JP5725853B2 - 連接棒の軸受メタル交換装置及びその交換方法、ピストン支持治具 - Google Patents
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Description
このような各軸受系の異常の区別を可能にすることで、異常時の対応を無駄なく早急に行うことができるようにした技術が特許文献1に開示されている。
このようなピストンの抜き出し作業は、クレーンを使用してシリンダカバー付き揺腕(給・排気弁用)を取外す作業で、ピストンと給・排気弁の干渉回避のため全シリンダ(V型エンジンの場合は左右16気筒)に対して実施しなければならない。
従って、軸受メタルの交換には点検・補修作業も含めると多大な作業時間を要することとなり、分解・組立工数が増大するため稼働時間の低減を招く要因となっていた。
前記ジャッキ手段は、クランク軸の回動によって点検対象に係るピストンの軸線方向に位置決めされた一対のバランスウェイトの凹部に支持され軸方向の移動を規制する規制部材を備えた軸部材と該軸部材の外周に設けた着座部とから成る受け部材と、前記着座部に下端部が支持されて作動ロッドを上昇移動するアクチュエータと、前記作動ロッドの先端に装着された状態で前記ピストンスカート部内壁の一部を支持するピストン保持具とを備えることを特徴とする。
この状態で、前記軸部材の着座部に支持されたアクチュエータの作動により、作動ロッドを介して前記ピストンを上昇移動することで、前記上下部冠が連結部材から分離される。
然る後に、前記上下部冠をクランクピンから開放し、摩耗した軸受メタル、または焼き付け等が生じた軸受メタルの交換作業に供することができる。
これにより、連接棒の軸受メタルの交換時には、従来のようにピストンをシリンダヘッドから抜き出さずに、作業用窓を通してエンジン内部での作業が可能となり、軸受メタルの点検や交換作業に要する時間を従来の作業時間に比し、大凡1/3に短縮することができる。
かかる構成によれば、ピストン支持手段をエンジン内部のフレームに締結具を介して取付けることで、先端に掛止具を設けた支持板が連結部材に向けて延出した状態となる。そこで、前記ジャッキ手段のアクチュエータの作動によりピストンを上昇移動することで上下部冠は連結部材から分離することができる。
然る後、分離された連結部材は、アクチュエータの作動により再び下降することで前記掛止具に係合される。
これにより、前記連結部材は上昇位置に保持されるので、前記ジャッキ手段を取外すことができ作業領域が確保されるため、クランクピンから上下部冠の開放作業ないし軸受メタルの交換作業能率を向上することができる。
かかる構成によれば、一対のバランスウェイトの凹部に支持される受け部材の丸軸状を成す軸部材が、隣接する一対のバランスウェイトの内側面間に接するように外方から挿嵌した一対の規制板によって軸方向の移動が規制される。この状態で凹状の着座部が軸部材を中心に回動可能に支持されているので、着座部に支持されるアクチュエータの方向性に自由度が得られる。
これによって、ピストンスカート部内壁の一部となるボス下面の安定した部位を前記アクチュエータにより、干渉無く支持することができる。
クランク軸を回動させ、バランスウェイトの凹部が点検対象に係るピストンの軸線方向に位置決めされる工程と、前記ジャッキ手段の軸部材を、前記バランスウェイトの凹部で支持させる工程と、前記連結部材と上下部冠を連結する締結具を外した状態で、前記ジャッキ手段の前記軸部材外周に設けられた着座部に下端部が支持されたアクチュエータの作動ロッドを上昇移動させ、前記作動ロッド上端のピストン保持具により前記ピストンのスカート内部の一部が支持上昇され、前記連結部材から前記上下部冠を分離する工程と、前記エンジン内部のフレームに締結具を介して、前記ピストン支持手段を取付ける工程と、前記作動ロッドを下降させて前記連結部材を前記ピストン支持手段の支持板先端の掛止具に係合保持する工程と、前記ジャッキ手段を取外し、前記クランクピンに装着された上下部冠を開放して前記軸受メタルを交換する工程とを有することを特徴とする。
前記ピストン昇降治具は、クランク軸の回動によって点検対象に係るピストンの軸線方向に位置決めされた一対のバランスウェイトの凹部間に支持され軸方向の移動を規制する規制部材を備えた軸部材と該軸部材の外周に設けた着座部とから成る受け部材と、前記着座部に下端部が支持されて作動ロッドを上昇移動するアクチュエータと、前記作動ロッドの先端に装着された状態で前記ピストンのスカート部内部の一部を支持するピストン保持具とを備えることを特徴とする。
この状態で、予め上下部冠と連結部材を連結する締結具を取外すことで、アクチュエータによりピストンを上昇移動させるだけでクランクピンに装着された上下部冠と連結部材を自動的に分離することができる。
然る後に、上下部冠を分離開放し内装されている軸受メタルの点検または交換を行うことができる。
このように、軸受メタルの交換時に、ピストン昇降治具を用いることで作業能率が向上し、従来の作業時間に比し1/3の作業時間に短縮することができる。而も、前記ピストン昇降治具を用いることでエンジン内での狭い作業空間内でも安全に作業を実施することができる。
かかる構成によれば、連接棒支持治具をエンジン内部のフレームに締結具を介して取付けることで、先端に掛止具を設けた支持板が連結部材に向けて延出した状態となる。そこで、前記ジャッキ手段のアクチュエータの作動によりピストンを上昇移動することで上下部冠を分離した連結部材は、再び下降することで前記掛止具が前記連結部材の締結孔に係合する。
これにより、連接棒支持治具は、エンジン内部のフレームを利用して取付けることができるので、構造が簡素化され取付け作業を単純化することができる。
また、前記ピストンは、前記連結部材の締結孔に掛止具が係合した状態で上昇位置に保持されるので、前記ジャッキ手段を取外すことができるため作業領域が確保され、クランクピンから上下部冠を開放する作業、ないし軸受メタルの交換作業を向上することができる。
また、前記エンジン1の両側面には複数の作業用の窓が設けられており、内部中央を長手方向に通るクランク軸2に装着されるバランスウェイト8や後述する上下部冠の点検作業や分解・組立作業ができるような所定広さの作業空間が形成されている。
図5はピストン昇降治具の分解組立斜視図、図6は連接棒支持治具の分解組立斜視図である。図2〜図4においてピストン6は、エンジン本体3の内部にV型に配置されたシリンダ5(右側)内部に上下移動可能に挿嵌されると共に、ピストン6のスカート部6aに装着されたピストンピン6bにはコンロッド7が揺動可能に連結されている。コンロッド7下端に設けた連結部材9には、2つの締結孔9a,9bが形成されており、前記締結孔9a,9bを挿通した締結ボルト19により後述する上下部冠17が結合されている。
而して、上部冠17aと下部冠17bをクランクピン2aの外周に装着した状態で締結ボルト58ないし位置決めピン(図示せず)を介して一体的に結合することで、前記クランクピン2aの外周に回転可能に取付けられる。
これにより、ピストン昇降治具20は一対のバランスウェイト8の前記係止凹部18が点検対象に係る右側ピストン6の軸線方向に対向し、前記係止凹部18に受け部材22が支持される。
挿嵌される一対の円板状を呈する規制板24a,24bから成り、円筒状鋼管で構成される軸部材23の両側に所定間隔離間して固設されている。
また、規制板24a,24b両外側直近の軸部材23外周面には、座板25が夫々接合され前記両座板25の上面には凹状を成す一対の着座部26a,26bが固設されている。
尚、前述した部材と同一部材については重複する説明を省略する。
前記ピストン支持治具は、図5に示したように、ピストン6を上昇させる動作でコンロッド7下端の連結部材9から上下部冠17を分離するピストン昇降治具20と、前記連結部材を所定高さ位置に保持する連接棒支持治具40とから構成されている。
前記連接棒支持治具40を取付ける際は、ピストン6は未だピストン昇降治具20により保持された状態になっている。
すなわち、前述したピストン昇降治具20は、アクチュエータ28の作動により点検の対象に係るピストン6を上昇させて予め締結が解除された上下部冠17から連結部材9を分離するもので、両者を分離した後は上方に一時保持された状態となっている。
この状態で上下部冠17を上部冠17aと下部冠17bとに分離することが可能となるので、クランクピン2aの外周から取外すことができるが、エンジン内部の狭い空間での分離作業を容易にするために次に述べる連接棒支持治具40が使用される。
そこで、連接棒支持治具40は、前記取着部42の天板43をフレーム12の下面に当接した前記天板43と押え板50との間で前記フレーム12を、締結ボルト55を介して挟持した状態で保持される。
図7(a)、(b)は、ピストン昇降治具20により上昇位置に保持した状態で連結部材9から上下部冠17を分離する操作説明図、図8(a)、(b)は、ピストン昇降治具20に代えて連接棒支持治具40により連結部材9を係合保持した状態で上下部冠17を開放する状態を示す操作説明図である。
図7(a)において、先ず、連結部材9に上下部冠17を締結している締結ボルト19を緩めて、前記上下部冠17から締結ボルト19を引き抜いた状態でピストン昇降治具20を作動させる。
この状態で、先ずカム箱10aの下方に設けた大型の作業窓よりピストン昇降治具20の一部である受け部材22(図5参照)を手作業にてエンジン本体3の内部に挿入し、受け部材22を構成する軸部材23両端を前記係止凹部18間に支持すると同時に、
円板状の規制板24a,24bを隣接する一対のバランスウェイト8の内側面間に接するように外方から挿嵌する。
そこで、前記着座部26aに下端が支持されたアクチュエータ28を作動させて作動ロッド33を上昇移動すると、図7(b)に示すように、ピストンスカート部6a内部に形成されるピストンピン6bのボス6c下面が作動ロッド33先端のピストン保持具35により支持される。
この状態で、ピストン6を所定高さまで上昇することにより、ピストン6に連結されたコンロッド7下端の連結部材9は、クランクピン2aに保持されている上下部冠17から完全に分離される。
そこで、アクチュエータ28を作動させる際に、ニードル流量調整弁を調整することで、前記連結部材9を徐々に緩動下降移動させると、図8(b)に示すように2つの締結孔9a,9bに前記掛止具46a,46bが挿入係合して連結部材9が保持される。その後、前記ピストン昇降治具20はとり外される。
尚、好ましくは、連結部材9を緩動下降移動する際のガイド手段として、図示しない板状または棒状のガイド部材をエンジン内壁に縦方向に傾斜させて支持し、前記連結部材9の外周を滑らせて2つの締結孔9a,9bを掛止具46a,46bに向けて案内することもできる。
このようにして、点検が完成した軸受メタルを組み込んだ上下部冠17は、今迄実施した工程とは逆の工程により再び前記連結部材9に取り付けられると、初期の状態に復元することができる。
これにより、着座部26a,26bが軸部材23を中心として回動自在に支持されているので、着座部26a,26bに下端が挿嵌支持されるアクチュエータの方向性に自由度が得られ、ピストンの位置決め作業を容易に行うことができる。
従って、ピストンスカート部内壁の一部となるボス下面の安定した部位を干渉無く支持することができる。
そこで、エンジン本体3のカム箱10aの底面を構成するフレーム12下面にピストン支持治具40を取付け、前記アクチュエータ28により連結部材9を徐々に緩動下降させると、ピストン支持治具40の掛止具46a,46bが2つの締結孔9a,9bの下端に係合し、連結部材9が前記ピストン支持治具40に保持される。
これにより、コンロッド7に連結されている連結部材9に内装されている軸受メタル60の交換時には、従来のようにピストンをシリンダヘッドから抜き出さずに、エンジン本体3の作業用窓15ないしその下方に設けた大型の作業用窓(図示せず)を通してエンジン内部での作業が可能となり、軸受メタルの点検や交換作業に要する時間を従来の作業時間に比し、大凡1/3に短縮することができる。
このように、ピストン支持治具40は、取着部42の天板43をフレーム12の下面に当接した前記天板43と押え板50との間で前記フレーム12を、締結ボルト55を介して挟持した状態で保持されるので、構造が簡素化されるだけでなく取付け作業を単純化することができる。
2 クランク軸
2a クランクピン
3 エンジン本体
4,5 シリンダ
6 ピストン
6a ピストンスカート部
7 コンロッド(連接棒)
8 バランスウェイト
9 連結部材
9a,9b 連結部材の締結孔
12 フレーム
17 上下部冠
17a 上部冠
17b 下部冠
18 凹部
20 ジャッキ手段(ピストン昇降治具)
22 受け部材
23 軸部材
24 規制部材
24a,24b 規制板
26a,26b 着座部
28 アクチュエータ
33 作動ロッド
35 ピストン保持具
40 ピストン支持手段(連接棒支持治具)
42 取着部
43 天板
46a,46b 掛止具
46a,46b 掛止具
48 支持板
50 押え板
55 締結ボルト(締結具)
60,60a,60b 軸受メタル
Claims (6)
- エンジンのクランクピンを支持する軸受メタルを内装した分割可能な上下部冠を、連接棒下端に締結具を介して連結された連結部材から分離する際に使用される装置において、ピストンを所定位置まで上昇するジャッキ手段と、該ジャッキ手段により上昇したピストンを前記連結部材に係合保持するピストン支持手段とを備えた連接棒の軸受メタル交換装置であって、
前記ジャッキ手段は、クランク軸の回動によって点検対象に係るピストンの軸線方向に位置決めされた一対のバランスウェイトの凹部に支持され軸方向の移動を規制する規制部材を備えた軸部材と該軸部材の外周に設けた着座部とから成る受け部材と、前記着座部に下端部が支持されて作動ロッドを上昇移動するアクチュエータと、前記作動ロッドの先端に装着された状態で前記ピストンスカート部内壁の一部を支持するピストン保持具とを備えることを特徴とする連接棒の軸受メタル交換装置。 - 前記ピストン支持手段は、前記エンジン内部のフレームに締結具を介して取付けられ、前記連結部材に向けて延出する支持板の先端にあって前記連結部材に係合する掛止具を備えることを特徴とする請求項1に記載の連接棒の軸受メタル交換装置。
- 前記ジャッキ手段の受け部材は、丸軸状を成す軸部材の両側に前記一対のバランスウェイトの内側面間に接するように挿嵌される一対の規制板が所定間隔離間して固設されると共に、前記両規制板外側の軸部材外周には、前記アクチュエータ下端を支持する凹状の着座部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の連接棒の軸受メタル交換装置。
- エンジンのクランクピンを支持する軸受メタルが内装された分割可能な上下部冠を、該上下部冠に締結具を介して連結されている連接棒下端の連結部材から分離する手段として、ピストンを所定位置まで上昇するジャッキ手段と、該ジャッキ手段により上昇したピストンをその位置に係合保持するピストン支持手段とを用いて軸受メタルの交換を行う連接棒の軸受メタル交換方法において、
クランク軸を回動させ、バランスウェイトの凹部が点検対象に係るピストンの軸線方向に位置決めされる工程と、
前記ジャッキ手段の軸部材を、前記バランスウェイトの凹部で支持させる工程と、
前記連結部材と上下部冠を連結する締結具を外した状態で、前記ジャッキ手段の前記軸部材外周に設けられた着座部に下端部が支持されたアクチュエータの作動ロッドを上昇移動させ、前記作動ロッド上端のピストン保持具により前記ピストンのスカート内部の一部が支持上昇され、前記連結部材から前記上下部冠を分離する工程と、
前記エンジン内部のフレームに締結具を介して、前記ピストン支持手段を取付ける工程と、
前記作動ロッドを下降させて前記連結部材を前記ピストン支持手段の支持板先端の掛止具に係合保持する工程と、
前記ジャッキ手段を取外し、前記クランクピンに装着された上下部冠を開放して前記軸受メタルを交換する工程と、を有することを特徴とする連接棒の軸受メタル交換方法。 - エンジンのクランクピンを支持する軸受メタルを内装した分割可能な上下部冠を、連接棒下端に締結具を介して連結された連結部材から分離する際に使用される治具において、ピストンを上昇させる動作で連接棒下端の連結部材から上下部冠を分離するピストン昇降治具と、前記連結部材を所定高さ位置に保持する連接棒支持治具とを備えたピストン支持治具であって、
前記ピストン昇降治具は、クランク軸の回動によって点検対象に係るピストンの軸線方向に位置決めされた一対のバランスウェイトの凹部間に支持され軸方向の移動を規制する規制部材を備えた軸部材と該軸部材の外周に設けた着座部とから成る受け部材と、前記着座部に下端部が支持されて作動ロッドを上昇移動するアクチュエータと、前記作動ロッドの先端に装着された状態で前記ピストンのスカート部内部の一部を支持するピストン保持具とを備えることを特徴とするピストン支持治具。 - 前記連接棒支持治具は、前記エンジン内部のフレームに取付けられる断面コ字型の取着部を一端に設け、該取着部から連結部材に向けて延出する支持板の先端上面に前記連結部材の締結孔に係合する掛止具を突設し、前記取着部の天板をフレームの下面に当接した状態で前記フレームを前記天板との間で締結具を介して挟持する押え板とから構成されることを特徴とする請求項5に記載のピストン支持治具。
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