JP5708847B1 - デジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
近年においては、映画産業は、世界的にフィルムからデジタルへの大きな変革期を迎えており、映画のデジタル化が急速に進み、高精細な映像が提供されるようになってきている。
而して、一般に、デジタルシネマ用プロジェクタは、大型のスクリーンに映像を投影するべく、光源としては、例えば、高入力の輝度を高めたキセノンショートアーク型の放電ランプが使用されている。このため、放電ランプの冷却装置等も一体化されて設けられた構成とされており、デジタルシネマ用プロジェクタ自体が非常に大きなものとなる。従って、特許文献1のように、デジタルシネマ用プロジェクタを床面に設置したのでは、例えば観客席の後方側に機器設置用の十分な広さの空間が必要となる。
また、デジタルシネマ用プロジェクタにおいては、ランプ交換などのメンテナンス作業を例えば定期的に行うことが必要とされることから、デジタルシネマ用プロジェクタを上映室内に設置するにあたり、メンテンナンス性(作業性)などを考慮した空間設計が必要となる。
しかしながら、デジタルシネマ用プロジェクタを単に天井から吊り下げて支持する構造では、劇場の美観を損なわせてしまうという問題がある。
前記筺体は、スクリーンに対向する正面に映写窓が形成された、下方に開口する開口部を有する筐体本体と、当該筐体本体における開口部を開閉し、筐体本体と共に密閉空間を形成する蓋体とにより構成されており、
前記デジタルシネマ用プロジェクタが、前記昇降システムによって、前記筐体から下方に降下可能に構成されていることを特徴とする。
前記エアシリンダは、加圧空気が供給されることにより前記蓋体の前記筐体本体に対する押圧状態が保持されるよう作動するものであることが好ましい。
当該位置規制手段は、前記架台に設けられた上下方向に延びる案内ロッドと、前記筐体本体に対して回転軸が固定されて設けられた、当該案内ロッドを案内する一対の案内ローラとにより構成されていることが好ましい。
しかも、デジタルシネマ用プロジェクタがワイヤによって吊下支持されていることにより、作業者は、デジタルシネマ用プロジェクタの全周方向からアクセスすることができるので、メンテナンス作業を容易にかつ確実に行うことができて高い作業性を得ることができる。
さらにまた、エアシリンダによって蓋体の筺体本体に対する押圧状態が保持されるので、例えばデジタルシネマ用プロジェクタの自重の影響などによって、筺体の気密性が低下することがなく、デジタルシネマ用プロジェクタから発せられる例えば冷却機構の動作音などの騒音が劇場空間に漏れることを確実に防止することができる。
図1は、本発明のデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置を利用した劇場空間の一例における構成の概略を示す図である。
本発明のデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置(以下、単に「プロジェクタ装置」ともいう。)10は、デジタルシネマ用プロジェクタ(以下、「デジタルプロジェクタ」ともいう。)11が、密閉空間を形成する筐体20の内部に設置されて構成されている。そして、劇場空間Srにおいて、例えば、筐体20の上壁の外面がスクリーンSに対して観客席の後方の天井面Cに固定されて設置され、劇場空間Srと別室に設置された映像信号(画像信号+音声信号)を送信するプレーヤ(図示せず)に、適宜の信号ケーブル(例えばLANケーブルなど)によって接続されて用いられる。なお、プロジェクタ装置10は、筐体20の一部が天井内に埋め込まれた状態で固定されて設置されていてもよい。
このプロジェクタ装置10は、下面が開閉可能に構成された筐体20を備えている。筐体20は、底壁22の中央部に下方に開口する開口部23を有する箱型形状の筐体本体21と、この筐体本体21の開口部23を開閉する蓋体(カバー板)30とにより構成されている。
筐体本体21の正面壁には、映写用開口部26が形成されており、当該映写用開口部26が例えばガラス製の板状の窓部材27により気密に閉塞され(図4参照)、これにより映写窓25が形成されている。
蓋体30は、例えば、一定の間隔をおいて互いに対向配置された2枚の鉄板間の空間内(中空部)に例えばロックウール(遮音材または吸音材)が充填された遮音パネルにより構成されている。
また更に、劇場空間Srに露出される外表面の吸音材は、劇場空間Srの壁や天井面Cと同じ内装クロスで被覆されていることが好ましい。このように、劇場空間Srと同様のクロスで覆われることで、劇場空間Srと一体感が得られた美観を得ることができる。
ここに、筐体本体21における壁の厚さは、外表面の吸音材の層まで含めると、例えば200〜250mmであり、筐体本体21における蓋体30の厚さは、外表面の吸音材の層まで含めると、例えば70〜100mmである。
気密性緩衝部材35は、遮音性ないしは吸音性を有する弾性体により構成される。弾性体の材質として好ましいものはゴム材であり、具体的には、クロロプレンスポンジ、シリコーンスポンジ、フッ素ゴムスポンジ、ウレタンスポンジ、PVCスポンジなどのスポンジゴム、或いは、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)などソリッドゴムが挙げられる。
このように、筐体本体21における蓋体受容装着部24と蓋体30との対接面が単なる平坦面ではなく、いわば屈曲した平面により構成されていることにより、高い遮音性を得ることができる。
キセノン放電ランプの具体的な構成例を示すと、例えば、定格消費電力が2〜6kWであり、キセノンガスの封入圧力(常温換算)は1MPa以上(例えば1〜2MPa)、管壁負荷は30W/cm2以上(例えば30〜40W/cm2)である。
各ワイヤ55は、複数のガイドシーブ(みぞ車)54によって張架されて設けられており、他端部がそれぞれ共通のワイヤドラム52に固定されている。ワイヤドラム52は、回転軸が水平方向に延びる姿勢で配置されており、巻き取りモータ53によって回転駆動される。ワイヤドラム52および巻き取りモータ53が各ワイヤ55に共通のものであることにより、デジタルプロジェクタ11の昇降動作時において、デジタルプロジェクタ11を確実に適正な姿勢(水平)に維持することができる。
この例においては、架台枠41に設けられた上下方向に延びる案内ロッド61と、案内ロッド61を案内する一対の案内ローラ62とにより構成された位置規制手段を備えた構成とされている。
案内ロッド61は、上端部が上方に向かうに従って小径となる尖頭状(円錐状)に形成されており、例えば、架台枠41の上面における対角の位置の2箇所に設けられている。
一対の案内ローラ62は、上下方向に延びる円柱状の案内ロッド移動路を挟んだ位置において、回転軸が水平方向に延びる姿勢で筐体本体21に対して固定されて設けられている。各々の案内ローラ62は、ローラ基体63の周面にガイド溝64が形成されてなるものであって、一対の案内ローラ62のガイド溝64によってロッド案内用空間Rが形成されている(図5参照。)。そして、ロッド案内用空間Rが、平面視にて、案内ロッド61の外周輪郭形状と適合する形状となるよう各々の案内ローラ62の回転軸が互いに上下方向に変位した状態で位置されている。
このプロジェクタ装置10においては、図4(a)にも示すように、デジタルプロジェクタ11は、通常、筐体20の内部に収容されて劇場空間Srと隔離されている。而して、ランプ交換などのメンテナンス作業を行う場合には、図4(b)に示すように、デジタルプロジェクタ11が昇降システム50によって筐体20の内部から下方に降下される。すなわち、巻き取りモータ53が例えば逆転駆動されることによりワイヤドラム52が回転され、各ワイヤ55が同一の送り出し量で送り出されて蓋体30が水平となる姿勢が維持された状態で、デジタルプロジェクタ11が床面に対して所定の位置(例えば床面から80cm程度の位置)まで降下される。ここに、ワイヤ55の送り出し速度は、例えば7m/分以下の範囲内で適宜に設定することができ、一定であっても、変化させてもよい。例えば、デジタルプロジェクタ11が床面から所定の高さまで降下されたときに送り出し速度が床面に接近するに従って低下される(最終的には0m/分となる)よう巻き取りモータ53の動作を制御することができる。
なお、エアシリンダ45は、後述するように、デジタルプロジェクタ11が筺体20内部に収容された状態においては、圧縮空気が供給されて動作状態とされているが、デジタルプロジェクタ11を降下させる際には、圧縮空気の供給が停止されることにより、ピストンロッド46がシリンダチューブ47の下方位置に位置された状態とされる。
そして、各ワイヤ55が所定の巻き取り量で巻き取られて蓋体30が筐体本体21における蓋体受容装着部24に気密性緩衝部材35を介して当接されて筺体本体21の開口部23が蓋体30によって塞がれた状態とされると(図6(a))、巻き取りモータ53の駆動が停止される。このとき、蓋体30が筺体本体21の受容装着部24に収納される際の振動は気密性緩衝部材35によって低減される。巻き取りモータ53の駆動制御は、例えばリミットスイッチやセンサなどによる過巻き防止手段(図示せず)によって行うことができる。
しかも、デジタルプロジェクタ11がワイヤ55によって吊下支持されていることにより、作業者は、デジタルプロジェクタ11の全周方向からアクセスすることができるので、メンテナンス作業を容易にかつ確実に行うことができて高い作業性を得ることができる。
さらにまた、エアシリンダ45の作動によって、蓋体30が気密性緩衝部材35を介して筺体本体21に対して押圧された状態が保持されて筺体20の気密構造が形成される構成とされていることにより、筺体20は一層高い遮音性および吸音性を有するものとなる。従って、例えばデジタルプロジェクタ11の自重の影響などによって、筺体20の気密性が低下することがなく、デジタルプロジェクタ11から発せられる例えば冷却機構の動作音などの騒音が劇場空間Srに漏れることを確実に防止することができる。
例えば、筺体は下面が開閉可能に構成されていれば、筺体本体の開口部を蓋体により開閉する構成のものに限定されない。
また、デジタルプロジェクタを吊下支持するワイヤの本数、ワイヤの固定位置、エアシリンダの数およびその他の具体的な構成は、適宜変更することができる。
さらにまた、位置規制手段は、デジタルプロジェクタの昇降動作時に、蓋体の筺体に対する位置を規制することのできるものであれば、案内ロッドと案内ローラとによるものに限定されない。
さらにまた、蓋体の表面上に2つの気密性緩衝部材を所定の間隔をあけて互いに平行に延びるよう配設して、二重シール構造を形成するよう構成されていてもよい。また、気密性緩衝部材が筺体本体に設けられた構成とされていてもよい。
11 デジタルシネマ用プロジェクタ(デジタルプロジェクタ)
12 投影レンズ
20 筐体
21 筐体本体
22 底壁
23 開口部
24 蓋体受容装着部
25 映写窓
26 映写用開口部
27 窓部材
30 蓋体
35 気密性緩衝部材
36 固定用金具
40 架台
41 架台枠
42 フレーム部分
43 固定部材
45 エアシリンダ
46 ピストンロッド
47 シリンダチューブ
50 昇降システム
51 吊具
52 ワイヤドラム
53 巻き取りモータ
54 ガイドシーブ(みぞ車)
55 ワイヤ
61 案内ロッド
62 一対の案内ローラ
63 ローラ基体
64 ガイド溝
R ロッド案内用空間
80 映写機
Pr 映写室
Sr 劇場空間
S スクリーン
C 天井面
Claims (3)
- 劇場空間の天井部に固定された筐体と、当該筐体の内部に設置されたデジタルシネマ用プロジェクタと、当該デジタルシネマ用プロジェクタをワイヤにより吊下支持する昇降システムとを備えてなり、
前記筺体は、スクリーンに対向する正面に映写窓が形成された、下方に開口する開口部を有する筐体本体と、当該筐体本体における開口部を開閉し、筐体本体と共に密閉空間を形成する蓋体とにより構成されており、
前記デジタルシネマ用プロジェクタが、前記昇降システムによって、前記筐体から下方に降下可能に構成されていることを特徴とするデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置。 - 前記筐体の開口部を開閉する蓋体上には、前記デジタルシネマ用プロジェクタを支持する架台がエアシリンダを介して固定され、当該架台に前記ワイヤが固定されて当該デジタルシネマ用プロジェクタが吊下支持されており、
前記エアシリンダは、加圧空気が供給されることにより前記蓋体の前記筐体本体に対する押圧状態が保持されるよう作動するものであることを特徴とする請求項1に記載のデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置。 - 前記デジタルシネマ用プロジェクタの昇降動作時において、当該デジタルシネマ用プロジェクタの、前記筐体本体に対する位置を規制する位置規制手段を備えており、
当該位置規制手段は、前記架台に設けられた上下方向に延びる案内ロッドと、前記筐体本体に対して回転軸が固定されて設けられた、当該案内ロッドを案内する一対の案内ローラとにより構成されていることを特徴とする請求項2に記載のデジタルシネマ映画館用のプロジェクタ装置。
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