JP5720818B1 - デジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
近年においては、映画産業は、世界的にフィルムからデジタルへの大きな変革期を迎えており、映画のデジタル化が急速に進み、高精細な映像が提供されるようになってきている。
而して、一般に、デジタルシネマ用プロジェクタは、大型のスクリーンに映像を投影するべく、光源としては、例えば、高入力の輝度を高めたキセノンショートアーク型の放電ランプが使用されている。このため、放電ランプの冷却機構等も一体化されて設けられた構成とされており、デジタルシネマ用プロジェクタ自体が非常に大きなものとなる。従って、特許文献1のように、デジタルシネマ用プロジェクタを床面に設置したのでは、例えば観客席の後方側に機器設置用の十分な広さの空間が必要となる。
また、デジタルシネマ用プロジェクタにおいては、ランプ交換などのメンテナンス作業を例えば定期的に行うことが必要とされることから、デジタルシネマ用プロジェクタを上映室内に設置するにあたり、メンテンナンス性(作業性)などを考慮した空間設計が必要となると共に、放電ランプ等の冷却にかかる騒音や排気を考慮する必要がある。
しかしながら、デジタルシネマ用プロジェクタを単に天井から吊り下げて支持する構造では、劇場の美観を損なわせてしまうという問題がある。
また、デジタルシネマ用プロジェクタの冷却風の排気が劇場空間内に広がるため、デジタルシネマ用プロジェクタの近くの客席では当該排気による熱風で不快に感じるといった問題や、冷却機構の動作音などが劇場空間内に漏れ出てしまうため、来場者がデジタルシネマの高精細な映像による臨場感を十分に楽しむことができなくなり、快適性が著しく損なわれるといった問題がある。
前記デジタルシネマ用プロジェクタを冷却する冷却風の給気路と排気路が、前記劇場空間と隔離された状態で、前記筐体の上壁を介して装置外部に延びるよう形成されており、
前記排気路は、前記デジタルシネマ用プロジェクタにおける排気用開口部に一端部が接続された排気用ダクトが、前記筐体の上壁に形成された上方開口部を介して、装置外部に導出されて形成されており、
前記筐体は、下面が開閉可能に構成され、内部に前記デジタルシネマ用プロジェクタを昇降可能に支持する昇降システムを備えており、
前記排気用ダクトが、前記デジタルシネマ用プロジェクタの昇降方向に伸縮自在なベローズにより構成されていることを特徴とする。
当該蓋体および当該筐体本体のいずれか一方に、弾性体よりなる気密性緩衝部材が、当該蓋体および当該筐体本体との間に介在する状態で、設けられた構成とされていることが好ましい。
さらに、ベローズにより構成された排気用ダクトによって、排気用ダクトがデジタルシネマ用プロジェクタに接続された状態を維持することができるので、デジタルシネマ用プロジェクタが降下された状態にあっても、デジタルシネマ用プロジェクタに対する冷却風の供給、排気を行うことができて、メンテンナンス作業後のデジタルシネマ用プロジェクタの動作確認を筺体内に収容することなく行うことができる。
図1は、本発明のデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置を利用した劇場空間の一例における構成の概略を示す図である。
本発明のデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置(以下、単に「プロジェクタ装置」ともいう。)10は、デジタルシネマ用プロジェクタ(以下、「デジタルプロジェクタ」ともいう。)11が、密閉空間を形成する筐体20の内部に設置されて構成されている。そして、劇場空間Srにおいて、例えば、筐体20の上壁の外面がスクリーンSに対して観客席の後方の天井面Cに固定されて設置され、劇場空間Srと別室に設置された映像信号(画像信号+音声信号)を送信するプレーヤ(図示せず)に、適宜の信号ケーブル(例えばLANケーブルなど)によって接続されて用いられる。なお、プロジェクタ装置10は、筐体20の一部が天井内に埋め込まれた状態で固定されて設置されていてもよい。
このプロジェクタ装置10は、下面が開閉可能に構成された筐体20を備えている。筐体20は、上壁の略中央部に上方に開口する上方開口部28を有すると共に、底壁22の中央部に下方に開口する下方開口部23を有する箱型形状の筐体本体21と、この筐体本体21の下方開口部23を開閉する蓋体(カバー板)30とにより構成されている。
筐体本体21の正面壁には、映写用開口部26が形成されており、当該映写用開口部26が例えばガラス製の板状の窓部材27により気密に閉塞され、これにより映写窓25が形成されている。
蓋体30は、例えば、一定の間隔をおいて互いに対向配置された2枚の鉄板間の空間内(中空部)に例えばロックウール(遮音材または吸音材)が充填された遮音パネルにより構成されている。
また更に、劇場空間Srに露出される外表面の吸音材は、劇場空間Srの壁や天井面Cと同じ内装クロスで被覆されていることが好ましい。このように、劇場空間Srと同様のクロスで覆われることで、劇場空間Srと一体感が得られた美観を得ることができる。
ここに、筐体本体21における壁の厚さは、外表面の吸音材の層まで含めると、例えば200〜250mmであり、筐体本体21における蓋体30の厚さは、外表面の吸音材の層まで含めると、例えば70〜100mmである。
気密性緩衝部材35は、遮音性ないしは吸音性を有する弾性体により構成される。弾性体の材質として好ましいものはゴム材であり、具体的には、クロロプレンスポンジ、シリコーンスポンジ、フッ素ゴムスポンジ、ウレタンスポンジ、PVCスポンジなどのスポンジゴム、或いは、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)などソリッドゴムが挙げられる。
このように、筐体本体21における蓋体受容装着部24と蓋体30との対接面が単なる平坦面ではなく、いわば屈曲した平面により構成されていることにより、高い遮音性を得ることができる。
各ワイヤ55は、複数のガイドシーブ(みぞ車)54によって張架されて設けられており、他端部がそれぞれ共通のワイヤドラム52に固定されている。ワイヤドラム52は、回転軸が水平方向に延びる姿勢で配置されており、巻き取りモータ53によって回転駆動される。ワイヤドラム52および巻き取りモータ53が各ワイヤ55に共通のものであることにより、デジタルプロジェクタ11の昇降動作時において、デジタルプロジェクタ11を確実に適正な姿勢(水平)に維持することができる。
そして、筐体本体21内部と天井裏空間とを連通させる開口が、筐体本体21の上壁および天井面に設けられて冷却風給気口29が形成され、これにより、天井裏に配設された冷却風供給用ファン75に接続された、装置外部に延びる給気路Spが、劇場空間Srと隔離された状態で形成されている。すなわち、図5(a)を参照して説明すると、天井裏に配設された冷却風供給用ファン75からの冷却風(図5(a)において白抜きの矢印で示す。)は、筐体本体21の上壁に形成された冷却風給気口29を介して、筐体20内部に供給され、デジタルプロジェクタ11の周囲に形成された冷却風流通路F(筺体20の内部空間)を流通する。その後、図4におけるデジタルプロジェクタ11に設けられた給気用ファン18a、18bによって、デジタルプロジェクタ11の外匣における背面および両側面の各々に形成された冷却風導入用開口部13から導入され、放電ランプおよびその他の構成部材が冷却される。
排気用ダクト70は、例えばデジタルプロジェクタ11の昇降方向に伸縮自在なベローズにより構成されており、デジタルプロジェクタ11の昇降動作に伴って伸縮される。
このプロジェクタ装置10においては、図5(a)にも示すように、デジタルプロジェクタ11は、通常、筐体20の内部に収容されて劇場空間Srと隔離されており、上述したように、動作時においては、放電ランプおよびその他の構成部材が冷却風によって冷却される。而して、ランプ交換などのメンテナンス作業を行う場合には、図5(b)に示すように、デジタルプロジェクタ11が昇降システム50によって筐体20の内部から下方に降下される。すなわち、巻き取りモータ53が例えば逆転駆動されることによりワイヤドラム52が回転され、各ワイヤ55が同一の送り出し量で送り出されると共に排気用ダクト70が伸長されて蓋体30が水平となる姿勢が維持された状態で、デジタルプロジェクタ11が床面に対して所定の位置(例えば床面から80cm程度の位置)まで降下される。ここに、ワイヤ55の送り出し速度は、例えば7m/分以下の範囲内で適宜に設定することができ、一定であっても、変化させてもよい。例えば、デジタルプロジェクタ11が床面から所定の高さまで降下されたときに送り出し速度が床面に接近するに従って低下される(最終的には0m/分となる)よう巻き取りモータ53の動作を制御することができる。
なお、エアシリンダ45は、後述するように、デジタルプロジェクタ11が筺体20内部に収容された状態においては、圧縮空気が供給されて動作状態とされているが、デジタルプロジェクタ11を降下させる際には、圧縮空気の供給が停止されることにより、ピストンロッド46がシリンダチューブ47の下方位置に位置された状態とされる。
しかも、筺体本体21と天井裏とが連通するよう形成された冷却風給気口29を介して装置外部に延びる給気路Sp、および、排気用ダクト70が筺体本体21の上方開口部28を介して装置外部に導出されることにより形成された排気路Epのいずれもが、劇場空間Srと隔離されているので、プロジェクタ装置10に供給される冷却風および排気に係る熱風ないしは温風(例えば40〜50℃)が劇場空間Sr内に排出されることを回避することができる。また、筺体20を構成する筺体本体21における壁および蓋体30が遮音パネルによって形成されて筺体20自体が遮音性および吸音性が高いものとして構成されているので、デジタルプロジェクタ11の冷却機構(ランプ冷却用の給気用ファン18aおよびその他の構成部材の冷却用の給気用ファン18b、並びに、排気用ファン19)の動作音などの騒音を、筺体20における壁を構成する遮音パネルによって遮蔽ないしは吸音することができる。従って、プロジェクタ装置10から劇場空間Sr内に発せられる騒音を可及的に小さく低減することができる。
このように、上記構成のプロジェクタ装置10によれば、デジタルプロジェクタ11からの排気や騒音に係る問題を解消することができてより快適な劇場空間Srを提供することができる。
さらに、ベローズにより構成された排気用ダクト70によって、排気用ダクト70がデジタルプロジェクタ11に接続された状態を維持することができるので、デジタルプロジェクタ11が降下された状態にあっても、デジタルプロジェクタ11に対する冷却風の供給、排気を行うことができて、メンテンナンス作業後のデジタルプロジェクタ11の動作確認を筺体20内に収容することなく行うことができる。
また、筺体20内におけるデジタルプロジェクタ11の上下方向の位置をエアシリンダ45を作動させることによって微調整することができるので、デジタルプロジェクタ11の昇降動作によって、あるいは、デジタルプロジェクタ11の自重によって、デジタルプロジェクタ11の投影レンズ12の位置の、筺体20における映写窓25の位置に対する位置ずれが生ずることを回避することができ、光学系を再調整するなどの作業が不要となる。
例えば、本発明のプロジェクタ装置においてはデジタルプロジェクタ11の昇降動作時において、デジタルプロジェクタ11の、筐体本体21に対する位置ないしは姿勢を規制する位置規制手段を備えた構成とすることができる。
案内ロッド61は、上端部が上方に向かうに従って小径となる尖頭状(円錐状)に形成されており、例えば、架台枠41の上面における対角の位置の2箇所に設けられている。
一対の案内ローラ62は、上下方向に延びる円柱状の案内ロッド移動路を挟んだ位置において、回転軸が水平方向に延びる姿勢で筐体本体21に対して固定されて設けられている。各々の案内ローラ62は、ローラ基体63の周面にガイド溝64が形成されてなるものであって、一対の案内ローラ62のガイド溝64によってロッド案内用空間Rが形成されている。そして、ロッド案内用空間Rが、平面視にて、案内ロッド61の外周輪郭形状と適合する形状となるよう各々の案内ローラ62の回転軸が互いに上下方向に変位した状態で位置されている。
さらにまた、デジタルプロジェクタを吊下支持するワイヤの本数、ワイヤの固定位置、エアシリンダの数およびその他の具体的な構成は、適宜変更することができる。
さらにまた、蓋体の表面上に2つの気密性緩衝部材を所定の間隔をあけて互いに平行に延びるよう配設して、二重シール構造を形成するよう構成されていてもよい。また、気密性緩衝部材が、筺体本体に設けられた構成とされていてもよい。
11 デジタルシネマ用プロジェクタ(デジタルプロジェクタ)
12 投影レンズ
13 冷却風導入用開口部
14 排気用開口部
15 光源装置
16 映像エンジン
17 電源装置
18a ランプ冷却用の給気用ファン
18b 給気用ファン
19 排気用ファン
20 筐体
21 筐体本体
22 底壁
23 下方開口部
24 蓋体受容装着部
25 映写窓
26 映写用開口部
27 窓部材
28 上方開口部
29 冷却風給気口
30 蓋体
35 気密性緩衝部材
36 固定用金具
40 架台
41 架台枠
42 フレーム部分
43 固定部材
45 エアシリンダ
46 ピストンロッド
47 シリンダチューブ
50 昇降システム
51 吊具
52 ワイヤドラム
53 巻き取りモータ
54 ガイドシーブ(みぞ車)
55 ワイヤ
61 案内ロッド
62 一対の案内ローラ
63 ローラ基体
64 ガイド溝
R ロッド案内用空間
70 排気用ダクト
71 排気用ファン
75 冷却風供給用ファン
Ep 排気路
Sp 給気路
F 冷却風流通路
80 映写機
Pr 映写室
Sr 劇場空間
S スクリーン
C 天井面
Claims (2)
- 劇場空間の天井部に上壁部が固定された、内部に密閉空間を形成する筐体と、当該筐体の内部に設置された、冷却機構を備えたデジタルシネマ用プロジェクタとを備えてなり、 前記デジタルシネマ用プロジェクタを冷却する冷却風の給気路と排気路が、前記劇場空間と隔離された状態で、前記筐体の上壁を介して装置外部に延びるよう形成されており、
前記排気路は、前記デジタルシネマ用プロジェクタにおける排気用開口部に一端部が接続された排気用ダクトが、前記筐体の上壁に形成された上方開口部を介して、装置外部に導出されて形成されており、
前記筐体は、下面が開閉可能に構成され、内部に前記デジタルシネマ用プロジェクタを昇降可能に支持する昇降システムを備えており、
前記排気用ダクトが、前記デジタルシネマ用プロジェクタの昇降方向に伸縮自在なベローズにより構成されていることを特徴とするデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置。 - 前記筐体は、前記上方開口部および下方に開口する下方開口部を有する筐体本体と、当該筐体本体における下方開口部を開閉する蓋体とにより構成されており、
当該蓋体および当該筐体本体のいずれか一方に、弾性体よりなる気密性緩衝部材が、当該蓋体および当該筐体本体との間に介在する状態で、設けられていることを特徴とする請求項1に記載のデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置。
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