JP5734529B2 - 電磁操作装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば遮断器等の開閉装置の操作機構として用いられる電磁操作装置に関するものである。また、例えば遮断器等の開閉装置の操作機構に利用される電磁石装置、及びこの電磁石装置を用いた開閉装置に関するものである。
一般に、電磁操作装置の駆動は、電磁石の電磁コイルを励磁するための電力を蓄積するコンデンサと、開閉装置に対する閉極指令または開極指令に応答してコンデンサから電磁コイルに供給する電流の通電方向を制御する制御基板とを有し、コンデンサに蓄積した電力で電磁コイルを励磁して可動鉄心を駆動させ、その駆動力で開閉装置の接点を開閉するように構成されている。
制御基板により開閉装置を操作する回路を備えた従来の電磁操作装置としては、例えば、AC/DC変換器,充電回路,制御ロジック部,放電回路を備え、放電回路には主制御手段としてのFET,リレー接点等を有すると共にコンデンサと電磁コイルが接続された構成が開示されている。開閉装置の開閉動作は、電磁コイルへの通電によりなされ、また、電磁コイルへの通電方向で開閉が制御される。充電回路を通じてコンデンサに充電された電力が電磁コイルに通電されるが、通電方向はリレー接点で制御され、FETのオン・オフで電磁コイルへの通電のオン・オフが制御されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の開閉装置に用いる電磁石装置において、電磁石装置の可動部は、可動方向の両端に設けられた平板の開口の中心を挿通する非磁性の駆動軸と、この駆動軸に嵌め込まれて固着されたバルク(塊)の磁性体である円柱可動鉄心と、この磁性体の上側に磁性部材である薄板を介して配置され、駆動軸に固着されている磁性体である円板可動鉄心で構成されている。円柱可動鉄心と円板可動鉄心は、駆動軸にねじ込みまたは止め具で固着されている。駆動軸は固着用の加工がなされており、外径寸法が位置によって異なる。固定鉄心は鋼管、平板、円筒で構成されている。(例えば、特許文献2参照)
また、短絡事故電流や異常電流を瞬時に遮断して設備を保護するために、開閉装置が電気設備および電力設備に使用されている。
長寿命化、省スペース化を図るため、閉極時に励磁され可動鉄心を作動する電磁石と、可動鉄心に貫通して固着され下端が支軸レバーの他端に連結された駆動軸と、駆動軸の上端に設けられ駆動軸を遮断方向へ付勢した開極ばねと、駆動軸の上方に設けられ、閉極時の駆動軸の上端が当接する緩衝装置とを備えた電磁石装置、およびこの電磁石装置を用いた開閉装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−152628号公報(第11−12頁、図10) 特開2006−222438号公報 特開平8−64057号公報(段落[0009]〜[0015]、図1)
特許文献1に示すような、制御基板と電磁コイルにより操作する電磁石制御装置(電磁操作装置)にあっては、制御基板部には半導体素子や切換リレー等の多くの部品が用いられ、部品点数が多くなるため、半導体素子や各部品の故障確率が積算されて電磁操作装置全体の故障確率が高くなり、結果としてその電磁操作装置により開閉駆動される開閉装置の信頼度が低下するという問題点があった。
上述した従来の特許文献2に示すような電磁石装置を用いた開閉装置にあっては、複数ある定格に対して、各定格の開閉装置に必要な操作力に応じて、円柱可動鉄心、円板可動鉄心、駆動軸、固定鉄心の鋼管、平板、円筒を設計し、電磁石装置を製作していた。したがって、電磁石装置の部品の標準化ができないという問題点があった。
特許文献3の開示発明では、閉極側の衝撃を低減するための緩衝装置を駆動軸の上方に設けているため、装置全体を小型化できないという問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成により信頼性を高めた電磁操作装置を提供することを目的とする。
また、電磁石装置において、複数の定格に対して、可動鉄心、固定鉄心の形状を標準化して低コスト化できるようにするとともに、電磁石装置を用いた開閉装置全体を小型化することを目的とするものである。
また、閉極および開極動作完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を備えるとともに、装置全体の小型化を図ることができる電磁石装置を提供することを目的とする。
この発明に係わる電磁操作装置は、固定鉄心と、前記固定鉄心に対して移動可能に構成された可動鉄心と、励磁により前記可動鉄心を移動させて前記可動鉄心に連結される開閉装置を開閉する電磁コイルと、前記電磁コイルに電力を供給する駆動用電源とを備え、前記駆動用電源は、通常時に前記開閉装置の開閉動作を行うとともに前記電磁コイルに供給する電力を蓄積するコンデンサと前記開閉装置に対する開極または閉極指令に応答して前記コンデンサから前記電磁コイルへ供給する電流を制御する制御基板とを有するコンデンサ電源と、前記コンデンサ電源が動作しない緊急時に前記開閉装置の開閉動作を行うとともに前記電磁コイルに直流電力を直接供給する直流電源とにより構成され、前記コンデンサ電源から前記電磁コイルに接続される回路と、前記直流電源から前記電磁コイルに接続される回路とを切り換える切換手段を備え、前記切換手段は、前記コンデンサ電源から前記電磁コイルに接続される回路の途中に挿入された接続手段によって着脱可能に接続され、前記コンデンサ電源が動作しない緊急時に前記コンデンサ電源側の回路から前記直流電源側の回路に切り換えるものである。
この発明に係わる電磁石装置は、複数の磁性体の板を積層して構成された固定鉄心と、複数の磁性体の板を積層して構成され前記固定鉄心内を進退移動する可動鉄心と、前記固定鉄心に設けられた電磁コイルと、前記可動鉄心の中央部に配置される駆動軸とを有する電磁石装置において、前記駆動軸は、前記可動鉄心の中央部を貫通し、前記可動鉄心の接続部に連結部材により前記可動鉄心と連結された1本の軸体として構成され、前記駆動軸の前記接続部の軸径と前記駆動軸の他部の軸径と異なる軸径としたものである。
また、固定接点及び前記固定接点に接離可能な可動接点を有する開閉器本体部と、前記開閉器本体部の前記可動接点に連結装置を介して連結され、前記可動接点を前記固定接点に接離させる電磁石装置を有する開閉装置において、前記電磁石装置は、上述した手段に記載の電磁石装置が用いられているものである。
また、この発明に係る電磁石装置は、固定鉄心と、固定鉄心に対向配置された可動鉄心と、可動鉄心に貫通して固着された駆動軸と、電流を流すことで可動鉄心を駆動軸の中心軸に沿って変位させる電磁コイルと、可動鉄心を駆動軸の中心軸に沿って固定鉄心から隔離する方向に変位させるために付勢される隔離ばねと、可動鉄心の変位完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を備え、緩衝装置は駆動軸に緩衝体部を設け、緩衝体部に嵌合する緩衝室を備えた構造である。
また、この発明に係る電磁石装置は、固定鉄心と、固定鉄心に対向配置された可動鉄心と、可動鉄心に貫通して固着された駆動軸と、電流を流すことで可動鉄心を駆動軸の中心軸に沿って変位させる電磁コイルと、可動鉄心を駆動軸の中心軸に沿って固定鉄心から隔離する方向に変位させるために付勢される隔離ばねと、可動鉄心の変位完了時の衝撃を緩和する複数の緩衝装置を備え、緩衝装置は緩衝装置軸に緩衝体部を設け、緩衝体部に嵌合する緩衝室を備え、緩衝装置軸を可動鉄心に連結した構造である。
この発明に係る電磁操作装置によれば、この発明の電磁操作装置によれば、電磁コイルに電力を供給する駆動用電源は、開閉装置に対して通常時に開閉動作を行うための電源と、緊急時に開閉動作を行うための電源の2種類の電源で構成されているので、通常時に開閉動作を行うための電源が何らかの要因で動作不良となった場合でも、緊急時に開閉動作を行うための電源により開閉装置を開閉動作させることができるため、電磁操作装置の信頼性が大幅に向上する。
また、この発明に係わる電磁石装置によれば、複数の定格に対して、可動鉄心、固定鉄心の形状を標準化して低コスト化できるようにするとともに、電磁石装置を用いた開閉装置全体を小型化することができる。
また、この発明に係る電磁石装置は、上記のような構造であるため、閉極および開極動作完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を設けることができ、装置全体を小型化できる効果を有する。
また、この発明に係る電磁石装置は、上記のような構造であるため、閉極および開極動作完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を設けることができ、装置全体を小型化できる効果を有する。
この発明の実施の形態1による電磁操作装置とそれにより操作される開閉装置とを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態2による電磁操作装置の切換手段部を示す回路図である。 この発明の実施の形態3による電磁操作装置とそれにより操作される開閉装置とを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態4による電磁操作装置とそれにより操作される開閉装置とを示す全体構成図である。 実施の形態4による電磁操作装置の他の例を示す全体構成図である。 この発明の実施の形態5に係わる電磁石装置およびこの電磁石装置を用いた開閉装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態5に係わる電磁石装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態5に係わる電磁石装置を示す図7のVIII−VIII線における断面図である。 この発明の実施の形態6の電磁石装置およびこれを用いた開閉装置の全体構成図である。 この発明の実施の形態6の電磁石装置に係る構成図である。 この発明の実施の形態6の電磁石装置に係る構成図である。 この発明の実施の形態6の電磁石装置に係る可動鉄心の斜視図である。 この発明の実施の形態6の電磁石装置に係る固定鉄心部の断面図である。 この発明の実施の形態6の電磁石装置に係る他の構成図である。 この発明の実施の形態6の電磁石装置に係る他の構成図である。 この発明の実施の形態7の電磁石装置に係る構成図である。 この発明の実施の形態8の電磁石装置に係る構成図である。 この発明の実施の形態9の電磁石装置に係る構成図である。 この発明の実施の形態10の電磁石装置に係る構成図である。 この発明の実施の形態11の電磁石装置に係る構成図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による電磁操作装置とそれにより操作される開閉装置を示す全体構成図であり、電磁操作部と開閉装置は断面を示している。
電磁操作装置は、開閉装置の可動側に接続されてその開閉装置を開閉駆動するものであり、電磁操作部とその電磁操作部に電力を供給する駆動用電源部とで構成されている。
先ずこの電磁操作装置により駆動される開閉装置から説明する。以下では開閉装置の一例として真空バルブを例に挙げて説明する。
真空バルブ1は、絶縁容器2の内部に固定接点3と可動接点4が収容され、可動接点4に固着された可動電極棒4aの一端が絶縁容器2からベローズを介して外部に導出されて構成されている。絶縁容器2内は、両接点3,4間の消弧能力の向上のために真空に保たれている。
次に、電磁操作装置の電磁操作部について説明する。
電磁操作部5は、固定鉄心6と、それに対向配置された可動鉄心7と、可動鉄心7の中央部を貫通し可動鉄心7に固着された駆動軸8と、固定鉄心6に設けられ、通電により磁界を発生する電磁コイル9と、固定鉄心6側に設けられた永久磁石10と、固定鉄心6を固定する支柱11と、支柱11の両端に配置した開極側プレート12及び閉極側プレート13とを備えている。電磁コイル9は、開極用コイル9aと閉極用コイル9bを有している。固定鉄心6は、支柱11で挟まれて固定されている。一方の可動鉄心7は、固定鉄心6から離れて開極側プレート12に接した後退位置(図1の位置)と、固定鉄心6に当接した前進位置との間を、駆動軸8と共に駆動されて変位可能になっている。
この電磁操作部5は、支持板14に取付部材15を介して支持されている。支持板14は、例えば、真空バルブ1を支持するフレームやそのフレームに設けられたケース等である。支持板14に取付部材15を立設し、取付部材15に閉極側プレート13をボルト締め等で固定し、閉極側プレート13に支柱11が固定されている。
また、開極側プレート12より外側に突出した駆動軸8の先端側には、ばね受け16が固着されており、開極側プレート12とばね受け16との間には開極ばね17が挿入されている。開極ばね17は、例えば圧縮されたコイルばねであり、開極側プレート12とばね受け16との間で軸方向に弾性反発力を発生している。
次に、電磁操作部5の駆動軸8と真空バルブ1の可動電極棒4aとの連結部について説明する。連結部は、可動電極棒4aに連結された絶縁ロッド18と、その絶縁ロッド18と駆動軸8との間に介在させた接圧装置19とを備えている。図では、絶縁ロッド18が支持板14を貫通する部分にベローズを設けたものを示しているが、ベローズは、支持板14の構成によっては、不要の場合もある。
また、図では駆動軸8の軸線と、真空バルブ1の軸線とを一直線に合わせたものを示しているが、連結部にレバー等を介在させて方向を変換した構成でも良い。
なお、図1に示す開閉装置としての真空バルブ1、電磁操作装置の電磁操作部5、接圧装置19、及び電磁操作部5の固定部の構成は一例を示すものであり、図の形状に限定するものではない。
次に、電磁操作部5の動作と真空バルブ1の開閉動作を簡単に説明する。可動接点4が固定接点3から離れた開極状態にあるときは、可動鉄心7は開極ばね17の付勢力で図1のような後退位置にある。後述する駆動用電源により電磁コイル9の閉極用コイル9bへ通電されると、可動鉄心7が固定鉄心6に吸引され、開極ばね17の荷重に逆らって、後退位置から前進位置に向かって変位する。これにより、駆動軸8に連結された真空バルブ1の可動接点4は、固定接点3に向かって移動する。
この後、可動接点4が固定接点3に接すると、可動接点4の移動は停止する。しかし、可動鉄心7はさらに固定鉄心6に当接するまで変位して前進位置に達する。これにより、接圧装置19の接圧ばね19aが縮められ、可動接点4が固定接点3に所定の押圧力で押し付けられて閉極動作が完了する。
可動鉄心7が前進位置に達すると、永久磁石10の保持用磁束によって可動鉄心7が吸引保持されて前進位置が保持される。
可動鉄心7の前進位置の保持を解除して開極するときは、駆動用電源から開極用コイル9aへ通電することで、可動鉄心7と固定鉄心6の間の吸引力が低下し、開極ばね17及び接圧ばね19aの各荷重によって、可動鉄心7は後退位置へ移動する。
次に、本願発明の特徴部である、電磁操作装置の駆動用電源部21について説明する。先に説明したように、電磁操作装置の電磁操作部5の電磁コイル9は、開極用コイル9aと閉極用コイル9bとを有している。
駆動用電源部21は、電磁コイル9の開極用コイル9aと閉極用コイル9bに供給する電力を蓄積するコンデンサ22a,22bと、開閉装置である真空バルブ1に対する開極または閉極令指令に応答してコンデンサ22a,22bから開極用コイル9a又は閉極用コイル9bへ供給する電流を制御する制御基板23を備えている。通常時はこの電源によって電磁操作部5を駆動することで、真空バルブ1が開閉されるようになっている。以下の説明では、このコンデンサ22a,22bと制御基板23とを備えた電源をコンデンサ電源24と呼ぶことにする。
更に、駆動用電源部21は、コンデンサ電源24と開極用コイル9aとを接続する回路に、切換手段25を介して直流電源26が接続されている。切換手段25は、例えば、手動の押しボタンスイッチからなる切換スイッチ25a,25bで構成されている。直流電源26は、緊急時に電磁操作部5を駆動して真空バルブ1を動作させるものである。この直流電源26は、通常、開閉装置の制御用に備えられた直流電源を利用すればよい。
切換手段25は、制御基板23と開極用コイル9aとを接続する回路の途中に挿入された接続手段27により接続されて回路に組み込まれている。接続手段27は、例えば、プラグとレセプタクルからなる一般に知られたコネクタである。
実際には、通常、制御基板23と電磁コイル9は接続手段27を介して接続されているので、この接続手段27を開いて、その間に、同じコネクタ形状の接続手段27を有する切換手段25を挿入すればよい。こうすれば、直流電源26を持たない既設の電磁操作装置にも、後から容易に切換手段25を挿入し直流電源26を接続することが可能である。
以上のように、本願の駆動用電源部21は、駆動用電源として、コンデンサ電源24と、直流電源26の2種類の電源を備えて構成されている。
次に、駆動用電源部21の動作について説明する。
コンデンサ22a,22bは、予め図示しない充電回路によって充電されている。切換手段25は通常は制御基板23側に切り換えられている。図1のような開極状態から閉極する場合を説明する。制御基板23に閉極指令が入力されると、制御基板23からの信号によってコンデンサ22bに蓄積された電力が閉極用コイル9bに放出されて閉極用コイル9bが通電されることで、可動鉄心7が固定鉄心6側に吸引されて先に説明したような閉極動作で真空バルブ1の両接点3,4が閉じられて投入状態となる。
開極する場合は、制御基板23に開極指令が入力されると、制御基板23からの信号によってコンデンサ22aに蓄積された電力が開極用コイル9aに放出されて開極用コイル9aが通電され、可動鉄心7と固定鉄心6の間の吸引力が低下し、開極ばね17及び接圧ばね19aの各荷重によって、可動鉄心7が固定鉄心6から離れる方向に移動し、真空バルブ1の両接点3,4が開極される。
上記の開閉動作は、通常時における真空バルブ1の開閉動作である。
ここで、もし、コンデンサ電源24の制御基板23に何らかの不具合があって、コンデンサ電源24側からの開極制御ができなくなった場合、切換手段25の切換スイッチ25a,25bを直流電源26側に切り換えることで、直流電源26から開極用コイル9aへ流れる回路が確保でき、直流電源26によって開極用コイル9aに通電して電磁操作部5を開極動作させることができるようになっている。
このように、電磁操作部5の電磁コイル9に接続する2種類の電源、すなわち、コンデンサ電源24と直流電源26を備えることで、どちらか一方の電源がダウンしているときでも、他方の電源で動作できるため、電磁操作装置の信頼性が向上し、この電磁操作装置で操作される開閉装置の信頼性が向上する。
また、このような構成により、一方の電源について交換が必要になったときも、容易に交換できる。
また、直流電源26側の回路は電気回路を構成する部品点数が、制御基板23側と比較して大幅に少なくてよいため、部品点数の積算による故障確率が大幅に低減でき、開閉装置の動作信頼度が大幅に向上する。
更に、図1に示すように、電磁操作部5と2種類の電源24,26との間の接続を、いずれかに切換るための切換手段25を備えたことで、電源24,26間の干渉を阻止して他方の電源回路への影響を防止できる。切換手段25は、手動の切換スイッチとすることで、切換手段を低コスト化できる。
なお、図1では、電磁コイル9の開極用コイル9a側に直流電源26を接続した場合で説明した。この場合は、開極して開閉装置が電流を遮断することを優先した構成となっている。但し、これに限定するものではなく、閉極用コイル9b側に直流電源26を接続して、開閉装置が電流を通電することを優先する構成としても良い。また、開極側、閉極側の両方に対して、制御基板23との接続部に切換手段を介して直流電源を接続し、開極及び閉極の両方の動作を2重とすれば、更に信頼性の向上を図ることが可能である。
更に、電磁操作部5と制御基板23との間に切換手段25を挿入する接続手段27を備えたことで、例えば、既設の電磁操作部と、コンデンサと制御基板を備えた電源を持つ電磁操作装置を、図1の一点鎖線内の回路を接続することで、容易に本願発明の構成に変更することができる。改造期間や停電時間を短縮できるため、開閉装置の下流側に接続した機器の稼働時間率を向上できる。
なお、図1では、電磁コイルを開極用コイルと閉極用コイルで構成したもので説明したが、一つの電磁コイルを用いて、電磁コイルへの通電方向が切り換えられて開閉制御するような電磁操作装置にも同様に適用できる。
以上のように、実施の形態1の電磁操作装置によれば、固定鉄心と、固定鉄心に対して移動可能に構成された可動鉄心と、励磁により可動鉄心を移動させて可動鉄心に連結される開閉装置を開閉する電磁コイルと、電磁コイルに電力を供給する駆動用電源とを備え、駆動用電源は、開閉装置に対して通常時に開閉動作を行うための電源と、緊急時に開閉動作を行うための電源の2種類の電源で構成したので、通常時に開閉動作を行うための電源が何らかの要因で動作不良となった場合でも、緊急時に開閉動作を行うための電源により開閉装置を開閉動作させることができるため、電磁操作装置の信頼性が向上する。
また、駆動用電源のうち、通常時に開閉動作を行うための電源は、電磁コイルに供給する電力を蓄積するコンデンサと開閉装置に対する開極または閉極令指令に応答してコンデンサから電磁コイルへ供給する電流を制御する制御基板とを備えたコンデンサ電源であり、緊急時に開閉動作を行うための電源は、電磁コイルに直流電力を直接供給する直流電源としたので、直流電源の回路は構成する部品点数がコンデンサ電源と比較して大幅に削減できるため、部品点数の積算による故障確率が大幅に低減でき、信頼性の高い電磁操作装置を提供できる。
また、コンデンサ電源から電磁コイルに接続される回路と、直流電源から電磁コイルに接続される回路とを切り換える切換手段を備えたので、コンデンサ電源と直流電源との間の干渉を防いで、他方の電源回路への影響を防止できる。
また、切換手段は、コンデンサ電源から電磁コイルに接続される回路の途中に挿入された接続手段によって、着脱可能に接続されているので、コンデンサ電源のみを有する既設の電磁操作装置に対して、容易に切換手段と直流電源とを付加した電磁操作装置に改造できる。また、一方の電源の交換が必要になった時も、容易に対応できる。
実施の形態2.
図2は、実施の形態2による電磁操作装置の、切換手段部の構成を示す回路図である。コンデンサ電源24、直流電源26、及び電磁操作部5からなる電磁操作装置の全体構成は、実施の形態1の図1と同等であり、図1の破線で示す切換手段25の部分を図2に破線で示すような切換手段28で構成したものである。図1と同等部分は同一符号で示し詳細な説明は省略する。実施の形態1の図1の切換手段25は手動の切換スイッチを用いたものであったが、本実施の形態の切換手段28は電動としたものである。
図2に示すように、切換手段28は、第1のリレー29と第2のリレー30を有している。開閉装置を開閉する電磁操作部5の電磁コイル9の開極用コイル9aと制御基板23との間に第1のリレー29のb接点29bが接続され、制御基板23から開極用コイル9aに通電することで開閉装置である真空バルブ1を開極操作できるようになっている。また、直流電源26は、第2のリレー30のa接点30aを介して開極用コイル9aに接続されている。
更に、外部指令31を入力する入力端子を有し、外部指令31からの回路は、第1のリレー29の動作コイル29cに接続されると共に、第1のリレー29のa接点29aと第2のリレー30の動作コイル30cとが直列に接続されている。
このような構成により、外部指令31をうけて通電が開始されると、先ず第1のリレー29の動作コイル29cに通電されて第1のリレー29が動作し、b接点29bが開いて制御基板23と開極用コイル9aの回路が切り離されると共に、第1のリレー29のa接点29aが閉して、外部指令31からの電流が第2のリレー30の動作コイル30cに通電され、第2のリレー30のa接点30aが閉じ、直流電源26と開極用コイル9aの回路が接続され、直流電源26から開極用コイル9aに通電されて可動鉄心7が開極方向に駆動され、真空バルブ1が開極されるようになっている。
通常時の開閉装置の開閉操作は、コンデンサ22a,22bと制御基板23を備えたコンデンサ電源24側より行われる。第1のリレー29のb接点29bは第1のリレー29の電源オフ時に接続状態となっているため、通常時の開閉に第1のリレー29は電力を消費せず、電磁操作装置を省電力化することができる。
緊急時に直流電源26で開閉装置を操作するときは、外部指令31を入力することで、自動的に制御基板23と電磁コイル9側の回路を遮断した後に、直流電源26を電磁コイル9側に接続できる。このように、切換手段28以外に制御する装置を持つ必要がないので、接続先を誤って動作させる虞は無く、誤操作を防止できる。また、各リレー29,30の動作時間で切り換えが可能であるため、短時間で回路を切り換えできる。
図2では、リレーからなる切換手段28を、電磁コイル9の開極用コイル9aの回路に接続したものを示しているが、閉極用コイル9b側に切換手段28を設けて直流電源26を接続し、開閉装置に電流を通電することを優先する構成としても良い。また、開極側、閉極側の両方に切換手段28を設けて直流電源を接続し、開極及び閉極の両方の動作を2重としても良い。
また、実施の形態1と同様に、切換手段28の部分を、制御基板23と電磁コイル9とを接続する回路の途中に、接続手段27を用いて接続し、着脱可能に構成しても良い。
以上のように、実施の形態2の電磁操作装置によれば、切換手段は、コンデンサ電源から電磁コイルに接続される回路の途中に設けられて外部指令により動作する第1のリレーと、直流電源から電磁コイルに接続される回路に設けられて外部指令により動作する第2のリレーとを有しているので、緊急時に外部指令を与えて遠方から開閉装置を開閉動作させることができるため、電磁操作装置の動作の信頼性が向上する。
また、第1のリレーは、第1のリレーの動作コイルの通電時に開,非通電時に閉となるb接点を有し、コンデンサ電源と電磁コイルとは、第1のリレーのb接点を介して接続されているので、通常時に開閉動作を行うためのコンデンサ電源と電磁コイルの電気的接続には、第1のリレー側の電力を消費しないため、2種類の電源を有する場合でも電磁操作装置を省電力化できる。
また、第1のリレーはb接点に加えてa接点を有し、第2のリレーはa接点を有しており、第1のリレーのa接点と第2のリレーの動作コイルとが接続され、外部指令により第1のリレーの動作コイルが通電されたとき、第1のリレーのb接点が開くと共にa接点が閉じられ、更に第2のリレーのa接点が閉じられることで、電磁コイルへの電力供給がコンデンサ電源から直流電源に切り換えられるように構成されているので、外部指令を与えることで自動的にコンデンサ電源を切断した後に直流電源を電磁コイルに接続できるため、接続先を誤って動作させるような誤操作を防止できる。また、リレーの動作時間で切り換えが可能であるため、短時間で電源回路を切り換えることができる。
実施の形態3.
図3は、実施の形態3による電磁操作装置とそれにより操作される開閉装置を示す全体構成図である。実施の形態1の図1と同等部分は同一符号で示して説明は省略し、相違点を中心に説明する。
実施の形態1では、例えば、開極用コイル側に直流電源を接続する場合、1個の開極用コイルに対して、切換手段を用いてコンデンサ電源と直流電源とを切り換えていた。
これに対し、本実施の形態では、例えば、開極用コイルの電源をコンデンサ電源と直流電源の2重の電源とする場合、図3に示すように、コンデンサ電源24に接続する開極用コイル32bと、直流電源26に接続する開極用コイル32aを個別に備えたものである。すなわち、電磁コイル32は、二つの開極用コイル32a,32bと、閉極用コイル32cとで構成している。
このような構成とすることで、電源を2重にすることによる、実施の形態1のような効果に加え、切換手段を設ける必要は無く、切換回路の故障の確率を削減できるため、単純な構成で、信頼性の向上と低コスト化を図ることができる。
また、コンデンサ電源24と直流電源26の電源間の相互の影響を防止できる。従って、他方の電源回路への影響を防止する手段を備える必要が無く、低コスト化できる。
また、電磁コイル32のそれぞれの巻線は、それぞれの電源に対応した適切な設計ができ、回路定数を調整する電気素子を追加する必要が無くなる。
電磁操作部5は電磁コイル32の巻線数を増加することで小電流通電でも、電流×巻線数で電磁力を発生できる。従って、本構成では、直流電源には巻線数を増加させて、小電流で通電して電磁石を操作することも可能である。
更に、可動鉄心7を往復動作させる電磁コイル32において、一方に移動させる巻線手段として、巻線数の多い巻線には小容量のコンデンサを、巻線数の少ない巻線には大容量のコンデンサを接続することもできる。高速で応答させる場合は、大容量のコンデンサ側で動作させ、大容量コンデンサ側の回路が動作しないときには、小容量のコンデンサ側で動作させようにすれば、コンデンサの小型化を実現できる。また、小容量側においては電流値が小さいため、制御基板の素子も容量の小さいものでよく、制御基板も小型化、低コスト化することができる。
なお、図3では、開極用コイルを2個設け、それぞれを異なる種類の電源に接続して、開極して電流を遮断することを優先した構成となっている。この構成に限定するものではなく、閉極用コイルを2個設けてそれぞれを異なる種類の電源に接続し、閉極を優先して電流を通電することを優先する構成としても良い。また、開極側,閉極側の両方にそれぞれ2個の電磁コイルを設けて、開閉極の両方の動作の信頼性を向上することもできる。
以上のように、実施の形態3による電磁操作装置によれば、電磁コイルは、2種類の電源のそれぞれに接続されるコイルが個別に設けられているので、他方の電源回路への影響を防止する手段を必要とせずに他方の電源回路への影響を防止できる。
また、実施の形態1または2と比較して、切換手段を削減できるので、その分、故障の確率を低減できるため、単純な構成で信頼性を向上でき、低コスト化できる。
実施の形態4.
図4は、実施の形態4による電磁操作装置とそれにより操作される開閉装置を示す全体構成図である。実施の形態1の図1と同等部分は同一符号で示して説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図1との相違点は、直流電源26と電磁コイル9の開極コイル9aとを接続する回路の途中、具体的には切換スイッチ25aの手前に抵抗33を挿入した点である。
直流電源26側に抵抗33を挿入したことで、以下の効果が発生する。
1個の電磁コイルに複数種類の電源を接続した場合、電磁コイルの特性はいずれか一方の電源の特性に最適化して設計されることになり、他方の電源では特性が合わない場合がある。特に、コンデンサ電源を備えた電磁操作装置に、後から直流電源を追加するような場合は、電磁コイルの特性はコンデンサ電源の特性に最適化されており、直流電源の特性を電磁コイルの特性に合わせ込む必要が生じる。
そこで、図4のように、直流電源26と電磁コイル9とを接続する回路の途中に抵抗33を挿入することで、電気回路定数を調整でき、適切な特性を実現できる。たとえば、直流電源26では継続的に電流が流れるため、何も処置しない場合は電磁コイル9が大電流による発熱のため焼損する可能性があるが、抵抗33を挿入することによって抑制でき継続通電が可能になる。
図5は、直流電源側に抵抗を挿入する構成の他の例を示す図であり、実施の形態3の図3と同等の回路に、抵抗33を挿入したものである。
図5のように、各電源に対してそれぞれ接続する電磁コイル32として個別のコイル32a〜32cを備え、各コイル32a〜32cを対応する電源に最適化した場合においても、抵抗33の接続で以下の効果がある。
それは、周囲温度によらない安定動作を実現できることである。銅線の抵抗は0.00393/Kで温度に対して変化する。周囲温度によって流れる電流値が変化するため、直流電源26の容量が最大通電電流となる動作仕様の最低温度で設計することになり、過剰スペックとなる。そこで、温度によらず、ほぼ一定の抵抗を取り付けて、電磁コイル32の抵抗値を小さく設計することで、温度による全体の抵抗値の変化が小さくなり、直流電源26の電流容量を削減できるという利点がある。また、通電電流値がほぼ一定となるため、電磁操作装置の動作が安定する。
ここで、更に、直流電源26に接続する電磁コイルに流れる電流を、直流電源26の電圧で5A以下となるように、抵抗33で調整すれば、次のような効果を期待できる。
ユーザが開閉装置を使用するときに、使用する電流値を最大5Aに抑えるような要望がある。既設の電磁操作装置に直流電源を追加するような設備更新を行う場合、抵抗33の抵抗値を調整して、直流電源回路に流れる電流値を5A以下にすることで、従来の開閉装置と互換性をもって使用できるため、更新時に設備を大きく変更することなく、設備変更の低コスト化を図ることができる。
以上のように、実施の形態4の電磁操作装置によれば、直流電源から電磁コイルに接続される回路の途中に抵抗を挿入したので、いずれか一つの電源に対して最適化した電磁コイルの場合でも、他の電源との特性の調整を抵抗で行なうことができる。また、温度に依存しない抵抗を配置することで、電磁操作装置の動作が温度に影響されるのを抑制でき安定動作を実現できる。
また、抵抗は、直流電源から電磁コイルに接続される回路に流れる電流が5A以下となるような抵抗値に調整したので、一般に多く使用されている電磁操作装置の電流値以下となるため、既設の設備に直流電源を追加更新する場合に、大きな設備の変更を伴わずに実施できる。
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5を図6〜図8に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。図6はこの発明の実施の形態5に係わる電磁石装置およびこの電磁石装置を用いた開閉装置を示す断面図である。図7はこの発明の実施の形態5に係わる電磁石装置を示す断面図である。図8はこの発明の実施の形態5に係わる電磁石装置を示す図7のVIII−VIII線における断面図である。
これら各図において、固定接点101と可動接点102を有する開閉装置本体である真空バルブ103と、真空バルブ103の可動接点102を固定接点101に接離する方向へ変位させる電磁石装置104と、真空バルブ103と電磁石装置104とを連結する連結装置105と、可動接点102を固定接点101から離れる方向へ付勢する付勢体である開極ばね106とにより開閉装置が構成されている。
開閉装置本体である真空バルブ103は、絶縁容器103a内に固定接点101と可動接点102が収容され、可動接点102に固着された可動電極棒103bの一端が絶縁容器103aから外部に導出され、連結装置105を介して電磁石装置104の可動側に連結されている。これにより、可動接点102が真空バルブ103の軸線方向へ移動し変位する。可動接点102が固定接点101に接することにより閉極となり、離れることにより開極となる。真空バルブ103内は、固定接点101、可動接点102間の消弧能力の向上のために真空に保たれている。なお、固定接点101には固定電極棒103cが固着されている。
電磁石装置104は、複数の磁性体の板を積層して構成された固定鉄心107と、複数の磁性体の板を積層して構成され固定鉄心107内を進退移動するよう配置された可動鉄心108と、可動鉄心108の中央部を貫通し設けられ可動鉄心108に固定された駆動軸109と、固定鉄心107に設けられ、通電により磁界を発生する電磁コイル110と、固定鉄心107側に設けられた永久磁石111と、固定鉄心107を固定する支柱112と、支柱112の両端に配置した開極側プレート113及び閉極側プレート114とから構成されている。可動鉄心108は、固定鉄心107に対して駆動軸109の軸線方向(以下、単に軸線方向と称す)Gへ駆動されて変位可能となっている。
更に、駆動軸109が開極側プレート113及び閉極側プレート114を貫通する部分には、駆動軸109の軸受115a、115bが、それぞれ固定されている。
また、開極側プレート113より外側に突出した駆動軸109の他方側109bには、開極ばね受け116が固着されており、開極側プレート113と開極ばね受け116との間の駆動軸109の軸部に、付勢体である開極ばね106が挿入されている。開極ばね106は、例えば圧縮されたコイルばねであり、開極側プレート113と開極ばね受け116との間で軸線方向Gに弾性反発力を発生している。
次に、電磁石装置104の構成を更に詳しく説明する。固定鉄心107及び可動鉄心108は、それぞれ複数の磁性体の薄板を積層して構成されている。固定鉄心107の形状は、軸線方向に対して直交方向に延びる横鉄心部107aと、横鉄心部107aの両端部から軸線方向に延びる縦鉄心部107bと、縦鉄心部107bから軸線に向かって延びる永久磁石固定部107cとを有している。固定鉄心107の縦鉄心部107aは、その板面の両側、すなわち積層方向の両面から支柱112で挟まれて支柱112に締め付けて固定されている。
一方、可動鉄心108は、軸線方向に沿って配置された基幹部108aと、基幹部108aの側面から軸線方向と直交する方向へ向けて互いに反対方向へ突出する一対の分岐部108bとを有している。固定鉄心107及び可動鉄心108は積層方向へ通された複数のボルト118と、各ボルト118に螺合されたナット(図示せず)とによって締結されることにより一体となっている。そして、固定鉄心107から離れて開極側プレート113に接した後退位置と、固定鉄心107に当接した前進位置との間を変位可能になっている。
なお、固定鉄心107、可動鉄心108の材料としては、透磁率の高い磁性材料であればよく、例えば鋼材、電磁軟鉄、珪素鋼、フェライト及びパーマロイ等が挙げられる。
また、駆動軸109の材料としては、透磁率の低い材料(低磁性材料)、例えばステンレス等が用いられている。
永久磁石111は、固定鉄心107の永久磁石固定部107cに、可動鉄心108の分岐部108bの閉極側の面に対向するように配置されている。そして、永久磁石111は、N極及びS極(一対の磁極)を有しており、一方の磁極は永久磁石固定部107cに対向しており、他方の磁極は可動鉄心108の分岐部108bの閉極側に対向している。この永久磁石111は、可動鉄心108を前進位置に保持する保持用磁束を発生するものである。なお、永久磁石111の固定は、例えば、コの字状に折り曲げて形成した取付部材(図示せず)を永久磁石111の上面から被せ、それを永久磁石固定部107cの積層方向にボルトで締め付けて固定すればよい。
また、電磁コイル110は、可動鉄心108の基幹部108aと固定鉄心107の縦鉄心部107bとの間を通るように配置されている。この実施の形態の例では、電磁コイル110は、軸線方向への投影面内において、可動鉄心108の基幹部108aを囲んでいる。これにより、電磁コイル110は、通電されると、固定鉄心107及び可動鉄心108を通る磁束を発生する。また、電磁コイル110が発生する磁束の方向は、電磁コイル110への通電方向の切替えで反転可能になっている。
次に、電磁石装置104と開閉装置本体である真空バルブ103との連結部を説明する。電磁石装置104は、板状の支持部材119に取付支柱120を介して支持されている。通常、真空バルブ103は、周辺部の絶縁耐圧を確保するための絶縁ガス(例えばSF6ガス、ドライエアなど)を封じた容器(図示せず)に収容されている。このため、上記の支持部材119は、例えば、その容器の蓋体であり、この蓋体からなる支持部材119に取付支柱120を立設し、取付支柱120に電磁石装置104の閉極側プレート114がボルト締め等で固定されている。但し、支持部材119はこれに限定するものではなく、例えば配電盤の支持板であっても良い。
真空バルブ103の可動接点102に固定された可動電極棒103aと電磁石装置104の駆動軸109の一方側109aとを連結する連結装置105は、可動電極棒103aに連結された絶縁ロッド121と、その絶縁ロッド121と駆動軸109の一方側109aとの間に介在させた接圧装置122と、絶縁ロッド121の連結棒123部分が支持部材119を貫通する部分おいて、ガス容器の一部である支持部材119に対して連結棒123部分が気密を保って移動可能なように、連結棒123部分と支持部材119を繋いで設けられたベローズ124とを有している。なお、ベローズ124は、支持部材119の構成によっては、不要の場合もある。
接圧装置122は、連結棒123部分の端部に固定されたばね枠125と、駆動軸109の一方側109aに固定され、ばね枠125内に配置された外れ止め板126と、ばね枠125と外れ止め板126との間に圧縮した状態で挿入された接圧ばね127とを有している。接圧ばね127は、駆動軸109を絶縁ロッド121から離れる方向へ付勢している。駆動軸109は、外れ止め板126と共に、軸線方向へ変位可能になっており、その変位は、外れ止め板126のばね枠125に対する係合により規制されている。
図6では、電磁石装置104の軸線と、真空バルブ103の軸線とを一直線に合わせたものを示しているが、連結装置105部にレバー等を介在させて方向を変換した構成であっても良い。
次に、開閉装置の動作について説明する。可動接点102が固定接点101から離れた開極状態にあるときは、可動鉄心108は開極ばね106の付勢力で後退位置にある。電磁コイル110へ通電されると、可動鉄心108が固定鉄心107に吸引され、開極ばね106の荷重に逆らって、後退位置から前進位置に向かって変位する。これにより、可動接点102は、固定接点101に向かって移動する。
この後、可動接点102が固定接点101に接すると、可動接点102の移動は停止する。しかし、可動鉄心108はさらに変位して基幹部108aが固定鉄心107の横鉄心部107aに当接し、前進位置に達する。これにより、接圧ばね127が縮められ、可動接点102が固定接点101に所定の押圧力で押し付けられて閉極動作が完了する。
可動鉄心108が前進位置に達すると、永久磁石111の保持用磁束によって可動鉄心108が吸引保持されて前進位置が保持される。
可動鉄心108の前進位置の保持を解除するときには、閉極動作時と逆方向へ電磁コイル110への通電が行われる。これにより可動鉄心108と固定鉄心107の間の吸引力が低下し、開極ばね106及び接圧ばね127の各荷重によって、可動鉄心108は後退位置へ移動する。変位の初期段階では、可動接点102は、固定接点101に押し付けられたままとなっている。
この後、可動鉄心108の後退位置に向かう変位が進むと、外れ止め板126がばね枠125に係合される。これにより、可動接点102は固定接点101から離れる方向に変位する。可動鉄心108が更に変位して開極側プレート113に当接して密着し、後退位置(図6の状態)に達すると開極動作が完了する。
この発明の実施の形態5の開閉装置における電磁石装置の駆動軸部を示したものを図7に示す。可動鉄心108、固定鉄心107がそれぞれ複数の磁性体の薄い鉄板を積層した構成となっている。駆動軸109は、可動鉄心108の中央部を貫通し、可動鉄心108との接続部109cに連結部材である例えば棒体128により可動鉄心108と連結された1本の軸体として構成され、駆動軸109の接続部109cの軸径と駆動軸109の他部の軸径とは異なる軸径として構成されている。駆動軸109と可動鉄心108を棒体128で連結しているため、駆動軸109の接続部109cは強度を向上するため、所定の軸径を確保している。
一方、駆動軸109の他方側109bにある開極ばね106の開極ばね受け116の連結部および接圧装置122の外れ止め板126の連結部は、開閉装置の操作時にそれぞれの連結部で発生する荷重に必要な所定の強度を持つ軸径となっている。
したがって、駆動軸109は、可動鉄心108との棒体128による連結部である接続部109cの軸径bと、開極ばね受け116側の連結部である他方側109bの軸径a2、外れ止め板126との連結部である一方側109aの軸径a1が異なっており、駆動軸109の接続部109cの軸径bより駆動軸109の一方側109aおよび他方側109bの軸径a1,a2を小さく構成している。すなわち、固定鉄心107に吸着される可動鉄心108部における駆動軸109の一方側109aの軸径a1を棒体128により可動鉄心108と連結される駆動軸109の接続部109cの軸径bより小さく構成している。なお、図7では開極ばね受け116、および外れ止め板126は、一般的な締付部品であるナット129で両側から締め付けられて固定されている。
これらナット129は駆動軸109の軸径によって外形寸法が異なる。軸径が大きい軸に使用するナット129は、軸方向にも寸法が大きい。軸径が小さい軸に使用するナット129は、軸方向にも寸法が小さい。従って、可動鉄心108と駆動軸109の接続部109cの軸径を維持した一本の駆動軸109の場合と比較して、開極ばね受け116、および外れ止め板26との連結部のナット129を小型化できるため、軸方向の寸法を縮小でき、開閉装置の全体寸法を縮小できる。
この発明の実施の形態5の電磁石装置は可動鉄心及び固定鉄心の積層枚数の増減により、開閉装置において定格毎に必要とされる開閉操作力に応じて電磁石装置で発生する吸引保持力を増減できる。各鉄心を構成する薄板の形状は同じものでよいので、容易に吸引保持力の調整が可能である。
図8は可動鉄心108について、図7のVIII−VIII線における断面図である。駆動軸部においては、可動鉄心108と駆動軸109の接続部109cを連結部材である棒体128で連結して固定しているため、図8に示すように、可動鉄心108との連結部である駆動軸109の接続部109cの軸径に応じて、可動鉄心108の駆動軸貫通部108cの積層枚数を調整すれば、駆動軸109を可動鉄心108に固定できる。
また、駆動軸109の軸受け115a,115bは固定鉄心107とは別に設けられた開極側プレート113及び閉極側プレート114の貫通穴に固定されており、穴寸法を変更するだけで駆動軸109の軸径の変更に容易に対応できるため、複数の定格に対して、容易に対応できる。
従って、この発明の構成を採用することで、固定鉄心107および可動鉄心108を構成する薄板の形状は、開閉装置の定格にかかわらず一定にできる。さらに、駆動軸109の各連結部をナットを小型化することで最適化することによる開閉装置寸法の最適化が、電磁石装置104の開極側プレート113、閉極側プレート114の軸受け穴寸法を変更するだけで容易にできる。
このように、各定格に対して容易に対応できるので、電磁石装置104の製作において、固定鉄心107、可動鉄心108のプレス金型を定格毎に準備する必要が無く標準化できる。プレス金型の初期投資額を低減でき、さらに量産効果によるコスト低減が可能となる。
この発明の実施の形態5において、開極ばね106および接圧ばね127の荷重に対して開閉装置の閉極状態を維持するための電磁石装置104の吸引保持力は、可動鉄心108と固定鉄心107の接触部Sの面積によって増減する。この面積を確保するため、可動鉄心108が大きくなり可動部重量が増加すると、開閉装置の機能に必要な開閉速度を満足できないといった問題が発生する。この発明の実施の形態5においては、可動鉄心108との連結部である駆動軸109の接続部109cの軸径bに対して、可動鉄心108と固定鉄心107の接触部Sにおける駆動軸109の一方側109aの軸径a1を小さくしたことにより、駆動軸109の軸径を一定とした時と比較して可動鉄心108と固定鉄心107の接触部Sの面積を大きくすることができる。すなわち、接触部Sの面積を確保して可動鉄心108を小さくできるため、電磁石装置104が開閉装置の閉極状態を維持するための吸引保持力を満足するための可動鉄心108を小さくでき、全体の電磁石装置104の寸法を小型化できる。
また、電磁石装置104の吸引保持力を満足するために搭載する高価な永久磁石111の量も削減できるため、電磁石装置104を低コスト化できる。
また、この発明の実施の形態5の構成では、駆動軸109を一本の軸体としている。可動鉄心108と連結した駆動軸109において、開極側プレート113、閉極側プレート114のそれぞれ軸受115a,115b部で支持する駆動軸109が複数の部品の連結からなる場合と比較して、駆動軸109は高精度な同軸度を持つため、軸受115a,115b部の摩擦が低減でき、電磁石装置104の動作の損失および軸心ずれによる動作不具合を低減できる。
実施の形態6.
実施の形態6は、固定鉄心と、可動鉄心と、可動鉄心に貫通して固着された駆動軸と、可動鉄心を駆動軸に沿って固定鉄心に変位させる電磁コイルと、可動鉄心を固定鉄心から隔離する方向に変位させる開極ばねと、可動鉄心の変位完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を駆動軸と一体化した構造の電磁石装置およびこの電磁石装置を用いた開閉装置に関するものである。
以下、本願発明の実施の形態6の電磁石装置および開閉装置の構成、動作について、全体構成図である図9、電磁石装置の構成図である図10、図11、電磁石装置の可動鉄心の斜視図である図12、固定鉄心部の断面図である図13、電磁石装置の他の構成図である図14、図15に基づいて説明する。
以下の説明では、最初に電磁石装置とこの電磁石装置を用いた開閉装置の全体構成を説明する。次に、電磁石装置の構成と動作を説明する。さらに、開閉装置の構成と動作を説明する。
なお、実施の形態7から実施の形態11は、実施の形態6の電磁石装置に関する本願発明の他の実施の形態を順次説明する。
まず、図9に基づいて、電磁石装置の基本構成とこの電磁石装置を用いた開閉装置の全体構成を説明する。
図9において、全体として開閉装置400は、電磁石装置201と開閉操作部300から構成される。
電磁石装置201は、主要構成要素として電磁石部202と、駆動軸203と、緩衝装置204と、開極ばね205とを有する。緩衝装置204については、後で電磁石装置201の説明において図10、図11に基づきに説明する。
電磁石部202は、主要構成要素として固定鉄心209と、可動鉄心210と、電磁コイル211と永久磁石212とを有する。
開閉操作部300は、真空バルブ303と連結装置304から構成される。
まず、図9から図13に基づいて、電磁石装置201の構成と動作を説明する。なお、図10、図11は図9の緩衝装置204の詳細を記載した図である。図10は可動鉄心210、駆動軸203および真空バルブ303が開極側位置にある状態を表している。図11は可動鉄心210、駆動軸203および真空バルブ303が閉極側位置にある状態を表している。
なお、開極側位置、閉極側位置については、後で説明する。また、図10、図11においては、電磁石部202の209a〜209c等の詳細符号は省略している。
電磁石部202は、固定鉄心209と、それに対向配置された可動鉄心210と、可動鉄心210の中央部を貫通して設けられ可動鉄心210に固着された駆動軸203を有している。また、電磁石部202は、固定鉄心209に設けられ、通電により磁界を発生する電磁コイル211と、固定鉄心209側に設けられた永久磁石212を有している。さらに、電磁石部202は、固定鉄心209を固定する支柱213と、支柱213の両端に配置した開極側のプレートである上部プレート206および閉極側のプレートである下部プレート207とを有している。
ここで、可動鉄心210は、固定鉄心209に対して駆動軸203の軸線方向(以下、軸線方向と記載する)へ駆動されて変位可能となっている。
さらに、駆動軸203が上部プレート206および下部プレート207を貫通する部分には、駆動軸203の軸受214a、214bが、それぞれ固定されている。
また、上部プレート206より外側に突出した駆動軸203の先端側には、ばね受け208が固着されている。上部プレート206とばね受け208との間の駆動軸203の軸部に、開極ばね205(付勢体)が挿入されている。開極ばね205は、例えば圧縮されたコイルばねであり、上部プレート206とばね受け208との間で軸線方向に弾性反発力を発生する。付勢された開極ばねは、可動鉄心210を駆動軸203の中心軸に沿って固定鉄心209から隔離する方向に変位させる。
なお、開極ばね205が本発明の隔離ばねである。
次に、緩衝装置204の詳細を図10に基づいて説明する。
緩衝装置204は、開極ばね205内に配置され、上部プレート206に固定されている。
緩衝装置204は、内部に例えば液体の粘性体204cを密封したものである。緩衝装置204の内部を貫通する駆動軸203には、例えば円板状の緩衝体部204bを備えている。緩衝装置204の軸線方向の両端部には、例えば円筒状の上部緩衝室204dと下部緩衝室204eが設けられている。上部、下部緩衝室204d、204eは、緩衝装置204の内部で内径が小さくなっており、駆動軸203と一体化した緩衝体部204bが嵌合する構造となっている。
緩衝体部204bが上部、下部緩衝室204d、204eに嵌合する(入る)ときに、粘性体204cは緩衝体部204bと上部、下部緩衝室204d、204eの間を通過する。粘性体204cが緩衝体部204bと上部、下部緩衝室204d、204eを通過するときの粘性体204cの抵抗により、可動部が減速され、衝撃を低減できる。緩衝装置204は、駆動軸203と緩衝装置204のケースの間を上部ベローズ204f、下部ベローズ204gで接続して密封している。
なお、上部緩衝室204d、下部緩衝室204eが、本発明の緩衝室である。
ベローズの接続は溶接またはロー付けなどの手法で行なう。上部ベローズ204f、下部ベローズ204gは、金属で製作した筒状のものにひだを設け、伸縮性・気密性・ばね性を持たせたものである。このように上部ベローズ204f、下部ベローズ204gで緩衝装置204の可動部を密封することで、粘性体204cが緩衝装置204の外部に漏れることを防止している。緩衝装置204内の緩衝構造は一般的なオリフィス構造でも良い。
図10は、緩衝体部204bが下部緩衝室204eに嵌合した状態を表しているが、図11は緩衝体部204bが上部緩衝室204dに嵌合した状態を表している。
電磁石部202の固定鉄心209および可動鉄心210について、図9に基づいてさらに詳しく説明する。
固定鉄心209および可動鉄心210は、薄板を積層して構成されている。固定鉄心209は、軸線方向に対して直交方向に延びる横鉄心部209aと、横鉄心部209aの両端部から軸線方向に延びる縦鉄心部209bと、縦鉄心部209bから軸線に向かって延びる永久磁石固定部209cとを有している。
固定鉄心209の縦鉄心部209bは、その板面の両側、すなわち積層方向の両面から支柱213で挟まれて支柱213に締め付けられ固定されている。
次に可動鉄心210について説明する。図12にT字形の可動鉄心210の斜視図を示す。
可動鉄心210は、軸線方向に沿って配置された基幹部210aと、基幹部210aの側面から軸線方向と直交する方向へ向けて互いに反対方向へ突出する一対の分岐部210bとを有している。可動鉄心210は、積層方向へ通された複数のボルト215と、各ボルト215に螺合されたナット(図示せず)とによって締結され一体となっている。そして、可動鉄心210は、固定鉄心209から離れて上部プレート206に接した後退位置と、固定鉄心209に当接した前進位置との間を変位可能になっている。
図13は、図9のXIII−XIIIから見た固定鉄心209部の断面図および関連部品図を示す。
図13(a)は、固定鉄心209と支柱213と下部プレート207とを組み合わせた状態を図9のXIII−XIIIから見た平面断面図である。
図13(b)は、固定鉄心209と支柱213とを図9のXIII−XIIIから見た平面図である。図13(b)において、支柱213の長手方向の両端部には、上部プレート206および下部プレート207の取り付け用のねじ穴213aが加工されている。また、固定鉄心209には、駆動軸203が移動自在に通過する開口穴209dが形成されている。
図13(c)は、下部プレート207の平面図である。図13(c)において、下部プレート207には、中央部に駆動軸203の軸受け214bが取り付けられる軸受取付穴207aと、周辺部に支柱213を取り付けるための複数の支柱取付穴207bが形成されている。
なお、図13(a)から図13(c)では、いずれもボルト類は図示していない。
固定鉄心209、可動鉄心210および駆動軸203の材料について説明する。
固定鉄心209、可動鉄心210の材料としては、透磁率の高い磁性材料であればよく、例えば鋼材、電磁軟鉄、珪素鋼、フェライトおよびパーマロイ等を用いることができる。
また、駆動軸203の材料としては、透磁率の低い材料(低磁性材料)、例えばステンレス等が用いられる。
次に、永久磁石212について説明する。
永久磁石212は、固定鉄心209の永久磁石固定部209cに、可動鉄心210の分岐部210bの下部側の面に対向するように配置されている。そして、永久磁石212は、N極およびS極(一対の磁極)を有している。永久磁石212の一方の磁極は永久磁石固定部209cに対向しており、他方の磁極は可動鉄心210の分岐部210bの下部側に対向している。この永久磁石212は、可動鉄心210を閉極側位置(前進位置)に保持する保持用磁束を発生する。
なお、永久磁石212は、例えば、コの字状に折り曲げて形成した取付部材(図示せず)を永久磁石212の上面から被せ、それを永久磁石固定部209cの積層方向にボルトで締め付けて固定される。
次に、電磁コイル211について、図9に基づいて説明する。
電磁コイル211は、可動鉄心210の基幹部210aと固定鉄心209の縦鉄心部209bとの間を通るように配置されている。本実施の形態6の例では、電磁コイル211は、軸線方向への投影面内において、可動鉄心210の基幹部210aを囲んでいる。電磁コイル211は、通電されると、固定鉄心209および可動鉄心210を通る磁束を発生する。また、電磁コイル211が発生する磁束の方向は、電磁コイル211への通電方向を切替えて反転できる。通電方向の切替えは、コンデンサを接続した制御基板(図示せず)で行なわれる。
次に、真空バルブ303と連結装置304について、図9に基づいて説明する。
真空バルブ303は、絶縁容器303a内に固定接点301と可動接点302を収容している。可動接点302に固着された可動電極棒303bの一端が絶縁容器303aから外部に導出され、連結装置304を介して電磁石装置201の駆動軸203に連結されている。これにより、可動接点302が真空バルブ303の軸線方向へ移動し変位する。可動接点302が固定接点301に接することにより閉極となり、隔離することにより開極となる。真空バルブ303内は、固定接点301と可動接点302間の消弧能力の向上のために真空に保たれている。
連結装置304は、主要構成要素として絶縁ロッド307と、接圧装置308と、連結ベローズ309と、連結棒313とを備える。連結装置304は、電磁石装置201の電磁石部202と連結するための板状の支持部材305と支持柱306を備えている。
接圧装置308は、連結棒313の端部に固定されたばね枠310と、駆動軸203の先端部に固定され、ばね枠310内に配置された外れ止め板311と、ばね枠310と外れ止め板311との間に圧縮した状態で挿入された接圧ばね312とを有している。接圧ばね312は、駆動軸203を絶縁ロッド307から隔離する方向へ付勢している。駆動軸203は、外れ止め板311と共に、軸線方向へ変位可能になっており、その変位は、外れ止め板311のばね枠310に対する係合により規制されている。
連結ベローズ309は、絶縁ロッド307の連結棒313部分が支持部材305を貫通する部分において、ガス容器の一部である支持部材305に対して連結棒313部分が気密を保って移動可能なように、連結棒313部分と支持部材305を繋ぐために設けられたものである。なお、連結ベローズ309は、支持部材305の構成によっては、不要の場合もある。
電磁石部202は、板状の支持部材305に支持柱306を介して支持される。通常、真空バルブ303は、周辺部の絶縁耐圧を確保するための絶縁ガス(例えばSF6ガス、ドライエアなど)を封じた容器(図示せず)に収容されている。このため、支持部材305は、例えば、その容器の蓋体であり、この蓋体からなる支持部材305に支持柱306を立設し、支持柱306に電磁石部202の下部プレート207がボルト締め等で固定されている。但し、支持部材305はこれに限定するものではなく、例えば配電盤の支持板であっても良い。
次に、開閉装置400の真空バルブ303の開極、閉極動作について説明する。
可動接点302が固定接点301から隔離した開極状態にあるときは、可動鉄心210は開極ばね205の付勢力で開極側位置(後退位置)にある。制御基板から電磁コイル211へ通電されると、可動鉄心210が固定鉄心209に吸引され、開極ばね205の荷重に逆らって、開極側位置(後退位置)から閉極側位置(前進位置)に向かって変位する。これにより、可動接点302は、固定接点301に向かって移動する。
この後、可動接点302が固定接点301に接すると、可動接点302の移動は停止する。しかし、可動鉄心210はさらに変位して基幹部210aが固定鉄心209の横鉄心部209aに当接し、閉極側位置(前進位置)に達する。これにより、接圧ばね312が縮められ、可動接点302が固定接点301に所定の押圧力で押し付けられて閉極動作が完了する。
閉極動作が完了時、緩衝装置204内の緩衝体部204bは下部側(閉極側)の下部緩衝室204eに嵌合することで粘性体204cの抵抗により速度が低減され、閉極動作完了時の衝撃を低減できる。
可動鉄心210が閉極側位置(前進位置)に達すると、永久磁石212の保持用磁束によって可動鉄心210が吸引保持されて閉極側位置(前進位置)が保持される。
可動鉄心210の閉極側位置(前進位置)の保持を解除するときには、制御基板から閉極動作時と逆方向へ電磁コイル211への通電が行われる。これにより可動鉄心210と固定鉄心209の間の吸引力が低下し、開極ばね205および接圧ばね312の各荷重によって、可動鉄心210は開極側位置(後退位置)へ移動する。変位の初期段階では、可動接点302は、固定接点301に押し付けられたままとなっている。
この後、可動鉄心210の開極側位置(後退位置)に向かう変位が進むと、外れ止め板311がばね枠310に係合される。これにより、可動接点302は固定接点301から隔離する方向に変位する。可動鉄心210がさらに変位して上部プレート206に当接して密着し、開極側位置(後退位置)(図9の状態)に達すると開極動作が完了する。
開極動作が完了時、緩衝装置204内の緩衝体部204bは上部側(開極側)の上部緩衝室204dに嵌合することで粘性体204cの抵抗により速度が低減され、開極動作完了時の衝撃を低減できる。
実施の形態6の電磁石装置201は、閉極動作、開極動作完了時の衝撃を緩和する緩衝装置204を開極ばね205内に配置したため、緩衝装置204と電磁石部202を組み合わせた電磁石装置201の全長を短くできる。
図9に示すように、開閉装置400では電磁石装置201の駆動軸203を真空バルブ303の可動接点302に固着した可動電極棒303bに連結している。すなわち、開閉装置400は、電磁石装置201の軸線と真空バルブ303の軸線を一直線に配置しているため、装置の全長を短縮できる。
例えば、特開2012−238505(特許文献4)で開示された電磁操作式真空遮断器では、ダンパ(本実施の形態6の緩衝装置204に相当)の配置により、全長が長くなっている。本発明の実施の形態6の電磁石装置201では、駆動軸203と緩衝装置204を一体化したことで、緩衝装置204専用の空間を削減でき、開閉装置400を小型化できる。
開閉装置400は屋外に設置する場合、外気温の変動の影響を受ける。緩衝装置204において、駆動軸203と緩衝装置204のケースの間に粘性体204cを封入するための材料としてゴムパッキンを用いた場合、設置環境の外気温度の影響を受ける。特に低温の場合、標準ゴムパッキンでは硬化して、密閉性が劣化し、オイル漏れが発生する場合がある。粘性体204cとの相性を考慮した特殊な材料のゴムパッキンを使用する場合があり、標準化ができない問題があった。
実施の形態6の電磁石装置201では、駆動軸203と緩衝装置204のケースの間を上部ベローズ204f、下部ベローズ204gで接続して密封しているため、粘性体204cは周囲温度の影響を受けない。したがって、緩衝装置204のすべての環境温度で統一的に標準化できる。
図10、図11は、緩衝装置204内に上部緩衝室204dと下部緩衝室204eの両方を設けているが、片側のみに緩衝室を設けることもできる。
図14は、緩衝装置224内に上部緩衝室224dのみを設けた構成の電磁石装置221を示す。電磁石装置221は、開極時の衝撃を緩和することができる。
図15は、緩衝装置234内に下部緩衝室234eのみを設けた構成の電磁石装置231を示す。電磁石装置231は、閉極時の衝撃を緩和することができる。
図9では、電磁石装置201の駆動軸203の軸線と、真空バルブ303の軸線とを一直線に合わせたものを示している。しかし、連結装置304部にレバー等を介在させて方向を変換する構成とすることもできる。
以上説明したように、実施の形態6に係る電磁石装置は、固定鉄心と、可動鉄心と、可動鉄心に貫通して固着された駆動軸と、可動鉄心を駆動軸に沿って固定鉄心に変位させる電磁コイルと、可動鉄心を固定鉄心から隔離する方向に変位させる開極ばねと、可動鉄心の変位完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を駆動軸と一体化したものである。このため、電磁石装置は閉極および開極動作完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を設けることができ、装置全体を小型化できるという効果を有する。
また、実施の形態6に係る電磁石装置を用いた開閉装置は、電磁石装置の駆動軸を真空バルブの可動接点に固着した可動電極棒に連結し、電磁石装置の軸線と真空バルブの軸線を一直線に配置した構成としている。このため、開閉装置は閉極および開極動作完了時の衝撃を緩和する機能を備えており、開閉装置全体を小型化できるという効果を有する。
実施の形態7.
実施の形態6では、電磁石装置において緩衝装置を電磁石部の上部プレートに設置していた。しかし、本実施の形態7では、緩衝装置と電磁石部の間に接続部を設ける構成としたものである。
以下、本願発明の実施の形態7の構成、動作について、電磁石装置241の構成図である図16に基づいて、実施の形態6との差異を中心に説明する。
図16において、実施の形態6の電磁石装置201の構成図である図10、図11と同一あるいは相当部分には、同一の符号を付している。
電磁石部202は、固定鉄心209と、それに対向配置された可動鉄心210と、可動鉄心210の中央部を貫通して設けられ可動鉄心210に固定された駆動軸243を有している。また、電磁石部202は、固定鉄心209に設けられ、通電により磁界を発生する電磁コイル211と、固定鉄心209側に設けられた永久磁石212を有している。さらに、電磁石部202は、固定鉄心209を固定する支柱213と、支柱213の両端に配置した開極側のプレートである上部プレート206および閉極側のプレートである下部プレート207とを有している。
上部プレート206より外側に突出した駆動軸243の先端側には、ばね受け208が固着されている。上部プレート206とばね受け208との間の駆動軸243の軸部に、開極ばね245(付勢体)が挿入されている。開極ばね245は、圧縮されたコイルばねであり、上部プレート206とばね受け208との間で軸線方向に弾性反発力を発生している。
緩衝装置204は、接続部242を介して上部プレート206に固定されている。緩衝装置204および接続部242は開極ばね245内に配置されている。電磁石装置241の駆動軸243は、電磁石部202の駆動軸243aと緩衝装置204部の駆動軸243bとが連結部243cで連結されている。
緩衝装置204と電磁石部202の間に接続部242を設けることで、万が一、緩衝装置204からの破損などが発生した時においても、緩衝装置204部のみを連結部243cで取り外して交換することができる。このため、緩衝装置204の破損時、緩衝装置204部のみの交換で対応でき、電磁石部202の交換は必要なく、保守性を向上させることができる。
以上説明したように、実施の形態7に係る電磁石装置では、緩衝装置と電磁石部の間に接続部を設置する構成とした。このため、実施の形態6の電磁石装置と同様に効果を奏するとともに、緩衝装置の破損時に緩衝装置部の交換のみで対応できるという効果を有する。
実施の形態8.
実施の形態8は、緩衝装置を上部プレートの下面に設置し,可動鉄心に設けた凹部に収納する構造とした電磁石装置に関するものである。
以下、本願発明の実施の形態8の構成、動作について、電磁石装置251の構成図である図17に基づいて、実施の形態6との差異を中心に説明する。
電磁石部252は、固定鉄心259と、それに対向配置された可動鉄心260と、可動鉄心260の中央部を貫通して設けられ可動鉄心260に固着された駆動軸253を有している。また、電磁石部252は、固定鉄心259に設けられ、通電により磁界を発生する電磁コイル261と、固定鉄心259側に設けられた永久磁石262を有している。さらに、電磁石部252は、固定鉄心259を固定する支柱263と、支柱263の両端に配置した開極側のプレートである上部プレート256および閉極側のプレートである下部プレート257とを有している。
上部プレート256より外側に突出した駆動軸253の先端側には、ばね受け258が固着されている。上部プレート256とばね受け258との間の駆動軸253の軸部に、開極ばね255(付勢体)が挿入されている。開極ばね255は、圧縮されたコイルばねであり、上部プレート256とばね受け258との間で軸線方向に弾性反発力を発生している。
次に、緩衝装置254の設置位置について説明する。
可動鉄心260の上部には駆動軸253を囲んで、凹部266が設けられている。緩衝装置254は、開極側のプレートである上部プレート256の下面に固定されている。可動鉄心260が、開極側位置(後退位置)から閉極側位置(前進位置)に変位する、あるいは閉極側位置(前進位置)から開極側位置(後退位置)に変位する時、緩衝装置254は可動鉄心260の凹部266内を変位する。
以上説明したように、実施の形態8に係る電磁石装置では、緩衝装置を上部プレートの下面に固定し,可動鉄心に設けた凹部に収納される構造としたものである。このため、電磁石装置は閉極および開極動作完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を設けることができ、装置全体を小型化できるという効果を有する。
実施の形態9.
実施の形態8では、開極ばねを上部プレートの上部に設けていたが、実施の形態9では、可動鉄心の分岐部と下部プレートとの間に設ける構造とした電磁石装置に関するものである。
以下、本願発明の実施の形態9の構成、動作について、電磁石装置271の構成図である図18に基づいて、実施の形態6との差異を中心に説明する。
図18において、図17と同一あるいは相当部分には、同一の符号を付している。
電磁石部272は、固定鉄心259と、それに対向配置された可動鉄心280と、可動鉄心280の中央部を貫通して設けられ可動鉄心280に固着された駆動軸273を有している。また、電磁石部272は、固定鉄心259に設けられ、通電により磁界を発生する電磁コイル261と、固定鉄心259側に設けられた永久磁石262を有している。さらに、電磁石部272は、固定鉄心259を固定する支柱283と、支柱283の両端に配置した開極側のプレートである上部プレート256および閉極側のプレートである下部プレート277とを有している。
可動鉄心280の分岐部280bの下面と下部プレート277との間に、開極ばね275a、275b(付勢体)が設けられている。開極ばね275a、275bは、圧縮されたコイルばねであり、可動鉄心280の分岐部280bと下部プレート277との間で軸線方向に弾性反発力を発生している。
緩衝装置254の設置位置は、実施の形態8と同様である。
可動鉄心280の上部には駆動軸273を囲んで、凹部286が設けられている。緩衝装置254は、開極側のプレートである上部プレート256の下面に固定されている。可動鉄心280が、開極側位置(後退位置)から閉極側位置(前進位置)に変位する、あるいは閉極側位置(前進位置)から開極側位置(後退位置)に変位する時、緩衝装置254は可動鉄心280の凹部286内を変位する。
実施の形態8と比較して、開極ばねが上部プレートの上部から、可動鉄心の分岐部と下部プレートとの間に移動したため、駆動軸の長さが上部プレートの上部部分が短くなっている。このように駆動軸部の長さを短縮できるため、さらに、電磁石装置の全長を短縮できる(効果がある)。
以上説明したように、実施の形態9に係る電磁石装置では、開極ばねを可動鉄心の分岐部と下部プレートとの間に設ける構造とした。このため、実施の形態8の電磁石装置と同様の効果を奏するとともに、電磁石装置の全長をさらに短縮できるという効果を有する。
実施の形態10.
実施の形態10は、緩衝装置を固定鉄心内に設ける構成とした電磁石装置に関するものである。
以下、本願発明の実施の形態10構成、動作について、電磁石装置501の構成図である図19に基づいて、実施の形態6との差異を中心に説明する。
電磁石部502は、固定鉄心509と、それに対向配置された可動鉄心510と、可動鉄心510の中央部を貫通して設けられ可動鉄心510に固着された駆動軸503を有している。また、電磁石部502は、固定鉄心509に設けられ、通電により磁界を発生する電磁コイル511と、固定鉄心509側に設けられた永久磁石512を有している。さらに、電磁石部502は、固定鉄心509を固定する支柱513と、支柱513の両端に配置した開極側のプレートである上部プレート506および閉極側のプレートである下部プレート507とを有している。
上部プレート506より外側に突出した駆動軸503の先端側には、ばね受け508が固着されている。上部プレート506とばね受け508との間の駆動軸503の軸部に、開極ばね505(付勢体)が挿入されている。開極ばね505は、圧縮されたコイルばねであり、上部プレート506とばね受け508との間で軸線方向に弾性反発力を発生している。
緩衝装置504は、固定鉄心509の内部に設けられ、下部プレート507上に固定されている。なお、緩衝装置504の構造は、実施の形態6の緩衝装置204の構造と同じである。
固定鉄心の磁性体量を増加させて閉極側位置(前進位置)での永久磁石の吸引力を上昇させる場合など,固定鉄心部に余裕がある場合に、緩衝装置を図19に示すように配置することで電磁石装置全体の長さを短縮できる。
以上説明したように、実施の形態10に係る電磁石装置では、緩衝装置を固定鉄心内に設ける構成とした。このため、電磁石装置は閉極および開極動作完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を設けることができ、装置全体を小型化できるという効果を有する。
実施の形態11.
実施の形態11は、緩衝装置を電磁石部の駆動軸とは切り離し、複数の緩衝装置を上部プレートの上面に設置し、この緩衝装置の駆動軸を可動鉄心に連結した構成の電磁石装置に関するものである。
以下、本願発明の実施の形態11の構成、動作について、電磁石装置611の構成図である図20に基づいて、実施の形態6との差異を中心に説明する。
電磁石部612は、固定鉄心619と、それに対向配置された可動鉄心620と、可動鉄心620の中央部を貫通して設けられ可動鉄心620に固着された駆動軸613を有している。また、電磁石部612は、固定鉄心619に設けられ、通電により磁界を発生する電磁コイル621と、固定鉄心619側に設けられた永久磁石622を有している。さらに、電磁石部612は、固定鉄心619を固定する支柱623と、支柱623の両端に配置した開極側のプレートである上部プレート616および閉極側のプレートである下部プレート617とを有している。
上部プレート616より外側に突出した駆動軸613の先端側には、ばね受け618が固着されている。上部プレート616とばね受け618との間の駆動軸613の軸部に、開極ばね615(付勢体)が挿入されている。開極ばね615は、圧縮されたコイルばねであり、上部プレート616とばね受け618との間で軸線方向に弾性反発力を発生している。
複数の緩衝装置631、632は、上部プレート616の上面に固定されている。緩衝装置631、632の緩衝装置の駆動軸(以降、緩衝装置駆動軸と記載する)は、電磁石部612の可動鉄心620の分岐部に連結されている。
緩衝装置631、632の動作について説明する。緩衝装置631、632の構造、動作は、基本的に実施の形態6の緩衝装置204と同様であるが、緩衝装置631、632の緩衝装置駆動軸633、634が可動鉄心620の分岐部に連結されている点が異なる。
最初、可動鉄心620は開極側位置(後退位置)にあるとする。この時、緩衝装置631、632の緩衝体部631b、632bは、上部緩衝室631d、632dに嵌合している。
制御基板から電磁コイル621へ通電されると、可動鉄心620が固定鉄心619に吸引され、開極ばね615の荷重に逆らって、開極側位置(後退位置)から閉極側位置(前進位置)に向かって変位する。このとき、緩衝装置631、632の緩衝装置駆動軸633、634は下部緩衝室631e、632eに向かって変位する。
可動鉄心620が閉極側位置(前進位置)に達すると、緩衝装置631、632の緩衝体部631b、632bは、下部緩衝室631e、632eに嵌合する。
図20は、可動鉄心620は閉極側位置(前進位置)にあり、可動鉄心620に連結された緩衝装置631、632の緩衝体部631b、632bが、下部緩衝室631e、632eに嵌合している状態を表している。
図20では、緩衝装置を2台設置しているが、3台以上の緩衝装置を設けることができる。複数の緩衝装置は軸対象に設置する、例えば3台の緩衝装置を設ける場合は、120度間隔で設置することが望ましい。
複数の緩衝装置631、632を上部プレート616の上面に固定することで,開極ばね615の高さより小さい範囲で複数の緩衝装置631、632を配置できるため,実施の形態6と同様に電磁石装置の全長を短縮できる。
また、緩衝装置631、632を交換する際、開極ばね615を取り外す必要がなく、保守性が向上する。
以上説明したように、実施の形態11に係る電磁石装置は、緩衝装置を電磁石部の駆動軸とは切り離し、複数の緩衝装置を上部プレートの上面に設置し、この緩衝装置の駆動軸を可動鉄心に連結した構成とした。このため、電磁石装置は閉極および開極動作完了時の衝撃を緩和する緩衝装置を設けることができ、装置全体を小型化できるという効果を有する。さらに、緩衝装置取り替え時の保守性を向上させることができる。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変更、省略したりすることが可能である。

Claims (6)

  1. 固定鉄心と、前記固定鉄心に対して移動可能に構成された可動鉄心と、励磁により前記可動鉄心を移動させて前記可動鉄心に連結される開閉装置を開閉する電磁コイルと、前記電磁コイルに電力を供給する駆動用電源とを備え、
    前記駆動用電源は、通常時に前記開閉装置の開閉動作を行うとともに前記電磁コイルに供給する電力を蓄積するコンデンサと前記開閉装置に対する開極または閉極指令に応答して前記コンデンサから前記電磁コイルへ供給する電流を制御する制御基板とを有するコンデンサ電源と、前記コンデンサ電源が動作しない緊急時に前記開閉装置の開閉動作を行うとともに前記電磁コイルに直流電力を直接供給する直流電源とにより構成され、前記コンデンサ電源から前記電磁コイルに接続される回路と、前記直流電源から前記電磁コイルに接続される回路とを切り換える切換手段を備え、前記切換手段は、前記コンデンサ電源から前記電磁コイルに接続される回路の途中に挿入された接続手段によって着脱可能に接続され、前記コンデンサ電源が動作しない緊急時に前記コンデンサ電源側の回路から前記直流電源側の回路に切り換えることを特徴とする電磁操作装置。
  2. 請求項1に記載の電磁操作装置において、
    前記切換手段は、前記コンデンサ電源から前記電磁コイルに接続される回路の途中に設けられて外部指令により動作する第1のリレーと、前記直流電源から前記電磁コイルに接続される回路に設けられて前記外部指令により動作する第2のリレーとを有していることを特徴とする電磁操作装置。
  3. 請求項2記載の電磁操作装置において、
    前記第1のリレーは、前記第1のリレーの動作コイルの通電時に開,非通電時に閉となるb接点を有し、前記コンデンサ電源と前記電磁コイルとは、前記第1のリレーの前記b接点を介して接続されていることを特徴とする電磁操作装置。
  4. 請求項3記載の電磁操作装置において、
    前記第1のリレーは前記b接点に加えてa接点を有し、前記第2のリレーはa接点を有しており、前記第1のリレーの前記a接点と前記第2のリレーの動作コイルとが接続され、前記外部指令により前記第1のリレーの前記動作コイルが通電されたとき、前記第1のリレーの前記b接点が開くと共に前記a接点が閉じられ、更に前記第2のリレーの前記a接点が閉じられることで、前記電磁コイルへの電力供給が前記コンデンサ電源から前記直流電源に切り換えられるように構成されていることを特徴とする電磁操作装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電磁操作装置において、
    前記直流電源と前記電磁コイルとを接続する回路の途中に抵抗が挿入されていることを特徴とする電磁操作装置。
  6. 請求項5記載の電磁操作装置において、
    前記抵抗は、前記直流電源から前記電磁コイルに接続される回路に流れる電流が5A以下となるような抵抗値に調整されていることを特徴とする電磁操作装置。
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