JP5718848B2 - 内燃機関用潤滑油 - Google Patents

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Description

本発明は、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)が添加された潤滑油に係り、特に内燃機関用に好適な潤滑油に関する。
従来から、潤滑油の使用環境下において、潤滑油の油中に水分が混入されることがあり、この結果、摺動部分の摩耗が促進されることがある。特に、燃料中に水分が含まれるアルコール燃料対応自動車の内燃機関では、従来の内燃機関と比較して、潤滑油の油中水分が増加し易いことが知られている。
このような点を鑑みて、たとえば、特許文献1には、鉱油及び/又は合成油基油に対して、チオりん酸亜鉛系摩耗防止剤および無灰型防錆剤、を配合した内燃機関用潤滑油が提案されている。この技術によれば、アルコール燃料の燃焼により生成する多量の水や酸性物質が混入しても、潤滑油の摩耗防止性能を長期に亘り維持することができる。
また、特許文献2には、過塩基性マグネシウムスルホネートと、ジアリルジチオりん酸亜鉛とが添加された内燃機関用潤滑油が提案されている。過塩基性マグネシウムスルホネートは、エタノール系燃料の燃焼により生成される酸に対して中和性に優れ、さらには、錆の原因となる水分を、油中にエマルションとして保持する能力(エマルション保持性)に優れるため、内燃機関の摩耗や錆を抑制することができる。
特開平05−070786号公報 特開昭63−256695号公報
ところで、特許文献1の内燃機関用潤滑油の場合には、無灰型防錆剤を配合しているため、無灰型防錆剤を配合していない潤滑油と比較して、潤滑油中の多量な水分(例えば1重量%程度)による摩耗増加を抑制することができる。しかし、潤滑油中に水分が存在しない場合には、無灰型防錆剤により、無灰型防錆剤を配合してない潤滑油と比較し、摺動部分の摩耗防止性能は低下してしまうことがあった。
また、特許文献2の内燃機関用潤滑油に、清浄剤として一般的に用いられる過塩基性カルシウムスルホネートの代替として、過塩基性マグネシウムスルホネートを配合しているが、過塩基性マグネシウムスルホネートは、潤滑油中に水と炭酸ガスが存在する場合には、針状結晶として析出し、オイルフィルタを目詰まりさせてしまう問題があった。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、潤滑油中に水分が存在する場合の摺動部分の摩耗増加を抑制し、かつ、潤滑油中に水分が存在しない場合の摩耗防止性能の低下や、エンジン潤滑システム(オイルフィルタ等)の不具合などの、背反性能のない内燃機関用潤滑油を提供することにある。
添加すべき清浄剤としては、エンジン潤滑システム(オイルフィルタ等)の不具合を引き起こさないことから過塩基性カルシウムスルホネートを添加することが好ましい。しかし、発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、摩耗防止剤として、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)が添加された潤滑油中に、水分が存在する場合には、添加された過塩基性カルシウムスルホネートを構成するカルシウムスルホネートと炭酸カルシウムが乖離し、乖離した炭酸カルシウムが水、およびジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)と摺動部分にて接触することで、これら3物質の間で摩擦エネルギーによる化学反応が発生し、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)を変質させることを見いだした。
本発明は、このような発明者らの新たな知見に基くものであり、本発明に係る内燃機関用潤滑油は、基油に、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)と過塩基性カルシウムスルホネートとを配合した内燃機関用潤滑油であって、前記過塩基性カルシウムスルホネートは、カルシウムスルホネートによりミセル化された炭酸カルシウム粒子であり、前記過塩基性カルシウムスルホネートは、動的光散乱法により測定される流体力学的直径の粒度分布における、体積基準のメジアン径(D50)が10nm以下であることを特徴とする。以降、便宜上「流体力学的直径」を「粒径」と称する。
本発明によれば、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)と過塩基性カルシウムスルホネートとを配合した内燃機関用潤滑油であるので、潤滑油に水分が混入していない場合には、これらの添加剤により、摺動部分の摩耗を抑制することができる。さらに、潤滑油に水分が混入している場合には、過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)が、10nm以下となっているので、炭酸カルシウム粒子からのカルシウムスルホネートの乖離を抑制することができる。この結果、炭酸カルシウムが水やジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)と接触することを抑え、化学反応の発生を抑制し、ひいてはジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)の変質を抑制することができる。
好ましい態様としては、前記内燃機関用潤滑油は、エタノール燃料対応車両の内燃機関用潤滑油またはハイブリッド車両の内燃機関用潤滑油として用いられる。エタノール燃料対応車両の内燃機関用潤滑油またはハイブリッド車両の内燃機関用潤滑油は、使用に伴い油中水分量が増加する傾向にあるので、上述した内燃機関用潤滑油を用いるに適している。
本発明によれば、背反性能なく、安価に、潤滑油中に水分が存在する場合の摺動部分の摩耗増加を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る内燃機関用潤滑油を説明するための模式図であり、(a)は内燃機関用潤滑油に添加される過塩基性カルシウムスルホネートの模式図、(b)は過塩基性カルシウムスルホネートを構成するカルシウムスルホネートの構造式を示した図。 水分による炭酸カルシウム粒子からのカルシウムスルホネートの乖離を説明するための図。 実施例1および比較例2の過塩基性カルシウムスルホネートの粒径を測定した結果を示した図。 実施例に係る摩耗試験を説明するための図。 実施例1、比較例1、2、3の内燃機関用潤滑油と、これらに対して水分を10質量%添加して調製した潤滑油とを用いた場合の摩耗痕深さの結果を示した図。 実施例1および比較例1、3、4の内燃機関用潤滑油おいて、摩耗痕深さ増加割合と、潤滑油に含まれる過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)との関係を示した図。
以下の本発明を実施形態により説明する。
ここでまず、内燃機関に用いられる潤滑油の使用環境について簡単に説明する。内燃機関の中でも、エタノール燃料対応車両における内燃機関や、ハイブリッド車両における内燃機関に用いられる潤滑油は、従来の内燃機関と比較して、油中水分量が増加し易いことが知られている。
具体的には、エタノール燃料対応車両の場合には、エタノールの吸湿性のため、燃料中にガソリン燃料よりも多くの水分を含むこと、ならびに、エタノールの燃焼によりガソリンの燃焼よりも多くの水分が燃焼室内に生成されることがある。それらの水分が、燃焼室近傍の潤滑油と混合することで、潤滑油中に多量の水分(例えば1重量%程度)が混入することになる。
一方、ハイブリッド車両の場合には、内燃機関(エンジン)が頻繁に停止することになるため、従来のエンジンのみの車両に比べて、潤滑油は低い油温に保たれることになる。この結果、潤滑油に含まれる水分は蒸発し難く蓄積されることになる。これにより、潤滑油中に水分がより多量に混入されることになる。
このような油中水分量が増加する環境下に用いる内燃機関用潤滑油(クランクケースオイル)として、本実施形態では、以下の潤滑油を用いる。具体的には、エタノール燃料対応車両の内燃機関、またはハイブリッド車両の内燃機関に用いるに好適な潤滑油である。本実施形態に係る内燃機関用潤滑油は、基油に、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)と過塩基性カルシウムスルホネートとを添加剤として配合した内燃機関用潤滑油である。
ここで基油は、エンジンオイルとして一般的に用いられる基油であり、その種類は、特に限定されるものではない。例えば、鉱油をはじめとする全ての基油を使用することができる。鉱油の他にも、エステル系合成油、合成炭化水素油、エーテル系合成油など各種合成油、植物油などを挙げることができる。
ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)は、摺動部分の摩耗を抑制するための摩耗防止剤として機能させるために基油に添加されている。一方、過塩基性カルシウムスルホネートは、界面活性剤であるカルシウムスルホネートと中和剤である炭酸カルシウム粒子から構成されており、カルシウムスルホネートは、潤滑油の劣化物が不溶性スラッジとなることを抑制するために、炭酸カルシウム粒子は、基油の酸化等により生成する有機酸などの酸成分を中和するために、それぞれ基油に添加されている。
このようなジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)の具体例としては、例えば、ジイソプロピルジチオりん酸亜鉛、ジイソブチルジチオりん酸亜鉛、ジプロピルジチオりん酸亜鉛、ジブチルジチオりん酸亜鉛、ジペンチルジチオりん酸亜鉛、ジヘキシルジチオりん酸亜鉛、ジヘプチルジチオりん酸亜鉛、及びジオクチルジチオりん酸亜鉛等の炭素数3〜18の直鎖状若しくは分枝状アルキル基を有するジアルキルジチオりん酸亜鉛、ジフェニルジチオりん酸亜鉛、及びジトリルジチオりん酸亜鉛等の炭素数6〜18のアリール若しくはアルキルアリール基を有する((アルキル)アリール)ジチオりん酸亜鉛などを挙げることができ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
過塩基性カルシウムスルホネートは、図1(a)に示すように、カルシウムスルホネート(界面活性剤)によりミセル化された炭酸カルシウム粒子である。カルシウムスルホネートは、頭部基にスルホネート基を有し、これに炭化水素基が結合したものであり、図1(b)に示す構造式のものをいう。
このように、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)と過塩基性カルシウムスルホネートとを配合した内燃機関用潤滑油であるので、潤滑油に水分が混入していない場合には、これらの添加剤により、潤滑油中に存在する酸成分を中和すると共に、摺動部分の摩耗を抑制することができる。
ここで、本実施形態では、過塩基性カルシウムスルホネートは、体積基準のメジアン径(D50)が、10nm以下となっているので、炭酸カルシウム粒子からのカルシウムスルホネートの乖離を抑制することができる。
すなわち、発明者らの実験によれば、体積基準のメジアン径(D50)が、10nmを越えた場合には、図2に示すように、炭酸カルシウム粒子からカルシウムスルホネートが乖離してしまう(ミセル構造が破壊されてしまう)。ここで、体積基準のメジアン径(D50)が10nmを越えた場合に炭酸カルシウム粒子からカルシウムスルホネートが乖離する機構は明確ではない。
しかし、現在は以下のように考えている。まず、内燃機関用潤滑油に添加される過塩基性カルシウムスルホネートにおける、カルシウムスルホネートの長さ(図2参照)は、その役割が同じであるため、製品に寄らず同一と考えられる。すると、過塩基性カルシウムスルホネート粒径の違いは、炭酸カルシウム粒径の違いを表していると解釈できる。すると、過塩基性カルシウムスルホネート粒径が大きい場合には、炭酸カルシウム粒子の比表面積が減少し、単位炭酸カルシウム体積あたりのカルシウムスルホネート吸着量が減少する。これにより、過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)が10nmを越える場合には、図2に示すように、炭酸カルシウム粒子からカルシウムスルホネートが乖離してしまう(ミセル構造が破壊されてしまう)と考えている。
このカルシウムスルホネートから乖離した炭酸カルシウム粒子、および水とジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)が摩擦面で接触することで、これら3物質の間で化学反応が発生し、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)を劣化(変質)させてしまう。これにより、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)の摩耗防止性能は喪失し、さらに腐食性物質が摩擦面で形成される。
また、上述した特許文献1に記載の潤滑油では、潤滑油中の水分による摺動部分の摩耗増加を抑制するために、摺動部分の摩擦面に吸着しやすい添加剤(無灰型防錆剤)を新たに加えていた。この添加剤は、水分の有無にかかわらず摩擦面に吸着するため、競争吸着の考えに基づくと、摩耗防止剤であるジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)が摩擦面に吸着することを妨げるおそれがあった。
しかしながら、本実施形態では、新たなにこのような添加剤を加えるまたは増加させることなく、過塩基性カルシウムスルホネートの粒径のみを制御しているため、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)が摩擦面に吸着することを妨げることはない。この結果、本実施形態の潤滑油の場合には、背反性能なく、安価に、潤滑油中に水分が存在する場合の摺動部分の摩耗増加を抑制することができる。
なお、本実施形態に係る過塩基性カルシウムスルホネートの粒径は、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計を用いて、ヘテロダイン法よる動的光散乱の周波数解析と、屈折率入力、吸光度補正により、測定した流体力学的直径における体積基準のメジアン径(D50)である。具体的な原理としては、溶媒中でブラウン運度している粒子に光を照射すると、ドップラー効果により微粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数は、照射した光(入射光)の振動数から変化する。この変化量から、体積基準で粒子径の分布(頻度)を求めることができる。
ここで、動的光散乱法で測定される直径は「流体力学的直径」と呼ばれ、測定対象において分散する粒子形状を全て球体と仮定した場合に、測定対象と同じ拡散係数を持つ球体の直径である。
また、カルシウムスルホネートは、たとえば、アルキル基を有する芳香族カルボン酸に、水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムと、二酸化炭素を導入することにより製造でき、例えば、カルシウム粒子の粒径は、カルシウムスルホネートのアルキル基を変えることにより調整することができる。
以下に本発明を実施例に基づいて詳述する。
1.潤滑油中の混入する水分量について
上述した実施形態において述べたように、燃料中に水分が含まれるエタノール燃料対応自動車や、潤滑油(エンジンオイル)の油温が低温に保持されるハイブリッド自動車の内燃機関では、従来の内燃機関と比較して、潤滑油の油中水分量は増加し易いことが知られている。それらの内燃機関における潤滑油の油中水分量を定量的に把握するために、供試燃料(エタノール100%燃料・市販ハイオクガソリン燃料)と油温(低温・高温)が油中水分量を調査した。具体的には、表1に示す潤滑油を用いて、実機の自動車用内燃機関を駆動させながら、内燃機関のオイルパン、ヘッドデッキ、ヘッドカバーにおける潤滑油を、定期的に採取し、その採取した潤滑油の油中水分量を測定した。この結果を以下の表1に示す。
Figure 0005718848
表1に示す供試燃料として市販ハイオクガソリン燃料を用いた結果より、油温が50℃の場合は、85℃の場合と比較して、油中水分が5倍多いことがわかる。ここで、ハイブリッド自動車、またはプラグインハイブリッド自動車のように内燃機関が頻繁に停車する車両では、表1の低温温条件(油温52℃の結果)のように、油温が上がらないことが良く知られている。このように、ハイブリッド自動車、またはプラグインハイブリッド自動車の内燃機関では、従来の内燃機関と比較して油中水分量が増加することが予想される。
一方、表1の結果に示す供試燃料としてエタノール100%燃料を用いた結果より、低油温時におけるオイルパンでの油中水分量は、市販ハイオクガソリン燃料を用いた場合と比較して約25倍多いことがわかる。また、油中水分量は、採取場所によって異なり、最大で8質量%程度になることがわかる。これにより、エタノール燃料対応内燃機関では、従来の内燃機関と比較して油中水分量が増加することが予想される。
したがって、市場において潤滑油中に存在しうる最大の水分量を潤滑油に対して10質量%と想定し、以下の試験では、水分を含有させる場合には、潤滑油に対して水分を10質量%添加し、24時間攪拌して、調製する。
2.内燃機関用潤滑油の作製について
〔実施例1〕
潤滑油の基油(Yubase 4 (SK Lubricants社製))に、潤滑油全量に対して、過塩基性カルシウムスルホネートをカルシウム量として、0.24質量%、ホウ素を含有しないコハク酸イミド系分散剤を窒素量として0.06質量%、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)をりん量として0.08質量%配合し、その後、油温60℃で24時間攪拌し、内燃機関用潤滑油を作製した。なお、過塩基性カルシウムスルホネートとして、体積基準のメジアン径(D50)が、10nm以下のものを準備した。
〔比較例1〕
実施例1と同様にして、内燃機関用潤滑油を作製した。実施例1と相違する点は、過塩基性カルシウムスルホネートとして、体積基準のメジアン径(D50)が、10nmを超える市販のもの(LZ-6477C (Lubrizol社製)を添加した点である。
〔比較例2〕
実施例1と同様にして、内燃機関用潤滑油を作製した。実施例1と相違する点は、過塩基性カルシウムスルホネートを添加していない点である。
〔比較例3〕
内燃機関用潤滑油として、市販のガソリンエンジン用潤滑油(トヨタ自動車製、ILSAC GF−4規格油、粘度グレード5W−30)を準備した。
〔比較例4〕
内燃機関用潤滑油として、市販のガソリンエンジン用潤滑油(Lubrizol製、エタノール燃料対応潤滑油)を準備した。
3.過塩基性カルシウムスルホネートの粒度分布の測定
実施例1および比較例1〜4に含まれる過塩基性カルシウムスルホネートの粒度分布を測定した。具体的には、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(UPA−EX250、日機装製)を用いて、室温(15℃)で粒度分布(粒径−頻度)を測定した。なお、本装置では温度補正がされているため、測定温度による誤差は加味されている。また、測定誤差の影響を避けるため、測定は3回行い、この3回の測定により得られた平均分布曲線を用いて、動的光散乱法により測定される流体力学的直径の粒度分布における、過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)を測定した。
なお、比較例1の内燃機関用潤滑油は、測定毎にバラツキが大きかったため、上述した基油の代わりに、ヘキサン中に過塩基性カルシウムスルホネートを20質量%溶解させ、粒度分布を測定した。なお、実施例1の内燃機関用潤滑油も同様にして測定した。この結果を、図3および表2に示す。この結果から、基油中およびヘキサン中において、実施例1の過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)は、9nmであることから、比較例1の基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)は、12nmであるといえる。
Figure 0005718848
4.摩耗試験
リング試験片およびブロック試験片を用いてブロックオンリング摩耗試験を行った。この試験では、図4に示すように、下側にリング試験片1Aを配置し、そのリング試験片1Aの上側にリング試験片1Aの外周面がブロック試験片30Aの摺動面に当接するようにブロック試験片を配置した。
実施例1、比較例1〜4の内燃機関用潤滑油に対して水分を10質量%添加し、24時間攪拌した潤滑剤をさらに準備した。そして、油浴槽40内において、上述した実施例1、比較例1〜4の内燃機関用潤滑油(水分を添加したもの、水分を添加していないもの)をそれぞれ収容し、リング試験片を油浴した状態で、ブロック試験片30Aをリング試験片1Aに所定の荷重で押し付けつつ、線接触形態における連続すべり条件となるように、テスト試験片を回転させた。
ここで、ブロック試験片としては、表面硬さHv700〜800、表面粗さ(中心線平均粗さRa)0.2mmの浸炭焼入れ鋼材を用い、リング試験片には、表面硬さHv560〜770、表面粗さ(中心線平均粗さRa)0.35mmの市販のFALEX社製のS−10試験片を用いた。下記の試験条件下で摩耗痕深さを測定した。ここで、摩耗痕深さの定義は、非摺動部−凹型摺動部の最深部間の高低差とし、これを、白色干渉式の非接触表面形状測定機を用いて測定した。この結果を、図5および図6に示す。
図5は、実施例1、比較例1、2、3の内燃機関用潤滑油と、これらに対して水分を10質量%添加し、24時間攪拌して、調製した潤滑油とを用いた場合の摩耗痕深さの結果である。図6は、実施例1および比較例1、3、4の内燃機関用潤滑油おいて、(水分を添加した潤滑油を用いたときの摩耗痕深さ)/(水分未添加の潤滑油を用いたときの摩耗痕深さ)を摩耗痕深さ増加割合として、これと、潤滑油に含まれる過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)との関係を示した結果である。
<摩耗試験条件>
荷 重 :2.95kgf
回転数 :164rpm(0.30m/s)
油 温 :40℃
時 間 :30分
(結果および考察)
図5に示すように、実施例1および比較例3における水分0質量%の場合の摩耗痕深さは同等であった。すなわち、このことから、実施例1の如き過塩基性カルシウムスルホネートを添加しても、水分が存在しない場合における摩耗に関する背反性能はなく、摺動部分には、市販潤滑油である比較例3と同等の耐摩耗性が得られる。
さらに、実施例1の場合には、水分を10質量%添加することによる摩耗痕深さの増加が、比較例1のものと比べて抑制されている。ここで、実施例1と比較例1は、比較例2に対して、それぞれ体積基準のメジアン径(D50)の異なる過塩基性カルシウムスルホネートを添加したものである。つまり、実施例1と比較例1の相違点は、過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)のみである。
このことから、実施例1の如く、潤滑油中に過塩基性カルシウムスルホネートを添加した場合においても、体積基準のメジアン径(D50)を10nm以下にすることにより、水分が存在する場合の摩耗増加を、背反性能なく、抑制することができると考えられる。
さらに、図6に示すように、比較例2〜4の潤滑油の場合には、過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)が、10nmを超えており、このことが理由で、比較例2〜3の潤滑油を用いた試験片の摩耗痕深さは、実施例1のものよりも大きくなったものと考えられる。
以上のことから、実施例1のごとく過塩基性カルシウムスルホネートの体積基準のメジアン径(D50)が、10nm以下の場合には、炭酸カルシウム粒子の比表面積が大きくなり、炭酸カルシウム粒子がカルシウムスルホネート(界面活性剤)によって覆われる比率が高くなると考えられる。この結果、炭酸カルシウム粒子からのカルシウムスルホネートの乖離が抑制される。すると、炭酸カルシウムが水やジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)に摺動部分で接触する確率が減少し、この結果、3物質の間で起こる化学反応が抑制され、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)の劣化(変質)、および腐食性物質の生成が抑制されたと考えられる。この結果、摩耗痕深さが小さくなったと考えられる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、さまざまな変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成にほかの実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

Claims (1)

  1. 基油に、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)と過塩基性カルシウムスルホネートとを配合した内燃機関用潤滑油であって、
    前記過塩基性カルシウムスルホネートは、カルシウムスルホネートによりミセル化された炭酸カルシウム粒子であり、
    前記過塩基性カルシウムスルホネートは、動的光散乱法により測定される流体力学的直径の粒度分布における、体積基準のメジアン径(D50)が10nm以下であり、
    前記内燃機関用潤滑油は、エタノール燃料対応車両の内燃機関用潤滑油またはハイブリッド車両の内燃機関用潤滑油であることを特徴とする内燃機関用潤滑油。
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