてのエンジン12と、エンジン12を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)14と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という)15と、エンジン12のクランクシャフト16に接続されると共に動力発生源としてのエンジン12からの動力を左右の駆動輪DWに伝達する動力伝達装置20とを含む。動力伝達装置20は、流体伝動装置(発進装置)23や有段式の自動変速機30、これらに作動油(作動流体)を給排する油圧制御装置50、これらを制御する変速用電子制御ユニット(以下、「変速ECU」という)21等を有する。
エンジンECU14は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を有し、バスライン等を介してブレーキECU15や変速ECU21と相互に接続されている。図1に示すように、エンジンECU14には、アクセルペダル91の踏み込み量(操作量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Accや、車速センサ99からの車速V、クランクシャフトの回転位置を検出する図示しないクランクシャフトポジションセンサといった各種センサ等からの信号、ブレーキECU16や変速ECU21からの信号等が入力され、エンジンECU14は、これらの信号に基づいて何れも図示しない電子制御式のスロットルバルブや燃料噴射弁および点火プラグ等を制御する
ブレーキECU16も図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を有する。図1に示すように、ブレーキECU16には、ブレーキペダル93が踏み込まれた際にマスタシリンダ圧センサ94により検出されるマスタシリンダ圧Pmcや車速センサ99からの車速V、図示しない各種センサ等からの信号、エンジンECU14や変速ECU21からの信号等が入力され、ブレーキECU16は、これらの信号に基づいて図示しないブレーキアクチュエータ(油圧アクチュエータ)等を制御する。
変速ECU21も図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を備える。図1に示すように、変速ECU21には、アクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Accや、シフトレバー95の操作位置を検出するシフトポジションセンサ96からのシフトポジションSP、車速センサ99からの車速V、自動変速機30の入力回転速度(タービンランナ25または自動変速機30のインプットシャフト31の回転速度)を検出する図示しない回転速度センサ、油圧制御装置50の作動油の油温を検出する図示しない油温センサといった各種センサ等からの信号、エンジンECU14やブレーキECU16からの信号等が入力され、変速ECU21は、これらの信号に基づいて流体伝動装置23や自動変速機30、すなわち油圧制御装置50を制御する。
また、シフトレバー95により設定可能なシフトポジションSPには、パーキングポジション(Pポジション)、リバースポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行用のドライブポジション(Dポジション)、2速ポジションおよびLポジションが含まれる。そして、実施例では、シフトポジションセンサ96として、シフトレバー95の操作位置に応じた信号(P信号、R信号、N信号、D信号、2nd信号およびL信号)を出力する有接点式センサが採用されている。このようなシフトポジションセンサ96を採用することにより、自動変速機30を含む動力伝達装置20の流体伝動装置23のコストを低下させることが可能となる。
動力伝達装置20は、流体伝動装置23や、油圧発生源としてのオイルポンプ(機械式ポンプ)29、自動変速機30等を収容するトランスミッションケース22を有する。動力伝達装置20の流体伝動装置23は、流体式トルクコンバータとして構成されており、図2に示すように、フロントカバー18を介してエンジン12のクランクシャフト16に接続されるポンプインペラ24や、タービンハブを介して自動変速機30のインプットシャフト(入力部材)31に固定されるタービンランナ25、ポンプインペラ24およびタービンランナ25の内側に配置されてタービンランナ25からポンプインペラ24への作動油(ATF)の流れを整流するステータ26、ステータ26の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ27、図示しないダンパ機構を有するロックアップクラッチ28等を含む。
流体伝動装置23のロックアップクラッチ28は、フロントカバー18と自動変速機30のインプットシャフト31とを直結するロックアップと当該ロックアップの解除とを実行可能なものである。実施例のロックアップクラッチ28では、ポンプインペラ24やタービンランナ25が配置される流体伝動室23aとロックアップピストン28pを介して対向するロックアップ室23b内の圧力を低下させることでロックアップが実行される。油圧発生源としてのオイルポンプ29は、ポンプボディとポンプカバーとからなるポンプアッセンブリと、ハブを介して流体伝動装置23のポンプインペラ24に接続された外歯ギヤとを備えるギヤポンプとして構成されている。エンジン12からの動力により外歯ギヤを回転させれば、オイルポンプ29によりオイルパン(図示省略)に貯留されている作動油(ATF)が吸引されて油圧制御装置50へと圧送される。
自動変速機30は、4段変速式の変速機として構成されており、図2に示すように、ラビニヨ式遊星歯車機構32と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための複数のクラッチC1,C2およびC3と2つのブレーキB1およびB3とワンウェイクラッチF2とを含む。ラビニヨ式遊星歯車機構32は、外歯歯車である2つのサンギヤ33a,33bと、自動変速機30のアウトプットシャフト(出力部材)37に固定された内歯歯車であるリングギヤ34と、サンギヤ33aに噛合する複数のショートピニオンギヤ35aと、サンギヤ33bおよび複数のショートピニオンギヤ35aに噛合すると共にリングギヤ34に噛合する複数のロングピニオンギヤ35bと、互いに連結された複数のショートピニオンギヤ35aおよび複数のロングピニオンギヤ35bを自転かつ公転自在に保持すると共にワンウェイクラッチF2を介してトランスミッションケース22に支持されたキャリア36とを有する。そして、自動変速機30のアウトプットシャフト37は、ギヤ機構38および差動機構39を介して駆動輪DWに接続される。
クラッチC1は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33aとを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。クラッチC2は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のキャリア36とを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。クラッチC3は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33bとを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。
ブレーキB1は、油圧サーボを含むバンドブレーキあるいは多板摩擦式ブレーキとして構成されており、ラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33bをトランスミッションケース22に固定すると共にサンギヤ33bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧クラッチである。ブレーキB3は、油圧サーボを含むバンドブレーキあるいは多板摩擦式ブレーキとして構成されており、ラビニヨ式遊星歯車機構32のキャリア36をトランスミッションケース22に固定すると共にキャリア36のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧クラッチである。
上述のクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3は、油圧制御装置50による作動油の給排を受けて動作する。図3に、自動変速機30の各変速段とクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3ならびにワンウェイクラッチF2の作動状態との関係を表した作動表を示し、図4に自動変速機30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図を示す。自動変速機30は、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3を図3の作動表に示す状態にすることで前進1〜4速の変速段と後進1段の変速段とを提供する。なお、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3の少なくとも何れかは、ドグクラッチといった噛み合い係合要素とされてもよい。
図5は、油圧制御装置50を示す系統図である。油圧制御装置50は、エンジン12からの動力により駆動されてオイルパンから作動油を吸引して吐出する上述のオイルポンプ29に接続されるものであり、図示しないバルブボディや、オイルポンプ29からの油圧を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51、ライン圧PLを調圧して略一定のモジュレータ圧Pmodを生成するモジュレータバルブ52、シフトレバー95の操作位置に応じてプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLの供給先を切り替えるマニュアルバルブ53、ライン圧PLを調圧してクラッチC1へのC1ソレノイド圧Pslc1を生成可能なC1リニアソレノイドバルブSLC1、ライン圧PLを調圧してクラッチC2へのC2ソレノイド圧Pslc2を生成可能なC2リニアソレノイドバルブSLC2、ライン圧PLを調圧してブレーキB1へのB1ソレノイド圧Pslb1を生成可能なB1リニアソレノイドバルブSLB1と、モジュレータバルブ52からのモジュレータ圧Pmodを調圧して切替信号圧としてのソレノイド圧Ps1を生成可能な常閉型のソレノイドバルブS1とを含む。これらリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1並びにソレノイドバルブS1(それぞれに印加される電流)は、何れも変速ECU21により制御される。すなわち、変速ECU21は、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1並びにソレノイドバルブS1への油圧指令値を設定し、設定した油圧指令値に基づいて、リニアソレノイドバルブSLC1等への電流を設定する図示しない駆動回路を制御する。
また、実施例の油圧制御装置50は、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1の出力ポートに接続されると共にC1ソレノイド圧Pslc1、C2ソレノイド圧Pslc2およびB1ソレノイド圧Pslb1の中の最大油圧Pmaxを選択して出力するシャトルバルブ(最大圧出力バルブ)54を含む。更に、油圧制御装置50は、流体伝動装置23のロックアップクラッチ28を完全係合、スリップ係合あるいは解放させるために、モジュレータバルブ52からのモジュレータ圧Pmodを調圧してロックアップソレノイド圧(ロックアップ制御圧)Psluを生成するロックアップソレノイドバルブSLUと、ロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップソレノイド圧Psluを信号圧として用いてロックアップクラッチ28へのロックアップ圧Plupを生成するロックアップ制御バルブ55と、ロックアップリレーバルブ56とを含む。ロックアップリレーバルブ56は、流体伝動装置23のロックアップ室23bにロックアップ圧Plupを供給可能とするロックアップ圧供給状態と、ロックアップ室23bへのロックアップ圧Plupの供給を遮断するロックアップ圧遮断状態とを形成可能なものである。
プライマリレギュレータバルブ51は、安全弁59を介して上述のシャトルバルブ54からの最大油圧Pmaxを入力し、当該最大油圧Pmaxを信号圧として用いてオイルポンプ29からの油圧を調圧してライン圧PLを生成する。また、実施例のモジュレータバルブ52は、スプリングの付勢力とフィードバック圧とによりプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLを調圧して略一定のモジュレータ圧Pmodを生成する。マニュアルバルブ53は、シフトレバー95と連動して軸方向に摺動可能なスプールや、ライン圧PLが供給される入力ポート、C1リニアソレノイドバルブSLC1およびB1リニアソレノイドバルブSLB1の入力ポートと油路を介して連通するドライブレンジ出力ポート、クラッチC3の油圧入口と油路を介して連通するリバースレンジ出力ポート等を有する。
運転者により前進走行ポジションであるDポジション、2速ポジションおよびLポジションの何れかが選択されている場合には、マニュアルバルブ53の入力ポートがスプールによりドライブレンジ出力ポートと連通され、リバースレンジ出力ポートとドレンポートとが連通される。これにより、マニュアルバルブ53を介してプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧(ドライブレンジ圧Pd)がC1リニアソレノイドバルブSLC1およびB1リニアソレノイドバルブSLB1に直接供給される。また、運転者により後進走行用のRポジションが選択された場合には、マニュアルバルブ53の入力ポートがスプールによりリバースレンジ出力ポートと連通される。これにより、マニュアルバルブ53を介してプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧(リバースレンジ圧Pr)がクラッチC3に供給される。なお、実施例において、プライマリレギュレータバルブ51は、最大油圧Pmaxが例えばモジュレータバルブ52により生成されるモジュレータ圧Pmodと同等であれば、クラッチC3(およびブレーキB3)を完全係合させるのに充分なライン圧PLを生成可能に構成されている。そして、運転者によりPポジションやNポジションが選択された場合には、マニュアルバルブ53のスプールにより入力ポートとドライブレンジ出力ポートおよびリバースレンジ出力ポートとの連通が遮断される。
C1リニアソレノイドバルブSLC1は、マニュアルバルブ53からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してクラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1を生成可能な常開型リニアソレノイドバルブである。C2リニアソレノイドバルブSLC2は、マニュアルバルブ53側からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してクラッチC2に供給されるC2ソレノイド圧Pslc2を生成可能な常開型リニアソレノイドバルブである。B1リニアソレノイドバルブSLB1は、マニュアルバルブ53からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してブレーキB1に供給されるB1ソレノイド圧Pslb1を生成可能な常閉型リニアソレノイドバルブである。実施例では、コスト面や設計の容易さといった観点から、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1として、同一サイズかつ同一の最高出力圧を有するものが採用されている。
ロックアップソレノイドバルブSLUは、モジュレータバルブ52からのモジュレータ圧Pmodを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してロックアップソレノイド圧Psluを生成するものであり、変速ECU21により制御される。図6にロックアップソレノイドバルブSLUに印加される電流とロックアップソレノイド圧Psluとの関係を示す。ロックアップ制御バルブ55には、プライマリレギュレータバルブ51からドレンされる作動油を上記シャトルバルブ54からの最大油圧Pmaxに応じてライン圧PLよりも低くなるように調圧する図示しないセカンダリレギュレータバルブからのセカンダリ圧Psecが元圧として供給される。そして、ロックアップ制御バルブ55は、信号圧としてのロックアップソレノイド圧Psluが高いほど元圧であるセカンダリ圧Psecを減圧してロックアップ圧Plupを生成する。また、ロックアップ制御バルブ55は、ロックアップソレノイド圧Psluがモジュレータ圧Pmod以下のロックアップクラッチ完全係合圧P1(図6参照)に達した際にロックアップクラッチ28の完全係合に要求されるロックアップ圧Plupを出力する。
ロックアップリレーバルブ56は、スプリングにより付勢されるスプールを有し、ロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップソレノイド圧Psluを信号圧として入力する。実施例のロックアップリレーバルブ56は、ロックアップソレノイド圧Psluが供給されない場合にロックアップ圧遮断状態を形成して上述のロックアップ室23bに対するセカンダリレギュレータバルブからのセカンダリ圧(循環圧)Psecの供給のみを許容すると共に、ロックアップソレノイド圧Psluが供給される場合にロックアップ圧供給状態を形成して流体伝動室23aへのセカンダリ圧Psecの供給およびロックアップ室23bへのロックアップ圧Plupの供給を許容する。更に、ロックアップリレーバルブ56には、上述のソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1が切替信号圧として供給される。ロックアップリレーバルブ56は、ソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1を入力した場合、上記ロックアップ圧遮断状態を形成し、ロックアップ室23bへのロックアップ圧Plupの供給(ロックアップ)を遮断(解除)する。
また、実施例では、運転者によりLポジションが選択されたのに伴って自動変速機30の第1速が設定された状態でタービンランナ25側からアウトプットシャフト37にフリクショントルクを伝達する際(1速エンジンブレーキ時)に、クラッチC1と共に係合されるブレーキB3に対して、正常時に当該ブレーキB3と同時に係合されないクラッチC2に対応したC2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2が供給される。このため、油圧制御装置50は、図5に示すように、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2をクラッチC2とブレーキB3とに選択的に供給可能とするために、C2/B3切替バルブ60と、B3切替バルブ(第2の切替バルブ)70とを含む。
C2/B3切替バルブ60は、図5に示すように、バルブボディ内に軸方向に移動自在に配置されるスプール601と、スプール601を付勢するスプリング602と、C2リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートと油路を介して連通する入力ポート61と、クラッチC2から油圧を排出可能とするC2ドレンポート62と、ブレーキB3から油圧を排出可能とするB3ドレンポート63と、マニュアルバルブ53のドライブレンジ出力ポートと油路を介して連通する信号圧入力ポート64と、マニュアルバルブ53のドライブレンジ出力ポートと油路を介して連通するライン圧入力ポート65と、モジュレータバルブ52の出力ポートと油路を介して連通するモジュレータ圧入力ポート66と、クラッチC2の油圧入口と油路を介して連通する第1出力ポート67と、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2をブレーキB3に供給可能とする第2出力ポート68と、C2リニアソレノイドバルブSLC2の入力ポートと連通する第3出力ポート69とを有する。更に、C2/B3切替バルブ60のスプリング602を収容するスプリング室603は、図示しないポートおよび油路を介してソレノイドバルブS1の出力ポートと連通されている。
実施例において、C2/B3切替バルブ60の取付状態は、ブレーキB3にC2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2を供給可能とすると共にC2リニアソレノイドバルブ(所定要素)SLC2からクラッチ(所定係合要素)C2へのC2ソレノイド圧Pslc2の供給を遮断するB3供給状態(第2状態)とされている。すなわち、C2/B3切替バルブ60の取付状態すなわちB3供給状態では、スプール601がスプリング602によって付勢されて図5中点線で示す状態に維持され、それによりC2リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートと連通する入力ポート61と第2出力ポート68とが連通され、クラッチC2の油圧入口と連通する第1出力ポート67とC2ドレンポート62とが連通され、モジュレータ圧入力ポート66と第3出力ポート69とが連通される。
また、上述のように、C2/B3切替バルブ60の信号圧入力ポート64はマニュアルバルブ53のドライブレンジ出力ポートと連通しており、信号圧入力ポート64には、前進走行ポジション(Dポジション、2速ポジションまたはLポジション)が選択されると共にプライマリレギュレータバルブ51からライン圧PLが出力されている場合、マニュアルバルブ53からのライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が供給される。更に、上述の1速エンジンブレーキ時には、ソレノイドバルブS1がソレノイド圧Ps1を出力するように変速ECU21により制御され、C2/B3切替バルブ60のスプリング室603には、ソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1が信号圧として供給される。
C2/B3切替バルブ60の信号圧入力ポート64にライン圧PLが供給されると共にスプリング室603にソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1が供給されない場合には、信号圧入力ポート64からのライン圧PLの作用によりスプール601に付与される推力がスプリング602の付勢力に打ち勝つことでスプール601がスプリング602の付勢力に抗して移動し、C2/B3切替バルブ60は、図5において実線で示すC2供給状態(第1状態)を形成する。C2供給状態では、ライン圧入力ポート65と第3出力ポート69とが連通され、C2リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートと連通する入力ポート61とクラッチC2の油圧入口と連通する第1出力ポート67とが連通され、ブレーキB3から油圧を排出可能とするB3ドレンポート63とブレーキB3にC2ソレノイド圧Pslc2を供給可能とする第2出力ポート68とが連通される。従って、前進走行ポジションの選択に応じてC2/B3切替バルブ60の信号圧入力ポート64にライン圧PLが供給されると共にスプリング室603にソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1が供給されない場合には、マニュアルバルブ53からのライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)がライン圧入力ポート65および第3出力ポート69を介してC2リニアソレノイドバルブSLC2に元圧として供給される。そして、この場合、C2リニアソレノイドバルブSLC2からC2ソレノイド圧Pslc2が出力されれば、当該C2ソレノイド圧Pslc2が入力ポート61および第1出力ポート67を介してクラッチC2に供給されることになる。
また、1速エンジンブレーキ時には、C2/B3切替バルブ60の信号圧入力ポート64にマニュアルバルブ53からのライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が供給されると共に、スプリング室603にソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1が切替信号圧として供給される。そして、実施例のC2/B3切替バルブ60は、スプリング室603にソレノイド圧Ps1が供給された際に、スプリング602の付勢力とソレノイド圧Ps1の作用によりスプール601に付与される推力との和がライン圧PLの作用によりスプール601に付与される推力に打ち勝つことでスプール601を移動させ、図5において点線で示すB3供給状態を形成するように構成されている。
これにより、1速エンジンブレーキ時には、モジュレータバルブ52からのモジュレータ圧Pmodがモジュレータ圧入力ポート66および第3出力ポート69を介してC2リニアソレノイドバルブSLC2に元圧として供給される。この際、C2リニアソレノイドバルブSLC2への油圧指令値Pslc2*は例えば常用最大圧Pslc2maxに設定され、C2リニアソレノイドバルブSLC2は、第3出力ポート69からのモジュレータ圧PmodをそのままC2ソレノイド圧Pslc2として出力し、当該C2ソレノイド圧Pslc2がC2/B3切替バルブ60の入力ポート61を介して第2出力ポート68から出力されることになる。また、こうしてC2/B3切替バルブ60がB3供給状態を形成するまでにクラッチC2の油室内に作動油が供給されていた場合には、当該作動油は、第1出力ポート67およびC2ドレンポート62を介してドレンされる。
更に、Rポジションが選択された場合には、C2/B3切替バルブ60の信号圧入力ポート64にマニュアルバルブ53からのライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が供給されなくなり、スプール601がスプリング602によって付勢されることで、C2/B3切替バルブ60は、図5中点線で示す取付状態(B3供給状態)へと戻される。これにより、Rポジションが選択された場合には、モジュレータバルブ52からのモジュレータ圧Pmodがモジュレータ圧入力ポート66および第3出力ポート69を介してC2リニアソレノイドバルブSLC2に元圧として供給され、C2リニアソレノイドバルブSLC2からC2ソレノイド圧Pslc2が出力されると、当該C2ソレノイド圧Pslc2は、C2/B3切替バルブ60の入力ポート61を介して第2出力ポート68から出力されることになる。また、こうしてC2/B3切替バルブ60がB3供給状態を形成するまでにクラッチC2の油室内に作動油が供給されていた場合には、当該作動油は、第1出力ポート67およびC2ドレンポート62を介してドレンされる。
そして、C2/B3切替バルブ60の諸元、すなわちスプリング602のバネ定数や信号圧入力ポート64に臨むスプール601の受圧面の面積、スプリング602の付勢力やソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1を受けるスプール601の受圧面の面積は、上述のような動作が可能となるように予め定められる。
B3切替バルブ70は、図5に示すように、バルブボディ内に軸方向に移動自在に配置されるスプール701と、スプール701を付勢するスプリング702と、マニュアルバルブ53のリバースレンジ出力ポートと油路を介して連通する第1入力ポート71と、C2/B3切替バルブ60の第2出力ポート68と油路を介して連通する第2入力ポート72と、ブレーキB3の油圧入口と油路を介して連通する出力ポート73と、C2/B3切替バルブ60の第3出力ポート69と油路を介して連通する信号圧入力ポート74とを有する。更に、B3切替バルブ70のスプリング702を収容するスプリング室703は、図示しないポートおよび油路を介してロックアップソレノイドバルブSLUの出力ポートと連通されている。
実施例において、B3切替バルブ70の取付状態は、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2をブレーキB3に供給可能とする連通状態とされている。すなわち、B3切替バルブ70の取付状態すなわち連通状態では、スプリング702によってスプール701が付勢されて図5中一点鎖線で示す状態に維持され、C2/B3切替バルブ60の第2出力ポート68と連通する第2入力ポート72とブレーキB3の油圧入口と連通する出力ポート73とが連通されると共に、スプール701により第1入力ポート71が閉鎖される。
前進走行ポジション(Dポジション、2速ポジションまたはLポジション)の選択に伴ってC2/B3切替バルブ60がクラッチC2にC2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2を供給可能とするC2供給状態を形成する場合、B3切替バルブ70の信号圧入力ポート74には、マニュアルバルブ53からのライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が供給される。そして、実施例のB3切替バルブ70は、ロックアップクラッチ28によるロックアップの実行に伴ってロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップソレノイド圧Pslu(ロックアップクラッチ完全係合圧P1以下の油圧)がスプリング室703に供給されたとしても、スプール701へのライン圧PLの作用によりスプール701に付与される推力が当該スプール701に付与されるスプリング702の付勢力とロックアップソレノイド圧Psluの作用によりスプール701に付与される推力との和に打ち勝つように構成されている。
これにより、前進走行ポジションの選択時には、スプール701がスプリング702の付勢力に抗して移動し、B3切替バルブ70は、図5中実線および点線で示す遮断状態を形成する。かかる遮断状態では、マニュアルバルブ53のリバースレンジ出力ポートと連通する第1入力ポート71と、ブレーキB3の油圧入口と連通する出力ポート73とが連通され、C2/B3切替バルブ60の第2出力ポート68と連通する第2入力ポート72がスプール701により閉鎖される。そして、この際、マニュアルバルブ53から第1入力ポート71にライン圧PL(リバースレンジ圧Pr)が供給されることはなく、ブレーキB3にライン圧PL(リバースレンジ圧Pr)が供給されることはない。また、こうしてB3切替バルブ70が遮断状態を形成するまでにブレーキB3に油圧(C2ソレノイド圧Pslc2またはリバースレンジ圧Pr)が供給されていた場合、ブレーキB3の油室内の作動油は、出力ポート73、第2入力ポート72等を介してマニュアルバルブ53のドレンポートからドレンされる。
また、1速エンジンブレーキ時、すなわちC2/B3切替バルブ60をC2供給状態からB3供給状態へと切り替えてブレーキB3にC2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2を供給する場合には、C2/B3切替バルブ60への切替信号圧であるソレノイド圧Ps1を出力するようにソレノイドバルブS1が変速ECU21により制御されると共に、予め定められた上述のロックアップクラッチ完全係合圧P1よりも高い値P2(図6参照)のロックアップソレノイド圧Psluを出力するようにロックアップソレノイドバルブSLUが変速ECU21により制御される。これにより、1速エンジンブレーキ時には、B3切替バルブ70のスプリング室703にロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップソレノイド圧Psluが供給される。更に、1速エンジンブレーキ時には、C2/B3切替バルブ60がB3供給状態(取付状態)を形成することから、B3切替バルブ70の信号圧入力ポート74には、モジュレータ圧Pmodが供給される。
これにより、1速エンジンブレーキ時には、スプール701に付与されるスプリング702の付勢力とロックアップソレノイド圧Psluの作用によりスプール701に付与される推力との和がモジュレータPmodの作用によりスプール701に付与される推力に打ち勝ち、B3切替バルブ70は、図5において一点鎖線で示す連通状態を形成する。かかる連通状態では、ブレーキB3の油圧入口と連通する出力ポート73がC2/B3切替バルブ60の第2出力ポート68と連通する第1入力ポート71と連通されるので、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2(実施例では、モジュレータ圧Pmodに一致する油圧)をブレーキB3に供給し、当該ブレーキB3を完全係合させることが可能となる。
更に、Rポジションの選択時には、C2/B3切替バルブ60の信号圧入力ポート64にマニュアルバルブ53からのライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が供給されなくなってC2/B3切替バルブ60がB3供給状態を形成し、B3切替バルブ70の信号圧入力ポート74には、モジュレータ圧Pmodが供給される。また、実施例では、Rポジションの選択時にはロックアップが実行されないことから、B3切替バルブ70のスプリング室703には、ロックアップソレノイドバルブSLUからロックアップソレノイド圧Psluが供給されず、モジュレータPmodの作用によりスプール701に付与される推力がスプール701に付与されるスプリング702の付勢力に打ち勝ち、B3切替バルブ70は、図5中実線および点線で示す状態(遮断状態)を形成する。これにより、マニュアルバルブ53のリバースレンジ出力ポートと連通する第1入力ポート71と、ブレーキB3の油圧入口と連通する出力ポート73とが連通されるので、マニュアルバルブ53からのライン圧PL(リバースレンジ圧Pr)をブレーキB3に供給し、当該ブレーキB3を係合させることが可能となる。
そして、B3切替バルブ70の諸元、すなわちスプリング702のバネ定数や信号圧入力ポート74に臨むスプール701の受圧面の面積、スプリング702の付勢力やロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップソレノイド圧Psluを受けるスプール701の受圧面の面積は、上述のような動作が可能となるように予め定められる。
ここで、上記油圧制御装置50を含む動力伝達装置20を搭載した自動車10において、シフトレバー95の操作位置を検出するシフトポジションセンサ96に何らかの異常が発生し、前進走行ポジション(Dポジション、2ndポジションまたはLポジション)とRポジションとの何れが選択されているか不明になってしまうことがあり得る。特に、上述のような有接点式のシフトポジションセンサ96では、シフトレバー95がPポジションやNポジションからDポジションやRポジションへと移動された際に、シフトレバー95側の接点とベース側の接点とが非接触となる非接触故障や、同時に複数の信号が出力されてしまう短絡故障等が発生するおそれがある。そして、このようなシフトポジションセンサ96の異常が発生したとしても、前進走行ポジションが選択されている場合には自動車10の前進走行を可能とし、Rポジションが選択されている場合には自動車10の後進走行を可能とする必要がある。
このため、実施例の自動車10では、シフトポジションセンサ96に異常が発生したとしても運転者により実際に選択されているシフトポジションSPに対応した走行を可能とすべく、図7に示すシフトポジションセンサ異常判定ルーチンが変速ECU21により所定時間おきに繰り返し実行される。以下、図7のシフトポジションセンサ異常判定ルーチンについて説明する。
図7のシフトポジションセンサ異常判定ルーチンの開始に際して、変速ECU21の図示しないCPUは、車速Vやシフトポジションセンサ96からのシフトポジションSPといった必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。ステップS100のデータ入力処理の後、変速ECU21は、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断された場合に値1に設定される異常フラグFspfが値0であるか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110にて異常フラグFspfが値0であると判断した場合、変速ECU21は、ステップS100にてシフトポジションセンサ96から信号を入力し得たか否かを判定する(ステップS120)。
ステップS120にて、シフトポジションセンサ96から信号を入力し得たと判断した場合、変速ECU21は、更に、シフトポジションセンサ96から前進走行ポジションが選択されていることを示すD信号、2nd信号およびL信号の何れかと、Rポジション(後進走行ポジション)が選択されていることを示すR信号とを同時に入力したか否かを判定する(ステップS130)。そして、ステップS130にて、D信号、2nd信号およびL信号の何れかとR信号とを同時に入力していないと判断した場合、変速ECU21は、シフトポジションセンサ96に異常が発生していないとみなし、異常フラグFspfを値0に維持し(ステップS135)、次の実行タイミングが到来した段階で再度本ルーチンの実行を開始する。
また、ステップS120にてシフトポジションセンサ96から信号を入力し得なかったと判断するか、あるいはステップS130にてD信号、2nd信号およびL信号の何れかとR信号とを同時に入力したと判断した場合、変速ECU21は、図示しないカウンタをインクリメントする(ステップS140)。更に、変速ECU21は、当該カウンタのカウント値Cが予め定められた閾値Cref以上であるか否かを判定し(ステップS150)、カウント値Cが閾値Cref未満であると判断した場合には、異常フラグFspfを値0に維持し(ステップS135)、次の実行タイミングが到来した段階で再度本ルーチンの実行を開始する。異常フラグFspfが値0に維持される場合、油圧制御装置50は、シフトポジションセンサ96が正常である場合の制御手順に従って変速ECU21により制御される。
一方、本ルーチンが所定時間おきに繰り返し実行され、その間、シフトポジションセンサ96から信号が出力されない状態、あるいはD信号、2nd信号およびL信号の何れかとR信号とが同時に出力される状態が継続すると、やがて、上記カウンタのカウント値Cが閾値Crefに達する。変速ECU21は、カウント値Cが閾値Crefに達して、シフトポジションセンサ96から信号が出力されない状態、あるいはD信号、2nd信号およびL信号の何れかとR信号とが同時に出力される状態が所定時間継続したと判断すると、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断し、上記異常フラグFspfを値1に設定する(ステップS160)。なお、ステップS160にて異常フラグFspfが値1に設定されると、変速ECU21から自動車10の所定の制御ユニットにシフトポジションセンサ96に異常が発生した旨が送信され、図示しない自動車10のインストルメントパネル等に配置された図示しない警告灯が点灯される。
次いで、変速ECU21は、ステップS100にて入力した車速Vに基づいて自動車10の走行状態が流体伝動装置23のロックアップクラッチ28のロックアップ(完全係合またはスリップ係合)を解除すべき状態にあるか否かを判定する(ステップS170)。実施例のステップS170では、ステップS100にて入力した車速Vの絶対値が例えばロックアップクラッチ28のロックアップ線およびロックアップ解除線に基づいて予め定められたロックアップ解除車速Vref(例えば15〜20km/hの車速)以下である場合、自動車10の走行状態がロックアップを解除すべき状態にあると判断される。
ステップS170にて自動車10の走行状態がロックアップを解除すべき状態にあると判断した場合、変速ECU21は、ソレノイド圧Ps1を出力するようにソレノイドバルブS1を制御した上で(ステップS180)、C2リニアソレノイドバルブSLC2に対する油圧指令値Pslc2*とC1リニアソレノイドバルブSLC1に対する油圧指令値Pslc1*とを設定する(ステップS190)。ステップS190では、C2リニアソレノイドバルブSLC2に対する油圧指令値Pslc2*が当該C2リニアソレノイドバルブSLC2の常用最大圧Pslc2maxに設定されると共に、C1リニアソレノイドバルブSLC1に対する油圧指令値Pslc1*がクラッチC1の完全係合圧Pc1egに設定される。そして、変速ECU21は、それぞれ油圧指令値Pslc1*またはPslc2*を出力するようにC1リニアソレノイドバルブSLC1およびC2リニアソレノイドバルブSLC2を制御し(ステップS200)、次の実行タイミングが到来した段階で再度本ルーチンの実行を開始する。上述のようにしてステップS160にて異常フラグFspfが値1に設定された後に上記ステップS100以降の処理が実行される際には、ステップS110にて否定判断がなされることから、上記ステップS110〜S160の処理がスキップされ、ステップS100の処理の後、ステップS170以降の処理が実行される。
また、ステップS170にて自動車10の走行状態がロックアップを解除すべき状態にはない、すなわちロックアップクラッチ28の完全係合条件またはスリップ係合条件が成立していると判断した場合、変速ECU21は、ソレノイド圧Ps1の出力を停止するようにソレノイドバルブS1を制御すると共に、C2リニアソレノイドバルブSLC2に対する油圧指令値Pslc2*を値0に設定した上で(ステップS210)、C1リニアソレノイドバルブSLC1に対する油圧指令値Pslc1*をクラッチC1の完全係合圧Pc1egに設定する(ステップS220)。そして、変速ECU21は、それぞれ油圧指令値Pslc1*またはPslc2*を出力するようにC1リニアソレノイドバルブSLC1およびC2リニアソレノイドバルブSLC2を制御し(ステップS200)、次の実行タイミングが到来した段階で再度本ルーチンの実行を開始する。
上述のようなシフトポジションセンサ異常判定ルーチンによれば、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断されると共に、ロックアップクラッチ28の係合条件が成立していない場合、ステップS180の処理が実行される。これにより、C2/B3切替バルブ60は、スプリング室603にソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1が供給されることにより、信号圧入力ポート64にマニュアルバルブ53からライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が供給されるか否かに拘わらず、図5において点線で示すB3供給状態を形成する。従って、C2リニアソレノイドバルブSLC2には、C2/B3切替バルブ60の第3出力ポート69を介してモジュレータ圧Pmodが元圧として供給される。また、ソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1は、上述のように、ロックアップリレーバルブ56にも供給され、ロックアップリレーバルブ56がロックアップ圧遮断状態を形成することで、ロックアップ室23bへのロックアップ圧Plupの供給すなわちロックアップクラッチ28のロックアップが禁止される。更に、C2/B3切替バルブ60がB3供給状態を形成することで、B3切替バルブ70の信号圧入力ポート74にモジュレータ圧Pmodが供給される一方、スプリング室703にロックアップソレノイドバルブSLUからロックアップソレノイド圧Psluが供給されないことから、B3切替バルブ70は、図5中実線および点線で示す状態(遮断状態)を形成する。
そして、上記ステップS180の処理の後にステップS190およびステップS200の処理が実行されることにより、常用最大圧Pslc2maxに設定された油圧指令値Pslc2*を出力するように制御されるC2リニアソレノイドバルブSLC2は、元圧であるモジュレータ圧PmodをそのままC2ソレノイド圧Pslc2として出力し、当該C2ソレノイド圧Pslc2(=モジュレータ圧Pmod)がシャトルバルブ54に供給される。また、C2/B3切替バルブ60がB3供給状態を形成することで、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2が第1出力ポート67を介してクラッチC2に供給されることはない。更に、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2は、C2/B3切替バルブ60の第2出力ポート68から流出するが、遮断状態を形成するB3切替バルブ70のスプール701により第2入力ポート72が閉鎖されることから、C2ソレノイド圧Pslc2がブレーキB3に供給されることはない。
従って、実際のシフトレバー95の操作位置がRポジションである場合には、マニュアルバルブ53からC1リニアソレノイドバルブSLC1およびB1リニアソレノイドバルブSLB1にライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が元圧として供給されず、C1ソレノイド圧Pslc1やB1ソレノイド圧Pslb1がシャトルバルブ54に供給されないことから、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2(=Pmod)がシャトルバルブ54を介してプライマリレギュレータバルブ51に信号圧として供給される。そして、プライマリレギュレータバルブ51は、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2を信号圧として用いてライン圧PLを生成し、こうして生成されるライン圧PL(リバースレンジ圧Pr)は、マニュアルバルブ53のリバースレンジ圧出力ポートからクラッチC3に供給される。更に、マニュアルバルブ53からのライン圧PL(リバースレンジ圧Pr)は、遮断状態を形成するB3切替バルブ70の第1入力ポート71および出力ポート73を介してブレーキB3に供給されることになる。この結果、上述のようにシフトポジションセンサ96に異常が発生したことによりDポジション等の前進走行ポジションとRポジションとの何れが選択されているか不明であると共に、実際のシフトレバー95の操作位置がRポジションである場合に、クラッチC3およびブレーキB3を完全係合させて後進段を形成し、自動車10を後進走行させることが可能となる。
また、実際のシフトレバー95の操作位置がDポジション等の前進走行ポジションである場合には、マニュアルバルブ53からC1リニアソレノイドバルブSLC1にライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が元圧として供給され、上記ステップS190およびS200では、C1リニアソレノイドバルブSLC1がクラッチC1の完全係合圧Pc1egを出力するように制御される。従って、C1リニアソレノイドバルブSLC1は、C1ソレノイド圧Pslc1を出力し、当該C1ソレノイド圧Pslc1がクラッチC1およびシャトルバルブ54に供給される。また、実際のシフトレバー95の操作位置がDポジション等の前進走行ポジションである場合、C2/B3切替バルブ60の信号圧入力ポート64にマニュアルバルブ53からライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)が供給されるが、ロックアップクラッチ28の係合条件が成立していなければ、スプリング室603にソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1が供給されるので、C2/B3切替バルブ60は、B3供給状態を形成する。そして、ステップS200にて常用最大圧Pslc2maxに設定された油圧指令値Pslc2*を出力するように制御されるC2リニアソレノイドバルブSLC2は、C2/B3切替バルブ60の第3出力ポート69からのモジュレータ圧PmodをそのままC2ソレノイド圧Pslc2として出力し、当該C2ソレノイド圧Pslc2(=モジュレータ圧Pmod)もシャトルバルブ54に供給される。
これにより、C1ソレノイド圧Pslc1とC2ソレノイド圧Pslc2との大きい方(例えばC1ソレノイド圧Pslc1)がシャトルバルブ54からプライマリレギュレータバルブ51に信号圧として供給され、プライマリレギュレータバルブ51は、C1ソレノイド圧Pslc1とC2ソレノイド圧Pslc2との大きい方を信号圧として用いてライン圧PLを生成する。この結果、上述のようにシフトポジションセンサ96に異常が発生したことによりDポジション等の前進走行ポジションとRポジションとの何れが選択されているか不明であると共に、実際のシフトレバー95の操作位置が前進走行ポジションである場合に、C1リニアソレノイドバルブSLC1から充分に高いC1ソレノイド圧Pslc1が出力されることになるので、クラッチC1を完全係合させて前進第1速を形成し、自動車10を前進走行させることが可能となる。
こうして、シフトポジションセンサ96に異常が発生した状態で自動車10が走行している間に、車速V(絶対値)の増加に伴ってロックアップクラッチ28の係合条件が成立すると、ソレノイド圧Ps1の出力を停止するようにソレノイドバルブS1が制御されると共に、C2リニアソレノイドバルブSLC2に対する油圧指令値Pslc2*が値0に設定される(ステップS210)。これにより、実際のシフトレバー95の操作位置がRポジションである場合、スプリング602の付勢力によりC2/B3切替バルブ60はB3供給状態に維持されるものの、C2リニアソレノイドバルブSLC2からC2ソレノイド圧Pslc2が出力されなくなることによりブレーキB3にC2ソレノイド圧Pslc2が供給されなくなる(ステップS200)。このため、ステップS210の処理が実行されると、後進段の形成が不完全になり、自動車10の後進走行を実現するためのトルクが自動変速機30のインプットシャフト31からアウトプットシャフト37へと良好に伝達されなくなる。ただし、車速V(絶対値)の低下に伴ってロックアップクラッチ28の係合条件が非成立となれば(ステップS170)、再度、ソレノイド圧Ps1を出力するようにソレノイドバルブS1が制御されると共に、C2リニアソレノイドバルブSLC2に対する油圧指令値Pslc2*が常用最大圧Pslc2maxに設定される(ステップS180)。従って、上述のようなステップS210の処理が実行されたとしても、自動車10の後進走行の実行を継続し得なくなることはない。
これに対して、実際のシフトレバー95の操作位置がDポジション等の前進走行ポジションである場合、上述のステップS210の処理が実行されてソレノイド圧Ps1の出力が停止され、マニュアルバルブ53から信号圧入力ポート64に供給されるライン圧PLがスプール701に作用することでC2/B3切替バルブ60がC2供給状態を形成しても、マニュアルバルブ53からのライン圧PL(ドライブレンジ圧Pd)を元圧としてC1リニアソレノイドバルブSLC1がC1ソレノイド圧Pslc1を出力し続ける。従って、上述のようなステップS210の処理が実行されたとしても、クラッチC1の完全係合を維持することができる。そして、この場合には、ロックアップクラッチ28のロックアップを実行することで、自動車10をより安定に前進走行させることが可能となる。
以上説明したように、実施例の油圧制御装置50では、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断されると共に、自動車10の走行状態がロックアップクラッチ28のロックアップを解除すべき状態にある場合(ステップS150,S170)、C2/B3切替バルブ60への切替信号圧としてのソレノイド圧Ps1を生成するようにソレノイドバルブS1が制御され(ステップS180)、C2/B3切替バルブ60がC2供給状態(第1状態)からB3供給状態(第2状態)へと切り替えられる。また、この場合には、C1リニアソレノイドバルブSLC1,C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1の中のC2リニアソレノイドバルブSLC2がC2ソレノイド圧Pslc2を出力するように制御され(ステップS190,S200)、少なくともC2リニアソレノイドバルブSLC2からC2ソレノイド圧Pslc2が出力される。
これにより、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断された場合には、基本的に、少なくともC2リニアソレノイドバルブSLC2から出力されたC2ソレノイド圧Pslc2がシャトルバルブ54を介してプライマリレギュレータバルブ51に信号圧として供給されるので、プライマリレギュレータバルブ51によるライン圧PLの生成が可能となる。この結果、シフトポジションセンサ96の異常によりDポジション等の前進走行ポジションとRポジションとの何れが選択されているか不明であっても、ライン圧PLを適正に確保することができるので、実際のシフトレバー95の操作位置がRポジションである場合に、プライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLをマニュアルバルブ53を介して後進段の形成に際して係合されるクラッチC3およびブレーキB3に供給することが可能となる。そして、C2/B3切替バルブ60によりC2リニアソレノイドバルブSLC2からクラッチC2への油圧の供給が遮断されるので、クラッチC2と後進段に対応したクラッチC3およびブレーキB3との同時係合を抑制することができる。従って、油圧制御装置50によれば、シフトポジションセンサ96の異常が発生した場合に、実際のシフトレバー95の操作位置がRポジションであったとしても、滑りを生じさせることなくクラッチC3およびブレーキB3を係合させて後進段を形成し、自動車10を後進走行させることが可能となる。
また、実施例の油圧制御装置50では、シフトレバー95の操作位置がDポジション等の前進走行ポジションである場合、マニュアルバルブ53を介してプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLをC1リニアソレノイドバルブSLC1、C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1に元圧として供給することができる。そして、上記実施例では、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断された場合、シフトレバー95の操作位置がDポジション等の前進走行ポジションであるとみなし、C1リニアソレノイドバルブSLC1がクラッチC1の完全係合圧Pc1egを出力するように制御される(ステップS190,S200)。これにより、シフトポジションセンサ96の異常が発生した場合に、実際のシフトレバー95の操作位置がDポジション等の前進走行ポジションであったとしても、滑りを生じさせることなくクラッチC1を係合させて前進第1速を形成し、自動車10を前進走行させることが可能となる。なお、実施例の油圧制御装置50では、シフトポジションセンサ96の異常が発生した場合であって、実際のシフトレバー95の操作位置がRポジションである場合、マニュアルバルブ53から後進段の形成に関与しないC1リニアソレノイドバルブSLC1やB1リニアソレノイドバルブSLB1にライン圧PLが元圧して供給されない。従って、上述のようにC1リニアソレノイドバルブSLC1をシフトレバー95の操作位置が前進走行ポジションであるとみなして制御することが(ステップS190,S200)、自動車10の後進走行に悪影響を与えることはない。
更に、C2リニアソレノイドバルブSLC2は、自動変速機30の前進第1速の形成に際して解放されるクラッチC2に対応しており、シフトポジションセンサ96に異常が発生した場合には、基本的に、前進第1速の形成に関与しないC2リニアソレノイドバルブSLC2からC2ソレノイド圧Pslc2が出力されると共にC2/B3切替バルブ60によって当該C2リニアソレノイドバルブSLC2からクラッチC2へのC2ソレノイド圧Pslc2の供給が遮断される。この結果、シフトレバー95がDポジション等の前進走行ポジションやRポジションへと移動された際にシフトポジションセンサ96の異常が発生して前進走行ポジションとRポジションとの何れが選択されているか不明になったとしても、実際のシフトレバー95の操作位置がRポジションである場合に後進段を形成可能としつつ、実際のシフトレバー95の操作位置がDポジション等の前進走行ポジションである場合には前進第1速を形成することが可能となる。
また、上記実施例では、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断された場合、C2リニアソレノイドバルブSLC2に対する油圧指令値Pslc2*が当該C2リニアソレノイドバルブSLC2の常用最大圧Pslc2maxに設定される(ステップS190)。これにより、シフトポジションセンサ96に異常が発生した場合に、C2リニアソレノイドバルブSLC2から出力されるC2ソレノイド圧Pslc2をより高くする(上記実施例では、モジュレータ圧Pmodをそのまま出力する)ことができるので、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2に基づいて充分に高い値のライン圧PLを得ることが可能となる。
更に、上記実施例のシフトポジションセンサ96は、シフトレバー95の操作位置に応じた信号を出力する有接点式センサであり、図7のシフトポジションセンサ異常判定ルーチンでは、シフトポジションセンサ96から信号が出力されていない場合、およびシフトポジションセンサ96から同時に複数の信号が出力された場合、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断される(ステップS120〜S150)。このように、有接点式のシフトポジションセンサ96を採用することにより、自動変速機30のコストを低下させることが可能となる。そして、本発明によれば、このようなシフトポジションセンサ96に異常が発生した場合であっても、自動車10の前進走行または後進走行させることが可能となる。なお、図7のシフトポジションセンサ異常判定ルーチンでは、シフトポジションセンサ96から信号が出力されない状態、あるいはD信号、2nd信号およびL信号の何れかとR信号とが同時に出力される状態が所定時間継続した場合に、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断されるが、ステップS150にて肯定判断がなされた後に、更に自動車10が所定車速以上で所定時間走行した段階で、シフトポジションセンサ96の異常発生を確定させてもよい。
また、上記油圧制御装置50は、ロックアップクラッチ28にロックアップ圧Plupを供給可能とするロックアップ圧供給状態と、ロックアップクラッチ28へのロックアップ圧Plupの供給を遮断可能とするロックアップ圧遮断状態とを形成可能であり、ソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1を入力した場合にロックアップ圧遮断状態を形成するロックアップリレーバルブ56を含む。すなわち、上記実施例では、ロックアップリレーバルブ56とC2/B3切替バルブ60とでソレノイドバルブS1が信号圧生成バルブとして共用される。これにより、C2/B3切替バルブ60をC2供給状態とB3供給状態との間で切り替えるために専用のソレノイドバルブS1を用意する必要がなくなるので、油圧制御装置50のコストアップを抑制することが可能となる。
なお、図7のシフトポジションセンサ異常判定ルーチンでは、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断されても、ロックアップクラッチ28の係合条件が成立した場合、C2リニアソレノイドバルブSLC2によるC2ソレノイド圧Pslc2の出力と、ソレノイドバルブS1によるソレノイド圧Ps1の生成が停止される(ステップS210)。従って、シフトポジションセンサ96の異常が発生した場合であって、実際のシフトレバー95の操作位置がRポジションである場合、ロックアップクラッチ28の係合条件が一旦成立すると、C2リニアソレノイドバルブSLC2からC2ソレノイド圧Pslc2が出力されなくなってライン圧PLが低下し、後進走行性能が若干低下することになる。ただし、ロックアップクラッチ28の係合条件が非成立となれば、その段階からC2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2によりライン圧PLを充分に高めて自動車10を後進走行させることが可能となる。
なお、上記実施例において、シフトレバー95の操作位置がRポジションである場合、C2リニアソレノイドバルブSLC2には、プライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLを減圧して得られる略一定のモジュレータ圧Pmodがマニュアルバルブ53を介すことなく供給されるが、油圧制御装置50の構成は、このようなものに限られない。すなわち、油圧制御装置50は、シフトレバー95の操作位置がRポジションである場合に、マニュアルバルブ53を介すことなく、あるいはマニュアルバルブ53等を介してC2リニアソレノイドバルブSLC2にライン圧が元圧として供給されるように構成されてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、自動車10に搭載されると共にクラッチC1〜C3やブレーキB1およびB3の係合要素の係脱により後進段を含む複数の変速段を形成可能な自動変速機30への油圧を制御する油圧制御装置50が「油圧制御装置」に相当し、クラッチC1〜C3やブレーキB1およびB3の中の対応する要素への油圧を出力するC1リニアソレノイドバルブSLC1、C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1が「調圧バルブ」に相当し、C1リニアソレノイドバルブSLC1、C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1から出力される油圧の中の最大油圧Pmaxを選択して出力するシャトルバルブ54が「最大圧出力バルブ」に相当し、シャトルバルブ54から出力される最大油圧Pmaxを信号圧として用いてオイルポンプ29からの油圧を調圧し、ライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51が「ライン圧生成バルブ」に相当し、シフトレバー95の操作に連動すると共に、シフトレバー95の操作位置がRポジションである場合、プライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLを後進段の形成に際して係合されるクラッチC3およびブレーキB3に供給可能とするマニュアルバルブ53が「マニュアルバルブ」に相当し、C2リニアソレノイドバルブSLC2から当該C2リニアソレノイドバルブSLC2に対応したクラッチC2へのC2ソレノイド圧Pslc2の供給を可能とするC2供給状態と、C2リニアソレノイドバルブSLC2からクラッチC2へのC2ソレノイド圧Pslc2の供給を遮断するB3供給状態とを形成可能なC2/B3切替バルブ60が「切替バルブ」に相当し、C2/B2切替バルブ60をC2供給状態とB3供給状態との間で切り替えるための切替信号圧としてのソレノイド圧Ps1を生成するソレノイドバルブS1が「信号圧生成バルブ」に相当し、シフトレバー95の操作位置を検出するシフトポジションセンサ96に異常が発生したか否かを判定するための図7のステップS120〜S150の処理を実行すると共に、シフトポジションセンサ96に異常が発生したと判断した場合、ソレノイド圧Ps1を生成するようにソレノイドバルブS1を制御するステップS180の処理と、C2ソレノイド圧Pslc2を出力するようにC2リニアソレノイドバルブSLC2を制御するステップS190およびS200の処理とを実行する変速ECU21が「制御手段」に相当し、ソレノイドバルブS1からのソレノイド圧Ps1を入力した場合にロックアップ圧遮断状態を形成するロックアップリレーバルブ56が「ロックアップリレーバルブ」に相当する。
ただし、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。