JP5736999B2 - ピーク抑圧装置、ピーク抑圧方法、および無線通信装置 - Google Patents

ピーク抑圧装置、ピーク抑圧方法、および無線通信装置 Download PDF

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Description

本件は、無線送信される信号のピークを抑圧するピーク抑圧装置、ピーク抑圧方法、および無線通信装置に関する。
無線通信装置では、生成した信号を電力増幅器により増幅して送信する。増幅器は、電力を多く消費するので、電力利用効率を高めて使用することが望まれている。しかし、増幅器は、出力電力の大きいところで使用するほど電力利用効率を高められる反面、あるところから出力が飽和する特性も持ち合わせている。増幅器が飽和すると、その出力信号は、非線形歪が生じ、送信信号の周波数帯域外にスペクトラムの広がりが現れ、他周波数への干渉波となる。歪の発生がない限定された入力電力範囲で、高効率に増幅器を使用することが重要である。
そこで、従来、送信信号の平均電力に対するピーク成分の比(PAPR:Peak Average Per Ratio)をできるだけ小さくして送信する方法がとられる。増幅器の限定された入力電力範囲を守り、平均電力の高い信号を増幅するようにすれば、出力信号の非線形歪の発生を抑制し、動作効率を高めて増幅器を使用できるからである。
送信信号のピーク抑圧方法としては、非線型処理による振幅制限(HC:Hard Clipping)とフィルタリング(LPF:Low Pass Filter)とを組み合わせた方法が提案されている。このピーク抑圧方法は、HCによって、増幅器に入力される信号の振幅制限を行った後、振幅制限によって生じる信号の周波数帯域外のスペクトラムの広がりをLPFで除去する(例えば、特許文献1参照)。
なお、従来、増幅器入力信号における所望のピークファクタを精度良く実現するように効率のよいピークリミットを行い、増幅システムの電力効率を向上できるピークリミッタおよびマルチキャリア増幅装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−251909号公報 特開2003−046480号公報
ところで、上記のHCとLPFとを組み合わせたピーク抑圧方法では、信号のピークを所望する振幅に抑えるために、例えば、以下の2つの方法がとられている。
(1)LPF通過後のピーク復元を想定してHC処理を厳しく行い、信号のピークを所望の振幅に抑える。
(2)(HC+LPF)の処理を繰り返し行い、信号のピークを所望の振幅に抑える。 しかし、(1)では、ピーク抑圧量に対する変調精度やビット誤り率特性の劣化が大きくなる問題がある。(2)では、回路規模が大きくなり消費電力が大きくなるという問題がある。
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、変調精度やビット誤り率の劣化を抑制し、小型で消費電力を抑えることができるピーク抑圧装置、ピーク抑圧方法、および無線通信装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、無線送信される信号のピークを抑圧するピーク抑圧装置が提供される。このピーク抑圧装置は、前記無線送信される信号に対しプリエンファシス処理を施すプリエンファシス部と、前記プリエンファシス部によってプリエンファシス処理が施された信号を所定の閾値で振幅制限するクリップ部と、前記クリップ部によって振幅制限された信号に対しディエンファシス処理を施すディエンファシス部と、前記ディエンファシス部によってディエンファシス処理が施された信号を無線送信するために周波数変換する周波数変換部と、前記クリップ部の閾値を制御する閾値制御部とを備え、前記プリエンファシス部は、前記閾値制御部の制御する閾値に基づいて前記無線送信される信号に対して施すプリエンファシス量を変更し、前記ディエンファシス部は、前記閾値制御部の制御する閾値に基づいて前記クリップ部によって振幅制限された信号に対して施すディエンファシス量を変更する
開示の装置および方法によれば、変調精度やビット誤り率の劣化を抑制し、小型で消費電力を抑えることができる。
第1の実施の形態に係るピーク抑圧装置のハードウェアブロックを示した図である。 プリエンファシス部の周波数特性を示した図である。 ディエンファシス部の周波数特性を示した図である。 信号のスペクトラム例を示した図である。 プリエンファシス部のハードウェアブロック例を示した図である。 ディエンファシス部のハードウェアブロック例を示した図である。 プリエンファシス部およびディエンファシス部を備えないピーク抑圧装置のハードウェアブロックを示した図である。 ピーク抑圧を説明する図のその1である。 ピーク抑圧を説明する図のその2である。 ピーク抑圧装置の処理を示したフローチャートである。 ピーク抑圧装置の他のハードウェアブロック例を示した図である。 第2の実施の形態に係るピーク抑圧装置のハードウェアブロックを示した図である。 第3の実施の形態に係るピーク抑圧装置のハードウェアブロックを示した図である。
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るピーク抑圧装置のハードウェアブロックを示した図である。図1に示すように、ピーク抑圧装置は、プリエンファシス部11、クリップ部12、フィルタ部13、ディエンファシス部14、周波数変換部15、および増幅器16を有している。図1に示すピーク抑圧装置は、例えば、基地局などの無線通信装置に実装される。
プリエンファシス部11には、無線送信される信号が入力される。例えば、プリエンファシス部11には、携帯電話機などの無線端末に無線送信されるベースバンド信号I,Qが入力される。プリエンファシス部11は、入力される信号に対し、プリエンファシス処理を施し、クリップ部12に出力する。すなわち、プリエンファシス部11は、入力される信号の高域成分を強調し、クリップ部12に出力する。
クリップ部12は、プリエンファシス部11から出力される信号を所定の閾値で振幅制限(クリップ)する。クリップ部12は、瞬時電力検出部21、振幅判断部22、遅延部23、およびリミッタ部24を有している。
瞬時電力検出部21は、入力される信号の振幅(包絡線)を検出する。例えば、瞬時電力検出部21には、プリエンファシス部11によって、高域成分が強調されたベースバンド信号I,Qが入力される。瞬時電力検出部21は、入力されるベースバンド信号の振幅r=(I2+Q21/2を算出して出力する。以下では、瞬時電力検出部21から出力される信号を包絡線信号と呼ぶことがある。
振幅判断部22は、瞬時電力検出部21から出力される包絡線信号の振幅が所定の閾値より大きいか否か判断する。振幅判断部22は、判断結果をリミッタ部24へ出力する。
遅延部23は、プリエンファシス部11から出力される信号を遅延する。例えば、遅延部23は、リミッタ部24に入力される信号のタイミングと、振幅判断部22で振幅判断される信号のタイミングとが一致するように、プリエンファシス部11から出力される信号を遅延する。
リミッタ部24は、振幅判断部22から出力される判断結果に基づいて、入力される信号の振幅をリミット(クリップ)する。例えば、リミッタ部24は、振幅判断部22によって、包絡線信号の振幅が所定の閾値より大きいと判断された場合、ベースバンド信号I,Qの包絡線の振幅が所定の閾値でクリップされるように、遅延部23から出力されるベースバンド信号I,Qをクリップする。すなわち、リミッタ部24は、入力される信号の振幅が所定の閾値より大きければ、入力される信号の振幅をクリップして出力する。
フィルタ部13は、リミッタ部24のリミット処理により生じた帯域外成分を除去する。例えば、無線送信される信号は、リミッタ部24によってクリップされると、信号の周波数帯域外にスペクトラムの広がりが現れ、他周波数への干渉波となる。フィルタ部13は、この他周波数への干渉波を抑制するため、リミッタ部24から出力される信号を帯域制限する。フィルタ部13は、例えば、LPFであり、信号の周波数帯域外に広がったスペクトラムを除去する。
ディエンファシス部14は、フィルタ部13から出力される信号の高域成分を抑制(減少)し、周波数変換部15へ出力する。すなわち、ディエンファシス部14は、プリエンファシス部11で高域成分が強調された信号の周波数特性を元に戻す。ディエンファシス部14は、例えば、プリエンファシス部11と逆の周波数特性を有している。
周波数変換部15は、ディエンファシス部14から出力される信号の周波数を無線周波数に変換する。例えば、周波数変換部15は、直交変調器であり、入力されるベースバンド信号I,Qに直交する搬送波を乗算し、加算して出力する。
増幅器16は、周波数変換部15から出力される信号を増幅する。増幅器16で増幅された信号は、例えば、アンテナを介して無線端末に無線送信される。
図2は、プリエンファシス部の周波数特性を示した図である。図2に示すグラフの横軸は周波数を示し、縦軸は利得を示している。図2に示す−f1〜f1は、無線送信される信号の帯域を示している。
プリエンファシス部11は、図2に示すような周波数特性を有している。すなわち、周波数が高域になるほど利得が大きくなるようになっている。これにより、無線送信される信号は、プリエンファシス部11によって高域成分が強調されて、クリップ部12に出力される。
図3は、ディエンファシス部の周波数特性を示した図である。図3に示すグラフの横軸は周波数を示し、縦軸は利得を示している。図3に示す−f1〜f1は、無線送信される信号の帯域を示している。
ディエンファシス部14は、図3に示すような周波数特性を有している。ディエンファシス部14は、図2に示すプリエンファシス部11の周波数特性に対して、逆の周波数特性を有し、高域になるほど利得が小さくなるようになっている。これにより、無線送信される信号は、ディエンファシス部14によって高域成分が抑制されて、周波数変換部15に出力される。
図4は、信号のスペクトラム例を示した図である。図4の(A)は、プリエンファシス部11に入力される信号のスペクトラム例を示し、図4の(B)は、ディエンファシス部14から出力される信号のスペクトラム例を示している。
プリエンファシス部11には、例えば、図4の(A)に示すようなフラットな周波数特性の信号が入力されるとする。図4の(A)に示す周波数特性の信号は、プリエンファシス部11によって高域成分が強調されるが、ディエンファシス部14によって、高域成分が抑制されるため、ディエンファシス部14からは、図4の(B)に示すように、図4の(A)と同様の周波数特性の信号が出力される。すなわち、無線送信される信号は、プリエンファシス部11に入力される周波数特性と同様の周波数特性で、周波数変換部15に出力される。
また、プリエンファシス部11から出力される信号は、クリップ部12によって、振幅がクリップされる。このため、クリップ部12から出力される信号は、周波数帯域外にスペクトラムの広がりが現れる。例えば、クリップ部12から出力される信号の周波数は、図4の(A)に示す周波数−f1〜f1より外に広がってしまう。
しかし、フィルタ部13は、リミッタ部24のリミット処理により生じた帯域外成分を除去する。例えば、フィルタ部13は、f1より大きい周波数成分をカットする。これにより、周波数変換部15には、図4の(B)に示す周波数成分の信号が入力される。
図5は、プリエンファシス部のハードウェアブロック例を示した図である。図5では、プリエンファシス部11をFIR(Finite Impulse Response)フィルタで形成した場合の例を示している。図5に示すように、FIRフィルタは、乗算器31,33、遅延器32、および加算器34を有している。
乗算器31には、プリエンファシスする信号(図5中のin)が入力される。すなわち、乗算器31には、無線送信する信号が入力される。また、乗算器31には、係数h11が入力される。乗算器31は、無線送信する信号と係数h11とを乗算し、加算器34へ出力する。
遅延器32には、無線送信する信号が入力される。遅延器32は、入力される信号を所定時間遅延し、乗算器33へ出力する。
乗算器33には、遅延器32から出力される信号が入力される。また、乗算器33には、係数h12が入力される。乗算器33は、遅延器32から出力される無線送信する信号と係数h12とを乗算し、加算器34へ出力する。
加算器34は、乗算器31から出力される信号と乗算器33から出力される信号とを加算する。加算された信号(図5中のout)は、図1で説明したクリップ部12へ出力される。
FIRフィルタの周波数特性は、FIRフィルタの係数の数(タップ数)および係数の値を適当に選ぶことにより、図2に示すような特性にすることができる。これにより、FIRフィルタに入力される信号は、高域成分が強調されて出力される。
図6は、ディエンファシス部のハードウェアブロック例を示した図である。図6では、ディエンファシス部14をIIR(Infinite Impulse Response)フィルタで形成した場合の例を示している。図6に示すように、IIRフィルタは、乗算器41,44、加算器42、および遅延器43を有している。
乗算器41には、ディエンファシスする信号(図6中のin)が入力される。すなわち、乗算器41には、図1で示したフィルタ部13から出力される信号が入力される。また、乗算器41には、係数h21が入力される。乗算器41は、フィルタ部13から出力される信号と係数h21とを乗算し、加算器42へ出力する。
加算器42には、乗算器41から出力される信号と、乗算器44から出力される信号とが入力される。加算器42は、乗算器41から出力される信号と、乗算器44から出力される信号とを加算し、遅延器43へ出力する。
遅延器43は、加算器42から出力される信号が入力される。遅延器43は、入力される信号を所定時間遅延し、乗算器44へ出力する。また、遅延器43で遅延された信号(図6中のout)は、図1で説明した周波数変換部15へ出力される。
乗算器44には、遅延器43から出力される信号と係数h22とが入力される。乗算器44は、遅延器43から出力される信号と係数h22とを乗算し、加算器42に出力する。
IIRフィルタの周波数特性は、IIRフィルタの係数の数および係数の値を適当に選ぶことにより、図3に示すような特性にすることができる。これにより、IIRフィルタに入力される信号は、高域成分が抑制されて出力される。
なお、図5で説明したプリエンファシス部11をIIRフィルタで形成してもよい。また、図6で説明したディエンファシス部14をFIRフィルタで形成してもよい。
ここで、プリエンファシス部11およびディエンファシス部14を備えないピーク抑圧装置について説明する。
図7は、プリエンファシス部およびディエンファシス部を備えないピーク抑圧装置のハードウェアブロックを示した図である。図7において、図1と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図7のピーク抑圧装置は、図1のピーク抑圧装置に対し、プリエンファシス部11およびディエンファシス部14を備えていない。
図8は、ピーク抑圧を説明する図のその1である。図8の横軸は時間を示し、縦軸は振幅を示している。
図8に示す一点鎖線の波形W11は、図7に示すクリップ部12に入力される信号(ベースバンド信号I,Qの包絡線)を示している。
実線の波形W12は、図7に示すクリップ部12から出力される信号を示している。クリップ部12に入力される信号は、その振幅が所定の閾値を超えると、波形W12に示すようにクリップされて出力される。
点線の波形W13は、図7に示すフィルタ部13から出力される信号を示している。クリップ部12でクリップされた信号は、周波数帯域外にスペクトラムの広がりが現れるが、フィルタ部13によって、その広がりが除去される。従って、フィルタ部13から出力される信号は、波形W13に示すように、ピークが復元する。
図7のピーク抑圧装置では、フィルタ部13の通過後のピーク復元を想定してクリップ処理を厳しく行い、信号のピークを所望の振幅に抑えるようにする。または、クリップ部12のクリップ処理とフィルタ部13のフィルタリングの処理とを繰り返し行い、信号のピークを所望の振幅に抑えるようにする。
図9は、ピーク抑圧を説明する図のその2である。図9の横軸は時間を示し、縦軸は振幅を示している。
図9に示す一点鎖線の波形W21は、図7に示すクリップ部12に入力される信号を示している。波形W21の信号は、図8に示した波形W11の信号より周波数が低い。すなわち、図9では、クリップ部12に入力される信号の周波数が図8の場合に対し、低い場合について説明する。
実線の波形W22は、図7に示すクリップ部12から出力される信号を示している。クリップ部12に入力される信号は、その振幅が所定の閾値を超えると、波形W22に示すようにクリップされて出力される。
点線の波形W23は、図7に示すフィルタ部13から出力される信号を示している。クリップ部12でクリップされた信号は、周波数帯域外にスペクトラムの広がりが現れるが、フィルタ部13によって、その広がりが除去される。従って、フィルタ部13から出力される信号は、波形W13に示すように、ピークが復元する。
図8、図9で説明したように、クリップ部12でピーク抑圧された信号は、フィルタ部13を通過するとピークが復元する。しかし、信号の周波数が低い場合、ピークの復元率は、周波数が高い場合に比べ小さい。例えば、図9では、図8に比べ、Xに対するYの比率が小さい。すなわち、フィルタ部13を通過する信号のピーク復元量は、信号の周波数成分が高いほど、大きくなる特性を示す。
図1のピーク抑圧装置では、この特性を利用する。図1のピーク抑圧装置では、プリエンファシス部11で無線送信する信号の高域成分を強調する。これにより、信号の高域成分は、低域成分に比べ、クリップ部12でクリップ処理が厳しく行われる。このため、フィルタ部13を通過した信号のピーク復元率は小さくなり、図7のピーク抑圧装置のように、クリップ部12のクリップ処理とフィルタ部13のフィルタリングの処理とを繰り返し行わなくて済む。また、フィルタ部13を通過した信号は、ディエンファシス部14で高域成分が抑制される。これにより、プリエンファシス部11でプリエンファシスされた信号は、プリエンファシス部11による周波数特性が抑えられて、周波数変換部15へ出力される。
図10は、ピーク抑圧装置の処理を示したフローチャートである。
[ステップS1]プリエンファシス部11は、無線送信される信号を受信する。
[ステップS2]プリエンファシス部11は、受信した信号に対し、エンファシス処理を施す。
[ステップS3]クリップ部12の瞬時電力検出部21は、プリエンファシス部11から出力される信号の振幅を検出する。
[ステップS4]クリップ部12の振幅判断部22は、瞬時電力検出部21で検出された信号の振幅が所定の閾値より大きいか否か判断する。
[ステップS5]クリップ部12の遅延部23は、プリエンファシス部11から出力される信号を遅延する。なお、ステップS3,S4とステップS5の処理は、並行して行われる。
[ステップS6]クリップ部12のリミッタ部24は、遅延部23から出力される信号の振幅のリミット処理を行う。例えば、リミッタ部24は、振幅判断部22によって、瞬時電力検出部21から出力される信号の振幅が所定の閾値より大きいと判断された場合、遅延部23から出力される信号の振幅をその所定の閾値でクリップして出力する。
例えば、入力信号をx(I+jQの複素数)、入力信号の振幅を|x|、入力信号の位相をθ、閾値をγ、クリップ部12から出力されるクリッピング信号をyとする。
リミッタ部24は、振幅判断部22によって、入力信号xの振幅|x|が閾値γ以下と判断されれば、入力信号xをそのままフィルタ部13に出力する。すなわち、リミッタ部24は、|x|≦γであれば、y=xをフィルタ部13に出力する。
また、リミッタ部24は、振幅判断部22によって、入力信号xの振幅|x|が閾値γより大きいと判断されれば、振幅が閾値γの信号をフィルタ部13に出力する。すなわち、リミッタ部24は、|x|>γであれば、y=γ・ejθをフィルタ部13に出力する。
[ステップS7]フィルタ部13は、クリップ部12から出力される信号の帯域外成分を除去する。例えば、図4で説明したように、無線送信する信号の周波数帯域が−f1〜f1である場合、フィルタ部13は、−f1〜f1の周波数の信号を通過させるようにする。
[ステップS8]ディエンファシス部14は、フィルタ部13から出力される信号に対し、ディエンファシス処理を施す。
[ステップS9]周波数変換部15は、ディエンファシス部14から出力される信号の周波数を無線周波数に変換する。例えば、周波数変換部15は、直交変調により、ディエンファシス部14から出力される信号(ベースバンド信号I,Q)の周波数を無線周波数に変換する。
[ステップS10]増幅器16は、周波数変換部15から出力される信号を増幅する。増幅された信号は、例えば、アンテナを介して、無線端末に無線送信される。
このように、ピーク抑圧装置は、プリエンファシス部11によって、無線送信する信号の高域成分をプリエンファシスし、クリップ部12によって、プリエンファシスされた信号を所定の閾値で振幅制限する。そして、ピーク抑圧装置は、ディエンファシス部14によって、クリップ部12から出力される信号をディエンファシスし、周波数変換部15によって、ディエンファシスされた信号を無線周波数に周波数変換するようにした。これにより、ピーク抑圧装置は、変調精度やビット誤り率の劣化を抑制し、小型で消費電力を抑えることができる。
また、ピーク抑圧装置は、プリエンファシス部11によって、無線送信する信号の高域成分をプリエンファシスし、ディエンファシス部14によって、クリップ部12から出力される信号をディエンファシスする。これにより、ピーク抑圧装置は、信号の振幅制限とLPFによる帯域制限の処理を繰り返さなくても、信号のピークを所望の振幅に抑制することができ、処理遅延を抑制することができる。
なお、ピーク抑圧装置の機能の一部は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)によって実現することができる。
図11は、ピーク抑圧装置の他のハードウェアブロック例を示した図である。図11に示すように、ピーク抑圧装置は、DSP51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、および入出力インタフェース54を有している。
DSP51には、バス55を介して、ROM52、RAM53、および入出力インタフェース54が接続されている。ROM52には、DSP51に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムが格納される。RAM53には、DSP51による処理に必要な各種データが格納される。
入出力インタフェース54には、DSP51に処理させる信号が入力される。DSP51によって処理された信号は、入出力インタフェース54を介して出力される。
DSP51は、図1で説明したプリエンファシス部11、クリップ部12、フィルタ部13、およびディエンファシス部14の機能を実現する。例えば、上記で説明したプリエンファシス部11、クリップ部12、フィルタ部13、およびディエンファシス部14の機能を実現するアプリケーションをROM52に格納し、ROM52に格納したアプリケーションをDSP51に実行させ、各部の機能を実現する。
なお、図1のプリエンファシス部11に入力される信号は、入出力インタフェース54に入力される。また、DSP51によってディエンファシス処理等した信号は、入出力インタフェース54を介して、周波数変換部15に出力される。
また、DSP51によって、図1に示すプリエンファシス部11、クリップ部12、フィルタ部13、およびディエンファシス部14の機能を実現する場合、図10で示したステップS1〜S8の処理は、DSP51によって実行される。
また、DSP51の代わりにCPU(Central Processing Unit)によって、プリエンファシス部11、クリップ部12、フィルタ部13、およびディエンファシス部14の機能を実現するようにしてもよい。また、図1に示したプリエンファシス部11、クリップ部12、フィルタ部13、およびディエンファシス部14は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)によって実現することもできる。
また、図11に示すDSP51、ROM52、RAM53、および入出力インタフェース54は、1チップで形成するようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。ピーク抑圧装置は、無線送信する信号の周波数帯域を制限するために、帯域制限用のフィルタ部を備える。第2の実施の形態では、プリエンファシス部に帯域制限用のフィルタの特性を加味し、部品点数を低減してコスト低減を図る。また、第2の実施の形態では、ディエンファシス部に帯域外成分を除去するフィルタの特性を加味し、部品点数を低減してコスト低減を図る。
図12は、第2の実施の形態に係るピーク抑圧装置のハードウェアブロックを示した図である。図12において、図1と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。図12のピーク抑圧装置は、図1のピーク抑圧装置に対し、プリエンファシス部61およびディエンファシス部62を有している。また、図12のピーク抑圧装置は、図1のピーク抑圧装置に対し、フィルタ部13を有していない。
プリエンファシス部61には、無線送信される信号が入力される。例えば、プリエンファシス部61には、携帯電話機などの無線端末に無線送信されるベースバンド信号I,Qが入力される。プリエンファシス部61は、入力される信号に対し、プリエンファシス処理を施すとともに帯域制限を行う。すなわち、プリエンファシス部61は、入力される信号の高域成分を強調するとともに、帯域制限を行う。
例えば、プリエンファシス部61は、入力される信号が他の周波数帯の信号に干渉しないよう、その帯域を制限する。例えば、プリエンファシス部61は、入力される信号の周波数特性が−f1〜f1となるように、遮断周波数f1のLPFの特性を有する。また、プリエンファシス部61は、前記のLPFの周波数特性を有するとともに、図2で示した周波数特性を有する。これにより、プリエンファシス部61は、入力される信号の高域成分を強調するとともに、帯域制限を行うことができる。
ディエンファシス部62には、クリップ部12のリミッタ部24から出力される信号が入力される。ディエンファシス部62は、入力される信号に対し、ディエンファシス処理を施すとともに、リミッタ部24のリミット処理により生じた帯域外成分を除去する。すなわち、ディエンファシス部62は、入力される信号の高域成分を抑制するとともに、帯域制限を行う。
例えば、ディエンファシス部62は、リミッタ部24のリミット処理により生じた帯域外成分を除去するように、遮断周波数f1のLPFの特性を有する。すなわち、ディエンファシス部62は、図1で説明したフィルタ部13の周波数特性を有する。また、ディエンファシス部62は、前記のLPFの特性を有するとともに、図3で示した周波数特性を有する。これにより、ディエンファシス部62は、入力される信号の高域成分を抑制するとともに、帯域制限を行うことができる。
プリエンファシス部61およびディエンファシス部62は、例えば、図5で説明したFIRフィルタおよび図6で説明したIIRフィルタで形成することができる。例えば、プリエンファシス部61は、FIRフィルタの係数の数および係数の値を適当に選ぶことにより、入力される信号の高域成分を強調するとともに、帯域制限を行うことができる。また、ディエンファシス部62は、IIRフィルタの係数の数および係数の値を適当に選ぶことにより、入力される信号の高域成分を抑制するとともに、帯域制限を行うことができる。
このように、ピーク抑圧装置は、プリエンファシス処理を行うプリエンファシス部61およびディエンファシス処理を行うディエンファシス部62において、帯域制限の周波数特性を加味するようにした。これにより、ピーク抑圧装置は、帯域制限のためのフィルタを設けなくて済み、部品点数を低減でき、コスト低減を図ることができる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。ピーク抑圧装置は、無線送信する信号のキャリア数、変調方式、要求されるEVM(Error Vector Magnitude)によって、ピーク抑圧する閾値を変更する場合がある。第3の実施の形態では、ピーク抑圧する閾値の変更によって、プリエンファシス量およびディエンファシス量を変更する。
図13は、第3の実施の形態に係るピーク抑圧装置のハードウェアブロックを示した図である。図13において、図1と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。図13のピーク抑圧装置は、図1のピーク抑圧装置に対し、閾値制御部71、プリエンファシス部72、およびディエンファシス部73を有している。
閾値制御部71は、振幅判断部22の所定の閾値を制御する。例えば、閾値制御部71は、無線送信する信号のキャリア数、変調方式、または要求されるEVMによって、振幅判断部22の所定の閾値を制御する。
例えば、閾値制御部71は、無線通信で要求されるEVMが小さい場合(要求されるEVMが厳しい場合)、そのEVMを満足するよう、信号の歪を小さくする。この場合、閾値制御部71は、振幅判断部22の閾値を大きくなるように変更して、信号の歪を小さくする。すなわち、閾値制御部71は、ピーク復元量が小さくなるように閾値を変更し、信号の歪を小さくする。
また、閾値制御部71は、例えば、変調方式が16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、32QAM、64QAMと多値になるほど、受信側で適切に信号受信ができるよう、信号の歪を小さくする。この場合、閾値制御部71は、振幅判断部22の閾値を大きくなるように変更して、信号の歪を小さくする。すなわち、閾値制御部71は、ピーク復元量が小さくなるように閾値を変更し、信号の歪を小さくする。
また、閾値制御部71は、無線送信する信号のキャリア数に応じて、振幅判断部22の閾値を変更する。例えば、PAPRは、一般に無線送信する信号のキャリア数が少ないほど小さくなる。そこで、閾値制御部71は、無線送信する信号のキャリア数が少ないほど、振幅判断部22の閾値を大きくなるように変更する。なお、無線送信する信号のキャリアは、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)のキャリアやマルチキャリアCDMA(Code Division Multiple Access)のキャリアである。
閾値制御部71の変更する閾値は、プリエンファシス部72およびディエンファシス部73にも出力される。プリエンファシス部72は、閾値制御部71から出力される閾値に基づいて、プリエンファシス量を変更する。
例えば、プリエンファシス部72は、閾値制御部71から出力される閾値が小さい値に変更された場合、信号のピーク復元量が大きくなるので、高域成分の強調を大きくするようにする(より高域成分の信号が通過するようプリエンファシス量を増加する)。なお、プリエンファシス部72は、閾値制御部71から出力される閾値に基づいて、例えば、FIRフィルタの係数を変更し、プリエンファシス量を変更する。
ディエンファシス部73は、閾値制御部71から出力される閾値に基づいて、ディエンファシス量を変更する。
例えば、ディエンファシス部73は、閾値制御部71から出力される閾値が小さい値に変更された場合、信号のピーク復元量が大きくなるので、高域成分の抑制を大きくするようにする(より高域成分の信号が通過しないようにディエンファシス量を増加する)。なお、ディエンファシス部73は、閾値制御部71から出力される閾値に基づいて、例えば、IIRフィルタの係数を変更し、ディエンファシス量を変更する。
このように、ピーク抑圧装置の閾値制御部71は、無線送信する信号のキャリア数、変調方式、または要求されるEVMによって、クリップ部12のクリップする閾値を制御する。そして、プリエンファシス部72およびディエンファシス部73は、制御された閾値に基づいて、プリエンファシス量およびディエンファシス量を変更する。これにより、ピーク抑圧装置は、無線送信する信号を適切に受信側へ送信することができる。
11 プリエンファシス部
12 クリップ部
13 フィルタ部
14 ディエンファシス部
15 周波数変換部
16 増幅器

Claims (6)

  1. 無線送信される信号のピークを抑圧するピーク抑圧装置において、
    前記無線送信される信号に対し高域成分を強調するプリエンファシス処理を施すプリエンファシス部と、
    前記プリエンファシス部によってプリエンファシス処理が施された信号を所定の閾値で振幅制限するクリップ部と、
    前記クリップ部によって振幅制限された信号に対し高域成分を抑制するディエンファシス処理を施すディエンファシス部と、
    前記ディエンファシス部によってディエンファシス処理が施された信号を無線送信するために周波数変換する周波数変換部と、
    前記クリップ部の閾値を制御する閾値制御部と、
    を備え、
    前記プリエンファシス部は、前記閾値制御部の制御する閾値に基づいて前記無線送信される信号に対して施すプリエンファシス量を変更し、
    前記ディエンファシス部は、前記閾値制御部の制御する閾値に基づいて前記クリップ部によって振幅制限された信号に対して施すディエンファシス量を変更する、
    とを特徴とするピーク抑圧装置。
  2. 前記プリエンファシス部は、前記無線送信される信号に対しプリエンファシス処理を施すとともに帯域制限を行うことを特徴とする請求項1記載のピーク抑圧装置。
  3. 前記ディエンファシス部は、前記クリップ部によって振幅制限された信号に対しディエンファシス処理を施すとともに帯域制限を行うことを特徴とする請求項1記載のピーク抑圧装置。
  4. 前記閾値制御部は、前記無線送信される信号の変調方式、キャリア数、またはエラーベクタマグニチュードによって前記クリップ部の閾値を制御することを特徴とする請求項記載のピーク抑圧装置。
  5. 無線送信される信号のピークを抑圧するピーク抑圧装置のピーク抑圧方法において、
    前記無線送信される信号に対し高域成分を強調するプリエンファシス処理を施し、
    プリエンファシス処理が施された信号を所定の閾値で振幅制限し、
    所定の閾値で振幅制限された信号に対し高域成分を抑制するディエンファシス処理を施し、
    ディエンファシス処理が施された信号を無線送信するために周波数変換
    前記閾値の制御を行って、前記無線送信される信号に対して施すプリエンファシス量を変更し、
    前記閾値の制御を行って、振幅制限された信号に対して施すディエンファシス量を変更する、
    ことを特徴とするピーク抑圧方法。
  6. 無線送信する信号のピークを抑圧する無線通信装置において、
    前記無線送信する信号に対し高域成分を強調するプリエンファシス処理を施すプリエンファシス部と、
    前記プリエンファシス部によってプリエンファシス処理が施された信号を所定の閾値で振幅制限するクリップ部と、
    前記クリップ部によって振幅制限された信号に対し高域成分を抑制するディエンファシス処理を施すディエンファシス部と、
    前記ディエンファシス部によってディエンファシス処理が施された信号を無線送信するために周波数変換する周波数変換部と、
    前記クリップ部の閾値を制御する閾値制御部と、
    を備え、
    前記プリエンファシス部は、前記閾値制御部の制御する閾値に基づいて前記無線送信される信号に対して施すプリエンファシス量を変更し、
    前記ディエンファシス部は、前記閾値制御部の制御する閾値に基づいて前記クリップ部によって振幅制限された信号に対して施すディエンファシス量を変更する、
    とを特徴とする無線通信装置。
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