JP5723339B2 - スリーブ挿入機 - Google Patents
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Description
配管の分岐栓接続箇所には、径方向に貫通する分岐孔が分岐工事の現場において穿孔され、この分岐孔を通じて配管内を流通する流体が分岐栓の内部通路へと導入されている。
したがって、この分岐孔の孔縁が管路を流通する流体に接触すると、配管に腐食が発生してしまう。たとえば、流体が水であり配管が水道管としての金属管である場合には、分岐孔周辺に錆が発生し、管路を流通する水にその錆が混入することになる。
防食スリーブは、スリーブ挿入機を用いて、分岐栓の内部通路のうち、配管の径方向へと延びる通路を通じて分岐孔の孔縁に取り付けられる。
使用の際には、ホルダに防食スリーブを被せることで装着し、外筒を分岐栓の配管径方向へと延びる通路の開口に臨む箇所に固定した状態で、内軸を外筒に対してねじ送り等により前進させて通路内に進入させてゆく。内軸の前進にともなって、ホルダが分岐孔に挿入されることで、ホルダに被せられた防食スリーブが分岐孔の孔縁へと取り付けられることになる。
従来は、径の異なる複数種のホルダを準備しておき、使用する防食スリーブの径に応じて、このホルダ全体をスリーブ挿入機の内軸に対して付け替えていたが(特許文献1の図3等参照)、分岐工事の現場でかかる作業をおこなうのは煩わしかった。
ホルダと内軸とが一体化しているため、構造が簡略化されており、従来のようなホルダと内軸とを着脱可能に構成する態様と比較して、スリーブ挿入機全体の製造コストを削減することができる。
スリーブ挿入機10は、図5に示すような、配管21と分岐栓22との接続箇所に穿孔された分岐孔21aの孔縁に対し、分岐栓22の内部通路22aを通じて防食スリーブを取り付ける作業に用いられるものである。そして、径の異なる複数種の防食スリーブ30、40の取り付け作業に好適に対応可能なものである。
このような取り付け作業の際には、その外筒11を分岐栓22の外面に固定し、その内軸12を前進させて分岐栓22の内部通路22aの開口から進入させる使用態様となる。
外筒11の先端(図中下端)は、広がってプラグ11aとなっており、このプラグ11aの開口の内周にねじ山が形成されてねじ部11bとなっている。
また外筒11の後端(図中上端)は、内径のみが縮径し、その内周にねじ山が形成されてねじ部11cとなっている。
さらに外筒11の先端と後端の中間箇所の内周には、シールリングがはめ込まれてシール部11dとなっている。
内軸12の後半部は縮径し、かつその外周にねじ山が形成されてねじ部12aとなっている。このねじ部12aは、外筒11の後端に設けられたねじ部11cへとねじ合わされている。
また内軸12のねじ部12aよりもさらに後端側には、角軸部12bが設けられており、ここに図示省略のハンドルを係合できるようになっている。そのハンドルを回転させると、外筒11と内軸12のねじ部11c、12aがねじ合わされているため、内軸12は外筒11に対してねじ送りされ、軸方向に進退することになる。
なお、内軸12の前半部の外面には、外筒11のシール部11dが接触することで、外筒11と内軸12の間の水密性が確保されている。
ホルダ13は、略円柱形をなしており、内軸12との境界から先端にかけて順に、先端に向かって窄まる第1テーパ部13a、大径部13b、先端に向って窄まる第2テーパ部13c、小径部13dを有する。
またホルダ13には、その先端面から内部にかけて、軸方向に延びるねじ孔13eが設けられている。
ここで図4のように、ホルダ13には、汎用されている防食スリーブのうち、内径が比較的小径のものである、第1の防食スリーブ40を被せて装着できるようになっている。
このようなキャップ14の第1テーパ部14a、大径部14b、第2テーパ部14c、小径部14dの内径および傾斜角度は、ホルダ13の第1テーパ部13a、大径部13b、第2テーパ部13c、小径部13dの外径および傾斜角度にそれぞれ対応している。そのため、キャップ14はホルダ13に対してほぼ隙間なく外嵌できるようになっている。
またキャップ14の先端面には、円孔である通孔14eが設けられており、キャップ14をホルダ13に外嵌した状態で、この通孔14eはホルダ13のねじ孔13eと合致するようになっている。
さらに図3のように、キャップ14には、汎用されている防食スリーブのうち、内径が比較的大径のものである第2の防食スリーブ30を被せて装着できるようになっている。このことから、キャップ14の厚みが、上記第1の防食スリーブ40と第2の防食スリーブ30の内径差に相当することになる。
ここでキャップ14の材質は特に限定されないが、金属製、合成樹脂製が例示でき、なかでも比較的剛性の高いものが好ましい。
ストッパ15は、ホルダ13にキャップ14が外嵌されている場合には、キャップ14の通孔14eを通じて、またホルダ13にキャップ14が外嵌されていない場合には直接、そのねじ軸15bを取り付け孔13eにねじ込むことで、ホルダ13に対して取り付けられる。
ここでストッパ15の本体15aの径は、第1および第2の防食スリーブ30、40の内径や、キャップ14の通孔14eの孔径よりも大きくなっている。したがってストッパ15によって、防食スリーブ30、40やキャップ14がホルダ13から抜け落ちるのが防止される。
図示のように、配管21には、径方向に貫通する分岐孔21aが設けられており、分岐栓22には、T字型の内部通路22aが設けられている。これらは、配管21の分岐孔21aに対して、分岐栓22の内部通路22aのうちの直線状の箇所が正対するように、サドル23を介して接続されている。この状態で、分岐栓22の内部通路22aのうちの直線状の箇所の延出方向は、配管21の径方向と一致する。
このため分岐栓22の内部通路22aには、分岐孔21aを通じて配管21から流体が導入されるようになっている。
またT字型の内部通路22aは、分岐栓22の上面および側面において開口し、上面の開口箇所の外周にはねじ部22bが形成されている。上面の開口は、普段はそのねじ部22bに図示省略のキャップがねじ合わされることで封止されている。
さらにT字型の内部通路22aの分岐箇所には、ボール弁22cが組み込まれており、付属する操作軸22dを操作してこのボール弁22cを回転させることで、内部通路22aの連通状態と遮断状態とを切り替え可能となっている。
図3のように、第2の防食スリーブ30は、軸方向先端側の小径部31と、軸方向後端側の大径部32とからなり、その外周の小径部と大径部との境界には段が形成されている。また、第2の防食スリーブ30の軸方向先端箇所の内周は窄まって狭窄部33となっている。
ここで同図からわかるように、第2の防食スリーブ30の大径部32の内径は、スリーブ挿入機10のキャップ14の大径部14bの外径にほぼ対応しており、その狭窄部33の内径は、キャップ14の小径部14dの外径にほぼ対応している。
さらに外筒11を固定した状態から、スリーブ挿入機10の内軸12の角軸部12bにハンドルを係合させ、そのハンドルの回転操作により、内軸12を前進方向にねじ送りしてゆく。
すると内軸12は分岐栓22の内部通路22aへと進入し、内軸12の先端に設けられたホルダ13およびこれに外嵌するキャップ14は配管21の分岐孔21aへと挿入される。
したがって図6(a)のように、キャップ14に装着された第2の防食スリーブ30は、その小径部31がキャップ14等とともに配管21の分岐孔21aへと挿入されるが、その大径部32は挿入することができず、小径部31との境界の段が分岐孔21aの孔縁に引っかかることになる。
このような内軸12の第2の防食スリーブ30に対する相対移動に伴って、上述した寸法関係から、第2の防食スリーブ30の狭窄部33はキャップ14の第2テーパ部14cおよび大径部14bにより押し広げられる。
同様に第2の防食スリーブ30の大径部32の後端側は、キャップ14の第1テーパ部14aにより押し広げられる。
このようにして、第2の防食スリーブ30は分岐孔21aの孔縁に取り付けられた状態で、その両端部がキャップ14の押し広げにより、反り返った状態となり、配管21の内径側および外径側のいずれの方向に対しても、はずれ止めされることになる。
ここで、第1の防食スリーブ40は、小径であることを除いては第2の防食スリーブ30と構造がほぼ同じであるため、その詳細については省略する。
第1の防食スリーブ40の大径部の内径は、スリーブ挿入機10のホルダ13の大径部13bの外径にほぼ対応しており、その狭窄部の内径は、ホルダ13の小径部13dの外径にほぼ対応している。また、その大径部の外径は、取り付け対象となる分岐孔21aの孔径よりも大きく、その小径部の外径は、分岐孔21aの孔径にほぼ対応している。したがって、スリーブ挿入機10による取り付け作業時には、第2の防食スリーブ40の同様の作用を奏し、両端が反り返ってはずれ止めされることになる。
また実施形態では、ストッパ15のホルダ13への取り付けはねじ合わせによりおこなっているが、取り付けの態様はこれに限定されない。ストッパ15を省略することも可能である。
さらに実施形態では、内軸12の外筒11に対する軸方向への移動をねじ送りによりおこなっているが、移動の態様はこれに限定されない。
実施形態では、ホルダ13およびキャップ14を、使用する防食スリーブ30、40の一般的な構造に合わせて、第1テーパ部13a、14a、大径部13b、14b、第2テーパ部13c、14c、小径部13d、14dを有する構造としているが、防食スリーブを装着可能であれば、このような構造に特に限定されない。
11 外筒
11a プラグ
11b ねじ部
11c ねじ部
11d シール部
12 内軸
12a ねじ部
12b 角軸部
13 ホルダ
13a 第1テーパ部
13b 大径部
13c 第2テーパ部
13d 小径部
13e ねじ孔
14 キャップ
14a 第1テーパ部
14b 大径部
14c 第2テーパ部
14d 小径部
14e 通孔
15 ストッパ
15a 本体
15b ねじ軸
20 管路
21 配管
21a 分岐孔
22 分岐栓
22a 内部通路
22b ねじ部
22c ボール弁
22d 操作軸
23 サドル
30 第2の防食スリーブ
31 小径部
32 大径部
33 狭窄部
40 第1の防食スリーブ
Claims (2)
- 径方向に貫通する分岐孔が形成された配管と、前記配管に前記分岐孔を覆うように接続された分岐栓とを有して、前記分岐孔を通じて前記配管内の流体が前記分岐栓の内部通路へと導入される管路に対して、
前記分岐栓の配管径方向に延びる内部通路を通じて、前記分岐孔の孔縁へと防食スリーブを取り付けるためのスリーブ挿入機であって、
前記分岐栓の配管径方向に延びる内部通路の開口に臨む位置に固定可能な外筒と、
前記外筒に対して軸方向に移動可能に挿入され、前記外筒が前記分岐栓に固定された状態で前記分岐栓の配管径方向に延びる内部通路に進入可能な内軸と、
前記内軸の先端に一体に設けられ、前記内軸の前記分岐栓内部通路への進入時に前記配管の分岐孔へと挿入可能であり、第1の防食スリーブを被せて装着可能な略円柱形のホルダと、
前記ホルダに外嵌可能であり、前記第1の防食スリーブよりも内径の大きな第2の防食スリーブを被せて装着可能な略円筒形のキャップと、を備えるスリーブ挿入機。 - 前記ホルダの先端に取り付け可能であり、前記キャップおよび前記第1および第2の防食スリーブのホルダからの脱落を防止する略円板形のストッパをさらに備える請求項1に記載のスリーブ挿入機。
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