JP5728688B2 - 垂直離着陸飛行機 - Google Patents
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即ち、実用化された垂直離着飛行機の技術はハリアーのみであり、複雑な計算が不要で、経済的かつ実用的な垂直離着陸飛行機の技術は存在しなかった。その為、無線操縦による活火山の観測などには、もっぱら無人ヘリコプターが活用されてきた。しかし、ヘリコプターは操縦が難しく、水平飛行速度や燃費性能が飛行機に劣り、結局の所、利便性が悪かった。
また、機体の重量を上まわる推進力を発揮する、強力な動力源を用いなくても、極めて狭いスペースから離陸可能で、なおかつ、超低速飛行が可能な、経済的で実用性の高い飛行機の技術が求められており、無線操縦の無人飛行機だけでは無く、有人実用飛行機にも採用可能な技術も求められている。以上の要求機能を全て満足する事が、本発明の課題である。
1,主翼と尾翼と垂直尾翼を有する一般的な飛行機の構造に対して、主翼を、前主翼と後主翼の2つとし、それぞれの主翼に、左右一対の推進用プロペラを装置する。
2,前後の主翼を、略水平から略垂直まで、段階的に可変させる事で、離着陸時は、合計4個のプロペラを上向きとし、ヘリコプターの様に、安定した垂直上下動を可能にする。
3,前主翼及び、前主翼の推進用プロペラによる乱気流で、後主翼の空力性能が低下するのを防ぐ為、後主翼のプロペラは、前主翼のプロペラに対して、真後からずらす。
4,主翼の、厚さが最も厚い位置に回転軸を備え、この回転軸は、胴体を貫いて左右の主翼を連結する。
既存の技術で垂直に離着陸させる為には、機体の重量を持ち上げる為の強大な推進力を発揮する動力源が必要となるが、本発明であれば、例えば主翼の迎角を45度にする事で、一般の飛行機と同程度の出力の動力源でも、ほとんど滑走路での滑走を必要とせずに、離陸できる。また、水平飛行性能は一般的な飛行機とほぼ同等の為、例えば農薬散布用の無線操縦機に採用すれば、限られたスペースから離陸し、素早く作業現場まで飛行し、散布作業時は、農作物の上空を極低速で移動しながら農薬散布を行うなど、飛行機とヘリコプターの両方の長所を備えた航空機として、極めて利便性・実用性が高く、産業の発展に大きく寄与できる。
図2は、前主翼2の部分側面図である。回転軸10は、翼断面形状の最も厚さの大きい部分、即ち、上下寸法が最大となる部分で主翼に挿入され、一体で回転する様に主翼に固定されている。水平飛行の状態では、主翼の取り付け角度、即ち翼の迎角は、略0度に保持される。
図3は、前主翼2の部分側面図を表す。垂直離着陸(垂直上昇及び垂直下降)の際は、回転軸10を回転させ、主翼の取り付け角度を約90度とし、上向きの推進力を得る。この結果、4つのプロペラの推力によって垂直に上昇と下降が可能となり、また、4つのプロペラによって、機体のバランスを崩す事も無い。主翼の取り付け角度は、水平飛行の状態である約0度から、垂直離着陸時用の約90度まで、段階的に可変する様に装置する事で、制御が簡単になる。また、段階的な制御であれば、各段階の状態で、機械的に回転をロックする事が可能となり、角度を可変させる為のモーターへの負担を軽減する事が可能となる。
以上が、本発明の請求項1に記載された内容の一例である。
図2は、前主翼2の部分上面図であり、胴体内に装置したモーター11に、プーリー13を取り付け、ベルト14を介して、左右一対のプロペラ6の回転軸に取り付けた、プーリー12を駆動する。この構成により、駆動用モーターの数を、4個から2個に減らす事が可能で、機体全体の軽量化を図る事ができる。以上が、本発明の請求項2に記載された内容の一例である。
回転軸10には、プーリー18が取り付けられ、胴体1の内部に装置された、モーター15の回転軸に取り付けたプーリー17とは、ベルト16で連結されている。この構成により、モーター15の回転駆動力が、回転軸10に伝わり、各主翼の取り付け角度(迎角)を可変できる。
但し、上記の構成だけでは、長時間の水平飛行時に、ベルトとプーリーとのスリップなどによって、主翼の取り付け角度が微妙に変わってしまうとの問題が発生する。そこで、所定の角度の状態で、図には記載されていないロックピンを回転部に挿入し、機械的に回転軸10の回転をロックすれば良く、回転軸に摩擦材を押し付け、摩擦力でブレーキを掛けても良い。尚、ロックピンは、主翼の角度を可変する可動部と、胴体側の非可動部を合せて貫通すれば、どの様な形状でも機能を果たす事が可能で、遠隔操作によるピンの抜き差しをすれば、操作性が高まる。
以上が、本発明の請求項4に記載された内容の一例である。
この構成ならば、水平飛行時は後主翼3に装置したプロペラ7を停止させても、空気抵抗を軽減できるので、前主翼2に装置した2つのプロペラ6だけで巡航する事が可能となり、長距離航行時の燃料消費量を減らす事ができる。また、プロペラを折りたたまなくても、ピッチ(ねじれ角)を進行方向に対して0度に制御すれば、同様に、回転停止時の空気抵抗を減らす事ができる。
以上が、本発明の請求項5に記載された内容の一例である。
特に、無線操縦による無人飛行機の分野では、滑走路が不要で利便性が高く、有人機では危険な火山の調査や、狭い農地への農薬散布などへの活用が期待できる。
2、前主翼
3、後主翼
4、一般的な飛行機と同構造の、水平尾翼
5、一般的な飛行機と同構造の、垂直尾翼
6、前主翼に左右一対で装置された、推進用プロペラ
7、後主翼に左右一対で装置された、推進用プロペラ
8、前主翼の推進用プロペラを回転させる、モーター
9、後主翼の推進用プロペラを回転させる、モーター
10、主翼の角度(迎角)を可変させる、回転軸
11、左右のプロペラを同時に回転させる為の、モーター
12、プロペラの回転軸に設けられた、プーリー
13、推進用モーターの回転軸に設けられた、プーリー
14、プロペラの回転軸を駆動させる為の、ベルト
15、主翼の角度を可変させる為の、モーター
16、主翼の回転軸を回転させる為の、ベルト
17、主翼の角度可変用モーターの回転軸に設けられた、プーリー
18、主翼の角度を可変させる回転軸に設けられた、プーリー
19、胴体に固定され、引っ張りスプリングの端部を引っ掛ける、フック
20、引っ張りスプリング
21、主翼の角度を可変させる回転軸に設けられた、ステー
22、折りたたまれた状態の、推進用プロペラ
23、垂直着陸(着地)時用の脚を取り付ける、主翼の後端部
Claims (4)
- 略円筒状、又は細長い筒状、又は細長い棒状、又は板状の胴体に、前主翼・後主翼・水平尾翼・及び垂直尾翼を備え、各主翼に、それぞれ左右一対の推進用プロペラを装置し、各主翼の取り付け角度、即ち迎角を、水平飛行状態の進行方向に対して、略平行から略垂直まで、段階的に変更可能に装置した垂直離着陸飛行機において、動力源のエンジンや電動モーターでプロペラを駆動する際、トラブル等により、4個のプロペラの動力源の内、1個が停止した場合、同時に対角線上の動力源、又は同じ主翼上の動力源を停止させ、バランスを取る制御を行う事を特徴とする、垂直離着陸飛行機。
- 各主翼の、進行方向に対する取り付け角度、即ち迎角を可変する装置は、以下のいずれかである事を特徴とする、請求項1に記載の、垂直離着陸飛行機。
1,主翼又は回転軸と、胴体とをスプリングで連結し、モーターによる駆動力が加わっ ていない場合、主翼の迎角は、スプリングの付勢力によって所定の角度に保持され る。
2,回転軸の断面形状は、胴体内の軸受け部分及びその近傍では円形であり、主翼の内 側では、全体又は部分的に、多角形やH型の異形断面とし、回転軸と主翼とが、滑 らずに一体で回転する様に構成した。尚、円形断面の回転軸に、ピンを貫通させる など、別の部品を取付ける事で主翼との滑りを止める構成や、回転軸を折り曲げる 事で、主翼との滑りを止める構成や、回転軸の表面を粗面にする構成も含む。 - 胴体、各翼、及びプロペラの配置は、略左右対称とし、以下の全て、又はいずれかの特徴を有する、請求項1又は2のいずれかに記載の、垂直離着陸飛行機。尚、以下に記載の上下方向は、機体が地面に対して平行に進行している状態、即ち、水平飛行状態における上下方向を指す。
1,前主翼のプロペラの回転軸を、後に延長した仮想直線に対して、後主翼のプロペラ の回転軸の位置を、プロペラの直径寸法の範囲内で、左右方向にずらした。
2,後主翼の幅寸法を、前主翼の幅寸法に対して、プロペラの直径寸法の範囲内で、大 きくした、又は小さくした。
3,胴体を双胴とした。尚、双胴とは、前部のみや後部のみなど、機体の一部分だけを 一般的な単胴とし、残りの部分を双胴とした構成も含む。 - 以下の全て、又はいずれかの特徴を有する、請求項1から3のいずれかに記載の、垂直離着陸飛行機。
1,少なくとも後主翼に装置した推進用プロペラのピッチを、無駆動時は0として、進 行方向からの風による空気抵抗を軽減する様に構成した。
2,少なくとも後主翼に装置した推進用プロペラは、その回転軸にピン結合され、回転 停止時は、プロペラが折りたたまれ、駆動力を受けて回転すると、遠心力によって プロペラが所定の形状に広がる様に構成した。尚、プロペラと回転軸を弾性部材で 連結し、駆動力を受けていない時は、折りたたまれた状態で保持される構成も含む 。
3,有人飛行機において、操縦席の床に、真下を直視可能な窓を設けた。
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