以下、本発明に係る金銭処理機について、この装置で実施する制御方法との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
1.金銭処理機の全体構成の説明
先ず、本実施形態に係る金銭処理機10の全体的な構成の一例について図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る金銭処理機10の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、金銭処理機10は、POSレジスタ12と、硬貨処理機14と、紙幣処理機16とを備え、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置されるPOSレジシステム(又はセルフPOSレジシステム)と呼ばれるものである。
例えば、金銭処理機10がセルフPOSレジシステムとして構成されている場合、POSレジスタ12は、利用者である買い物客の操作により買上げ商品のコードを読取り、商品のコード、数量を登録する一方、商品のコードから商品のアイテム、商品の金額を呼び出し、商品の合計金額(請求金額)と顧客から受け取ったお金との差額(釣銭額)とを算出する。算出した請求金額及び釣銭額は、POSレジスタ12に付随する金額表示器(図示せず)に表示される。通常、セルフ仕様のPOSレジスタ12は、音声出力にて請求金額を読上げ、入金開始を金銭処理機制御部18から硬貨処理機14のコントローラ20に通知する。金銭処理機10は、セルフ方式ではなく、レジ担当者等が取扱う通常のPOSレジシステムとして用いても勿論よい。
本実施形態に係る金銭処理機10では、POSレジスタ12に硬貨処理機14が接続され、この硬貨処理機14に紙幣処理機16が接続されている。なお、POSレジスタ12に紙幣処理機16が接続され、この紙幣処理機16に硬貨処理機14が接続されている形態でもよい。
硬貨処理機14は、買い物客が投入した硬貨を受け入れる一方、釣銭となる硬貨(出金硬貨)を払出すものであり、硬貨処理機14及び紙幣処理機16を統括的に制御するコントローラ(全体制御部)20と、コントローラ20からの指令(指示)に基づき硬貨の払出し動作等を制御する硬貨制御部22と、硬貨制御部22によって駆動制御されることで当該硬貨処理機14内部における硬貨の搬送及び収納、払出し等を実行するアクチュエータ24とを有する。硬貨制御部22により、受け入れた硬貨の金額(入金額)、払出された硬貨の金額(出金額)、在高等が管理される。
紙幣処理機16は、買い物客が投入した紙幣を受け入れる一方、釣銭となる紙幣(出金紙幣)を払出すものであり、硬貨処理機14に搭載されたコントローラ20からの指令(指示)に基づき紙幣の払出し動作等を制御する紙幣制御部26と、紙幣制御部26によって駆動制御されることで当該紙幣処理機16内部における紙幣の搬送及び収納、払出し等を実行するアクチュエータ28とを有する。紙幣制御部26により、受け入れた紙幣の金額(入金額)、払出された紙幣の金額(出金額)、在高等が管理される。
コントローラ20は、硬貨制御部22及び紙幣制御部26との間での情報の送受信を行うことにより、硬貨処理機14及び(又は)紙幣処理機16が硬貨や紙幣を受け入れた場合にその入金額をPOSレジスタ12に通知する一方、POSレジスタ12から出金額を通知されると、硬貨処理機14及び(又は)紙幣処理機16に対して、出金額に相当する硬貨や紙幣を払出すための繰出指示や払出指示等の出金指示を通知する。これにより、買い物客は、硬貨や紙幣を数えることなく釣銭を受け取ることができる。
このような金銭処理機10を用いて商品の代金を精算する場合には、先ず、買い物客(又はレジ担当者)がPOSレジスタ12を操作し、商品のコード、数量を入力することにより、POSレジスタ12に商品のコード、数量を登録する。商品のコード、数量がPOSレジスタ12に登録されると、POSレジスタ12は、商品のコードから商品のアイテム、商品の金額を呼び出し商品の合計金額(請求金額)を算出し、POSレジスタ12に付随する金額表示器に請求金額を表示する。これにより、買い物客は請求金額を認識し、請求金額以上のお金(預かり金)を硬貨処理機14及び(又は)紙幣処理機16に投入することで代金の支払いを行う。
硬貨処理機14及び紙幣処理機16は、買い物客が投入したお金を受け入れ、受け入れた金額(入金額)を計数し、買い物客が入金を終わらせるための操作を行うと、この操作を受けたPOSレジスタ12は入金終了をコントローラ20に通知する一方、計数された入金額が、硬貨制御部22及び紙幣制御部26からコントローラ20を介してPOSレジスタ12へと通知される。そこで、POSレジスタ12は、コントローラ20から通知された金額を預かり金として金額表示器に表示すると共に、預かり金と請求金額の差額を算出し、釣銭額として金額表示器に表示すると共に、その釣銭額を出金額としてコントローラ20に通知する。
POSレジスタ12からコントローラ20に出金額が通知されると、コントローラ20は、出金額に従った金種及びその枚数を計算し、硬貨制御部22及び紙幣制御部26に対して出金指示を行う。これにより、硬貨処理機14及び紙幣処理機16から釣銭となる硬貨及び紙幣が払出されるため、買い物客が、釣銭と図示しないプリンタから出力されたレシートとを受け取ることにより、商品代金の清算が完了する。
2.硬貨処理機の構成及び動作の説明
次に、硬貨処理機14の具体的な構成の一例について主に図2を参照して説明する。図2は、図1に示す金銭処理機10を構成する硬貨処理機14の構成例を示す説明図である。
図1及び図2に示すように、硬貨処理機14は、制御系統であるコントローラ20及び硬貨制御部22と、硬貨制御部22の制御下に機器内部で硬貨を搬送・収納する駆動系統であるアクチュエータ24とを備え、投入部(硬貨投入口)30から投入された硬貨を硬貨収納庫32a〜32fに収納する入金動作と、硬貨収納庫32a〜32fに収納している硬貨を出金トレイ(硬貨出金口)34に払出す出金動作とを行う装置である。
図2に示すように、硬貨処理機14は、コントローラ20及び硬貨制御部22と、入金時に硬貨を投入する投入部30と、投入部30に投入された硬貨を識別する検銭部36と、検銭部36を通過した硬貨を金種毎に振分ける際に一時的に保留しておく一時保留部38と、一時保留部38に保留した硬貨を金種毎に硬貨収納庫32a〜32fへと搬入する振分部40と、振分部40で金種毎に振分けられた硬貨を収納しておく硬貨収納庫32a〜32fと、出金時に硬貨収納庫32a〜32fから繰出される硬貨を出金トレイ34へと搬送する出金搬送部42と、利用者が出金硬貨等を受け取る出金トレイ34とを備える。アクチュエータ24は、投入部30から投入された硬貨を搬送等するための駆動機構であり、例えば硬貨処理機14の各部に設けられたモータM1〜M11によって構成される。コントローラ20は、POSレジスタ12や紙幣処理機16に搭載されていてもよく、金銭処理機制御部18、硬貨制御部22又は紙幣制御部26の一機能として設けられていてもよい。
一時保留部38は、検銭部36によって正貨として識別された硬貨を一時的に保留しておくものであり、保留した硬貨を振分部40へと搬送する一時保留部モータM1を備える。
検銭部36と一時保留部38の間には、リジェクトゲート44が設けられている。リジェクトゲート44は、通常は一時保留部38側に設定されており、検銭部36を通過した硬貨を一時保留部38に導入可能となっているが、検銭部36によって正貨として識別されなかった硬貨(偽損硬貨や識別不能硬貨)があった場合には、硬貨制御部22の制御下に一時保留部38側から出金トレイ34側に切換えられることで、識別不能硬貨の入金を拒否し、機外へと返却する。
一時保留部38と振分部40の間には、キャンセル切換ゲート46が設けられている。キャンセル切換ゲート46は、通常は振分部40側に設定されており、一時保留部38内の硬貨を振分部40に導入可能となっているが、図示しない返却レバー等が操作され、一時保留部38に保留された硬貨の返却指示がなされた場合には、硬貨制御部22の制御下に振分部40側から返却口45側に切換えられることで、一旦入金された硬貨の返却を行う。
振分部40は、一時保留部38で保留している硬貨を金種毎に硬貨収納庫32a〜32fに搬入するためのものであり、一時保留部38から受け入れた硬貨を各硬貨収納庫32a〜32fへと搬入するための振分モータM2を備える。
硬貨収納庫32aは、例えば500円硬貨を収納するためのものであり、振分部40から導入される500円硬貨を収納する収納モータM3と、収納している500円硬貨を出金搬送部42へと繰出す払出モータM4とを備える。硬貨収納庫32b〜32fの構成は、収納される金種が硬貨収納庫32aと異なる以外は略同一構成となっている。すなわち、硬貨収納庫32b,32c,32d,32e,32fは、例えばそれぞれ10円硬貨,100円硬貨,5円硬貨,50円硬貨,1円硬貨を収納するためのものであり、振分部40から導入される硬貨を収納する収納モータM3と、収納している硬貨を出金搬送部42へと繰出す払出モータM5,M6,M7,M8,M9とを備える。
硬貨収納庫32aから出金搬送部42への硬貨の繰出口(出口)には、払出モータM4によって硬貨収納庫32a内を搬送された500円硬貨を出金搬送部42へと繰出す繰出モータM10と、硬貨収納庫32aから繰出される500円硬貨を計数する出金計数センサS1とが設けられている。硬貨収納庫32b〜32fの出金搬送部42への繰出口も硬貨収納庫32aの繰出口と略同一構成となっている。すなわち、硬貨収納庫32b,32c,32d,32e,32fの繰出口には、払出モータM5,M6,M7,M8,M9によって硬貨収納庫32b,32c,32d,32e,32f内を搬送された硬貨を出金搬送部42へと繰出す繰出モータM10と、硬貨収納庫32b,32c,32d,32e,32fから繰出される硬貨を計数する出金計数センサS2,S3,S4,S5,S6とが設けられている。出金計数センサS1〜S6としては、例えば光センサや磁気センサ、近接センサ等、硬貨を検知可能な一般的なセンサを用いればよい。
出金搬送部42は、各硬貨収納庫32a〜32fから繰出された硬貨を出金トレイ34に払出すためのものであり、繰出された硬貨を受け取るベルトコンベア(図示せず)を走行させる搬送モータM11を備える。出金搬送部42は、硬貨制御部22の制御下に各硬貨収納庫32a〜32fから繰出された硬貨を搬送せずに一時的に保留しておく保留部(硬貨保留部)47としての機能も有する。保留部47は、コントローラ20から硬貨制御部22に対して硬貨の払出指示がなされるまで、硬貨収納庫32a〜32fから出金搬送部42に繰出された硬貨を出金トレイ34の上流側の機外に露出しない位置で待機させておくものである。
出金搬送部42の下流側となる出金トレイ34への硬貨の払出口(出口)近傍には、出金切換ゲート48が設けられている。出金切換ゲート48は、通常は出金トレイ34側に設定されており、出金搬送部42にある硬貨を出金トレイ34に払出可能となっているが、硬貨収納庫32a〜32fから出金搬送部42に繰出した硬貨を出金せず、再び硬貨収納庫32a〜32fへと振分けて収納する処理を行う場合には、硬貨制御部22の制御下に出金トレイ34側から一時保留部38側に切換えられることで、一旦繰出した硬貨を一時保留部38に戻して硬貨収納庫32a〜32fへと収納させる。
出金トレイ34は、当該硬貨処理機14からの出金硬貨を利用者が受け取るための凹状の容器であり、出金トレイ34内に硬貨が残留しているか否か、つまり払出された硬貨を利用者が受け取ったか否かを検出する出金口残留検知センサS7,S8を備える。出金口残留検知センサS7,S8としては、例えば光センサや磁気センサ、近接センサ等、硬貨を検知可能な一般的なセンサを用いればよい。
このような硬貨処理機14では、POSレジスタ12と接続されたコントローラ20からの指示に基づき、硬貨制御部22の制御下に硬貨の入金動作と出金動作が行われる。
入金動作時には、利用者が投入部30に所定数の硬貨を投入すると、投入された硬貨は検銭部36で識別された後、正貨として識別された硬貨が一時保留部38に導入される。一時保留部38に導入された硬貨は、一時保留部モータM1の駆動作用下に振分部40に導入された後、振分モータM2及び収納モータM3の駆動作用下に金種毎に各硬貨収納庫32a〜32fに収納され、これにより入金動作が完了する。
なお、検銭部36での識別不能硬貨は、リジェクトゲート44を介して出金トレイ34に返却される。また、一時保留部38に硬貨が保留された状態で返却レバーが操作された場合には、この保留された硬貨は硬貨収納庫32a〜32fに収納されず、キャンセル切換ゲート46を介して返却口45に返却される。
一方、出金動作時には、コントローラ20から硬貨制御部22に出金指示が通知されると、硬貨制御部22は、出金対象となる金種の硬貨を収納した硬貨収納庫32a〜32fの払出モータM4〜M9を駆動し、繰出モータM10の駆動作用下に収納している硬貨を出金搬送部42へと繰出す。この繰出し動作時、各硬貨収納庫32a〜32fの繰出口に設けられた出金計数センサS1〜S6により、繰出される硬貨が計数されることで、出金搬送部42への所定額分の硬貨の繰出し完了が検知され、繰出された硬貨は保留部47にて保留される。そこで、コントローラ20から硬貨制御部22に払出指示が通知されると、出金搬送部42では、保留部47で保留している硬貨を搬送モータM11の駆動作用下に搬送し、出金トレイ34へと払出し、これにより出金動作が完了すると共に、硬貨制御部22は出金口残留検知センサS7,S8によって出金トレイ34からの硬貨の受け取り検知を行う。
なお、保留部47に硬貨が保留された状態で、紙幣処理機16での紙幣詰まり等が発生し、硬貨の出金を中止する場合には、コントローラ20から硬貨制御部22に対して払出中止指示が通知され、保留されている硬貨は出金トレイ34に払出されず、出金切換ゲート48を介して一時保留部38に導入された後、再び振分部40から各硬貨収納庫32a〜32fに収納される。
3.紙幣処理機の構成及び動作の説明
次に、紙幣処理機16の具体的な構成の一例について主に図3を参照して説明する。図3は、図1に示す金銭処理機10を構成する紙幣処理機16の構成例を示す説明図である。
図1及び図3に示すように、紙幣処理機16は、制御系統である紙幣制御部26と、紙幣制御部26の制御下に機器内部で紙幣を搬送・収納する駆動系統であるアクチュエータ28とを備え、投入口(紙幣投入口)50から投入された紙幣を紙幣収納庫である千円庫52及び混合庫54に収納する入金動作と、これら千円庫52及び混合庫54に収納している紙幣を出金口(紙幣出金口)56に払出す出金動作とを行う装置である。
図3に示すように、紙幣処理機16は、紙幣制御部26と、入金時に紙幣を投入する投入口50と、投入口50に投入された紙幣を識別する鑑別部58と、紙幣を金種毎に収納する千円庫52及び混合庫54と、利用者が出金紙幣等を受け取る出金口56と、精査庫62と、回収庫64とを備え、これら各部が紙幣を搬送する搬送路60によって連通されている。アクチュエータ28は、投入口50から投入された紙幣を搬送等するための駆動機構であり、例えば紙幣処理機16の各部に設けられたモータM21〜M24によって構成される。
搬送路60は、投入口50から投入された紙幣をモータM21〜M24等によって駆動される図示しない複数の搬送ロール等で搬送するものである。本実施形態の場合、搬送路60は、投入口50から混合庫54に至る搬送路60aを備え、搬送路60aからは、鑑別部58と判別部59の間から出金口56に連通する搬送路60b及び精査庫62に連通する搬送路60cが分岐し、判別部59と混合庫54の間から千円庫52に連通する搬送路60dが分岐している。鑑別部58と判別部59の間の搬送路60aには、この間を移動する紙幣を検知する搬送センサS21,S22,S23が設けられている。搬送センサS21〜S23としては、例えば光センサや近接センサ等、紙幣を検知可能な一般的なセンサを用いればよい。
なお、判別部59は、混合庫54及び千円庫52から払い出される紙幣の金種及び正損を判別するものである。
千円庫52は、例えば千円札を収納するためのものであり、千円庫52に至る搬送路60dには、千円札を搬送する千円庫繰出モータM22と、千円庫繰出モータM22によって千円庫52に収納され、或いは千円庫52から繰出される千円札を検知する千円庫入金突入センサS24とが設けられている。混合庫54は、例えば五千円札及び一万円札を収納するためのものである。混合庫54近傍の搬送路60aにも、搬送路60dと同様に、搬送モータM23や図示しないセンサが設けられている。千円庫入金突入センサS24としては、例えば光センサや近接センサ等、紙幣を検知可能な一般的なセンサを用いればよい。
出金口56は、当該紙幣処理機16からの出金紙幣を利用者が受け取るための開口であり、出金口56に至る搬送路60bには、出金口56へと紙幣を搬送する出金口押出モータM24と、該出金口押出モータM24の前後にそれぞれ配置された出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26とが設けられている。出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26としては、例えば光センサや近接センサ等、紙幣を検知可能な一般的なセンサを用いればよい。
出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26は、搬送路60bにおける紙幣の搬送方向に沿ってそれぞれ下流側及び上流側に並んで設置されており、その設置間隔は、当該紙幣処理機16で取扱う各紙幣(例えば、千円札、五千円札及び一万円札)の搬送方向で先端側及び後端側を同時に検知できる距離に設定されている(図3中の紙幣B1参照)。本実施形態の場合、これら出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26の間は、収納庫から繰出された紙幣を保留する保留部(紙幣保留部)67として機能する。保留部67は、コントローラ20から紙幣制御部26に対して紙幣の払出指示がなされるまで、紙幣収納庫である千円庫52及び混合庫54から搬送路60に繰出された紙幣を出金口56の上流側の機外に露出しない位置で待機させておくものである。
出金口抜取センサS25は、さらに、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡って保留されている紙幣B1が、出金口押出モータM24によって出金口56側へと押出され、その先端側が出金口56から外部に露出して停止された状態(抜取り待機状態)となった場合に、その後端側を検知しておくことで(図3中の紙幣B2参照)、紙幣の抜取り検知も行う。なお、図3では、図面の見易さを確保するため、紙幣B1,B2について搬送路60bから外れた位置に図示しているが、紙幣B1,B2は、実際には搬送路60bに図示された破線矢印に沿って搬送される。
出金口56に至る搬送路60bと搬送路60aの接続部には、出金切換ゲート68が設けられている。出金切換ゲート68は、紙幣制御部26の制御下に紙幣の搬送経路を切換るものであり、入金動作時には鑑別部58を通過した紙幣を千円庫52や混合庫54に収納する方向に設定されているが、出金動作時には搬送路60bを開通させる方向に切換えられることで、千円庫52及び混合庫54から搬送路60aに繰出された紙幣を搬送路60bへと導入する。搬送路60bの出金切換ゲート68近傍には、搬送路60bに導入された紙幣を検知する出金口突入センサS27が設けられている。出金口突入センサS27としては、例えば光センサや近接センサ等、紙幣を検知可能な一般的なセンサを用いればよい。
精査庫62は、例えば、当該紙幣処理機16内に収納されている紙幣の計数(精査)を行う際に、千円庫52や混合庫54から繰出された紙幣を収納するために用いられる。精査庫62に至る搬送路60cにも、搬送路60dと同様に、図示しないモータやセンサが設けられている。精査庫62は省略してもよい。また、精査庫62に代えて、例えば、2枚以上が重なって繰り出された紙幣や著しく破損している紙幣等を収納するリジェクト庫や、千円庫52及び混合庫54に入りきれない紙幣を収納するオーバーフロー庫を備えてもよい。
回収庫64は、例えば、出金紙幣としての利用頻度が低いと想定される一万円札が混合庫54内で増え過ぎた場合に、この一万円札を混合庫54から移しておくことで、出金紙幣の繰出しを円滑にする場合等に使用される。回収庫64には、搬送路60bから分岐した搬送路60eが連通しており、この搬送路60eにも、搬送路60dと同様に、図示しないモータやセンサが設けられている。
このような紙幣処理機16では、POSレジスタ12と接続された硬貨処理機14のコントローラ20からの指示に基づき、紙幣制御部26の制御下に紙幣の入金動作と出金動作が行われる。
入金動作時には、利用者が投入口50に所定数の紙幣を投入すると、投入された紙幣は鑑別部58で識別された後、正貨として識別された紙幣は、千円庫繰出モータM22や搬送モータM23の駆動作用下に金種毎に千円庫52や混合庫54に収納され、これにより入金動作が完了する。なお、鑑別部58での正貨として識別されなかった紙幣は、出金切換ゲート68を介して出金口56に払出されて返却される。
一方、出金動作時には、コントローラ20から紙幣制御部26に出金指示が通知されると、紙幣制御部26は、出金対象となる金種の紙幣を収納した千円庫52や混合庫54に並設した千円庫繰出モータM22や搬送モータM23を駆動し、収納している紙幣を搬送路60aへと繰出す。この繰出し動作時、千円庫52からの搬送路60dに設けられた千円庫入金突入センサS24により、繰出される千円札が計数され、また混合庫54内の五千円や一万円は通常一枚が繰出され、これら紙幣は、センサS21〜S23によって検知されつつ判別部59により金種、正損が判別され、搬送路60b側に切換えられた出金切換ゲート68を介して搬送路60bへと導入される。なお、不要な金種や汚損した紙幣は精査庫61や回収庫64に搬送される。
搬送路60bに導入された紙幣は、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26間に渡った状態で所定枚数が保留される。すなわち、図3に示すように、搬送路60bへと搬送された紙幣B1は、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に同時に検知される位置になった状態で搬送動作が停止されることにより、保留部67で保留され、紙幣制御部26は紙幣B1が保留されたことを認識することができる。そこで、コントローラ20から紙幣制御部26に払出指示が通知されると、紙幣制御部26は、出金口押出モータM24を駆動し、保留部67で保留している紙幣B1を出金口56側へと押出すことにより、紙幣は、その後端側が出金口抜取センサS25に検知された状態で停止される(図3中の紙幣B2参照)。この状態では、紙幣B2の先端側は出金口56から外部に露出しているため、利用者が紙幣B2の先端側を把持して引抜くことにより、出金紙幣等を受け取ることができ、これにより出金動作が完了すると共に、紙幣制御部26は出金口抜取センサS25によって出金口56からの紙幣の抜取り検知を行う。
なお、保留部67に紙幣が保留された状態で、硬貨処理機14での硬貨詰まり等が発生し、紙幣の出金を中止する場合には、コントローラ20から紙幣制御部26に対して払出中止指示が通知され、保留部67で待機している紙幣は、メンテナンス担当者によって抜取りや収納等の処理がなされる。
4.金銭処理機の制御方法の説明
次に、本実施形態に係る金銭処理機の制御方法について説明する。金銭処理機10の出金動作は、予めコントローラ20に対する設定作業を行うことにより、硬貨と紙幣の払出し順序を同時に行う第1の制御方法と、一方を先に払出す第2及び第3の制御方法とからなる3通りの制御方法を実行することができ、さらに、これら3通りの制御方法のそれぞれについてその処理速度を高め、出金処理を一層迅速なものとした別の3通りの制御方法を実行することができる。以下、これら6通りの制御方法について、順に説明する。
4.1 第1の制御方法の説明
先ず、当該金銭処理機の制御方法のうち、第1の制御方法について図4のフローチャートを参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る金銭処理機の第1の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
例えば、POSレジスタ12で算出された商品の請求金額が2470円であり、買い物客が代金として五千円札を紙幣処理機16に入金すると、POSレジスタ12からコントローラ20へと釣銭額(出金額)が2630円である旨が通知される。なお、以降で説明する第2〜第6の制御方法においても、出金額が2630円の場合を例示して説明する。
図4中のステップ101において、先ず、コントローラ20から硬貨制御部22及び紙幣制御部26へと同時に出金指示が行われる。具体的には、硬貨制御部22には630円の出金指示がなされ、紙幣制御部26には2000円の出金指示がなされる。
そこで、ステップ102において、硬貨処理機14は、硬貨収納庫32aから1枚の500円硬貨の繰出し動作を行い、硬貨収納庫32bから3枚の10円硬貨の繰出し動作を行い、硬貨収納庫32cから1枚の100円硬貨の繰出し動作を行う。これら繰出された硬貨は出金計数センサS1〜S3で計数されることで所望の繰出し枚数であることが検知されつつ、出金搬送部42に保留される。そこで、硬貨制御部22からコントローラ20へと繰出し動作の完了が通知される。このような硬貨の繰出し動作と同時に、紙幣処理機16は、千円庫52から2枚の千円札の繰出し動作を行い、これら繰出された紙幣は千円庫入金突入センサS24で計数された後、さらに所望の繰出し枚数であることが検知されつつ、出金口抜取センサS25と出金残留センサS26に渡った状態となって保留部67で保留される(図3中の紙幣B1参照)。そこで、紙幣制御部26からコントローラ20へと繰出し動作の完了が通知される。
これら硬貨及び紙幣の繰出し動作は、各センサS1〜S6及びS25,S26の検知動作により、それぞれが所定額に達した状態で保留されるまで繰り返される(ステップ103のNO)。
なお、本実施形態では、上記のように硬貨及び紙幣の繰出し動作を同時に開始するものとしたが、この場合の同時に開始するとは、両者の繰出し動作が全く同時に開始される場合は勿論、コントローラ20から硬貨制御部22及び紙幣制御部26への出金指示の送受信に伴う多少の時間差や、この出金指示に基づき、硬貨制御部22及び紙幣制御部26によってアクチュエータ24,28が駆動開始されるまでの処理時間に伴う多少の時間差等を含む概念であり、実質的に、両者の繰出し動作が同時に開始されるものであればよい。
硬貨制御部22及び紙幣制御部26からコントローラ20へと繰出し動作が完了した旨が通知されると(ステップ103のYES)、次に、コントローラ20から硬貨制御部22及び紙幣制御部26に対して払出指示が通知される(ステップ104)。
ステップ105において、硬貨処理機14は、搬送モータM11を駆動し、出金搬送部42に保留している500円硬貨1枚、10円硬貨3枚及び100円硬貨1枚を出金トレイ34へと払出す。同時に、紙幣処理機16は、出金口押出モータM24を駆動し、保留部67で保留している千円札2枚を出金口56側へと押出すことにより払出し、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態とする。そして、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されて硬貨制御部22からコントローラ20へと通知され、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されて紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は釣銭の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。
4.2 第2の制御方法の説明
次に、当該金銭処理機の制御方法のうち、第2の制御方法について図5のフローチャートを参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る金銭処理機の第2の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この第2の制御方法は、硬貨と紙幣の繰出し動作が完了し、所望の金額の硬貨が出金搬送部42に保留され、所望の金額の紙幣が出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡って保留された後、紙幣を先に払出す制御方法である。
第2の制御方法において、図5中のステップ201,202,203は、上記した第1の制御方法のステップ101,102,103と同一又は同様な処理であるため、詳細な説明を省略する。
すなわち、コントローラ20から硬貨制御部22及び紙幣制御部26への出金指示(ステップ201)に基づき、硬貨処理機14及び紙幣処理機16で硬貨及び紙幣の繰出し動作が実行され(ステップ202)、硬貨制御部22及び紙幣制御部26からコントローラ20へと繰出し動作が完了した旨が通知されると(ステップ203のYES)、次に、コントローラ20から紙幣制御部26に対して払出指示が通知される(ステップ204)。
ステップ205において、紙幣処理機16は、出金口押出モータM24を駆動し、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡った状態で保留部67にて保留している千円札2枚を出金口56側へと押出すことにより払出し、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態とし、出金口抜取センサS25による紙幣の抜取り検知が行われる(ステップ206のNO)。
そして、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されると(ステップ206のYES)、この検知結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金紙幣の受け渡しが完了したことを検知し、続いて、硬貨制御部22に対して払出指示を通知する(ステップ207)。なお、ステップ206での紙幣の抜取り検知動作は省略してもよく、この場合には、ステップ205における紙幣の払出し動作が完了したことに基づき、次のステップ207に進めばよい。
ステップ208において、硬貨処理機14は、搬送モータM11を駆動し、出金搬送部42に保留している500円硬貨1枚、10円硬貨3枚及び100円硬貨1枚を出金トレイ34へと払出す。そして、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されて硬貨制御部22からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は釣銭の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。なお、ステップ206での紙幣の抜取り検知動作を省略した場合には、紙幣の抜取り結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより出金動作を完了する。
4.3 第3の制御方法の説明
次に、当該金銭処理機の制御方法のうち、第3の制御方法について図6のフローチャートを参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る金銭処理機の第3の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この第3の制御方法は、硬貨と紙幣の繰出し動作が完了し、所望の金額の硬貨が出金搬送部42に保留され、所望の金額の紙幣が出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡って保留された後、硬貨を先に払出す制御方法である。
第3の制御方法において、図6中のステップ301,302,303は、上記した第1の制御方法等のステップ101,102,103等と同一又は同様な処理であるため、詳細な説明を省略する。
すなわち、コントローラ20から硬貨制御部22及び紙幣制御部26への出金指示(ステップ301)に基づき、硬貨処理機14及び紙幣処理機16で硬貨及び紙幣の繰出し動作が実行され(ステップ302)、硬貨制御部22及び紙幣制御部26からコントローラ20へと繰出し動作が完了した旨が通知されると(ステップ303のYES)、次に、コントローラ20から硬貨制御部22に対して払出指示が通知される(ステップ304)。
ステップ305において、硬貨処理機14は、搬送モータM11を駆動し、出金搬送部42に保留している500円硬貨1枚、10円硬貨3枚及び100円硬貨1枚を出金トレイ34へと払出し、出金口残留検知センサS7,S8による硬貨の受け取り検知が行われる(ステップ306のNO)。
そして、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されると(ステップ306のYES)、この検知結果が硬貨制御部22からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金硬貨の受け渡しが完了したことを検知し、続いて、紙幣制御部26に対して払出指示を通知する(ステップ307)。なお、ステップ306での硬貨の受け取り検知動作は省略してもよく、この場合には、ステップ305における硬貨の払出し動作が完了したことに基づき、次のステップ307に進めばよい。
ステップ308において、紙幣処理機16は、出金口押出モータM24を駆動し、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡った状態で保留部67にて保留している千円札2枚を出金口56側へと押出すことにより払出し、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態とする。そして、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されると、この検知結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金紙幣の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。なお、ステップ306での硬貨の受け取り検知動作を省略した場合には、紙幣制御部26からコントローラ20への紙幣の抜取り結果と同時に又は前後して硬貨の受け取り結果が硬貨制御部22からコントローラ20へと通知される。
以上のように、上記第1〜第3の制御方法によれば、コントローラ20から硬貨及び紙幣の出金指示が行われた場合に(ステップ101,201,301)、硬貨処理機14が硬貨収納庫32a〜32fからの硬貨の繰出し動作を開始すると同時に、紙幣処理機16が紙幣収納庫である千円庫52及び混合庫54からの紙幣の繰出し動作を開始し(ステップ102,202,302)、硬貨及び紙幣の繰出し動作が完了した後(ステップ103,203,303)、出金トレイ34への硬貨の払出し動作及び出金口56への紙幣の払出し動作を行う(ステップ105,205,208,305,308)。
このように、出金動作時に硬貨や紙幣の詰まり等の異常を生じ易い繰出し動作、すなわち硬貨処理機14での硬貨収納庫32a〜32fから出金搬送部42への硬貨の繰出し動作と、紙幣処理機16での千円庫52及び混合庫54から出金口56直前の保留部67への紙幣の繰出し動作とが両方とも完了した後、硬貨及び紙幣の出金トレイ34及び出金口56への払出し動作を行う。このため、硬貨及び紙幣の一方のみが買い物客等の利用者に渡され、他方が機器内に留まることにより、誤った額の金銭が払出されることを防止でき、清算時の現金過不足の発生を可及的に回避することができる。換言すれば、硬貨及び紙幣の繰出し動作時に両方が詰まった場合や一方が詰まった場合には、硬貨及び紙幣の両方ともが機器内部に留まり、利用者に払出されることが防止される。なお、このような異常発生時にはメンテナンス担当者によって釣銭等の払出しを手渡しによって行えばよく、これにより釣銭不足や違算トラブルの発生を未然に防止することができる。
また、硬貨及び紙幣の両方を同時に払出す場合や(第1の制御方法)、一方を先に払出す場合(第2及び第3の制御方法)であっても、出金動作が開始されると同時に硬貨及び紙幣が出金トレイ34及び出金口56の直前位置となる保留部47,67まで搬送されて保留されているため、上記特許文献1記載の処理のように、紙幣の抜取り検知後に硬貨の繰出し動作及び払出し動作を最初から行う必要がなく、出金動作全体の動作時間が短縮され、迅速な払出しが可能となる。
この場合、第1の制御方法では、コントローラ20からの払出指示が行われた場合に、保留部47,67で待機させておいた硬貨及び紙幣の払出し動作を同時に行うため、硬貨及び紙幣のより迅速な払出しが可能となる。
一方、第2の制御方法では、コントローラ20からの払出指示が行われた場合に、保留部67で待機させておいた紙幣の払出し動作を先に行い、第3の制御方法では、保留部47で待機させておいた硬貨の払出し動作を先に行う。例えば、第2の制御方法では、金額の大きな紙幣を先に利用者に渡した後、金額の小さな硬貨を渡すため、利用者はより円滑に金銭を受け取ることができるという利点があり、第3の制御方法では、出金トレイ34内に硬貨を払出した後、紙幣を払出すため、出金トレイ34からの硬貨の受け取り忘れ等を防止できるという利点がある。
なお、硬貨と紙幣のいずれを先に払出すか又は同時に払出すかは、当該金銭処理機10の設置店舗等の業務形態や要望に応じて、例えば、コントローラ20の金銭処理機制御部18に対して予め設定しておけばよい。すなわち、コントローラ20(金銭処理機制御部18)は、金銭の払出し順序を設定変更する設定変更部としての機能も有する。この設定変更部を設けることにより、金銭処理機10の設置店舗等の要望等に基づき、払出し動作のタイミングを変更できるため、その利便性と汎用性が向上する。
ところで、上記した第1〜第3の制御方法では、硬貨及び紙幣をそれぞれ保留部47,67に一旦保留した後、出金トレイ34及び出金口56に払出している。しかしながら、硬貨及び紙幣の一方が先に保留部47,67に保留されていれば、後から保留される他方は保留部47,67で搬送を停止させて保留する必要はなく、この他方が保留部47,67まで到達した時点(繰出し動作完了時点)で、先に繰出された一方と、この他方とを同時に払出し又はどちらかを先に払出すようにしてもよく、例えば、上記第1〜第3の制御方法においても、後から保留される他方の保留時間を実質的にゼロとすれば、より一層迅速な払出し動作が可能となる。
そこで、次に、上記第1〜第3の制御方法に比べて一層迅速な払出し動作を行うことが可能となる第4〜第6の制御方法について順に説明する。
4.4 第4の制御方法の説明
当該金銭処理機の制御方法のうち、第4の制御方法について図7のフローチャートを参照しながら説明する。図7は、本実施形態に係る金銭処理機の第4の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この第4の制御方法は、硬貨と紙幣の繰出し動作が開始された後、先に繰出しが完了した硬貨又は紙幣を保留部47又は67で保留し、後から繰出しが完了した紙幣又は硬貨を保留部67又は47で保留せずに即払出し動作を行うと同時に、先に繰出しが完了している硬貨又は紙幣の払出し動作も行う制御方法である。
第4の制御方法において、図7中のステップ401,402は、上記した第1の制御方法等のステップ101,102等と同一又は同様な処理であるため、詳細な説明を省略する。
すなわち、コントローラ20から硬貨制御部22及び紙幣制御部26への出金指示(ステップ401)に基づき、硬貨処理機14及び紙幣処理機16で硬貨及び紙幣の繰出し動作が実行される(ステップ402)。
ここで、この第4の制御方法では、硬貨と紙幣の繰出し動作完了の先後に基づき、以降の制御手順を異ならせている。すなわち、硬貨の繰出し動作の完了が先に検知された場合には(ステップ403のYES)、続いてステップ404〜408を実行し、紙幣の繰出し動作の完了が先に検知された場合には(ステップ403のNO)、続いてステップ409〜413を実行する。
先ず、コントローラ20は、紙幣が保留部67に保留され、紙幣の繰出し動作が完了したことを検知するよりも前に、出金計数センサS1〜S6によって硬貨が保留部47に保留され、硬貨の繰出し動作が完了したことが検知された場合には(ステップ403のYES)、紙幣制御部26に対して払出指示を通知する(ステップ404)。
このステップ404の開始時点では、紙幣の繰出し動作が完了していないと想定されるが、硬貨の保留部47への繰出し動作は既に完了しているため、紙幣については、搬送を停止させることなく保留部67を通過させ、即払出し動作を実行する(ステップ405)。これにより、紙幣処理機16では、出金口押出モータM24の駆動作用下に、千円庫52から繰出された2枚の千円札が保留部67で保留されることなく出金口56側へと迅速に押出され、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態となる。
このような紙幣の繰出し動作及び払出し動作の最中、紙幣制御部26は、紙幣の繰出し動作の完了検知を行い(ステップ406のNO)、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に紙幣が渡った状態が検知されると、紙幣の繰出し動作が完了したものと判断し(ステップ406のYES)、コントローラ20にその旨を通知する。そこで、コントローラ20は、既に硬貨の繰出し動作が完了しており、紙幣の繰出し動作も完了したことから、硬貨制御部22に対して払出指示を通知する(ステップ407)。
従って、ステップ408において、硬貨処理機14は、搬送モータM11を駆動し、出金搬送部42に保留している500円硬貨1枚、10円硬貨3枚及び100円硬貨1枚を出金トレイ34へと払出す。この際、既に紙幣も払出し動作を実行しているため(ステップ405)、硬貨及び紙幣は、略同時に出金トレイ34及び出金口56に払出される。そこで、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されて硬貨制御部22からコントローラ20へと通知され、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されて紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は釣銭の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。
一方、コントローラ20は、出金計数センサS1〜S6によって硬貨が保留部47に保留され、硬貨の繰出し動作が完了したことを検知するよりも前に、紙幣が保留部67に保留され、紙幣の繰出し動作が完了したことを検知した場合には(ステップ403のNO)、硬貨制御部22に対して払出指示を通知する(ステップ409)。
このステップ409の開始時点では、硬貨の繰出し動作が完了していないと想定されるが、紙幣の保留部67への繰出し動作は既に完了しているため、硬貨については、搬送を停止させることなく保留部47(出金搬送部42)を通過させ、即払出し動作を実行する(ステップ410)。これにより、硬貨処理機14では、搬送モータM11の駆動作用下に、硬貨収納庫32aから繰出された1枚の500円硬貨、硬貨収納庫32bから繰出された3枚の10円硬貨及び硬貨収納庫32cから繰出された1枚の100円硬貨が保留部47で保留されることなく出金トレイ34へと払出される。
このような硬貨の繰出し動作及び払出し動作の最中、硬貨制御部22は、出金計数センサS1〜S6によって硬貨の繰出し動作の完了検知を行い(ステップ411のNO)、出金計数センサS1〜S6により所定額の硬貨が出金搬送部42に繰出されたことが検知されると、硬貨の繰出し動作が完了したものと判断し(ステップ411のYES)、コントローラ20にその旨を通知する。そこで、コントローラ20は、既に紙幣の繰出し動作が完了しており、硬貨の繰出し動作も完了したことから、紙幣制御部26に対して払出指示を通知する(ステップ412)。
従って、ステップ413において、紙幣処理機16は、出金口押出モータM24を駆動し、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡った状態で保留部67にて保留している千円札2枚を出金口56側へと押出すことにより払出し、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態とする。この際、既に硬貨も払出し動作を実行しているため(ステップ410)、硬貨及び紙幣は、略同時に出金トレイ34及び出金口56に払出される。そこで、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されて硬貨制御部22からコントローラ20へと通知され、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されて紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は釣銭の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。
4.5 第5の制御方法の説明
次に、当該金銭処理機の制御方法のうち、第5の制御方法について図8のフローチャートを参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係る金銭処理機の第5の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この第5の制御方法は、全体的な制御フローは上記第4の制御方法と類似しているが、上記第2の制御方法と同様に、紙幣を先に払出す制御方法である。
第5の制御方法において、図8中のステップ501,502,503は、上記した第4の制御方法のステップ401,402,403と同一又は同様な処理であるため、詳細な説明を省略する。
すなわち、コントローラ20から硬貨制御部22及び紙幣制御部26への出金指示(ステップ501)に基づき、硬貨処理機14及び紙幣処理機16で硬貨及び紙幣の繰出し動作が実行される(ステップ502)。そして、硬貨と紙幣のいずれが先に繰出し動作が完了したかを判定し(ステップ503)、硬貨の繰出し動作の完了が先に検知された場合には(ステップ503のYES)、続いてステップ504〜509を実行し、紙幣の繰出し動作の完了が先に検知された場合には(ステップ503のNO)、続いてステップ510〜515を実行する。
先ず、コントローラ20は、紙幣が保留部67に保留され、紙幣の繰出し動作が完了したことを検知するよりも前に、出金計数センサS1〜S6によって硬貨が保留部47に保留され、硬貨の繰出し動作が完了したことが検知された場合には(ステップ503のYES)、紙幣制御部26に対して払出指示を通知する(ステップ504)。
このステップ504の開始時点では、紙幣の繰出し動作が完了していないと想定されるが、硬貨の保留部47への繰出し動作は既に完了しているため、紙幣については、搬送を停止させることなく保留部67を通過させ、即払出し動作を実行する(ステップ505)。これにより、紙幣処理機16では、出金口押出モータM24の駆動作用下に、千円庫52から繰出された2枚の千円札が保留部67で保留されることなく出金口56側へと押出すことにより払出し、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態とし、出金口抜取センサS25による紙幣の抜取り検知が行われる(ステップ507のNO)。
そして、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されると(ステップ507のYES)、この検知結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金紙幣の受け渡しが完了したことを検知し、続いて、硬貨制御部22に対して払出指示を通知する(ステップ508)。なお、ステップ507での紙幣の抜取り検知動作は省略してもよく、この場合には、ステップ506における紙幣の繰出し動作の完了検知(ステップ506のNO)において、紙幣の繰出し動作が完了したものと判断された後(ステップ506のYES)、次のステップ508に進めばよい。
ステップ509において、硬貨処理機14は、搬送モータM11を駆動し、出金搬送部42に保留している500円硬貨1枚、10円硬貨3枚及び100円硬貨1枚を出金トレイ34へと払出す。そして、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されて硬貨制御部22からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は釣銭の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。なお、ステップ507での紙幣の抜取り検知動作を省略した場合には、硬貨制御部22からコントローラ20への硬貨の受け取り結果と同時に又は前後して紙幣の抜取り結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知される。
一方、コントローラ20は、出金計数センサS1〜S6によって硬貨が保留部47に保留され、硬貨の繰出し動作が完了したことを検知するよりも前に、紙幣が保留部67に保留され、紙幣の繰出し動作が完了したことが検知された場合には(ステップ503のNO)、出金計数センサS1〜S6によって硬貨の繰出し動作の完了検知を実行する(ステップ510のNO)。
硬貨の繰出し動作が完了したことが検知されると(ステップ510のYES)、次に、コントローラ20から紙幣制御部26に対して払出指示が通知される(ステップ511)。
ステップ512において、紙幣処理機16は、出金口押出モータM24を駆動し、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡った状態で保留部67にて保留している千円札2枚を出金口56側へと押出すことにより払出し、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態とし、出金口抜取センサS25による紙幣の抜取り検知が行われる(ステップ513のNO)。
そして、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されると(ステップ513のYES)、この検知結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金紙幣の受け渡しが完了したことを検知し、続いて、硬貨制御部22に対して払出指示を通知する(ステップ514)。なお、ステップ513での紙幣の抜取り検知動作は省略してもよく、この場合には、ステップ512における紙幣の払出し動作が完了したこと、つまり紙幣の先端側が出金口56から外部に露出させた状態に設定されたことを検知したことに基づき、次のステップ514に進めばよい。
ステップ515において、硬貨処理機14は、搬送モータM11を駆動し、出金搬送部42に保留している500円硬貨1枚、10円硬貨3枚及び100円硬貨1枚を出金トレイ34へと払出す。そして、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されて硬貨制御部22からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は釣銭の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。なお、ステップ513での紙幣の抜取り検知動作を省略した場合には、硬貨制御部22からコントローラ20への硬貨の受け取り結果と同時に又は前後して紙幣の抜取り結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知される。
4.6 第6の制御方法の説明
次に、当該金銭処理機の制御方法のうち、第6の制御方法について図9のフローチャートを参照しながら説明する。図9は、本実施形態に係る金銭処理機の第6の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この第6の制御方法は、全体的な制御フローは上記第4の制御方法と類似しているが、上記第3の制御方法と同様に、硬貨を先に払出す制御方法である。
第6の制御方法において、図9中のステップ601,602,603は、上記した第4の制御方法等のステップ401,402,403等と同一又は同様な処理であるため、詳細な説明を省略する。
すなわち、コントローラ20から硬貨制御部22及び紙幣制御部26への出金指示(ステップ601)に基づき、硬貨処理機14及び紙幣処理機16で硬貨及び紙幣の繰出し動作が実行される(ステップ602)。そして、硬貨と紙幣のいずれが先に繰出し動作が完了するかを判定し(ステップ603)、硬貨の繰出し動作の完了が先に検知された場合には(ステップ603のYES)、続いてステップ604〜609を実行し、紙幣の繰出し動作の完了が先に検知された場合には(ステップ603のNO)、続いてステップ610〜615を実行する。
先ず、コントローラ20は、紙幣の繰出し動作が完了したことを検知するよりも前に、出金計数センサS1〜S6によって硬貨が保留部47に保留され、硬貨の繰出し動作が完了したことが検知された場合には(ステップ603のYES)、続いて紙幣の繰出し動作の完了検知を実行する(ステップ604のNO)。
紙幣の繰出し動作が完了したことが検知されると(ステップ604のYES)、次に、コントローラ20から硬貨制御部22に対して払出指示が通知される(ステップ605)。
ステップ606において、硬貨処理機14は、搬送モータM11を駆動し、出金搬送部42に保留している500円硬貨1枚、10円硬貨3枚及び100円硬貨1枚を出金トレイ34へと払出し、出金口残留検知センサS7,S8による硬貨の受け取り検知が行われる(ステップ607のNO)。
そして、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されると(ステップ607のYES)、この検知結果が硬貨制御部22からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金硬貨の受け渡しが完了したことを検知し、続いて、紙幣制御部26に対して払出指示を通知する(ステップ608)。なお、ステップ607での硬貨の受け取り検知動作は省略してもよく、この場合には、ステップ606における硬貨の払出し動作が完了したこと、つまり硬貨が出金トレイ34に払出されたことを検知したことに基づき、次のステップ608に進めばよい。
ステップ609において、紙幣処理機16は、出金口押出モータM24を駆動し、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡った状態で保留部67にて保留している千円札2枚を出金口56側へと押出すことにより払出し、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態とする。そして、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されると、この検知結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金紙幣の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。なお、ステップ607での硬貨の受け取り検知動作を省略した場合には、紙幣制御部26からコントローラ20への紙幣の抜取り結果と同時に又は前後して硬貨の受け取り結果が硬貨制御部22からコントローラ20へと通知される。
一方、コントローラ20は、出金計数センサS1〜S6によって硬貨が保留部47に保留され、硬貨の繰出し動作が完了したことを検知するよりも前に、紙幣が保留部67に保留され、紙幣の繰出し動作が完了したことが検知された場合には(ステップ603のNO)、硬貨制御部22に対して払出指示を通知する(ステップ610)。
このステップ610の開始時点では、硬貨の繰出し動作が完了していないと想定されるが、紙幣の保留部67への繰出し動作は既に完了しているため、硬貨については、搬送を停止させることなく保留部47(出金搬送部42)を通過させ、即払出し動作を実行する(ステップ611)。これにより、硬貨処理機14では、搬送モータM11の駆動作用下に、硬貨収納庫32aから繰出された1枚の500円硬貨、硬貨収納庫32bから繰出された3枚の10円硬貨及び硬貨収納庫32cから繰出された1枚の100円硬貨が保留部47で保留されることなく出金トレイ34へと払出し、出金口残留検知センサS7,S8による硬貨の受け取り検知が行われる(ステップ613のNO)。
そして、出金トレイ34から硬貨が受け取られたことが出金口残留検知センサS7,S8で検知されると(ステップ613のYES)、この検知結果が硬貨制御部22からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金硬貨の受け渡しが完了したことを検知し、続いて、紙幣制御部26に対して払出指示を通知する(ステップ614)。なお、ステップ613での硬貨の受け取り検知動作は省略してもよく、この場合には、ステップ612における硬貨の繰出し動作の完了検知(ステップ612のNO)において、硬貨の繰出し動作が完了したこと、つまり出金計数センサS1〜S6により所定額の硬貨が出金搬送部42に繰出されたことが検知された場合に、硬貨の繰出し動作が完了したものと判断し(ステップ612のYES)、次のステップ614に進めばよい。
ステップ615において、紙幣処理機16は、出金口押出モータM24を駆動し、出金口抜取センサS25及び出金残留センサS26に渡った状態で保留部67にて保留している千円札2枚を出金口56側へと押出すことにより払出し、紙幣の先端側を出金口56から外部に露出させた状態とする。そして、出金口56から紙幣が抜取られたことが出金口抜取センサS25で検知されると、この検知結果が紙幣制御部26からコントローラ20へと通知されることにより、コントローラ20は出金紙幣の受け渡しが完了したことを検知し、POSレジスタ12に通知することにより、出金動作が完了する。なお、ステップ613での硬貨の受け取り検知動作を省略した場合には、紙幣制御部26からコントローラ20への紙幣の抜取り結果と同時に又は前後して硬貨の受け取り結果が硬貨制御部22からコントローラ20へと通知される。
以上のように、上記第4〜第6の制御方法によれば、コントローラ20から硬貨及び紙幣の出金指示が行われた場合に(ステップ401,501,601)、硬貨処理機14が硬貨収納庫32a〜32fからの硬貨の繰出し動作を開始すると同時に、紙幣処理機16が紙幣収納庫である千円庫52及び混合庫54からの紙幣の繰出し動作を開始し(ステップ402,502,602)、硬貨及び紙幣の繰出し動作が完了した後(ステップ403,406,411,503,506,510,603,604,612)、出金トレイ34への硬貨の払出し動作及び出金口56への紙幣の払出し動作を行う(ステップ405,408,410,413,505,509,512,515,606,609,611,615)。
そして、第4及び第5の制御方法において、硬貨の繰出し動作が先に完了した場合には(ステップ403のYES,503のYES)、繰出された硬貨を出金搬送部42の保留部47で待機させておき、該待機させた硬貨は、紙幣の繰出し動作の完了(ステップ406のYES,506のYES)を待って出金トレイ34へと払出す一方、紙幣は繰出し動作後に待機することなく出金口56へと払出される(ステップ405,505)。一方、第4及び第6の制御方法では、紙幣の繰出し動作が先に完了した場合には(ステップ403のNO,603のNO)、繰出された紙幣を搬送路60bの保留部67で待機させておき、該待機させた紙幣は、硬貨の繰出し動作の完了(ステップ411のYES,612のYES)を待って出金口56へと払出す一方、硬貨は繰出し動作後に待機することなく出金トレイ34へと払出される(ステップ410,611)。すなわち、第4〜第6の制御方法は、実質的に上記第1〜第3の制御方法において、後から保留部47,67に保留される硬貨又は紙幣の保留時間を実質的にゼロとしたものである。
従って、第4〜第6の制御方法によれば、上記した第1〜第3の制御方法と比べて、硬貨及び紙幣の一方が先に保留部47,67で保留された場合に、後から保留される他方を保留部47,67で実質的に保留することなく払出すため、一層迅速な払出し動作が可能となる。また、この場合にも、硬貨及び紙幣の払出し動作は、実質的にそれぞれが保留部47,67に繰出されたことを待って実行されているため、繰出し動作時に硬貨や紙幣が詰まり等の異常を生じた場合であっても、硬貨及び紙幣の一方のみが買い物客等の利用者に渡され、清算時に現金過不足が発生することを可及的に回避することができる。
また、以上のような第1〜第6の制御方法を実施する本実施形態に係る金銭処理機10では、コントローラ20と、コントローラ20からの出金指示に基づき、硬貨を硬貨収納庫32a〜32fから出金搬送部42へと繰出して出金トレイ34へと払出す硬貨処理機14と、コントローラ20からの出金指示に基づき、紙幣を紙幣収納庫である千円庫52及び混合庫54から搬送路60へと繰出して出金口56へと払出す紙幣処理機16とを備え、コントローラ20から硬貨及び紙幣の出金指示が行われた場合に、硬貨処理機14が硬貨収納庫32a〜32fからの硬貨の繰出し動作を開始すると同時に、紙幣処理機16が千円庫52及び混合庫54からの紙幣の繰出し動作を開始し、硬貨及び紙幣の繰出し動作が完了した後、コントローラ20は、出金トレイ34への硬貨の払出し動作を硬貨処理機14に行わせ、出金口56への紙幣の払出し動作を紙幣処理機16に行わせる払出指示を発生する。
従って、金銭処理機10では、出金動作時に硬貨や紙幣の詰まり等の異常を生じ易い繰出し動作が完了した後、硬貨及び紙幣の払出し動作を行うため、清算時の現金過不足の発生を可及的に回避することができる。また、出金動作が開始されると同時に硬貨及び紙幣が出金トレイ34及び出金口56の直前位置となる保留部47,67まで搬送されているため、上記特許文献1記載の処理のように、紙幣の抜取り検知後に硬貨の繰出し動作及び払出し動作を最初から行う必要がなく、出金動作全体の動作時間が短縮され、迅速な払出しが可能となる。
この場合、硬貨処理機14は、硬貨収納庫32a〜32fから出金搬送部42に繰出された硬貨を出金トレイ34の上流側の機外に露出しない位置で待機させる保留部47を備え、紙幣処理機16は、紙幣収納庫である千円庫52及び混合庫54から搬送路60に繰出された紙幣を出金口56の上流側の機外に露出しない位置で待機させる保留部67を備える。これにより、硬貨及び紙幣を繰出し、保留部47,67に保留させた後、出金トレイ34及び出金口56への払出し動作を行うことができるため、硬貨と紙幣の一方のみが出金されてしまうような現金不足の発生を防止できる。なお、本実施形態では、保留部47,67を、それぞれ出金搬送部42や出金口56直前位置に設けた構成を例示したが、これら保留部47,67の設置位置は適宜変更可能であり、硬貨処理機14や紙幣処理機16の機器内部で繰出し後の硬貨や紙幣の保留に適した部位に設ければよい。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。