JP5737821B2 - 血友病b治療剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒト血友病B治療剤、その製造方法、及び血液凝固第IX因子の製造方法に関する。
血友病Bは遺伝性の出血性疾患で、患者は全世界に分布しており、日本においても855人の患者が存在する(2003年集計血液凝固異常症全国調査)。その病態は、肝細胞からの機能的凝固第IX因子発現の低下又は発現しないことに起因する。
血液凝固は出血を止めるために必要な生理機能であるが、血液凝固は13個の異なる凝固因子(但し第VIは欠番)が複雑に作用して行われる。13個の凝固因子のうち凝固第IX因子の働きが低下していると、それだけで出血を止めることができない状態となり、死に至る場合もある。
従来、血友病Bは、第IX因子製剤の静脈注射が唯一の治療法である。しかし、日本においては、第IX因子製剤はすべてヒト由来の血液製剤であり、組換え型ヒト凝固第IX因子は用いられていない。治療に用いられる第IX因子製剤は極めて高価であるのみならず、ヒト由来の未知ウイルス等が血液製剤に混入している危険性もある。また、定期的な静脈注射は患者にとっても侵襲が高い。
さらに治療経過中に第IX因子製剤の静脈注射を繰り返し行うことにより第IX因子に対するインヒビターといわれる中和抗体を発現してしまうことがあり、そのときは治療効果が激減してしまう。第IX因子インヒビターの発現は5〜10%の症例にみられ、そのときはバイパス止血療法、インヒビター中和療法、免疫寛容療法などにより対応するが、いずれも確立した確実な治療法とは言えない。
最近、遺伝子治療の技術を用いて、凝固第IX因子遺伝子を保持するウイルスベクターを患者体内に注入することにより凝固第IX因子遺伝子を血友病B患者体内で発現させる臨床試験が米国で行われた。しかし、これまで行われた治療技術では、体内で産生される凝固第IX因子レベルが低く、明らかな治療効果が得られていない。また、投与ベクターが生殖細胞にも感染している可能性も完全には否定できない。これらの様々な問題点から、遺伝子治療による血友病Bの治療は満足できるものでなく、現在は中止となっている。
また、血友病Bの原因蛋白である凝固第IX因子は肝細胞から産生されることから、血友病Bではない提供者の肝臓を移植することも行われているが、広く行える治療法ではない。
これらのことから、新しい治療法の確立が望まれている。
ここで、特許文献1は、肝臓で合成されるアルブミンのエンハンサー、及びプロモーターに連結したウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター (uPA) 遺伝子が全細胞に導入された遺伝的肝障害マウスであるuPAトランスジェニックマウス (uPA-Tgマウス) と、免疫不全マウスであるSCIDマウスとを交配させて免疫不全肝障害マウスであるuPA/SCIDマウスを作製し、このマウスにヒト肝細胞を移植することにより、マウス肝臓の一部がヒト肝細胞で置換されたヒト肝細胞キメラマウスが得られることを開示している。
また、特許文献2は、上記のuPA/SCIDマウスにヒト肝細胞を移植するとともに、補体抑制剤を投与することにより、マウス肝臓におけるヒト肝細胞の置換率が向上することを開示している。
特開2002-45087号公報 国際公開WO 03/080821号公報
本発明は、安全かつ大量供給が可能な血友病B治療剤、及び安全な血友病B治療剤を大量に供給できる血友病B治療剤の製造方法を提供することを主な課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) 肝障害免疫不全マウスであるuPA/SCIDマウスにヒト肝細胞を移植してキメラマウスを作製し、このキメラマウスの肝臓で増殖したヒト肝細胞は、血液凝固第IX因子を分泌生産している。
(ii) このキメラマウス体内で増殖したヒト肝細胞は、凝固第IX因子を欠くヒト血漿における止血機能を有している。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の血友病B治療剤、その製造方法、及び血液凝固第IX因子の製造方法を提供する。
項1. 免疫不全肝障害非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を含む、血友病B治療剤。
項2. 増殖したヒト肝細胞が、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植し、この非ヒト動物体内で増殖させることにより得られるものである項1に記載の血友病B治療剤。
項3. 非ヒト動物が哺乳動物である項1又は2に記載の血友病B治療剤。
項4. 哺乳動物がげっ歯類である項3に記載の血友病B治療剤。
項5. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を回収する工程とを含む、血友病B治療剤の製造方法。
項6. 非ヒト動物が哺乳動物である項5に記載の方法。
項7. 哺乳動物がげっ歯類である項6に記載の方法。
項8. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を分離する工程と、このヒト肝細胞が分泌する血液凝固第IX因子を回収する工程とを含む、血液凝固第IX因子の製造方法。
項9. 非ヒト動物が哺乳動物である項8に記載の方法。
項10. 哺乳動物がげっ歯類である項9に記載の方法。
一般に、単離されたヒト肝細胞は、in vitroでは高いレベルでの増殖は行わない。また、培養肝細胞は短期間に様々な肝細胞特異的機能が減衰する。数日間in vitro培養したヒト肝細胞は、検出できるレベルの凝固第IX因子は産生しない。
また、ヒト肝細胞に不死化遺伝子を挿入して強制的に培養下に増殖させるシステムが報告されているが(Kobayashi et al. Science 287:1258-1262, 2000等)、凝固第IX因子を産生する細胞を確保する方法は記載されていない。
この点、本発明によれば、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植して増殖させることにより、血液凝固第IX因子を正常レベルで恒常的に産生し分泌するヒト肝細胞が大量に得られるようになった。このヒト肝細胞は第IX因子欠損血漿を正常に凝固させることができる。従って、このヒト肝細胞は、血友病B患者に移植することにより、1日24時間持続的に凝固第IX因子を与えることが可能であり、血友病B治療に有効である。
また、このようにして増殖させたヒト肝細胞は、凝固第VIII因子を発現しておらず、かつ凝固第IX因子を正常発現している。後述するように、本発明の血友病B治療剤は、通常、門脈系を介して患者肝臓に移植して肝臓内局所で正着させて効果を期待するか、あるいは肝組織工学的な手法を用いて肝臓外の部位に細胞を移植することにより治療目的の肝組織を局所で作製することになる。その際に、移植した肝細胞が凝固第VIII因子も産生すると、血友病B患者の血液中には本来第VIII因子が正常レベルで存在するため、移植した細胞が産生する余剰の第VIII因子により細胞移植局所で過剰な凝固反応を引き起こす可能性がある。細胞治療は、静脈注射のように全身に細胞をまんべんなく移行させるのではなく、肝臓という局所、又は肝臓外のいずれかの局所に細胞を移植する。このため、その局所での過剰な凝固反応は、その局所での血流不全を引き起こし、さらに、肝臓に移植する場合は、血栓による肝臓血流障害(ひどくなれば致死的にもなる)を引き起こす可能性もある。
また本発明によれば、このようにして得た大量のヒト肝細胞に血液凝固第IX因子を分泌させることにより、第IX因子を大量生産するシステムが得られた。
本発明により得られたヒト肝細胞、及びその分泌生産する凝固第IX因子は、ウイルス感染などの危険性がなく、安全な血友病B治療剤である。
また、このヒト肝細胞は、キメラ非ヒト動物から単離した後すぐに治療に用いることができるだけでなく、一旦凍結保存を行い、製品管理と品質管理のもとに、治療的製剤として供給することもできる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)血友病B治療剤の製造方法
本発明の血友病B治療剤の製造方法は、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を回収する工程とを含む方法である。
本発明において、非ヒト動物(以下、「動物」と略称することもある)は、哺乳動物であることが好ましく、げっ歯類であることがより好ましい。げっ歯類動物としては、マウス、ラットのようなネズミ、モルモット、リス、ハムスターなどが挙げられるが、実験動物として汎用されているマウス、ラットのようなネズミが使用し易い。
免疫不全肝障害非ヒト動物
免疫不全肝障害非ヒト動物は、異種動物由来の細胞に対して拒絶反応を示さない免疫不全であるとともに、その非ヒト動物本来の肝臓の細胞が障害を受けている動物である。その動物本来の細胞が障害を受けていることにより、ヒト肝細胞を移植すれば、その肝機能は移植されたヒト肝細胞によって保たれ、ヒト肝細胞の個体内機能を正確に反映した動物となる。また、移植するヒト肝細胞が増殖し易くなる。
免疫不全肝障害動物は、同一個体に、肝障害誘発処理を施すとともに、免疫不全誘発処理を施すことにより作製することができる。肝障害誘発処理としては、四塩化炭素、黄リン、D-ガラクトサミン、2-アセチルアミノフルオレン、ピロロジンアルカロイドのような肝障害誘発物質の投与や、外科的な肝臓の部分切除などが挙げられる。免疫不全誘発処理としては、免疫抑制剤の投与や胸腺摘出などが挙げられる。
また免疫不全肝障害非ヒト動物は、遺伝的免疫不全症の動物に、肝障害誘発処理を施すことによっても作製できる。遺伝的免疫不全症動物としては、T細胞系不全を示す重症複合免疫不全症(SCID:severe combined immunodeficiency)の動物、遺伝的な胸腺の欠損によりT細胞機能を失った動物、RAG2遺伝子を公知のジーンターゲッティング法(Science,244:1288-1292,1989)によりノックアウトした動物などが挙げられる。具体的には、SCIDマウス、NUDEマウス、RAG2ノックアウトマウスなどが挙げられる。
また免疫不全肝障害非ヒト動物は、遺伝的肝障害動物に免疫不全誘発処理を施すことによっても作製できる。遺伝的肝障害動物としては、肝細胞特異的に発現するタンパク質のエンハンサー、及び/又はプロモーターの支配下に連結された肝障害誘発タンパク質遺伝子を用い、公知のトランスジェニック法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77;7380-7384,1980)により作製したトランスジェニック動物が挙げられる。このような動物では、肝障害誘発タンパク質が肝臓特異的に発現するため、肝障害を有するものとなる。肝細胞特異的に発現するタンパク質としては、血清アルブミン、コリンエステラーゼ、ハーゲマン因子などが挙げられる。肝障害誘発タンパク質としては、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(uPA)、ティッシュープラスミノーゲンアクチベーター(tPA)などが挙げられる。また、例えばフマリルアセト酢酸ヒドラーゼ遺伝子のような肝機能を担う遺伝子をノックアウトすることによっても遺伝的肝障害を有する動物を得ることができる。
さらに、遺伝的免疫不全動物と、それと同種の遺伝的肝障害動物とを交配させることによっても作製することができる。
遺伝的免疫不全肝障害動物としては、肝障害遺伝子がホモ接合体である動物を用いることが好ましい。このようなホモ接合体動物は正常な肝細胞がほとんど増殖しないため、その動物の肝細胞がヒト肝細胞の増殖を妨げることがない。ただし、このようなホモ接合体動物は、ヘミ接合体同士を掛け合わせた場合、確率的に1/4の割合でしか得ることができない。
一方、肝障害遺伝子がヘミ接合体である遺伝的免疫不全肝障害動物(「ヘミ接合体免疫不全肝障害動物」)は、ヘミ接合体同士を掛け合わせた場合、またはヘミ接合体と遺伝的免疫不全動物とを掛け合わせた場合1/2の確立で得ることができるため、低コストで作製できる。しかし、ヘミ接合体免疫不全肝障害動物は、2倍体染色体の一方の遺伝子が正常であるため、肝障害遺伝子の欠失により正常肝細胞がコロニーを形成しながら増殖し、生後肝臓中の正常な肝細胞の比率が高くなってくる。このため、好ましくは、ヘミ接合体免疫不全肝障害動物にヒト肝細胞を移植する前に、肝細胞特異的に増殖を阻害する物質を投与し、正常化した肝細胞が増殖してコロニーを形成することを予防すればよい。肝細胞増殖阻害物質としては、たとえばピロロジンアルカロイドの一種であるレトロシン、ラシオカルピン、セネシフィリン、モノクロタリントリコデスミン等を例示することができる。
ヒト肝細胞
移植に用いるヒト肝細胞は、血友病Bではないヒト、好ましくは正常なヒト(健常人)の肝組織から、コラゲナーゼ灌流法のような常法によって単離したものを用いることができる。また、分離した肝細胞を一旦冷凍保存した後解凍して用いることもできる。
肝細胞を分離するヒトの年齢は特に制限されないが、例えば14歳以下の小児のヒトの肝細胞を使用することにより、ヒト肝細胞による高置換率が達成される。
また、in vivoで活発な増殖能を有する増殖性肝細胞を使用することが好ましい。本発明において、「増殖性ヒト肝細胞」とは、培養条件下(in vitro)において、単一細胞種の集団としてのコロニーを形成し、そのコロニーを増大させるように増殖するヒト肝細胞を意味する。また、その増殖は、コロニー構成細胞が単一種であるという点において「クローン性増殖」という場合もある。さらに、このような細胞は、継代培養によって細胞数をさらに増加することができる細胞である。
このような増殖性ヒト肝細胞は、一例として、本発明者らが発明したヒト小型肝細胞(特開平08−112092号公報;日本特許第3266766号;米国特許第6,004,810号、特開平10−179148号公報:日本特許第3211941号、特開平7−274951公報;日本特許第3157984号、特開平9−313172号公報;日本特許第3014322号)を用いることができる。このヒト小型肝細胞は、その優れた増殖能によって、レシピエントの体内で急速に増殖し、正常な肝機能を発揮しうるヒト肝細胞集団を短時間で形成することができる。
このような小型肝細胞の採取は、前記公報に記載されているような遠心分離を用いた方法の他、エルトリエーターやFACS、MACS等の細胞分画装置によっても採取することができる。さらには、コロニーを形成しながら増殖する肝細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体によって採取することもできる。in vitroで増殖させたヒト肝細胞、凍結保存肝細胞、テロメラーゼ遺伝子等の導入により不死化させた肝細胞、これらの肝細胞と非実質細胞を混合させたものも使用できる。
キメラ動物の作製
このようなヒト肝細胞は、免疫不全肝障害動物の脾臓を経由して肝臓へ移植することができる。また、直接門脈から移植することもできる。移植するヒト肝細胞の数は、1〜200万個程度、好ましくは50万〜100万個程度とすることができる。
免疫不全肝障害動物の性別は特に限定されない。また、移植時の免疫不全肝障害動物の日齢は、特に限定されないが、マウスが低週齢のときにヒト肝細胞を移植すると、マウスの成長とともにヒト肝細胞がより活発に増殖することができる点で、生後0〜40日程度、中でも生後8〜40日程度の動物を使用するのが好ましい。
移植後の動物を、常法により、飼育すればよい。例えば移植後40〜200日間程度飼育することにより、肝細胞の一部又は全部がヒト肝細胞で置換されたキメラ動物が得られる。キメラ動物の血中ヒトアルブミン濃度が6 mg/ml以上になるまで飼育することが好ましい。この濃度であれば、キメラ動物の肝臓が十分にヒト肝細胞により置換されており、ヒト肝細胞を効率的に取得することができる。マウスの場合は、ヒト肝細胞を7.5×10個程度移植した場合、40〜120日間程度飼育することにより、上記の血中ヒトアルブミン濃度(ヒト肝細胞置換率)が得られる。
ヒト肝細胞の回収
キメラ動物体内で増殖したヒト肝細胞は、例えば、キメラ動物の肝臓組織をコラゲナーゼ処理することにより回収することができる。コラゲナーゼの細胞毒性は、非ヒト動物肝細胞に対する方が、ヒト肝細胞に対するより高いため、コラゲナーゼ処理時間を調節することにより、キメラ動物の肝細胞に障害を与え、実質的にヒト肝細胞だけを分離することができる。コラゲナーゼ処理時間は、ヒト肝細胞と非ヒト肝細胞との存在割合によって異なるが、例えば、血中アルブミン濃度が1〜14mg/ml程度の場合は、濃度0.01〜0.1重量%程度のコラゲナーゼ溶液で10〜30分間程度処理を行えばよい。
回収された肝細胞の中には、キメラ動物体内で増殖したヒト肝細胞の他、肝非実質細胞が少量含まれる。さらに、動物自身の肝細胞も少量含まれる。回収した肝細胞をそのまま血友病B治療剤の成分として用いることもできるが、ヒト肝細胞あるいは非ヒト肝細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いてヒト肝細胞の純度を上げることもできる。分離した肝細胞をヒト肝細胞特異抗体と反応させる場合は、反応した細胞をフローサイトメーター(FACS)や磁気細胞分離装置(MACS)で回収すればよい。また、分離した肝細胞をマウス肝細胞特異的抗体と反応させる場合は、反応しなかった細胞をFACSやMACSを用いて回収すればよい。
ヒト肝細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体としては、本発明者らが作製したハイブリドーマK8216株(2002年3月6日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P-18751として寄託済み。また2003年3月20日付でFERM BP-8333として国際寄託済み。)細胞を培養することによって得たもの、又はこのハイブリドーマ細胞をマウス腹腔内に注射し、腹水から採取したものが挙げられる。特に、ヒト増殖性肝細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体としては、本発明者らが作製したハイブリドーマK8223株(2002年3月6日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P-18752として寄託済み。また2003年3月20日付でFERM BP-8334として国際寄託済み。)細胞を培養することによって得たもの、又はこのハイブリドーマ細胞をマウス腹腔内に注射し、腹水から採取したものが挙げられる。
このようにして分離したヒト肝細胞は、後述するようにして製剤化して血友病B治療剤として用いることができる。
(II)血友病B治療剤
剤形
本発明の血友病B治療剤は、免疫不全肝障害非ヒト動物の体内で増殖したヒト肝細胞を含むものである。特に、このヒト肝細胞を有効成分として含む。
本発明の血友病B治療剤は、上記説明したようにしてキメラ動物体内で増殖させたヒト肝細胞を含んでいればよく、剤形は特に限定されない。代表的には、ヒト肝細胞が生理食塩水、リン酸バッファー液、ラクテートリンゲル液などに懸濁された製剤が挙げられる。細胞懸濁液中には、グルタミンやビタミンのような細胞の生存に必要な成分が含まれていても良い。懸濁液中の細胞密度は、1万〜1億個/ml程度が好ましく、100万〜5000万個/ml程度がより好ましい。この範囲であれば、投与し易い量の中に治療に必要な量のヒト肝細胞を含ませることができるとともに、投与経路において目詰まりしたり、生体内において巨大細胞塊が形成されたりするということがない。
また、本発明の血友病B治療剤は、例えば2-メトキシエチルアクリレート、乳酸-グリコール酸共重合体などの生体適合性高分子材料を支持体として用いた細胞ペレットや細胞シートなどの形態であってもよい。肝細胞どうしが相互接着し球形となったスフェロイド体であってもよい。また、肝細胞モジュールの形態であってもよい。
使用方法
代表的には、上記ヒト肝細胞懸濁液を、血友病B患者の門脈系又は脾臓から移植することにより、血友病Bを改善、又は治療することができる。移植されたヒト肝細胞は肝臓に生着して、凝固第IX因子を分泌生産する。これにより、血友病Bが改善、又は治療される。投与量は、症状および疾患の重篤度、患者の年齢、性別もしくは体重、投与経路などにより異なるが、概ね、ヒト肝細胞の投与量が100万個〜10億個/体重キログラム程度となるように投与すればよい。また、この量を複数回投与することにより、一層高い治療効果が期待される。
また、ヒト肝細胞懸濁液、ペレットやシート状の肝細胞を、皮下、腎被膜下、腸管膜内、膵臓内、大網内、脂肪組織内などの肝臓以外の部位に移植し、生着させることもできる。肝細胞モジュールは、肝臓以外のいずれかの部位に移植すればよい。これらの場合の、移植細胞数は、症状および疾患の重篤度、患者の年齢、性別もしくは体重、移植部位などにより異なるが、概ね、ヒト肝細胞100万個〜10億個/体重キログラム程度を移植すればよい。
(III)ヒト血液凝固第IX因子の製造方法
本発明の血液凝固第IX因子の製造方法は、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を分離する工程と、このヒト肝細胞が分泌する血液凝固第IX因子を回収する工程とを含む方法である。
キメラ非ヒト動物の作製工程、及びキメラ非ヒト動物で増殖したヒト肝細胞の分離工程については、前述した通りである。
キメラ非ヒト動物から分離したヒト肝細胞を、Dulbecco's Modified Eagle's Media、RPMI Media 1640、HepatoZYME-SFM、Williams’ Media E、HCM (hepatocyte culture medium)、HMM (hepatocyte maintenance medium)などの培地中に懸濁し、30〜38℃程度で1〜120時間程度インキュベートすることにより、溶液中に凝固第IX因子が分泌生産される。I型コラーゲン、IV型コラーゲンを固定化した培養皿や、マトリゲル処理培養皿を用いて、細胞接着性と機能を維持することも望ましい。また、コラーゲンをゲル状にして、細胞をサンドイッチするコラーゲンゲルサンドイッチによっても細胞を維持できる。この細胞懸濁液から遠心分離などにより細胞を除去し、溶液中の第IX因子を公知の各種クロマトグラフィーにより精製すればよい。
実施例
以下、本発明を実施例を挙げて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
キメラマウスの作製
(1)免疫不全肝障害マウス
レシピエント動物として使用したuPA-Tg(+/+)/SCID(+/+)マウスは、(株)フェニックスバイオにて繁殖させたものを用いた。
このマウスは、(株)フェニックスバイオにて次のようにして作製したものである。uPA-Tgマウス(hemizygote, +/-)とSCIDマウス(homozygote, +/+)とを掛け合せ、両方の形質を持つマウスuPA-Tg(+/-)/SCID (+/-)を35.2%の確率で得た。uPA-Tg(+/-)とuPA-Tg(-/-)の識別は、uPA遺伝子に特異的な配列をプライマーに用い、ゲノムPCR法により行った。また、SCID (+/-)とSCID(-/-)の識別は、PCR-RFLP法により行った。
次に、得られたuPA-Tg(+/-)/SCID (+/-)をSCID (+/+)と戻し交配させ、uPA-Tg(+/-)/SCID (+/+)を得た。その結果、uPA-Tg(+/-)は37.9%出現し、SCID (+/+)は52.8%出現した。uPA-Tg(+/-)/SCID (+/+)同士を交配させ、uPA-Tg(+/-)/SCID (+/+)、及び目的のuPA-Tg(+/+)/SCID (+/+)を得た。
なお、uPA遺伝子の(-/-), (+/-), (+/+)の識別は以下の方法で行った。生後8〜10日目のマウスの尾を約5 mm切断し、30 μlのDNA lysis buffer {50 mM Tris (pH 8), 50 mM EDTA (pH 8), 1% SDS, 2 mg/ml Proteinase K}を添加後55℃で2〜3時間インキュベートした。インキュベート後、15秒間激しく懸濁し、蒸留水170 μlを添加し、95℃で10分間インキュベートすることによってProteniase Kを不活性化させた。これをPCRのテンプレートとして用いた。テンプレート 1μl、10 x Buffer (Mg+) 2 μl、dNTP Mix (2.5 mM) 1.6μl、蒸留水 11.4 μl、uPA-del-Fプライマー (10 pmol/μl) 0.4μl、uPA-del-Rプライマー (10 pmol/μl) 0.4 μl、Tg-Fプライマー (10 pmol/μl) 0.4μl、uPA-high-R1 (10 pmol/μl) 0.4 μl、MgCl2(25mM) 2 ul、Tween20 (50%) 0.2 μl、rTaq 0.2 μlを混合し、94℃・5分、次いで(94℃・30秒、62℃・30秒、72℃・30秒)x 35〜40サイクルの条件でPCRを行った。2%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い、300 bp付近にバンドが検出された場合uPA (-/-)、150 bpに検出された場合はuPA (+/+)、300 bpと150 bp両方に検出された場合uPA (+/-)として判定した。用いたプライマーの配列は以下の通りである。
uPA-del-F
5’-TTCTCTTCTCTTGCCCTCTCACA-3’(配列番号1)
uPA-del-R
5’-TTGAGACCCTCAAGACAGCCA-3’ (配列番号2)
Tg-F
5’-ATCCCTGTGACCCCTCCC-3’ (配列番号3)
uPA-hgh-r1
5’-CTCCATACCACCCCCCTC-3’ (配列番号4)
(2)ヒト肝細胞移植
ヒト肝細胞としては、BD Gentest社より購入した1才白人男児または6才黒人女児の凍結保存肝細胞を使用した。この凍結肝細胞はChise Tateno, Yasumi Yoshizane, Naomi Saito, Miho Kataoka, Rie Utoh, Chihiro Yamasaki, Asato Tachibana, Yoshinori Soeno, Kinji Asahina, Hiroshi Hino, Toshimasa Asahara, Tsuyoshi Yokoi, Toshinori Furukawa, Katsutoshi Yoshizato: Near-completely humanized liver in mice shows human-type metabolic responses to drugs. Am J Pathol 165:901-912, 2004に記載の方法に従って融解して用いた。
生後3〜5週齢のuPA-Tg(+/+) /SCID(+/+)マウスをエーテルで麻酔し、わき腹を約5mm切開し、脾頭より7.5x105個のヒト肝細胞を注入した後、腹腔に止血剤ε-aminocaproic acid(SIGMA)を0.02g/mlの濃度で40μlづつ投与し、脾臓を腹腔に戻し縫合した。
ε-aminocaproic acidを投与したのは以下の理由による。トランスジェニックマウスの肝細胞で作られたuPAは細胞外へ分泌されるため、血中のuPA濃度が高い。uPAは、蛋白質分解やプラスミノーゲンからプラスミンへの活性化を触媒したり、フィブリンクロットを分解する働きがある。手術時の出血による死亡を避けるため、プラスミノーゲンアクチベーターおよびプラスミンの作用を阻止し止血作用の効果を有するε-aminocaproic acidを投与した。
掛け合わせに用いたSCID/C.B-17マウスは、T細胞、B細胞は持たないが、NK細胞を持つことが知られている。そこで、移植したヒト肝細胞がマウスのNK細胞に攻撃されないように、NK活性を阻害するasialo GM1抗体を移植前日と移植翌週に腹腔内に投与した。
ヒト凝固第IX因子の抗原量の測定
移植後ビタミンC 0.3%含有CRF-1(オリエンタル酵母株式会社)、次亜塩素酸ナトリウム溶液0.0125%添加水道水の自由摂取により飼育した。
7日に1回マウス尾静脈より採血し、マウス血中のヒトアルブミン濃度をHuman Albumin ELISA Quantitation kit (Bethyl Laboratories Inc., Montgomery, TX)を用いて測定した。測定したアルブミン濃度から、以下のようにしてヒト肝細胞による置換率を推定した。
BD Gentest社より購入した4才白人女児肝細胞を移植して作製したキメラマウスの解剖時のヒトアルブミン濃度 (x) と、キメラマウス肝臓切片をヒト特異的サイトケラチン8/18抗体を用いて染色し、肝臓切片あたりの陽性面積としてもとめたマウス肝臓のヒト肝細胞による置換率 (y) から以下の相関式を得た。y=24.26 ln (x)-309.49。この式からキメラマウスの置換率を推定した。
また、Asserachrom IXC:Ag ELISA Kit(Diagnostica Stago, France)を用いてキメラマウス血液中のヒト凝固第IX因子濃度を測定した。このELISA Kitがマウス凝固第IX因子抗原を検出しないことは確認した。
キメラマウスにおけるヒト肝細胞の置換率とマウス血漿中のヒト凝固第IX因子濃度との関係を図1に示す。図1において、縦軸のヒト凝固第IX因子濃度は、健常人血漿中のヒト凝固第IX因子濃度を100%としたときの相対値である。置換率と凝固第IX因子濃度とはほぼ比例関係にあり、キメラマウス体内で増殖したヒト肝細胞がヒト凝固第IX因子を分泌していることが示された。
ヒト凝固第IX因子の活性の測定
上記の置換率が推定されたマウスの12匹から採血し、凝固一段法にて第IX因子活性を測定した。即ち、10倍希釈した被験血漿サンプルに等量のヒト凝固第IX因子(FIX)欠乏血漿(トロンボチェックFactorIX, Sysmex社)、及び等量のリン脂質(MDA-platelin LS regent; bioMerieux Inc, Durham, NC)を加え、そこにCaCl2を添加してから、混合物が凝固するまでの時間を血液凝固自動分析装置(KC10A,アメルング社)を用いて測定した。コントロールとして正常ヒト血漿(Verify1 : bioMerieux Inc, Durham, NC)を段階希釈したものを用いて、上記と同様にして凝固時間を測定し検量線を作成し、それを元に被験血漿サンプルの凝固因子活性を算出した。被験血漿サンプルの第IX因子の活性は、正常ヒト血漿の凝固時間を100%としたときの相対値で表した。
ヒト肝細胞による置換率と、マウス血漿の第IX因子活性との関係を図2に示す。置換率が高くなると第IX因子活性も増加する傾向が見られた。
この系で測定される第IX因子活性は、マウス肝細胞由来の第IX因子の活性とヒト肝細胞由来の第IX因子の活性を合計して測定した値である。無処置のマウスの第IX因子活性を上記の系で測定すると60〜100%の値になる。しかし、重要なのはヒト肝細胞による置換率が高くなっても第IX因子の活性が低下しないこと、即ちヒト血漿における止血機能を維持した第IX因子が産生されていることである。本発明方法により得られたヒト肝細胞は、ヒト血漿における止血機能を維持していることが分かる。
ヒト凝固第IX因子mRNA発現量の測定
実施例1と同様にしてuPA-Tg(+/+)/SCID(+/+)マウスにヒト肝細胞を移植し、移植後ビタミンC 0.3%含有CRF-1(オリエンタル酵母株式会社)、次亜塩素酸ナトリウム溶液0.0125%添加水道水の自由摂取により飼育した。
7日に1回マウス尾静脈より採血し、マウス血中のヒトアルブミン濃度をHuman Albumin ELISA Quantitation kit (Bethyl Laboratories Inc., Montgomery, TX)を用いて測定した。測定したアルブミン濃度から、前述したようにしてヒト肝細胞による置換率を推定した。
また、採血したマウス肝臓を用いてreal time PCR法によりmRNA解析を行い、ヒト凝固第IX因子mRNA発現量を測定した。具体的には、ヒト肝細胞移植uPA/SCIDマウスの肝臓からRNeasy Mini Kit (Qiagen, Hilden, Germany) にてtotal RNAを抽出し、このtotal RNAを鋳型にOmniscript RT Kit (Qiagen)にてcDNAを作成し、そのcDNAをhumanFIX特異probeを用いてPCR増幅し、増幅レベルをPRISM 7700 Sequence Detector (Applied Biosystems, Tokyo, Japan)にて検出し、定量化した。mRNA発現量は、ヒト肝細胞移植uPA/SCIDマウス肝臓から抽出した1μgのRNAからの増幅レベルで示した。
置換率とヒト凝固第IX因子mRNA発現量との関係を図3に示す。置換率とヒト第IX因子mRNA発現量との間にほぼ比例関係が認められ、移植肝細胞が核酸レベルでヒト第IX因子を発現していることが示された。
上記の結果を、置換率を低置換(0-35%)、中置換(36-65%)、高置換(66-100%)の3群に分けて棒グラフで表示した図が図4である(各群4匹)。ポジティブコントロールとして正常ヒト肝組織(奈良県立医科大学で肝切除を受けた患者肝臓の中で、研究用に提供頂いた正常の肝組織)(n=6)、ネガティブコントロールとして無処置マウス(n=4)をおき、それぞれ同様にしてヒト第IX因子mRNA発現量を測定し、図4中に示した。
図4に示すように、無処置マウスではヒト凝固第IX因子mRNAは全く検出されなかった。また、中置換群・高置換群は正常ヒト肝細胞と同レベルのヒト凝固第IX因子mRNAが発現していた。
ヒト凝固第VIII因子の抗原量の測定
キメラマウスのヒト肝細胞置換率は、実施例2と同様にして測定した。また、Asserachrom VIII:Ag ELISA Kit(Diagnostica Stago, France)を用いてキメラマウス血液中のヒト凝固第VIII因子濃度を測定した。このELISA Kitがマウス凝固第VIII因子抗原を検出しないことは確認した。
キメラマウスにおけるヒト肝細胞の置換率とマウス血漿中のヒト凝固第VIII因子濃度との関係を図5に示す。図5において、縦軸のヒト凝固第VIII因子濃度は、健常人血漿中のヒト凝固第VIII因子濃度を100%としたときの相対値である。キメラマウス体内で増殖したヒト肝細胞がヒト凝固第VIII因子を産生していないことが示された。
血友病B治療剤の調製
実施例1でマウスにヒト肝細胞を移植した後、ビタミンC 0.3%含有CRF-1(オリエンタル酵母株式会社)、次亜塩素酸ナトリウム溶液0.0125%添加水道水の自由摂取により飼育する。
14〜120日間飼育後に、二段階コラゲナーゼ灌流法により肝細胞を分離する。コラゲナーゼ濃度は0.05%、処理時間は18〜25分間とする。肝細胞にはヒト肝細胞とマウス肝細胞が混在しているが、コラゲナーゼによる毒性はヒト肝細胞に対するよりマウス肝細胞に対する方が高いため、ヒト肝細胞の比率の高い肝細胞が得られる。
この肝細胞を密度10万個〜1億個/mlになるように、生理食塩水、リン酸バッファー液、ラクテートリンゲル液、あるいはUW液(ViaSpan)に懸濁し、血友病B治療剤とする。
キメラマウスにおける、ヒト肝細胞による置換率とヒト凝固第IX因子抗原量との関係を示す図である。 キメラマウスにおける、ヒト肝細胞による置換率とヒト凝固第IX因子活性との関係を示す図である。 キメラマウスにおける、ヒト肝細胞による置換率とヒト凝固第IX因子mRNA発現量との関係を示す図である。 キメラマウスにおける、ヒト肝細胞による置換率とヒト凝固第IX因子mRNA発現量との関係を示す図である。 キメラマウスにおける、ヒト肝細胞による置換率とヒト凝固第VIII因子抗原量との関係を示す図である。

Claims (10)

  1. 重症複合免疫不全症(SCID)肝障害非ヒト哺乳動物の肝臓内で増殖させることにより得られる、ヒト血液凝固第IX因子を分泌するヒト肝細胞を含み、1回当たり当該ヒト肝細胞100万個〜10億個/体重キログラムが移植されるように用いられる、血友病B治療剤。
  2. ヒト肝細胞が、ELISA法で検出される濃度のヒト血液凝固第VIII因子を前記哺乳動物血漿中で産生しないものである、請求項1に記載の血友病B治療剤。
  3. ヒト肝細胞が、ヒト血液凝固第VIII因子を産生しないものである、請求項1又は2に記載の血友病B治療剤。
  4. 哺乳動物がげっ歯類である請求項1〜のいずれか一項に記載の血友病B治療剤。
  5. SCID肝障害非ヒト哺乳動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト哺乳動物を作製する工程と、キメラ非ヒト哺乳動物体内で増殖したヒト肝細胞を回収する工程とを含む、血友病B治療剤の製造方法。
  6. ヒト肝細胞が、ELISA法で検出される濃度のヒト血液凝固第VIII因子を前記哺乳動物血漿中で産生しないものである、請求項5に記載の方法。
  7. 哺乳動物がげっ歯類である請求項5又は6に記載の方法。
  8. SCID肝障害非ヒト哺乳動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト哺乳動物を作製する工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を分離する工程と、このヒト肝細胞が分泌する血液凝固第IX因子を回収する工程とを含む、血液凝固第IX因子の製造方法。
  9. ヒト肝細胞が、ELISA法で検出される濃度のヒト血液凝固第VIII因子を前記哺乳動物血漿中で産生しないものである、請求項8に記載の方法。
  10. 哺乳動物がげっ歯類である請求項8又は9に記載の方法。
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