JP5727301B2 - Oaローラの製造方法 - Google Patents
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Description
ただし、垂直ディッピング法では、ローラ端部に付着した塗料の除去が必要となったり、ローラ端部において塗料のダレが発生して塗膜の厚みが不均一になったりする場合があるなどの不都合が認識されている。これらの不都合については、従来、ディッピング前にローラの端部全体を覆うようにキャップを装着する技術が提案されている(特許文献1など参照)。
これにより、ローラ端部に無用な塗料が付着するのを防止しつつ、均一な塗膜を得ることができるとされている。
芯材の端部にキャップを装着してから、当該キャップを装着した芯材を前記液槽に浸漬して引上げることで前記塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を硬化させる処理を施す塗膜硬化工程と、前記キャップの近傍で前記芯材上の硬化した塗膜を周方向に切断した後、前記キャップ及び切断された前記硬化した塗膜を除去して、前記塗膜硬化層が所定位置に配置されたOAローラを得る塗膜切断処理工程とを、含んでなるOAローラの製造方法であって、
前記キャップの開口周縁部に沿って形成される、前記硬化した塗膜のラッパ形状バリ部が除去側となるようにして、前記塗膜切断処理工程での切断位置が設定してあることを特徴とするOAローラの製造方法によって達成される。
本発明の製造方法によって得られる一例のOAローラ1を、その長さ方向での断面構成を示した図1を参照して説明する。図1において、2は芯材を、3は芯材2の周囲に形成された塗膜硬化層を示している。なお、ここで例示するOAローラ1は芯材2上に、弾性層(基材層)としての塗膜硬化層3を一層設けた最もシンプルな構造例を示すものであるが、本発明の製造方法で対象とするOAローラはここで例示した構造に限らない。
また、本発明の製造方法によって得られるOAローラは、芯材と塗膜硬化層との間に、弾性層(基材層)としての中間層が介在している構造でもよい。この場合、芯材の外周面上に中間層を設けてあるOAローラ中間体を予め準備し、本発明による方法を適用して中間層の上に表層(表面層)としての塗膜硬化層を形成する。
なお、上記芯材2は製品となるOAローラ側の要求により適宜に選択すればよいが、金属材料あるいは樹脂材料による棒状であればよく、中実、中空のいずれであってもよい。
なお、本発明に係るOAローラの製造方法は、ローラ端部にキャップを装着して垂直ディッピング法で塗膜を形成する方法の改善に係るものである。すなわち、本発明による製造方法は、塗布材料を貯留した液槽に芯材2を浸漬して引上げることで塗膜を形成し、この塗膜を硬化して塗膜硬化層を有するOAローラを得るものである。
そして、図2(c)で示すように、引上げ後に塗膜3aを硬化させるための硬化処理(塗膜硬化工程)を施している。なお、塗膜3aを硬化させる処理は採用した塗布材料により異なる。例えば塗布材料が熱硬化型であれば熱処理であり、また塗布材料が紫外線(UV)硬化型であれば紫外線照射処理となる。
これに対して、本発明による製造方法では、塗膜硬化層の目的厚みTaよりも、径方向での厚みTbが厚く形成してあるキャップ5を採用している。そして、キャップ5よりも軸方向内側で塗膜を切断することにより、従来技術のような後処理加工(塗膜の余分な端部の除去)を不要としている。
ここで、発明者らは、当初、キャップ開口端部の位置5TPを、塗膜硬化層3を設ける正規位置に対応させること、すなわち、キャップ開口端部の位置5TPで硬化後の塗膜3aを切断するようにキャップを配置し、塗膜硬化後にキャップ開口端部の位置5TPで塗膜を切断して、最後にキャップを取り外すことで、従来の後処理工程を不要として所望の寸法の塗膜硬化層を簡易に形成できると想定した。しかしながら、これでは更に解消すべき不都合な点があることが確認された。本発明のOAローラの製造方法は、この不都合な点をも解決して完成に至ったものである。
以下の説明では、ここで指摘した不都合な点がどのような点であり、本発明ではどのように解決しているかを説明することで、本発明の特徴を明らかにする。
図3は、塗膜硬化層を形成する正規位置にキャップ開口端部が対応して位置するようにしてキャップが形成してあり、キャップ開口端部の位置5TPで、硬化した塗膜3aを切断している。すなわち、この場合はキャップ開口端部の位置5TPを切断位置CPとしてある。ところが、この様な位置で塗膜3aを切断してみると、塗膜3aの端部にバリが形成されてしまう。そして、塗膜の端部でのバリの形成は、キャップ5の径方向での厚みTbが塗膜3aの径方向での目的厚みTaよりも厚く形成してある場合に特に顕著であった。
より具体的には、キャップ5の厚みTbに起因して塗膜3aの厚さがキャップ5側で漸増するので、キャップ5の開口周縁部5crに、塗膜3aのラッパ形状のバリ部3prが形成される。従って、キャップ開口端部の位置5TPで硬化した塗膜3aを切断すると、キャップ5を除去したときにラッパ形状バリ部3prが顕在化する。しかも、このラッパ形状バリ部3prは塗膜3a(塗膜硬化層3)の目的厚みより厚い(高い)ので、OA装置にセットしたときには、対向して配置される機器と接触する。例えば、OAローラが画像形成装置に採用される帯電ローラである場合、ラッパ形状バリ部が感光体ドラム(OPC)の一部と接触する不都合が発生する。
すなわち、図4で示す本発明の場合、切断位置CPは塗膜硬化層3を設ける正規位置に対応して設定されるが、ラッパ形状バリ部3prはこれより切断除去側となるように変更される。よって、キャップ5を除去するときにラッパ形状バリ部3prも同様に除去することができる。
この図5から本願のOAローラの製造方法によると、ラッパ形状バリ部3prを確実に除去して、予定した正規位置に均一な塗膜硬化層3を備えたOAローラを製造できることを確認できる。
なお、ラッパ状バリ部の大きさは、使用する塗料の粘度やキャップの厚さにより定まる。従って、本発明の製造方法で使用するキャップ5の寸法および硬化した塗膜の切断位置は、ローラの製造条件と同一条件での実験を行うことにより定めることができる。
上述した実施例は、発明の理解のため芯材2上に一層の塗膜3aを形成し、これを硬化処理する場合を例示しているが、前述したように塗膜硬化層3を複数層による積層で形成してもよい。例えば第1の塗膜硬化層3−1を弾性層、そして第2の塗膜硬化層3−2を樹脂による表層とすることができ、この場合はこの両者により塗膜硬化層3が構成され、この2層を積層して硬化した後に前述した塗膜切断処理工程を実施すればよい。
また、前述したように芯材2上に弾性層などの中間層を予め配置したOAローラ中間体を用いてもよく、この場合には中間層に設けた表層が塗膜硬化層となり、この表層を硬化した後に前述した塗膜切断処理工程を実施すればよい。
2 芯材
3 塗膜硬化層
3a 塗膜
3pr ラッパ形状バリ部
5 キャップ
5TP キャップ開口端部の位置
5cr キャップの開口周縁部
CP 切断位置
10 液槽
Ta 塗膜硬化層の目的厚み
Tb キャップの径方向での厚み
Claims (3)
- 棒状の芯材を、塗布材料の液槽に浸漬して引上げることで塗膜を形成し、該塗膜を硬化させて塗膜硬化層を設けてOAローラを製造するに際して、
芯材の端部にキャップを装着してから、当該キャップを装着した芯材を前記液槽に浸漬して引上げることで前記塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を硬化させる処理を施す塗膜硬化工程と、前記キャップの近傍で前記芯材上の硬化した塗膜を周方向に切断した後、前記キャップ及び切断された前記硬化した塗膜を除去して、前記塗膜硬化層が所定位置に配置されたOAローラを得る塗膜切断処理工程とを、含んでなるOAローラの製造方法であって、
前記キャップの開口周縁部に沿って形成される、前記硬化した塗膜のラッパ形状バリ部が除去側となるようにして、前記塗膜切断処理工程での切断位置が設定してある、ことを特徴とするOAローラの製造方法。 - 前記塗膜切断処理工程では、前記キャップを取り外して除去するときに、該キャップと共に切断された前記硬化した塗膜の除去も一緒に実行する、ことを特徴とする請求項1に記載のOAローラの製造方法。
- OAローラが弾性層と該弾性層を被覆する表層とを備えたローラ構造であり、
前記塗膜硬化層は、前記弾性層及び前記表層の双方、または前記表層である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のOAローラの製造方法。
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