JP5742352B2 - 解熱鎮痛組成物 - Google Patents
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Description
[1].(A)イブプロフェン、(B)アセトアミノフェン及び(C)メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有し、(B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.8〜2.0であり、(C)/(A)で表される(A)成分に対する(C)成分の配合質量比が0.7〜1.2であることを特徴とする解熱鎮痛組成物。
[2].(A)、(B)及び(C)成分が混合されてなる固形製剤であることを特徴とする[1]記載の解熱鎮痛組成物。
[3].(B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.8〜1.0であることを特徴とする[1]又[2]記載の解熱鎮痛組成物。
[4].(C)成分以外の制酸剤の金属[M]と、(C)成分の含有アルミニウム[Al]との、組成物中の含有モル比([M]/[Al])が0.3未満であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
[5].(A)成分の配合量が組成物中5〜40質量%であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
[6].(B)成分の配合量が組成物中8〜50質量%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
[7].(C)成分の配合量が組成物中6〜40質量%であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
(A)成分のイブプロフェンは、解熱鎮痛成分の一つであり、発熱や頭痛等の症状を抑える解熱鎮痛剤の主要な成分の一つとして使われる薬剤である。本発明においては、イブプロフェン(2−(4−isobutylphenyl)propionic acid)及びその薬学的に許容される塩類を用いることができる。この(A)成分の配合量は、通常組成物中に1.0〜50質量%であり、5〜45質量%が好ましく、8〜45質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。配合量が多すぎると、打錠障害等に繋がる場合があり、配合量が少なすぎると、投与量が増大し、服用性等に支障が生じる場合がある。また、人に対する投与量は、成人で通常130〜200mg/回とすることが好ましい。130mg/回以上で有効性が十分得られ、200mg/回以下とすることで、副作用の発生が抑制され、人体に安全な解熱鎮痛薬とすることができる。
(B)成分のアセトアミノフェンも解熱鎮痛成分の一つであり、発熱や頭痛等の症状を抑える解熱鎮痛剤の主要な成分の一つとして使われる薬剤である。本発明においては、イブプロフェンに対して特定量のアセトアミノフェンを配合することで、イブプロフェンに由来する胃障害を抑制することができ、有効性を向上させることができる。(B)成分としては、アセトアミノフェン(N−(4−hydroxyphenyl)acetamide)及びその薬学的に許容される塩類を用いることができる。(B)成分の配合量としては、(B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.75以上であり、0.75〜2が好ましく、より好ましくは0.75〜1.0であり、さらに好ましくは0.8〜1.0である。アセトアミノフェンの配合質量比を0.75以上とすることで、イブプロフェンによる胃障害の抑制効果が向上し、アセトアミノフェンの配合比が高くなるにつれ、その作用は増強する傾向にある。上記比が0.75未満の場合は、この効果が不十分であり、2を超える場合は、胃障害が低減する傾向にあるものの、投与量が増大し、服用性等が悪くなるおそれがある。また、イブプロフェンの有効性は、イブプロフェンに対し任意の量のアセトアミノフェンを組み合わせることで向上するが、有効性の点からは、イブプロフェンに対するアセトアミノフェンの配合比が0.5以上において顕著な相乗効果が認められ、(B)/(A)の上限は1.0とすることが好ましい。(B)成分の組成物の配合量は上記配合比に依存するが、通常組成物中に5〜60質量%であり、8〜55質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。また、人に対する投与量は、成人で通常65〜400mg/回であり、95〜400mg/回が好ましく、100〜300mg/回がより好ましく、130〜200mg/回がさらに好ましい。
制酸剤は、胃酸を中和してpHを上昇させる効果を有するアルカリ剤である。本発明の解熱鎮痛組成物はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを必須とする。
表1〜3に示す成分及び配合割合で、各成分を混合し組成物を調製し、下記方法に従って胃障害の抑制効果及び錠剤の安定性を評価した。
各実施例及び比較例の組成比の成分を、懸濁液としてラットに投与し、4時間後、胃を摘出して胃障害を評価した。実験方法の詳細は以下の通りである。
(1)動物
SD系雄性ラットの5週齢を1週間予備飼育し、1晩絶食(20〜24時間、水は自由摂取)後、試験に供した。各実施例及び比較例につき10匹用いた。
(2)試料(懸濁液)
ラットに対する試料の投与量を10mL/kgとし、イブプロフェンの投与量として130mg/kgとなるよう試料の調製を行った。
試料の調製は参考例1では下記の方法であり、その他の例はイブプロフェン650mgアセトアミノフェン及び制酸剤の質量比が表1〜3となる量、また、アラビアゴムが5w/mL%となるように適宜調製した。
i)イブプロフェン650mg、アセトアミノフェン650mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム200mg及びアラビアゴム2.5gを量り採り、乳鉢で混合した。
ii)混合した粉体に精製水を加えて懸濁し、50mLとした。
試料の投与量を10mL/kgとして投与した。
具体的には、あらかじめ測定しておいたラットの体重にあわせた量(ラット体重200g:2mL)の懸濁液を、ラット用経口投与ゾンデを装着したディスポーサブル注射筒にとり、強制経口投与した。経口投与後も絶食は継続した。
(4)胃障害性評価
1)経口投与4時間後、エーテル麻酔下で胃を摘出した。胃摘出直後、ゾンデにて胃内に生理食塩水10mLを注入し、1質量%ホルマリン溶液に1時間以上入れて固定した。 2)ホルマリンにて固定終了後、胃の大湾を切り開き、内容物を生理食塩水にてあらい流し、胃を濾紙に広げて張り付け、潰瘍の長さ(mm)の合計(n=10)を測定した。下記評点に従って評価した結果を表1〜4に併記する。
評点
◎:10mm未満
○:20mm未満
△:40mm未満
×:40mm以上
表1〜3に記載の配合比に従い、イブプロフェンとアセトアミノフェンの粉体総量500gと、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC・LH31、信越化学工業(株)製)100gを流動層造粒機(MP−01、(株)パウレック製)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株)製)6質量%水溶液600gを噴霧し造粒した。
造粒した粉体を750μmの篩で篩過し、その500gに、配合比率相当の制酸剤、及び、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100g、さらに、ステアリン酸マグネシウム0.5質量%(外割り)で均一に混ざるよう混合し、ロータリー打錠機(クリーンプレス12HUK、(株)菊水製作所製)にて、イブプロフェンを65mg含む錠剤を調製した。参考例1の錠剤(1錠)の組成を下記に示す。その他の例はイブプロフェン65mg、アセトアミノフェン及び制酸剤の質量比が表1〜3となる量に適宜調製した。
(mg)
イブプロフェン 65
アセトアミノフェン 65
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 19.5
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 59(26+33)
ヒドロキシプロピルセルロース 9.36
合計 217.86
ステアリン酸マグネシウム0.5質量%(外割り)
評点
◎:全く変色なし
○:ほとんど変色なし
△:やや変色あり
×:かなり変色あり
実施例1、下記試験例1、比較例8,13及びイブプロフェン単独について有効性(ランダール・セリット法)の評価を行った。
各例の組成比の成分を、懸濁液として右後脚を起炎したラットに投与、2時間後の痛み閾値を測定する。実験方法の詳細は以下の通りである。
(1)動物
SD系雄性ラットの5週齢を1週間予備飼育し、1晩絶食(17〜20時間、水は自由摂取)後、試験に供した。各例につき10匹用いた。
また、動物は、試験前にトレーニングとして、疼痛閾値の測定を2日間で3回行った。さらに、起炎前に疼痛閾値の測定を行い(疼痛閾値i)、疼痛閾値が60〜120程度の動物を選択し、試験に供した。
(2)試料
ラットに対する試料の投与量を10mL/kgとし、イブプロフェンの投与量として13mg/kgとなるよう試料の調製を行った。
試料の調製は実施例1では下記の方法であり、その他の例はイブプロフェン65mg、アセトアミノフェン及び制酸剤の質量比が表1〜4となる量、また、アラビアゴムが5w/mL%となるように適宜調製した。
i)イブプロフェン65mg、アセトアミノフェン65mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム47.5mg及びアラビアゴム2.5gを量り採り、乳鉢で混合した。
ii)混合した粉体に精製水を加えて懸濁し、50mLの懸濁液を得た。
(3)起炎
ビール酵母4gを生理食塩水で20gとし、分散させた。この液0.1mLをラット右後肢足蹠(そくせき)に皮下投与した。
起炎から2時間後、疼痛閾値測定装置にて、起炎したラット右後脚の疼痛閾値を測定した。
懸濁液の投与量を、10mL/kgとして投与した。また、薬物を含まない試料(アラビアゴムのみ含む)を調製し、コントロールとした。
起炎から2時間後の疼痛閾値を測定した後、あらかじめ測定しておいたラットの体重にあわせた量(例:ラット体重200g:2mL)の懸濁液を、ラット用経口投与ゾンデを装着したディスポーサブル注射筒にとり、強制経口投与した。経口投与後も絶食は継続した。
(5)疼痛閾値評価
試料の経口投与から1時間後、疼痛閾値測定装置で起炎したラットの右後脚の疼痛閾値を測定した(疼痛閾値ii)。得られた結果から、下記式にて抑制率を算出した。
抑制率(%)=
[(平均疼痛閾値ii)−(コントロール群の平均疼痛閾値ii)]/[(コントロール群の平均疼痛閾値i)−(コントロール群の平均疼痛閾値ii)]×100
実施例1の抑制率:82.7%
試験例1の抑制率:80.9%
比較例8の抑制率:59.3%
比較例13の抑制率:44.0%
イブプロフェンのみの抑制率:37.8%
上記の結果から、実施例1は高い有効性を有していることが示された。
Claims (7)
- (A)イブプロフェン、(B)アセトアミノフェン及び(C)メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有し、(B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.8〜2.0であり、(C)/(A)で表される(A)成分に対する(C)成分の配合質量比が0.7〜1.2であることを特徴とする解熱鎮痛組成物。
- (A)、(B)及び(C)成分が混合されてなる固形製剤であることを特徴とする請求項1記載の解熱鎮痛組成物。
- (B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.8〜1.0であることを特徴とする請求項1又2記載の解熱鎮痛組成物。
- (C)成分以外の制酸剤の金属[M]と、(C)成分の含有アルミニウム[Al]との、組成物中の含有モル比([M]/[Al])が0.3未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
- (A)成分の配合量が組成物中5〜40質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
- (B)成分の配合量が組成物中8〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
- (C)成分の配合量が組成物中6〜40質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
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