JP5725322B2 - 充填材製造装置 - Google Patents
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Description
ところで、上述した湿式浄化法による空気浄化装置では、汚染空気や浄化に用いる水又は薬液から装置内に微生物が侵入し、さらには繁殖するといった不具合が生じていた。そこで、このような微生物の装置内への侵入、繁殖を防止することを目的とした空気浄化装置が、例えば特許文献1に開示されている。
すなわち、特許文献1では、ステンレス金網と布から製造される充填材が縫製であるので、その作業に手間がかかるという問題があった。
また、ステンレス金網の部材が高価であるうえ、ステンレス製であるので充填材自体の重量が大きく、充填材を保持するための容器などを堅固に製造する必要があり、コストが増大するといった問題があった。
また、メッシュの素材がプラスチックであるので、材料コストの低減を図ることができるうえ、例えばステンレス製のメッシュを用いる場合に比べて軽量となることから、複数の充填材を積層させた充填材ユニットの支持構造を簡略化させることができ、その支持構造のコストを抑えることができる。
図4に示す第1充填材ユニット10Aは、重なり合う垂直波形充填材1A、1Aどうしの間に平面布1Cが介挿されている。つまり、平面布1Cを介すことで、垂直波形充填材1Aの互いの波形の山と山どうし、或いは谷と谷どうしが隙間ない状態で接触することがなくなり、波形によって形成される充填材ユニット10の厚さ方向に連通する多数の隙間(空気の流路)が確保され、また比表面積が増大された構成となっている。
図5に示すように、第2充填材ユニット10Bは、前記平面布1Cを配せずに、重なり合う斜向波形充填材1B、1Bどうしのそれぞれ波形の向きが互い違いになるようにして配置されている。第2充填材ユニット10Bにおいても、互いの波形の山と山どうし、或いは谷と谷どうしが隙間ない状態で接触しないので、厚さ方向に連通する多数の隙間が確保され、また比表面積が増大された構成となっている。
なお、充填材1の波形の高さを6mmとしたとき、第1充填材ユニット10Aの場合で比表面積が720m2/m3程度となり、第2充填材ユニット10Bの場合で比表面積は500m2/m3程度となる。
図6に示すように、折曲装置2は、周面が周方向に沿って波形に形成されるとともに、上下方向に僅かな隙間を開けてそれぞれが中心軸線を中心に回転可能に設けられた一対の波目ロール21、22と、それら波目ロール21、22の間に布地11とプラスチックメッシュ12を重ねた状態で送り込む図示しない送出部と、各波目ロール21、22に設けられたヒータ23、24と、一対の波目ロール21、22間から送出される充填材1を冷却するための第1冷却ノズル25(第1冷却部)と、上側波目ロール21の周面を冷却するための第2冷却ノズル26(第2冷却部)とを備えて概略構成されている。
図6に示すように、親水性の布地11とプラスチックメッシュ12とが重ね合わされた充填材1は、布地11とプラスチックメッシュ12を融着により一体化させる融着工程と、融着された充填材1に波形を形成する折曲げ加工工程とにより製造される。
すなわち、プラスチックメッシュ12上に布地11を重ねた状態で、互いに逆回転するとともにヒータ23、24によって所定温度に加熱された一対の波目ロール21、22間の圧着部Pに送り込む。そうすると、布地11とプラスチックメッシュ12は、各波目ロール21、22の波形部21a、22aの噛合によって波形が形成されるとともに融着される。
洗浄部4は、一般的に用いられているものと同様の筒型塔形状の外殻体41に覆われており、その外殻体41の下方より取り込んだ汚染空気E1を外殻体41の天端の開口部41aに向けて通過させている。その開口部41aは、洗浄部4で浄化された浄化空気E2をクリーンルームに排出する排気ファン32と連通している。
デミスタ42は、一般に微細な液滴の発生を伴う処理ガス中の液滴を除去する部材として用いられるものであり、例えばステンレス繊維やガラス繊維等を網目状に重ねたり、ポリプロピレン繊維等をろ布状に織る等の加工を施すことにより成形されている。
また、メッシュの素材がプラスチックであるので、材料コストの低減を図ることができるうえ、例えばステンレス製のメッシュを用いる場合に比べて軽量となることから、複数の充填材1、1、…を積層させた充填材ユニット10の支持構造(すなわち、ユニットケース13)を簡略化させることができ、その支持構造のコストを抑えることができる。
ポリエステル布(布地)とポリプロピレンメッシュ(プラスチックメッシュ)を融着させて垂直波形充填材を製造し、これら充填材を多数重ねて充填材ユニットを形成し、この充填材ユニットに図7に示す空気浄化装置を用いて、悪臭物質である酢酸を除去した一例を示す。
図5に示す折曲装置を用いて、ポリエステル布およびポリプロピレンメッシュ(以下、PPメッシュという)の両者の一端をアイロンで融着させ、その融着させた一端を上部波目ロールと下部波目ロールとが噛合する圧着部に向けて送出した。これにより、ポリエステル布とPPメッシュの送出方向で前側のみが揃った状態であり、材質が異なり温度膨張率の異なるポリエステル布とPPメッシュとを融着させて折り曲げても、圧着部より下流側ではポリエステル布とPPメッシュが接着されていないので、両ロールの波形に一致して深く湾曲する波形を形成することができた。つまり、圧着部での融着によりPPメッシュは収縮するが、その影響を受けることなく、連続的に深い波形で折り曲げることができることが確認できた。
上記製造した充填材は約300mm四方であり、図4に示すように充填材どうしの間に平面布を介挿させて充填材ユニットを作成し、このユニットを図7に示すように三段重ねとして、上下に隣接する充填材ユニットどうしが平面視で90度だけ設置角度をずらして配置した。
図7に示す空気浄化装置の洗浄部の運転条件は、外殻体の内径が300mm角であり、排ガス量が6.3〜7.8m3/分、塔内(外殻体内)風速が1.2〜1.5m/秒、薬剤の散水量が1〜4リットル/分、液ガス比が0.1〜0.5リットル/m3とした。なお、散水は、清浄な水道水を液ガス比に相当する全量を散水し、循環水の散水は行っていない。また、酢酸の入口濃度を10〜500mg/m3とした。
この条件での酢酸の除去率は、90%以上となり、さらに液ガス比が0.3リットル/m3以上では99%以上となり、出口空気の臭いがほぼ無くなることが確認できた。そして、充填材の圧力損失は、塔内風速1.2m/秒では100Paとなり、1.5m/秒では200Paとなった。
つまり、実施例の充填材では、比較例の充填材に比べて液ガス比が小さいにもかかわらず、高い除去率が得られることがわかった。これは実施例の充填材の比表面積が720m2/m3であり、これにより気液接触効率が上がるとともに、空気抵抗は少なく低圧損であった。なお、通常の洗浄部では、液ガス比が2リットル/m3以上で運転されるが、本実施例による洗浄部では液ガス比が0.5リットル/m3であり、略1/4のポンプ動力で高い除去率が得られることが確認できた。
次に、実施例2では、布地の材質にビニロンを採用した一例を示す。
ビニロン布とPPメッシュを融着により一体化した充填材を、上述した実施例1と同様の条件(上側波目ロール温度80℃、下側波目ロール温度170℃)により製造した。
この充填材を図5に示す洗浄部に充填高さ300mmだけに充填し、排ガス量6.3〜9.5m3/分、塔内風速1.2〜1.9m/秒、散水量1.4〜4リットル/分、液ガス比が0.4〜0.5リットル/m3、酢酸の入口濃度を10〜20mg/m3の条件で除去実験を行った。その結果、酢酸除去率は、91〜93%であった。
これにより、実施例2では、充填材の高さが比較例の略1/3でありながら同等の除去率に達していることが確認できることから、充填材の厚さを小さくすることができ、部材のコストを低減することができる。
例えば、布地11とプラスチックメッシュ12の材質は上述した実施の形態の条件を満たすものであればとくに限定されることはない。なお、布地11とプラスチックメッシュ12とがポリプロピレン(PP)で同一素材からなる場合には、膨張率と溶融点も同じとなるので、折曲装置を用いた融着が困難になる。この場合、例えば、PPメッシュの上にPP布をおき、はんだコテで例えば30mm間隔で点融着して予め一体化した平面布を作成し、その平面布を折曲装置で加熱させずに折曲げることで十分な深さの充填材を製造することができる。
さらにまた、上側波目ロール21または下側波目ロール22の片側に自動回転用のモーターをギヤを介して接続することにより、折曲加工を自動化することができる。
1A 垂直波形充填材(第1充填材)
1B 斜向波形充填材(第2充填材)
2 折曲装置(充填材製造装置)
3 空気浄化装置
4 洗浄部
10、101、102、103 充填材ユニット
10A 第1充填材ユニット
10B 第2充填材ユニット
11 布地
12 プラスチックメッシュ
13 ユニットケース
21 上側波目ロール
22 下側波目ロール
23、24 ヒータ
25 第1冷却ノズル(第1冷却部)
26 第2冷却ノズル(第2冷却部)
27 温度センサー
28 温度コントローラ
41 外殻体
43 散水ノズル
E1 汚染空気
E2 浄化空気
P 圧着部
T 薬剤
Claims (1)
- クリーンルーム内の汚染空気中に存在する汚染物質を液剤に接触させて除去するための空気浄化装置の洗浄部に積層させた状態で配置され、親水性を有する布地とプラスチックメッシュとからなる充填材の製造装置であって、
周面に周方向に沿って波形が形成され、それぞれが中心軸線中心にして回転可能に設けられるとともに、互いの波形どうしを噛合させた一対の波目ロールと、
前記一対の波目ロールのそれぞれの波形どうしが噛合する圧着部に、前記布地およびプラスチックメッシュを重ね合わせた状態で送り込む送出部と、
一対の前記波目ロールを加熱するためのヒータと、
前記布地とプラスチックメッシュとの送出方向の前記圧着部の下流位置で、前記布地に融着した前記プラスチックメッシュを冷却する第1冷却部と、
前記プラスチックメッシュに接する側の波目ロールを冷却する第2冷却部と、
一対の前記波目ロールの温度を調整する温度コントローラと、
を備え、
前記布地に接する側の波目ロールの温度は、前記圧着部において、前記プラスチックメッシュの溶融温度より高く、且つ前記プラスチックメッシュに接する側の波目ロールの温度より高く設定されていることを特徴とする充填材製造装置。
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