JP5738214B2 - ガスタービンにおけるディスク軸心調整機構 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスタービンのガスタービン排気部に設けられるディスク軸心調整機構に関する。
従来、ガスタービンのタービン部では、タービンからの燃焼ガスの静圧を回復させるために、タービンの燃焼ガス出口に接続した二重管構造の排気ディフューザを用いているのが、この排気ディフューザを含むガスタービン排気部も冷却対象となっているのが一般的となっている。
通常、ガスタービン排気部は、外側ディフューザと内側ディフューザとからなる排気ディフューザと、この排気ディフューザを覆うように設けた車室壁及びベアリングケースからなる排気キャビティと、排気ディフューザを貫通して車室壁とベアリングケースとを連結するストラットと、このストラットを覆うように外側ディフューザと内側ディフューザとを連結するストラットカバーと、を備えて概略構成されている。
このようなガスタービンでは、冷却系統によりストラット部や排気トンネル内の空気の置換を促進し、ガスタービン排気部の冷却効果を高めるようにした冷却構造が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1には、排気キャビティの下流側の排気ディフューザを貫通して排気ディフューザの内側において、排気キャビティに連通する排気トンネルと車室外とを連通する空気取入口が設けられ、この空気取入口から取り入れた空気をストラットとストラットカバーとの間の空間を通して吸引排気手段としての配管により排気キャビティ外に排出する冷却系統を備えた構造について記載されている。
特許第4681458号公報
しかしながら、特許文献1に示す従来のガスタービン排気部に設けられる冷却構造では、ストラットとストラットカバーとの間に供給される空気量を制御していないため、その空気の供給量にバラツキが生じるおそれがあった。その場合、ストラット同士の間で温度差が発生し、これによりストラットのそれぞれに長さ方向(ロータに近接離反する方向)の熱伸び偏差が発生することとなり、ロータの軸心がずれるおそれがあった。そして、軸心のずれはロータに支持される動翼と車室壁とのクリアランスの偏差を引き起こすため、ラビング等が発生する可能性があった。
また、ストラットの剛性が不足している場合でも、ロータの重量によって軸心がずれてしまう可能性があり、継続的な監視が必要であることから、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ストラットを冷却する空気の流量を調整することでロータの軸心の偏差を抑制することができ、しかもロータの軸心を継続的に監視することが可能となるガスタービンにおけるディスク軸心調整機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るガスタービンにおけるディスク軸心調整機構では、タービンの下流側にそれぞれ接続された車室壁ベアリングケースとの間に設けられた外側ディフューザと内側ディフューザとを有する排気ディフューザと、排気ディフューザを貫通して車室壁とベアリングケースとを連結し、周方向に間隔をあけて複数設けられたストラットと、ストラットを覆うように、外側ディフューザと内側ディフューザとを連結するストラットカバーと、を備えたガスタービンにおけるディスク軸心調整機構であって、車室壁は、各ストラットに対応するようにそれぞれ設けられて、内外を連通する複数の空気導入孔を有し、タービンにおける動翼とタービン車室とのクリアランスを検出するセンサ部と、空気導入孔を流通する空気の流量を調整する流量調整部と、を備えることを特徴としている。
本発明では、車室壁の外側の空気を、車室壁に設けられた複数の空気導入孔よりストラットとストラットカバーとの間を流通させることで、ストラットの温度を低下させることができる。そして、センサ部によってタービンにおける動翼とタービン車室とのクリアランスを検出し、この検出値に基づいて流量調整部を調整することで、空気導入孔を流通する空気の流量を変更することができる。この場合、タービン車室の周方向に複数のセンサ部を設け、これらの検出値より周方向のクリアランス偏差を算出し、その周方向に設けられるセンサ部のうちクリアランス偏差の大きい位置を特定し、その特定した部分に対して個別に流量の空気を流通させて冷却することが可能となる。例えば、タービン運転時に、タービン車室の上下方向に温度差が生じていわゆる「猫背変形」に伴ってクリアランス偏差が生じている場合には、下側に配置されるストラットの熱伸びが大きくなるように、上側に配置されるストラットの空気量を大きくし、ロータの軸心の偏差を意図的に車室壁の軸心部に近付くようにクリアランスの最適化を図ることができる。
このように、動翼とタービン車室とのクリアランスを監視し、冷却により複数のストラットの熱伸び量を調整することができるので、ストラットによってベアリングケースを介して支持されたロータの軸心の偏差を抑制することができ、これによりロータに支持される各動翼とタービン車室とのクリアランスの偏差も抑えることができる。
また、本発明に係るガスタービンにおけるディスク軸心調整機構では、センサ部は、タービン軸方向に沿って複数段で設けられていることが好ましい。
この場合、タービン軸方向にわたって複数段のセンサ部でクリアランスを検出し、監視することで、検出値のばらつきが小さくなって平均化されるので、検出値の精度を高めることができ、ロータの軸心の偏差の補正精度を向上させることができる。
また、本発明に係るガスタービンにおけるディスク軸心調整機構では、ストラットには、ストラットの温度を検出する温度センサが設けられていることが好ましい。
これにより、ストラットの温度を温度センサによって検出し、この検出した温度から熱伸び量を算出し、この流量調整部を調整することで、空気導入孔を流通する空気の流量を変更することができる。そのため、温度センサで検出したストラットの熱伸び量と、上述したセンサ部で検出したクリアランスの2つパラメータに基づいて流量調整部を調整することができるので、ロータ(動翼)とタービン車室とのクリアランスを維持しつつ、ロータの軸心を最適化することができる。
また、本発明に係るガスタービンにおけるディスク軸心調整機構では、前記センサ部で検出した動翼とタービン車室とのクリアランス計測値と、前記温度センサで検出したストラット温度値から求まるストラット熱伸び量とに基づいて、前記空気導入孔を流通する空気の流量を調整することが好ましい。
本発明では、ロータ(動翼)とタービン車室とのクリアランスを維持しつつ、ロータの軸心を最適化することができる。
また、本発明に係るガスタービンにおけるディスク軸心調整機構では、車室壁には、車室壁の変位を測定する変位センサが設けられ、変位センサで検出した車室壁の変位に基づいて、車室壁の外周表面に空気を吹き掛けることがより好ましい。
本発明では、上述した動翼とタービン車室とのクリアランスを検出するセンサ部とは別で、変位センサで検出した車室壁の変位に基づいて車室壁の外周表面に空気を吹き掛けることで前記車室壁の変位を補正することができる。そして、この車室壁の変位をセンサ部で検出した動翼とタービン車室とのクリアランスに対応させて流量調整部を調整し、車室壁と動翼とのクリアランスを考慮したロータの軸心における偏差の調整を行うことができる。
本発明のガスタービンにおけるディスク軸心調整機構によれば、センサ部によって動翼とタービン車室とのクリアランスを検出し、この検出値に基づいて流量調整部を調整することで、空気導入孔を流通する空気の流量を変更することができ、これによりロータの軸心の偏差を抑制することができる。しかも、ロータの軸心を継続的に監視することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施の形態によるガスタービンの構成を示す半断面図である。 図1に示すA−A線断面図である。 図2に示す冷却流路の拡大図である。 (a)、(b)は、流量調整弁の断面図である。 (a)、(b)は、流量調整弁の交換フランジの平面図である。 流量調整弁の開閉状態を説明するための平面図である。 第1の実施の形態のディスク軸心調整機構を模式的に示した側面図である。 第1の実施の形態の冷却動作を示すフロー図である。 第2の実施の形態のディスク軸心調整機構を模式的に示した断面図である。
以下、本発明の実施の形態によるガスタービンにおけるディスク軸心調整機構について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本第1の実施の形態のディスク軸心調整機構は、ガスタービン1において、排気ディフューザを含むガスタービン排気部2に設けられている冷却機構を制御することで、ディスク軸心を調整するものである。
ガスタービン1は、給気設備3において取り入れた空気を圧縮して燃焼用の圧縮空気を得る圧縮機4と、この圧縮機4からの圧縮空気を燃料とともに燃焼して高温高圧の燃焼ガスを発生させる燃焼器5と、この燃焼器5からの燃焼ガスによってロータ6(6A、6B)の回転動力を得るタービン7と、を備えて概略構成されている。
なお、タービン7は、1軸でも2軸でも構わないが、本実施の形態では1軸のものを一例として以下説明する。
タービン7のロータ6Aは、圧縮機4のロータ6Bに中間軸8を介して連結しており、燃焼器5からの燃焼ガスの流体エネルギーを回転エネルギーに変換し、この回転エネルギーを圧縮機4のロータ6Bに伝達して圧縮機4を駆動させると共に、圧縮機4のロータ6Bに連結した図示しない発電機を発電させる。タービン7から排出される燃焼ガス(排気ガス)は、ガスタービン排気部2及び排気ダクト9を通り図示しない煙突を介して大気に放出される。
ガスタービン排気部2は、図2にも示すように、タービン7の下流側にそれぞれ接続した円筒状の車室壁10とベアリングケース11とで画成された排気キャビティ12と、車室壁10とベアリングケース11との間に設けられた外側ディフューザ13aと内側ディフューザ13bとからなりタービン7の燃焼ガス出口に接続して同タービン7からの燃焼ガスの静圧を回復させる排気ディフューザ13と、排気ディフューザ13を貫通して車室壁10とベアリングケース11とを連結するストラット14と、ストラット14を覆うように、外側ディフューザ13aと内側ディフューザ13bとを連結するストラットカバー15と、を備えている。
車室壁10は、複数段のタービン静翼やストラット14等に対応して軸方向に複数分割されている。ストラット14は円周方向に等間隔でかつベアリングケース11の接線方向に6本設けられている。尚、ストラット14の本数は、これに限定されるものではない。
そして、本実施の形態では、車室壁10における各ストラット14の連結部に近接する位置には、内外(排気トンネル16と車室外(図示しないエンクロージャ内で略大気圧))を連通する空気導入孔17が設けられている。つまり、空気導入孔17から導入された空気がストラット14とストラットカバー15との間の空間(以下、冷却流路Rという)を流通して排気キャビティ12内へ送られる構成となっている。ここで、空気導入孔17の車室壁10における位置は、図2の紙面に向かって、周方向でストラット14を挟んで反時計回り側に近接する位置である。
空気導入孔17から導入される空気は、略大気圧下にある空気導入孔17と負圧下にある吸気設備3のベルマウス部との差圧により、ストラット14とストラットカバー15との間の冷却流路R内へと吸引される。
また、本実施の形態では、ストラットカバー15と車室壁10の内周面との間には、円周方向に区画する仕切り板18が各ストラット14に対応するように6箇所に設けられている。仕切り板18は、図2で紙面に向かって周方向でストラット14を挟んで反時計回り側で、ストラット14とこれに近接する空気導入孔17との間に配置されている。これにより、所定位置の空気導入孔17から供給された空気は、図3に示すように、仕切り板18によって区画された所定の流路、すなわちストラットカバー15と車室壁10との間の空間Sと、ストラット14とストラットカバー15との間の冷却流路Rと、を通過して排気キャビティ12内へ流入することになる。
また、空気導入孔17には、車室壁10の外側の位置に流量調整弁20が設けられている。流量調整弁20は、図4(a)に示すように、空気導入孔17と同径の開口穴21aを有する鍔部21b付きの固定フランジ21と、固定フランジ21に対して重ね合わせるようにしてボルト等で着脱自在に設けられた開口穴22aを有する交換フランジ22と、交換フランジ22の開口穴22aを適宜な開度に調整可能な開閉板23と、を備えている(図6参照)。
交換フランジ22は、開口穴22aの開口面にメッシュ材22bが設けられており、開口穴22aの穴径の異なるものを固定フランジ21に対して適宜着脱して取り付けることがきる。つまり、交換フランジ22の開口穴22aは、図4(a)および図5(a)に示すように固定フランジ21の開口穴21aと同径のものや、図4(b)および図5(b)に示すような固定フランジ21の開口穴21aよりも小さなものでも良い。そして、交換フランジ22は、車室壁10の外側に設けられているので、ガスタービン1の運転中にも適宜な穴径のものに交換することが可能である。
図6に示すように、開閉板23は、交換フランジ22の開口面に沿ってスライド可能に設けられ、操作部23aを後述する流量調整制御部26によって得られた指示値に基づいて段階的に切り換えることで交換フランジ22の開口穴22aの開口面積を調整できる構成となっている。
図2に示すように、上述した流量調整手段は、各ストラット14に設けられ、ストラット14の熱伸びに対応するパラメータであるストラット14の温度を検出する熱電対などの温度センサ25(センサ部)と、温度センサ25での検出値(温度)に基づいて空気導入孔17を流通する空気の流量を調整する流量調整制御部26と、からなる。
温度センサ25は、ストラット14の長さ方向(ストラット14における車室壁10とベアリングケース11との延在方向)に沿って等間隔に複数(4つ)設けられている。なお、ストラット14あたりの温度センサ25の数量は、適宜設定することができ、本実施の形態では各ストラット14に対して4つの温度センサ25を設けているが、これに限定されず、ストラット14のそれぞれに少なくとも1つの温度センサ25が設けられていればよい。
図2に示す流量調整制御部26は、各温度センサ25による測定値に基づいて各ストラット14の熱伸び量を算出し、複数の流量調整弁20を開閉するものである。
また、図7に示すように、タービン車室10Aには、タービン7における動翼19とタービン車室10AとのクリアランスCを検出するクリアランス計測器27(センサ部)がタービン軸方向(図7で矢印X方向)に沿って複数段(ここでは、5段)で設けられている。なお、図7は、静翼を省略した図となっている。クリアランス計測器27は、例えば1500℃の雰囲気中に耐え得る静電容量式、渦電流式、あるいは光学式などのものが使用され、タービン車室10Aの内周面側に検出部が露出するとともに、動翼19の径方向外側の位置に設けられている。また、各段に設けられるクリアランス計測器27は、とくに図示しないが、周方向で上下左右の4点に設けられている。
ここで、上述した流量調整手段によって、空気導入孔17から供給される空気の導入量を調整する方法について、図面に基づいて説明する。
図2および図8に示すように、ステップS1では、各ストラット14に設けた温度センサ25によってストラット14の温度が計測される。そして、流量調整制御部26において、検出した温度に基づいて、それぞれのストラット14の平均熱伸び量が算出される(ステップS2)。つまり、ストラット14の長さ方向に設けられている4つの温度センサ25の検出温度の平均値から熱伸び量を算出する。
ここで、ストラット14の熱伸びはストラット14で支持されるベアリングケース11に変位をもたらし、ロータ6の軸心に偏差が生じることになる。
次に、ステップS3において複数(6本)のストラット14の熱伸び偏差が計算され、それらストラット14のうち熱伸び量の大きなストラット14が特定される(ステップS4)。そして、本実施の形態では、ステップS4で特定されたストラット14の熱伸び量から特定したストラット14に必要な空気量を算出し、ステップS4で特定したストラット14の熱伸び量と、複数のストラット14の偏差値とに基づいて、特定したストラット14に対応する開閉板23の開閉量(開度)、すなわち空気の流量が計算される(ステップSS5)。
次に、温度センサ25で検出したストラット14の熱伸びに対応するパラメータ(ステップS4)は、ステップS5で空気の流量が計算された後、ステップS6においてクリアランス計測器27で検出したクリアランスCに基づいて補正され、タービン車室10Aと各動翼19(ロータ6)とのクリアランスCの最適条件が計算される。そして、ステップS7において、流量調整弁20が調整される。
また、スステップS7の流量調整後に再びクリアランスCが計測され、流量調整前後のクリアランスが比較され(ステップS8)、更にクリアランス偏差が計算され(ステップS9)、テップS6で計算された空気の流量が補正されるフローとなり、タービン車室10Aと各動翼19(ロータ6)とのクリアランスの最適条件が計算される。
これにより、流量調整弁20で流量調整された空気が、特定されたストラット14に対応する冷却流路R(ストラット14とストラットカバー15との間の空間)内に流通するので、その特定されたストラット14が冷却されて熱伸び量が低減される。そのため、ベアリングケース11の変位を小さくすることができ、ロータ6の軸心の偏差を補正することができる。
ここで、ステップS1による温度センサ25による計測は、リアルタイムで行われており、流量調整弁20による流量調整後の状態においてもストラット14の熱伸び量が算出される。そのため、上述したステップS1〜S5の動作フローが循環している状態となり、ロータ6の軸心が常時監視されている。
次に、ガスタービンにおけるディスク軸心調整機構の作用について、図面に基づいてさらに具体的に説明する。
図3に示すように、本実施の形態のディスク軸心調整機構では、車室壁10の外側の空気を、車室壁10に設けられた複数の空気導入孔17よりストラット14とストラットカバー15との間を流通させることで、ストラット14の温度を低下させることができる。 そして、図7に示すように、クリアランス計測器27によってタービン7における動翼19とタービン車室10AとのクリアランスCを検出し、この検出値に基づいて図2に示す流量調整弁20を調整することで、空気導入孔17を流通する空気の流量を変更することができる。この場合、タービン車室10Aの周方向に複数のクリアランス計測器27を設け、これらの検出値より周方向のクリアランス偏差を算出し、その周方向に設けられるクリアランス計測器27のうちクリアランス偏差の大きい位置を特定し、その特定した部分に対して個別に流量の空気を流通させて冷却することが可能となる。
例えば、タービン運転時に、タービン車室10Aの上下方向に温度差が生じていわゆる「猫背変形」に伴ってクリアランス偏差が生じている場合には、下側に配置されるストラット14の熱伸びが大きくなるように、上側に配置されるストラット14の空気量を大きくし、ロータ6の軸心の偏差を意図的にタービン車室10Aの軸心部に近付くようにクリアランスの最適化を図ることができる。
このように、動翼とタービン車室10Aとのクリアランスを監視し、冷却により複数のストラット14の熱伸び量を調整することができるので、ストラット14によってベアリングケース11を介して支持されたロータ6の軸心の偏差を抑制することができ、これによりロータ6に支持される各動翼19とタービン車室10Aとのクリアランスの偏差も抑えることができる。
また、タービン軸方向Xにわたって複数段のクリアランス計測器27でクリアランスCを検出し、監視することで、検出値のばらつきが小さくなって平均化されるので、検出値の精度を高めることができ、ロータ6の軸心の偏差の補正精度を向上させることができる。
また、本実施の形態のディスク軸心調整機構では、図2に示すように、ストラット14の温度を温度センサ25によって検出し、この検出した温度から熱伸び量を算出し、この流量調整弁20を調整することで、空気導入孔17を流通する空気の流量を変更することができる。そのため、温度センサ25で検出したストラット14の熱伸び量と、図7に示すクリアランス計測器27で検出したクリアランスCの2つパラメータに基づいて流量調整弁20を調整することができるので、ロータ6(動翼19)とタービン車室10AとのクリアランスCを維持しつつ、ロータ6の軸心を最適化することができる。
上述した本第1の実施の形態によるガスタービンにおけるディスク軸心調整機構では、クリアランス計測器27によって動翼19とタービン車室10AとのクリアランスCを検出し、この検出値に基づいて流量調整弁20を調整することで、空気導入孔17を流通する空気の流量を変更することができ、これによりロータ6の軸心の偏差を抑制することができる。
しかも、ロータ6の軸心を継続的に監視することができるという効果を奏する。
次に、本発明のガスタービンにおけるディスク軸心調整機構による他の実施の形態および変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
(第2の実施の形態)
図9に示すように、第3の実施の形態によるガスタービンにおけるディスク軸心調整機構では、車室壁10の外側の上端10a、および下端10bの位置に、車室壁10の変位を接触により測定する変位センサ30を設け、これら変位センサ30で検出した車室壁10の変位に基づいて車室壁10の外周表面に空気を吹き掛ける構成となっている。
具体的には、車室壁10の外周面の測定箇所(ここでは上端10a、下端10b)に計測用突起31を設け、この計測用突起31に変位センサ30の検出部30aを接触させている。そして、車室壁10の外周面の上半部分は、保温材32で被覆されるとともに、その保温材32を外側から貫通して空気導入口33が設けられている。この空気導入口33は例えば小型圧縮空気装置34(コンプレッサ)に接続されている。これにより、空気導入口33から吹き出された空気を車室壁10の上半部分の外周表面に直接吹き掛けて冷却するとともに、保温材32の内側にもその空気が供給されるので、その上半部分の温度を低下させ、車室壁10自体の偏心を抑制することができる。これにより、車室壁10における各動翼(ロータ6)とのクリアランス偏差を小さくすることができる。
本第2の実施の形態では、上述した動翼19とタービン車室10AとのクリアランスCを検出する温度センサ25とは別で、変位センサ30で検出した車室壁10の変位に基づいて車室壁10の外周表面に空気を吹き掛けることで前記車室壁10の変位を補正することができる。
そして、このタービン車室10Aの変位をセンサ部で検出した動翼19とタービン車室10AとのクリアランスCに対応させて流量調整弁20を調整し、タービン車室10Aと動翼19とのクリアランスCを考慮したロータ6の軸心における偏差の調整を行うことができる。
以上、本発明によるガスタービンにおけるディスク軸心調整機構の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では温度センサ25を用いてストラット14の温度計測を行っているが、このストラット14の温度計測を行わず、クリアランス計測器27によるタービン車室10Aと動翼19とのクリアランスCのみを対象としてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施の形態を適宜組み合わせてもよい。
1 ガスタービン
2 ガスタービン排気部
6 ロータ
6A タービンのロータ
6B 圧縮機のロータ
7 タービン
9 排気ダクト
10 車室壁
10A タービン車室
11 ベアリングケース
12 排気キャビティ
13 排気ディフューザ
14 ストラット
15 ストラットカバー
17 空気導入孔
18 仕切り板
19 動翼
20 流量調整弁(流量調整部)
21 固定フランジ
22 交換フランジ
23 開閉板
25 温度センサ
26 流量調整制御部
27 クリアランス計測器(センサ部)
30 変位センサ
R 冷却流路

Claims (5)

  1. タービンの下流側にそれぞれ接続された車室壁ベアリングケースとの間に設けられた外側ディフューザと内側ディフューザとを有する排気ディフューザと、
    該排気ディフューザを貫通して前記車室壁と前記ベアリングケースとを連結し、周方向に間隔をあけて複数設けられたストラットと、
    前記ストラットを覆うように、前記外側ディフューザと前記内側ディフューザとを連結するストラットカバーと、
    を備えたガスタービンにおけるディスク軸心調整機構であって、
    前記車室壁は、各前記ストラットに対応するようにそれぞれ設けられて、内外を連通する複数の空気導入孔を有し、
    前記タービンにおける動翼とタービン車室とのクリアランスを検出するセンサ部と、
    前記空気導入孔を流通する空気の流量を調整する流量調整部と、
    を備えることを特徴とするガスタービンにおけるディスク軸心調整機構。
  2. 前記センサ部は、タービン軸方向に沿って複数段で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンにおけるディスク軸心調整機構。
  3. 前記ストラットには、該ストラットの温度を検出する温度センサが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスタービンにおけるディスク軸心調整機構。
  4. 前記センサ部で検出した動翼とタービン車室とのクリアランス計測値と、前記温度センサで検出したストラット温度値から求まるストラット熱伸び量とに基づいて、前記空気導入孔を流通する空気の流量を調整することを特徴とする請求項に記載のガスタービンにおけるディスク軸心調整機構。
  5. 前記車室壁には、該車室壁の変位を測定する変位センサが設けられ、
    該変位センサで検出した前記車室壁の変位に基づいて、前記車室壁の外周表面に空気を吹き掛けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスタービンにおけるディスク軸心調整機構。
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