以下、発明の第1の実施の形態例を図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2の内側に収容された遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、前面枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、前面枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7等を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。
また、図3に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、主制御処理部(遊技制御処理手段)11と、副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fと、発射制御処理部13と、賞球払出装置14等を備えている。続いて、図1〜図4を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
遊技盤3は、その盤面に遊技領域31を有しており、前面枠2に装着した後、ガラス板10から遊技領域31を観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、特別図柄表示装置17と、演出表示装置34と、スルーチャッカ(特定領域)21と、普通図柄表示装置22と、電動チューリップ49と、ステージ36と、第1始動入賞口(特定領域)37aおよび第2始動入賞口(特定領域)37bと、一般入賞口(特定領域)38と、アウト口39と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、アタッカー装置41等が設けられている。なお、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bとは上下方向に間隔を空けて設けられている。
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、第1始動入賞口37aおよび第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置17に変動表示される特別図柄と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。
また、特別図柄表示装置17は、第1始動入賞口37aおよび第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものであって、より具体的には、抽選結果を、特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示するものである。この特別図柄表示装置17は、本実施形態では7セグメント表示器が用いられており、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。また、第1始動入賞口37aおよび第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合には、所定個数の賞球が払い出されるようになっている。
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選の結果を表示するための普通図柄表示装置22が、特別図柄表示装置17の隣に設けられている。この普通図柄表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普図当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。なお、スルーチャッカ21を遊技球が通過しても、賞球の払い出しはない。
電動チューリップ49は、第2始動入賞口37bの入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、第2始動入賞口37bの入口を拡大するようになっている。そして、電動チューリップ49が開放されない限り、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することはない。
また、ステージ36は、演出表示装置34の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ36の中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には第1始動入賞口37aが配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で第1始動入賞口37aへと導かれる。なお、ステージ36には、電磁波を検知する電磁波検知センサ(電磁波検知手段)47が埋め込まれている。この電磁波検知センサ47は、大玉ゴトのような不正行為の際に使用されるであろうと想定される特定波長域の電磁波を検知することが可能な性能を有している。電磁波検知センサ47は、特定波長域の電磁波を検知した場合には、電磁波検知信号を主制御処理部11に出力するようになっている。
アタッカー装置41は、第1始動入賞口37aおよび第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、特図当たり(大当たり)となって大当たり遊技に移行した場合に所定回数だけ開放される装置である。このアタッカー装置41は、水平な軸を中心として前後方向に開閉する板状の蓋部材を備えており、図示しないソレノイドを駆動することにより蓋部材が水平軸回りに回動する構成となっている。そして、蓋部材が開いた状態では遊技領域31の下部に設けられた大入賞口42が露呈され、その大入賞口42に遊技球を入賞させることができる構成となっている。
また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、およびアタッカー装置41に入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、大入賞口42の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するための第1始動入賞口検知センサ43a、第2始動入賞口検知センサ43b、一般入賞口検知センサ44、大入賞口検知センサ45(図4参照)が設けられており、遊技球の通過を検知すると、各センサ43a,43b,44,45は、主制御処理部11に遊技球検知信号を出力するようになっている。なお、上記したスルーチャッカ検知センサ46、第1始動入賞口検知センサ43a、第2始動入賞口検知センサ43b、および一般入賞口検知センサ44は、本発明の遊技球検知手段に相当する。
前面ボード6には、遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球払出装置14から賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が前面枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。また、図1に示すように、受皿5の側部には、遊技者が押下操作するタッチボタン60が設けられている。
主制御処理部11は、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御処理部11は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等とにより構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
具体的には、図4に示すように、始動入賞口37a、37bに遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行う特別図柄抽選処理部110と、特別図柄抽選処理部110による抽選結果の判定が特図当たり(大当たり)となった場合にアタッカー装置41(のソレノイド)を作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部160と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選処理部170と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180と、賞球の払い出し指令を行う賞球払出指令部120と、その他の各種制御処理部を備えて主制御処理部11は構成されている。
特別図柄抽選処理部110は、図示しないが、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力されるクロック信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄用乱数発生部と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る抽選を行うための第1特別図柄抽選部と、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る抽選を行うための第2特別図柄抽選部とを備えて構成されている。
大当たり遊技制御部160は、特別図柄抽選処理部110による電子抽選の結果が特図当たりとなった場合に、アタッカー装置41を作動して、大当たり遊技を提供するためのものである。本実施形態の大当たり遊技は、ラウンド遊技が13回または15回連続して連続して行なわれる構成となっている。ここで、ラウンド遊技とは、アタッカー装置41が少なくとも1回開閉し、アタッカー装置41の開放中に大入賞口42に遊技球が所定個数(9個)入賞するか、ラウンド遊技の開始から所定時間(30秒)経過するかの何れかの終了条件が成立すると終了となる遊技である。
普通図柄抽選処理部170は、図示しないが、普通図柄用の乱数を発生させる普通図柄用乱数発生部171と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選部177とを備えて構成されている。
電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄抽選処理部170による電子抽選で普図当たりに当選した旨のコマンドに基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。
続いて、主制御処理部11からの指令(コマンド)を受けて各種装置を制御する副制御処理部について説明する。副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fは、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられており、主制御処理部11が生成した処理情報に従って、演出表示装置34やスピーカ20、その他の演出装置(LED装置など)などの制御を行う装置である。
演出制御処理部12aは、図示しないが、主制御処理部11から所定の変動パターンコマンドを受信すると、その変動パターンコマンドに基づいて所定の演出パターンを演出表示装置34に表示するよう演出の制御を行っている。
払出制御処理部12eは、CRユニットからの信号を受けて遊技球を遊技者に貸し出すように賞球払出装置14を制御する他、主制御処理部11の賞球払出指令部120からの払出指令を受けて、所定個数の賞球を遊技者に対して払い出すように賞球払出装置14を制御する。この賞球払出装置14は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示せず)と、このスプロケットを回転させるモータ(図示せず)とを備えて構成されている。そして、モータの回転を制御することにより、必要な数だけ賞球を払い出すことができるようになっている。具体的には、始動入賞口検知センサ43a、43b、一般入賞口検知センサ44、大入賞口検知センサ45等が遊技球の通過を検知したら、賞球払出装置14は主制御処理部11を経由して受けたコマンドに基づき遊技球を払い出す。
発射制御処理部13は、ハンドル7の回動量に応じて、発射装置9に対する作動の制御を行う装置である。より具体的に言うと、発射装置9に対して通電させたり、通電を停止したり、あるいは、通電電流を変化させるといった制御処理を行う。なお、この発射制御処理部13は、払出制御処理部12eと接続されており、CRユニットが接続されていない場合に発射停止信号が受信されるようになっている。
次に、賞球払出指令部120が行う処理について説明する。賞球払出指令部120は、4ミリ秒毎に周期的に発生するクロック信号(割り込み信号)毎に、前回のクロック信号入力時と今回のクロック信号入力時とを比較して、第1始動入賞口検知センサ43a、第2始動入賞口検知センサ43b、および一般入賞口検知センサ44のそれぞれ入力された遊技球検知信号のオンエッジが生成されたか否かを判定し、オンエッジが検出された場合に、払出制御処理部12eに賞球払出指令を出力している。
詳しくは、図5に示すように、4ミリ秒毎のクロック信号が主制御処理部11に入力されると入力状態設定処理が開始され、賞球払出指令部120は、まず、ステップS1において、現在の各検知センサ43a,43b,44の状態を今回の入力判定値としてセットする。具体的には、各検知センサ43a,43b,44からオン信号(遊技球検知信号)が入力されている場合には、賞球払出指令部120は、今回の入力判定値を1にセットし、各検知センサ43a,43b,44からオン信号が入力されていない場合には、賞球払出指令部120は、今回の入力判定値を0にセットする。
次いで、ステップS2において、賞球払出指令部120は、電磁波検知センサ47の入力をチェックする。次いで、ステップS3において、賞球払出指令部120は、電磁波検知センサ47のONを検知したか否かを判断する。つまり、ステップS3において、賞球払出指令部120は、電磁波検知センサ47からオン信号(電磁波検知信号)が入力されたか否かを判断する。
ステップS3でYesと判断された場合には、賞球払出指令部120のエッジ生成防止処理部(エッジ生成防止手段)121は、今回の入力判定値を前回の入力判定値に書き換える処理を行う。具体的には、エッジ生成防止処理部121は、前回の入力判定値が0であった場合には今回の入力判定値を強制的に0に書き換え、前回の入力判定値が1であった場合には今回の入力判定値を強制的に1に書き換える。そのため、電磁波が検知された場合には、このステップS4の処理によって、前回の入力判定値と今回の入力判定値が常に同じとなる。言い換えると、ステップS4の処理を行うことにより、遊技球検知信号のオンエッジが生成されることはないのである。なお、ステップS3でNoと判断された場合には、ステップS4を飛ばしてステップS5に進む。
次いで、ステップS5において、賞球払出指令部120は、オンエッジ検出処理を行う。なお、このオンエッジ検出処理の詳細は、後ほど説明する。次いで、ステップS6において、賞球払出指令部120は、次回のクロック信号入力時の処理のために、今回の入力判定値を前回の入力判定値としてRAMにセーブする。そして、今回のクロック信号入力時における賞球払出指令部120の入力状態設定処理が終了する。
続いて、ステップS5で行われるオンエッジ検出処理の詳細について、図6を参照しながら説明する。オンエッジ検出処理では、まず、ステップS11において、賞球払出指令部120は、前回の入力判定値をロードする。そして、ステップS12に進んで、賞球払出指令部120は、前回の入力判定値をビット反転させる。具体的には、賞球払出指令部120は、前回の入力判定値が0であれば1にビットを反転させ、1であれば0に反転させる。そして、ステップS13に進んで、賞球払出指令部120は、反転した前回の入力判定値と今回の入力判定値との論理積からオンエッジを検出する。
例えば、今回のクロック信号入力時に一般入賞口38に遊技球が入賞したような場合には、前回の入力判定値が0で今回の入力判定値が1となるので、前回の入力判定値をビット反転させると1となり、反転した前回の入力判定値1と今回の入力判定値1の論理積は1となるので、この場合にオンエッジが検出されることとなる。それ以外の場合、論理積は0となるので、オンエッジが検出されることはない。
次いで、賞球払出指令部120は、ステップS14に進んで、オンエッジ検出マスクデータと論理積し、さらに、ステップS15にてオンエッジ検出フラグにセーブする。そして、検出されたオンエッジに基づいて、賞球払出指令部120は、払出制御処理部12eに所定個数の賞球を払い出す旨の指令を発信し、オンエッジ検出処理は終了する。
ここで、一般入賞口38に正規の遊技球よりやや直径の大きい大玉を詰めた後に電磁波を照射する大玉ゴトが行われた場合に、賞球の払い出しがどのタイミングで行われるかについて、図7〜図10に示すタイムチャートを用いて説明する。
第1の実施の形態例に係るパチンコ機が大玉ゴトの被害を受けないことを説明するために、まず、従来のパチンコ機に対して大玉ゴトが行われた場合の、賞球の払い出しについて図7を用いて説明する。従来のパチンコ機では、(S1)のタイミングで、一般入賞口38に大玉が詰められると、一般入賞口検知センサ44は、遊技球が通過したと誤認識して、オン信号(遊技球検知信号)を賞球払出指令部120に出力する。賞球払出指令部120は、(t1)のタイミングで今回の入力判定値を1にセットすると共に、オンエッジが検出されたので、賞球払出指令を(t1)のタイミングで払出制御処理部12eに発信する。この賞球払出指令を受けた払出制御処理部12eは、賞球払出装置14を作動させて、所定個数の賞球を払い出すよう制御する。
その後、(D1)のタイミングで電磁波が照射されると、電磁波検知センサ47が電磁波を検知し、賞球払出指令部120にオン信号(電磁波検知信号)を出力する。電磁波検知センサ47からオン信号が入力されると、賞球払出指令部120は、一般入賞口検知センサ44からのオン信号がなくなったと誤認識し、入力判定値を0にセットする。しばらく電磁波が照射され、(D2)のタイミングで電磁波の照射が停止されると、一般入賞口検知センサ44は大玉を遊技球と間違えてオン信号を常に賞球払出指令部120に出力しているので、賞球払出指令部120は、(t2)のタイミングで入力判定値を1にセットする。すると、(t2)のタイミングで、入力判定値が0から1に立ち上がってオンエッジが生成されたため、賞球払出指令部120は、そのオンエッジに基づいて、賞球払出指令を払出制御処理部12eに発信し、この賞球払出指令を受けた払出制御処理部12eは、賞球払出装置14を作動させて、所定個数の賞球を払い出すこととなる。
同様に、(D3)のタイミングで再び電磁波が照射されると、賞球払出指令部120は、誤動作して入力判定値を0にセットし、(D4)のタイミングで電磁波の照射が停止されると、賞球払出指令部120は、入力判定値を1にセットする。そのため、(t3)のタイミングで再び賞球が払い出されてしまう。このように、従来のパチンコ機では、たとえ電磁波検知センサ47を設けたとしても、電磁波を検知しないタイミング(電磁波検知センサ47がオフとなったとき)で不正に賞球が払い出されていた。
これに対して、第1の実施の形態例に係るパチンコ機では、エッジ生成防止処理部121が入力判定値の書き換えを行うことにより、かかる不正な賞球の払い出しが行われることはない。このことは、図8〜図10を見れば明らかである。
例えば、図8では、(S1)のタイミングで一般入賞口38に大玉が入って一般入賞口検知センサ44からオン信号が賞球払出指令部120に入力されると、さすがに賞球払出指令部120は、そのオン信号が正規の遊技球に基づくものであるか、あるいは大玉に基づくものであるかを判断することはできないので、入賞判定値を1にセットし、(t1)のタイミングで賞球が払い出される。
しかし、その後、電磁波が照射されても、電磁波検知センサ47のオン信号が入力されている間、即ち、(D1)から(D2)の間は、エッジ生成防止処理部121が、今回の入力判定値の値を前回の入力判定値の値に書き換える処理(ステップS4参照)を行っているので、入力判定値の値は常に1のままとなる。つまり、電磁波が照射される(D1)の直前が入力判定値1であり、電磁波が照射されている間は、今回の入力判定値が常に前回の入力判定値1に書き換えられるので、(D1)から(D2)の間、入力判定値が1から0に立ち下がることはない(オフエッジが生成されることはない)。オフエッジが生成されることがないということは、オンエッジも当然に生成されない。よって、第1の実施の形態例に係るパチンコ機によれば、大玉が一般入賞口38に詰められたときに1回払い出される賞球は仕方ないとしても、それ以降の大玉ゴトによる賞球の払い出しを防ぐことができる。
また、図9の例では、一般入賞口38に大玉が入る(S1)のタイミングより前の(D1)のタイミングから電磁波が照射されているので、電磁波検知センサ47のオン信号が入力されている(D1)から(D2)の間は、エッジ生成防止処理部121が、今回の入力判定値の値を前回の入力判定値の値に書き換える処理(ステップS4参照)を行う。よって、入力判定値の値は常に0のままとなる。つまり、電磁波が照射される(D1)の直前が入力判定値0であり、電磁波が照射されている間は、今回の入力判定値が常に前回の入力判定値0に書き換えられるので、(D1)から(D2)の間、入力判定値が0から1に立ち下がることはない(オンエッジが生成されることはない)。
(D2)のタイミングで電磁波の照射が停止されると、一般入賞口38には大玉が入っているので、一般入賞口検知センサ44からオン信号が賞球払出指令部120に入力される。すると、賞球払出指令部120は、そのオン信号が正規の遊技球に基づくものであるか、あるいは大玉に基づくものであるかを判断することはできないので、入賞判定値を1にセットし、(t1)のタイミングで賞球が払い出される。しかし、その後、(D3)のタイミングで電磁波が照射されたとしても、(D3)から(D4)の間は、エッジ生成防止処理部121により、今回の入力判定値の値を前回の入力判定値の値に書き換える処理が行われるため、入力判定値は1に維持される。よって、(D3)以降において、電磁波の照射および停止を繰り返したとしても、オンエッジが生成されることはないから、賞球が不正に払い出されることはない。
また、図10に示す例では、一般入賞口38に大玉が入る(S1)のタイミングより前である(D1)のタイミングで電磁波が照射され、一般入賞口38から大玉が取り除かれて一般入賞口検知センサ44の検知信号がオフ信号になるより後のタイミングである(D2)まで電磁波の照射が継続されている状態が示されている。この例では、電磁波検知センサがオン状態となっている間、即ち、(D1)から(D2)までの間は、エッジ生成防止処理部121が、今回の入力判定値の値を前回の入力判定値の値に書き換える処理を行う(ステップS4参照)。よって、入力判定値の値は常に0のままとなる。つまり、電磁波が照射される(D1)の直前が入力判定値0であり、電磁波が照射されている間は、今回の入力判定値が常に前回の入力判定値0に書き換えられるので、(D1)から(D2)の間、入力判定値が0から1に立ち下がることはない(オンエッジが生成されることはない)。そのため、この例の場合は、(D1)から(D2)の間、賞球が払い出されることはない。
以上、説明した通り、第1の実施の形態例に係るパチンコ機によれば、エッジ生成防止処理部121が、電磁波検知センサ47のオン信号が入力されている間は、入力判定値を前回の入力判定値に書き換える処理を行っているので、電磁波の照射/停止を繰り返したとしても、不正な賞球の払い出しは1回に抑えられる。よって、大玉ゴトのような不正行為が行われても、賞球払出指令部120が誤動作して多くの賞球を払い出すといった事態は生じない。加えて、大玉が取り除かれ、電磁波の照射が行われていない正常な状態であれば、賞球払出指令部120は、そのまま正常な払い出しの制御を行うことができるため、使い勝手が不便なものとはならない。
次に、本発明の第2の実施の形態例に係るパチンコ機について図11〜図15を参照しながら説明する。第2の実施の形態例に係るパチンコ機は、上記した第1の実施の形態例に係るパチンコ機と比べて、賞球払出指令部120が行う処理が異なっている。そこで、以下では、この賞球払出指令部120が行う処理の違いについて説明することとし、第1の実施の形態例と同じ構成の部分については、その説明は省略することとする。
第2の実施の形態例において、賞球払出指令部120は、4ミリ秒毎に周期的に発生するクロック信号(割り込み信号)毎に、前回のクロック信号入力時と今回のクロック信号入力時とを比較して、第1始動入賞口検知センサ43a、第2始動入賞口検知センサ43b、および一般入賞口検知センサ44のそれぞれ入力された遊技球検知信号のオンエッジが生成されたか否かを判定し、オンエッジが検出された場合に、払出制御処理部12eに賞球払出指令を出力している。
詳しくは、図11に示すように、4ミリ秒毎のクロック信号が主制御処理部11に入力されると入力状態設定処理が開始され、賞球払出指令部120は、まず、ステップS101において、現在の各検知センサ43a,43b,44の状態を今回の入力判定値としてセットする。具体的には、各検知センサ43a,43b,44からオン信号(遊技球検知信号)が入力されている場合には、賞球払出指令部120は、今回の入力判定値を1にセットし、各検知センサ43a,43b,44からオン信号が入力されていない場合には、賞球払出指令部120は、今回の入力判定値を0にセットする。
次いで、ステップS102において、賞球払出指令部120は、オンエッジ検出処理を行う。なお、このオンエッジ検出処理の詳細は、後ほど説明する。次いで、ステップS103において、賞球払出指令部120は、次回のクロック信号入力時の処理のために、今回の入力判定値を前回の入力判定値としてRAMにセーブする。そして、今回のクロック信号入力時における賞球払出指令部120の入力状態設定処理が終了する。
続いて、ステップS102で行われるオンエッジ検出処理の詳細について、図12を参照しながら説明する。オンエッジ検出処理では、まず、ステップS111において、賞球払出指令部120は、オンエッジ無効フラグが1にセットされているか否かを判断する。ステップS111でNoの場合には、ステップS112に進んで、賞球払出指令部120は、前回の入力判定値をロードする。そして、ステップS113に進んで、賞球払出指令部120は、前回の入力判定値をビット反転させる。具体的には、賞球払出指令部120は、前回の入力判定値が0であれば1にビットを反転させ、1であれば0に反転させる。そして、ステップS114に進んで、賞球払出指令部120は、反転した前回の入力判定値と今回の入力判定値との論理積からオンエッジを検出する。
例えば、今回のクロック信号入力時に一般入賞口38に遊技球が入賞したような場合には、前回の入力判定値が0で今回の入力判定値が1となるので、前回の入力判定値をビット反転させると1となり、反転した前回の入力判定値1と今回の入力判定値1の論理積は1となるので、この場合にオンエッジが検出されることとなる。それ以外の場合、論理積は0となるので、オンエッジが検出されることはない。
次いで、賞球払出指令部120は、ステップS115に進んで、オンエッジ検出マスクデータと論理積し、さらに、ステップS116にてオンエッジ検出フラグにセーブする。そして、検出されたオンエッジに基づいて、賞球払出指令部120は、払出制御処理部12eに所定個数の賞球を払い出す旨の指令を発信する。なお、ステップS111でYesの場合には、ステップS112〜S116の処理を行うことなく、ステップS117にジャンプする。
次いで、ステップS117において、賞球払出指令部120は、電磁波検知センサ47の入力をチェックする。次いで、ステップS118において、賞球払出指令部120は、電磁波検知センサ47のONを検知したか否かを判断する。つまり、ステップS118において、賞球払出指令部120は、電磁波検知センサ47からオン信号(電磁波検知信号)が入力されたか否かを判断する。
ステップS118でYesと判断された場合には、賞球払出指令部120のエッジ生成防止処理部(エッジ生成防止手段)121は、ステップS119において、オンエッジ無効フラグを1にセットする。一方、ステップS118でNoと判断された場合には、オンエッジ無効フラグを0にセットする。そして、オンエッジ検出処理は終了する。
このように、第2の実施の形態例では、電磁波検知センサ47からオン信号が入力されている場合には、エッジ生成防止処理部121によりオンエッジ無効フラグが1にセットされる(ステップS119)ため、その次のクロック信号の入力に基づいて行われるオンエッジ検出処理では、ステップS111にてYesと判断され、ステップS112〜ステップS116の処理が行われることはない。よって、オンエッジが検出されることはないのである。
次に、第2の実施の形態例に係るパチンコ機が、大玉ゴトの被害を受けないことを図13〜図15を参照しながら説明するが、従来のパチンコ機に対して大玉ゴトが行われた場合に、いかにして賞球が不正に払い出されるかについては、図7を用いて先に述べた通りである。
例えば、図13では、(S1)のタイミングで一般入賞口38に大玉が入って一般入賞口検知センサ44からオン信号が賞球払出指令部120に入力されると、さすがに賞球払出指令部120は、そのオン信号が正規の遊技球に基づくものであるか、あるいは大玉に基づくものであるかを判断することはできないので、入賞判定値を1にセットする(ステップS101参照)。そして、オンエッジ検出処理(ステップS111〜S116参照)が行われる。図13に示すように、(S1)のタイミングの前の状態は、入力判定値が0であり、電磁波検知センサ47もオフとなっているので、前回の入力判定値0と今回の入力判定値1とから、オンエッジ検出処理によってオンエッジの判定結果がオンとなる。そして、オンネジ判定結果がオンとなった(J1)のタイミングで賞球が払い出される。
その後、電磁波が照射されると、賞球払出指令部120は、その電磁波により誤動作して入力判定値を0にセットする。つまり、電磁波検知センサ47のオン信号が入力されている間、即ち、(D1)から(D2)の間は、一般入賞口検知センサ44からオン信号が入力されているにも拘わらず、賞球払出指令部120は入力判定値を0にセットする。なお、電磁波検知センサ47がオンを検知している間は、オンエッジ生成防止処理部121がオンエッジ無効フラグを1にセットしている(ステップS119参照)ため、オンエッジ検出処理においてステップS112〜S116に係る処理が行われることはない。
そして、(D2)のタイミングで電磁波の照射が停止されると、一般入賞口検知センサ44からはオン信号が入力されているので、賞球払出指令部120は、入力判定値を1にセットする。すると、(D2)のタイミングの前後では、入力判定値が0から1へと変化しているため、本来であれば、オンエッジが生成されるはずである。しかし、第2の実施の形態例では、(D2)の直前のクロック信号入力のタイミングでは電磁波検知センサ47からオン信号が入力されているので、エッジ生成防止処理部121により、オンエッジ無効フラグが1にセットされている(ステップS119参照)。そのため、(D2)の直後のクロック信号入力のタイミングでは、図12に示すオンエッジ検出処理のステップS112〜S116までの処理が実行されない。そのため、(D2)のタイミングでオンエッジ判定結果がオンになることなく、オンエッジ検出処理が終了し、今回の入力判定値1が前回の入力判定値としてセーブされることとなる(ステップS103参照)。
なお、(D2)の直後のクロック信号入力のタイミングでは電磁波検知センサ47がオフとなっているため、ステップS120において、オンエッジ無効フラグが0にセットされる。そのため、その次のクロック信号入力時には、ステップS111にてNoと判断され、ステップS112〜S116までの処理が行われるが、前回の入力判定値としてセーブされた値が1であり、今回の入力判定値も1であるため、オンエッジが生成されることはない。よって、電磁波の照射が停止されている間、即ち、(D2)から(D3)の間は、一般入賞口検知センサ44からオン信号が入力されていても、賞球が払い出されることはないのである。
また、図14の例では、一般入賞口38に大玉が入る(S1)のタイミングより前の(D1)のタイミングから電磁波が照射されているので、電磁波検知センサ47がオンとなっている(D1)から(D2)の間は、たとえ一般入賞口検知センサ44から(S1)のタイミングでオン信号が入力されたとしても、賞球払出指令部120は誤動作により入力判定値を0にセットする。そして、(D2)のタイミングで電磁波の照射が停止されると、賞球払出指令部120は、(t1)のタイミングで、入力判定値を1にセットする。しかし、(t1)のタイミングの直前の状態において、電磁波検知センサ47はオンとなっているので、上述したようにオンエッジ無効フラグが1にセットされている。よって、(t1)の直後のクロック信号の入力時に行われるオンエッジ検出処理において、オンエッジ判定結果がオンとなることはない。このように、第2の実施の形態例に係るパチンコ機において、一般入賞口38に大玉が入る前から電磁波を照射している場合に、賞球の払い出しが行われることはないのである。
また、図15に示すように、一般入賞口38に大玉を詰まらせる前から電磁波を照射し、大玉を一般入賞口38から取り除いた後まで電磁波を照射しているような場合にも、上述したように、オンエッジの検出が行われることはないため、賞球が不正に払い出されることはない。
以上、説明した通り、第2の実施の形態例に係るパチンコ機によれば、エッジ生成防止処理部121が電磁波検知センサ47のオンを検知すると、ステップS119においてオンエッジ無効フラグを1にセットする処理を行うので、次回のクロック信号入力時に行われる入力状態設定処理において、オンエッジ検出処理のステップS112〜S116の処理が行われることはない。よって、入力判定値が0から1に変化していたとしても、オンエッジが検出されることはない。よって、大玉ゴトのような不正行為が行われても、賞球払出指令部120が誤動作して多くの賞球を払い出すといった事態は生じない。加えて、大玉が取り除かれ、電磁波の照射が行われていない正常な状態になれば、賞球払出指令部120は、そのまま正常な払い出しの制御を行うことができるため、使い勝手が不便なものとはならない。
なお、上記の実施の形態例では、オンエッジに基づいて賞球の払い出しを行うようにし、電磁波が照射された場合にはオンエッジが検出されないような工夫をして、不正に賞球が払い出されることを防止するようにしたが、オフエッジに基づいて賞球の払い出しを行うようにしておき、電磁波が照射された場合には、オフエッジが検出されないような仕組みとしても良い。この場合、上記の実施の形態例のオンエッジをオフエッジに読み替えれば、その構成を実現することができる。
また、上記の実施の形態例に係るパチンコ機は、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、スルーチャッカ21に対して大玉を詰まらせるような不正行為に対しても、同様の効果を奏するものである。例えば、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37bに大玉を詰まらせて電磁波を照射するような不正行為が行われた場合、上記の実施の形態例に係るパチンコ機によれば、不正な賞球の払い出しを防ぐことができると共に、特別図柄に係る抽選が不正に行われることをも防止することができる。また、スルーチャッカ21に大玉を詰まらせて電磁波を照射するような不正行為が行われた場合、上記の実施の形態例に係るパチンコ機によれば、普通図柄に係る抽選が不正に行われることを防止できる。なお、上記の実施の形態例に係るパチンコ機において、電磁波検知センサ47がオン信号を検知した場合に、アラーム音を発するようにしたり、遊技に係る全ての処理を不能とするような工夫を行ったりしても良いことは言うまでもない。