<インクジェット記録装置の全体構成>
図1には、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置112が示されている。このインクジェット記録装置112は、給紙部114、処理液塗布部116、画像記録部118、乾燥部120、定着部122、及び排紙部124を有している。インクジェット記録装置112は、記録媒体の一例である用紙154(図2等参照)をこれらの部位に沿って順に搬送しながら、用紙154に画像を記録する装置である。
給紙部114には、給紙トレイ125に用紙154が積載されると共に、この用紙154を1枚ずつ送り出すようになっている。送り出された用紙154は、給紙ドラム126を経て、処理液塗布部116へ搬送される。
用紙154としては、紙種や大きさ(媒体サイズ)の異なる複数種の用紙154を使用することが可能である。以下では、用紙154として、枚葉紙(カット紙)を用いた場合を例に説明する。
処理液塗布部116には処理液塗布ドラム128が回転可能に配置されている。用紙154の先端が、処理液塗布ドラム128に設けられた爪形状の保持部材130(グリッパー)で保持された状態で、処理液塗布ドラム128の回転により用紙154が下流側へ搬送される。そして、処理液塗布ドラム128の上部に配置された処理液塗布装置132により処理液が用紙154に塗布される。
処理液塗布部116で用紙154に塗布される処理液は、画像記録部118で用紙154に付与されるインク中の色材(顔料もしくは染料)を凝集もしくは増粘させる成分を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
色材を凝集もしくは増粘させる方法は、具体的には、インクと反応してインク中の色材を析出あるいは不溶化させる処理液、インク中の色材を含む半固体状の物質(ゲル)を生成する処理液等が挙げられる。そして、インクと処理液との反応を引き起こす手段は、インク中のアニオン性の色材と処理液中のカチオン性の化合物を反応させる方法、互いにpHの異なるインクと処理液を混合させることでインクのpHを変化させてインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、処理液中の多価金属塩との反応によりインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、などがある。
処理液の付与方法としては、インクジェットヘッドからの処理液吐出による打滴、ローラによる塗布、スプレーによる一様付与、等がある。
処理液塗布部116は、処理液塗布ドラム128の外周面に対向する位置に、処理液乾燥装置146を有している。処理液乾燥装置146では、用紙154上に付与された処理液中の溶媒成分を乾燥させる。これにより、色材浮遊(インク滴が処理液の上に浮遊してしまうことで、所望の位置にインク滴による画素が形成されない現象)を抑制することが可能である。
次に、用紙154は、搬送ドラム134を経て、画像記録部118に送られる。画像記録部118では、用紙154は画像記録用ドラム136に保持されて搬送されつつ、画像記録用ドラム136の上方に配置されたインクジェット記録ヘッド138から吐出されたインク滴が付着することで、用紙154の表面に画像が記録される。画像記録用ドラム136は、モータ等によって矢印R3方向に回転されるようになっており、本発明における相対移動手段を兼ねている。
本実施形態では、基本色であるK(クロ)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(サイアン)の4色のインクジェット記録ヘッド138K、138Y、138M、138Cが画像記録用ドラム136の周方向に沿って配置されている。それぞれのインクジェット記録ヘッド138は、用紙154の最大幅に対応するインク吐出範囲を有する、いわゆるフルラインヘッドとされている。
特に、本実施形態では、上記したように、処理液塗布部116によって、インク中の色材と搬送する処理液をあらかじめ用紙154に付与しているため、インク中の色材が凝集(あるいは増粘)し、にじみを抑制することができる。
図2は、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置112において、画像記録用ドラム136の表面を周方向に展開した状態を示している。
図2に示すように、画像記録部118の画像記録用ドラム136には、保持された用紙154が存在しない部分(図2の例では、用紙154よりも搬送方向(矢印M1で示す)の後方側)に、チェック用画像形成領域137が設定されている。そして、このチェック用画像形成領域137には、後に詳述するように、所定のタイミング及びパターンで、画像記録用ドラム136において、インクジェット記録ヘッド138Y、138M、138C、138Kからインク滴が吐出され、チェック用画像156が形成されるようになっている。
なお、図1では、1つの画像記録用ドラム136において、1周あたり2枚の用紙154を配置可能な構造(2倍胴)を示しているが、後に示すように、用紙154を1枚のみ配置可能な構造(1倍胴、図2参照)や、3枚配置可能な構造(3倍胴、図8参照)であってもよい、さらには、4枚以上配置可能な構造であってもよい。
画像記録部118はさらに、チェック用画像読取センサー158を有している。インクジェット記録ヘッド138K、138Y、138M、138Cによって、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137に形成されたチェック用画像156は、チェック用画像読取センサー158で読み取られる。チェック用画像読取センサー158は、チェック用画像の形状や色合い、インクの滲み、掠れ等を読み取り可能とされており、たとえば、CCDラインセンサー等が適用される。
読み取られたデータは、図3に示すように制御装置160に送られ、ノズルの状態(たとえばインク吐出方向の曲がりや不吐出等)が検出される。そして、この状態検出の値が所定の閾値よりも悪いノズルを不良ノズルとして抽出し、不良ノズルの影響が少なくなる(好ましくは視認されなくなる)ように、制御装置160は画像を補正する。
なお、不良ノズルが検出された場合には、その前に画像記録を行った用紙154については、上記した画像補正が行われていないため、図示しないスタンプ処理装置等により用紙154に所定のスタンプ処理(ヤレ処理)を行ってもよい。このスタンプ処理により、補正が行われていない画像が記録されていることが表示される。
画像記録部118は、さらに、チェック用画像除去部材170を有している。チェック用画像除去部材170は、画像記録用ドラム136に形成されたチェック用画像156を、画像記録用ドラム136から除去するための除去処理を行う。
本実施形態では、チェック用画像除去部材170は、クリーニング液塗布ローラー172と、インク除去ブレード174とを有している。
クリーニング液塗布ローラー172は、図示しないクリーニング液供給部から供給されたクリーニング液を、画像記録用ドラム136の表面に転写塗布する。クリーニング液は、インクよりもアルカリ性にすることが好ましい。インクよりもアルカリ性にすることで、色材の再分散が促進され、チェック用画像156の除去を行いやすくなる。
なお、クリーニング液塗布ローラー172に代えて(あるいは併用して)、ノズルからのクリーニング液の吐出により、クリーニング液を画像記録用ドラム136に塗布してもよい。
インク除去ブレード174は、ゴム等の弾性を有する材料により、少なくともチェック用画像156の幅以上の幅を有する板状に形成されている。インク除去ブレード174が画像記録用ドラム136の正面に圧着されると、チェック用画像156を形成していたインクが掻き取られる。なお、インク除去ブレード174にクリーニング液をあらかじめ付与させておき、インク除去ブレード174によって、クリーニング液の塗布とインクの除去とを同時に行うようにしてもよい。
また、チェック用画像156のインクを、インク除去ブレード174による除去の前に加熱し、画像記録用ドラム136に対するインクの付着力を低下させてもよい。さらに、インク除去ブレード174によるインク除去の後に、画像記録用ドラム136に残存したクリーニング液を、たとえば温風の吹き付け等により乾燥させてもよい。
なお、画像記録用ドラム136からインクを除去する方法は上記に限定されず、たとえば、擦り修理によるクリーニング、ローラー等へのインク転写によるクリーニングでもよい。さらには、エネルギー照射による色素の分解等によってインクを除去してもよい。さらには、インクへのエネルギー照射により、色素を分解することで、(後述するチェック用画像読取センサー158にとって)不可視化することも、ここでいうチェック用画像の除去(クリーニング)に含まれる。
チェック用画像除去部材170によってチェック用画像156の除去が行われた後、画像記録用ドラム136へのインクの残存度合いを検出するインク検出センサー175を設けてもよい。
画像記録部118によって画像が記録された用紙154は、搬送ドラム140を経て、乾燥部120に送られる。乾燥部120では、用紙154は乾燥用ドラム142に保持されて搬送されつつ、インク中の溶媒(水分)を乾燥させる。
本実施形態では、乾燥部120は、乾燥用ドラム142の内側に配置され、用紙154の画像記録面の反対側から溶媒を乾燥させる第1乾燥手段120Aと、乾燥用ドラム142の外側に配置され、用紙154の画像記録面から溶媒を乾燥させる第2乾燥手段120Bと、を有している。具体的には、第1乾燥手段120Aとしては、用紙154の画像記録面の反対側から用紙154に加熱部材を押し当て、接触熱伝導により熱供給する構成などが用いられる。第2乾燥手段120Bとしては、用紙154の画像記録面側から温風を照射する構成などが用いられる。より具体的には、これらに加え、カーボンヒーターやハロゲンヒーターなどによる輻射で熱を供給する、という構成を用いてもよい。
乾燥部120によってインク中の溶媒(水分)を乾燥させた後の残水量は、1g/m2以上3.5g/m2未満が好ましい。3.5g/m2以上水分を残存させてしまうと、後述する定着ローラ186、188へのオフセットが発生してしまうおそれがある。また、1g/m2以下だと用紙154の内部にしみ込んだ水分も蒸発させることになるので、多大なエネルギーが必要になる。
第1乾燥手段120A及び第2乾燥手段120Bの温度は、これらに内蔵された温度センサによって検知され、制御装置160に温度情報として送られる。この温度情報に基づいて制御装置160が第1乾燥手段120A及び第2乾燥手段120B温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件が実現される。
乾燥部120によって、インク中の溶媒(水分)が乾燥された用紙154は、搬送ドラム148を経て、定着部122に送られる。定着部122では、定着ローラ166による加熱及び圧接により、画像(インク)が定着される。具体的には、たとえば、約75℃の温度且つ約0.3MPaの圧力で、用紙154の表面に定着ローラ166を接触させることで、インクに含まれるポリマー樹脂粒子(ラテックス)を溶融させ、用紙154との密着力を高める。なお、定着処理時の定着ローラ166の温度を、ラテックスのガラス転移温度より高くしておくと、定着処理時にラテックスをより効果的に溶融させることができ、好ましい。
このようにして画像が記録された用紙154は、排出ローラ168から、排出ベルト171によってさらに搬送され、排紙部124を経てインクジェット記録装置112から排出される。排紙部124では複数枚の用紙154が積層される。
<第1実施形態>
次に、第1実施形態において、本発明のインクジェット記録方法、特に、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスと、このチェック用画像の形成及びクリーニングのシーケンスについて、図4及び図5に基づいて説明する。
なお、以下の各実施形態では、特にチェック用画像156の色を区別する必要がある場合には、符号の最後にKCMYのいずれかを付して区別する。第1〜第7実施形態では、K色(クロ)のチェック用画像156Kのみを示しているが、他の色についても、このクロのチェック用画像156Kの前後に、CMYの各色のチェック用画像156が形成される。
以下の第1〜第3実施形態では、画像記録用ドラム136として、表面(外周面)において周方向に1枚の用紙154を保持可能な構成(1倍胴)としている。
また、第1実施形態では、インクジェット記録ヘッド138のノズルは、用紙154の搬送方向と直交する方向(矢印M2で示す)で複数にグループ分けされてグループ群が構成されており、チェック用画像156もこれに対応して、矢印M2方向で複数にグループ分けされて、グループ群ごとに形成される。実際には、インクジェット記録ヘッド138のノズルは、矢印M2方向には隣接して配置されているため、グループ分けされたチェック用画像156も矢印M2方向で隣接しているが、図面上は便宜的に、それぞれのチェック用画像156を矢印M2方向に離間させることで、グループごとの区別が容易になるようにしている。
第1実施形態では、インクジェット記録ヘッド138のノズルが矢印M2方向においてで4つ周期でグループ分けされている(グループ群の数が4つになっている)。図4では、ノズル138に対応して、チェック用画像156を矢印M2方向に見たときの図4における左側から、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4と区別する。このチェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4が、第1実施形態では本発明に係るグループ群のそれぞれに対応しており、グループ群ごとにパターンが矢印M2方向に繰り返される。
第1実施形態では、まず、画像記録用ドラム136に保持された用紙154に、インクジェット記録ヘッド138からインク滴を吐出して、用紙154に所望の画像を記録する(画像記録工程)。なお、画像が記録された用紙154は、乾燥用ドラム142、定着ドラム150を経て、排紙部124に排出される。
その後、図5(A)に示すように、チェック用画像156−1に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−1(厳密にはグループ群、以下同様)を形成する(チェック用画像形成工程)。画像記録用ドラム136は連続して回転しているので、チェック用画像156−1をチェック用画像読取センサー158によって読み取ることで、チェック用画像156−1に対応するノズルのチェックが行われる(読取工程)。
そして、以降において、除去処理工程が行われる。まず、チェック用画像156−1はチェック用画像除去部材170において、除去処理が行われる。チェック用画像156−1は画像記録用ドラム136上から除去されるが、図5(B)に示すように、完全に除去されず画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。
なお、このようにして、チェック用画像156−1の読み取りや除去処理を行いながら、次の用紙154にインクジェット記録ヘッド138からインク滴を吐出して画像を記録することが可能である。
次に、図5(C)に示すように、チェック用画像156−3に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−3を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。画像記録用ドラム136の回転により、チェック用画像156−3をチェック用画像読取センサー158によって読み取ることで、チェック用画像156−3に対応するノズルのチェックが行われる。
ここで、チェック用画像156−3を形成するノズルは、チェック用画像156−1を形成するノズルとは別である(言い換えると、チェック用画像156−3で構成されるグループ群と、チェック用画像156−1で構成されるグループ群は別のグループ群であり、両者の構成ノズルは異なる)。このため、チェック用画像156−3は、チェック用画像156−1とは異なる位置に形成されている。したがって、チェック用画像156−1のインクが残存していても、チェック用画像156−3の読み取りに影響しない。
その後、画像記録用ドラム136の回転により、図5(D)に示すように、チェック用画像156−3はチェック用画像除去部材170において、除去処理が行われる。ただし、チェック用画像156−3は、図5(B)に示したチェック用画像156−1と同様に完全に除去されず、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。そして、この図5(D)から分かるように、チェック用画像156−1に関しては、2回目の除去処理が行われることになる。したがって、チェック用画像156−1では、インクの残存量がより少なくなっている。
なお、このようにして、チェック用画像156−3の読み取りや除去処理を行いながら、次の用紙154にインクジェット記録ヘッド138からインク滴を吐出して画像を記録することが可能である。
次に、図5(E)に示すように、チェック用画像156−2に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−2を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。画像記録用ドラム136の回転により、チェック用画像156−2をチェック用画像読取センサー158によって読み取ることで、チェック用画像156−2に対応するノズルのチェックが行われる。チェック用画像156−2は、チェック用画像156−1、156−3とは異なる位置に形成されている。したがって、チェック用画像156−1、156−3のインクが残存していても、チェック用画像156−3の読み取りに影響しない。
その後、画像記録用ドラム136の回転により、図5(F)に示すように、チェック用画像156−2はチェック用画像除去部材170において、除去処理が行われる。そして、チェック用画像156−2は、図5(B)に示したチェック用画像156−1や、図5(D)に示したチェック用画像156−3と同様に完全に除去されず、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。ただし、この図5(F)から分かるように、チェック用画像156−1に関しては、3回目の除去処理が行われることになるので、インクの残存量がさらに少なくなっている。また、チェック用画像156−3に関しては、2回目の除去処理が行われるので、インクの残存量がより少なくなっている。
なお、このようにして、チェック用画像156−2の読み取りや除去処理を行いながら、次の用紙154にインクジェット記録ヘッド138からインク滴を吐出して画像を記録することが可能である。
次に、図5(G)に示すように、チェック用画像156−4に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−4を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。画像記録用ドラム136の回転により、チェック用画像156−4をチェック用画像読取センサー158によって読み取ることで、チェック用画像156−4に対応するノズルのチェックが行われる。チェック用画像156−4は、チェック用画像156−1、156−3、156−2とは異なる位置に形成されている。したがって、チェック用画像156−1、156−3、156−2のインクが残存していても、チェック用画像156−3の読み取りに影響しない。
その後、画像記録用ドラム136の回転により、図5(H)に示すように、チェック用画像156−4はチェック用画像除去部材170において、除去処理が行われる。ただし、チェック用画像156−4は、図5(B)に示したチェック用画像156−1、図5(D)に示したチェック用画像156−3、図5(F)に示したチェック用画像156−2と同様に完全に除去されず、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。この図5(H)から分かるように、チェック用画像156−1に関しては、4回目の除去処理が行われるため、インクの残存量がさらに少なくなっている(好ましくは、完全に近い状態でインクが除去されている)。また、チェック用画像156−3に関しては、3回目の除去処理が行われることになるため、インクの残存量がさらに少なくなっている。チェック用画像156−2に関しては、2回目の除去処理が行われることになるため、インクの残存量がより少なくなっている。
なお、このようにして、チェック用画像156−4の読み取りや除去処理を行いながら、次の用紙154にインクジェット記録ヘッド138からインク滴を吐出して画像を記録することが可能である。
チェック用画像156−4までの形成、読み取り及び除去処理を上記のように行った後、図5(I)に示すように、チェック用画像156−1を形成し、以降は同様の処理を繰り返す。
以上から分かるように、本実施形態では、画像形成領域137において、特定のグループ群のチェック用画像156の形成及び読み取りを行ったのち除去処理を施すと、これと異なるグループ群のチェック用画像156を、チェック用画像形成領域137の異なる箇所に形成しており、チェック用画像156を形成した箇所と同一の箇所では、次のチェック用画像156の形成時に、同一のチェック用画像156を形成しない。すなわち、すべてのチェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4において、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次に同じ部位にチェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4の形成及び読み取りが成されるまでに、除去処理は複数回(上記の例では4回)行われることになる。このため、除去処理が1回のみ行われる構成と比較して、チェック用画像156を除去する能力が高くなっており、クリーニング不良が発生する可能性は低い。
しかも、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取ることで、ノズルのチェックを行うことが可能である。
また、チェック用画像156は、搬送直交方向(矢印M2方向)で、複数(上記例では4つ)にグループ分けされており、このグループ分けされたチェック画像156ごとに(グループ群で)チェック画像156を読み取るので、グループ分けされていない構成と比較して、チェック用画像に対する一度の読み取りでチェックするノズルは少なくて済む。このため、チェックの負荷が軽減される。チェック用画像の読み取りの際に高い分解能で読み取ることも可能になる。
加えて、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4は、搬送直交方向(矢印M2方向)に沿って見たときには、同一の位置に形成されている(重なっている)。したがって、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4が搬送方向(矢印M1方向)でずれている構成と比較して、チェック用画像形成領域137の矢印M1方向の長さを短くする(チェック用画像形成領域の面積を狭くする)ことが可能である。
<第2実施形態>
図6には、第2実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。
第2実施形態においても、便宜的にチェック用画像156に関し、156−1、156−2、156−3、156−4と番号付けを行っているが、チェック用画像156−1、156−3に対応するノズルで1つのグループ群を成しており、チェック用画像156−1、156−3を同じタイミングで形成する。同様に、チェック用画像156−2、156−4に対応するノズルで1つのグループ群を成しており、チェック用画像156−2、156−4を同じタイミングで形成する。
したがって、第2実施形態では、図6(A)に示すように、チェック用画像156−1、156−3に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−1、156−3を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。その後、チェック用画像156−1、156−3をチェック用画像読取センサー158によって読み取ることで、チェック用画像156−1、156−3に対応するノズルのチェックが行われる。
そして、画像記録用ドラム136の回転により、図6(B)に示すように、チェック用画像156−1、156−3に対し、チェック用画像除去部材170において、除去処理が行われる。ただし、この段階では、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。
引き続き画像記録用ドラム136は回転するが、図6(C)では、インクジェット記録ヘッド138によるインク滴吐出部分をチェック用画像形成領域137が通過しても、いずれのチェック用画像156も形成しない(この点で、図5(C)と異なっている)ように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。そして、図6(D)では、チェック用画像156−1、156−3について、2回目の除去処理が行われる。したがって、チェック用画像156−1、156−3では、インクの残存量がより少なくなっている。
次に、図6(E)に示すように、チェック用画像156−2、156−4に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−2、156−4を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。その後、画像記録用ドラム136の回転により、チェック用画像156−2、156−4をチェック用画像読取センサー158によって読み取ることで、チェック用画像156−2、156−4に対応するノズルのチェックが行われる。チェック用画像156−2、156−4は、チェック用画像156−1、156−3とは異なる位置に形成されているため、チェック用画像156−1、156−3のインクが残存していても、チェック用画像156−3の読み取りに影響しない。
そして、図6(F)に示すように、チェック用画像156−2、156−4はチェック用画像除去部材170において、除去処理が行われるが、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。この図6(F)から分かるように、チェック用画像156−1、156−3に関しては、3回目の除去処理が行われるため、インクの残存量がさらに少なくなっている。
次に、図6(G)では、インクジェット記録ヘッド138によるインク滴吐出部分をチェック用画像形成領域137が通過しても、いずれのチェック用画像156も形成しない(この点で、図5(G)と異なっている)ように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。そして、図6(H)では、チェック用画像156−1、156−3について、4回目の除去処理が行われる。したがって、チェック用画像156−1、156−3では、インクの残存量がさらに少なくなっている(好ましくは、完全に近い状態でインクが除去されている)。チェック用画像156−2、156−4に関しては、2回目の除去処理が行われることになる。したがって、チェック用画像156−2も、インクの残存量がより少なくなっている。
このようにして、すべてのチェック用画像156の形成、読み取り及び除去処理の後、図6(I)に示すように、チェック用画像156−1、156−3を形成し、同様の処理を繰り返す。
第2実施形態においても、すべてのチェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4において、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次にチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでに、除去処理は4回行われるため、除去処理が1回のみ行われる構成と比較して、チェック用画像156を除去する能力が高い。
また、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取りノズルのチェックを行うことが可能である。
<第3実施形態>
図7には、第3実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。
第3実施形態においても、便宜的にチェック用画像156に関し、156−1、156−2、156−3、156−4と番号付けを行っているが、すべてのチェック用画像156に対応するノズルで1つのグループ群を成しており、すべてのノズルから同じタイミングでインク滴を吐出してチェック用画像156を形成する。
したがって、第3実施形態では、図7(A)に示すように、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−5に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4を形成する。その後、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4をチェック用画像読取センサー158によって読み取ることで、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4に対応するノズルのチェックが行われる。
そして、画像記録用ドラム136の回転により、図7(B)に示すように、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4に対し、チェック用画像除去部材170において、除去処理が行われる。この段階では、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。
引き続き画像記録用ドラム136は回転するが、図7(C)では、インクジェット記録ヘッド138によるインク滴吐出部分をチェック用画像形成領域137が通過しても、いずれのチェック用画像156も形成しない(この点で、図5(C)と異なっている)ように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。そして、図7(D)では、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4について、2回目の除去処理が行われる。したがって、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4で、インクの残存量がより少なくなっている。
同様に、図7(E)に示すように、インクジェット記録ヘッド138によるインク滴吐出部分をチェック用画像形成領域137が通過しても、いずれのチェック用画像156も形成しない(この点で、図6(C)と異なっている)ように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。図7(F)では、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4について、3回目の除去処理が行われる。したがって、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4で、インクの残存量がさらに少なくなっている。
さらに同様に、図7(G)では、インクジェット記録ヘッド138によるインク滴吐出部分をチェック用画像形成領域137が通過しても、いずれのチェック用画像156も形成しないように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。図7(H)では、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4について、4回目の除去処理が行われる。したがって、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4では、インクの残存量がさらに少なくなっている(好ましくは、完全に近い状態でインクが除去されている)。
このようにして、すべてのチェック用画像156の形成、読み取り及び除去処理の後、図7(I)に示すように、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4を形成し、同様の処理を繰り返す。
第3実施形態においても、すべてのチェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4において、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次にチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでに、除去処理は4回行われるため、除去処理が1回のみ行われる構成と比較して、チェック用画像156をより確実に除去できる。
また、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取ることで、ノズルのチェックを行うことが可能である。
なお、第1〜第3実施形態では、チェック用画像156に対する除去処理の回数があらかじめ決めたれた例(上記の例では3回)を挙げているが、インク検出センサー175を必須とし、インク検出センサー175によって検出されたチェック用画像156のインクの残存度合いを基に、除去処理の回数を決定してもよい。すなわち、チェック用画像156のインクの残存度合いがあらかじめ設定された閾値以下になった場合に、次のチェック用画像156を形成するようにしてもよい。この構成では、チェック用画像156が確実に除去(チェック用画像読取センサー158にとって不可視化)された状態で、次のチェック用画像156を形成することになる。また、チェック用画像156が十分に除去されている場合に、無駄に多くの除去処理を行うことなく、次のチェック用画像156を形成できる。
<第4実施形態>
図8には、本発明の第4実施形態に係る画像記録用ドラム190が側面視で概念的に示されている。
第4実施形態に係る画像記録用ドラム190は、表面(外周面)において周方向に3枚の用紙154を保持可能な構成(3倍胴)とされている(図面ではそれぞれ、A面、B面。C面と記す)。そして、保持された用紙154の後端側(次の用紙154の前端との間)に、3箇所のチェック用画像形成領域137A、137B、137Cが設定されている。ただし、チェック用画像形成領域137A、137B、137Cに本質的な差異はなく、これらは、説明の便宜上区別したものである。また、第4実施形態においても、インクジェット記録ヘッド138のノズルは、第1実施形態と同様に4つのグループに分けられている。
第4実施形態では、画像記録用ドラム136を回転させながら、矢印R1で示したように、順にチェック用画像156を形成する。まず、チェック用画像形成領域137Aに、チェック用画像156−1に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−1(図8では(1)と表示、以下同様)を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。
次に、チェック用画像形成領域137Bには、チェック用画像156−2に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像156−2を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。さらに、チェック用画像形成領域137Cには、チェック用画像156−3に対応するノズルからインク滴を吐出し、チェック用画像形成領域156−3を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。
これらのチェック用画像137はいずれも、チェック用画像読取センサー158で順次読み取られ、チェック用画像除去部材170で除去処理が順次施される。
次に、チェック用画像形成領域137Aに、再度チェック用画像を形成するが、今度は、チェック用画像156−4に対応するノズルからインク滴を吐出して、チェック用画像156−4を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。そして、チェック用画像形成領域137Bには、チェック用画像156−1に対応するノズルからインク滴を吐出して、チェック用画像156−1を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。さらに、チェック用画像形成領域137Cには、チェック用画像156−2に対応するノズルからインク滴を吐出して、チェック用画像156−2を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。
したがって、第4実施形態では、チェック用画像156をこのように形成していくことで、チェック用画像形成領域137においてチェック用画像が形成されるそれぞれ部位では、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次にチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでの、除去処理の回数が多くなる。たとえば、チェック用画像形成領域137Aに、チェック用画像156−1を形成してから、再度チェック用画像156−1を形成するのは、矢印R1を順にたどればわかるように13回目、チェック用画像形成領域137Aのみに着目すると4回目であり、除去処理の回数が多くなっている。
また、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取ることで、ノズルのチェックを行うことが可能である。
なお、このように、画像記録用ドラム136が周方向にP個(上記の例ではP=3)のチェック用画像形成領域137を有する構成においてチェック用画像156への除去処理の回数を多くするには、インクジェット記録ヘッド138のノズルをグループ分けしたときのグループ群の数をM(上記例ではM=4)として、MとPとが互いに素であればよい。MとPとが互いに素でない場合、たとえば、M=P、あるいは、MがPの自然数倍になっている場合には、チェック用画像形成領域137の同一領域に、チェック用画像156が形成されてしまう。
<第5実施形態>
図9−1には、第5実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。なお、第5実施形態の画像記録ドラム136は1倍胴である。また、図9−1において、K色(クロ)のチェック用画像156Kのみを示しているが、他の色についても、このクロのチェック用画像156Kの前後に、CMYの各色のチェック用画像156が形成される。
第5実施形態では、インクジェット記録ヘッド138のノズルが矢印M2方向で3つにグループ分けされている(チェック用画像156−1、156−2、156−3として区別する)。そして、図9−1(A)に示すように、まず、チェック用画像156−1、156−2、156−3が、搬送方向(矢印M1方向)にずれることで、全体として階段状に並ぶチェック用画像156の組が形成されるように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。このときの斜め方向でのチェック用画像156の並びを第1段とする。
この第1段のチェック用画像156がチェック用画像読取センサー158で読み取られた後、図9−1(B)に示すように、チェック用画像除去部材170において除去処理が行われる。この段階では、チェック用画像156は完全に除去されず、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。
次に、図9−1(C)に示すように、第1段のチェック用画像156の組に対し搬送直交方向の異なる位置で、チェック用画像156−2、156−3、156−1により、第2段のチェック用画像156の組(段パターン)が形成されるように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。
第2段のチェック用画像156もチェック用画像読取センサー158で読み取られるが、第1段のチェック用画像156とは異なる位置に形成されているので、第1段のチェック用画像156が残存していても、第2段のチェック用画像156の読み取りに影響しない。
第2段のチェック用画像156はこのようにしてチェック用画像読取センサー158で読み取られた後、図9−1(D)に示すように、チェック用画像除去部材170において除去処理が行われる。この段階では、第2段のチェック用画像156は完全に除去されず、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。第1段のチェック用画像156については、2回目の除去処理が施されるので、インクの残存量がより少なくなる。
次に、図9−1(E)に示すように、第2段のチェック用画像156の組に対しさらに搬送直交方向の異なる位置で、チェック用画像156−3、156−1、156−2により、第3段のチェック用画像156の組が形成されるように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。第3段のチェック用画像156も、チェック用画像読取センサー158で読み取られるが、第1段のチェック用画像156及び第2段のチェック用画像156とは異なる位置に形成されているので、第1段のチェック用画像156や第2段のチェック用画像156が残存していても、第3段のチェック用画像156の読み取りに影響しない。
第3段のチェック用画像156も、チェック用画像読取センサー158で読み取られた後、図9−1(F)に示すように、チェック用画像除去部材170において除去処理が行われる。この段階では、第3段のチェック用画像156は完全に除去されず、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。第2段のチェック用画像156については、2回目の除去処理が施されるので、インクの残存量がより少なくなる。第1段のチェック用画像156については、3回目の除去処理が施されるので、インクの残存量がさらに少なくなっている。
以降は、同様の処理が繰り返される。このため、同一の段パターンが2回移動連続して、チェック用画像形成領域137に形成されてしまうことはない。
第5実施形態では、1つの段パターンを構成するチェック用画像156において、その形成及び読み取りがなされてから、次の段パターンを構成するチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでに、除去処理は3回行われることになる。このため、除去処理が1回のみ行われる構成と比較して、チェック用画像156を除去する能力が高くなっており、クリーニング不良が発生する可能性は低い。
しかも、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取ることで、ノズルのチェックを行うことが可能である。
加えて、第5実施形態では、図9−1(A)、図9−1(C)及び図9−1(E)から分かるように、1回のチェック用画像156の形成で、インクジェット記録ヘッド138のすべてのノズルに対応してチェック用画像156−1、156−2、156−3を形成しており(換言すれば、チェック用画像156−1、156−2、156−3を形成するノズルは、搬送直交方向(矢印M2方向)では実質的に連続しており)、すべてのノズルのチェックが1回で可能である。したがって、ノズルに不具合があった場合に、これを早期に発見でき、制御装置160等の制御系にフィードバックすることができる。
なお、第5実施形態において、図9−1では、1回のチェック用画像156の形成における搬送方向(矢印M1方向)の分割数(チェック用画像156の搬送方向での段数)Lと段パターンの数Tとが同一(共に3)となっているが、LとTとは必ずしも一致させる必要はなく、TがL以上になっていればよい。たとえば、L=3、T=4とした例が図9−2に示されている。この例では、段パターンの数Tが4であるため、各々の段パターンでは、除去処理が4回行われる。このように、段パターンの数Tを多くすることで、除去処理の回数を多くすることが可能である。これに対し、段パターンの数Tを小さくする(ただし、チェック用画像156の分割数Lより小さくならない)ようにすれば、チェック用画像形成領域137を搬送方向(矢印M1方向)に小さくでき、インクジェット記録装置の小型化に寄与できる。
<第6実施形態>
図10−1には、本発明の第6実施形態に係る画像記録用ドラム192が側面視で概念的に示されている。また、図10−2〜図10−3には、第6実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。なお、図10−2及び図10−3において、K色(クロ)のチェック用画像156Kのみを示しているが、他の色についても、このK色のチェック用画像156Kの前後に、CMYの各色のチェック用画像156が形成される。また、図10−2及び図10−3では、チェック用画像形成領域137A及びチェック用画像形成領域137Bを、単に「A面」及び「B面}と表記している。
第6実施形態に係る画像記録用ドラム192は、表面(外周面)において周方向に2枚の用紙154を保持可能な構成(2倍胴)とされており、保持された用紙154の後端側(次の用紙154の前端との間)に、2箇所のチェック用画像形成領域137A、137Bが設定されている。また、第6実施形態においても、インクジェット記録ヘッド138のノズルは、第5実施形態と同様に3つのグループに分けられており、第1段、第2段、第3段の順にチェック用画像156を形成する。
第6実施形態では、画像記録用ドラム136を回転させながら、矢印R2で示したように、順にチェック用画像156を形成する。まず、図10−2(A)に示すように、チェック用画像形成領域137Aに、第1段のチェック用画像156を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。
次に、チェック用画像形成領域137Bには、第2段のチェック用画像156を形成する。
これら第1段及び第2段のチェック用画像137はいずれも、チェック用画像読取センサー158で順次読み取られ、さらに、図10−2(B)で示すように、チェック用画像除去部材170で除去処理が順次施される。
次に、図10−2(C)に示すように、チェック用画像形成領域137Aに、第3段のチェック用画像156を形成し、チェック用画像形成領域137Bには、第1段のチェック用画像156を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。
これら第3段及び第1段のチェック用画像137は、チェック用画像読取センサー158で読み取られ、さらに、図10−2(D)に示すように、チェック用画像除去部材170で除去処理が施される。
次に、図10−3(E)に示すように、チェック用画像形成領域137Aには、第2段のチェック用画像156を形成し、チェック用画像形成領域137Bには、第3段のチェック用画像156を形成するように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。
これら第2段及び第3段のチェック用画像137は、チェック用画像読取センサー158で読み取られ、さらに、図10−3(F)に示すように、チェック用画像除去部材170で除去処理が施される。
以降は、同様の処理が繰り返される。したがって、第6実施形態では、チェック用画像156をこのように形成していくことで、チェック用画像形成領域137においてチェック用画像が形成されるそれぞれ部位では、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次にチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでの、除去処理の回数が多くなる。たとえば、チェック用画像形成領域137Aに、第1段のチェック用画像156を形成してから、再度第1段のチェック用画像156を形成するのは、矢印R2を順にたどればわかるように7回目、チェック用画像形成領域137Aに着目すると3回目であり、除去処理の回数が多くなっている。このため、より確実なチェック用画像156の除去が可能となる。
第6実施形態においても、画像記録用ドラム136が周方向にP個のチェック用画像形成領域137を有する構成である(上記例ではP=2)。この構成においてチェック用画像156への除去処理の回数を多くするには、チェック用画像156の段パターンの数をT(上記例ではT=3)として、TとPとが互いに素であればよい。
<第7実施形態>
図11−1から図11−2には、第7実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。
第7実施形態では、画像記録用ドラム136は、第5実施形態と同様に1倍胴とされているが、チェック用画像156が搬送方向で5つにグループ分けされている。また、チェック用画像156によって構成される段パターンも5組形成される。そして、図11−1(A)に示すように、まず、チェック用画像156−1、156−2、156−3、156−4、156−5によって第1段のチェック用画像156の組が形成されように、制御装置160がインクジェット記録ヘッド138を吐出制御する。そして、この第1段のチェック用画像156が読み取られた後、図11−1(B)に示すように、第1段のチェック用画像156に除去処理が施される。
次に、図11−1(C)に示すように、チェック用画像156−3、156−4、156−5、156−1、156−2による第3段のチェック用画像156の形成と読み取りの後、図11−1(D)に示すように、第3段のチェック用画像156に除去処理が施される。
さらに、図11−1(E)に示すように、チェック用画像156−5、156−1、156−2、156−3、156−4による第5段のチェック用画像156の形成と読み取りの後、図11−1(F)に示すように、第5段のチェック用画像156に除去処理が施される。次いで、図11−1(G)に示すように、チェック用画像156−2、156−3、156−4、156−5、156−1による第2段のチェック用画像156の形成と読み取りの後、図11−1(H)に示すように、第2段のチェック用画像156に除去処理が施される。その後、図11−2(I)に示すように、チェック用画像156−4、156−5、156−1、156−2、156−3による第4段のチェック用画像156の形成と読み取りの後、図11−2(J)に示すように、第4段のチェック用画像156に除去処理が施される。
次いで、図11−2(K)に示すように、第1段のチェック用画像156が形成され、以降は、同様の処理が繰り返される。
以上の説明から分かるように、第7実施形態では、隣接する段では連続することなくチェック用画像156を形成している。したがって、チェック用画像156の読み取りの際に、インク滴の付着位置に搬送直交方向でずれがあっても、このずれの影響を少なくして読み取りできる。
なお、このように隣接する段で連続してチェック用画像156を形成しないための、チェック用画像156の形成順序は、上記したものに限定されない。たとえば、第1段、第4段、第2段、第5段、第3段の順でもよい。要するに、N回目(N2以上の整数)の段パターンの形成におけるチェック画像156が、N−1回目の段パターンの形成におけるチェック用画像156と搬送直交方向(矢印M2方向)で隣接していなければよい。
また、このように隣接する段で連続してチェック用画像156を形成しないためには、段パターンの数が5以上であればよい。
<第8実施形態>
図12には、第8実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。
第8実施形態では、画像記録用ドラム136は、1倍胴とされている。そして、上記した第1〜第7実施形態と異なり、チェック用画像156を形成する位置が、全色で同一位置とされている。
第8実施形態では、図12(A)に示すように、まず、チェック用画像156−1がK色で形成され、このチェック用画像156−1(K色)が読み取られた後、図12(B)に示すように除去処理が施される。
そして、図12(C)に示すように、チェック用画像156−2がM色で形成され、このチェック用画像156−2(M色)が読み取られた後、図12(D)に示すように除去処理が施される。
その後、図12(E)に示すように、チェック用画像156−3がC色で形成され、このチェック用画像156−3(C色)が読み取られた後、図12(F)に示すように除去処理が施される。
さらに、図12(G)に示すように、チェック用画像156−1がY色で形成され、このチェック用画像156−1(C色)が読み取られた後、図12(H)に示すように除去処理が施される。
さらに、図12(I)に示すように、チェック用画像156−2がK色で形成され、このチェック用画像156−2(K色)が読み取られた後、図12(J)に示すように除去処理が施される。
このとき、図12(A)において形成された第1段のK色のチェック用画像156Kが、図12(G)の段階では、完全には除去されずに残っている可能性がある。しかし、重ねて形成されたY色のチェック用画像156Yの読み取りにおいて、分光吸収を工夫することで、残余のチェック用画像156Kの影響を少なくし、チェック用画像156Yの読み取りの正確性を高めることが可能になる。具体的には、Y色は、青の波長域の光を吸収するので、青と(赤又は緑)の波長域の光の吸収度合いの差分を評価値として利用することで、Y色のチェック画像156Yについて、読み取りの正確性を高めることが可能となる。
第8実施形態においても、チェック用画像形成領域137においてチェック用画像が形成されるそれぞれ部位では、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次にチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでの、除去処理の回数が多くなる。
また、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取ることで、ノズルのチェックを行うことが可能である。
しかも、各色のチェック用画像156は、搬送直交方向(矢印M2方向)に沿ってみたとき同一の箇所に重なるように形成されている。換言すれば、チェック用画像156を形成する位置が、異なる色で同一位置(すなわち搬送方向(矢印M1方向)で重なっている)なので、チェック用画像156を形成するための搬送方向(矢印M1方向)でのチェック用画像形成領域137の長さを短くすることができる。
<第9実施形態>
図13には、第9実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。
第9実施形態では、画像記録用ドラム136は、1倍胴とされている。そして、上記した第8実施形態と同様に、チェック用画像156を形成する位置が、全色で同一位置とされている。
第9実施形態では、図13(A)に示すように、まず、チェック用画像156−1がK色で、チェック用画像156−2がM色で、チェック用画像156−3がC色で、チェック用画像156−4がY色で形成され、これらのチェック用画像156が読み取られた後、図13(B)に示すように除去処理が施される。
次に、図13(C)に示すように、チェック用画像156−1がY色で、チェック用画像156−2がK色で、チェック用画像156−3がM色で、チェック用画像156−4がC色で形成され、これらのチェック用画像156が読み取られた後、図13(D)に示すように除去処理が施される。
このとき、図13(A)において形成されたK色のチェック用画像156が、完全には除去されずに残っている可能性がある。しかし、第8実施形態と同様に、重ねて形成されたY色のチェック用画像156Yの読み取りにおいて、分光吸収を工夫することで、残余のチェック用画像156Kの影響を少なくし、チェック用画像156Yの読み取りの正確性を高めることが可能になる。
さらに、図13(E)に示すように、チェック用画像156−1がC色で、チェック用画像156−2がY色で、チェック用画像156−3がK色で、チェック用画像156−4がM色で形成され、これらのチェック用画像156が読み取られた後、図13(F)に示すように除去処理が施される。
さらに、図13(F)に示すように、チェック用画像156−1がM色で、チェック用画像156−2がC色で、チェック用画像156−3がY色で、チェック用画像156−4がK色で形成され、これらのチェック用画像156が読み取られた後、図13(G)に示すように除去処理が施される。
さらに、図13(G)に示すように、チェック用画像156−1がK色で、チェック用画像156−2がM色で、チェック用画像156−3がC色で、チェック用画像156−4がY色で形成され、これらのチェック用画像156が読み取られた後、図13(H)に示すように除去処理が施される。
さらに、図13(I)に示すように、チェック用画像156−1がY色で、チェック用画像156−2がK色で、チェック用画像156−3がM色で、チェック用画像156−4がC色で形成され、これらのチェック用画像156が読み取られた後、図13(J)に示すように除去処理が施される。
第9実施形態においても、チェック用画像形成領域137においてチェック用画像が形成されるそれぞれ部位では、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次にチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでの、除去処理の回数が多くなる。
また、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取ることで、ノズルのチェックを行うことが可能である。
しかも、各色のチェック用画像156は、搬送直交方向(矢印M2方向)に沿ってみたとき同一の箇所に重なるように形成されている。換言すれば、チェック用画像156を形成する位置が、異なる色で同一位置(すなわち搬送方向(矢印M1方向)で重なっている)なので、チェック用画像156を形成するための搬送方向(矢印M1方向)でのチェック用画像形成領域137の長さを短くすることができる。
<第10実施形態>
図14には、第10実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。
第10実施形態では、画像記録用ドラム136は、1倍胴とされており、チェック用画像156の段数は3段とされている。また、上記した第1〜第7実施形態と異なり、チェック用画像156を形成する位置が、全色で同一位置とされている。
図14(A)に示すように、第10実施形態では、まず、第1段のチェック用画像156がK色で形成される(チェック用画像156K)。この第1段のチェック用画像156Kが読み取られた後、図14(B)に示すように除去処理が施される。
そして、図14(C)に示すように、第2段のチェック用画像156が第1段のチェック用画像156Kに隣接した位置でM色により形成され(チェック用画像156M)、この第2段のチェック用画像156Mが読み取られる。
その後、図14(D)に示すように、第2段のチェック用画像156Mに対する除去処理が施される。第1段のチェック用画像156Kについても、2回目の除去処理が施されることになる。
さらに、図14(E)に示すように、第3段のチェック用画像156が第2段のチェック用画像156Mに隣接した位置でC色により形成され(チェック用画像156C)、この第3段のチェック用画像156Cが読み取られる。
その後、図14(F)第3段のチェック用画像156Cに対する除去処理が施される。このとき、第2段のチェック用画像156Mに対しては、2回目の除去処理が施される。第1段のチェック用画像156Kに対しては、3回目の除去処理が施されることになる。
さらに、図14(G)に示すように、Y色により、第1段のチェック用画像156が、K色の第1段のチェック用画像156Kの上に重ねて形成され(チェック用画像156Y)、この第1段のチェック用画像156Yが読み取られる。
このとき、図14(A)において形成された第1段のK色のチェック用画像156Kが、完全には除去されずに残っている可能性がある。しかし、重ねて形成されたY色のチェック用画像156Yの読み取りにおいて、分光吸収を工夫することで、残余のチェック用画像156Kの影響を少なくし、チェック用画像156Yの読み取りの正確性を高めることが可能になる。具体的には、Y色は、青の波長域の光を吸収するので、青と(赤又は緑)の波長域の光の吸収度合いの差分を評価値として利用することで、Y色のチェック画像156Yについて、読み取りの正確性を高めることが可能となる。
その後、図14(H)に示すように、第1段のチェック用画像156Yに対する除去処理が施される。このとき、第3段のチェック用画像156Cに対しては、2回目の除去処理が施される。第2段のチェック用画像156Mに対しては、3回目の除去処理が施される。
さらに、図14(I)に示すように、K色により、第2段のチェック用画像156Kが、Y色の第1段のチェック用画像156Yに隣接した位置で形成され、この第2段のチェック用画像156Kが読み取られる。
このとき、図14(C)において形成された第2段のM色のチェック用画像156Mが、完全には除去されずに残っている可能性がある。しかし、重ねて形成されたK色のチェック用画像156Kの読み取りにおいて、分光吸収を工夫することで、残余のチェック用画像156Mの影響を少なくし、チェック用画像156Kの読み取りの正確性を高めることが可能になる。具体的には、残存したM色は、緑の波長域の光を吸収するので、緑と(赤又は青)の波長域の光の吸収度合いの差分を評価値として利用することで、K色のチェック画像156Kについて、読み取りの正確性を高めることが可能となる。
その後、図14(J)に示すように、第2段のチェック用画像156Kに対する除去処理が施される。このとき、第1段のチェック用画像156Yに対しては、2回目の除去処理が施される。第3段のチェック用画像156Cに対しては、3回目の除去処理が施される。
以降は、同様にしてチェック用画像156の形成、読み取り及び除去処理が行われる。第8〜第10実施形態において、測定対象であるチェック用画像156の色と残存しているチェック用画像156の色との関係から、具体的にどの波長域の光を評価するか、という点は、以下の表1に示される。
第10実施形態においても、チェック用画像形成領域137においてチェック用画像が形成されるそれぞれ部位では、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次にチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでの、除去処理の回数が多くなる。
また、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取ることで、ノズルのチェックを行うことが可能である。
しかも、チェック用画像156が異なる色であっても、同一の箇所に形成されている。換言すれば、チェック用画像156を形成する位置が、異なる色で同一位置(すなわち搬送方向(矢印M1方向)で重なっている)なので、チェック用画像156を形成するための搬送方向(矢印M1方向)でのチェック用画像形成領域137の長さを短くすることができる。
第10実施形態では、同一の段に連続して同色のチェック用画像156を形成しない必要がある。換言すれば、R回目(Rは2以上の整数)のチェック用画像156の形成において、R−1回目のチェック用画像156の形成と異なる色でチェック用画像156が形成される。これにより、同一の色で重ねてチェック用画像156を形成した場合と比較して、チェック用画像156の読み取りが容易になる。
そして、第10実施形態では、同一段に同一色のチェック用画像156を形成するまでの間隔をより大きくあけることが、チェック用画像156に対する除去処理の回数を多くする点で好ましい。そのためには、段パターンの数Tを多くすればよいが、段数Tを多くすると、チェック用画像156は搬送方向(矢印M1方向)にも段数Tと同じ数で形成されるため、チェック用画像形成領域137として搬送方向に長くなってしまう。かかる観点から、上記実施形態では、インクの色数I(上記の例ではI=4)と、段パターンの数T(上記の例ではT=3)とを互いに素とすることで、チェック用画像形成領域137の拡大化を避けつつ、同一段に同一色でチェック用画像156が形成されるまでの間隔を長くし、除去処理が施される回数が多くなるようにしている。
なお、第10実施形態において、段数Tと色数Iとが互いに素にならない場合には、用紙154に記録される画像において最も使用頻度の高い色を抽出し、その色を高頻度に測定できるように、チェック用画像156を形成してもよい。これにより、画像記録に使用される量の多いインクのノズルに対し、相対的に多くチェックでき、たとえば、インク滴の吐出不良による記録画像の劣化を効果的に補正することができる。
たとえば、T=2,I=4で、最も使用頻度の高い色がK色の場合、
のように、チェック用画像156を形成すればよい。具体的には、この表2において、矢印で示すように、1回目の第1段から第2段、2回目の第1段から第2段、3回目の第1段から第2段・・・をたどると、K**K**K**K**・・・の順で、*には、M、C、YのいずれかがMCY、CYM、YMC、MCYの順に入っている。
また、T=2、I=4で、特定の2色、たとえばK色とM色のインクの使用頻度が高い場合には、
のように、チェック用画像156を形成すればよい。具体的には、この表3において、矢印で示すように、1回目の第1段から第2段、2回目の第1段から第2段、3回目の第1段から第2段・・・をたどると、KM*KM*KM*KM*・・・の順で、*には、C、YのいずれかがCYCYの順に入っている。
段数Tと色数Iとが互いに素にならない場合で、各色のチェック用画像156の読取頻度を変えない場合(たとえば、どの色のインクも略同程度に使用する場合)には、特定の2色で色組を構成し、
のように、色組内で各色を互い違いにしてもよい。具体的には、この表4において、KとM、CとYとがペアになり、互いに、(KM)(CY)と(MK)(YC)が交互に現れるように、括弧内で色を入れ替えている。
なお、上記した表2〜表4のようなチェック用画像156の形成順序は、段数Tと色数Iとが互いに素の場合に適用してもよい。
また、画像記録用ドラム136が、周方向にP個のチェック用画像形成領域137を有する構成において、PとI(色数)とをいずれも2以上で互いに素とすることで、第10実施形態と同様の考え方で、チェック用画像156への除去処理の回数を多くすることが可能である。表5には、一例として、P=3、I=4の場合の、チェック用画像156を形成する位置と色との関係が示されている。
すなわち、表5から分かるように、PとIとが互いに素とされているため、1回目のチェック用画像156の形成において、チェック用画像形成領域137AにK色のチェック用画像156Kを形成するが、このK色のチェック用画像156Kが再びチェック用画像形成領域137Aに形成されるのは13回目となる。要するにこの例では、特定のチェック用画像形成領域137に特定色のチェック用画像156が形成されてから、次に同一のチェック用画像形成領域137に同一色のチェック用画像156が形成されるのは13回目(最初である1回目にI×P回を足した数)となる。したがって、チェック用画像156への除去処理の回数が多くなる。
なお、表5に示した例では、段パターンの数を1としているが、複数の段パターンでチェック用画像156を形成する構成では、画像記録用ドラム136の1回転ごとに(換言すれば、インクジェット記録ヘッド138に対する1回の周回ごとに)段パターンを順に変更してチェック用画像156を形成すればよい。表6には、一例として、段パターンの数Tが3の場合の、チェック用画像156を形成する位置と色及び段パターンの関係が示されている。
表6から分かるように、画像記録用ドラム136の1回転ごと、すなわちチェック用画像156を3回形成するごとに段パターンを順に変更しているため、1回目のチェック用画像156の形成において、チェック用画像形成領域137AにK色且つ段パターン1でチェック用画像156Kを形成するが、このK色且つ段パターン1のチェック用画像156Kが再びチェック用画像形成領域137Aに形成されるのは37回目(最初である1回目にI×P×T回を足した数)となる。要するに、特定のチェック用画像形成領域137に特定色且つ特定段パターンのチェック用画像156が形成されてから、次に同一のチェック用画像形成領域137に同一色且つ同一段パターンのチェック用画像156が形成されるのは37回目となる。したがって、チェック用画像156への除去処理の回数がさらに多くなる。
<第11実施形態>
図15には、第11実施形態において、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137にチェック用画像156を形成及び除去する際の、チェック用画像156の形成及び除去のプロセスが示されている。
第11実施形態では、画像記録用ドラム136は、1倍胴とされており、チェック用画像156の段数は4段とされている。また、上記した第10実施形態と同様に、チェック用画像156を形成する位置が、全色で同一位置とされている。
図15(A)に示すように、第11実施形態では、K色で第1段のチェック用画像156Kが形成され、M色で第2段のチェック用画像156Mが、C色で第3段のチェック用画像156Cが、Y色で第4段のチェック用画像156Yがそれぞれ形成される。すなわち、異なる色ごとのチェック用画像が、搬送直交方向(矢印M2方向)では隣接するように形成される。
そして、これら第1段〜第4段のチェック用画像156が読み取られた後、図15(B)に示すように、除去処理が施される。このとき、チェック用画像156は、完全に除去されず、画像記録用ドラム136上にインクが残存していてもよい。
次に、図15(C)に示すように、Y色の第1段のチェック用画像156Yが、K色の第1段のチェック用画像156Kの上に重ねて形成される。同様に、K色の第2段のチェック用画像156Kが、M色の第2段のチェック用画像156Mの上に重ねて形成される。M色の第3段のチェック用画像156Mが、C色の第3段のチェック用画像156Cの上に重ねて形成される。C色の第4段のチェック用画像156Cが、Y色の第4段のチェック用画像156Yの上に重ねて形成される。
換言すれば、第11実施形態では、Q回目(Qは1以上の整数)のチェック用画像156の形成では搬送直交方向でチェック用画像156が異なる色ごとに隣接して形成されている。ここで、斜め方向に沿った段パターンに着目すると、搬送直交方向(矢印M2方向)では、同一のチェック用画像156の形成時において、異なる色ごとに重ねることなく段パターンが形成されている。たとえば、図15(A)において、第1段の段パターン(K色)と、第2段の段パターン(M色)とは重なっていない。そして、たとえばK色のチェック用画像156−Kに着目すると、Q回目で形成されたチェック用画像156(段パターン)と、Q+1回目で形成されたチェック用画像156とは異なっている。これにより、Q回目のチェック用画像156が形成されていた箇所には、Q+1回目において、異なる色でチェック用画像156が形成されている。
このとき、前段階で形成されたチェック用画像156が完全には除去されずに画像記録用ドラム136上に残っている可能性がある。しかし、第10実施形態と同様に、読取対象であるチェック用画像156の色と残存インクの色とから決定される波長域の光の吸収度合いの差分を評価値として利用することで、残存インクの色の影響を少なくして、チェック用画像156の読み取りを容易にすると共に、且つ読み取りの正確性を高めることが可能である。
これ以降も、表7に示す色の順序でチェック用画像156を繰り返し形成する。
そして、第11実施形態においても、チェック用画像形成領域137においてチェック用画像が形成されるそれぞれ部位では、チェック用画像156の形成及び読み取りがなされてから、次にチェック用画像156の形成及び読み取りが成されるまでの、除去処理の回数が多くなる。
また、用紙154への画像記録を行いながら、画像記録用ドラム136にチェック用画像156を形成し読み取ることで、ノズルのチェックを行うことが可能である。
加えて、第11実施形態においても、第10実施形態と同様に、チェック用画像156を形成する位置が全色で同一位置であり、チェック用画像形成領域137の長さを短くすることができる。
また、第11実施形態では、全色のチェック用画像156を一度に形成しており、全色のノズルのチェックが1回で可能である。したがって、ノズルに不具合があった場合に、これを早期に発見できる。
<第12実施形態>
図16には、本発明の第12実施形態に係る画像記録用ドラム194が側面視で示されている。第12実施形態に係る画像記録用ドラム194は、表面(外周面)において周方向に2枚の用紙154を保持可能な構成(3倍胴)とされている。3倍胴の画像記録用ドラム194では、周方向に3箇所のチェック用画像形成領域137A、137B、137Cを有している。
この場合、たとえば、表8に示すようなチェック用画像156の形成順序とすれば、チェック用画像形成領域137の同一領域に、連続して同一色のチェック用画像137が形成されることがない構成とすることが可能である。そして、画像記録用ドラム136が周方向に複数の用紙154を保持可能な構成において、チェック用画像156のそれぞれに対し除去処理の回数を多くすることが可能である。
すなわち、この場合に、段パターンの数及び色数をT(上記例ではT=4)、画像記録用ドラム136の周方向での有するチェック用画像形成領域137の数をP(上記例ではP=3)としたとき、TとPとを互いに素とすることで、チェック用画像156への除去処理の回数を多くすることが可能となる。
なお、上記各実施形態において、色相が略同一である別種のインクが用いられることがある。たとえば、色材濃度を薄めたライトインクは、色材濃度を薄めていないインクとの間で、「色相が略同一である別種のインク」に該当する。また、略同一色相の染料インクと顔料インクも、「色相が略同一である別種のインク」に該当する。
このような、色相が略同一なインクについては、上記第11実施形態、第12実施形態においては、同一色のインクとして扱う。すなわち、色が重なった場合に、波長ごとの分光吸収の差を用いたチェック用画像156の読み取りでは、色相が略同一なインクは、分光吸収も略同一である。
上記では、第5実施形態〜第12実施形態において、チェック用画像156を階段状に形成した例を示したが、チェック用画像156が搬送方向(矢印M1方向)にずらして形成されることで、1回のチェック画像156の形成により、全ノズルからインク滴を吐出可能であれば、階段状である必要はない。
たとえば、図17−1〜図17−2に示した例では、チェック用画像156が搬送方向で5つにグループ分けされており、この点で図11−1及び図11−2に示した例と同じであるが、搬送方向(矢印M1方向)の上流側から順に、チェック用画像156−1、156−4、156−2、156−5、156−3の順に並ぶようにすることで、全体として階段状ではないチェック用画像156を形成している。
また、図18に示した例では、4色のチェック用画像156を全色で同一位置に形成している点で図15に示した例と同じであるが、特定の色のチェック用画像156(たとえばK色のチェック用画像156K)に着目したとき、斜め方向にならぶことなく、全体として階段状ではないチェック用画像156を形成している。
チェック用画像を形成する部材としては、たとえば記録媒体も想定されるが、記録媒体にチェック用画像を形成すると、記録媒体として本来の画像を記録する領域が狭くなる。また、記録媒体の変形(たとえば用紙154のヨレ)やインクの滲み等が生じると、正確な読み取りが困難になる場合がある。本発明の各実施形態では、画像記録用ドラム136(記録媒体保持部材)に対しチェック用画像の形成及び読み取りを行うことで、これらの不都合を回避している。
チェック用画像の形成及び読み取りを行うタイミングは、記録媒体への画像記録中に限定されず、たとえば、インクジェット記録装置112を立ち上げたときや、画像記録の1つのジョブ(たとえば、同一画像を複数枚の記録媒体に記録するときの画像ごとの単位)の前等に行うことも可能である。ただし、不良ノズルを早期に発見することで、記録媒体の無駄を少なくする(好ましくは無駄が生じないようにする)ためには、記録媒体への画像記録中においてチェック用画像の形成及び読み取りを行うことが好ましい。
本発明の記録媒体保持部材は、上記した画像記録用ドラム136に限定されない。たとえば、無端状のベルトに記録媒体を保持した状態で、ベルトの循環により記録媒体を搬送させる構造の記録媒体保持部材でもよい。本発明の記録媒体としても用紙154に限定されず、フィルム状部材やシート状部材であってもよい。