JP5739231B2 - 医療用吸入ガスの供給装置 - Google Patents
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Description
(1)気泡の発生と消滅に伴う泡音が耳障りで、特に静かな夜間などには患者に対して相当のストレスを与えてしまう。
(2)水道水ではスパージャーに閉塞が生じるため精製水を使用しなければならず、精製水の入手に手間と費用がかかる。また、精製水を無菌的に管理するのに手間がかかる。
(3)スパージャーのバブルから発生する飛沫が、下流のチューブ配管に凝縮し、流路抵抗や汚染の原因になる。
このように、静謐な環境や夜間において泡音は重大な問題である。また、精製水を使用しなければならないことも、費用と手間の両面からコンプライアンスの足枷になっている。
上記加湿器は、上記導入口の開口面積を絞ることにより、開口を絞られた流路から吹き出す吸入ガスを、細い急速な気流として水面に当て、気流が水面をえぐるように水面を変位させるとともに、水面を掃引して水を蒸発させるように構成されている。
このため、開口を絞られた流路から吹き出す吸入ガスは、細い急速な流れとなって水面に当たる。この気流は水面をえぐるように変位させるとともに、水面を掃引して効果的に水を蒸発させ、吸入ガスを十分に加湿することができる。水面にできた「えぐれ」のような凹部による変位は、ガスの流れを目視で確認できるという長所も兼ね備える。
すなわち、吸入ガス導入口の開口面積を絞る簡単な方法は、封止されたパイプの先端に小さな孔、例えば口径1.0mm〜2.5mm程度の円形の孔を穿つことである。孔の形状は円に限らず、四角でも星型でもかまわないが、円形が最も簡単である。このような部材は、プラスチックの射出成形などで簡単に製作することができる。あるいは、市販されている流体工学の言葉でいうところの「オリフィス」を吸入ガス導入口に装着することによっても実現できる。本明細書では、わかりやすくするため、狭められた流路のことを代表して「オリフィス」と表現して説明するが、もちろん市販の部材に限定されるものではなく、先端が狭く絞られた流路口の構造であれば、断面が円形でも方形でも星型でも均等に適用することが可能である。
市場で容易に入手できるオリフィスを利用して本発明を実現でき、精製水の使用をなくし、耳障りな加湿器の泡音を解消することができる。
市場に一般に流通している加湿器において、オリフィスから吹き出す吸入ガスを確実に水面に当てて変位させることができる。このため、吸入ガスを確実に加湿するとともに、精製水の使用をなくし、耳障りな加湿器の泡音を解消することができる。
吸着剤で乾燥状態となった酸素濃縮ガスに対して確実に加湿するとともに、精製水の使用をなくし、耳障りな加湿器の泡音を解消することができる。
導入路の導入口の開口面積が絞られて、加湿器上流の圧力が上昇したとしても、マスフローコントローラーは設定された流量のガスを安定して供給することができるので、治療効果を低下させるおそれがない。
比較例としてスパージャー式とフロー式、実施例としてオリフィス式を使用し、酸素濃縮装置からの酸素ガスを加湿する際の加湿器の発する音を測定した。
◆スパージャー式:多孔体ヘッドの寸法 外径14mm、有効長15mm、多孔体平均細孔径50μm
◆フロー式: パイプ内径:9mm
※フロー式とはスパージャーもオリフィスも具備せず加湿器蓋の酸素ガス導入部(直径9mm)から直接加湿器内に酸素ガスを導入する方法である。
◆オリフィス式:オリフィス内径:1.5mm
酸素ガス流量:5L/min, 3L/min
測定条件:簡易防音室において、距離40cm、高さ60cmの地点で騒音測定
騒音計:RION NA−29 Laeq A特性Fast 26秒間の平均値
音が静かでも、加湿能力が十分でなければ何の意味もない。そこで、5L/minの条件においてスパージャー式、オリフィス式、フロー式の3種の加湿能力を比較した。
環境:恒温室 21℃
流量:酸素ガス 5L/min
加湿器は水がなくなるまで稼働した。
オリフィス式加湿法では40%以上の湿度を72時間(3日)維持した。容器に水が残っている間の湿度はほとんど一定で、その間の平均湿度は48%であった。
次に、酸素ガスの流量とオリフィス式の加湿能力を調べた。
〔試験条件〕
環境:恒温室 20℃
流量:酸素ガス 5L/min, 3L/min, 1L/min
加湿器は水がなくなるまで稼働した。
5L/minでの加湿性能は前述の通り(平均48%)である。
3L/minでは102時間まで湿度50%以上を維持し、その間の平均湿度は54%であった。加湿能力としては十分と言える。
1L/minの場合には湿度は非常に高く10日間、240時間の間68%以上を維持できる。10日間の平均湿度は75%であった。
どのような酸素流量でもオリフィス式は十分に加湿できることが確認された。
加湿器の湿度は温度に依存する。経験的に温度が上がると湿度は下がり、温度が下がると湿度が上がることがわかっている。そこで、温度と湿度の関係を調べた。
試験は10℃から5℃刻みで35℃まで湿度を測定した。測定においては環境温度が設定温度に到達した後、5時間後の湿度を測定した。
環境温度:10、15、20、25、30、35℃
加湿形式:オリフィス式、オリフィス径 1.5mm
流量:3L/min
加湿器の湿度は環境温度の上昇とともに低下する。
その理由は次のように考えられる。すなわち、水の蒸発速度は温度の上昇と共に増加するため、水面を一定速度で流れる気体に含まれる水蒸気の量は温度の上昇と共に増加する。一方、飽和水蒸気量、即ち単位体積に含まれる最大の水蒸気量も温度の上昇と共に増加する。両者を較べると、水の蒸発速度の増加率は飽和水蒸気量の増加率よりも小さい。相対湿度は実際の水蒸気量を飽和水蒸気量で割り算したものであるから、実際の水蒸気量が増加しているにもかかわらず、見かけの相対湿度が温度の上昇と共に低下するのである。
オリフィスの口径を変えて加湿器の湿度を調べた。
〔試験条件〕
環境温度: 20℃
酸素ガス流量: 3L/min
加湿器の水位: 60%(上下のレベルラインの下から60%)
オリフィスの口径1.0mmから2.5mmまで総て適切な湿度に制御された。オリフィスの口径が小さい方が湿度は高い。
1.泡音がしない。
2.適切な湿度に加湿できる。
3.精製水を使用する必要がない。水道水を使うことができる。
4.スパージャーの飛沫同伴や過剰加湿に起因する2次側チューブ管への水滴の貯留や汚染がない。
5.水面がえぐれるのでガスの流れが目視で確認できる。
6.現実的に簡単に実施できる。先願発明と較べて断然シンプルでコストがかからない。
7.スパージャーの閉塞問題が解消する。
8.フローほど低くなく、スパージャーほど高くなく、吸入に最も適した湿度になる。
2 吸気フィルター
3 コンプレッサー
4 ブロワー
5 インラインフィルター
8 電磁弁
9 電磁弁
10 開放弁
11 開放弁
12 吸着筒
13 吸着筒
14 パージ弁
15 オリフィス
16 オリフィス
19 酸素バッファータンク
20 減圧弁
21 バクテリアフィルター
22 マスフローコントローラー
23 酸素濃度計
24 加湿器
25 酸素取出口
26 カニューラ
27 サイレンサー
28 筐体
29 第1防音ボックス
30 第2防音ボックス
31 水
32 容器
33 蓋部材
34 上部空間
35 導入路
36 導出路
37 水面
37a 凹部
38 オリフィス
Claims (6)
- 加湿用の水が貯留された容器と、上記容器を密閉する蓋部材とを有し、加湿対象である吸入ガスを容器内の上部空間に導入する導入口と、加湿された吸入ガスを上部空間から導出する導出口とが設けられた加湿器を備え、
上記加湿器は、上記導入口の開口面積を絞ることにより、開口を絞られた流路から吹き出す吸入ガスを、細い急速な気流として水面に当て、気流が水面をえぐるように水面を変位させるとともに、水面を掃引して水を蒸発させるように構成されていることを特徴とする医療用吸入ガスの供給装置。 - 上記導入口の開口面積が、直径1.0mmの円の面積以上、直径2.5mmの円の面積以下である請求項1記載の医療用吸入ガスの供給装置。
- 上記導入口にオリフィスが取り付けられて導入口の開口面積が絞られている請求項1または2記載の医療用吸入ガスの供給装置。
- 上記導入口に取り付けるオリフィスの口径が1.0mm以上2.5mm以下である請求項3記載の医療用吸入ガスの供給装置。
- 上記吸入ガスは、空気を原料として吸着剤を使用することにより酸素を濃縮した酸素濃縮ガスである請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用吸入ガスの供給装置。
- 導入口の開口面積を絞った導入路に供給する吸入ガスの供給流量を、マスフローコントローラーによって制御する請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療用吸入ガスの供給装置。
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