JP5727301B2 - Oaローラの製造方法 - Google Patents

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本発明は、複写機、プリンター、FAX等のOA装置の内部で使用されるOAローラの製造方法に関する。
従来、複写機、プリンター、FAX等で使用されるOAローラとして、例えば帯電ローラなどがよく知られている。帯電ローラは、導電性芯材と、芯材の周りに設けられた弾性基材と、弾性基材の周りに設けられた被覆膜などからなる。OAローラには、帯電ローラ以外にも種々の形態が存在するが、棒状の芯材に弾性層などの基材層を形成し、更にその基材層を被覆する表面層を形成した積層構造が知られている。なお、基材層や表面層は必要に応じて更に複数の積層とされる場合があり、更には芯材を含めて適宜に導電性などが付与されて要求に応じたOAローラが製造されている。
上記のようなOAローラの製造方法の一つとして、塗膜形成用の塗料を貯留した液槽に芯材または外周面に基材層を形成した芯材(以下、芯材と、基材層を形成した芯材とを併せて「芯材等」という。)を浸漬して芯材等の外周面に塗膜(被膜)を形成するディッピング法が知られている。そして、製品化されたOAローラで塗膜の厚みを均一に形成できるなどの理由で、芯材等を液槽に垂直に差し込んでから引上げる、いわゆる垂直ディッピング法が従来から広く採用されていた。
ただし、垂直ディッピング法では、ローラ端部に付着した塗料の除去が必要となったり、ローラ端部において塗料のダレが発生して塗膜の厚みが不均一になったりする場合があるなどの不都合が認識されている。これらの不都合については、従来、ディッピング前にローラの端部全体を覆うようにキャップを装着する技術が提案されている(特許文献1など参照)。
これにより、ローラ端部に無用な塗料が付着するのを防止しつつ、均一な塗膜を得ることができるとされている。
特開2005−118624号公報
特許文献1で開示しているディッピング法では、芯材上に弾性基材層が設けてあるローラ中間体(半製品のローラ)上に塗膜を形成する技術を提案するもので、キャップの外径はローラ中間体の外径と一致させてある。よって、キャップを装着したローラ中間体を液槽に垂直に浸漬すると、弾性基材層上および端部のキャップ上の双方に同様に塗膜を形成できるので、端部でも均一厚みの塗膜とすることができる。
しかし、特許文献1では、上記のように均一な塗膜を得るために、弾性基材層とキャップとの接合位置よりも外側(芯材の端部側)のキャップ外周面上で塗膜を切断して、キャップをローラ中間体から除去している。このように処理することで端部の塗膜厚を均一にできるものの、キャップ除去後の弾性基材層上では、軸方向において塗膜が余分にはみ出た状態となるので、この余分な塗膜端部を切断する後処理加工が必要となる。よって、そのために製造工程が複雑となり、コストの上昇が懸念される。このように特許文献1で開示する技術でも未だ改善すべき点がある。
よって、本発明の目的は、ディッピング法でキャップを用いてOAローラを製造することに関し、均一な塗膜を備えたOAローラを、簡易な工夫で効率的に製造できるOAローラの製造方法を提案することである。
上記目的は、棒状の芯材を、塗布材料の液槽に浸漬して引上げることで塗膜を形成し、該塗膜を硬化させて塗膜硬化層を設けてOAローラを製造するに際して、
芯材の端部にキャップを装着してから、当該キャップを装着した芯材を前記液槽に浸漬して引上げることで前記塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を硬化させる処理を施す塗膜硬化工程と、前記キャップの近傍で前記芯材上の硬化した塗膜を周方向に切断した後、前記キャップ及び切断された前記硬化した塗膜を除去して、前記塗膜硬化層が所定位置に配置されたOAローラを得る塗膜切断処理工程とを、含んでなるOAローラの製造方法であって、
前記キャップの開口周縁部に沿って形成される、前記硬化した塗膜のラッパ形状バリ部が除去側となるようにして、前記塗膜切断処理工程での切断位置が設定してあることを特徴とするOAローラの製造方法によって達成される。
そして、前記塗膜切断処理工程では、前記キャップを取り外して除去するときに、該キャップと共に切断された前記硬化した塗膜の除去も一緒に実行するのが好ましい。
また、OAローラが弾性層と該弾性層を被覆する表層とを備えたローラ構造であり、前記塗膜硬化層は、前記弾性層及び前記表層の双方、または前記表層とすることができる。
本発明によると、硬化させた塗膜の切断位置を、製品化したときに問題となるラッパ形状バリ部が除去側となるように設定するという簡易な工夫で、均一な塗膜を備えたOAローラを効率的に製造できる。
本発明の製造方法によって得られる一例のOAローラの断面構成を、その長さ方向で示した図である。 OAローラ製造工程の様子を概略して示した図である。 比較例の塗膜切断処理工程での処理について示した図である。 本発明の実施例に係る塗膜切断処理工程での処理について示した図である。 本発明のOAローラの製造方法による効果を確認するために示した図である。
以下、本発明にかかる一実施形態を、図を参照して詳細に説明する。
本発明の製造方法によって得られる一例のOAローラ1を、その長さ方向での断面構成を示した図1を参照して説明する。図1において、2は芯材を、3は芯材2の周囲に形成された塗膜硬化層を示している。なお、ここで例示するOAローラ1は芯材2上に、弾性層(基材層)としての塗膜硬化層3を一層設けた最もシンプルな構造例を示すものであるが、本発明の製造方法で対象とするOAローラはここで例示した構造に限らない。
上記塗膜硬化層3は、例えば第1の塗膜硬化層3−1、第2の塗膜硬化層3−2、・・・とされた積層構造により構成されるものでもよい。そして、このように複数の積層により塗膜硬化層3を形成する場合には、同様の材料を繰り返して積層してある積層体としてもよいし、異なる材料を積層してある積層体としてもよい。
また、本発明の製造方法によって得られるOAローラは、芯材と塗膜硬化層との間に、弾性層(基材層)としての中間層が介在している構造でもよい。この場合、芯材の外周面上に中間層を設けてあるOAローラ中間体を予め準備し、本発明による方法を適用して中間層の上に表層(表面層)としての塗膜硬化層を形成する。
なお、上記芯材2は製品となるOAローラ側の要求により適宜に選択すればよいが、金属材料あるいは樹脂材料による棒状であればよく、中実、中空のいずれであってもよい。
以下、図1で例示するOAローラ1を製造する方法を説明する。
なお、本発明に係るOAローラの製造方法は、ローラ端部にキャップを装着して垂直ディッピング法で塗膜を形成する方法の改善に係るものである。すなわち、本発明による製造方法は、塗布材料を貯留した液槽に芯材2を浸漬して引上げることで塗膜を形成し、この塗膜を硬化して塗膜硬化層を有するOAローラを得るものである。
図2は、OAローラ製造工程の様子を概略して示した図である。図2(a)で示すように芯材2の両端部にキャップ5を装着して、図2(b)で示すように塗膜形成用の塗料(塗布材料)が貯留されている液槽10に浸漬して引上げる操作(必要に応じて、浸漬、引上げを繰り返す処理)を実行して芯材2上に塗膜3aを形成する。なお、この操作の際に、キャップ5上にも塗膜が形成される。因みに、塗膜の形成は、液槽に浸漬される側(図2では下側)の端部にのみキャップを装着して行っても良い。
そして、図2(c)で示すように、引上げ後に塗膜3aを硬化させるための硬化処理(塗膜硬化工程)を施している。なお、塗膜3aを硬化させる処理は採用した塗布材料により異なる。例えば塗布材料が熱硬化型であれば熱処理であり、また塗布材料が紫外線(UV)硬化型であれば紫外線照射処理となる。
ただし、単に硬化処理(塗膜硬化工程)が完了しただけでは、ローラの端部にキャップ5が装着されたままであり、また、硬化した塗膜3aのままでは正規の形態(製品としてのOAローラに設ける寸法とされた塗膜硬化層3)となっていない。よって、図2(c)で示す塗膜硬化工程後に、キャップ5の取り外しおよび硬化させた塗膜3aを整える処理を効率的にする必要がある。ここでの塗膜硬化工程後の処理を効率良く実行しないと、先に課題として指摘したように後処理工程が複雑となりコスト増加が問題となってしまう。そこで、本発明による製造方法は、効率的な後処理(塗膜切断処理工程)を実現するように工夫したものである。
なお、先に課題として説明した従来技術のOAローラの製造方法は、採用するキャップの外径をローラ中間体の外径と一致させて塗膜を形成し、ローラ中間体とキャップとの接合位置よりも軸方向外側のキャップ外周面上で塗膜を切断して、キャップをローラ中間体から除去するものであった。そのため、塗膜が余分にはみ出た状態となるので、塗膜の余分な端部を切断して予定した正規寸法とし、除去する後処理加工が必要であった。
これに対して、本発明による製造方法では、塗膜硬化層の目的厚みTaよりも、径方向での厚みTbが厚く形成してあるキャップ5を採用している。そして、キャップ5よりも軸方向内側で塗膜を切断することにより、従来技術のような後処理加工(塗膜の余分な端部の除去)を不要としている。
ここで、発明者らは、当初、キャップ開口端部の位置5TPを、塗膜硬化層3を設ける正規位置に対応させること、すなわち、キャップ開口端部の位置5TPで硬化後の塗膜3aを切断するようにキャップを配置し、塗膜硬化後にキャップ開口端部の位置5TPで塗膜を切断して、最後にキャップを取り外すことで、従来の後処理工程を不要として所望の寸法の塗膜硬化層を簡易に形成できると想定した。しかしながら、これでは更に解消すべき不都合な点があることが確認された。本発明のOAローラの製造方法は、この不都合な点をも解決して完成に至ったものである。
以下の説明では、ここで指摘した不都合な点がどのような点であり、本発明ではどのように解決しているかを説明することで、本発明の特徴を明らかにする。
更に図3、図4を参照して説明する。図3は、比較のため、上記で指摘した不都合な点がある塗膜切断処理工程での処理について示した図であり、図4は本発明の実施例に係る、不都合な点が解消されている塗膜切断処理工程での処理について示した図である。
図3は、塗膜硬化層を形成する正規位置にキャップ開口端部が対応して位置するようにしてキャップが形成してあり、キャップ開口端部の位置5TPで、硬化した塗膜3aを切断している。すなわち、この場合はキャップ開口端部の位置5TPを切断位置CPとしてある。ところが、この様な位置で塗膜3aを切断してみると、塗膜3aの端部にバリが形成されてしまう。そして、塗膜の端部でのバリの形成は、キャップ5の径方向での厚みTbが塗膜3aの径方向での目的厚みTaよりも厚く形成してある場合に特に顕著であった。
より具体的には、キャップ5の厚みTbに起因して塗膜3aの厚さがキャップ5側で漸増するので、キャップ5の開口周縁部5crに、塗膜3aのラッパ形状のバリ部3prが形成される。従って、キャップ開口端部の位置5TPで硬化した塗膜3aを切断すると、キャップ5を除去したときにラッパ形状バリ部3prが顕在化する。しかも、このラッパ形状バリ部3prは塗膜3a(塗膜硬化層3)の目的厚みより厚い(高い)ので、OA装置にセットしたときには、対向して配置される機器と接触する。例えば、OAローラが画像形成装置に採用される帯電ローラである場合、ラッパ形状バリ部が感光体ドラム(OPC)の一部と接触する不都合が発生する。
そこで、本発明では図4に示した手法で対処したものである。この手法では、塗膜切断処理工程での切断位置CPを、上記ラッパ形状バリ部3prが除去側(図4では上側)となるように設定してある。このようにすればキャップの開口周縁部5crに形成されたラッパ形状バリ部が存在していても、簡単に対処できる。そして、実際の対応としては、軸方向PLにおける長さ(寸法)を、図3で示しているキャップ5−1(塗膜硬化層を設ける正規位置にキャップ開口端が位置する長さを有する)より短くしたキャップ5−2を用いればよいので簡単に実行できる。
すなわち、図4で示す本発明の場合、切断位置CPは塗膜硬化層3を設ける正規位置に対応して設定されるが、ラッパ形状バリ部3prはこれより切断除去側となるように変更される。よって、キャップ5を除去するときにラッパ形状バリ部3prも同様に除去することができる。
図5は本発明のOAローラの製造方法による効果を確認するために示した図であり、図5の左側は切断位置CP近傍における切断前の断面状態(プロファイル)を拡大して示した図、図5の右側は切断位置CP近傍における切断後の断面状態(プロファイル)を拡大して示した図である。それぞれの図において、上段はOAローラの切断位置CP近傍の塗膜3a(塗膜硬化層3)の様子を示し、下段は硬化した塗膜の厚さ(=(ローラ外径−芯材外径)/2)の軸方向(長手方向)の変化を示している。この例は芯材2上に目的厚みTaが2mmの塗膜3aを形成した場合で、図5から、切断前にあってはキャップ5の開口周縁部や外周に除去すべき塗膜が厚く形成されていること、そして切断後はこれらが除去されることが確認できる。
この図5から本願のOAローラの製造方法によると、ラッパ形状バリ部3prを確実に除去して、予定した正規位置に均一な塗膜硬化層3を備えたOAローラを製造できることを確認できる。
なお、前述した塗膜端部切断工程では、キャップ5を取り外して除去するときに、このキャップ5と共に切断された塗膜の一部(ラッパ形状バリ部3prが存在している部分)が一緒に除去されるようにするのが好ましい。このようにすればキャップ5を外すとき(除去するとき)に効率良く一回の除去作業を完了できる。そのためはキャップ5に塗膜が付着し易いように工夫をしておくことが好ましい。キャップ5は、例えば塗料に対する耐久性があることを前提として、塗膜(硬化後の塗膜)と密着性のある材料で形成するのが望ましい。そして、キャップ5には、塗膜との密着性が向上するようにサンドブラストなどの表面粗し処理などを施してもよい。
ところで、切断位置CPは、ラッパ形状バリ部3prが製品化した際のOAローラ側に突出しないように設定すればよい。よって、切断位置CPの設定限界はラッパ形状バリ部の径方向での厚みが、塗膜硬化層の目的厚みと同等または該厚み以下となる位置であればよい。すなわち、図4での切断位置CPはラッパ形状バリ部3prの下側に少し掛かる位置でもよい。要するに、ラッパ形状バリ部がOAローラ1の塗膜硬化層3から突出することがない位置であればよい。
なお、ラッパ状バリ部の大きさは、使用する塗料の粘度やキャップの厚さにより定まる。従って、本発明の製造方法で使用するキャップ5の寸法および硬化した塗膜の切断位置は、ローラの製造条件と同一条件での実験を行うことにより定めることができる。
本発明の製造方法により製造されるOAローラは、芯材2上に、必要により種々の形態の塗膜硬化層3を設けることができる。
上述した実施例は、発明の理解のため芯材2上に一層の塗膜3aを形成し、これを硬化処理する場合を例示しているが、前述したように塗膜硬化層3を複数層による積層で形成してもよい。例えば第1の塗膜硬化層3−1を弾性層、そして第2の塗膜硬化層3−2を樹脂による表層とすることができ、この場合はこの両者により塗膜硬化層3が構成され、この2層を積層して硬化した後に前述した塗膜切断処理工程を実施すればよい。
また、前述したように芯材2上に弾性層などの中間層を予め配置したOAローラ中間体を用いてもよく、この場合には中間層に設けた表層が塗膜硬化層となり、この表層を硬化した後に前述した塗膜切断処理工程を実施すればよい。
以上で説明したように、本発明によると、硬化させた塗膜の切断位置を製品化したときに問題となるラッパ形状バリ部が除去側となるように設定するという簡易な工夫によって、均一な塗膜を備えたOAローラを効率的に製造できる。
以上の説明から明らかなように、この発明によれば均一な塗膜を備えたOAローラを効率的に製造できる方法を提供でき、これにより製造されたOAローラは複写機、プリンター、FAX等に好適に利用することができる。
1 OAローラ
2 芯材
3 塗膜硬化層
3a 塗膜
3pr ラッパ形状バリ部
5 キャップ
5TP キャップ開口端部の位置
5cr キャップの開口周縁部
CP 切断位置
10 液槽
Ta 塗膜硬化層の目的厚み
Tb キャップの径方向での厚み

Claims (3)

  1. 棒状の芯材を、塗布材料の液槽に浸漬して引上げることで塗膜を形成し、該塗膜を硬化させて塗膜硬化層を設けてOAローラを製造するに際して、
    芯材の端部にキャップを装着してから、当該キャップを装着した芯材を前記液槽に浸漬して引上げることで前記塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を硬化させる処理を施す塗膜硬化工程と、前記キャップの近傍で前記芯材上の硬化した塗膜を周方向に切断した後、前記キャップ及び切断された前記硬化した塗膜を除去して、前記塗膜硬化層が所定位置に配置されたOAローラを得る塗膜切断処理工程とを、含んでなるOAローラの製造方法であって、
    前記キャップの開口周縁部に沿って形成される、前記硬化した塗膜のラッパ形状バリ部が除去側となるようにして、前記塗膜切断処理工程での切断位置が設定してある、ことを特徴とするOAローラの製造方法。
  2. 前記塗膜切断処理工程では、前記キャップを取り外して除去するときに、該キャップと共に切断された前記硬化した塗膜の除去も一緒に実行する、ことを特徴とする請求項1に記載のOAローラの製造方法。
  3. OAローラが弾性層と該弾性層を被覆する表層とを備えたローラ構造であり、
    前記塗膜硬化層は、前記弾性層及び前記表層の双方、または前記表層である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のOAローラの製造方法。
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