以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係るPONシステムの概略構成を示すブロック図である。
図1を参照して、PONシステム301は、局側装置101と、光ファイバであるN本のPON回線1〜N(203−1〜203−N)と、N個の光カプラ204−1〜204−Nと、複数の宅側装置(ONU)202とを備える。局側装置101は、光回線ユニット(以下、OSU(Optical Subscriber Unit)とも称する)1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、集線部13と、光スイッチ14と、局側装置101の全体的な制御を行なう全体制御部(切り替え部)11とを含む。ここで、Nは1以上の整数である。また、宅側装置から上位ネットワーク(以下「アップリンク」とも称する。)への方向を上り方向と称し、アップリンクから宅側装置への方向を下り方向と称する。
PONシステム301では、ONU202は、周期的スリープ動作を行なうことが可能である。この周期的スリープ動作において、ONU202は、局側装置101からの下りフレームの受信動作および局側装置101への上りフレームの送信動作を停止するスリープ状態へ遷移し、スリープ状態を継続するスリープ期間の満了後にスリープ状態から復帰して上記受信動作および送信動作を行ない、上記受信動作および送信動作を行なう起床期間の満了後に再びスリープ状態へ遷移する。また、ONU202は、起床期間において局側装置から起床指示を受けると、スリープ状態へ遷移せず、周期的スリープ動作を停止する。より詳細には、ON202は、起床指示を受けると、起床応答を局側装置101へ送信し、上記受信動作および送信動作を継続する。
ここでは、PONシステム301において、各PON回線は10ギガビット/秒の通信速度を実現するEPONである10G−EPONに対応しており、アップリンクは10ギガビット/秒の通信速度を実現するイーサネット(登録商標)に対応すると仮定して説明する。また、MPCPフレームによってONUの登録、離脱、ONUへの帯域割り当て、ONUからの帯域要求が行なわれ、拡張MACフレームによってONUへのスリープ指示などが行なわれると仮定して説明する。
局側装置101は、10G−EPONに対応するPON回線を複数回線収容する。1本のPON回線には1または複数のONUが接続される。局側装置101は、これらのPON回線からのデータを1または複数の通信回線を有するアップリンクに多重する。また、局側装置101は、アップリンクからのデータを振り分けて各PON回線における各宅側装置へ送信する。また、局側装置101は、PON回線の上り帯域および下り帯域を各宅側装置に割り当てる。たとえば、各宅側装置から局側装置101への上り光信号はバースト信号であり、局側装置101から各宅側装置への下り光信号は連続的な信号である。PONシステム301では、各ONU202から局側装置101への光信号が時分割多重される。
具体的には、局側装置101は、N本のPON回線1〜Nに接続され、このN本のPON回線を終端する。各OSUは、PON回線に対応して設けられ、対応のPON回線に接続された1または複数のONUとフレームを送受信する。PON回線1〜Nは、光カプラ204−1〜204−Nにそれぞれ接続されており、これらの光カプラを介して各ONU202に接続されている。
局側装置101は、たとえば、N:1の冗長構成を有している。すなわち、N+1個のOSUのうち、OSU1〜Nが運用系(現用)OSUであり、OSU N+1が待機系(予備)OSUである。なお、局側装置1aは、2個以上の待機系OSUを含む構成であってもよい。
全体制御部11は、ONU202とフレームを送受信すべきOSU12を、運用系のOSU12から待機系のOSU12へ切り替える切り替え制御を行なう。
光スイッチ14は、全体制御部11からの指示に従い、N+1個のOSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、N本のPON回線1〜N(3−1〜3−N)との間の通信経路を切り替える。
集線部13は、複数のOSU経由で各ONUから受信した上りフレームをアップリンクへ送信する。具体的には、集線部13は、OSU1〜N(12−1〜12−N+1)からの上りフレームを多重してアップリンクに送信するとともに、アップリンクから受信した下りフレームを適切なOSUに振り分ける処理を行なう。
図2は、本発明の実施の形態に係る局側装置におけるOSUの構成を示す図である。
図2を参照して、OSU12は、集線IF(Interface)部31と、制御IF部32と、受信処理部33と、送信処理部34と、PON送受信部35と、PON制御部(起床制御部)36と、上りフレームを蓄積するFIFO37と、下りフレームを蓄積するFIFO38と、クロック生成部39とを含む。
クロック生成部39は、たとえばVCO(Voltage Controlled Oscillator)を含み、OSU12における各部が動作するためのクロックを生成する。
すなわち、局側装置101では、複数のOSU12の各々は、クロックを生成するための別個のクロック生成部39を有する。OSU12は、このクロックのタイミングに従って時刻情報すなわちタイムスタンプを生成し、タイムスタンプに従ってフレームを送受信する。また、OSU12は、時刻情報をフレームに含めて配下の各ONU202へ送信する。
PON送受信部35は、PON線路の親局側起点として、PON回線である1本の光ファイバと光スイッチ14を介して接続される。PON送受信部35は、この光ファイバを介して各ONUと双方向通信が行なえるように、特定の波長、たとえば1310nm帯の上り光信号を受信し、電気信号に変換して受信処理部33に出力するとともに、送信処理部34から受けた電気信号を別波長の下り光信号に変換して送信する。たとえば、PON送受信部35は、送信処理部34から受けた10Gbpsの電気信号を1570nm帯の下り光信号に変換して送信する。
受信処理部33は、PON送受信部35から受けた電気信号からフレームを再構成するとともに、フレームの種別に応じてPON制御部36またはFIFO37にフレームを振り分ける。具体的には、データフレームをFIFO37に出力し、制御フレームをPON制御部36に出力する。
また、受信処理部33は、どのロジカルリンクからフレームをいつ受信するかを示すグラント情報を送信処理部34から受けて、バースト受信を支援するための制御信号をPON送受信部35へ出力してもよい。また、受信処理部33は、このグラント情報を受けて、当該グラント情報に示されていない受信フレームをフィルタリングする、すなわち廃棄するようにしてもよい。
集線IF部31は、FIFO37に蓄積された上りフレームを集線部13へ出力する。また、集線IF部31は、集線部13からフレームを受けると、当該フレームが通常のデータフレームである場合にはFIFO38に出力し、当該フレームが制御フレームである場合にはPON制御部36へ出力する。
集線IF部31は、PON制御部36から制御フレームを受けた場合には、FIFO37からのフレーム列の合間において、当該制御フレームをFIFO37からのフレームよりも優先して集線部13へ出力する。
送信処理部34は、FIFO38またはPON制御部36が送信すべきフレームを有する場合、優先順位に従ってそのフレームを受け取り、PON送受信部35に出力する。
PON制御部36は、MPCPおよびOAMなど、PON回線の制御および管理に関する局側処理を行なう。すなわち、PON回線に接続されている各ONUとMPCPメッセージおよびOAMメッセージをやりとりすることによって、ONUの登録、離脱および帯域割り当てを含めた上りアクセス制御、下りアクセス制御、ならびにONUへのスリープ指示を含めたONUの運用管理などを行なう。
たとえば、PON制御部36は、各ONU202から受けたPON回線における上り帯域の割り当て要求に基づいて、PON回線における上り帯域を各ONU202に割り当てる。具体的には、PON制御部36は、ONU202から受けたPON回線における帯域の割り当て要求を示すレポートフレームに基づいて、PON回線における帯域をONU202に割り当てる、すなわちグラントを記したゲートフレームをONU202へ送信する。PON制御部36は、ゲートフレームを用いて、ONU202に対して、上りフレームの送信開始タイミングおよび送信可能データ長を通知する。
また、PON制御部36は、スリープ期間の開始タイミングおよびその長さ、ならびに起床期間の開始タイミングおよびその長さ等をパラメータとするスリープ指示を示す制御フレームをONU202へ送信する。
制御IF部32は、全体制御部11からの指示に基づいて、集線IF部31、受信処理部33、送信処理部34、およびPON制御部36への設定を行ない、これら各ユニットの状態を全体制御部11に通知する。また、これら各ユニットに異常が発生した場合は、全体制御部11からの指示に依らず、異常が発生したユニットの状態を全体制御部11に通知する。全体制御部11は、たとえばこれらの情報に基づいて、OSU12の冗長切り替えを行なう。PON送受信部35への設定および状態通知は、受信処理部33を経由して行なわれる。
図3は、本発明の実施の形態に係る宅側装置の構成を示す図である。
図3を参照して、宅側装置202は、PONポート21と、光受信処理部(通信部)22と、バッファメモリ23と、送信処理部24と、UNI(User Network Interface)ポート25と、受信処理部26と、バッファメモリ27と、光送信処理部(通信部)28と、制御部(スリープ制御部、切り替え検知部および時刻調整部)29とを備える。
光受信処理部22は、局側装置101から送信される下り光信号をPONポート21経由で受信して電気信号に変換し、当該電気信号からフレームを再構成するとともに、フレームの種別に応じてバッファメモリ23経由で制御部29または送信処理部24にフレームを振り分ける。具体的には、光受信処理部22は、データフレームを送信処理部24に出力し、制御フレームを制御部29に出力する。
送信処理部24は、光受信処理部22から受けたデータフレームをUNIポート25経由で図示しないパーソナルコンピュータ等のユーザ端末へ送信する。
受信処理部26は、UNIポート25経由でユーザ端末から受信したデータフレームをバッファメモリ27経由で光送信処理部28へ出力する。
制御部29は、MPCPおよびOAM等、PON回線の制御および管理に関する宅側処理を行なう。すなわち、PON回線に接続されている局側装置101とMPCPメッセージおよびOAMメッセージをやりとりすることによって、アクセス制御等の各種制御を行なう。制御部29は、各種制御情報を含む制御フレームを生成し、バッファメモリ27経由で光送信処理部28へ出力する。
光送信処理部28は、受信処理部26から受けたデータフレームおよび制御部29から受けた制御フレームを光信号に変換し、PONポート21経由で局側装置101へ送信する。
また、制御部29は、局側装置101からスリープ指示を示す制御フレームを受信して、周期的スリープ動作を開始する。制御部29は、スリープ状態において、たとえば光受信処理部22および光送信処理部28の動作を停止することにより、下りフレームの受信動作および上りフレームの送信動作を停止する(以下、TRXパワーダウンとも称する。)周期的スリープ動作を行なう。あるいは、制御部29は、スリープ状態において、たとえば光送信処理部28の動作を停止することにより、下りフレームの受信動作を継続し、上りフレームの送信動作を停止する(以下、TXパワーダウンとも称する。)周期的スリープ動作を行なう。また、制御部29は、スリープ指示に対するスリープ応答を示す制御フレームを局側装置101へ送信する。
また、制御部29は、局側装置101からスリープ指示を示す制御フレームを受信して、スリープ状態へ遷移できないと判断した場合には、周期的スリープ動作を行なわず、スリープ拒否を示す制御フレームを局側装置101へ送信する。
また、制御部29は、周期的スリープ動作において、スリープ状態から復帰した後、スリープ状態を継続可能であるか否かを判断し、継続可能であると判断した場合には、所定の起床期間が終了すると再びスリープ状態へ遷移する。一方、制御部29は、スリープ状態から復帰した後、スリープ状態を継続不可であると判断した場合には、たとえば起床通知を局側装置101へ送信し、通常動作を行なう。
このようなPONシステムにおいて、ONU202は、周期的スリープ動作中に局側装置101におけるOSU12の冗長切り替え(以下、OSU冗長切り替えとも称する。)が発生しても、周期的スリープ動作を継続する。局側装置101は、ONU202が周期的スリープ動作を行なっている状態において、OSU冗長切り替えを行なった後、当該ONU202へ送信すべき下りフレームが発生しても、当該ONU202の周期的スリープ動作を停止させることは困難であり、下りトラフィックの中継不能を招いてしまう。
これは、ONU202が、周期的スリープ動作において、局側装置101からの起床指示を受けるために間欠的に起動、すなわちスリープ状態から復帰しても、切り替え先のOSU12は、ONU202の当該復帰タイミングを把握しておらず、起床指示をONU202の起床期間において当該ONU202に到着させることが困難だからである。
そこで、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、以下のような動作により、上記問題点を解決する。
[動作]
ONU202において、制御部29は、周期的スリープ動作が行なわれている際、局側装置101における運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替えを示す切り替え事象の発生を検知する。
たとえば、制御部29は、切り替え事象の発生を検知した場合に、周期的スリープ動作を停止する。また、制御部29は、切り替え事象の発生を検知した場合に、さらに、起床通知を局側装置101へ送信する。
また、たとえば、制御部29は、所定条件を満たすと局側装置101との通信接続すなわちリンクを再確立するための処理を行なうと判断し、所定条件を満たしていない場合には通信接続を継続すると判断する。そして、制御部29は、周期的スリープ動作が行なわれている際、切り替え事象の発生を検知した場合には、上記所定条件を満たしても、通信接続を継続すると判断する。
より詳細には、ONU202は、周期的スリープ動作中に、OSU冗長切り替えを推測させる所定のイベントを検出すると、たとえば自発的に周期的スリープ動作を停止し、起床通知を示す制御フレームを局側装置101へ送信する。この所定のイベントは、たとえば、LoS(Loss of Signal)、すなわちONU202が局側装置101から送信される下り光信号を所定時間以上検出できない事象である。すなわち、制御部29は、局側装置101からの下り光信号の途絶を、切り替え事象の発生として検知する。制御部29は、周期的スリープ動作中にLoSを検出すると、OSU冗長切り替えが発生したと判断し、たとえば自発的に周期的スリープ動作を停止し、起床通知を示す制御フレームを局側装置101へ送信する。
具体的には、光受信処理部22は、周期的スリープ動作中もLoS検出を行なう。光受信処理部22は、周期的スリープ動作中にLoSを検出すると、LoS検出を制御部29に通知する。
制御部29は、光受信処理部22からのLoS検出通知を受けて、周期的スリープ動作の停止、および切り替え先のOSU12への起床通知の送信、の実行判断を行なう。
以下、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける、OSU冗長切り替えに対する省電力動作について図面を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、TRXパワーダウンを行なうONUにおける、OSU冗長切り替えの際の動作の一例を示す図である。
図4を参照して、ONU202は、通常モード、および省電力モードの2つの動作モードを有する。省電力モードでは、周期的スリープ動作が行なわれ、スリープ状態となるスリープ期間と、起床期間、すなわち省電力動作が停止されるアクティブ期間とが交互に繰り返される。
まず、OSU1は、スリープ指示を示す制御フレームを、通常モードで動作中のONUへ送信する。
次に、ONUは、OSU1からのスリープ指示を受けて、スリープ通知を示す制御フレームをOSU1へ送信し、省電力モードへ遷移する。ONUでは、省電力モードへ遷移すると、たとえば、まずアクティブ期間となった後、スリープ期間となり、再びアクティブ期間となる。
次に、タイミングt1において、OSU1からOSU N+1への冗長切り替えが発生する。これにより、タイミングt1からタイミングt2まで、局側装置101から当該ONUへの下り光信号の送信が停止される。
次に、アクティブ期間中のタイミングt3において、ONUは、LoSを検出し、タイミングt4において起床通知を局側装置101へ送信し、通常モードへ遷移する。
次に、OSU N+1は、ONUから起床通知を受けて、当該ONUが周期的スリープ動作を停止した、すなわち省電力モードから通常モードへ遷移したことを認識する(タイミングt5)。
ONU202がTRXパワーダウンを行なう場合には、光受信処理部22のうち、下り光信号を検知する部分の動作はスリープ状態においても停止しない等の特別な構成としない限り、スリープ期間においてLoSを検出することはできず、図4に示すような動作となる。
一方、ONU202がTXパワーダウンを行なう場合には、スリープ状態において光受信処理部22の動作を継続することから、スリープ期間でもLoSを検出することができる。このため、以下の図5に示すような動作が可能となる。
図5は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、TXパワーダウンを行なうONUにおける、OSU冗長切り替えの際の動作の一例を示す図である。
図5を参照して、まず、OSU1は、スリープ指示を示す制御フレームを、通常モードで動作中のONUへ送信する。
次に、ONUは、OSU1からのスリープ指示を受けて、スリープ通知を示す制御フレームをOSU1へ送信し、省電力モードへ遷移する。ONUでは、省電力モードへ遷移すると、たとえば、まずアクティブ期間となった後、スリープ期間となり、再びアクティブ期間となる。
次に、タイミングt11において、OSU1からOSU N+1への冗長切り替えが発生する。これにより、タイミングt11からタイミングt12まで、局側装置101から当該ONUへの下り光信号の送信が停止される。
次に、スリープ期間中のタイミングt13において、ONUは、LoSを検出し、タイミングt14において起床通知を局側装置101へ送信し、通常モードへ遷移する。
次に、OSU N+1は、ONUから起床通知を受けて、当該ONUが周期的スリープ動作を停止した、すなわち省電力モードから通常モードへ遷移したことを認識する(タイミングt15)。
図6は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、ONUがLoSを検出した際の動作手順を示すフローチャートである。
たとえば、ONU202は、通常モードにおいて、Losを検出した場合、または局側装置101からのゲートフレームを所定時間以上受信できない場合、リンク断を検出することなく、プロテクション処理を開始する。このプロテクション処理では、ONU202は、一定期間、タイムスタンプドリフトを検出しない。
図6を参照して、ONU202は、LoSを検出した場合において(ステップS11でYES)、通常モードで動作しているときには(ステップS12でYES)、上記のようにプロテクション処理を開始する(ステップS13)。
一方、ONU202は、LoSを検出した場合において(ステップS11でYES)、省電力モードで動作しているときには(ステップS12でNO)、通常モードに遷移し、省電力動作を停止する(ステップS14)。
次に、ONU202は、プロテクション処理を開始し(ステップS15)、そして、起床通知を局側装置101へ送信する(ステップS16)。
図4〜図6に示すようなLoSをOSU冗長切り替えのイベントとして検出する構成では、ONU202がTRXパワーダウンを行なう場合、LoSを検出できない可能性がある。すなわち、TXパワーダウンを行なうか、あるいは、光受信処理部22の動作を停止する場合でも、下り光信号を検知する部分の動作は停止させないようにする必要がある。
また、冗長切り替えの際に切り替え元のOSU12および切り替え先のOSU12から下り光信号が連続的に送信されると、LoSを検出できない可能性がある。
そこで、ONU202における制御部29は、局側装置101からの時刻情報とONU202の時刻情報との差に基づいて、切り替え事象の発生を検知する。
より詳細には、ONU202は、たとえば、周期的スリープ動作中に、タイムスタンプドリフトを検出すると、自発的に周期的スリープ動作を停止し、起床通知を示す制御フレームを局側装置101へ送信する。ここで、タイムスタンプドリフトとは、局側装置101から送信されるMPCPフレームのタイムスタンプ値とONU202のタイムスタンプ値との差が所定の閾値を超える事象である。
ONU202は、スリープ状態において光受信処理部22のすべての動作を停止しても、局側装置101からのMPCPフレームをアクティブ期間において受信すれば、タイムスタンプドリフトを検出可能である。
ここで、タイムスタンプは、たとえば以下のように用いられる。すなわち、ONU202において、制御部29は、局側装置101からのフレームに含まれる時刻情報に基づいてONU202の時刻情報を調整する。具体的には、ONU202は、局側装置101からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームが示すタイムスタンプに基づいて自己のPONクロックを調整し、局側装置101と同期をとる。
PONクロックは、PON通信に用いるクロックであり、PONシステム301において、局側装置101、およびその配下の全ONU202で共通に使用される単位の時計、たとえば16ns周期のクロックである。また、タイムスタンプは、たとえば自己のPONクロックで動作するカウンタのカウント値である。
たとえば、ONU202は、タイムスタンプドリフトを検出すると、局側装置101とのリンク断を検出し、局側装置101とのリンクを再確立するための処理を実行する。具体的には、ONU202は、前回調整した自己のPONクロックによるタイムスタンプと、今回受信したMPCPゲートフレームのタイムスタンプとの差が所定の閾値、たとえば8TQ=96nsよりも大きい場合、タイムスタンプドリフトが生じたと判断して、リンク断を検出し、MPCPリンク断処理を行なう。ここで、MPCPリンク断処理が行なわれると、最初からリンクアップシーケンスが実行されることから、このシーケンス分、局側装置101およびONU202間で通信不能期間が発生してしまう。
これに対して、PONシステム301では、ONU202は、周期的スリープ動作中にタイムスタンプドリフトを検出した場合には、リンク断を検出することなく、たとえば自発的に周期的スリープ動作を停止し、起床通知を示す制御フレームを局側装置101へ送信する。
具体的には、制御部29は、周期的スリープ動作中に局側装置101から受信したMPCPゲートフレームのタイムスタンプと、自己のONU202のタイムスタンプとの差からタイムスタンプドリフトを検出する。
制御部29は、周期的スリープ動作中においてタイムスタンプドリフトを検出した場合には、リンク断を検出せず、周期的スリープ動作の停止、および切り替え先のOSU12への起床通知の送信、の実行判断を行なう。
図7は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、TRXパワーダウンを行なうONUにおける、OSU冗長切り替えの際の動作の一例を示す図である。
図7を参照して、まず、OSU1は、スリープ指示を示す制御フレームを、通常モードで動作中のONUへ送信する。
次に、ONUは、OSU1からのスリープ指示を受けて、スリープ通知を示す制御フレームをOSU1へ送信し、省電力モードへ遷移する。ONUでは、省電力モードへ遷移すると、たとえば、まずアクティブ期間となった後、スリープ期間となり、再びアクティブ期間となる。
次に、OSU1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt21)。
次に、1回目のアクティブ期間におけるタイミングt22において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームが示すタイムスタンプに基づいて自己のPONクロックを調整し、OSU1と同期をとる。
次に、OSU1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt23)。
次に、2回目のアクティブ期間におけるタイミングt24において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームが示すタイムスタンプに基づいて自己のPONクロックを調整し、OSU1と同期をとる。
次に、タイミングt25において、OSU1からOSU N+1への冗長切り替えが発生する。
次に、OSU N+1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt26)。
次に、2回目のアクティブ期間におけるタイミングt27において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、タイムスタンプドリフトを検出する。
次に、ONUは、タイムスタンプドリフトを検出すると、起床通知を局側装置101へ送信し、通常モードへ遷移する(タイミングt28)。
次に、OSU N+1は、ONUから起床通知を受けて、当該ONUが周期的スリープ動作を停止した、すなわち省電力モードから通常モードへ遷移したことを認識する(タイミングt29)。
ONU202がTRXパワーダウンを行なう場合には、スリープ状態において下りフレームを受信しないことから、スリープ期間においてタイムスタンプドリフトを検出することはできず、図7に示すような動作となる。
一方、ONU202がTXパワーダウンを行なう場合には、スリープ状態において下りフレームを受信することから、スリープ期間でもタイムスタンプドリフトを検出することができる。このため、以下の図8に示すような動作が可能となる。
図8は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、TXパワーダウンを行なうONUにおける、OSU冗長切り替えの際の動作の一例を示す図である。
図8を参照して、まず、OSU1は、スリープ指示を示す制御フレームを、通常モードで動作中のONUへ送信する。
次に、ONUは、OSU1からのスリープ指示を受けて、スリープ通知を示す制御フレームをOSU1へ送信し、省電力モードへ遷移する。ONUでは、省電力モードへ遷移すると、たとえば、まずアクティブ期間となった後、スリープ期間となり、再びアクティブ期間となる。
次に、OSU1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt31)。
次に、1回目のスリープ期間におけるタイミングt32において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームが示すタイムスタンプに基づいて自己のPONクロックを調整し、OSU1と同期をとる。
次に、タイミングt33において、OSU1からOSU N+1への冗長切り替えが発生する。
次に、OSU N+1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt34)。
次に、1回目のスリープ期間におけるタイミングt35において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、タイムスタンプドリフトを検出する。
次に、タイミングt36において、ONUは、起床通知を局側装置101へ送信し、通常モードへ遷移する。
次に、OSU N+1は、ONUから起床通知を受けて、当該ONUが周期的スリープ動作を停止した、すなわち省電力モードから通常モードへ遷移したことを認識する(タイミングt37)。
図9は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、ONUがタイムスタンプドリフトを検出した際の動作手順を示すフローチャートである。
図9を参照して、ONU202は、タイムスタンプドリフトを検出した場合において(ステップS1でYES)、通常モードで動作しているときには(ステップS2でYES)、MPCPリンク断処理、すなわち局側装置101とのリンクを再確立するための処理を開始する(ステップS3)。
一方、ONU202は、タイムスタンプドリフトを検出した場合において(ステップS1でYES)、省電力モードで動作しているときには(ステップS2でNO)、通常モードに遷移し、省電力動作を停止する(ステップS4)。
次に、ONU202は、起床通知を局側装置101へ送信する(ステップS5)。
図7〜図9に示すようなタイムスタンプドリフトを検出する構成では、切り替え元のOSUのタイムスタンプと切り替え先のOSUのタイムスタンプとが精度よく一致している場合、ONU202は、タイムスタンプドリフトを検出しないことから、OSU冗長切り替えを検知できない。
そこで、PONシステム301では、切り替え先のOSU12は、冗長切り替えの際、自己のタイムスタンプをずらす。すなわち、待機系のOSU12におけるPON制御部36は、全体制御部11による切り替え制御が行なわれると、運用系のOSU12の生成する時刻情報の値との差が所定値以上の時刻情報を生成してONU202へ送信する。
より詳細には、切り替え先のOSU12は、ONU202においてタイムスタンプドリフトが検出できるように、自己のタイムスタンプを、切り替え元のOSU12のタイムスタンプと所定の閾値以上離れた値に設定する。OSU12は、たとえば、ONU202においてタイムスタンプドリフトが検出される基準となる閾値を、ユーザ等から予め設定されることにより取得可能である。
これにより、OSU202においてタイムスタンプドリフトを確実に検出することが可能となる。
また、OSU冗長切り替えが行なわれると、ONU202がOSU12から受信するPON制御フレーム、たとえば、ゲートフレーム等のMPCPフレーム、OAMフレームおよび拡張MACフレームの送信元アドレスが変わる。
図10は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおけるMPCPフレームの構成の一例を示す図である。図10は、IEEE802.3−2008に従う内容である。
図10を参照して、MPCPフレームは、送信先アドレスが挿入される6オクテットのフィールドと、送信元アドレスが挿入される6オクテットのフィールドと、データ長およびタイプが挿入される2オクテットのフィールドと、オペレーションコードが挿入される2オクテットのフィールドと、タイムスタンプが挿入される4オクテットのフィールドと、データもしくはパディングが挿入されるか、または予備として用いられる40オクテットのフィールドと、FCS(Frame Check Sequence)が挿入される4オクテットのフィールドとを含む。
MPCPフレームの送信元アドレスフィールドには、送信するMAC装置すなわちOSU12のMACアドレスが格納される。異なるMAC装置が同一のMACアドレスを使用することはできないため、送信元アドレスフィールドの値は、冗長切り替えの前後で変わる。
そこで、ONU202における制御部29は、局側装置101からのフレームの送信元アドレスの変化を、切り替え事象の発生として検知する。
より詳細には、ONU202は、周期的スリープ動作中にPON制御フレームの送信元アドレスの変化を検出した場合には、OSU冗長切り替えが発生したと判断し、リンク断を検出することなく、自発的に周期的スリープ動作を停止し、起床通知を示す制御フレームを局側装置101へ送信する。
これにより、LoSを検出できない場合でも、また、冗長切り替えの前後でMPCPゲートフレームのタイムスタンプのずれが小さい場合でも、ONU202は、OSU冗長切り替えの発生を検知することができる。また、切り替え先のOSU12においてタイムスタンプをずらす必要がなくなる。
図11は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、TRXパワーダウンを行なうONUにおける、OSU冗長切り替えの際の動作の一例を示す図である。
図11を参照して、まず、OSU1は、スリープ指示を示す制御フレームを、通常モードで動作中のONUへ送信する。
次に、ONUは、OSU1からのスリープ指示を受けて、スリープ通知を示す制御フレームをOSU1へ送信し、省電力モードへ遷移する。ONUでは、省電力モードへ遷移すると、たとえば、まずアクティブ期間となった後、スリープ期間となり、再びアクティブ期間となる。
次に、OSU1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt51)。
次に、1回目のアクティブ期間におけるタイミングt52において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームが示すタイムスタンプに基づいて自己のPONクロックを調整し、OSU1と同期をとる。
次に、OSU1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt53)。
次に、2回目のアクティブ期間におけるタイミングt54において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームが示すタイムスタンプに基づいて自己のPONクロックを調整し、OSU1と同期をとる。
次に、タイミングt55において、OSU1からOSU N+1への冗長切り替えが発生する。
次に、OSU N+1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt56)。
次に、2回目のアクティブ期間におけるタイミングt57において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームの送信元アドレスと、前回受信したMPCPゲートフレームの送信元アドレスとが異なることを検出する。
次に、ONUは、送信元アドレスの変化を検出すると、起床通知を局側装置101へ送信し、通常モードへ遷移する(タイミングt58)。
次に、OSU N+1は、ONUから起床通知を受けて、当該ONUが周期的スリープ動作を停止した、すなわち省電力モードから通常モードへ遷移したことを認識する(タイミングt59)。
ONU202がTRXパワーダウンを行なう場合には、スリープ状態において下りフレームを受信しないことから、スリープ期間において送信元アドレスの変化を検出することはできず、図11に示すような動作となる。
一方、ONU202がTXパワーダウンを行なう場合には、スリープ状態において下りフレームを受信することから、スリープ期間でも送信元アドレスの変化を検出することができる。このため、以下の図12に示すような動作が可能となる。
図12は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、TXパワーダウンを行なうONUにおける、OSU冗長切り替えの際の動作の一例を示す図である。
図12を参照して、まず、OSU1は、スリープ指示を示す制御フレームを、通常モードで動作中のONUへ送信する。
次に、ONUは、OSU1からのスリープ指示を受けて、スリープ通知を示す制御フレームをOSU1へ送信し、省電力モードへ遷移する。ONUでは、省電力モードへ遷移すると、たとえば、まずアクティブ期間となった後、スリープ期間となり、再びアクティブ期間となる。
次に、OSU1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt61)。
次に、1回目のスリープ期間におけるタイミングt62において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームが示すタイムスタンプに基づいて自己のPONクロックを調整し、OSU1と同期をとる。
次に、タイミングt63において、OSU1からOSU N+1への冗長切り替えが発生する。
次に、OSU N+1は、MPCPゲートフレームをONUへ送信する(タイミングt64)。
次に、1回目のスリープ期間におけるタイミングt65において、ONUは、OSU1からのMPCPゲートフレームを受信し、当該MPCPゲートフレームの送信元アドレスと、前回受信したMPCPゲートフレームの送信元アドレスとが異なることを検出する。
次に、タイミングt66において、ONUは、起床通知を局側装置101へ送信し、通常モードへ遷移する。
次に、OSU N+1は、ONUから起床通知を受けて、当該ONUが周期的スリープ動作を停止した、すなわち省電力モードから通常モードへ遷移したことを認識する(タイミングt67)。
図13は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、ONUが送信元アドレスの変化を検出した際の動作手順を示すフローチャートである。
図13を参照して、ONU202は、PON制御フレームの送信元アドレスの変化を検出した場合において(ステップS21でYES)、通常モードで動作しているときには(ステップS22でYES)、特段の処理を行なわず、待機する。
一方、ONU202は、PON制御フレームの送信元アドレスの変化を検出した場合において(ステップS21でYES)、省電力モードで動作しているときには(ステップS22でNO)、通常モードに遷移し、省電力動作を停止する(ステップS23)。
次に、ONU202は、起床通知を局側装置へ送信する(ステップS24)。
なお、ONU202は、以上のような各判断基準の一部を用いてOSU冗長切り替えの発生を判断してもよいし、全部を用いてOSU冗長切り替えの発生を判断してもよい。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、上記のように、省電力モードで動作中のONU202がOSU冗長切り替えを検知し、その対処を当該ONU202が主体的に行なう構成に限らず、局側装置101が、OSU冗長切り替えの対処を主体的に行なう構成であってもよい。
すなわち、切り替え先のOSU12におけるPON制御部36は、全体制御部11による切り替え制御が行なわれると、配下の各ONU202へ起床指示を送信することにより、周期的スリープ動作を行なっているONU202の当該周期的スリープ動作を停止させる。
具体的には、冗長切り替えによって新しくPON回線を引き継いだOSU12は、冗長切り替え後すぐに、起床指示を配下の各ONU202へ送信し、各ONU202を通常モードで動作させる。
ここで、起床指示の送信対象となるONU202は、配下の全ONUとしてもよいし、省電力モードで動作中と推察されるONU202だけを送信対象としてもよい。たとえば、切り替え先のOSU12が、切り替え元のOSU12から、省電力モードで動作中のONU202のリストを引き継いだ場合には、当該リストに記されているONU202だけを送信対象にすることが可能である。
また、たとえば、OSU12は、起床指示に対する応答である起床通知を返さないONU202は、TRXパワーダウンの省電力モードで動作していると判断し、当該ONU202が起床指示を示す制御フレームをアクティブ期間において受信できるように、起床指示を何度も再送信する。
図14は、本発明の実施の形態に係る局側装置における、OSU冗長切り替えの際の動作の一例を示す図である。図14は、OSUの配下に2つのONU1,2が存在する場合を示している。
図14を参照して、まず、OSU1は、スリープ指示を示す制御フレームを、通常モードで動作中のONU1へ送信する。
次に、ONU1は、OSU1からのスリープ指示を受けて、スリープ通知を示す制御フレームをOSU1へ送信し、省電力モードへ遷移する。ONU1では、省電力モードへ遷移すると、たとえば、まずアクティブ期間となった後、スリープ期間となり、再びアクティブ期間となる。
次に、タイミングt41において、OSU1からOSU N+1への冗長切り替えが発生する。
次に、OSU N+1は、起床指示を示す制御フレームをONU1およびONU2へ送信する(タイミングt42およびt43)。
次に、ONU1は、アクティブ期間において、OSU N+1からの起床指示を受けて、起床通知を局側装置101へ送信し、通常モードへ遷移する(タイミングt44)。
また、ONU2は、OSU N+1からの起床指示を受けて、起床通知を局側装置101へ送信する(タイミングt45)。
次に、OSU N+1は、ONU1から起床通知を受けて、当該ONUが通常モードで動作中であることを認識する(タイミングt46)。
また、OSU N+1は、ONU2から起床通知を受けて、当該ONUが通常モードで動作中であることを認識する(タイミングt47)。
図15は、本発明の実施の形態に係るPONシステムによる効果を説明するための図である。
図15を参照して、OSU12が故障したときの、PON回線の通信不能期間を最小限に抑えるためには、OSU間でのデータベースの移管を速やかに行なわなければならない。
一般に、OSU12の管理している管理データは、配下の全ONU202の状態等を含んでおり、データ量が非常に多い。このため、管理データをすべて切り替え先のOSU12に高速で転送するためには、OSU12において高速なインタフェースを用意しておかなければならず、コストが高くなってしまう。
本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、OSU間で転送する情報を最低限に抑える、具体的には、各ONU202の省電力動作の有無、および間欠起床のタイミング等を不要にすることができるため、高速通信用のインタフェースが不要になり、コスト面で有利である。
また、切り替え先および切り替え元のOSUのPONクロックが8単位すなわち8TQ以上離れている場合には、通常、省電力モードで動作しているONU202は、リンク断を検出してしまう。その一方で、別個のPONクロックの生成部を有する2つのOSUを、96ns以内の誤差で同期させることは困難である。
本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、ONU202は、タイムスタンプドリフトが発生しても、リンク断を検出せずに、局側装置101との通信を継続して行なうことができる。このため、OSU間の精確なクロック同期を実現するための構成が不要となり、機器構成を簡素化することができ、コスト面で有利である。
ところで、各ONUのスリープ動作に関する情報、たとえば周期的スリープ動作中であるか否か、ならびにスリープ期間の開始タイミングおよびスリープ期間の長さ等を待機系のOSUに転送することができれば、待機系のOSUにおいて、周期的スリープ動作中のONUの起床タイミングを把握し、必要に応じてONUを起床させることが可能である。
しかしながら、1つのOSUは、たとえば最大128台のONUと通信を行なうことが可能であるため、転送すべきデータ量が膨大であり、すべての情報を転送すると切り替え時間が増大し、冗長切り替えによるPONシステムの通信断時間が長くなってしまう。このため、運用系のOSUからは、最低限の情報を待機系のOSUに転送する構成が好ましく、各ONUのスリープ動作に関する情報が転送されない場合が考えられる。
この場合、冗長切り替えが行なわれると、切り替え先のOSUにおいてONUの起床期間のタイミングを把握することができず、ONUを起床させることができなくなってしまう。
すなわち、局側装置におけるOSUの冗長切り替えが行なわれても、ONUは、通常、周期的スリープ動作を継続する。そして、切り替え先のOSUが、ONUの周期的スリープ動作に関する情報を有していない場合には、当該ONUへ送信すべき下りフレームが発生しても、当該ONUのスリープ動作を停止させることが困難となり、下りトラフィックの中継不能を招いてしまう。
これに対して、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、周期的スリープ動作が行なわれている際、局側装置101における運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替えを示す切り替え事象の発生を検知する。
このように、スリープ動作中のONU202がOSU12の冗長切り替えを検知する構成により、OSU12の冗長切り替えが行なわれると、ONU202は、たとえば、自発的に省電力モードから通常モードへ復帰したり、局側装置101へ起床通知を送信したりすることができる。これにより、切り替え先のOSU12からONU202への通信を早期に開始することができ、下りトラフィックの中継不能の抑制を図ることができる。すなわち、OSU12の冗長切り替えが行なわれた場合に、PONシステムにおける通信を早期に再開させることができるため、PONシステムにおける通信不能時間を短縮することができ、サービス品質を向上させることができる。
したがって、本発明の実施の形態に係るONUでは、宅側装置のスリープ動作中における局側装置の冗長切り替えに対して、局側装置および宅側装置間の通信停止時間の増大を抑制し、信頼性の高い通信システムを提供することができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、切り替え事象の発生を検知した場合に、周期的スリープ動作を停止する。
このように、ONU202が、OSU12の冗長切り替えを検知してスリープ動作を停止する構成により、冗長切り替え後、局側装置101からONU202への通信をスムーズに再開させることができる。また、切り替え先のOSU12がたとえば起床指示を連続送信してONU202を起床させる必要がなくなり、OSU12の処理の簡易化およびPON回線における帯域の無駄な消費を抑制することができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、切り替え事象の発生を検知した場合に、さらに、起床通知を局側装置101へ送信する。
このように、ONU202が、OSU12の冗長切り替えを検知してスリープ動作を停止し、起床通知を局側装置101へ送信する構成により、局側装置101がONU202の通常動作への復帰を把握できていない期間を短縮させ、早期に把握させることができるため、PONシステムにおける各ONU202の管理を適切に行なうことができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、局側装置101からの時刻情報すなわちタイムスタンプとONU202の時刻情報との差に基づいて、切り替え事象の発生を検知する。
このような構成により、OSU12の冗長切り替えの発生を適切な方法で検知することができる。また、ONU202がアクティブ期間およびスリープ期間を繰り返す周期的スリープ動作を行なう場合において、スリープ期間において下り光信号の受信を停止しても、局側装置101から送信されるタイムスタンプをアクティブ期間において受信すれば、OSU12の冗長切り替えの発生を検知することができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、局側装置101からの下り光信号の途絶を、切り替え事象の発生として検知する。
このような構成により、OSU12の冗長切り替えの発生を適切な方法で検知することができる。また、切り替え元のOSU12のタイムスタンプと切り替え先のOSU12のタイムスタンプとの差が小さい場合でも、OSU12の冗長切り替えの発生を検知することができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、局側装置101からのフレームの送信元アドレスの変化を、切り替え事象の発生として検知する。
このような構成により、OSU12の冗長切り替えの発生を適切な方法で検知することができる。また、ONU202がアクティブ期間およびスリープ期間を繰り返す周期的スリープ動作を行なう場合において、スリープ期間において下り光信号の受信を停止しても、局側装置101から送信されるタイムスタンプをアクティブ期間において受信すれば、OSU12の冗長切り替えの発生を検知することができる。また、切り替え元のOSU12のタイムスタンプと切り替え先のOSU12のタイムスタンプとの差が小さい場合でも、OSU12の冗長切り替えの発生を検知することができる。
また、局側装置が、ONUと光信号を送受信するための複数のOSUを備えている場合、たとえば、各OSUには別個のクロック生成部が設けられ、OSUは、独自のPONクロックのタイミングに基づいて時刻情報すなわちタイムスタンプを生成する。そして、OSUは、当該時刻情報に従って動作し、また、当該時刻情報をONUに定期的に通知する。ONUは、OSUから通知された時刻情報に基づいて自己の時刻情報を調整し、当該時刻情報に従って動作する。
そして、局側装置が運用系のOSUから待機系のOSUへの冗長切り替えを行なうと、各OSUのPONクロックの相違から、冗長切り替えの前後でONUが受け取る時刻情報の値が異なることにより、ONUにおいて局側装置とのリンク断が検出されてしまう場合がある。
また、局側装置におけるOSUの冗長切り替えにより、局側装置からONUへの下り光信号が途絶えた場合でも、ONUにおいて局側装置とのリンク断が検出されてしまう可能性がある。
ONUは、局側装置とのリンク断を検出すると、局側装置とのリンクすなわち通信接続を再確立するための処理を実行することになる。ここで、局側装置と通信するONUは、一般に数十台以上存在することから、リンク断を検出した各ONUのすべてが局側装置とのリンクを再確立するまでに長時間を要してしまう。
また、局側装置は、ONUがリンク断を検出すると、当該ONUへ送信する予定であった蓄積データをクリアする場合もあり、データの再送処理による遅延も生じてしまう。
これに対して、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、所定条件を満たすと局側装置101との通信接続を再確立するための処理を行なうと判断し、所定条件を満たしていない場合には通信接続を継続すると判断する。そして、制御部29は、周期的スリープ動作が行なわれている際、切り替え事象の発生を検知した場合には、上記所定条件を満たしても、通信接続を継続すると判断する。
このような構成により、ONU202がOSU12の冗長切り替えによってリンク断を検出し、リンクを再確立するための処理を行なうことを防ぐことができるため、PONシステムにおける通信不能時間の増大を防ぐことができる。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、局側装置101は、複数のOSU12を含む。複数のOSU12の各々は、クロックを生成するための別個のクロック生成部39を有し、このクロックのタイミングに従って各ONU202とフレームを送受信する。そして、ONU202は、周期的スリープ動作を行なっている際、局側装置101における運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替えを示す切り替え事象の発生を検知する。
このように、スリープ動作中のONU202がOSU12の冗長切り替えを検知する構成により、OSU12の冗長切り替えが行なわれると、ONU202は、たとえば、自発的に省電力モードから通常モードへ復帰したり、局側装置101へ起床通知を送信したりすることができる。これにより、切り替え先のOSU12からONU202への通信を早期に開始することができ、下りトラフィックの中継不能の抑制を図ることができる。すなわち、OSUの冗長切り替えが行なわれた場合に、PONシステムにおける通信を早期に再開させることができるため、PONシステムにおける通信不能時間を短縮することができ、サービス品質を向上させることができる。
したがって、各OSUの生成するクロックの相違から、冗長切り替えの前後でONUが受け取る時刻情報の値が異なることにより、ONUにおいて局側装置とのリンク断が検出されてしまうようなPONシステムにおいて、宅側装置のスリープ動作中における局側装置の冗長切り替えに対して、局側装置および宅側装置間の通信停止時間の増大を抑制し、信頼性の高い通信システムを提供することができる。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、複数のOSU12は、各々が、クロックを生成するための別個のクロック生成部39を有し、上記クロックのタイミングに従って時刻情報を生成し、時刻情報に従ってフレームを送受信する。待機系のOSU12は、全体制御部11による切り替え制御が行なわれると、運用系のOSU12の生成する時刻情報の値との差が所定値以上の時刻情報を生成してONU202へ送信する。
このような構成により、切り替え元のOSU12のタイムスタンプと切り替え先のOSU12のタイムスタンプとが精度よく一致している場合でも、ONU202においてタイムスタンプドリフトを検出し、OSU12の冗長切り替えを確実に検知することが可能となる。すなわち、OSU12の冗長切り替えが行なわれた場合に、PONシステムにおける通信を早期に再開させることができるため、PONシステムにおける通信不能時間を短縮することができ、サービス品質を向上させることができる。
したがって、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、宅側装置のスリープ動作中における局側装置の冗長切り替えに対して、局側装置および宅側装置間の通信停止時間の増大を抑制し、信頼性の高い通信システムを提供することができる。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、局側装置101におけるOSU12のPON制御部36は、全体制御部11による切り替え制御が行なわれると、各ONU202へ起床指示を送信することにより、周期的スリープ動作を行なっているONU202の周期的スリープ動作を停止させる。
このように、局側装置101が、OSU12の冗長切り替えの対処を主体的に行なう構成により、ONU202においてOSU12の冗長切り替えを検知するための構成が不要となり、ONU202の構成および処理の簡易化を図ることができる。
また、OSU12の冗長切り替えが行なわれた場合に、PONシステムにおける通信を早期に再開させることができるため、PONシステムにおける通信不能時間を短縮することができ、サービス品質を向上させることができる。
したがって、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、宅側装置のスリープ動作中における局側装置の冗長切り替えに対して、局側装置および宅側装置間の通信停止時間の増大を抑制し、信頼性の高い通信システムを提供することができる。
なお、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、ONU202は、周期的スリープ動作を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではない。周期的スリープ動作に限らず、ONU202は、たとえば、局側装置101のスリープ指示によって一定期間だけ省電力動作を行なうようなスリープ動作を行なう構成であってもよい。
すなわち、ONU202において、制御部29は、光送信処理部28または光受信処理部22の動作を停止するスリープ動作を行なう。そして、制御部29は、このスリープ動作が行なわれている際、局側装置101における運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替えを示す切り替え事象の発生を検知する。
このような構成でも、スリープ動作中にOSU12の冗長切り替えを検知することにより、宅側装置のスリープ動作中における局側装置の冗長切り替えに対して、局側装置および宅側装置間の通信停止時間の増大を抑制し、信頼性の高い通信システムを提供することが可能である。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、ONU202は、OSU12の冗長切り替えの発生を検知した後、周期的スリープ動作を停止する構成であるとしたが、これに限定するものではない。ONU202は、OSU12の冗長切り替えの発生を検知しても、周期的スリープ動作を継続する構成であってもよい。この場合、たとえば、前述のように、切り替え先のOSU12は、ONU202からの応答が無いこと等を検知して、ONU202に対して連続的に起床指示を送信し、ONU202を起床させる構成が考えられる。また、前述のように、切り替え先のOSU12が、切り替え直後に配下の各ONU202に対して起床指示を送信する構成も考えられる。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、ONU202は、OSU12の冗長切り替えの発生を検知した後、起床通知を局側装置101へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。ONU202は、OSU12の冗長切り替えの発生を検知しても、起床通知を局側装置101へ送信しない構成であってもよい。この場合も、上記のように連続的に起床通知を送信する構成、または配下の各ONU202へ起床通知を送信する構成が考えられる。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、ONU202における制御部29が、周期的スリープ動作の制御を行ない、また、OSU12の冗長切り替えの発生を検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。すなわち、ONU202の代わりに、PONシステム301における局側装置101およびONU202以外の他の装置が、ONU202にスリープ動作をさせる制御、およびOSU12の冗長切り替えを検知する動作等を行なう構成であってもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。