JP5721620B2 - 免疫応答を刺激するための作製物および方法 - Google Patents
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Description
(i)支持体、および
(ii)支持体に連結されたBCR結合性抗原
を含む、BCR媒介内在化が可能な作製物を提供する。
(a)BCR結合性抗原を支持体に連結させるステップ、および任意により
(b)支持体に免疫刺激剤を連結させるステップ、
を含み、任意によりステップ(a)および(b)を逆順で実施する方法を提供する。
(a)抗原を支持体に連結させるステップ、および
(b)支持体に免疫刺激剤を連結させるステップ、
任意によりステップ(a)および(b)を逆順で実施する、
ならびに
(c)支持体を被験体に投与することにより、特異的BCR媒介内在化およびB細胞活性化を可能にするステップを含む方法を提供する。
(i)BCR結合性抗原を支持体に連結させるステップ、
(ii)前記支持体に免疫刺激剤を連結させるステップ、
任意によりステップ(i)および(ii)を逆順で実施する、
および
(iii)細胞を前記支持体と接触させることにより特異的BCR媒介内在化およびB細胞活性化を可能にするステップ
を含む方法を提供する。
(i)第1の密度で、BCR結合性抗原を支持体に連結させるステップ、
(ii)免疫刺激剤を前記支持体に連結させるステップ、
任意によりステップ(i)および(ii)を逆順で実施する、
(iii)支持体を細胞に接触させるステップ、
(iv)抗原媒介活性化について細胞を試験するステップ、
任意により異なる抗原濃度でステップ(ii)〜(iv)を繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
(i)B細胞を本明細書に記載する作製物または組成物と接触させるステップ、および
(ii)ステップ(i)のB細胞を不死化するステップ
を含む方法を提供する。
(i)Bリンパ球をex vivoで本明細書に記載する作製物または組成物と接触させるステップ、および
(ii)ステップ(i)のB細胞を不死化するステップ
を含む方法を提供する。
(i)本明細書に記載する作製物または組成物の存在下で、Bリンパ球を含むかまたはBリンパ球からなる細胞集団を不死化するステップ
を含む方法を提供する。
(i)薬剤を支持体に連結させるステップ、
(ii)B細胞および樹状細胞を含む細胞集団と支持体に連結させた薬剤を接触させるステップ
を含む
方法を提供する。
koff
PL<--------->P+L
kon
koff[PL]=kon[P][L]
であるように正反応と逆反応の速度が等しいとき、平衡解離定数(KD)を定義し、
したがって、
KD=koff/kon=[P][L]/[PL]
として平衡解離定数を定義する。
t1/2=ln2/koff
(i)支持体、および
(ii)支持体に連結されたBCR結合性抗原
を含む、BCR媒介内在化が可能な作製物を提供する。
用語「免疫刺激剤」は、抗原に対する免疫応答を誘発、増大および/または延長する物質を記載するために本明細書で使用する。本出願では、「抗原」と「免疫刺激剤」を区別するが、これは単に明確さおよび記載し易さのためであることは留意すべきである。免疫刺激剤はそれ自体が抗原能力を有し得る、および多くの場合、それを有することが好ましいことは理解されるはずである。したがって、実施例中では、例えば「免疫刺激脂質」は、したがって「抗原脂質」とも呼ぶ。本明細書中での「抗原」と「免疫刺激剤」の区別は、「抗原」はBCRとの特異的結合を決定するので、誘導される特異的なBCR媒介免疫応答は抗原を被験体とすることをどちらかと言えば指す。
長年、ペプチドは、T細胞応答を開始させる唯一の抗原決定基であると考えられていた。しかし、T細胞は、CD1分子によって提示される抗原脂質および糖脂質を認識し、それらに応答することもできることは現在明らかである(8)。T細胞は、その非常に多型なT細胞受容体(TCR)によって様々な範囲の潜在的抗原を認識する。iNKT(インバリアントナチュラルキラーT)細胞として知られるT細胞のサブセットは、それぞれマウスおよびヒトにおいて標準Vα14-Jα18またはVα24-Jα18α鎖からなる拘束型TCRレパートリーの、それらの発現によって定義される。iNKT細胞は、自己またはAPCの表面上で発現される非多型CD1d分子によって提示される外来抗原脂質を認識し、それらに応答して活性状態になる(8,11)。iNKT細胞は、様々な感染に応答して、または炎症および自己免疫疾患中に活性化される(12,13)。iNKT細胞は、それらの刺激はDC、NK細胞、BおよびT細胞の下流活性化を誘導することができるので、先天性免疫応答と適応性免疫応答を関連付け統合する手段をもたらす(11)。iNKT細胞がB細胞増殖および抗体産生を刺激することが、in vitroにおいて実証されているが(16)、これは外因性iNKT細胞-リガンドの提示およびBCR特異性とは無関係であるようである。免疫系の有効な操作はin vivoでのB細胞活性化の厳重な制御を必要とするので、iNKT媒介活性化は厳重な規制を受けるに違いないと予想され得るが、しかし、これが起こるメカニズムは依然として特徴付けられていない。本出願において、本発明者らは、特異的BCR内在化は、in vivoでiNKT細胞に対する粒子状脂質抗原のB細胞提示を増大することを実証する。後に活性化したiNKT細胞は、特異的B細胞増殖、濾胞外PCへの分化、および高力価の特異的IgMおよび初期クラス変更型抗体の分泌を手助けする。
R1は、ヒトCD1dのC'チャンネルを占有するように適合した疎水性部分を表し、R2は、ヒトCD1dのA'チャンネルを占有するように適合した疎水性部分を表し、したがって、R1は、ヒトCD1dと結合したときα-ガラクトシルセラミドのスフィンゴシン鎖の末端nC14H29によって占有される体積と比較して、C'チャンネルの占有体積の少なくとも30%を占め、R2は、ヒトCD1dと結合したときα-ガラクトシルセラミドのアシル鎖の末端nC25H51によって占有される体積と比較して、A'チャンネルの占有体積の少なくとも30%を占め、
R3は水素またはOHを表し、
RaおよびRbはそれぞれ水素を表し、さらに、R3が水素を表すとき、RaおよびRbが一緒に単結合を形成することができ、
Xはまたは-CHA(CHOH)nYまたは-P(=O)(O-)OCH2(CHOH)mYを表し、ここでYはCHB1B2を表し、
nは1〜4の整数を表し、mは0または1を表し、
Aは水素を表し、
B1およびB2の1つはH、OHまたはフェニルを表し、かつ他方は水素を表し、あるいはB1およびB2の1つはヒドロキシルを表し、かつ他方はフェニルを表し、
さらに、nが4を表すとき、AはB1およびB2の1つと共に一緒に単結合を形成し、B1およびB2の他方がH、OH、またはOSO3Hを表す]
および製薬上許容されるその塩を含む。
TLR3、7、8および9などの細胞内TLRは核酸を認識する。TLR9アゴニストCpGなどのこのような合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)は、以前から免疫刺激剤として使用されている(Klinman、2004、Nature Reviews、4:249)。これらのTLR免疫刺激剤は、αGalCerなどの脂質によって使用されるメカニズムと異なるメカニズムによって働く。これらの免疫刺激剤は、例えば、免疫応答のさらなる刺激をもたらすサイトカインおよびケモカインの分泌を終了させることによって、それらが取り込まれる細胞を直接活性化する。
本明細書に記載する免疫刺激剤の抗原特異的送達のための方法は、抗原特異的モノクローナル抗体の産生用の不死化B細胞およびB細胞株の作製において使用することができる。
(i)B細胞を本明細書に記載する作製物または組成物と接触させるステップ、および
(ii)ステップ(i)のB細胞を不死化するステップ
を含む方法を提供する。
不死化は、例えば、その内容が参照として本明細書に組み込まれる、Wiesnerら、PLoS ONE、Jan2008、issue1:1〜13によって報告されたのと同様に、例えばCD40の刺激、(CD40連結)によって実施することができる。(この著者らは、ヒトBリンパ球は、インターロイキン-4、Tヘルパー細胞によるB細胞活性化に似たシグナルの組合せの存在下でそれらの表面受容体CD40を誘発することによって、in vitroで活性化され誘導されて増殖する可能性があることを示す。無EBVCD40刺激B細胞培養物を樹立するために、EBV陽性ドナー由来の非分離末梢血単核球細胞(PBMC)を、インターロイキン-4およびシクロスポリンAの存在下において、マイクロ培養物当たり異なる数でCD40L発現刺激細胞に平板培養した。細胞は5〜7日毎に新たな刺激細胞で再度刺激して、増殖が顕著になるまで増殖させた。この著者らは、培養物当たり少ない初期細胞数(2×104〜5×105個のPBMC)を使用した場合、B細胞の迅速な増殖は好ましいことを観察した。27日後、105個のPBMCで設定した5ドナー由来の培養物はB細胞に関して平均282倍増殖しており、B細胞によって支配されていた(87±5%のCD19+細胞))。
(i)Bリンパ球をex vivoで本明細書に記載する作製物または組成物と接触させるステップ、および
(ii)ステップ(i)のB細胞を不死化するステップ
を含む方法を提供する。
(i)本明細書に記載する作製物または組成物の存在下において、Bリンパ球を含むかまたはBリンパ球からなる細胞集団を不死化するステップ
を含む方法を提供する。
(ii)形質転換されたリンパ球を抗原特異性についてスクリーニングするステップをさらに含むことができる。
形質転換B細胞を望ましい抗原特異性を有するものに関してスクリーニングし、次いで個々のB細胞クローンを陽性細胞から生成することができる。スクリーニングステップは、組織または細胞(トランスフェクト細胞を含む)の染色によるELISA、中和アッセイ、または望ましい抗原特異性を確認するための当技術分野で知られているいくつかの他の方法の1つによって実施することができる。アッセイは単純な抗原認識に基づいて選択することができ、または他の望ましい機能に基づいて選択して、例えば、単なる抗原結合抗体ではなく中和抗体を選択することができ、例えば、それらのシグナル伝達カスケード、それらの形状、それらの増殖率、他の細胞に影響を与えるそれらの能力、他の細胞もしくは他の試薬によるまたは状態の変化による影響に対するそれらの応答性、それらの分化状態などの、標的細胞の特性を変えることができる抗体を選択することができる。
任意の適切な抗原を本発明に従い使用することができる。
(a)BCR結合性抗原を支持体に連結させるステップ、および任意により
(b)支持体に免疫刺激剤を連結させるステップを含む方法を提供する。ステップ(b)は任意によりステップ(a)の前に実施することができる。
(a)抗原を支持体に連結させるステップ、および
(b)支持体に免疫刺激剤を連結させるステップ、
任意によりステップ(a)および(b)を逆順で実施する
ならびに
(c)支持体を被験体に投与するステップを含み、
抗原が特異的BCR活性化を可能にするのに十分な密度(およびそれ故、アビディティー)で支持体上に存在する方法を提供する。
(i)BCR結合性抗原を支持体に連結させるステップ、
(ii)前記支持体に免疫刺激剤を連結させるステップ、
任意によりステップ(i)および(ii)を逆順で実施する、
および(iii)特異的BCR媒介内在化およびB細胞活性化を可能にするように調製した支持体と細胞を接触させるステップを含む方法を提供する。
(i)第1の密度で、BCR結合性抗原を支持体に連結させるステップ、
(ii)前記支持体に免疫刺激剤を連結させるステップ、
任意によりステップ(i)および(ii)を逆順で実施する、
(iii)このようにして得た支持体を細胞に接触させるステップ、
(iv)抗原媒介活性化について細胞を試験するステップ、
任意により支持体において様々な抗原密度でステップ(ii)〜(iv)を繰り返すステップを含む方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、BCR媒介免疫応答のための予防的または治療的ワクチン接種用の、本明細書に記載する作製物および方法の使用を提供する。
本発明者らは、可溶性免疫刺激剤はB細胞によって非特異的に取り込まれる一方で、支持体に連結した免疫刺激剤はB細胞によって取り込まれず(図1B、C)、依然として樹状細胞によって内在化されること(図19)を示している。したがって、薬剤を支持体に連結させることによって、B細胞による取り込みを妨げ、代わりに樹状細胞への優先的な送達を実施することが可能である。したがって、例えば、ヒトの血液中のB細胞の数は樹状細胞の数より多いので、薬剤を可溶形で投与する場合、大部分の薬剤分子はB細胞によって一般に取り込まれる。したがって、樹状細胞への十分な送達を実施するにはより多くの薬剤を投与する必要がある。本発明の方法を使用して、樹状細胞への指向性(特異的)送達(B細胞と比べて樹状細胞への優先的な送達)を実施することができる。これにはいくつかの利点がある。薬剤は樹状細胞により有効に送達され、B細胞によって取り込まれないので、より少ない薬剤を投与することができる。さらに、B細胞の低減した非特異的活性化があるので、少数のまたは重症度の低い副作用が予想され得る。
(i)薬剤を支持体に連結させるステップ、
(ii)B細胞および樹状細胞を含む細胞集団と支持体に連結させた薬剤を接触させるステップ
を含む方法を提供する。
(i)薬剤を支持体に連結させるステップ、
(ii)支持体上の薬剤を被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
免疫刺激脂質
材料および方法
抗原、脂質調製物およびミクロスフェアコーティング
HELおよびOVAはSigmaから購入し、CGGはJackson Immuno Researchから購入した。必要な場合、スルホ-NHS-LC-LC-ビオチン(Pierce)を使用することによって抗原をビオチン化した。1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)およびN-Capビオチニル-ホスファチジルエタノールアミン(PE-ビオチン)は、Avanti Polar Lipidsから購入した。αGalCerはAlexis Biochemicalから購入した。IMM47はDr Vincenzo Cerundoloから提供された(WO2007/050668)。αGalCer-Alexa488の合成は、Alexa Fluor 488(Invitrogen)を使用してビオチン化αGalCer(36)の合成に使用した方法に基づいた。DOPC/PE-ビオチン(98/2、m/m)またはDOPC/PE-ビオチン/αGalCer (88/2/10、m/m/m)を含有するリポソームの調製用に、脂質をアルゴン下で乾燥させ、激しく混合しながらトリス25mM/NaCl 150mM、pH7.0中に再縣濁した。
MD4、D1.3、D1.3-H2、およびJα18-/-マウスを交配し、Cancer Research UKおよびJohn Radcliffe Hospital、Oxfordの動物施設で飼育した。C57BL/6マウスはCharles Riverから購入した。全ての実験は、Cancer Research UK Animal Ethics CommitteeおよびUnited Kingdom Home Officeによって承認された。iNKTハイブリドーマDN32.D3は、A.Bendelac(University of Chicago、Chicago、IL)によって提供された。
脾臓B細胞を、B細胞精製キット(Miltenyi Biotec)を使用して99%を超える純度で陰性選択によって富化した。αGalCer提示の分析用に、B細胞はαGalCerおよび/またはHELを含有する粒子と一晩インキュベートし、よく洗浄し、同数のDN32.D3細胞と共にウェル当たり5×104個の細胞で培養した。NKTの活性化は、培養物上清中のIL-2産生を測定することによってアッセイした。遮断実験用に、iNKT細胞とのインキュベーション前に、MD4 B細胞を抗CD1d遮断抗体(25μg/ml;クローン1B1)と2時間インキュベートした。
5百万〜1千万個のMD4 B細胞を2μMのCFSE(Molecular Probes)で標識し、αGalCerおよび/またはHELを含有する粒子と共に野生型C57BL/6またはJα18-/-マウスへの尾静脈注射によって養子移植した。5日後、レシピエントマウス由来の脾臓を採取し、脾臓細胞は前に記載されているように(37)表面分子および細胞内HEL結合に関して染色した。
異なる抗原および/またはαGalCerを含有する1〜10μlのビーズをマウスに腹腔内免疫化した。抗原特異的なIgのレベルはELISAによってマウス血清において測定した。
培養物の上清中のIL-2の濃度は、JES6-1A12捕捉抗体(BD Pharmingen)を使用してELISAにより決定した。ビオチン化JSE6-5H4(BD Pharmingen)は検出用に使用した。マウス血清中の特異的抗体は、抗原(HEL、OVAまたはCGG)でコーティングしたプレートおよび血清の連続希釈を使用して測定した。結合抗体はビオチン標識ヤギ抗マウスIgM、IgG、IgG1、IgG2b、IgG2cまたはIgG3(BD Pharmingen)を用いて検出した。
脾臓のクリオスタット切片(10μm厚)を固定し、ラット抗マウスCD45R/B220(BD Biosciences)で染色した。HEL+細胞は、HEL(200ng/ml)次に抗HEL F10抗体alexa-488の添加によって検出した。胚中心はPNA-ビオチン(Vector Labs)およびストレプトアビジン-alexa633で染色した。
本発明者らは、免疫応答の発生中に抗原特異的B細胞にiNKT細胞の補助を向けることの影響を熱心に調べた。この目的のために、本発明者らは、αGalCerの存在下においてDOPCおよびPE-ビオチンを含有するリポソームでシリカビーズ(100nm)をコーティングした(図1A)。Alexa-488標識αGalCerを使用して、ビーズに搭載したαGalCerの量を定量化し、本発明者らは、これがビーズ1μl当たり150ng(108ビーズ/μl)であることを見出した。in vitroでαGalCerを提示するB細胞の能力を評価するために、マウスハイブリドーマ(DN32.D3)由来のiNKT細胞とのそのインキュベーションの前に、B細胞を粒子状または可溶性αGalCerで20時間刺激した。培養培地へのIL-2の分泌を使用してiNKT細胞の活性化を測定した。以前の報告と一致して(17)、可溶性αGalCerはB細胞によって効率よく提示され、IL-2産生を誘導した(図1B)。対照的に、粒子状αGalCerでの刺激において、本発明者らは、iNKT細胞からのIL-2産生の重大な弱化を観察した。したがってB細胞は、可溶性αGalCerに関して観察したものよりはるかに少ない粒子状脂質抗原を、非選択的な形式によって取り込んだ。
本発明者らは、ビオチン化ニワトリ卵リゾチーム(HEL)を、αGalCerを搭載した粒子またはαGalCerを搭載していない粒子と、ストレプトアビジンリンカーによって結合させた。結合タンパク質の合計量はウエスタンブロッティングを使用して推定した(図1A)。これらの粒子のBCR特異的な取り込みおよび提示を媒介するB細胞の能力を評価するために、本発明者らは、HEL特異的トランスジェニック初代B細胞(MD4)およびDN32.D3細胞を使用している。粒子状HEL-αGalCerで刺激したMD4 B細胞は、強いiNKT活性化を誘導した(図1C)。対照的に、粒子状HELまたはαGalCer単独とのインキュベーション後、IL-2産生を検出しなかった。さらに、αGalCerと結合した粒子状HELでの野生型B細胞の刺激後、iNKT活性化は観察されなかった。興味深いことに、(CD21highCD23lowB細胞集団のFACS選別によって精製した)辺縁帯のMD4 B細胞は、iNKT細胞に対して粒子状HEL-αGalCerを提示することに関して濾胞B細胞より有効であった(図6)。重要なことに、iNKT細胞の活性化はCD1dに対するモノクローナル抗体とB細胞のプレインキュベーションによって完全に遮断され、このプロセスはCD1d媒介提示に完全に依存することを示す(図1D)。これらの知見は、BCRによる特異的抗原認識は、iNKT細胞に対する粒子状脂質抗原の提示を劇的に増大させることができることを実証する。
粒子状抗原脂質のBCR媒介性の取り込みは、in vitroでiNKT細胞活性化をもたらすことを実証したので、本発明者らは、活性化に対する粒子状αGalCerのBCR媒介性の取り込みの影響、およびin vivoでのB細胞の運命を調べた。この目的のために、MD4マウス由来のCFSE標識HEL特異的B細胞を、他のアジュバントの不在下において結合αGalCer有りまたはなしで、粒子状HELを用いて静脈内チャレンジしたC57BL/6レシピエントに養子移植した。刺激後第5日に、レシピエントマウスの脾臓を採取し、HEL特異的B細胞集団中のCFSEの希釈を、B細胞増殖の指標として使用した。
B細胞の運命に対する抗原と結合した粒子状αGalCerの影響を考慮して、本発明者らは、in vivoで全身性免疫応答を誘導するそれらの能力を調べようと試みた。これを評価するために、本発明者らは、抗原としてニワトリガンマグロブリン(CGG)を使用する、一回用量の腹腔内免疫化戦略を使用している。CGGがマウスにおいて強力なT細胞依存性応答を誘導することは、以前から実証されている。C57BL/6およびJα18-/-マウスはαGalCerと結合した粒子状CGGでチャレンジし、7日および14日後に、ELISAを使用して特異的抗体応答を分析した。
TLRアゴニスト
材料および方法(実施例1中に記載したものと異なる場合)
材料
ホスホロチオエート結合を有するビオチン化CpG OD1668は、Sigmaから購入した。ストレプトアビジンコーティングポリスチレンミクロスフェア(130nm)は、Bangs Laboratoriesから購入した。
脾臓B細胞を、B細胞精製キット(Miltenyi Biotec)を使用して99%を超える純度で陰性選択によって富化した。MD4 B細胞は2μmのCFSEで標識し、1×106個の細胞で培養し、HELおよび/またはCpGを含有する粒子とインキュベートした。72時間後、細胞を採取し、フローサイトメトリー分析に施した。上清を回収し、IL-6およびHEL特異的IgMaの分泌はELISAによって決定した。
本発明者らは、細胞内TLR応答を誘導するためのモデル系として、免疫刺激剤CpG、TLR9のアゴニストを使用している。最初に本発明者らは、抗原-BCR媒介性の取り込みが粒子状CpGが内在化されるのに必要とされたかどうか調べようと努めた。したがって、本発明者らは、ビオチン化CpGの有無の下においてビオチン化モデル抗原ニワトリ卵リゾチーム(HEL)で、ウイルスの大きさ(130nm)に匹敵するストレプトアビジンポリスチレンミクロスフェアをコーティングした。本発明者らは、典型的なウイルス病原体に直径が匹敵するストレプトアビジンポリスチレンビーズを使用して、それによって粒子状CpGがTLR9媒介B細胞応答を開始するメカニズムを調べた。HELによる粒子の首尾よいコーティングを、HEL特異的モノクローナル抗体F10を用いた染色によって(図11A)、フローサイトメトリーによって、およびウエスタンブロッティングによるポリクローナル抗体を用いたHELの検出によって実証した。CpGの存在はビーズ表面上でのHELの競合によって評価し、したがって、それは、HELおよびCpGコーティングビーズによるin vitro刺激3日後に採取したHEL CFSE標識MD4 HEL特異的トランスジェニックB細胞(Goodnowら、1988)とのF10の結合の低減として現れる。フローサイトメトリーを使用して、それぞれCFSEの希釈およびCD138発現のアップレギュレーションによって、B細胞増殖およびPC分化をモニターした。さらに、TLR9刺激と関係がある(Barrら、2007)IL-6分泌、および形質細胞分化によるIgM分泌は、培養物の上清において検出した。
実施例1で、粒子状抗原によるBCR刺激に対するB細胞の応答は全体的な抗原アビディティーに依存することを実証したので、本発明者らは、in vitroでのHELおよびCpGを含有するビーズによる刺激後の、B細胞増殖および分化に対する抗原アビディティーの影響を調べた。本発明者らは、以前に記載されたのと同様に(Batista and Neuberger、1998)一定範囲のBCRアフィニティーを含む3つのHEL突然変異体、高アフィニティー突然変異体HELRD(Ka8×108M-1);中アフィニティー突然変異体HELKD(Ka4×106M-1);および低アフィニティー突然変異体HELRKD(Ka8×105M-1)を使用している。ビーズに固定化された抗原の量が同等であることを確実にするため、ビオチン化F10を様々なHEL抗原とストレプトアビジンビーズのリンカーとして使用した。さらに、本発明者らは、初期コーティング期中に様々な濃度のビオチン化CGGを含めて、異なる密度を有するビーズも作製して、ストレプトアビジンビーズとの結合に関してビオチン化F10と競合させた(図11B)。
本発明者らは、in vitroでの粒子状抗原-CpGを用いた刺激によるTLR9媒介B細胞増殖および形質細胞分化を観察しているので、本発明者らは、in vivoでの粒子状抗原-CpGの投与後に類似したB細胞挙動が誘導されるかどうか確認しようと努めた。これに取り組むために、CFSE標識MD4 B細胞とHELおよびCpGを含有するミクロスフェアを、野生型レシピエントマウスに同時投与した。養子移植4日後に、脾臓B細胞を前と同様にCFSE希釈に関して分析した。形質細胞は、前に記載したようにCD138アップレギュレーションおよびHELに対する高い細胞内結合によって明らかになった。さらに、血清中のHEL特異的IgMaレベルを測定した。
in vitroでの粒子状抗原およびCpGによる刺激後に抗原の全体アビディティーとB細胞応答の間の関係が観察されたので、本発明者らは、前に作製した様々なHELおよびCpGビーズを使用して、in vivoでCFSE標識MD4 B細胞を刺激した。
B細胞の運命に対する抗原と結合した粒子状CpGの影響を考慮して、本発明者らは、in vivoで全身性免疫応答を誘導するそれらの能力を調べようと努めた。これを評価するために、本発明者らは、抗原としてニワトリガンマグロブリン(CGG)を使用する、単回投与腹腔内免疫化戦略を使用した。CGGがマウスにおいて強力なT細胞依存性応答を誘導することは以前から実証されている。C57BL/6マウスをCpGと結合した粒子状CGGでチャレンジし、7日および14日後に、ELISAを使用して特異的抗体応答を分析した。
αGalCerと結合した粒子状ホスホペプチドによる免疫化は特異的抗体応答を高める
本発明者らは、in vivoで全身性免疫応答を誘導する粒子状ホスホペプチドαGalCerコンジュゲートの能力を調べようと努めた。これに取り組むために、本発明者らは、抗原としてホスホペプチドを使用する、単回投与の腹腔内免疫化戦略を使用した。C57BL/6マウス(3群)を、αGalCerと結合した粒子状ホスホペプチド(10μl/マウス)または粒子状ホスホペプチドのみでチャレンジし、特異的抗体応答は免疫化0日および7日後にELISAを使用して分析した。
抗原、脂質調製物およびミクロスフェアコーティング
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)およびN-Capビオチニル-ホスファチジルエタノールアミン(PE-ビオチン)(いずれもAvanti Polar Lipids)、DOPC/PE-ビオチン(98/2、m/m)またはDOPC/PE-ビオチン/αGalCer(88/2/10、m/m/m)を含有するリポソームの調製用に、脂質をアルゴン下で乾燥させ、激しく混合しながらトリス25mM/NaCl 150mM、pH7.0中に再縣濁した。αGalCerはAlexis Biochemicalから購入した。コーティング用に、シリカミクロスフェア(100nm;Kisker GbR)をリポソーム、次にストレプトアビジンおよびビオチン化タンパク質と共にインキュベートした。
野生型C57BL/6マウスはCharles Riverから購入した。ホスホペプチドおよび/またはαGalCerを含有する10μlのビーズをマウスに腹腔内免疫化し、血清中の抗原特異的なIgのレベルはELISAによって決定した。
本発明者らは、αGalCerと結合した粒子状ホスホペプチドによるC57BL/6マウスの免疫化7日後の早期に、高力価のIgMおよびIgGを含めた特異的抗ペプチド抗体産生を検出した(図14)。粒子状ホスホペプチド単独で免疫化したマウスにおいて、この時点で特異的抗体は検出されなかった。
材料および方法
HELおよびOVA(Sigma-Aldrich);CγG(Jackson Immuno Research);CFSE(Invitrogen);5'ビオチン化CpG1668 (Sigma-Genosys);および組換えIL-6(BD Biosciences)。HELRD、HELK、HELKDおよびHELRKDは前に記載されている(35)。0.13μmのストレプトアビジンコーティングミクロスフェア(Bangs Inc)および0.2μmのFluoSpheres Neutravidinミクロスフェア(Invitrogen)。
マウスAgに対するモノクローナル抗体:抗CD138-PE(クローン281-2)および-ビオチン;抗CD45.2-PerCP-Cy5.5(10G);抗IL-6(MP5-20F3);抗IL-6-ビオチン(MP5-32C11);抗CD16/32(2.4G2);抗IgMa-ビオチン(DS-1);抗IgG1-ビオチン(A85-1);抗IgG2b-ビオチン(R12-3);抗IgG3-ビオチン(R40-82);および抗CD45R/B220(RA3-6B2)(いずれもBD Biosciences)。モノクローナル抗HEL F10は記載されている(36)。ポリクローナル抗マウス-IgG-HRP(Pierce);モノクローナル抗β-アクチン(AC-15)およびモノクローナル抗ニワトリ卵アルブミン(OVA-14)(いずれもSigma Aldrich);抗ホスホp38MAPキナーゼ(Thr180/Tyr182)および抗p38MAPキナーゼ抗体(いずれもCell Signalling)。マウスAgに対するポリクローナル抗体:抗IgM-ビオチン;抗IgG-ビオチン;抗IgG2c-ビオチン;抗IgM;抗IgG;抗IgG1;抗IgG2b;抗IgG2cおよび抗IgG3(全てSouthern Biotech Inc)。抗ニワトリリゾチーム(United States Biological)、AlexaFluor-488ヤギ抗マウスIgG(H+L)およびAlexaFluor-546ヤギ抗ラットIgG(H+L)(いずれもInvitrogen)。
ストレプトアビジンコーティングミクロスフェアを洗浄した後、ビオチン化CpGおよび/またはビオチン化Ag(OVA、HELまたはCγG)を加え、PBS中に再縣濁した。様々な密度においてHEL突然変異体でコーティングしたミクロスフェアを作製するために、ビオチン化抗HEL F10および/またはビオチン化CpGを、前に記載されているように初期コーティングに使用した(36)。
脾臓B細胞を、B細胞精製キット(Miltenyi Biotec)を使用して99%を超える純度で陰性選択によって富化し、2μMのCFSEで標識した。B細胞は、10%のFCS(PAA Labs)、50μMのβ-メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich)、25mMのHepes(Invitrogen)および10単位/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)を添加したRPMI-1640培地(Invitrogen)中で培養した。1μlの粒子で刺激した1×106個のCFSE標識B細胞を72時間のインキュベーション後に採取して、増殖および分化を評価した。
骨髄由来DCは、組換えGMCSF(R&D Systems)を添加した上記培地中で、マウス大腿骨由来の前駆細胞を培養することによって生成した。5日後、CD11c+マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を使用して99%を超える純度でDCを富化した。
1〜5×106個のCFSE標識MD4またはHyHel10 B細胞を、HELおよび/またはCpGを含有する1〜10μlの粒子と共に、野生型C57BL/6マウスへの尾静脈注射によって養子移植した。OVAまたはCγG(Agとして)および/またはCpGでコーティングした1〜10μlの粒子をマウスに腹腔内免疫化した。
脾臓における増殖およびPC分化の検出は前に記載されている方法に基づいた(40)。簡単に言うと、脾臓の単一細胞縣濁液を調製し、サンプルは精製抗CD16/32でブロッキングした。HEL特異的B細胞はHEL、次に抗HEL F10-AlexaFluor-647を用いて検出した。PCは抗CD138-PEとのそれらの結合によって同定した。
前に記載されているのと類似した形式で(36)、ELISAを使用して血清抗原特異的IgMaおよびIgGおよびIL-6の産生を定量化した。PBS中の100μg/mlのHELまたはCγGでコーティングしたELISPOTプレートをブロッキングし、抗IgG-HRPまたは抗IgMa-ビオチンのいずれかによる発色前に、記載されているように脾臓細胞とインキュベートした(36)。脾臓切片の免疫組織化学法は前に記載されているように実施した(36)。
in vivo免疫化後CpGとAgの直接結合は特異的抗体応答を高める
本発明者らは最初に、AgとCpGの直接結合がin vivoでの体液性免疫応答に対して有する影響を調べようと努めた。これを実施するために、本発明者らは、典型的なウイルス病原体に直径が匹敵するストレプトアビジンポリスチレンビーズ上での、AgとCpG両方の直接結合を含む手法を設計した。ビオチン化Agおよび/またはCpGでのコーティング後の粒子コンジュゲートの首尾よい作製は、フローサイトメトリーによって確認した(図19A)。C57BL/6マウスは、2つの粒子状Ag、ニワトリ-γ-グロブリン(CγG)およびオボアルブミン(OVA)で同時に免疫化した。免疫化したそれぞれの群のマウスでは、粒子状Agの1つをCpGとコンジュゲートさせた。Ag特異的IgG抗体の産生は、粒子の投与14日後にELISAによって測定した。免疫化後のAg特異的抗体力価の選択的増大を、結合したCpGを有する粒子状Ag(Ag-CpG)に関して観察した。粒子状Ag-CpGに対するこの増大した応答は、主にIgG2bおよびIgG2cアイソタイプのクラス変更型Ag特異的抗体の産生を伴った。興味深いことに、IgG2アイソタイプの抗体は、ウイルス中和反応と関係がある免疫応答の特に有効なメディエーターであり(41)、かつそれらの産生はTLR9刺激と関係している。さらに、本発明者らは、粒子状CγG-CpGによる一回用量の免疫化後最大3ヵ月間、骨髄内でAg特異的抗体分泌細胞(ASC)を観察した(図13)。したがって、本発明者らは、AgとCpGの両方と直接結合した粒子による免疫化はAg特異的抗体力価を高め、in vivoにおいて主にIgG2亜型へのクラス変更を誘導することを実証している。
特異的抗体力価の増大の根底にあるメカニズムを解明するために、本発明者らは、ニワトリ卵リゾチーム(HEL)に特異的なBCRを発現するトランスジェニックMD4 B細胞を使用した。CFSE標識MD4 B細胞は、in vitroにおいてHEL(Agとして)および/またはCpGを含有する粒子で刺激した(図19B)。刺激3日後に、フローサイトメトリーを使用して、それぞれCFSEの希釈およびCD138発現のアップレギュレーションによって、B細胞増殖およびPC分化をモニターした。MD4 B細胞の広範囲の増殖を、PCを形成するための分化と一緒に、粒子状HEL-CpGによる刺激後に観察した。以前の報告と一致して、これらのB細胞応答はIL-6とHEL特異的IgMaの両方の分泌と関連があった。それらの直径が0.5μmを超えなかったという条件で、様々な大きさの粒子を用いて類似した結果を得た(データ示さず)。興味深いことに、HELまたはCpGいずれかのみを含有する粒子による刺激によって増殖または分化は観察されなかった。
以前の観察は、Ag-BCR相互作用の結合強度はB細胞分化の結果に影響を与えることを示唆している(5)。BCRによる抗原認識は、粒子状Ag-CpGがB細胞応答を刺激するのに必要とされるので、本発明者らは、アフィニティーと密度の両方の観点で、in vitroでのTLR9依存性増殖および分化に対するAgアビディティーの影響を調べた。これに取り組むために、本発明者らは、低いアフィニティーでBCRと結合するいくつかの以前に記載された組換えHEL突然変異体、野生型HEL(Ka2×1010M-1);HELRD(Ka7.9×108M-1);HELK(Ka8.7×106M-1);HELKD(Ka4.0×106M-1);およびHELRKD(Ka0.8×106M-1)を使用した。様々なHELタンパク質を、架橋としてビオチン化モノクローナル抗HEL F10を介して粒子に固定化して、同等なコーティング密度を確実にした。約5000倍(Ka、2×1010〜4.0×106M-1)のHELのアフィニティーの低下は、高密度で粒子状CpGにAgが存在したとき、B細胞増殖またはIL-6産生のいずれかに対してほとんど影響がなかった(図21AおよびB)。しかし、HELのアフィニティーのさらなる5倍の低減(Ka、0.8×106M-1)によって、B細胞活性化を刺激するCpG粒子の能力は劇的に低減した。したがって、BCR媒介Ag内在化、それに伴うB細胞増殖およびIL-6分泌を誘導するためには、Agアフィニティーの最小閾値を上回らなければならないことは明らかである。Agアフィニティーにおけるこのような閾値の観察は、粒子状Ag-CpGによって誘導される応答が、B細胞によって取り込まれる粒子の量に依存することを示唆する。この仮説を裏付けるために、本発明者らは蛍光粒子を使用して、異なるHELコンジュゲートを得るB細胞の能力を比較した。図14中に示すように、アフィニティー閾値を超えると、取り込まれる粒子の量は広範囲のアフィニティー全体で同等であった(Ka、2×1010〜4.0×106M-1)。対照的に、この閾値未満では、本発明者らは、B細胞によって得られる粒子の量の顕著な低減を観察した。したがって、厳密な閾値を超えると、BCRに対するAgのアフィニティーが内在化するAg-CpG粒子の量に影響を与えることは明らかである。Ag-BCR相互作用の結合強度は、BCRによって見られるAgのアビディティーに依存するので、本発明者らは、粒子上のHELの密度を低減することによって刺激能力のさらなる識別が観察され得ると仮定した。低密度のHELを含有する粒子を作製するために、本発明者らは、初期コーティング期中に無関係なビオチン化タンパク質を含めて、ストレプトアビジンミクロスフェアとの結合に関してビオチン化F10と競合させた。予想通り、低密度の様々なHELタンパク質を含有するCpG粒子による刺激は、少量のB細胞増殖およびIL-6分泌をもたらした。CpG含有粒子におけるHELRKDの密度の2倍の低減によって、それらはB細胞増殖およびIL-6分泌を刺激することができなくなった。同様に、高アフィニティーHELRDタンパク質の密度の4倍の低減によっても、CpG含有粒子はB細胞応答を刺激することができなくなった。興味深いことに、IgMa分泌を誘導するためのBCRAg相互作用のアビディティー閾値は、増殖およびIL-6産生の刺激に必要とされる閾値より低いようである。したがってAgは、粒子状Ag-CpGの内在化に必要とされる最小程度のBCRクラスタリングを誘導するのに十分なアビディティーで存在しなければならない可能性がある。したがって、十分に高い密度で存在する低アフィニティーAgでさえ、BCR媒介内在化およびそれに伴うB細胞応答の刺激を可能にするのに必要とされる閾値を上回る可能性がある。したがって本発明者らは、in vitroでのTLR9媒介B細胞増殖および分化の程度を決定する際の、Agアビディティーの重要性を実証している。したがって本発明者らは、BCRとAgの間の相互作用の全体的強度は、粒子の有効な取り込みおよび粒子状CpGによるその後のTLR9刺激を可能にするための、規定された閾値を超えなければならないことを示唆する。
B細胞によって取り込まれる粒子状Ag-CpGの合計量はAg-BCR相互作用の全体的アビディティーに依存するので、粒子のCpG成分は誘導されるB細胞活性化の程度に影響を与えると考えられる。したがって本発明者らは、誘導されるB細胞応答に対する、粒子状HELと結合したCpGの量の変化の影響を調べようと努めた。これを実施するために、粒子を異なる量のCpG、ただし一定のAgアビディティーしたがって細胞へのBCR媒介の進入をもたらす同じ合計量のHELでコーティングした。図15中に示すように、粒子上に存在するCpGの量の低減は、B細胞増殖、ならびにIL-6およびIgMaの分泌の低下と直接関係があった。このように、最大量の結合CpGを含有する粒子状HELは、最高程度でPCを形成するための分化を刺激した。しかし、10倍低減した量の結合CpGを含有する粒子による刺激後に、B細胞分化はほとんど検出されなかった。
本発明者らは、そのin vitroでの観察がin vivoでのAg-CpG粒子に対するB細胞応答に代表的であったかどうか確認しようと努めた。これを評価するために、CFSE標識MD4 B細胞とHELおよび/またはCpGを含有する粒子を、野生型レシピエントマウスに同時投与した。MD4脾臓B細胞の増殖は、養子移植後の示した時点でCFSE希釈によって評価した。さらに、CD138+細胞内HEL+MD4脾臓PCの存在を、多色フローサイトメトリーを使用して定量化した。
本発明者らの観察は、粒子状Ag-CpGによるマウスの免疫化は、抗原特異的クラス変更型抗体の産生をもたらしたことを示した。しかし、本発明者らの調査において使用したトランスジェニックMD4 B細胞は、これまでクラス変更を経ることができなかったので、本発明者らは別のトランスジェニックモデル系を使用して、この現象をさらに調べた。このトランスジェニックマウス系は高アフィニティーHyHEL10 BCRを発現するB細胞を生成し、クラス変更組換えを経ることができる。野生型レシピエントに養子移植したHyHEL10 B細胞は、MD4 B細胞に関して観察したのと類似した形式で、粒子状HEL-CpGに応答した広範囲の増殖およびPCを形成するための分化を経た(データ示さず)。分泌された抗体のアイソタイプの分析によって、粒子状HEL-CpGによる刺激後に起こったクラス変更組換えが明らかになり、主にIgG2亜型のIgGの産生をもたらした(図18E)。重要なことに、類似した型の抗体のアイソタイプが、培養中HyHEL10 B細胞単独の刺激後に検出されたので、本発明者らがin vivoで観察したクラス変更は、CD4+T細胞補助とはおそらく無関係である(図17F)。これらの知見は、実施したもともとの免疫化からの本発明者らの観察と一致する。したがって、BCR媒介内在化の後、粒子状Ag-CpGはB細胞増殖および短寿命PCを形成するための分化だけでなく、さらにIgG2アイソタイプへのクラス変更組換えも刺激することは明らかである。
TLR9アゴニストCpGは、免疫系の先天性と適合部分の両方の活性化と関係がある過多の応答を刺激する能力を有する。ここで、本発明者らは、AgとCpGの直接結合は増大した特異的なB細胞応答をもたらすことを確認している。この試験は、AgとCpGの両方が表面上に固定された粒子を作製して、BCRを介したB細胞によるそれらの取り込みを可能にするための戦略の開発を含んでいた。本発明者らは、受容体媒介の取り込みは厳重に規制されたアビディティー閾値によって特徴付けられ、Ag特異的な形式でのB細胞に固有なTLR9へのCpGの送達をもたらすことを観察した。重要なことに、粒子状CpG単独はB細胞進入の非特異的手段の使用から妨げられ、粒子状Ag-CpGはTLR9媒介の応答を刺激するその能力が非常に選択的になる。さらに本発明者らは、BCR媒介の取り込み後、TLR9の関与がB細胞増殖および短寿命EF PCの形成の劇的な増大を誘導することを示している。B細胞挙動に対するTLR9刺激の影響の、いくつかの以前の調査は可溶性CpGを使用している。このような試験は、TLR9の刺激が、増大したB細胞の増殖およびアイソタイプ変更型抗体を産生することができるPCを形成するための分化をもたらすことを報告する。ここで、本発明者らは、粒子状CpGは、可溶性CpGと異なり、非特異的液相ピノサイトーシスによってB細胞に進入することはできないことを観察した。対照的に、粒子とCpGの結合は、樹状細胞などの専用食細胞によるその取り込みを妨げなかった。これらの食細胞は、おそらく先天性免疫細胞機能と関係があるパターン認識受容体によって、粒子を得る能力を保持している。対照的に、B細胞は、粒子状Ag-CpGの効率よい取り込みを可能にするために、Ag特異的かつシグナル伝達能力があるBCRの存在を必要とする。TLR9刺激リガンドを含有する免疫複合体の内在化におけるBCRの必要性は、自己免疫疾患の発症中に実証されている。
Claims (19)
- (i)ポリマービーズ又はシリカビーズである、1nm〜10μmの粒子サイズを有する支持体、および
(ii)該ビーズの表面に連結された抗原であって、B細胞受容体に結合し、ペプチド、ホスホペプチド、又は炭水化物を含む前記抗原、および
(iii)該ビーズの表面に連結された免疫刺激剤であって、α-ガラクトシルセラミド(αGal-Cer)、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)またはポリUオリゴヌクレオチドの1つまたは複数である前記免疫刺激剤
を含む作製物であって、
抗原特異的免疫応答を誘導するためにB細胞による特異的B細胞受容体媒介内在化が可能である、上記作製物。 - 前記ビーズがリポソームでコーティングされている、請求項1に記載の作製物。
- 前記抗原および免疫刺激剤が、リンカーを介して前記ビーズに連結している、請求項1又は2に記載の作製物。
- 前記リンカーがアビジン-ビオチンリンカーである、請求項3に記載の作製物。
- 前記免疫刺激剤が少なくとも2種の異なる免疫刺激剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の作製物。
- 前記抗原が少なくとも2種の異なる抗原を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の作製物。
- 前記抗原がペプチドまたはホスホペプチドを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の作製物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物および好適な担体を含む医薬組成物。
- 可溶性免疫刺激剤をさらに含む、請求項8に記載の医薬組成物。
- ワクチンとしての使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物または請求項8もしくは9に記載の組成物。
- 被験体において特異的B細胞受容体媒介内在化およびB細胞活性化を可能にするための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物または請求項8〜10のいずれか1項に記載の組成物。
- 予防的または治療的ワクチン接種のための、請求項11に記載の作製物または組成物。
- in vitroで細胞による免疫刺激剤の特異的取り込みを誘導する方法であって、以下のステップ:
特異的B細胞受容体媒介内在化およびB細胞活性化を可能にするためにB細胞を請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物と接触させるステップ
を含む、上記方法。 - 医薬としての使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物または請求項8もしくは9に記載の組成物。
- 癌、感染性疾患、アレルギーまたは自己免疫疾患の治療での使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物または請求項8もしくは9に記載の組成物。
- 癌、および感染性疾患、アレルギーまたは自己免疫疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物または請求項8もしくは9に記載の組成物の使用。
- 被験体において抗原に対する抗原特異的免疫応答を誘導または増強するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物または請求項8もしくは9に記載の組成物。
- 前記抗原がペプチドまたはホスホペプチドを含む、請求項17に記載の作製物または組成物。
- in vitroで増大した免疫応答を誘導するための方法であって、抗原特異的B細胞受容体媒介免疫応答を誘導するために、in vitroで請求項1〜7のいずれか1項に記載の作製物または請求項8もしくは9に記載の組成物をB細胞と接触させるステップを含む、上記方法。
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