JP5737613B2 - 定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に用いられる定着装置、及びこの定着装置を備えた画像形成装置に関するものである。
従来から、電子写真方式の画像形成装置の定着装置として、熱効率の良さから、内部に加熱手段を有した定着ローラ(ヒートロール)と、これに圧接して加圧する加圧ローラで構成されたヒートロール方式の定着装置が広く採用されている。また、このような定着装置で用いる加圧ローラは、外周面に耐熱性ゴム層を設けた構成が多い。
そして、A2以上の大サイズの転写紙等の記録媒体(以下、転写紙という)に対応した画像形成装置に用いられるヒートロール方式の定着装置では、定着ローラ及び加圧ローラの長さが長くなる。このため、図13に示すように、加圧ローラ20両端のフランジ47に取り付けた加圧軸21に、加圧ローラ20を定着ローラ10へ向けて押圧する力Aを作用させて加圧を行なうと、定着ローラ10及び加圧ローラ20に大きなたわみが発生する。
定着ローラ10及び加圧ローラ20に大きなたわみが発生すると、定着ローラ10と加圧ローラ20との間に形成されるニップ部の幅(以下、ニップ幅という)が、ローラ軸方向における中央部で狭く、両端部で広くなる。その結果、ローラ軸方向で、定着ローラ10から転写紙への供給熱量に差が生じて定着性にむらが発生したり、転写紙の搬送速度に差が生じて転写紙にしわが発生したりすることがある。
定着ローラ及び加圧ローラのたわみは、それぞれのローラ径を大きくしたり、ローラ肉厚を大きくしたりすることで抑制できる。しかし、ローラ径を大きくしたり、ローラ肉厚を大きくしたりしてたわみを抑制する構成では、定着装置が大きくなり、画像形成装置が大型化するとともに、各部品価格もアップして画像形成装置のコストアップに繋がる。さらに、それぞれのローラの熱容量も大きくなってしまうため、ウォームアップ時間が長くなるとともに、それぞれのローラ表面積が大きくなることから温度維持電力も大きくなってしまう。
このたわみへの対策として、従来から様々な構成が提案されてきた。例えば、特許文献1には、次のような構成が記載されている。図14に示すように、加圧ローラ20に具備する中空円筒状部材である中空円筒22(金属製の芯金)の内部に加圧軸21を挿通し、加圧軸21の中央寄りの2箇所に、加圧軸21と軸心が同軸の環状の押圧部材23(環状押圧部材)を配置する。そして、加圧軸21の両端に定着ローラ10へ向けて押圧する力Aを作用させる加圧を行い、加圧軸21の軸方向中央寄りの2箇所に配置した押圧部材23で、加圧ローラ20の中空円筒22内面の軸方向中央寄りの2箇所を押圧する。このように、中空円筒22内面の軸方向中央寄り2箇所を押圧して、軸方向中央が定着ローラ10側に近づくように加圧ローラ20をたわませ、このたわみに定着ローラ10のたわみを追従させてローラ軸方向のニップ幅分布を均一化させる構成である。また、この図14に示す構成の説明では、特許文献1に記載された構成における各部材名称を括弧内に記載している。
また、特許文献2には、次のような構成が記載されている。図15に示すように、加圧ローラ20(加圧回転体)に備える中空円筒22(ステンレス製コア)の内部に、加圧ローラ20の軸方向中央が定着ローラ10側に近づくような押圧たわみ曲線に合わせた押圧部材26(圧接部材)を挿通する。この押圧部材26は、加圧ローラ20の押圧たわみ曲線に合わせるよう両端部よりも中央部で径が拡大した形状に加工されている。そして、この押圧部材26の両端に延出した加圧軸21に、加圧ローラ20を定着ローラ10へ向けて押圧する力Aを作用させて加圧を行なうことで、定着ローラ10と加圧ローラ20との間で形成されるニップ幅を、ローラ軸方向で均一化させる構成である。また、この図15に示す構成の説明では、特許文献2に記載された構成における各部材名称を括弧内に記載している。
しかしながら、特許文献1に記載された図14に示す構成では、用紙処理速度を上げたり用紙対応範囲を広げる目的で、単純に加圧軸21両端への加圧力をアップさせてニップ幅を拡大しようとすると、加圧軸21にもたわみが生じる。このため、図16に示すように、加圧軸21端部が、加圧ローラ20の中空円筒22内壁端部に接触して押圧してしまう場合がある。すると、中空円筒22内壁端部付近が変形して加圧ローラ20の両端部でのニップ幅が過剰に拡大してローラ軸線方向のニップ幅の偏差が拡大する。その結果、ローラ軸方向での定着性のむらや、転写紙のしわの発生に繋がってしまう。
また、特許文献1に記載された実施例の構成では、加圧ローラ20による押圧方向を直線的に保つため、図17に示すように構成されたスリーブ40が、加圧ローラ20の中空円筒22の両端部に装着されている。スリーブ40は、円筒部41と、位置決め部42と、回転規制用突起45とが一体的に形成されている。また、スリーブ40を嵌め込む部分の中空円筒22の内壁の径は、所定寸法だけ大きく加工されており、この径を大きくした部分に設けた滑り軸受け46を介して、スリーブ40の円筒部41が回転可能に支持される。そして、位置決め部42の加圧ローラ20による押圧方向の定着ローラ10側には、押圧方向に垂直な方向のスリーブ40の移動を規制する規制部材であるスライドシュー53が側板30を挟んで、取り付け部材52で固定されている。また、回転規制用突起45は、位置決め部42の加圧ローラ20による押圧方向の定着ローラ10から離れた側に配置されている。
そして、側板30には、スライドシュー53及び加圧軸21と摺動する長穴状の開口部と、回転規制用突起45と摺動する長穴状の開口部とが、定着ローラ10と加圧ローラ20の軸心が通る平面に面対象に連結して形成されている。この開口とスライドシュー53、加圧軸21、及び回転規制用突起45とが摺動することで、加圧ローラ20による押圧方向に垂直な方向の加圧軸21及びスリーブ40の移動を規制し、定着ローラ10と加圧ローラ20の軸心が通る平面上を加圧軸21及びスリーブ40の軸心が移動するように案内される。この結果、加圧ローラ20による押圧方向が、定着ローラ10と加圧ローラ20の軸心が通る平面上で直線的に保たれることとなる。このように構成されたスリーブ40が中空円筒22の両端部に装着されているので、中空円筒22内壁端部付近では、たわんだ加圧軸21がスリーブ40の円筒部41内壁に接触する。そして、この接触した際の力が滑り軸受け46を介して、中空円筒22内壁端部に伝達されて、図14に示した構成と同様に中空円筒22が変形して加圧ローラ20の両端部でのニップ幅が過剰に拡大してローラ軸線方向のニップ幅の偏差が拡大する。その結果、ローラ軸方向での定着性のむらや、転写紙のしわの発生に繋がってしまう。
このような特許文献1に記載された構成における、中空円筒22の変形を防止するには、加圧軸21の径拡大による剛性アップや、それにともなう加圧ローラ20の径拡大が必要なため、画像形成装置の大型化やコストアップに繋がる。
また、特許文献2に記載された図15に示す構成では、押圧部材26に十分な剛性が必要なため、押圧部材26の径が大きくなり、加圧ローラ20の径も大きくせざるを得ない。また、押圧部材26の外形形状の加工も難しく加工コストが高くなる。これらのため、特許文献2に記載された構成でも、定着装置及びこの定着装置を備えた画像形成装置の小型化や、低コスト化が難しい。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、コストアップを抑制しつつ、定着ニップ幅分布を適正に保ちながら拡大可能な定着装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の定着装置は、定着ローラと、中空円筒状部材を具備する加圧ローラと、該定着ローラ側に配置された加熱手段とを備え、上記加圧ローラは、上記中空円筒状部材の中空部を貫通する加圧軸と、該加圧軸の中央寄りに取り付けられ、該中空円筒状部材の内面を押圧する押圧部材とを有し、上記加圧ローラの上記定着ローラに対する加圧は、上記加圧軸の両端部に加えられる定着ローラ方向への押圧力が、上記押圧部材のみを介して上記中空円筒状部材の内面に伝達されることで、上記加圧ローラの軸方向中央が上記定着ローラ側に近づくように上記加圧ローラをたわませ、上記加圧ローラのたわみに上記定着ローラのたわみを追従させるように行なわれ、上記定着ローラと上記加圧ローラとが対向する領域で形成されるニップ部を、その表面上にトナー画像が転写された記録媒体が挟持搬送させることにより、記録媒体上に上記トナー像を定着させる定着装置において、上記加圧軸に取り付ける上記押圧部材の軸心を、該加圧軸の軸心に対して定着ローラ側に偏心させていることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の定着装置は、請求項1に記載の定着装置において、加圧軸は、その軸心を回転中心として回転しないことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の画像形成装置は、定着装置として、請求項1又は2に記載の定着装置を備えたことを特徴とするものである。
本発明は、加圧軸の中央寄りに、中空円筒状部材の内面を押圧する押圧部材を取り付けているので、従来の押圧たわみ曲線に合わせた押圧部材を設ける構成に比べ、押圧部材及び中空円筒状部材の径の拡大や、部品コスト及び加工コストの上昇を抑制できる。
さらに、押圧部材の軸心を、加圧軸の軸心に対して定着ローラ側に偏心させているので、従来の偏心させない構成に比べ、加圧軸が中空円筒状部材の両端部と接触するまでの加圧軸のたわみ量を大きくできる。したがって、従来の偏心させない構成に比べ、加圧軸の両端部に加える定着ローラ方向への押圧力を大きくでき、軸方向におおむね均一で広い定着ニップ幅を形成できる。
よって、加工困難な部品や大型化した部品を使用することなく、押圧部材の軸心を、加圧軸の軸心に対して定着ローラ側に偏心させるという簡単な構成で、軸方向におおむね均一で広い定着ニップ幅を形成できる。
本発明は、加工困難な部品や大型化した部品を使用しない簡単な構成で、軸方向におおむね均一で広い定着ニップ幅を形成できるので、コストアップを抑制しつつ、定着ニップ幅分布を適正に保ちながら拡大可能な定着装置を提供できる。
本実施形態に係る複写機の全体概要図。 実施例に係る定着装置の各ローラの軸線が横になる方向から見た際の加圧ローラの断面説明図。 実施例に係る定着装置の各ローラの断面説明図である。 従来例の定着装置の各ローラの軸線が横になる方向から見た際の加圧ローラの断面説明図。 従来例の定着装置の各ローラの断面説明図。 実施例に係る加圧ローラの支持方法の断面説明図。 実施例に係る加圧軸に中実円柱状部材を用いた押圧部材の説明図。 変形例に係る加圧軸に中空円柱状部材を用いた押圧部材の説明図。 変形例に係る加圧軸に中実矩形状部材を用いた押圧部材の説明図。 変形例に係る加圧軸に中空矩形状部材を用いた押圧部材の説明図。 変形例に係る加圧軸にU型折り曲げ部材を用いた押圧部材の説明図。 変形例に係る加圧軸にU型折り曲げ部材を組み合わせたものを用いた押圧部材の説明図。 従来の定着装置における定着ローラ及び加圧ローラに発生するたわみの説明図。 従来の加圧ローラ内部に挿入する加圧軸の中央よりに押圧部材をもうけた構成の説明図。 従来の加圧ローラ内部に定着ローラ及び加圧ローラの押圧たわみ曲線に合わせた押圧部材をもうけた構成の説明図。 従来の加圧ローラ内部に挿入する加圧軸の中央よりに押圧部材をもうけた構成における、加圧軸端部の説明図。 従来の加圧ローラ内部に挿入する加圧軸の中央よりに押圧部材をもうけた構成における、加圧軸端部の詳細説明図。
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である広幅用の複写機(以下、単に「複写機」という)の一実施形態について、実施例及び変形例を挙げ、図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る複写機の全体概要図である。まず、本実施形態の画像形成装置である複写機の概要から説明する。
本実施形態に係る複写機は、原稿をスイッチバックさせる機構を備えた原稿搬送部201、原稿画像を読み取る画像読取部202、転写紙上に画像を形成するための一連のプロセスを実行する画像形成部203を備えている。そして、この画像形成部に転写紙を供給する給紙部204、転写紙上に形成された画像を定着するための定着ユニットであるヒートロール方式の定着装置205、転写紙が排紙される排紙部206等から主に構成されている。また、図示は省略するが、複写機本体には、動作のスタート指示や、リピートコピーや長尺通紙情報などを入力するための操作部が設けられている。
原稿搬送部201は、原稿テーブル211、原稿を搬送する複数の搬送ローラ、リピートコピーで原稿をスイッチバックさせるときに一時的に原稿を排出するための原稿排出口212を有している。そして、リピートコピーを行うときに原稿を原稿排出口212に送るための切り替え爪213、コピー終了時に原稿が排出される原稿排出トレイ214等も有している。上記複数の搬送ローラは、第1搬送ローラ対215、第2搬送ローラ216、第3搬送ローラ対217、原稿をスイッチバックするときに駆動する第4搬送ローラ対218からなる。そして、この原稿搬送部201は、A0サイズ等の広幅で長尺の原稿も搬送できるようになっている。
画像読取部202は、露光用ランプ221、プラテンガラス222、レンズ223等を有している。この画像読取部202は装置本体に固定されており、原稿搬送部201により原稿を走査させプラテンガラス222上を移動させることによって原稿画像を読み取るようになっている。
画像形成部203は、像担持体としての感光体ドラム231、帯電チャージャー232、現像ユニット233、転写ローラ234、クリーニングユニット235等を有している。
給紙部204は、給紙トレイ241を有しており、3本のロール紙242a、242b、242cを積載できるようになっている。各ロール紙から画像形成部203への転写紙の搬送は、例えば給紙トレイ241上段左側のロール紙242aの場合には、図中時計方向にロール紙242aを回転させる。すると、ロール紙242aの下部から分離したロール紙242aの先端が図中矢印方向に搬送される。そして、ロール紙242aから搬送された転写紙はカッターユニット243で所定の長さに切断され、画像形成部203に送り込まれる。
定着装置205は、定着ローラ10、加圧ローラ20を有しており、転写紙上に形成されたトナー画像を熱と圧力とによって定着する。また、上記排紙部206は、排紙ストッカ261、排出切り替え爪262等を有している。
上記構成の複写機において、原稿からコピーをとる動作について説明する。
まず、画像面を上にして原稿を原稿テーブル211から挿入する。すると、原稿先端が第1搬送ローラ対215に挾持され、画像読取部202方向に搬送される。そして、所定のタイミングで、作像関連の動作、即ち、露光用ランプ221、感光体ドラム231、帯電チャージャー232、現像ユニット233、転写ローラ234、クリーニングユニット235等の制御を開始する。また、転写紙は先端が感光体ドラム231上の画像と一致するタイミングで給紙される。
原稿が第2搬送ローラ216で搬送されプラテンガラス222を通過するときに、露光用ランプ221から発せられた光が原稿に照射される。そして、原稿からの反射光がレンズ223を介して感光体ドラム231上に結像し、感光体ドラム231上に静電潜像が形成される。この静電潜像を現像ユニット233により現像することでトナー像が形成され、このトナー像を転写バイアス(1〜4[kV])が印加された転写ローラ234によって転写紙に転写する。そして、転写紙が定着装置205を通過するときに、定着ローラ10と加圧ローラ20とによって熱的にトナー像が定着され、排紙ストッカ261に排紙される。ここで、排出切り替え爪262を切り替えることによって、転写紙を排紙ストッカ261ではなく、装置後部から排出することもできる。
画像読取部202のプラテンガラス222を通過した原稿は第3搬送ローラ対217に挾持され、原稿排出トレイ214に排出される。また、リピートコピーを行う場合、原稿後端がプラテンガラス222を通過した後、第3搬送ローラ対217、第2搬送ローラ216、及び第1搬送ローラ対215が一定ブランク時間経過後、逆転を開始して原稿はスイッチバックを始める。このとき上記切り替え爪213が原稿を原稿排出口212に送るように切り替わり、第4搬送ローラ対218に挾持され原稿後端(逆進における先端)は原稿排出口212から一時的に排出される。そして、原稿先端(逆進における後端)がプラテンガラス222を通過すると、上記各ローラは駆動を停止する。その後、原稿は再スタートするとともに、所定のタイミングで2枚目の作像動作及び記録紙の給紙が開始する。以後、この動作を繰り返して、図示しない操作部であらかじめ設定されたリピート枚数のコピーを行う。
次に、本実施形態の特徴部である定着装置205について、実施例及び変形例について、図を用いて説明する。
(実施例)
まず、本実施形態の実施例を、図を用いて説明する。図2は、本実施例に係る定着装置205の各ローラの軸線が横になる方向から見た際の加圧ローラ20の断面説明図、図3は、本実施例に係る定着装置205の各ローラの断面説明図である。また、図4は、従来例の定着装置の各ローラの軸線が横になる方向から見た際の加圧ローラの断面説明図、図5は、従来例の定着装置の各ローラの断面説明図である。また、図6は、本実施例に係る加圧ローラの支持方法の断面説明図である。
図2に示すように、本実施例の定着装置205の定着ローラ10は、定着ローラ10の両端に設けられたジャーナル部12が、側板30にベアリング方式の軸受け13を介して、回転自在に支持されている。そして、この定着ローラ10の一端側のジャーナル部12には駆動モータ(不図示)が接続されており、また、その内部には加熱手段であるハロゲンランプ(不図示)が設けられており、定着動作に連動して、回転駆動されるとともに加熱される。そして、この定着ローラ10側に向け加圧される加圧ローラ20との接触部分で、定着ニップ部を形成し、この定着ニップ部を挟持搬送される転写紙上に形成されたトナー画像を熱と圧力とによって定着する。また、この定着ローラ10は、アルミ(A5052等)や鋼管(STKM等)の芯金表面に、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)や4フッ化エチレン樹脂(PTFE)等の離型層(10μm前後)を塗布し焼成している。
また、図2に示すように、本実施例の加圧ローラ20は、定着ローラ10と平行に接するように側板30間に配置されている。そして、定着ローラ10側へ押圧する直線的な方向にだけ移動可能なスリーブ(図2には不図示)が、加圧ローラ20両端に挿入されており、加圧ローラ20の動作を定着ローラ10を押圧する直線的な押圧方向に規制している。ここで、加圧ローラ20は、中空円筒状部材である中空円筒22の外周面に耐熱性ゴム層25を設けており、その中空部には、両端を加圧ローラ20のから外へ出すように、加圧軸21が挿通されている。また、この加圧ローラ20の中空円筒22は、アルミ(A5052等)や鋼管(STKM等)の芯金からなる。そして、その表面に、耐熱性ゴム層25として、シリコンゴム層(発泡またはソリッドで3〜10mm厚)を形成させ、場合によってはその表面にPFAチューブ(30〜100μmくらい)を被せている。
さらに、中空円筒22の中空部に挿入する加圧軸21の中央付近の2箇所に、中空円筒22内面を押圧する押圧部材23が取り付けられている。この押圧部材23は、ベアリング方式の軸受け23aと一対の軸受ホルダー23bとからなり、軸受け23aの外輪は中空円筒22の内壁面に取り付けられ、軸受け23aの内輪には一対の軸受ホルダー23bが両側から固定されている。そして、図3に示すように、軸受け23aの内輪にセットされる一対の軸受ホルダー23bには、それらの外周中心よりも定着ローラ10から離れた位置に加圧軸21が固定されている。言い換えると、加圧軸21と押圧部材23との取り付けは、加圧軸21の軸心に対し、押圧部材23の外周中心は、定着ローラ10側へ偏心するように取り付けられている。ここで、本実施例では、加圧軸21は、中実丸棒を用いている。
また、押圧部材23及び加圧軸21の固定は、図2に示すように、リング状の突起をそれぞれ有した一対の軸受ホルダー23bで、軸受け23aの内輪部の両側面を挟み込み、加圧軸21にネジで固定することで行っている。このように構成することで、詳しくは後述する加圧軸21端部の支持方法により、加圧軸21を、その軸心を中心として回転させないように構成することで、一体化された軸受ホルダー23bと軸受け23aの内輪が回転しないように支持できる。したがって、定着ローラ10の回転駆動にともない、加圧ローラ20の耐熱性ゴム層25及び中空円筒22が従動回転したとしても、加圧軸21の軸心に対し、押圧部材23の外周中心の偏心量を維持できる。よって、安定した定着ニップ部を形成できる。
そして、加圧軸21の両端に定着ローラ10方向への力Aを加えると、加圧軸21中央付近に設けた2個の軸受け23aの内輪と一体化した軸受ホルダー23bを介して、それぞれの軸受け23aの外輪に伝達される。このように加圧軸21の両端に加えた定着ローラ10方向への力Aが、各軸受け23aの外輪に伝達され、中空円筒22の内壁面を押圧することで、加圧ローラ20が定着ローラ10に向け加圧されて定着ニップ部を形成する。
次に、本実施例の比較例として、従来例の構成を図4、5を用いて説明する。従来は、図4、5に示すように、押圧部材23の取り付け位置で、軸受ホルダー23bの外周中心と加圧軸21の軸心とを同軸心としていた。つまり、押圧部材23の取り付け位置で、押圧部材23の外周中心と加圧軸21の軸心とを同軸心としていた。ここで、押圧部材23の外周中心と加圧軸21の軸心とが同軸であることを除く構成は、本実施例と同様であるので、重複する説明は適宜省略して説明する。
この図4、5で示す従来例では、本実施例と同様に、加圧軸21の両端に定着ローラ10方向への力Aを加えると、加圧ローラ20は定着ローラ10に向け加圧されて定着ニップ部を形成する。この時、定着ローラ10は加圧方向(図4中、上方向)へ凸状にたわむが、加圧ローラ20も押圧部材23で中央付近から押圧されているため、定着ローラ10とほぼ同様にたわむ。そして、所定の加圧力までは、定着ローラ10及び加圧ローラ20で形成されるニップ幅は、軸方向でおおむね均等になる。
しかし、加圧力を、さらに増して行くと、加圧軸21も図の下方向へ凸状にたわみ、加圧軸21両端部が図4中の上方向に向かって上がり、加圧ローラ20に有する中空円筒22の内壁面両端部に接近する。そして、最終的には加圧軸21と中空円筒22の内壁面とで当たりが発生してしまう場合がある。このように当たりが発生してしまうと、加圧軸21に加えられた加圧力Aの一部は直接、加圧ローラ20に有する中空円筒22の内壁面両端部に作用してしまう。中空円筒22の内壁面両端部に直接、加圧軸21に加えられた加圧力Aの一部が作用すると、加圧ローラ20の端部でのニップ幅が増大し、極端に中央と端部のニップ幅に差が生じ、定着性のむらや用紙搬送しわが発生してしまう。
このような従来例の構成において、中空円筒22の変形を防止するには、加圧軸21の径拡大による剛性アップや、それにともなう加圧ローラ20の径拡大が必要なため、画像形成装置の大型化やコストアップに繋がる。
そこで、本実施例では、上述したように、加圧軸21と押圧部材23との取り付けを、加圧軸21の軸心に対し、押圧部材23の外周中心が、定着ローラ10側へ偏心するように取り付けている。このように構成することで、加圧軸21の軸心に対し、押圧部材23の外周中心を定着ローラ10側へ偏心させた分、加圧軸21両端部と加圧ローラ20に有する中空円筒22の内壁面両端部は接近し難くできる。したがって、加圧軸21と押圧部材23の軸心が同軸の図4、5を用いて説明した従来例に比べ、高い加圧力でも加圧軸21両端部と加圧ローラ20に有する中空円筒22の内壁面両端部は接触しない。よって、図4、5を用いて説明した従来例に比べ、軸方向にほぼ均等なニップ幅を保ちつつ広いニップ幅を得ることが可能となり、用紙処理速度を上げたり用紙対応範囲を拡大することができるようになる。
また、本実施例では、加圧ローラ20を定着ローラ10に向けて加圧するとともに、加圧軸21を回転させないように支持しているが、その支持方法の具体的な1例を、図6を用いて説明する。図6(a)は、定着ローラ10及び加圧ローラ20を側板30の外側から、見た際の平面図、図6(b)は側板30の内側から各ローラの中央側を見た際の断面図、そして、図6(c)は、加圧ローラ20の軸方向に平行な断面図である。ここで、図6(c)については、説明の関係上、定着ローラ10については、断面とせず、側面図としている。ここで、各ローラの両端部の構成は、定着ローラ10の回転駆動、及び加熱手段に係る構成を除き同様であるので、片側の説明に留める。
本実施例の定着装置205では、図6(a)〜(c)に示すように、定着ローラ10は中空円筒状の芯金11の側面に、芯金11と同軸心のジャーナル部12を設けており、このジャーナル部12を軸受け13を介して側板30に取り付けている。また、加圧ローラ20は、耐熱性ゴム層25を外周面に形成した中空円筒22の両端部内周に嵌め込んだスリーブ40と、このスリーブ40を直線的な一方向にガイドする側板30に形成された開口部とにより、定着ローラ10を直線的な押圧方向にだけ動作するように構成されている。つまり、加圧ローラ20は、定着ローラと加圧ローラとの軸心を通る、図6(a)、(b)の図中に示した直線L方向にだけに動作するように構成されている。そして、加圧軸21の両端部には、端部嵌合部材50が固定されており、側板30の開口部の側面と摺動することで、定着ローラ10押圧方向に移動可能であって、加圧軸21の軸心を回転中心として回転しないように支持されている。
まず、スリーブ40の形状から説明する。スリーブ40は、円筒部41と、位置決め部42と、嵌め合い部43と、抜き止め部44と、回転規制用突起45とが一体的に形成された、樹脂製の部材である。円筒部41は、中空円筒22の中空部に嵌め込まれる円筒状の部分である。位置決め部42は、円筒部41の外側端部に形成された、円筒部41の軸心に垂直な面を有する、円筒部41の中空部の外側に形成された略楕円状の部分であり、中空円筒22の端部の切断面に対向して位置決めを行なう。嵌め合い部43は、詳しくは後述する側板30に設けられた直線Lに対して線対称な開口部に沿って移動可能な矩形の断面を有しており、位置決め部42の定着ローラ10に近い部分から、側板30の外面よりも外側へ軸方向に延出されている。また、抜き止め部44は、嵌め合い部43の定着ローラ10加圧方向に垂直な方向の両端部に、嵌め合い部43から直線Lに線対称に左右に延出した部分であり、組立時等に嵌め合い部43と側板30の開口部との抜け止めとして機能する。そして、回転規制用突起45は、位置決め部42の外側に突出した突起であり、上述した直線L上であって、中空部の下方に形成され、嵌め合い部43とともに、側板30の開口に摺動することで、スリーブ40の回転を規制する。なお、このスリーブ40は、円筒部41の外周面と中空円筒22の内周面とが摺動自在になるように、摩擦抵抗が低い樹脂材から一体的に形成されており、別途軸受け部材を設ける必要がないように構成されている。
また、端部嵌合部材50は、加圧軸21が差し込まれる略楕円状の孔を有し、直線Lに線対称で平行な2面と、直線Lに垂直な定着ローラ側の面と、線対称で平行な2面に繋がる加圧軸21を中心とした円弧状の断面を有する帯状の面とが、側板30の開口部の板厚をまたぐ厚さで形成されている。また、加圧軸21と端部嵌合部材50とが回転しないように固定を行うため、次のように加圧軸21の両端部の軸方向に垂直な断面と、端部嵌合部材50の孔とを略楕円状に形成し、加圧軸21の端部を端部嵌合部材50の孔に圧入して固定している。加圧軸21の両端部の端部嵌合部材50に嵌め合う部分の断面を、押圧方向に平行な2面の弦部51を形成するように加工しており、この略楕円状に形成した加圧軸21を、同様な形状に形成された断面を持つ端部嵌合部材50の孔に圧入し固定する。
そして、側板30には、上述した直線Lに線対称な開口部と、加圧軸21の端部に取り付けられた端部嵌合部材50を定着ローラ10加圧方向に押圧する押圧手段とが設けられている。側板30に形成される開口部は、次の3つの部分からなる。定着ローラ10のジャーナル部12に取り付けられる軸受け13を保持する部分、スリーブ40の嵌め合い部43と端部嵌合部材50とが摺動する部分、スリーブ40の回転規制用突起45が摺動する部分である。本実施例の側板30の開口の各部分は、直線Lに対して線対称に形成されているとともに、連続した開口として形成されている。具体的には、軸受け13の外周を取り付けるための開口の加圧ローラ20側に、加圧ローラ20が取り付け時等に最も定着ローラ10から離れた際の端部嵌合部材50の円弧状の断面から繋がる直線Lに平行な面が摺動する開口を繋げている。そして、加圧ローラ20が取り付け時等に最も定着ローラ10から離れた際の端部嵌合部材50の円弧状の断面から、スリーブ40の回転規制用突起45が、最も定着ローラ10から離れた際に摺動する開口を繋げている。
また、加圧軸21の端部に取り付けた端部嵌合部材50を、定着ローラ10加圧方向に押圧する押圧手段は、図6(a)の図中、加圧ローラ20の左側にアーム回転軸31を設ける。そして、このアーム回転軸31に一端側を回転可能に支持した加圧アーム34を、加圧軸21の端部に取り付けた端部嵌合部材50を下方から押し上げる位置に配置し、他端側に加圧アーム34を上方に引っ張るバネ部材33を取り付ける。このバネ部材33の反力は、バネ部材33の他端側にL型に加工した支持部材32を側板30に固定して得るものとする。また、この加圧アーム34が端部嵌合部材50に摺動する部分には、端部嵌合部材50の円弧状断面の半径よりも大きな円弧を形成し、摺動しやすいように形成している。
このように構成して、側板30に設けた直線Lに対して線対称な開口に、嵌め合い部43、端部嵌合部材50、及び回転規制用突起45を摺動させることで、加圧ローラ20を定着ローラ10に向け加圧することが可能である。
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について、図を用いて説明する。図7は、上述した実施例に係る加圧軸に中実円柱状部材を用いた押圧部材の説明図、図8は、本変形例に係る加圧軸に中空円柱状部材を用いた押圧部材の説明図である。また、図9は、本変形例に係る加圧軸に中実矩形状部材を用いた押圧部材の説明図、図10は、本変形例に係る加圧軸に中空矩形状部材を用いた押圧部材の説明図である。そして、図11は、本変形例に係る加圧軸にU型折り曲げ部材を用いた押圧部材の説明図、図12は、本変形例に係る加圧軸にU型折り曲げ部材を組み合わせたものを用いた押圧部材の説明図である。
上述した実施例では、図7に示すように、加圧軸21に中実丸棒を用いた。しかし、本実施形態の定着装置205では、加圧軸21は押圧部材23で一対の軸受ホルダー23bに取り付けるとともに、その両端部に端部嵌合部材50を取り付けて、加圧軸21の軸心を回転中心として回転しないように支持している。このため、加圧軸21の断面形状は、ねじれが生じない断面形状であれば、中実丸棒に限定されるものではない。例えば、図8に示す押圧部材23のように中空丸棒、図9に示す押圧部材23のように中実角棒、図10に示す押圧部材23のように中空角鋼であっても良い。また、図11に示すに示す押圧部材23のように、U型折り曲げ部材、図12に示すに示す押圧部材23のように、U型折り曲げ部材を組み合わせたものを用いても良い。
また、上述した本実施形態では、定着ローラ10内にハロゲンランプ等の熱源をもうける熱源内蔵方式のヒートローラ形式の定着装置205について説明した。しかし、本発明は熱源内蔵方式のヒートローラ形式の定着装置に限定されるものではない。例えば、定着ローラ側に、定着ローラと平行する加熱手段である加熱ローラを設けた定着ベルト方式や、定着ベルトを加熱ローラに対向する外部から加熱する外部電磁誘導加熱方式(IH方式)等にも適用可能である。つまり、定着ローラと、中空円筒状部材を具備した加圧ローラとを備えた定着装置であって、定着ローラ及び加圧ローラに、加圧ローラによる加圧方向へのたわみが生じる構成の定着装置に広く適用することができる。そして、本発明を適用することにより、実施例の定着装置と同様な作用効果を奏することができる。
以上、本実施形態の画像形成装置である複写機の定着装置では、次の作用効果を奏することができる。加圧軸21の中央寄りに、2つの押圧部材23を取り付けているので、従来の押圧たわみ曲線に合わせた押圧部材を設ける構成に比べ、押圧部材23及び中空円筒22の径の拡大や、部品コスト及び加工コストの上昇を抑制できる。
さらに、押圧部材23の軸心を、加圧軸21の軸心に対して定着ローラ10側に偏心させているので、従来の偏心させない構成に比べ、加圧軸21が中空円筒22の両端部と接触するまでの加圧軸21のたわみ量を大きくできる。したがって、従来の偏心させない構成に比べ、加圧軸21の両端部に加える定着ローラ10方向への押圧力を大きくでき、軸方向におおむね均一で広い定着ニップ幅を形成できる。
このように、加工困難な部品や大型化した部品を使用することなく、2つの押圧部材23の軸心を、加圧軸21の軸心に対して定着ローラ10側に偏心さという簡単な構成で、軸方向におおむね均一で広い定着ニップ幅を形成できる。
よって、加工困難な部品や大型化した部品を使用しない簡単な構成で、軸方向におおむね均一で広い定着ニップ幅を形成できるので、コストアップを抑制しつつ、定着ニップ幅分布を適正に保ちながら拡大可能な定着装置を提供できる。
また、本実施形態の画像形成装置である複写機の定着装置では、次の作用効果を奏することができる。加圧軸21を、その軸心を中心として回転させないように支持できるので、加圧ローラ20の耐熱性ゴム層25及び中空円筒22が従動回転したとしても、加圧軸21の軸心に対し、押圧部材23の外周中心の偏心量を維持できる。
よって、安定した定着ニップ部を形成できる。また、加圧軸21の断面形状はこのため、ねじれが生じない断面形状であれば、中実丸棒に限定されるものではなく、他の様々な断面形状とすることができる。
また、本実施形態の画像形成装置である複写機では、上述した定着装置を備えることで、上述した定着装置と同様な作用効果を奏することができる。
10 定着ローラ
11 芯金
12 ジャーナル部
20 加圧ローラ
21 加圧軸
22 中空円筒
23 押圧部材
23a 軸受け
23b 軸受ホルダー
25 耐熱性ゴム層
30 側板
31 アーム回転軸
32 支持部材
33 バネ部材
34 加圧アーム
40 スリーブ
41 円筒部
42 位置決め部
43 嵌め合い部
44 抜き止め部
45 回転規制用突起
50 端部嵌合部材
51 弦部
201 原稿搬送部
202 画像読取部
203 画像形成部
204 給紙部
205 定着装置
206 排紙部
211 原稿テーブル
212 原稿排出口
214 原稿排出トレイ
特許第2871662号公報 特許第3218941号公報

Claims (3)

  1. 定着ローラと、中空円筒状部材を具備する加圧ローラと、該定着ローラ側に配置された加熱手段とを備え、
    上記加圧ローラは、上記中空円筒状部材の中空部を貫通する加圧軸と、該加圧軸の中央寄りに取り付けられ、該中空円筒状部材の内面を押圧する押圧部材とを有し、
    上記加圧ローラの上記定着ローラに対する加圧は、上記加圧軸の両端部に加えられる定着ローラ方向への押圧力が、上記押圧部材のみを介して上記中空円筒状部材の内面に伝達されることで、上記加圧ローラの軸方向中央が上記定着ローラ側に近づくように上記加圧ローラをたわませ、上記加圧ローラのたわみに上記定着ローラのたわみを追従させるように行なわれ、
    上記定着ローラと上記加圧ローラとが対向する領域で形成されるニップ部を、その表面上にトナー画像が転写された記録媒体が挟持搬送させることにより、記録媒体上に上記トナー像を定着させる定着装置において、
    上記加圧軸に取り付ける上記押圧部材の軸心を、該加圧軸の軸心に対して定着ローラ側に偏心させていることを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1に記載の定着装置において、
    加圧軸は、その軸心を回転中心として回転しないことを特徴とする定着装置。
  3. 定着装置として、請求項1又は2に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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