JP5718719B2 - メラミンフォームの製造方法及びその製造方法により製造したメラミンフォーム - Google Patents

メラミンフォームの製造方法及びその製造方法により製造したメラミンフォーム Download PDF

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本発明は、メラミンフォームの撥水処理方法及び撥水処理をしたメラミンフォームに関し、特に、色ムラや黄変色を防止し、メラミンフォーム表面と内部の撥水性を均一にし、良好な撥水性能を付与するメラミンフォームの撥水処理方法及び撥水処理をしたメラミンフォームに関する。
メラミンフォームは、メラミン樹脂をフォーム状にしたものであり、難燃性が高く、軽量であることから、家電の断熱材、住宅の建材、自動車の吸音材、鉄道車輌の断熱材/吸音材、OA機器、ATM等の吸音材等の用途への利用が図られている。しかし、メラミンフォームは親水性が高く瞬時に吸水し、しかも乾燥しにくい。特に、家電において水分を含むメラミンフォームを使用すると、漏電のおそれや腐食促進、カビの発生、目視用窓の曇りなどを生じてしまう問題がある。
そこで、メラミンフォームを様々な用途に利用するためには、メラミンフォームを撥水加工する必要があり、一般的には、撥水液にフォームを含浸させた後、ニップ/プレスローラーなどで過剰な含浸液を絞り出し、撥水液の水分を蒸発乾燥させる事で、撥水加工を行っている。
例えば、特許文献1では、疎水及び疎油性コーティングを備えたメラミン樹脂フォームを提供することを目的として、連続気泡型メラミン樹脂フォームの気泡形成材料の表面を、フルオロカーボン樹脂及び変性ポリイソシアネートの混合物でコーティングしたメラミン樹脂フォームの製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、メラミン系樹脂発泡体が本来有する物性である吸音性等を低下させることなく、優れた撥油性を付与したメラミン系樹脂発泡体を提供することを目的として、メラミンホルムアルデヒド縮合物及び発泡剤を主成分とする樹脂組成物を発泡させることにより得られる基材に、非親油性成分を被覆してなるメラミン系樹脂発泡体が開示されている。
特表2010−504384号公報 特開平10−001554号公報
上記の先行技術により、メラミンフォームに十分な疎水性/疎油性や撥水性/撥油性を持たせようとすると、フォーム表面に色ムラや不均一な黄変色が生じることによりフォームの外観に茶黄色のまだら模様が発生する問題がある。また、フォーム表面とフォーム内部で撥水性等の程度に差が生じ、フォーム内部に十分な撥水性能等を確保できない問題がある。フォームの表面と内部とで撥水性能に差がある場合、フォーム内に侵入した水分により、電気機器において漏電、腐食促進、カビの発生、目視用窓の曇りなどの問題が生ずる可能性もある。
また、フォームを切断加工した場合には、撥水性の低い内部が表面に表出するため、さらに上記の問題が生じやすい。
また、浸透剤を用い、撥水液の浸透性を向上させる手段もあるが、浸透剤は、消防法で定める危険物に該当し(第4類第3石油類)、その引火点などから、原料管理、作業環境、コスト面などの点から、浸透剤を用いることは好適とは言えない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、メラミンフォームに対して最適な条件下で撥水処理を行うことにより、メラミンフォームの色ムラや黄変色を防止し、フォーム表面とフォーム内部の撥水性が均一で安定したかつ良好な撥水性能を有するメラミンフォームを製造する製造方法及びその製造方法により製造したメラミンフォームを提供することにある。
上記課題を解決するために、発泡硬化したメラミンフォームを、熱可塑性フッ素樹脂を含む水系エマルジョンに含浸する工程と、その熱可塑性フッ素樹脂が流動性を生ずる温度未満の温度で、水分を除去するためそのメラミンフォームを乾燥する工程と、その熱可塑性フッ素樹脂が流動性を生ずる温度で、そのメラミンフォームを加熱する工程と、を有し、水系エマルジョンは、0.075〜2.5重量パーセントの熱可塑性フッ素樹脂の固形分を含み、乾燥する工程において、メラミンフォームに含まれる水分を1パーセント以下に除去し、メラミンフォームを乾燥することを特徴とする撥水性メラミンフォームの製造方法が提供される。
これによれば、色ムラや黄色が少なく、フォーム表面と内部の撥水性が均一で安定した、良好な撥水性能を有するメラミンフォームを製造する製造方法を提供することができる。
さらに、その熱可塑性フッ素樹脂が流動性を生ずる温度は、100°C以上であって、その熱可塑性フッ素樹脂の融解ピーク温度±25°Cであることを特徴としてもよい。
これによれば、色ムラや黄変度が少なく、フォーム表面と内部の撥水性がより均一で安定した、より良好な撥水性能を有するメラミンフォームを製造する製造方法を提供することができる。
別の観点によれば、上記課題を解決するために、メラミンフォームの骨格表面に熱可塑性フッ素樹脂を被覆した撥水性フォームにおいて、その撥水性フォームの表面における水の接触角に対する、撥水性フォームの内部における水の接触角の比(P)が、次式(1)を満たし、メラミンフォームの質量に対する前記撥水性フォームの質量の増分(Q)が、次式(2)を満たす撥水性フォームを提供することができる。
P = B/A ≧ 0.97 ・・・(1)
0.20 ≧ Q =(C−D)/C ≧ 0.01 ・・・(2)
但し、上記式において、Aは撥水性フォームの表面における水の接触角、Bは撥水性フォームの内部における水の接触角を示す。また、Cは撥水性フォームの質量、Dはメラミンフォームの質量を示す。なお、水の接触角は、JIS R 3257−1999に準拠して測定した値であり、黄色度は、JIS K 7105−1981に準拠して測定した値である。
これによれば、色ムラや黄変色を防止し、フォーム表面と内部の撥水性が均一で安定した、良好な撥水性能を有する撥水性メラミンフォームを提供することができる。
さらに、撥水性フォームの黄色度とメラミンフォームの黄色度との差で示される黄変度(ΔYI)が、次式(3)を満たすことを特徴としてもよい。
ΔYI = E−F ≦ 4 ・・・(3)
但し、Eは前記撥水性フォームの黄色度、Fは前記メラミンフォームの黄色度を示す。
これによれば、より色ムラや黄変色を防止し、フォーム表面と内部の撥水性が均一で安定した、良好な撥水性能を有する撥水性メラミンフォームを提供することができる。
以上説明したように、本発明によれば、メラミンフォームの色ムラや黄変色を防止し、フォーム表面とフォーム内部の撥水性が均一で安定したかつ良好な撥水性能を有するメラミンフォームを製造する製造方法を提供することができる。また、色ムラや黄変色を防止し、フォーム表面と内部の撥水性が均一で安定した、良好な撥水性能を有する撥水性メラミンフォームを提供することができる。
示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により、熱可塑性フッ素樹脂の流動化温度を示す図。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に使用されるメラミンフォームは、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合によりなる熱硬化性のメラミン樹脂と、乳化剤、発泡剤、硬化剤など、メラミンフォーム製造において一般的に使用される添加物を含有する水性またはアルコール性の溶液を発泡、架橋させることにより作製される。メラミンフォームの製造方法は、メラミンフォーム製造において一般的に使用される方法であり、特に限定されない。なお、本発明に用いられるメラミンフォームは、その目的や用途等に応じて、その密度やセル数は適宜選択される。また、その大きさや形状も、同様に適宜選択される。
また、本発明に使用される熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等を挙げることができるが、特に限定されない。
かかる熱可塑性フッ素樹脂を水系溶液に、適宜乳化剤(界面活性剤)と共に添加し、エマルジョン水溶液を生成する。この水系エマルジョンにおける、熱可塑性フッ素樹脂の濃度は、0.075〜2.5重量パーセント、好ましくは、0.1〜2.0重量パーセント、より好ましくは、0.2〜2.0重量パーセントである。詳細は後述する。
本発明に係る撥水処理方法を以下に述べる。まず、発泡硬化したメラミンフォームを、上記のようにして生成した水系エマルジョンに含浸する。上記のような希薄な熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液を使用することにより、エマルジョン水溶液がメラミンフォームのフォーム内に十分に浸潤し、メラミンフォームの各骨格表面を薄く均一に被覆することとなる。また、好ましくは、十分に浸潤させるため、長時間含浸する。
次に、メラミンフォームをエマルジョン水溶液から取り出し、含浸したエマルジョン水溶液をメラミンフォームに適量残すように、メラミンフォームをプレスロール等で絞る。好ましくは、基材であるメラミンフォームの重量に対して、10倍程度の重量のエマルジョン水溶液が残るように、絞る。ただし、これに限定されず、自然落下等を含む一般的に用いられる他の方法により、メラミンフォームからエマルジョン水溶液を適量除去してもよい。
次に、エマルジョン水溶液に添加された熱可塑性フッ素樹脂の融点(融解温度と同義)またはガラス転移点より低い温度で、絞ったメラミンフォームを乾燥する。この乾燥温度は、使用した熱可塑性フッ素樹脂の融点またはガラス転移点以下の温度であり、即ち、メラミンフォームの骨格を被覆したエマルジョン水溶液に含まれる熱可塑性フッ素樹脂自体の剛性/粘度が低下せず、流動性がない状態で、水分のみを除去する程度の温度である。なお、乾燥後に残存する水分量は、好ましくは、完全に乾燥させるため、1パーセント以下である。
次に、乾燥したメラミンフォームを、熱可塑性フッ素樹脂の融点またはガラス転移点付近で加熱する。即ち、この加熱温度は、メラミンフォームの骨格に付着した熱可塑性フッ素樹脂自体の剛性/粘度が低下し、流動性が生じる程度の温度である。この加熱により、熱可塑性フッ素樹脂が、メラミンフォームの骨格表面に融着し、撥水性のある熱可塑性フッ素樹脂の皮膜がメラミンフォームの骨格表面に形成される。その結果、熱可塑性フッ素樹脂がメラミンフォーム内部にも十分に浸潤しているので、メラミンフォーム表面だけでなく内部においても、良好で安定した撥水性能を有するメラミンフォームに提供することができる。
なお、樹脂のような非結晶固体材料においては、その流動性が増加する温度は、温度の一点というよりある巾がある場合がある。即ち、融点という一点の温度である必要はなく、流動性が生ずる温度であれば、同様に、加熱により、熱可塑性フッ素樹脂が、メラミンフォームの骨格表面に融着し、撥水性のある熱可塑性フッ素樹脂の皮膜がメラミンフォームの骨格表面に形成される。
例えば、後述するように、実施例で用いた熱可塑性フッ素樹脂を含む撥水剤は、DSCにおける補外融解開始温度以上かつ補外融解終了温度以下の温度おいて流動性を生ずる。そうすると、熱可塑性フッ素樹脂の補外融解開始温度以上かつ補外融解終了温度以下の温度で、メラミンフォームを加熱することにより、熱可塑性フッ素樹脂が、メラミンフォームの骨格表面に融着し、撥水性のある熱可塑性フッ素樹脂の皮膜がメラミンフォームの骨格表面に形成させることができる。なお、DSC(Differential Scanning Calorimetry)とは、示差走査熱量測定であり、JIS K 7121−1987(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定される。
この場合、前工程の乾燥温度は、好ましくは、乾燥工程で熱可塑性フッ素樹脂の流動性が増加しないようにするため、熱可塑性フッ素樹脂の補外融解開始温度以下の温度である。
なお、乾燥工程と加熱工程は、続けて行ってもよいし、途中に室温で放冷してもよい。
メラミンフォームに対して、上記の撥水処理方法を施すことにより撥水処理された撥水性フォームを提供することができる。
本撥水性フォームは、メラミンフォームの骨格表面に熱可塑性フッ素樹脂を被覆し、撥水性フォームの表面における水の接触角(A)に対する、撥水性フォームの内部における水の接触角(B)の比(P)が、
P = B/A ≧ 0.97
を満たし、
メラミンフォームの質量(D)に対する撥水性フォームの質量(C)の増分(Q)が、
0.20 ≧ Q =(C−D)/C ≧ 0.01
を満たす。
これによれば、色ムラや黄色が少なく、フォーム表面と内部の撥水性が均一で安定した、良好な撥水性能を有する撥水性フォームを提供できる。
なお、水の接触角は、JIS R 3257−1999(基板ガラス表面のぬれ性試験方法)に準拠して測定した値である。また、撥水性フォームの内部における水の接触角とは、撥水性フォームの表面ではない部分の水の接触角であり、具体的には、撥水性フォームを切断し、その切断面における水の接触角を測定する。
また、好ましくは、撥水性フォームは、さらに、撥水性フォームの黄色度(E)とメラミンフォームの黄色度(F)との差で示される黄変度(ΔYI)が、
ΔYI = E−F ≦ 4
を満たす。これによれば、色ムラや黄変度が少なく、フォーム表面と内部の撥水性が均一で安定した、良好な撥水性能を有する撥水性フォームを提供できる。なお、黄色度は、JIS K 7105−1981に準拠して測定した値であり、ΔYIが正の値の場合は、黄色度が増加したことを示す。
また、フッ素樹脂はぬれ性が低く撥油性も向上するので、メラミンフォームの色ムラや黄変色を防止し、フォーム表面とフォーム内部の撥水性及び撥油性が均一で安定したかつ良好な撥水・撥油性能をメラミンフォームに付与する撥水撥油加工方法を提供することができる。また、色ムラや黄変色を防止し、フォーム表面と内部の撥水性及び撥油性が均一で安定した、良好な撥水撥油性能を有する撥水撥油性メラミンフォームを提供することができる。
<実施例1>
使用したメラミンフォームは、バソテクトG(BASF社製)であり、その重量は2.0グラムであり、外形は70×270×12ミリメートルの直方体である。また、熱可塑性フッ素樹脂の撥水剤は、熱可塑性フッ素樹脂を含有する固形分が20wt%のエマルジョン水溶液であるAsahiGuard E−Series AG−E082を、さらに水で希釈し、熱可塑性フッ素樹脂固形分の濃度を、2wt%としたエマルジョン水溶液である。
含浸する時間は5時間である。含浸後に、基材であるメラミンフォームの重量に対して、10倍重量のエマルジョン水溶液が残るように絞る。その後の乾燥は電気炉を用い、乾燥温度は80°C、乾燥時間は4時間である。乾燥後の水分量は0である。また、乾燥後の加熱は電気炉を用い、加熱温度は140°Cで、加熱時間は7分である。
撥水性フォームの内部における水の接触角は、70×270×12ミリメートルの撥水性フォームの270ミリメートルの辺を135ミリメートルずつに切断し、その切断面(70×12ミリメートルの長方形)のほぼ中央部における水の接触角を測定した。以下では、撥水性フォームの内部における水の接触角を、断面(平均)の接触角と記載する。
メラミンフォームを上記撥水処理方法にて撥水処理を行った撥水性フォームは、以下の結果となった。なお、接触角は、152以上を最良(◎)、150以上152未満を良(○)、130以上150未満を可(△)、130未満を不可(×)と評価した。また、撥水性フォームの表面における水の接触角(A)に対する断面の接触角(B)の比(A/B)は、99%以上を最良(◎)、97%以上99%未満を良(○)、90%以上97%未満を可(△)、90%未満を不可(×)と評価した。また、黄変度は、0以下を最良(◎)、0より大きく2以下を良(○)、2より大きく4以下を可(△)、4より大を不可(×)と評価した。
表面平均の接触角は153.3と最良(◎)であり、断面平均の接触角は151.3と良(○)であり、表面と内部(断面)の接触角の比は、98.7であり良と評価された。また、黄変は1.7と良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。なお、黄変は、JIS K7105に従い、黄変度(Yellow Index:ΔYI=撥水性フォームの黄色度−メラミンフォームの黄色度)により評価し、まだらな黄変度合いは、目視により判定した。
<実施例2>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.4wt%である。また、含浸時間は16時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は152.0と最良であり、断面平均の接触角は152.0と最良であり、表面と内部の接触角の比は、100.0であり最良と評価された。また、黄変は−1.3と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例3>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.4wt%である。また、含浸時間は10時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は152.3と最良であり、断面平均の接触角は152.1と最良であり、表面と内部の接触角の比は、99.9であり最良と評価された。また、黄変は−1.0と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例4>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.4wt%である。また、含浸時間は1時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は153.6と最良であり、断面平均の接触角は152.0と最良であり、表面と内部の接触角の比は、99.0であり最良と評価された。また、黄変は−0.7と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例5>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.4wt%である。また、含浸時間は0.5時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は154.2と最良であり、断面平均の接触角は153.3と最良であり、表面と内部の接触角の比は、99.4であり最良と評価された。また、黄変は−0.9と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例6>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.4wt%である。また、含浸時間は0.001時間(3〜4秒)である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は153.2と最良であり、断面平均の接触角は153.3と最良であり、表面と内部の接触角の比は、100.1であり最良と評価された。また、黄変は−1.0と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例7>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.2wt%である。また、含浸時間は16時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は151.0と良であり、断面平均の接触角は150.3と良であり、表面と内部の接触角の比は、99.5と最良であり評価された。また、黄変は−1.1と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例8>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.1wt%である。また、含浸時間は24時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は151.3と良であり、断面平均の接触角は148.3と可(△)であり、表面と内部の接触角の比は、98.0であり良と評価された。また、黄変は−1.3と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例9>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.1wt%である。また、含浸時間は1時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は150.7と良であり、断面平均の接触角は146.3と可であり、表面と内部の接触角の比は、97.1であり良と評価された。また、黄変は−0.7と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例10>
乾燥温度は90°Cであり、乾燥時間は1時間である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は155.3と最良であり、断面平均の接触角は154.0と最良であり、表面と内部の接触角の比は、99.2であり最良と評価された。また、黄変は−0.4と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例11>
乾燥温度は60°Cであり、乾燥時間は10時間である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は153.0と最良であり、断面平均の接触角は151.3と良であり、表面と内部の接触角の比は、98.9であり良と評価された。また、黄変は0.1と良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例12>
乾燥温度は100°Cであり、乾燥時間は1時間である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は153.3と最良であり、断面平均の接触角は152.7と最良であり、表面と内部の接触角の比は、99.6であり良と評価された。また、黄変は−0.5と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例13>
乾燥温度は100°Cであり、乾燥時間は10時間である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は153.3と最良であり、断面平均の接触角は153.3と最良であり、表面と内部の接触角の比は、100.0であり最良と評価された。また、黄変は−0.6と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例14>
乾燥温度は50°Cであり、乾燥時間は1時間である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は150.7と良であり、断面平均の接触角は150.3と良であり、表面と内部の接触角の比は、99.7であり最良と評価された。また、黄変は−0.6と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例15>
乾燥温度は50°Cであり、乾燥時間は45分である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は152.0と最良であり、断面平均の接触角は150.7と良であり、表面と内部の接触角の比は、99.1であり最良と評価された。また、黄変は0.5と良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例16>
乾燥後の加熱温度は120°Cであり、加熱時間は15分である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は151.0と良であり、断面平均の接触角は149.7と可であり、表面と内部の接触角の比は、99.1であり最良と評価された。また、黄変は−0.6と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<実施例17>
乾燥後の加熱温度は160°Cであり、加熱時間は2分である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は153.0と最良であり、断面平均の接触角は152.3と最良であり、表面と内部の接触角の比は、99.5であり最良と評価された。また、黄変は−0.5と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。
<比較例1>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、10wt%である。また、含浸時間は5時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は151.3と良であり、断面平均の接触角は150.7と良であり、表面と内部の接触角の比は、99.6であり最良と評価された。しかし、黄変は34.0と不可(×)であり、まだらな黄変度合いは、明瞭なまだらと評価された。
<比較例2>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、5wt%である。また、含浸時間は16時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は155.3と最良であり、断面平均の接触角は151.7と良であり、表面と内部の接触角の比は、97.7であり良と評価された。しかし、黄変は10.6と不可であり、まだらな黄変度合いは、明瞭なまだらと評価された。
<比較例3>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、3wt%である。また、含浸時間は16時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、表面平均の接触角は155.3と最良であり、断面平均の接触角は151.7と良であり、表面と内部の接触角の比は、97.7であり良と評価された。しかし、黄変は9.8と不可であり、まだらな黄変度合いは、明瞭なまだらと評価された。
<比較例4>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.05wt%である。また、含浸時間は5時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、黄変は−0.8と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。しかし、表面平均の接触角は146.7と可(△)であり、断面平均の接触角は141.0と可であり、表面と内部の接触角の比は、96.1であり可と評価された。
<比較例5>
熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度は、0.05wt%である。また、含浸時間は24時間である。その他は、実施例1と同じである。
その結果、黄変は−0.9と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。しかし、表面平均の接触角は148.3と可であり、断面平均の接触角は142.3と可であり、表面と内部の接触角の比は、96.0であり可と評価された。
<比較例6>
乾燥温度は100°Cであり、乾燥時間は10分である。なお、乾燥後の水分量は、メラミンフォームの重量に対して270%である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、黄変は−0.3と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。また、表面平均の接触角は151.0と良と評価された。しかし、断面平均の接触角は146.0と可(△)であり、表面と内部の接触角の比は、96.7であり可(△)と評価された。
<比較例7>
乾燥温度は50°Cであり、乾燥時間は30分である。なお、乾燥後の水分量は、メラミンフォームの重量に対して70%である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、黄変は0.2と良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。また、表面平均の接触角は152.7と最良と評価された。しかし、断面平均の接触角は146.7と可であり、表面と内部の接触角の比は、96.1であり可と評価された。
<比較例8>
本例では、乾燥工程を行っていない。その他は、実施例2と同じである。
その結果、黄変は0.1と良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。また、表面平均の接触角は151.0と良と評価された。しかし、断面平均の接触角は146.3と可であり、表面と内部の接触角の比は、96.9であり可と評価された。
<比較例9>
本例では、乾燥工程を行っていない。乾燥工程を行わず加熱工程において、加熱温度は120°Cで、加熱時間は15分である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、黄変は−0.1と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。また、表面平均の接触角は151.0と良と評価された。しかし、断面平均の接触角は145.3と可であり、表面と内部の接触角の比は、96.2であり可と評価された。
<比較例10>
本例では、乾燥工程を行っていない。乾燥工程を行わず加熱工程において、加熱温度は160°Cで、加熱時間は15分である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、黄変は0.2と良であり、まだらな黄変度合いは、凝視すると見えると評価された。また、表面平均の接触角は154.3と最良と評価された。しかし、断面平均の接触角は147.3と可であり、表面と内部の接触角の比は、95.5であり可と評価された。
<比較例11>
乾燥後の加熱温度は100°Cであり、加熱時間は15分である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面と内部の接触角の比は、99.5と最良と評価された。また、黄変は−0.8と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。しかし、表面平均の接触角は148.0と可であり、断面平均の接触角は147.3と可と評価された。
<比較例12>
乾燥後の加熱温度は170°Cであり、加熱時間は2分である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は152.0と最良であり、断面平均の接触角は152.0と最良であり、表面と内部の接触角の比は、100.0であり最良と評価された。しかし、黄変は4.6と不可であり、まだらな黄変度合いは、明瞭なまだらと評価された。
<比較例13>
乾燥後の加熱温度は170°Cであり、加熱時間は15分である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、表面平均の接触角は153.0と最良であり、断面平均の接触角は153.0と最良であり、表面と内部の接触角の比は、100.0であり最良と評価された。しかし、黄変は5.2と不可であり、まだらな黄変度合いは、明瞭なまだらと評価された。
<比較例14>
本例では、乾燥後の加熱工程を行っていない。なお、乾燥後の水分量は0である。その他は、実施例2と同じである。
その結果、黄変は−1.1と最良であり、まだらな黄変度合いは、ほとんど見えないと評価された。しかし、表面平均の接触角は150.7と良であり、断面平均の接触角は146.0と可であり、表面と内部の接触角の比は、96.9であり可と評価された。
<比較例15>
本例では、含浸工程、乾燥工程、及び加熱工程を行っていない。実施例1の加工前のメラミンフォームである。
その結果、表面平均の接触角は不可(撥水せず吸水された)であり、断面平均の接触角は不可(撥水せず吸水された)であり、従って表面と内部の接触角の比は、評価不能である。また、本例では、含浸等していないので、黄変、黄変度合いは、評価に意味がない。
<含浸工程におけるエマルジョン水溶液の濃度と含浸時間>
表1に示す実施例1〜9と比較例1〜5を基に、含浸工程における熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液の濃度と、そのエマルジョン水溶液へのメラミンフォームの含浸時間について述べる。
水系エマルジョンにおける熱可塑性フッ素樹脂の濃度においては、大きい方から、比較例1が10wt%、比較例2が5wt%、比較例3が3wt%、実施例1が2wt%、実施例2〜6が0.4wt%、実施例7が0.2wt%、比較例8と9が0.1wt%、比較例4と5が0.05wt%となっている。
また、含浸時間においては、長い方から、比較例5と実施例8が24時間、比較例2と3及び実施例2と7が16時間、実施例3が10時間、比較例1と4及び実施例1が5時間、実施例4と9が1時間、実施例5が0.5時間(30分)、実施例6が0.001時間(3〜4秒)である。
評価結果においては、実施例1〜7では、すべての評価項目において最良(◎)または良(○)であり、実施例8と9では、断面平均における接触角のみが可(△)である。一方、比較例1〜3では、撥水性においては比較的良好な結果であるが、黄変(ΔYI)とまだらな黄変度合いにおいては不可(×)の評価となっている。また、比較例4と5では、黄変とまだらな黄変度合いにおいては良好な結果であるが、撥水性においてはすべての項目において可の評価となっている。
従って、これらの評価結果からすると、含浸工程においては、含浸時間はあまり評価結果に影響を与えないが、エマルジョン水溶液の濃度は大きな影響を与える。即ち、実施例8と9の濃度の0.1wt%と比較例4と5の濃度の0.05wt%の中間値である0.075wt%以上であって、比較例3の濃度の3wt%と実施例1の濃度の2wt%の中間値である2.5wt%以下の濃度であれば、良好な撥水性と黄変等がない撥水加工をメラミンフォームに施せることがわかる。好ましくは、実施例1〜9の濃度の範囲、即ち、0.1〜2wt%であれば、より良好な撥水性が得られる。さらに、より好ましくは、実施例8と9は断面平均の接触角にやや劣るので、実施例1〜7の濃度の範囲、即ち、0.2〜2wt%であれば、さらに良好な撥水性が得られる。
<乾燥工程における乾燥時間と乾燥温度および乾燥工程後の水分量>
表2に示す実施例10〜15と比較例6〜10を基に、乾燥工程における乾燥温度と乾燥時間および乾燥工程後の水分量について述べる。
乾燥温度においては、高い方から、実施例12と13および比較例6が100°C、実施例10が90°C、実施例11が60°C、実施例14と15および比較例7が50°Cである。
また、乾燥温度においては、長い方から、実施例11と13が10時間、実施例10と12と14が1時間、実施例15が45分、比較例7が30分、比較例6が10分である。なお、比較例8〜10は乾燥工程を行っていない。
評価結果においては、実施例10〜15では、すべての評価項目において最良(◎)または良(○)である。一方、比較例6〜9では、黄変(ΔYI)とまだらな黄変度合いにおいて比較的良好な結果であるが、撥水性、特に断面平均の接触角と、表面と内部(断面)の接触角の比において可(△)の評価となっている。また、さらに、比較例10では、まだらな黄変度合いにおいても凝視すると見える程度となる。
従って、これらの評価結果からすると、乾燥工程においては、乾燥温度によらず乾燥時間が長い方が良好な評価結果となる傾向にあると言えるものの、評価結果に最も大きな影響を与えるのは、乾燥工程後の水分量である。即ち、実施例10〜15においては、乾燥工程終了時のメラミンフォームに含まれる水分量は0であり、絶乾状態のメラミンフォームである。
一方、比較例6にはメラミンフォームの重量の270%に当たる水分が含まれ、また比較例7にはメラミンフォームの重量の70%に当たる水分が含まれている。従って、乾燥工程においては、メラミンフォームに含まれる水分を、ほぼ絶乾燥状態と言える1パーセント以下に、好ましくは0%に除去する。
比較例8〜10においては、乾燥工程を行わず、加熱工程だけを行っている。比較例8では140°Cで7分、比較例9では120°Cで15分行っているが、最終的に水分が完全に除去されていない。一方、比較例10では160°Cで15分加熱しているので、最終的に水分は完全に除去されているが、評価結果は良好でない。これは、熱可塑性フッ素樹脂のエマルジョン水溶液が浸潤したメラミンフォームを加熱する前に乾燥させて十分に水分を除去する必要があることを示している。
<加熱工程における加熱時間と加熱温度>
表3に示す実施例16〜17と比較例11〜15を基に、加熱工程における加熱温度と加熱時間について述べる。
加熱温度においては、高い方から、比較例12と13が170°C、実施例17が160°C、実施例16が120°C、比較例11が100°Cである。
加熱時間においては、多い方から、実施例16及び比較例11と13が15分、実施例17と比較例12が2分である。なお、比較例14は、加熱工程を行っていない。また、比較例15は、加熱工程だけでなく、含浸工程と乾燥工程ともに行っていない。
評価結果においては、実施例16〜17では、実施例16の断面平均の接触角のみにおいて可(△)となっているものの、これ以外のすべての評価項目において最良(◎)または良(○)である。一方、比較例11と14では、黄変(ΔYI)とまだらな黄変度合いにおいて良好な結果であるが、撥水性において良好な評価結果とは言えない。比較例12と13では、撥水性においてすべて良好な評価結果であるが、黄変において不可(×)、まだらな黄変度合いにおいて明瞭なまだら(×)との評価結果となっている。
従って、これらの評価結果からすると、加熱工程においては、加熱時間には大きく影響されず、加熱温度が、実施例16の加熱温度(120°C)と比較例11の加熱温度(100°C)の中間の温度である110°C以上であって、実施例17の加熱温度(160°C)と比較例12/13の加熱温度(170°C)の中間の温度である165°Cの範囲にあれば、評価結果は良好である。これを、図1を参照して説明する。
図1は、示差走査熱量測定(DSC)により、本実施例に用いられた熱可塑性フッ素樹脂の流動化温度を示す。縦軸は熱流(Heat Flow / mW)、横軸は温度(摂氏)である。谷のピークは吸熱反応が顕著な温度を示し、左の谷のピークは、融解ピーク温度(Tpm)を示す。なお、融解ピーク温度は、141°Cである。なお、約170°C以上の温度において、約200°Cを谷のピークとする右の谷に示される吸熱反応は、この熱可塑性フッ素樹脂が分解する温度を示しており、本熱可塑性フッ素樹脂の融解ピーク温度を示すものではない。
一方、本熱可塑性フッ素樹脂は、この融解ピーク温度に至る以前の110°C辺りから吸熱反応を示し、流動性が増加し始めている。また、この融解ピーク温度を超えて165°C辺りまで吸熱反応を示し、流動性は生じている。好ましくは、この融解ピーク温度(約140°C)を中心にして±25°Cの範囲はこの熱可塑性フッ素樹脂において流動性が生じている温度である。即ち、熱可塑性フッ素樹脂の融解ピーク温度より25°C低い温度以上であって、熱可塑性フッ素樹脂の融解ピーク温度より25°C高い温度以下の温度が好ましい。熱可塑性フッ素樹脂に流動性を生じさせることにより、メラミンフォームの骨格に熱可塑性フッ素樹脂を被覆することができ、これにより良好な撥水性能を得ることが可能となる。
また、この融解ピーク温度の低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピーク温度の低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度である補外融解開始温度(Tim)は、本図より、約120°Cであり、また、この融解ピーク温度の高温側のベースラインを低温側に延長した直線と融解ピーク温度の高温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度である補外融解終了温度(Tem)は、約160°Cである。従って、熱可塑性フッ素樹脂において流動性を生ずる温度は、より好ましくは、融解ピーク温度を中心にして±20°Cの範囲の温度である。
なお、実施例において、乾燥温度は、最も高くても実施例12と13での100°Cである。これは、乾燥工程において、水分を除去する以前に、熱可塑性フッ素樹脂の流動性を生じさせないようにするためである。従って、乾燥工程においては、熱可塑性フッ素樹脂の流動性が生じ始める温度より低い温度である必要があり、この熱可塑性フッ素樹脂の場合は、融解ピーク温度より20°C以上低い温度、即ち120°C未満の温度である。そして、より好ましくは、融解ピーク温度より25°C以上低い温度、即ち115°C未満の温度であり、さらに好ましくは、水分が確実に除去される温度の100°C以上であって、最も低い温度である。
上記のように、含浸、乾燥、加熱の各工程を最適な条件の下で撥水処理を行うことにより、メラミンフォームの色ムラや黄変色を防止し、フォーム表面とフォーム内部の撥水性が均一で安定したかつ良好な撥水性能をメラミンフォームに付与する撥水加工方法を提供することができる。
尚、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。

Claims (5)

  1. 発泡硬化したメラミンフォームを、熱可塑性フッ素樹脂を含む水系エマルジョンに含浸する工程と、
    前記熱可塑性フッ素樹脂が流動性を生ずる温度未満の温度で、水分を除去するため前記メラミンフォームを乾燥する工程と、
    前記熱可塑性フッ素樹脂が流動性を生ずる温度で、前記メラミンフォームを加熱する工程と、
    を有し、
    前記水系エマルジョンは、0.075〜2.5重量パーセントの前記熱可塑性フッ素樹脂の固形分を含み、
    前記乾燥する工程において、前記メラミンフォームに含まれる水分を1パーセント以下に除去し、前記メラミンフォームを乾燥することを特徴とする撥水性メラミンフォームの製造方法。
  2. 前記熱可塑性フッ素樹脂が流動性を生ずる温度は、100°C以上であって、前記熱可塑性フッ素樹脂の融解ピーク温度±25°Cであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により製造された撥水性フォーム。
  4. メラミンフォームの骨格表面に熱可塑性フッ素樹脂を被覆した撥水性フォームにおいて、
    前記撥水性フォームの表面における水の接触角に対する、前記撥水性フォームの内部における水の接触角の比(P)が、次式(1)を満たし、
    前記メラミンフォームの質量に対する前記撥水性フォームの質量の増分(Q)が、次式(2)を満たす、
    撥水性フォーム。
    P = B/A ≧ 0.97 ・・・(1)
    0.20 ≧ Q =(C−D)/C ≧ 0.01 ・・・(2)
    但し、上記式において、Aは前記撥水性フォームの表面における水の接触角、Bは前記撥水性フォームの内部における水の接触角を示す。また、Cは前記撥水性フォームの質量、Dは前記メラミンフォームの質量を示す。なお、水の接触角は、JIS R 3257−1999に準拠して測定した値であり、黄色度は、JIS K 7105−1981に準拠して測定した値である。
  5. 前記撥水性フォームの黄色度と前記メラミンフォームの黄色度との差で示される黄変度(ΔYI)が、次式(3)を満たす、
    請求項4に記載の撥水性フォーム。
    ΔYI = E−F ≦ 4 ・・・(3)
    但し、Eは前記撥水性フォームの黄色度、Fは前記メラミンフォームの黄色度を示す。
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