JP5735213B2 - 核酸分子の作製法 - Google Patents

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Description

分野
本発明は、概して、強化型固相ポリヌクレオチド増幅の後に、一本鎖核酸分子を作製する方法に関する。さらに、本発明は、固体マトリックスを、一本鎖核酸分子および二本鎖核酸分子で標識する方法を提供する。一本鎖核酸分子の作製および増幅反応の実施のためのキットも本発明の一部をなす。さらに、本発明は、レポーター分子で標識されてもよい一本鎖核酸分子を作製するための増幅系、ならびにこの一本鎖核酸分子の、特に、標識、プライマー、およびプローブとしての使用法を提供する。
背景
本明細書におけるいかなる先行技術に対する言及も、この先行技術があらゆる国におけるありふれた一般知識の一部をなすことを認識するものでも、いかなる形で示唆するものでもなく、またそのように解釈されるべきではない。
二本鎖DNA(dsDNA)は、二本鎖を分離することによって、または二重鎖のうちの一本の鎖を取り除くことによって、一本鎖DNA(ssDNA)に変換することができる。二重鎖の鎖は、鎖間結合を破壊する熱的手段または化学的手段によって分離することができる。一本の鎖を取り除くと、望ましい鎖を回収し、その相補鎖を排除することが可能になる。例えば、Nikiforovら(米国特許第5,518,900号(特許文献1))は、改変プライマーの5'末端にホスホロチエートヌクレオチド誘導体を組み込み、エキソヌクレアーゼ消化耐性にすることによって増幅に用いられる2つのプライマーのうちの1つを改変したことについて説明した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて標的配列を増幅した後に、dsDNAはエキソヌクレアーゼ消化に供される。保護されていない鎖は、5'→3'エキソヌクレアーゼによって優先的に消化されて、他方の鎖からなる一本鎖産物が残る。同様の戦略において、エキソヌクレアーゼ耐性分岐プライマー(Shchepinov et al, Nuc. Acids. Res. 25:4447-4454 1997(非特許文献1))またはλエキソヌクレアーゼが5'リン酸を有する基質を優先的に選択すること(Higuchi et al, Nucl. Acids Res. 25:5685, 1989(非特許文献2))が用いられている。
非対称PCR(Gyllensten and Erlich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7652-7656 1998(非特許文献3);米国特許第5,066,584号(特許文献2))は、一方のプライマーが限界濃度になるように不均衡なプライマー対濃度を用いることによって、サーモサイクリング間にssDNAを作製する。これは、過剰なプライマーによってプライミングされるssDNA産物に有利である。この手法には、必然的に、一方のプライマーは比較的低い濃度で用いられるので、本質的に処理能力に制限があるという問題がある。
競合プライマー非対称PCR(Gillespie, 1997(非特許文献4);米国特許出願第08/628,417号(特許文献3))は、ssDNAを作製するために、PCRサーモサイクリングの後であり、かつさらなるサーモサイクリングの前に競合プライマーを別に付加する。従って、この方法は、汚染リスク、ユーザーの誤り、ならびに処理時間および費用が高くなるために、特に診断の場面において望ましくない過剰な操作を必要とする。
Kaltenboeck et al, Biotechniques 12:164-171, 1992(非特許文献5)は、最初にPCRを行ってdsDNAを作製し、その後に、1つのプライマーを用いた第2の線形増幅のために、最初のPCRの産物をテンプレートとして使用して別個の反応を行うことによって、ssDNAを生成する方法について説明した。この方法も過剰な操作を必要とする。
1つのプライマーが固体表面とコンジュゲートしている対称PCRもしくは非対称PCRを用いて、またはフォワードプライマーおよびリバースプライマーが固体表面に直接コンジュゲートしている「架橋(bridge)」PCRを介して、固相マトリックスがPCR産物で標識されている。これらの手法はそれぞれ、速度論(kinetic)上の制約のために(競合阻害作用の有無にかかわらず、基質の有効濃度が低いために)かなり効率が悪い。必要に応じて、固相とコンジュゲートしているdsDNA産物は、化学的変性または熱による変性によって、固相とコンジュゲートしているssDNA産物に比較的簡単に変換することができる。
米国特許第6,277,604号(特許文献4)は、非対称PCRにおける、固定化プライマーと2種類の水相プライマーの使用について説明している。固定化プライマーのプライミング事象および伸長事象を促進にするために、水性プライマーの少なくとも1つは限界濃度で提供される。しかしながら、これは非効率につながり得る。
特異的な一本鎖核酸分子をさらに効率的に作製する方法を開発し、固体支持体を標識することが明らかに必要とされている。
米国特許第5,518,900号 米国特許第5,066,584号 米国特許出願第08/628,417号 米国特許第6,277,604号
Shchepinov et al, Nuc. Acids. Res. 25:4447-4454 1997 Higuchi et al, Nucl. Acids Res. 25:5685, 1989 Gyllensten and Erlich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7652-7656 1998 Gillespie, 1997 Kaltenboeck et al, Biotechniques 12:164-171, 1992
概要
本明細書および以下の特許請求の範囲全体を通じて、文脈によって特に必要とされない限り、単語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの語尾変化は、述べられた整数または整数もしくは工程の集まりを含むことを意味するが、他の任意の整数または整数の集まりを排除することを意味しないことが理解されるだろう。
本発明は、一本鎖(ss)ポリヌクレオチド、特に、特異的なssDNA分子を作製し、固相ポリヌクレオチド増幅を強化するためのプロセスを定義する。さらにより具体的には、本発明は、特定のアニーリング条件でディファレンシャルなプライミング特性を有するプライマーを用いる増幅反応を使用する。許容(permissive)アニーリング条件の存在下で、ある期間にわたって指数関数的増幅が行われた後に、ディファレンシャルなプライミングを促進して、ssDNAまたはそのヌクレオチド類似体含有型を効率的に作製するために、アニーリング条件が変えられる。ディファレンシャルなプライマーアニーリング特性はまた、速度論上の利点をもたらす特定のプライマー設計によって、または許容/非許容(non-permissive)アニーリングおよびプライマー設計の両方によって生じてもよい。従って、プライマー設計によって、固体支持体プライマーのプライミングへの関与は水相プライマーと比べて強化されている。従って、感度の低い非対称増幅は、固体支持体上にアンプリコンを多量にローディングする必要がない。本発明は、欠陥がなく、かつ感度がさらに高い固相増幅を促進する。固体支持体上にアンプリコン関連シグナルが多量にローディングされる。本発明の方法は、追加の試料操作も処理も必要とすることなく増幅反応容器内で行うことができる。好都合なことに、必ずしもそうとは限らないが、プライマーの少なくとも1つは、特定されるシグナルを生じることができるレポーター分子で標識される。
本明細書における方法は強化型固相PCR(「ESP-PCR」)と呼ばれる。
従って、本発明は、核酸を固相増幅する方法を意図する。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体支持体と、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程であって、
固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっている(nested)プライマー;
からなるリストより選択される、工程を含む。
プライマーの文脈において「入れ子になっている」への言及は、完全に入れ子になっているプライマーおよび部分的に入れ子になっているプライマーを含む。結果として生じる固定化された核酸はssでもよく、dsでもよい。次いで、固定化されたds核酸分子は、固定化されたss核酸分子または水相ss核酸分子のいずれかまたはその両方を作製するために変性されてもよい。
別の局面によれば、本発明は、反応容器内で一本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させて、固体マトリックスに固定化された二本鎖ポリヌクレオチドの作製を促進する反応条件下で、接触させることによって、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程、ならびに
次いで、固定化されたポリヌクレオチドを変性条件に供して、固定化された一本鎖ポリヌクレオチドおよび液相一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程を含む。
増幅反応は、特に、対称増幅、非対称増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅法(strand displacement amplification)(SDA)、リガーゼ連鎖反応、ニッキング制限エンドヌクレアーゼ(ニッキングRE)、SDA、または全ゲノム増幅でもよい。好都合なことに、水相プライマーの少なくとも1つは、特定可能なシグナルを生じることができるレポーター分子で標識される。
前記の方法は、本明細書においてESP-PCRと呼ばれる段階的増幅反応の一形態である。この段階的なスキームは、1回目および2回目のアニーリング条件またはプライマー設計に応じて「ステップアップ(step up)」でもよく、「ステップダウン(step down)」でもよい。ディファレンシャルアニーリング条件の例には、異なるアニーリング温度、プライマーと標的相補ポリヌクレオチドとのミスマッチの程度、外来配列または補助配列の存在、および標的ヌクレオチド配列上の異なる相補(complementarily)部位の中のプライマー設計が含まれる。一態様では、プライマーの一方または両方は、他のプライマーと比較して異なる融解温度をもたらす「ヒール(heel)」または「ヘッド(head)」ヌクレオチド配列を保有し、「ヒール」または「ヘッド」ヌクレオチド配列は標的ポリヌクレオチド配列と相同性によって関連してもよく、関連しなくてもよい。
従って、本発明はまた、核酸増幅の偏りの低下を助ける1つまたは複数の外来配列または補助配列を保有するプライマーを用いて行われてもよい。
本発明のプロセスには、ハイブリダイゼーション反応(例えば、ノザンブロット、サザンブロット、クローンライブラリースクリーニング、インサイチューハイブリダイゼーション、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH))、およびマイクロアレイ(例えば、チップ、ビーズ、または他の固体マトリックスをベースとする分析)のためのプローブの作製の基礎となる様々な用途がある。本方法はまた、本プロセスにおいて使用するためのssDNAテンプレートを作製するために、dsDNA標的が5'→3'エキソヌクレアーゼ消化に供される別の改良された増幅プロセスと共に用いられてもよい。
さらに、本発明は、固相マトリックスをポリヌクレオチドで直接標識する方法、例えば、マイクロアレイ特徴作製(microarray feature generation)、ゲル電気泳動をベースとしない核酸分析用のマイクロタイタープレート標識、ゲル電気泳動をベースとしない遺伝子分析(例えば、FACSをベースとする遺伝子分析)用のビーズ標識において、およびハイスループットシークエンス法またはビーズマイクロアレイ用途の前のエマルジョンPCRにおいて、固相マトリックスをポリヌクレオチドで直接標識する方法を意図する。反応容器および試薬を含むキットも本発明の一部である。「標識する」は、化学発光分子もしくは生物発光分子などのレポーター分子で標識すること、および/または核酸分子で標識することを含む。
従って、本発明はまた、試薬成分、核酸成分、ハードウェア成分、および説明書成分を含む増幅系に関する。系の成分は、一本鎖ポリヌクレオチド産物を作製するように互いに相互作用する。
本発明はまた、固相マトリックスへのポリヌクレオチドの直接標識、例えば、マイクロアレイまたは固体アレイ特徴作製、ゲルに基づかない核酸分析(例えば、FACSをベースとする遺伝子分析)用のマイクロタイタープレート標識における、およびハイスループットシークエンス法またはビーズマイクロアレイ用途の前のエマルジョン増幅における、固相マトリックスへのポリヌクレオチドの直接標識において有用である。本発明はまた、固体支持体に固定化されたss核酸分子、または固定化されたds核酸分子を変性した後に水相中にあるss核酸分子を作製するのに使用することができる。
従って、特定の一態様において、本発明は、固体マトリックスを一本鎖ポリヌクレオチドで標識する方法を意図する。この方法は、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程、第2のアニーリング条件セット下で増幅産物の1本の鎖にアニーリングすることができるプライマーの少なくとも1つが固定化されている、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を、増幅の増幅産物と接触させる工程、アニーリング条件を第2のアニーリング条件セットに変えて、1種類のプライマーに基づく増幅を容易にして、固体マトリックスに固定化された一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程を含む。
別の態様において、本発明は、固体マトリックスを一本鎖ポリヌクレオチドで標識する方法を提供する。この方法は、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程、第2のアニーリング条件セット下で増幅産物の1本の鎖にアニーリングすることができるプライマーの少なくとも1つが固定化されている、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を、増幅の増幅産物と接触させる工程、二本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程、次いで、二本鎖ポリヌクレオチドを変性して、固体マトリックスに固定化されている一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程を含む。
固体マトリックスを標識する方法も提供される。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程を含む。
「固体マトリックス」への言及は、核酸分子を固定化することができる、固相、支持体もしくは他の表面、またはビーズを含む。
前記の方法は、一本鎖ポリヌクレオチドを「フィルイン(filling in)」して、固体マトリックスに固定化された二本鎖ポリヌクレオチドを作製するために、アニーリング条件を第1の条件セットに変える選択肢を含む。
従って、本発明は、二本鎖ポリヌクレオチドで標識された、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を作製する方法まで及ぶ。この方法は、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程、第2のアニーリング条件セット下で増幅産物の鎖にアニーリングすることができるプライマーの少なくとも1つが固定化されている、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を、増幅の産物と接触させる工程、ならびにアニーリング条件を第2のセットに変えて、1種類のプライマーに基づく増幅を容易にして、固体マトリックスに固定化された一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程; 第1のアニーリング条件セットに変える工程であって、これによって、他方のプライマーの存在下で、固定化された一本鎖ポリヌクレオチドが相補鎖を生じ、固体マトリックスが、固定化された二重鎖ポリヌクレオチドを含む、工程を含む。
さらなる態様において、水相一本鎖ポリヌクレオチドまたは固定化された一本鎖ポリヌクレオチドを作製するために、二重鎖ポリヌクレオチドは、例えば、化学的熱的手段によって変性される。
二本鎖ポリヌクレオチドで標識された、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を作製する方法も提供される。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させることによって、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程を含む。
入れ子になっているプライマーと一緒に許容条件および非許容条件を使用することもできる。
本明細書において使用する略語を表1において定義した。
(表1)略語
Figure 0005735213
本明細書において使用する配列識別番号をまとめたものを表2に示した。
(表2)配列識別番号
Figure 0005735213
[請求項101]
反応容器内で一本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法であって、以下の工程を含む方法:
リンカー手段を介して固体マトリックスに結合しているプライマーを有する固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させて、固体マトリックスに固定化された二本鎖ポリヌクレオチドの作製を促進する反応条件下で接触させることによって、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程であって、
固定化されたプライマーが、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっている(nested)プライマー
からなるリストより選択される、工程、ならびに、
次いで、固定化されたポリヌクレオチドを変性条件に供して、固定化された一本鎖ポリヌクレオチドおよび液相一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程。
[請求項102]
固定化された一本鎖ポリヌクレオチドまたは水相一本鎖ポリヌクレオチドを単離するために、相分離工程をさらに含む、請求項101記載の方法。
[請求項103]
核酸分子を固相増幅する方法であって、以下の工程を含む方法:
リンカー手段を介して固体支持体に結合しているプライマーを有する固体支持体と、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程であって、
固定化されたプライマーが、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程。
[請求項104]
異なる融解温度が、異なるアニーリング温度、プライマーと標的相補ポリヌクレオチドとの間のミスマッチの程度、および/または外来配列の存在の1つまたは複数によるものである、請求項101または103記載の方法。
[請求項105]
プライマーの一方または両方が、標的相補ポリヌクレオチドと相同性によって関連してもよく、または関連しなくてもよいヘッド(head)ヌクレオチド配列またはヒール(heel)ヌクレオチド配列を含み、それによって、他のプライマーと比較して高い融解温度を与える、請求項104記載の方法。
[請求項106]
増幅しようとする標的が陥凹(recessed)5'末端または平滑末端のいずれかを含み、5'→3'エキソヌクレアーゼとインキュベートされると一本鎖ポリヌクレオチドテンプレートを生じる、請求項101または103または104または105記載の方法。
[請求項107]
固体マトリックスを一本鎖ポリヌクレオチドで標識する方法であって、以下の工程を含む方法:
第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程、
第2のアニーリング条件セット下で増幅産物の鎖にアニーリングすることができるプライマーの少なくとも1つがその上に固定化されている、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を、増幅の増幅産物と接触させる工程、ならびに
アニーリング条件を第2の条件セットに変え、それにより1種類のプライマーに基づく増幅を促進して、該固体マトリックスに固定化された一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程。
[請求項108]
固体マトリックスを標識する方法であって、以下の工程を含む方法:
リンカー手段を介して固体マトリックスに結合しているプライマーを有する固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程であって、
固定化されたプライマーが、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程。
[請求項109]
異なるアニーリング条件または異なる融解温度が、異なるアニーリング温度、プライマーと標的相補ポリヌクレオチドとの間のミスマッチの程度、および/または外来配列の存在の1つまたは複数によるものである、請求項107または108記載の方法。
[請求項110]
プライマーの一方または両方が、標的相補ポリヌクレオチドと相同性によって関連してもよく、または関連しなくてもよいヘッドヌクレオチド配列またはヒールヌクレオチド配列を含み、それによって、他のプライマーと比較して高い融解温度を与える、請求項109記載の方法。
[請求項111]
増幅しようとする標的が陥凹5'末端または平滑末端のいずれかを含み、5'→3'エキソヌクレアーゼとインキュベートされると一本鎖ポリヌクレオチドテンプレートを生じる、請求項107または108または109または110記載の方法。
[請求項112]
反応を第2のアニーリング条件セットに供した後に、固定化された一本鎖ポリヌクレオチド上での相補鎖の作製を促進して固体マトリックスに固定化された二重鎖ポリヌクレオチドを形成するために、許容(permissive)アニーリング条件セットに戻す工程をさらに含む、請求項107または108または109または110記載の方法。
[請求項113]
ポリヌクレオチドがDNAである、請求項101〜112のいずれか一項記載の方法。
[請求項114]
反応容器内でssDNAを作製する方法であって、以下の工程を含む方法:
第1のアニーリング条件(相互許容(mutually permissive)条件)セットで類似の(バランスがとれている(balanced))アニーリングプライマーを有するが、第2のアニーリング条件(ディファレンシャル許容(differentially permissive)条件)セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有する一対のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、反応容器内で、dsDNAまたはmRNA標的から、固定化された標的ssDNAテンプレートの増幅反応を行う工程であって、増幅は相互許容アニーリング条件下で進行させられる、工程;
条件をディファレンシャル許容条件に変えて、プライマーをアンバランスにし、それによって、実質的に、1種類だけのプライマーの存在下で、線形増幅を促進して、ssDNA産物を作製する工程;ならびに
ポリメラーゼ活性を不活性化して、dsDNA形成を実質的に減らすか、または妨げる工程。
[請求項115]
二本鎖ポリヌクレオチドで標識された、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を作製する方法であって、以下の工程を含む方法:
リンカー手段を介して固体マトリックスに結合しているプライマーを有する固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させることによって、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程であって、固定化されたプライマーが、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程。
[請求項116]
増幅しようとする標的が陥凹5'末端または平滑末端のいずれかを含み、5'→3'エキソヌクレアーゼとインキュベートされると一本鎖ポリヌクレオチドテンプレートを生じる、請求項114または115記載の方法。
[請求項117]
エキソヌクレアーゼが等温増幅に必要な試薬と共にインキュベートされる、請求項106または111または116記載の方法。
図面の中には、カラーの図または物が収められているものもある。カラー写真は、請求により特許権者から、または適切な特許庁から入手可能である。特許庁から入手する場合には、料金が課せられる場合がある。
(i)一本鎖アンプリコンまたは二本鎖アンプリコンを固体支持体上にローディングするための強化型固相PCR(ESP-PCR)スキームの模式図と(ii)固体支持体プライマー設計(1〜4)の模式図である。詳細な説明については、実施例1を参照されたい。(i):a-「フォワード」PCRプライマーを表す;b-「リバース」プライマーを表す;c-例えば、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いた、指数関数的増幅(例えば、PCR);d-固体支持体プライマー[(ii)を参照されたい];e-多数のdsコピー/固体支持体;f-多数のssコピー/固体支持体;g-(任意)プライマーaおよびbに対して非許容的な「段階的」アニーリング条件によるサイクル;h-(任意)「フィルイン」;(ii):a-「フォワード」PCRプライマーを表す;b-「リバース」プライマーを表す;c-先行技術の固相PCR固体支持体プライマー設計;d-例えば、3-プライム伸長。Tmがより高い;e-強化型固相PCR固体支持体プライマー設計;f-例えば、入れ子または部分的に入れ子になっている;g-例えば、入れ子または部分的に入れ子になっており、Tmがより高い。 標準的な(A)SP-PCRに比べて、(B)ESP-PCRを使用すると固体支持体プライミングが増強する機構の模式図である。各反応混合物には、非限定的な濃度の「水性」フォワード(矢印)およびリバースプライマーと、固体支持体プライマー(球体とつながっている矢印)が含まれている。「水性」プライマーは、アンプリコン(破線)を作製するように従来のPCRに加わる。固体支持体プライマーもまた、これらのサイクルの間に伸長反応をプライミングし、その結果、産物が固体支持体表面上にローディングされる。しかしながら、標準的なSP-PCR(A)では、一致する配列において「水性」プライマーと競合することによって、固体支持体プライマーの関与が阻害され、その結果、アンプリコンのローディングはかなり悪くなる。(A)の垂直の線は伸長が阻害されたことを示している。ESP-PCR(B)では、Tmが比較的高い、入れ子の固体支持体プライマーを使用することによって、このような阻害は避けられる。点線は伸長事象を示している。(A)標準的なSP-PCR固体支持体プライマー配列における固体支持体プライミングは、その対応する「水性」プライマーと一致している;(a)-固体支持体プライマーのプライミングは、その「水性」プライマー対応物によって抑え込まれる;(b)-一本鎖アンプリコン;(B)ESP-PCRプライマーにおける固体支持体プライミングは、異なる結合部位および「水性」プライマー結合とポリメラーゼ結合との時間のずれを利用することによってアンプリコンへの結合においてESP-PCRプライマーと「水性」プライマーとの競合が低下するように入れ子になっている。固体支持体プライマーの有効濃度を上げるためには、高いTmもある。(a)-固体支持体プライマーのプライミングは競合する;(b)-一本鎖アンプリコン。
詳細な説明
本発明は、一本鎖(ss)ポリヌクレオチド、特に、固体支持体に固定化されたssDNA、または固定化された鎖(ds)ポリヌクレオチドから作製された固定化型ssDNAもしくは水性型ssDNAの作製を促進する改良された増幅反応に関する。本発明は、一部、増幅反応において、あるアニーリング条件セットでは類似のアニーリング特徴を有し(ここで、プライマーは「バランスがとれている(balanced)」とみなされ、アニーリング条件は「相互許容(mutually permissive)」とみなされる)、別のアニーリング条件セットでは、異なる、またはディファレンシャルな、または似ていないアニーリング特徴を有する(ここで、プライマーは「バランスがとれていない(unbalanced)」とみなされ、アニーリング条件は「「ディファレンシャル許容(differentially permissive)」」とみなされる)プライマーを使用することに基づいている。代わりに、もしくは加えて、水相オリゴヌクレオチドのプライミングを上回る、固体支持体プライミングの異なる速度論上の利点を可能にするプライマー設計から異なるアニーリング条件が生じる。
従って、本発明の一局面は固相増幅方法を意図する。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体支持体と、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程を含む。
プライマーの文脈において「入れ子になっている」への言及は、完全に入れ子になっているプライマーおよび部分的に入れ子になっているプライマーを含む。
「配列同一性を共有する」への言及は、実質的な同一性、ならびに少なくとも80%の配列同一性、例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含む。
前記のように、フォワードプライマーおよびリバースプライマーはアニール特性に関して「バランスがとれている」または「バランスがとれていない」と呼ばれることがあり、アニーリング条件は、プライマーへの影響に関して、相互許容、またはディファレンシャル許容とみなされる。同様に、プライマー設計により、ディファレンシャル許容プライマーが容易となることがある。
従って、バランスがとれているプライマーまたはバランスがとれていないプライマーは、ある特定の条件セットまたはある特定のプライマーセットにおいて、すなわち、相互許容アニーリング条件または相互許容プライマーにおいて、両プライマーとも結合するか、または別の方法でハイブリダイズして、同様の効率で二重鎖を形成することを意味する。
ところが、ディファレンシャル許容アニーリング条件(すなわち、別の条件セット)では、これらのプライマーはバランスがとれていない。なぜなら、この条件は二重鎖形成およびプライミングに有利であり得るからである。
従って、本発明は、反応容器内で、固体支持体に固定化された一本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法としてさらに定義されてもよい。この方法は、相互許容条件で、バランスがとれている一対のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、容器内で、固体支持体に固定化された標的ポリヌクレオチドの増幅反応を行う工程、次いで、アニーリング条件を、プライマーのバランスがとれていないディファレンシャル許容条件に変える工程、ならびに反応を続けて一本鎖ポリヌクレオチド産物を作製する工程、次いで、ポリメラーゼ活性を不活性化して、二本鎖ポリヌクレオチドの形成を実質的に妨げる工程を含む。
別の態様において、dsポリヌクレオチドは固体支持体上に作製され、次いで、固定化されたssポリヌクレオチドまたは水相ポリヌクレオチドを作製するために、固体支持体は(例えば、化学的手段または熱的手段によって)変性条件に供される。
従って、本発明は、固体マトリックスを一本鎖ポリヌクレオチドで標識する方法を提供する。この方法は、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程、第2のアニーリング条件セット下で増幅産物の鎖にアニーリングすることができるプライマーの少なくとも1つが固定化されている、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を、増幅の増幅産物と接触させる工程、二本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程、次いで、二本鎖ポリヌクレオチドを変性して、固体マトリックスに固定化されている一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程を含む。
変性は、化学的手段または熱的手段を含む任意の手段によるものでよい。
別の局面は、反応容器内で一本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させて、固体マトリックスに固定化された二本鎖ポリヌクレオチドの作製を促進する反応条件下で接触させることによって、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程、ならびに、次いで、固定化されたポリヌクレオチドを変性条件に供して、固定化された一本鎖ポリヌクレオチドおよび液相一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程を含む。
結果として生じた混合物を相分離手段に供するさらなる工程も行われてよい。
別の態様において、反応容器内で一本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法が提供される。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程を含む。
好ましくは、ポリヌクレオチドはDNAである。従って、本発明は、特に、ssDNAの作製に関する。しかしながら、出発物質は好ましくはdsDNAであるが、本発明は、dsDNAまたはssDNAに変換されるmRNAも使用してよく、ssDNAも使用してよい。さらに、dsDNAは固体支持体上に作製され、次いで、固定化されたssDNAまたは水相ssDNAを作製するために変性条件に供されてもよい。
本発明の別の局面は、反応容器内でssDNAを作製する方法を提供する。この方法は、第1のアニーリング条件(相互許容条件)セットで類似の(バランスがとれている)アニーリングプライマーを有するが、第2のアニーリング条件(ディファレンシャル許容条件)セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有する一対のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、反応容器内で、dsDNAまたはmRNA標的から、固定化された標的ssDNAテンプレートの増幅反応を行う工程であって、増幅は相互許容アニーリング条件下で進行する、工程;条件をディファレンシャル許容条件に変えて、プライマーをアンバランスにし、それによって、実質的に、1種類だけのプライマーの存在下で、線形増幅を容易にして、ssDNA産物を作製する工程;ならびにポリメラーゼ活性を不活性化して、dsDNA形成を実質的に減らすか、または妨げる工程を含む。
本発明のさらに別の局面は、反応容器内でssDNAを作製する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの核酸分子を含む反応容器内で、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程を含む。
ディファレンシャル許容アニーリング条件またはプライマーと、相互許容アニーリング条件またはプライマーは、例えば、ミスマッチの程度、プライマー上の「ヘッド」もしくは「テール(tail)」外来ヌクレオチド配列の存在、二重鎖を形成する標的テンプレート上のハイブリダイゼーション部位、またはステップアップもしくはステップダウンして、バランスがとれていないプライマー条件を生じさせる他の特徴の存在に関連する。
本発明の方法は、特定の産物を作製するために増幅反応を改良したものとみなされてもよい。改良点は、アニーリング条件の許容度に応じて、ディファレンシャルに、または相互にバランスがとれているプライマーを使用したことである。
従って、本発明は、テンプレート一本鎖ポリヌクレオチド、例えば、dsDNAなどの二本鎖ポリヌクレオチドから作製されたssDNAを指数関数的に増幅するために、またはmRNAから直接もしくはcDNAを介して作製するためにフォワードプライマーおよびリバースプライマーが用いられる、改良された増幅反応を意図する。ここで、改良点は、アニーリング条件を第2のセットに変えると1種類のプライマーの存在下での増幅が容易になり、その結果、ssDNAなどの実質的に一本鎖のポリヌクレオチドが生成されるように、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特徴を有し、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特徴を有するプライマーを選択することを含む。
代わりに、もしくは加えて、プライマー設計を用いて、固定化されたプライマーを2つの水相プライマー間に入れ子にする。
さらに、本発明は、反応容器内で一本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させて、固体マトリックスに固定化された二本鎖ポリヌクレオチドの作製を促進する反応条件下で接触させることによって、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される工程、ならびに、次いで、固定化されたポリヌクレオチドを変性条件に供して、固定化された一本鎖ポリヌクレオチドおよび液相一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程を含む。
本発明のこの局面は、3'テンプレート結合領域にコンジュゲートした非プライマー結合領域5'外来ヌクレオチド配列を組み込むことによって、潜在的に増幅が偏るという問題に対処する。このような一方のプライマーまたは両方のプライマーが、増幅ホモログの全体にわたって増幅効率を均一にするクランプ(clamp)として働く5'外来配列(ヒール配列)を組み込んでいる。ヒール配列は標的配列と相同性によって関連してもよく、関連しなくてもよい。
なおさらなる局面は、反応容器内で一本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される、工程を含む。
本明細書の方法のバリエーションには、入れ子になっているプライマーおよびディファレンシャルな融解条件の使用が含まれる。
本発明には、ハイブリダイゼーション反応、例えば、ノザンブロット、サザンブロット、クローンライブラリースクリーニング、インサイチューハイブリダイゼーション、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、およびマイクロアレイ分析、例えば、チップ、ビーズ、または他の固体マトリックスを用いたマイクロアレイ分析において使用するための一本鎖ヌクレオチドプローブの作製を含む多くの用途がある。プライマーはまた、特定可能なシグナルを生じることができるレポーター分子で標識されてもよい。例えば、蛍光標識、リン光標識、化学発光標識、または放射性標識をプライマーに組み込むことができる。代替の標識には、ビオチン-dUTP、フィコエリトリン-dUTP、フルオレセイン-dUTP、および[α-32P]-dUTPが、可能性のある全てのその異性体を含めて、含まれるが、これに限定されない。酵素に基づくアッセイおよび化学検出アッセイも使用することができる。
本発明の方法はまた、他の増幅を改良したもの、例えば、dsDNA標的からssDNAテンプレートを作製するために、エキソヌクレアーゼ、特に、5'→3'エキソヌクレアーゼを用いる増幅系と併用されてもよい。
従って、本発明の別の局面は、反応器内でssDNAを作製する方法を提供する。この方法は、dsDNA標的または増幅しようとするdsDNA標的領域を得る工程であって、前記dsDNAは陥凹(recessed)5'末端または平滑末端を含む、工程、dsDNAを、5'→3'エキソヌクレアーゼとDNA等温増幅に必要な試薬と一緒にインキュベートする工程であって、5'→3'エキソヌクレアーゼは、増幅用のテンプレートとして用いられたdsDNAの各鎖の3'→5'ssDNA断片を含むssDNAテンプレートを作り出す、工程;第1のアニーリング条件(相互許容条件)セットで類似の(バランスがとれている)アニーリングプライマーを有するが、第2のアニーリング条件(ディファレンシャル許容条件)セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有する一対のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、ssDNA上で増幅反応を行う工程であって、増幅は、相互許容アニーリング条件下で進行する工程;条件をディファレンシャル許容条件に変えて、プライマーをアンバランスにし、それによって、実質的に、1種類だけのプライマーの存在下で、線形増幅を容易にして、ssDNA産物を作製する工程;ならびにポリメラーゼ活性を不活性化して、dsDNA形成を実質的に減らすか、または妨げる工程を含む。
本発明の別の局面は、反応器内でssDNAを作製する方法を提供する。この方法は、dsDNA標的または増幅しようとするdsDNA標的領域を得る工程であって、前記dsDNAは陥凹5'末端または平滑末端を含む、工程、dsDNAを、5'→3'エキソヌクレアーゼとDNA等温増幅に必要な試薬と一緒にインキュベートする工程であって、5'→3'エキソヌクレアーゼは、増幅用のテンプレートとして用いられたdsDNAの各鎖の3'→5'ssDNA断片を含むssDNAテンプレートを作り出す、工程;およびリンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させることによって、ssDNA上で増幅反応を行う工程であって、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される工程を含む。
なおさらに、本明細書に記載の方法は増幅の偏りを減らす方法と共に用いられてもよい。
従って、別の局面は、反応容器内で一本鎖ポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。この方法は、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有する一対のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、容器内で標的ポリヌクレオチドの増幅反応を行う工程であって、増幅は第1のアニーリング条件セット下で進行する、工程;アニーリング条件を第2のアニーリング条件セットに変えて、実質的に、対の一方のプライマーだけの存在下で、線形用途を促進する工程、ならびに、次いで、増幅反応においてポリメラーゼ活性を不活性化して、二本鎖ポリヌクレオチドの形成を実質的に妨げる工程を含み、増幅工程は、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、前記ポリヌクレオチド標的の核酸テンプレートを増幅に供する工程を含み、少なくとも1つのプライマーは、3'テンプレート結合プライマー領域にコンジュゲートした5'外来ヌクレオチド配列を含有し、外来ヌクレオチド配列は最初のプライミングの後に増幅産物に組み込まれる。
この工程は増幅の偏りを減らす。前記のように、5'外来配列は標的配列と関連してもよく、関連しなくてもよい。
本発明はまた、固相マトリックスへのポリヌクレオチドの直接標識において、例えば、マイクロアレイまたは固体アレイ特徴作製、ゲルに基づかない核酸分析用のマイクロタイタープレート標識、ゲルに基づかない遺伝子分析(例えば、FACSに基づく遺伝子分析)用のビーズ標識、およびハイスループットシークエンス法またはビーズマイクロアレイ用途の前のエマルジョン増幅において有用である。
従って、特定の1つの態様において、本発明は、固体マトリックスを一本鎖ポリヌクレオチドで標識する方法を意図する。この方法は、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程;第2のアニーリング条件セット下でアンプリコン産物の鎖にアニーリングすることができるプライマーの少なくとも1つが固定化されている、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を、アンプリコン増幅産物と接触させる工程、ならびにアニーリング条件を第2のセットに変えて、1種類のプライマーに基づく増幅を容易にして、前記固体マトリックスに固定化された一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程を含む。
さらに、前記の方法は、ssポリヌクレオチドを「フィルイン」して、固体マトリックスに固定化されたdsポリヌクレオチドを作製するために、アニーリング条件を第1の条件セットに変える工程を任意で含んでもよい。言い換えると、これらの条件は許容条件に変えられる。次いで、固定化されたssポリヌクレオチドおよび水相ssポリヌクレオチドを作製するために、二本鎖ポリヌクレオチドは変性されてもよい。
従って、本発明は、二本鎖ポリヌクレオチドで標識された、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を作製する方法まで及ぶ。この方法は、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、標的二本鎖ポリヌクレオチドまたはその一本鎖誘導体を指数関数的増幅に供する工程;第2のアニーリング条件セット下でアンプリコン産物の鎖にアニーリングすることができるプライマーの少なくとも1つが固定化されている、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を、アンプリコン増幅産物と接触させる工程、ならびにアニーリング条件を第2のセットに変えて、1種類のプライマーに基づく増幅を容易にして、前記固体マトリックスに固定化された一本鎖ポリヌクレオチドを作製する工程;アニーリング条件を第1の条件セットに変え、これにより、他のプライマーの存在下で、固定化された一本鎖ポリヌクレオチドが完全な鎖または固定化された鎖にハイブリダイズする鎖を生じて、二重鎖ポリヌクレオチドで標識された固体マトリックスを作製する、工程を含む。
さらなる態様において、二本鎖ポリヌクレオチドで標識された、固体マトリックスまたは固体マトリックスの組成物を作製する方法が提供される。この方法は、リンカー手段を介してプライマーが結合している固体マトリックスと、少なくとも1つの核酸分子を含む試料を、固定化されたプライマーを伸長させる反応条件下で接触させる工程を含み、固定化されたプライマーは、
(i)水相プライマーと配列同一性を共有するが、固定化されたプライマーと比べて異なる融解温度を有するプライマー;および
(ii)2つの水相プライマー間に入れ子になっているプライマー
からなるリストより選択される。
本発明の説明において、以下の用語および内容が定義されるか、または明確にされる。
本明細書において言及される全ての科学引用文、特許、特許出願、および製造業者の技術仕様書は、その全体が参照により組み入れられる。
特に定めのない限り、本発明は、特定の試薬、プロセス工程、または用途などに限定されず、このような試薬、プロセス工程、または用途は変更してもよいことが理解される。本明細書において使用する用語は特定の態様の説明のみを目的とし、限定を目的としないことも理解されるはずである。
本明細書において使用するように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきり規定されていない限り複数の局面を含む。従って、例えば、「1つの標的」についての言及は、1種類の標的ならびに2種類またはそれ以上の標的を含み、「1回の増幅」についての言及は、1回の増幅ならびに複数回の増幅工程を含み、「そのアンプリコン」についての言及は、1つのまたは複数のまたは複合のアンプリコンを含む。
本明細書において使用する核酸化学、生化学、遺伝学、および分子生物学の用語および記号は、これらの分野における標準的な論文および教科書、例えば、Kornberg and Baker, DNA Replication, Second Edition (W.H. Freeman, New York, 1992); Lehninger, Biochemistry, Second Edition (Worth Publishers, New York, 1975); Strachan and Read, Human Molecular Genetics, Second Edition (Wiley-Liss, New York, 1999); Eckstein (Ed), Oligonucleotides and Analogs: A Practical Approach (Oxford University Press, New York, 1991); Gait (Ed), Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 1984)などの用語および記号に従う。
「アンプリコン」は、ポリヌクレオチド増幅反応の産物を意味する。すなわち、アンプリコンは、1つまたは複数の出発配列から複製されるポリヌクレオチドの集団であるが、通常、必ずしも二本鎖とは限らない。1つまたは複数の出発配列は1コピーまたは複数コピーの同じ配列でもよく、異なる配列の混合物でもよい。アンプリコンは様々な増幅反応によって生成することができ、増幅反応の産物は1つまたは複数の標的核酸の複数の複製物である。一般的に、アンプリコンを生成する増幅反応は、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのいずれかである反応物の塩基対形成が、反応産物の作製に必要なテンプレートポリヌクレオチドにおいて相補性を有するという点で「テンプレート型(template-driven)」である。1つの局面において、テンプレート型反応は、核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長または核酸リガーゼによるオリゴヌクレオチド連結である。このような反応には、参照により本明細書に組み入れられる以下の参考文献:Mullis et al,米国特許第4,683,195号;同第4,965,188号;同第4,683,202号;同第4,800,159号(PCR)号;Gelfand et al, 米国特許第5,210,015号(「taqman」プローブを用いたリアルタイムPCR); Wittwer et al, 米国特許第6,174,670号; Kacian et al, 米国特許第5,399,491号(「NASBA」); Lizardi, 米国特許第5,854,033号; Aono et al,特開平04-262799(ローリングサークル増幅)などに開示される、PCR、リニアポリメラーゼ反応(linear polymerase reaction)、NASBAs、ローリングサークル増幅などが含まれるが、これに限定されない。
増幅反応は、検出化学反応によって増幅反応の進行にともなって反応産物を測定することができる「リアルタイム」増幅でもよい。増幅は非対称増幅でもよく、対称増幅でもよい。
本明細書で使用する「増幅する」という用語は増幅反応を行うことを意味する。「反応混合物」または「反応容器」は、反応を行うのに必要な反応物を全て含有する溶液または区画を意味する。反応物は、反応中にpHを選択されたレベルに維持する緩衝剤、塩、補因子、スカベンジャーなどを含んでもよいが、これに限定されない。
「相補的な、または実質的に相補的な」は、ヌクレオチド間または核酸間の、例えば、dsDNA分子の2本鎖間の、またはオリゴヌクレオチドプライマーと一本鎖核酸上のプライマー結合部位との間の、ハイブリダイゼーションまたは塩基対形成または二重鎖形成を指す。相補的なヌクレオチドは、一般的に、AとT(もしくはAとU)またはCとGである。2本の一本鎖RNA分子またはDNA分子は、一方の鎖のヌクレオチドが、最適にアラインメントおよび比較され、適切なヌクレオチド挿入または欠失がある時に、他方の鎖のヌクレオチドの少なくとも約80%、通常、少なくとも約90%〜95%、より好ましくは約98〜100%と対になる時に実質的に相補的であるといわれる。または、実質的な相補性は、例えば、DNA鎖が選択的ハイブリダイゼーション条件下で相補鎖とハイブリダイズする時に存在する。典型的には、選択的ハイブリダイゼーションは、少なくとも14〜25ヌクレオチドの配列にわたって少なくとも約65%の相補性がある、好ましくは少なくとも約75%の相補性がある、より好ましくは少なくとも約90%の相補性がある時に起こる。参照により本明細書に組み入れられる、Kanehisa Nucleic Acids Res. 12:203, 1984を参照されたい。
「二重鎖」は、安定した複合体が形成されるように、完全にまたは部分的に相補的な少なくとも2本のオリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドが全てまたは大部分のヌクレオチドの中でWatson-Crick型塩基対を形成していることを意味する。「アニーリング」および「ハイブリダイゼーション」という用語は、安定した二重鎖の形成を意味するために同義に用いられる。二重鎖に関する「完全にマッチした」は、二重鎖を構成するポリヌクレオチド鎖またはオリゴヌクレオチド鎖の全てのヌクレオチドが他方の鎖のヌクレオチドとWatson-Crick塩基対を形成するように、ポリヌクレオチド鎖またはオリゴヌクレオチド鎖が互いに二本鎖構造を形成することを意味する。
ゲノムまたは標的ポリヌクレオチドに関する「遺伝子座」または「座」は、ゲノムまたは標的ポリヌクレオチドの隣接する小領域またはセグメントを意味する。本明細書で使用する遺伝子座または座はゲノム内の遺伝子の位置または遺伝子の部分を指すことがあり、または遺伝子内にあるか、もしくは遺伝子と関連するかどうかに関係なく、ゲノム配列の任意の隣接する部分を指すことがある。好ましくは、遺伝子座は、長さが数十個のヌクレオチド、例えば、10〜30、または10〜100から、長さが数百個のヌクレオチド、例えば、100〜1000または100〜500、長さが数千個のヌクレオチド、例えば、1000〜10,000または1000〜3000の長さのゲノム配列の任意の部分を指す。文脈によっては、遺伝子座はゲノム内のヌクレオチドの位置を指すことがある。
「キット」は、本発明の方法を実施するための材料または試薬を送達するための任意の送達系を指す。反応アッセイの文脈において、このような送達系は、反応試薬(例えば、適切な容器の中のプローブ、酵素など)および/または補助材料(例えば、緩衝液、アッセイを行うための説明書など)をある場所から別の場所に保管、輸送、または送達する系を含む。例えば、キットは、関連する反応試薬および/または補助材料を備えた1つまたは複数の密閉するもの(enclosure)(例えば、箱)を含む。このような中身は、一緒に、または別々に、意図されたレシピエントに送達されてもよい。例えば、第1の容器は、アッセイにおいて使用するための酵素を備えてもよく、第2の容器はプローブを備える。キットはまた、試薬を備えるように合わせられた区画を備える。一例では、区画は、増幅反応に加わるオリゴヌクレオチドまたはプライマーまたはポリヌクレオチドが固定化されている固体マトリックスを備える。固体マトリックスの一例はマイクロアレイである。従って、キットは、試薬成分、核酸成分、ハードウェア成分、および説明書成分を有する増幅系全体の一部でもよい。「固体マトリックス」への言及は、増幅反応を行うための任意の形態の構造範囲を含む。従って、例えば、エマルジョンPCRは、PCRがエマルジョンの様々な相において行われる固体マトリックスの一形態とみなされる。
「マイクロアレイ」は、核酸アレイを保有する平らな面を有する固相支持体を指す。アレイの各メンバーは、空間的に規定された領域または部位に固定化された同一のオリゴヌクレオチドコピーまたはポリヌクレオチドコピーを含む。この空間的に規定された領域または部位は、アレイの他のメンバーの空間的に規定された領域または部位と重複しない。すなわち、この領域または部位は空間的に別個のものである。さらに、空間的に規定されたハイブリダイゼーション部位は、その位置およびその固定化されたオリゴヌクレオチドの身元(identity)が、例えば、使用前に分かる、または予め決まっているように「アドレス指定可能な(addressable)」ものでもよい。典型的には、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは一本鎖であり、通常、5'末端または3'末端によって固相支持体に共有結合により取り付けられている。マイクロアレイ内の、核酸を含有する非重複領域の密度は、典型的には、100/cm2より大きく、より好ましくは、1000/cm2より大きい。マイクロアレイ技術は、参照により組み入れられる以下の参考文献:Schena (Ed), Microarrays: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 2000); Southern, Current Opin. Chem. Biol., 2: 404-410, 1998に開示されている。
「ランダムマイクロアレイ」は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの空間的に別個の領域が空間的にアドレス指定されていないマイクロアレイを指す。すなわち、取り付けられたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの身元は、少なくとも最初は、その位置から識別できない。1つの局面において、ランダムマイクロアレイはマイクロビーズの平面アレイであり、各マイクロビーズは、一種類のハイブリダイゼーションタグ相補鎖、例えば、最小限にしかクロスハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドセットに由来する相補鎖を取り付けている。同様に、ランダムマイクロアレイの中のマイクロビーズまたはそのオリゴヌクレオチドは形成後に、光学標識、例えば、蛍光色素の比または量子ドット、形状、配列分析を含む様々なやり方で特定することができる。
本明細書で使用する「ヌクレオシド」は、例えば、Kornberg and Baker, DNA Replication, 2nd Ed.(Freeman, San Francisco, 1992)に記載のように、2'-デオキシ型およびT-ヒドロキシル型を含む天然ヌクレオシドを含む。
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は、DNAの相補鎖を同時にプライマー伸長することによって、特定のDNA配列をインビトロ増幅する反応を意味する。言い換えると、PCRは、プライマー結合部位に隣接する標的核酸の複数のコピーまたは複製物を作る反応である。このような反応は、以下の工程:(i)標的核酸を変性する工程、(ii)プライマーをプライマー結合部位にアニーリングする工程、および(iii)ヌクレオシド三リン酸の存在下で核酸ポリメラーゼによってプライマーを伸長する工程の1回または複数回の反復を含む。通常、この反応では、サーモサイクラー機器において各工程に最適な異なる温度によって繰り返される。特定の温度、各工程での持続期間、および工程間の変化の速度は、当業者に周知の多くの要因、例えば、参考文献:McPherson et al. (Eds), PCR: A Practical ApproachおよびPCR2: A Practical Approach(それぞれ、IRL Press, Oxford, 1991および1995)に例示される要因に左右される。例えば、Taq DNAポリメラーゼを使用する従来のPCRでは、二本鎖標的核酸は>90℃の温度で変性され、プライマーは35〜90℃の温度で変性されることがある。「PCR」という用語は、この反応から派生した形態を含み、RT-PCR、リアルタイムPCR、ネステッド(nested)PCR、定量PCR、多重(multiplexed)PCRなどを含むが、これに限定されない。反応体積は、数百ナノリットル、例えば、200nLから数百μL、例えば、200μLに及ぶ。「逆転写PCR」または「RT-PCR」は、標的RNAを一本鎖の相補DNAに変換する逆転写反応が行われた後に、相補DNAが増幅されるPCRを意味する。例えば、Tecott et al, 米国特許第5,168,038号が参照により本明細書に組み入れられる。「リアルタイムPCR」は、反応が進行すると同時に、反応産物、すなわちアンプリコンの量がモニタリングされるPCRを意味する。多くの形態のリアルタイムPCRがあり、これらは、主に、反応産物のモニタリングに用いられる検出化学の点で異なる。例えば、Gelfand et al, 米国特許第5,210,015号(「taqman」); Wittwer et al, 米国特許第6,174,670号および同第6,569,627号(挿入色素); Tyagi et al, 米国特許第5,925,517号(分子ビーコン)。これらの特許は参照により本明細書に組み入れられる。リアルタイムPCRの検出化学は、Mackay et al, Nucleic Acid Research, 30:1292-1305, 2002において概説されている。これも参照により本明細書に組み入れられる。「ネステッドPCR」は、第1のPCRのアンプリコンが、新しいプライマーセットを用いる第2のPCRの試料になる二段階PCRを意味する。新しいプライマーセットの少なくとも1つは第1のアンプリコンの内部位置に結合する。
「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は同義に用いられ、それぞれがヌクレオチド単量体の直鎖重合体を意味する。ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを構成する単量体は、単量体間相互作用の規則的なパターン、例えば、Watson-Crick型の塩基対形成、塩基スタッキング、Hoogsteen型塩基対形成または逆Hoogsteen型塩基対形成などを介して天然ポリヌクレオチドに特異的に結合することができる。
ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが「ATGCCTG」などの文字(大文字または小文字)の配列によって表される時はいつでも、特に定めのない限り、または文脈から明らかでない限り、ヌクレオチドは左から右へ5'→3'の順にあり、「A」はデオキシアデノシンを示し、「C」はデオキシシチジンを示し、「G」はデオキシグアノシンを示し、「T」はチミジンを示し、「I」はデオキシイノシンを示し、「U」はウリジンを示すと理解されるだろう。
「プライマー」は、ポリヌクレオチドテンプレートと二重鎖を形成すると、核酸合成の開始点として働き、伸長した二重鎖が形成されるように、その3'末端からテンプレートに沿って伸長することができる天然または合成のオリゴヌクレオチドを意味する。
プライマーの伸長は、通常、核酸ポリメラーゼ、例えば、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼによって行われる。伸長プロセスにおいて付加されるヌクレオチドの配列は、テンプレートポリヌクレオチドの配列によって決まる。通常、プライマーはDNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーの長さは、通常、14〜40ヌクレオチド、または18〜36ヌクレオチドである。プライマーは、様々な核酸増幅反応、例えば、1種類のプライマーを用いた線形増幅反応、または2種類以上のプライマーを用いたPCRにおいて用いられる。特定の用途のために、プライマーの長さおよび配列を選択するための手引きは、参照により組み入れられる以下の参考文献:Dieffenbach (Ed), PCR Primer: A Laboratory Manual, 2nd Edition (Cold Spring Harbor Press, New York, 2003)により証明されるように当業者に周知である。
「試料」は、標的核酸の検出または測定が求められている、生物学的供給源、環境的供給源、医学的供給源、または患者供給源に由来する、ある量の材料を意味する。一方で、試料は、標本または培養物(例えば、微生物学的培養物)を含むことが意図される。他方で、試料は、生物学的試料および環境試料の両方を含むことが意図される。試料は合成由来の標本を含んでもよい。生物学的試料は、ヒトを含む動物、液体、固体(例えば、糞便)または組織、ならびに液体および固体の食品および飼料の製品および成分、例えば、乳製品、野菜、肉および肉の副産物、ならびに廃棄物でもよい。生物学的試料は患者から採取された材料を含んでもよく、培養物、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ液、痰、精液、穿刺吸引液などを含むが、これに限定されない。生物学的試料は、家畜ならびに野生化動物または野生動物の様々な科の全てから得られてもよく、有蹄類、クマ、魚類、げっ歯類などの動物を含むが、これに限定されない。環境試料は、表面物質、土、水、および産業試料などの環境物質、ならびに食品および乳製品の加工用の機器、装置、機材、道具、使い捨ての品物および使い捨てでない品物から得られた試料を含む。これらの例は、本発明に適用可能な試料のタイプを限定するものと解釈すべきでない。
「固体支持体」、「支持体」、「固相支持体」、および「固体マトリックス」は同義に用いられ、剛性または半剛性の表面を有する材料または材料の群を指す。多くの態様において、固体支持体の少なくとも1つの表面は実質的に平らであるが、ある態様では、異なる化合物の合成領域を、例えば、ウェル、一段高い領域、ピン、エッチングされた溝などで物理的に分けることが望ましい場合がある。他の態様によれば、固体支持体は、ビーズ、樹脂、ゲル、マイクロスフェア、または他の幾何学的形状の形をとる。前記のように、エマルジョン相が「固体支持体」または「固体マトリックス」とみなされる。マイクロアレイは、通常、ガラス顕微鏡スライドなどの少なくとも1つの平面固相支持体を含む。支持体はまた、選別を可能にするために複数のサイズの支持体でもよい。
固体支持体上の核酸分子/プライマーは直接、固定化されてもよく、化学架橋またはヌクレオチド架橋を介して固定化されてもよい。このような結合化学は全て用語「リンカー手段」に含まれる。
実施例1
段階的非対称PCR法
図1(i)は、一本鎖または二本鎖アンプリコンを固体支持体にローディングするための強化型固相PCRの模式図を示す。増幅しようとするDNA領域およびこれに由来するアンプリコンを実線で示した。破線は標的領域外の配列を表す。プライマーa(矢印で示した)は「フォワード」PCRプライマーを表し、プライマーbは「リバース」プライマーを表す。この実施例では、固体支持体は円で示される。固体支持体は、多数の固体支持体プライマーコピーとコンジュゲートしているが、図を簡単にするために、固体支持体プライマーは1つしか示されていないことに留意のこと。波線は非標的特異的リンカー配列である。長く濃い矢印は、Tmが高い標的特異的プライマーを表している。プライマーbには、直接検出系において使用するための標識分子(星印で示した)、例えば、蛍光が任意で含まれる。標識分子は、任意で、反応基質、例えば、蛍光標識dNTPとして含めることができる。任意で、プライマーbは、標的配列へのプライマーbの結合およびプライマーからのポリメラーゼ伸長のプライミングが、ある特定の温度範囲においてプライマーaより効率的になるように設計される。この目的を達成する設計方法の一例には、高いアニーリング温度において、プライマーbが結合およびプライミングを行うのに対して、プライマーaは結合もプライミングも行わないように、プライマーbの標的特異的融解温度をプライマーaより高くすることが含まれる。別の例は、ある特定の温度より低い温度では、プライマーbが結合およびプライミングを行うのに対して、プライマーaは結合もプライミングも行わないように、プライマーaが「パンハンドル抑制(panhandle suppression)」を示す設計である。
プライマーaおよびプライマーbは、固体支持体プライマーを含めた従来のPCR法または非対称PCR法の一部として用いられる。
プライマーa、プライマーb、および固体支持体コンジュゲートプライマーの全てを許容するサーモサイクリング条件下で、これらのプライマーを含めて、従来のPCRを行う。固体支持体プライマーは、ある特定の温度範囲において、プライマーからのポリメラーゼ伸長のプライミングがプライマーaより競合的になるように設計されている。図1:(ii)2、(ii)3、および(ii)4に図示した固体支持体プライマー設計では、例えば、Tmが高いために、および/または入れ子になっているために、もしくは部分的に入れ子になっているために、先行技術((ii)1)に比べて固体支持体プライマーの関与が改良されている。先行技術(ii)1は、対応する「水性」プライマーに同一一致する標的特異的配列と、5-プライムリンカー配列を用いる。ここで示した例では、(ii)2には、(ii)1に比べてTmを高める3-プライム配列伸長が含まれる。(ii)3には、(ii)1に対して入れ子になっている、または部分的に入れ子になっている標的特異的配列が含まれるが、標的特異的Tmは(ii)1とほぼ同じである。(ii)4は、(ii)1に対して入れ子になっている、または部分的に入れ子になっている標的特異的配列を含み、(ii)1より高い標的特異的Tmを有する。これらの設計の違いは、固体支持体へのアンプリコンのローディングが容易になるように、先行技術に比べて、固体支持体プライマーによる関与に速度論上の利益をもたらす。
固体支持体プライマーが標的に効率的にアニールするが、競合「水性」プライマーaは標的にアニールしないように、任意で、後の熱サイクル間のアニーリング工程の温度は前のサイクルに比べて高くてもよく、低くてもよい。例えば、固体支持体プライマーが、高い温度で、プライマーaより高い標的特異的Tmを示す場合、固体支持体プライマーはプライミングを行うが、プライマーaはプライミングを行わない。別の例は、ある特定の温度より低い温度では、固体支持体プライマーが結合およびプライミングを行うのに対して、プライマーaは結合もプライミングも行わないように、プライマーaが「パンハンドル抑制」を示す例である。プライマーbは、プライマーaまたは固体支持体プライマーに類似したプライミング特徴を有するように設計することができる。プライマーbが標的に効率的に結合しない、このような後のサイクルを複数回使用すると、一本鎖固体支持体アンプリコンを作製することができる。プライマーbが標的に効率的に結合する、このような後のサイクルを使用すると、二本鎖固体支持体アンプリコンを作製することができる。プライマーbが標的に効率的に結合しない、このような後のサイクルを使用し、続いて、プライマーbの結合を許容する条件を使用すると、二本鎖固体支持体アンプリコンを作製することができる。
任意で、二本鎖固体支持体アンプリコンは、例えば、熱変性もしくは化学変性を行い、洗浄により溶液相を取り除くか、または、例えば、エキソヌクレアーゼ処理を行うことによって、一本鎖固体支持体アンプリコンに後で変換することができる。
実施例2
固相段階的非対称PCR法
強化型固相PCR(ESP-PCR)は、欠陥のない高感度の対称性「水性」PCRと効率的な固体支持体ローディングを組み合わせるように本明細書において設計された機構である。ESP-PCRは、「水性」プライマーと固体支持体プライマーとの競合を取り除いて、固体支持体プライマーのプライミングを高めることによって、アンプリコンが固体支持体にローディングされる機構を変えている(図2)。「水性」プライマーは制限される必要はなく、そのために、より感度の高い系が可能になる。さらに、ESP-PCRに固有のプライマー設計は、固体支持体プライマーの結合のみを許容するアニーリング温度で後の熱サイクルを適用する任意の可能性をもたらす。
本実施例では、SP-PCRを上回るESP-PCRの機構上の利益を分析する目的および意図で、一定の固体支持体材料、プライマー表面密度、および「リンカー」配列を用いて行われたESP-PCRについて詳しく述べる。
オリゴヌクレオチド
オリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies(Coralville, USA)から購入した。テンプレート作製用オリゴヌクレオチドならびにESP-PCR用およびSP-PCR用オリゴヌクレオチドを以下に列挙した。コンジュゲーション効率測定用オリゴヌクレオチド(Transprobe)配列は、
Figure 0005735213
であった。全てのオリゴヌクレオチド配列を5-プライムから3-プライムの方向に列挙した。/5Phos/、/5AmMC6/、/5Acryd/、および/iAmMC6T/は、それぞれ、5-プライムリン酸基、5-プライムアミン修飾基、5-プライムアクリダイト(acrydite)基、および内部アミン修飾基を示す。Ngo、Ngps、およびCto3は、それぞれ、淋菌(Neisseria gonorrhoea)opa、淋菌pilS、およびトラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)潜在プラスミド(cryptic plasmid)orf3を指す。下線を引いた領域は、「アンプリコンローディング」間の標的特異的部分の提示を促進するために固体支持体プライマーの5-プライム部分に含まれる非標的「リンカー」配列を示す。この「リンカー」配列はSP-PCRおよびESP-PCR固体支持体プライマーに共通にあり、コンジュゲーション後に固体支持体へのプライマーローディングを評価するためのTransprobeハイブリダイゼーション標的としても使用した。
シリカマイクロスフェアへのオリゴヌクレオチドのコンジュゲーション
直径6.8μmのシリカマイクロスフェア(Bangs Laboratories, Fishers, USA)をスルフヒドリル基で官能化した後に、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートした。Integrated DNA Technologiesの製品資料では、固体支持体チオールと、5-プライムアクリダイト基で修飾したオリゴヌクレオチドとの反応について詳しく述べている(ウェブサイト:
Figure 0005735213
からオンラインで入手可能)。コンジュゲーションの後に、マイクロスフェアを5回一続きのスピン/洗浄工程で処理して、結合しなかったオリゴヌクレオチドを除去した後に、緩衝液で1mg/mlまで懸濁した。オリゴヌクレオチドとマイクロスフェアのコンジュゲーションのレベルは、均一なマイクロスフェア懸濁液1μlと、50mM塩化ナトリウム含有緩衝液5μlおよび10μM Alexafluor647標識Transprobe 0.5μl(2:1の総Transprobe:Alexafluor647標識Transprobe比)を混合することによって評価した。Alexafluor647は、Molecular Probes(Mount Waverley, Australia)から購入した。ハイブリダイゼーション混合物を、以下の「ハイブリダイゼーション」熱プロフィール:90℃30秒、その後に、1℃/10秒の速度で20℃までの冷却に供した。ハイブリダイゼーションの後、緩衝液120μlを添加した後に、FACSArray (Becton Dickinson, North Ryde, Australia)による分析を行った。本研究において示されたデータは、この最新式のアッセイプロトコールから得た。マイクロスフェアは、「無テンプレート対照」のバックグラウンド蛍光を弱くする目的で、テンプレートとなるESP-PCR試料またはSP-PCR試料のシグナル強度を変えることなく、PCR後にさらに厳しい洗浄に供することができる。マイクロスフェアは全く同じ3つのものを同時に、以下の電圧パラメータ: FCS 550、SSC 400、Far Red 100、Yellow 650、NIR 200、Red 700、FCS threshold 20000を用いて動作させた同じ機器で評価した。赤色蛍光の中央値を求めるために、FCS Express v.3を用いて、.fcsファイルを解析した。ESP-PCRおよびSP-PCR標的対の間で固体支持体プライマー-マイクロスフェアのコンジュゲーションが同等であることを証明するために、スチューデントT検定を適用した。
テンプレート作製
トラコーマクラミジア血清型E DNAを、Cto3テンプレート作製用フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いたPCRのテンプレートとして使用して、ESP-PCR/SP-PCRオリゴヌクレオチド標的領域を含むアンプリコンを得た。Qiaquick(登録)ゲル抽出キット(Qiagen, Doncaster, Australia)を用いて、アンプリコンをアガロースゲルから精製した。ゲル電気泳動により産物をHyperladder IV DNA標準(Bioline, Alexandria, Australia)と照らし合わせて評価することによって、収率を見積もった。同様に、淋菌ATCC株43069をPCRのテンプレートとして使用して、Ngo標的およびNgps標的を、それぞれの標的作製用プライマーを用いて作製した。
ESP-PCRおよびSP-PCR
ESP-PCRおよびSP-PCRは全て、20μl反応体積で、1ユニットのHotStarTaq(登録)(Qiagen, Doncaster, Australia)を用いて行った。Mg2+およびdNTP(New England Biolabs, Genesearch, Arundel, Australia)の反応濃度が、それぞれ、2mMおよび200μMとなるように、HotStarTaq(登録)反応緩衝液にMg2+およびdNTPを加えた。反応物には、5μM「水性」フォワードプライマー1μl、5μM「水性」リバースプライマー(2:1の総オリゴヌクレオチド:蛍光標識オリゴヌクレオチド比でAlexafluor647標識した)1μl、および1mg/ml固体支持体プライマーコンジュゲートマイクロスフェア懸濁液1μlを含めた。SP-PCR固体支持体プライマーにコンジュゲートしたマイクロスフェアまたはESP-PCR固体支持体プライマーにコンジュゲートしたマイクロスフェアを、それぞれ、SP-PCR反応物またはESP-PCR反応物に含めた。ESP-PCRおよびSP-PCRは全く同じ3つのものを同時に、同じマスター混合物を用いて行った。それぞれの場合で、プライマーおよびマイクロスフェアは標的およびテンプレートに従ってグループ分けした。反応物は、それぞれ、40000コピーのCto3テンプレート、40000コピーのNgoテンプレート、または400000コピーのNgpsテンプレートを含んだ。使用した熱プロフィールは以下の通りであった:94℃15分、その後に、30サイクルの[90℃30秒、44℃1分、72℃1分]、その後に、5サイクルの[90℃、44℃2分、72℃2分]。
ESP-PCRおよびSP-PCRのフローサイトメトリー分析
固相PCRの後に、底部5μlを、96ウェルマイクロタイタープレートの中の緩衝液120μlに移した。前記の同じ機器設定を用いて、FACSArrayにより.fcsファイルを作成した。FCS Express v.3を用いて、赤色蛍光の中央値を求めた。
ゲル電気泳動
フローサイトメトリーサンプリングの後に、3%アガロース/TAEゲルを用いて、残りのPCR産物8μlを1.5μg New England Biolabs 100bpラダー(Genesearch, Arundel, Australia)と照らし合わせて分析した。
テンプレート作製用オリゴヌクレオチド
Figure 0005735213
ESP-PCR用オリゴヌクレオチドおよびSP-PCR用オリゴヌクレオチド
Figure 0005735213
ESP-PCRにより淋菌およびトラコーマクラミジアを検出するための多重アッセイ
前記で列挙したNgo ESP-PCR固体支持体プライマーおよびCto3 ESP-PCR固体支持体プライマーを、それぞれ、直径5.6μmおよび直径6.8μmのシリカマイクロスフェア(Bangs Laboratories)にコンジュゲートし、洗浄し、ビーズ1集団あたり1mg/mlでプールした。プールしたビーズ懸濁液1μlを、淋菌opaプライマー:5'-GGCAACGMCGTACCGGTTT-3'(SEQ ID NO:20)および5-プライマーAlexafluor647標識
Figure 0005735213
およびトラコーマクラミジア潜在プラスミドorf3プライマー:
Figure 0005735213
および5-プライムAlexafluor647標識
Figure 0005735213
を含むESP-PCR反応物に含めた。淋菌ATCC株43069のゲノムDNAまたは前記で列挙した(テンプレート作製を参照されたい)トラコーマクラミジア潜在プラスミドorf3にまたがるアンプリコン領域を保有するプラスミドをJurkatヒトゲノムDNA 5ngと含めて、ヒトゲノムDNAまたは水対照と比べたPCRのテンプレートとして使用した。反応は、総体積20μlで、2ユニットのPlatinumTaq[商標](Invitrogen)を使用し、以下のサイクルパラメータ:94℃2分、その後に、50サイクルの[90℃30秒、55℃1分、72℃1分]、その後に、72℃5分を用いて行った。緩衝液を用いてシリカマイクロスフェアを2回、スピン/洗浄した後に、前記で列挙した機器設定を用いてFACSArray分析を行った。
コンジュゲーションの後、マイクロスフェアを徹底的に洗浄した後に、緩衝液で1mg/mlまで懸濁した。オリゴヌクレオチドとマイクロスフェアのコンジュゲーションのレベルは、Alexafluor647(Molecular Probes)標識「Transprobe」を固体支持体プライマーリンカー配列にハイブリダイズさせ、その後に、フローサイトメトリー分析を行うことによって評価した。マイクロスフェアは、3つ組で、同時に、以下の電圧パラメータ:FCS 550、SSC 400、Far Red 100、Yellow 650、NIR 200、Red 700、FCS threshold 20000を用いて動作させた同じ機器で評価した。赤色蛍光の中央値を求めるために、FCS Express v.3を用いて、.fcsファイルを解析した。ESP-PCRおよびSP-PCR標的対の間で固体支持体プライマー-マイクロスフェアコンジュゲーションが同等であることを証明するために、スチューデントT検定を適用した(Ng opa, P=0.919; Ng pilS, P=0.759; CtCP orf3, P=0.829)。このように、SP-PCRに比べて、ESP-PCRを適用した後にアンプリコンローディングの増加が観察されたことは、固体支持体プライマーコンジュゲーションレベルに差があるのではなく固体支持体プライミングが改良されたためであろう。
ESP-PCRとSP-PCRとの比較実験は、20μl反応体積で、1ユニットのHotStarTaq[登録](Qiagen)を用いて行った。HotStarTaq(登録)反応緩衝液には、Mg2+およびdNTP(New England Biolabs)の反応濃度がそれぞれ2mMおよび200μMとなるように、Mg2+およびdNTPを添加した。反応には、5μM「水性」フォワードプライマー1μl、5μM「水性」リバースプライマー(2:1の総オリゴヌクレオチド:蛍光標識オリゴヌクレオチド比でAlexafluor647標識した)1μl、および1mg/ml固体支持体プライマーコンジュゲートマイクロスフェア懸濁液1μlを含めた。ESP-PCR固体支持体プライマーコンジュゲートマイクロスフェアまたはSP-PCR固体支持体プライマーコンジュゲートマイクロスフェアを、それぞれ、ESP-PCR反応物またはSP-PCR反応物に含めた。ESP-PCRおよびSP-PCRは、全く同じ3つのものを同じマスター混合物を用いて同時に行った。それぞれの場合において、プライマーおよびマイクロスフェアは、標的およびテンプレート(プライマー結合領域を含む直鎖dsDNA)に従ってグループ分けした。反応物は、それぞれ、40000コピーのトラコーマクラミジア潜在プラスミドorf3、40000コピーの淋菌opa、または400000コピーの淋菌pilSテンプレートを含んだか、(バックグラウンド蛍光レベルを証明する目的で)無テンプレート対照を含み、以下の熱プロフィール:94℃15分、その後に、30サイクルの[90℃30秒、44℃1分、72℃1分]、その後に、5サイクルの[90℃、44℃2分、72℃2分]が用いられた。固相PCRの後に、底部5μlを、96ウェルマイクロタイタープレートの中の緩衝液120μlに移した。前記の同じ機器設定を用いて、FACSArrayにより.fcsファイルを作成した。FCS Express v.3を用いて、赤色蛍光の中央値を求めた。
ESP-PCRによって、評価された3種類全ての標的にわたってSP-PCRに比べて著しく高い固体支持体アンプリコンローディングが得られ(表3)、Ng opa(9.89倍、P=0.00000661)、Ng pilS(2.14倍、P=0.001095)、およびCtCP orf3(1.41倍,P=0.000935)と統計的に有意であった。P値は、ESP-PCRのアンプリコンローディングとSP-PCRのアンプリコンローディングの間に差が無いとする帰無仮説に関連している。倍増加は、ESP-PCR RFU/SP-PCR RFUを指している。オリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーション効率に本質的なばらつきがあり、複雑な競合ハイブリダイゼーション事象が関与するので、標的全体にわたる倍増加のばらつきは予期しなかったことではなかった。このばらつきにもかかわらず、ESP-PCRは、研究された標的全体にわたって広く有益であった。フローサイトメトリー測定に用いられたものと同じ反応容器に由来する、マイクロスフェアに結合していない「水性」アンプリコンは、アガロースゲル電気泳動によって評価された時に、SP-PCRに比べてESP-PCRの後に全標的にわたって同じ収率であった。「水性」産物の収率も、反応混合物中のマイクロスフェアの有無にかかわらず同一であった。このことから、固体支持体プライマーにコンジュゲートされたシリカマイクロスフェアは増幅効率を損なわなかったことが分かる。ESP-PCRの後に、固体支持体は、複数回の遠心分離工程および緩衝液交換工程を介して徹底的に洗浄され、以前に用いられた「水性」プライマーおよび固体支持体プライマーの「水性」バージョンを含む限定されたサイクルの「再増幅」反応のテンプレートとして使用した。固体支持体プライマーおよび「水性」リバースプライマーのプライミングから得られる産物から予想されるサイズに対応するサイズのシングルバンド産物がゲル電気泳動によって観察された。このことから、ESP-PCR固体支持体産物は特異的であったことが分かる。まとめると、これらのデータは、ESP-PCRが、標準的なSP-PCRと比べて、「水相」増幅を損なわず、固体支持体表面へのアンプリコンのローディングを特異的に増強するという2つの目的を達成することに成功したことを示唆している。
これらの観察された利益は、(i)比較的高いTmによって、固体支持体プライマーの有効濃度が上がるローディング機構によるものである。指数関数的増幅後線形増幅PCR(Linear-After-The-Exponential-PCR)(LATE-PCR)は、非対称PCRにより一本鎖産物の作製を改良している(Sanchez et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:1933-1938, 2004)。この手法では、「最近傍(nearest-neighbour)」法(SantaLucia, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:1460-1465, 1998)で述べられたプライマーTmとプライマー濃度との関係に基づいて反応中のプライマーの「有効濃度」を上げるために、「しっかりと結合する(tighter binding)」限定された濃度のプライマーが用いられた。ESP-PCRでは、この原理が固体支持体プライマーに適用されている。「しっかりと結合する」固体支持体プライマーの「有効濃度」は高く、結合およびプライミングの速度論は改良されている。(ii)固体支持体プライマーは、その「水性」対応物に対して入れ子になっている。固体支持体プライマーは「水性」フォワードプライマーとは異なる結合部位を認識するので、アンプリコン結合における直接的な競合は取り除かれている。SP-PCRとは異なり、ESP-PCRでは、固体支持体プライミングが固体支持体プライマー結合部位の「ブロッキング」によって阻害されるためには、「水性」フォワードプライマーがアンプリコンテンプレートに結合し、その後にポリメラーゼがこの基質を発見および結合し、重合が短期間に起こることが必要である。標準的なSP-PCRおよび非対称SP-PCRの両方において、固体支持体プライミングを阻害するには、水性プライマーがそのプライマー結合部位に単に結合するだけで十分である。PCRクランピング(PCR Clamping)法では、増幅は、内部(入れ子)ペプチド核酸またはロックされた核酸プローブを含めることによって特異的にブロックされる(Dominguez and Kolodney, Oncogene 24:6830-6834, 2005; Orum et al, Nucleic Acids Res. 21:5332-5336, 1993)。ESP-PCRの固体支持体プライマーと同様に、PCRクランピング法のブロッキングプローブは、プライマー結合および重合が起こる可能性がある前にアンプリコンに結合する。
さらにESP-PCR原理を適用し、「水性」プライマーおよびサーモサイクリングパラメータを用いて、5種類の淋菌ゲノムおよび5種類のトラコーマクラミジアゲノム相当物を、FACSArrayによる1回の多重ESP-PCR反応によって検出した。この手法では、フローサイトメトリーによる識別を促進するために、異なる直径のシリカマイクロスフェアにコンジュゲートされた固体支持体プライマーを使用した。反応のテンプレートには、淋菌ゲノムDNAおよびトラコーマクラミジア標的領域を含有するプラスミドにJurkatヒトゲノムDNAを含めて使用し、JurkatヒトゲノムDNAまたは水のみと比べた。
(表3)固体支持体アンプリコンローディング対SP-PCR
Figure 0005735213
ESP-PCR後のシリカマイクロスフェアへの赤色蛍光標識アンプリコンのローディングはSP-PCRに比べて高い。RFUは相対蛍光単位を指す。カッコ内の数字は3つ組のシリーズの平均の標準誤差を表す。
固体支持体としてシリカマイクロスフェアを用いて、様々な臨床的に関連する標的:淋菌opa(Ng opa)およびpilS(Ng pilS)ならびにトラコーマクラミジア潜在プラスミドorf3(CtCP orf3)[McLeod et al, Infection and Immunity 67:3469-3480, 1999; Comanducci et al, J. Gen Microbiol 139:1083-1092, 1993]にわたって、ESP-PCRをSP-PCRと比較した。
簡単に述べると、ESP-PCRおよびSP-PCR固体支持体プライマーを以下のように調製した。6.8μm直径のシリカマイクロスフェア(Bangs Laboratories)をスルフヒドリル基で官能化した後に、アクリダイト基修飾オリゴヌクレオチドにコンジュゲートした。
実施例3
「熱段階的」または「非段階的」ESP-PCRおよびSP-PCR
実施例2に記載の実験の一部として、トラコーマクラミジア潜在プラスミドorf3標的について、熱段階的または非段階的プロトコールを同時に設定した。「非段階的」PCRについては、熱プロフィール44-44:94℃15分、その後に、[30サイクルの90℃30秒、44℃1分、72℃1分]、その後に、[5サイクルの90℃、44℃2分、72℃2分]を使用した。「段階的」PCRについては、熱プロフィール44-60:94℃15分、その後に、[30サイクルの90℃30秒、44℃1分、72℃1分]、その後に、[5サイクルの90℃、60℃2分、72℃2分]を使用した。結果を表4に示した。
固相PCRの後に、底部5μlを、96ウェルマイクロタイタープレートの中の緩衝液120μlに移した。実施例2に記載のものと同じ機器設定を用いて、BD FACSArrayを使用して.fcsファイルを作成した。FCS Express v.3を用いて、赤色蛍光の中央値を求めた。
フローサイトメトリーサンプリングの後に、3%w/vアガロース/TAEゲルを用いて、残りのPCR産物8μlを1.5μg New England Biolabs 100bpラダー(Genesearch, Arundel, Australia)と照らし合わせて分析した。
ESP-PCRプロトコールの一部として、最適な「熱工程」の潜在的な利益を研究した(44-60)。後半のPCRサイクル間のアニーリング温度が高くなると、トラコーマクラミジア潜在プラスミドorf3アンプリコンの表面ローディングが「非段階的」熱ESP-PCRプロトコール(44-44)より改善した((1.15倍増加)(スチューデントT検定,結果が同じになる確率:P=0.0124)。
同じ反応容器から、マイクロスフェアに結合していないアンプリコンのゲル電気泳動プロフィールをフローサイトメトリーによって評価した。全ての場合において、同等の収率の「水相」PCR産物が観察された。このことは、マイクロスフェアアンプリコンローディングの違いが「水相」PCR産物の収率に影響を及ぼさないことを示唆している。反応混合物に含まれるマイクロスフェアの有無にかかわらず、水性産物の収率間には識別可能な差は無かった。
(表4)「熱段階的」または「非段階的」ESP-PCRおよびSP-PCR
Figure 0005735213
「熱段階的」ESP-PCR後のシリカマイクロスフェアへの赤色蛍光標識アンプリコンのローディングは「非段階的」SP-PCRに比べて高い。Ct orf3はトラコーマクラミジア潜在プラスミドorf3を指している。RFUは相対蛍光単位を指している。カッコ内の数字は3つ組のシリーズの平均の標準誤差を表している。
当業者であれば、本明細書に記載の発明は、具体的に説明された以外の変更および修正が可能なことを理解するだろう。本発明はこのような全ての変更および修正を含むことが理解されるはずである。本発明はまた、本明細書において、個々に、またはひとまとめにして言及または指示された工程、特徴、組成物、および化合物の全て、ならびにこれらの工程または特徴の任意の2つまたはそれ以上の任意の組み合わせおよび全ての組み合わせを含む。
参考文献
Figure 0005735213
Figure 0005735213

Claims (10)

  1. 標的ポリヌクレオチド由来の一本鎖または二本鎖アンプリコンを、その5'末端において固相に固定化されたプライマーを有する固相にローディングするための、強化型固相ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のための方法であって、フォワード水相プライマーおよびリバース水相プライマーを用いてポリヌクレオチドの増幅を行う工程を含み、
    該固定化されたプライマーが、該固定化されたプライマーの3'末端において、増幅されたポリヌクレオチド分子の領域にアニールするものであり、および
    該固定化されたプライマーが、少なくとも一つの水相プライマーと比べて高い融解温度を有し、かつ二つの水相プライマーに対して入れ子になっている(nested)、
    方法。
  2. 固定化されたプライマーおよび水相プライマーが、第1のアニーリング条件セットで類似のアニーリング特性を有するが、第2のアニーリング条件セットでディファレンシャルなアニーリング特性を有し、かつ増幅が、第1のアニーリング条件セット下で行われ、次いで第2のアニーリング条件セットに変えられ、ここで、第1および第2のアニーリング条件が、全てのプライマーによる増幅を許容する(permissive)か、または水相プライマーについて非許容(non-permissive)であり、それにより固相プライマーに基づく増幅を促進するかのいずれかである、請求項1記載の方法。
  3. 反応を非許容アニーリング条件に供した後に、固定化された一本鎖ポリヌクレオチド上での相補鎖の作製を促進して固体マトリックスに固定化された二重鎖ポリヌクレオチドを形成するために、許容アニーリング条件セットに戻す工程をさらに含む、請求項2記載の方法。
  4. 第1のアニーリング条件セットが許容的であり、かつ使用される第2のアニーリング条件セットが水相プライマーについて非許容的である、請求項2または3記載の方法。
  5. ポリヌクレオチド分子がDNAである、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  6. 一本鎖または二本鎖アンプリコンのローディングを単離するために、相分離工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  7. 水相プライマーと比べて高い、固定化されたプライマーの融解温度が、異なるアニーリング温度、プライマーと標的相補ポリヌクレオチドとの間のミスマッチの程度、および/または外来配列の存在の1つまたは複数によるものである、請求項1記載の方法。
  8. 固定化されたプライマーが、より高い融解温度を該固定化されたプライマーにもたらすヘッド(head)ヌクレオチド配列またはヒール(heel)ヌクレオチド配列を含む、請求項記載の方法。
  9. 増幅しようとする標的が、陥凹(recessed)5'末端または平滑末端のいずれかを含み、5'から3'へのエキソヌクレアーゼとインキュベートされると一本鎖ポリヌクレオチドテンプレートを生じる、請求項1記載の方法。
  10. エキソヌクレアーゼが等温増幅に必要な試薬と共にインキュベートされる、請求項記載の方法。
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