JP5718298B2 - 多段成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄粉などの粉末材料を圧粉成形する多段成形装置及多段成形方法に関する。
自動車の動力伝達機構の部品としての歯車などは、鉄粉などの粉末材料をダイスと下パンチとの間に形成されるキャビティ内に供給し、上パンチを降下させてキャビティ形状に粉末材料を成形し、この後焼結するようにしている。
上記粉末材料を成形する装置として、上パンチと下パンチを複数の分割パンチに分けて複雑形状の製品にも対応できるようにした先行技術として、特許文献1及び特許文献2がある。
特許文献1には、上パンチ及び下パンチとも多段、即ち複数の部分パンチにて構成し、これら各部分パンチをそれぞれの加圧ラムに取付け、それぞれの加圧ラムを個別のサーボモータにより直線動させるとともに、各サーボモータの制御をコンピュータ内蔵数値制御装置(CNC)で行うようにしたことが開示されている。
また特許文献2には、上パンチ及び下パンチを複数の部分パンチ(多段)に分け、材料の粉体供給位置から粉体圧縮時にかけて下パンチを構成する一部の部分パンチを他の下パンチを構成する部分パンチに対して相対的に移動させ、同時に上パンチを構成する一部の部分パンチを当該上パンチを構成する他の部分パンチに対して相対的に移動させて成形するトランスファー成形について記載されている。
特開平5−57496号公報 特開2009−120918号公報
図5(a)〜(d)は、従来の多段成形の工程を説明した図であり、従来にあっては、先ず(a)に示すように、ダイス100と下パンチ101を構成するアウターパンチ101a、ミドルパンチ101b及びインナーパンチ101cの間に形成されるキャビティ102内に、ボックス103に入れた粉末材料(鉄粉)104を充填する。この時、ボックス103によってキャビティ102内に充填された粉末材料104の上面は水平に擂り切られる。
製品形状に中リブのような形状が存在すると、粉末材料を充填した後、(b)に示すように、上パンチ105を下げ(前進)て粉末材料に接触させた状態で、上パンチ105を構成するアウターパンチ105a、ミドルパンチ105b及びインナーパンチ105cの一部、即ちこの図の場合はミドルパンチ105bのインナーパンチ105c寄りの部分に隙間Sが形成されてしまう。
この状態で(c)に示すように、下パンチ101を構成するアウターパンチ101aとミドルパンチ101bはそのままの位置とし、インナーパンチ101cを上昇させて前記隙間Sに粉末材料104を送り込む。そして、この後上パンチ105を構成するアウターパンチ105a、インナーパンチ105c及びミドルパンチ105bを所定量下降(前進)させることで、(d)に示す形状の製品を成形する。
しかしながら、インナーパンチ101cを上昇させて前記隙間Sに粉末材料104を送り込んでも、成形後に中リブとなる隙間S内の粉末材料を加圧するまでに至らず、中リブW3に密度不足が生じてしまう。
これを解消するため、上パンチ及び下パンチを構成する部分パンチの数を増やすことも考えられるが、装置の構造が極めて複雑になり、今までのダイセット機構を使用することができなくなり、更に部分パンチの数を増やしただけでは密度不足を完全に解消することはできない。
上記の課題を解決するため、本発明に係る多段成形方法は、インナーパンチ、アウターパンチ及びミドルパンチからなる下パンチとダイスとの間に形成されるキャビティ内に粉末材料を充填し、インナーパンチ、アウターパンチ及びミドルパンチからなる上パンチを降下させて下パンチとの間で前記粉末材料を圧粉成形するようにした多段成形方法において、前記上パンチを構成するミドルパンチのうち充填不足を起こしやすい箇所は更に分割パンチに分割され、前記キャビティに粉末材料を充填した後にそれぞれのパンチの下端をボックスに入れた粉末材料に当接させ、この後、上パンチを構成するインナーパンチ、ミドルパンチ及びアウターパンチを動かすことなく、前記分割パンチのみを下パンチを構成するインナーパンチ、アウターパンチ及びミドルパンチのうちの何れかが前進する際に後退させることで粉末材料を充填不足を起こしやすい箇所であって当該分割パンチで成形される部分に移動せしめられるようにした。
ここで、本発明の場合は上パンチが分割パンチの分だけパンチの数が増えたことになるが、例えば上パンチを構成するインナーパンチとアウターパンチの加圧ラムを連結するか同一の加圧ラムとすることで、従来のダイセット機構をそのまま使用することができる。
本発明によれば、成形品に密度不足を起こしやすい部分があっても密度不足を起こすことがない。
また、例えば3段までの部分パンチにしか対応できないダイセット機構であっても、実質4段の部分パンチを動作させることができるので、今までのダイセット機構を利用することができる。
本発明に係る多段成形装置の全体構成図 上パンチの駆動系を示した図 本発明に係る多段成形にて得られる成形品の一例を示す断面図 (a)〜(d)は本発明の多段成形の工程を説明した図 (a)〜(d)は従来の多段成形の工程を説明した図
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
多段成形装置は上パンチ1、下パンチ2、ダイス3及びコア4からなる。ダイス3は下パンチ2との間で粉末材料を入れるキャビティ5を形成するとともに、内周面に成形品(歯車)の外周歯を成形する歯型3aが形成され、コア4の該周面には成形品(歯車)の内外歯を成形する歯型4aが形成されている。
前記上パンチ1は外側から内側に向かって、アウターパンチ11、ミドルパンチ12、分割パンチ13及びインナーパンチ14からなる。アウターパンチ11は成形品である歯車Wの外径部W1、ミドルパンチ12は歯車WのリブW2、分割パンチ13は歯車Wの中リブW3、インナーパンチ14は歯車Wの内径部W4を成形する。
また、アウターパンチ11、ミドルパンチ12、分割パンチ13及びインナーパンチ14はそれぞれ加圧ラム15、16、17、18にて昇降動せしめられ、このうち加圧ラム15と18はリンク19で一体化されている。
上記加圧ラム15は図2に示すようにピストンロッド6に連結され、加圧ラム16はピストンロッド6の外周に摺動自在に設けられた筒部材7に連結され、加圧ラム17はピストンロッド6の外周に摺動自在に設けられた筒部材8に連結され、加圧ラム18はピストンロッド6の外周に摺動自在に設けられた筒部材9に連結されている。
ここで、加圧ラム15と18はリンク19で一体化されているので、筒部材9はピストンロッド6と一体的に駆動する。
本実施例では3段の650トンプレス機を用いているため、4段成形を行うことができない。そこで、上記したように加圧ラム15と18を連結しアウターパンチ11とインナーパンチ14とは一体的に昇降動し、ミドルパンチ12と分割パンチ13については独立して昇降動させることで、3段のダイセット機構で4つのパンチを駆動するようにしている。
また下パンチ2は外側から内側に向かって、アウターパンチ21、ミドルパンチ22及びインナーパンチ23からなる。アウターパンチ21は成形品である歯車Wの外径部W1、ミドルパンチ22は歯車WのリブW2と中リブW3、インナーパンチ23は歯車Wの内径部W4を成形する。
次に、図4(a)〜(d)に基づき、上記の多段成形装置を用いた成形方法を説明する。尚、図4は歯車Wの要部のみを示しており、多段成形装置の一部を示している。
先ず図4(a)に示すように、ダイス3と下パンチ2を構成するアウターパンチ21、ミドルパンチ22及びインナーパンチ23の間に形成されるキャビティ5内に、ボックス10に入れた粉末材料(鉄粉)Pを充填する。
次いで、図4(b)に示すように、上パンチ1を構成するアウターパンチ11、ミドルパンチ12、分割パンチ13及びインナーパンチ14を下げ、それぞれのパンチの下端をボックス10に入れた粉末材料Pに当接させる。
この後、図4(c)に示すように、上パンチ1の一部である分割パンチ13を上昇せしめると共に、下パンチ2の一部であるインナーパンチ23を上昇せしめる。この動作により、上パンチ1のインナーパンチ14と下パンチ2のインナーパンチ23との間の粉末材料Pの一部が分割パンチ13が上昇することで形成された部分に移動せしめられる。
分割パンチ13が上昇してできたスペースは成形後の中リブW3の密度を決定するファクターであるので、分割パンチ13の上昇量によって中リブW3の密度を制御することができる。従来にあっては、中リブを成形するのはミドルパンチのみであったため、個別に密度を制御することができなかったが、本発明よって個別の調整が可能となった。
そして、図4(d)に示すように、上パンチ1を構成するアウターパンチ11、ミドルパンチ12、分割パンチ13及びインナーパンチ14を下降させ、下パンチ2を構成するアウターパンチ21を上昇させ、ミドルパンチ22を下降させることで、製品Wが成形される。
本発明に係る多段成形装置及び多段成形方法は、ギヤ等の自動車部品に限らず広く圧粉成形品の製造に利用することができる。
1…上パンチ、2…下パンチ、3…ダイス、3a…歯型、4…コア、4a歯型、5…キャビティ、6…ピストンロッド、6,7,8,9…筒体、10…ボックス、11…上パンチを構成するアウターパンチ、12…上パンチを構成するミドルパンチ、13…上パンチを構成する分割パンチ、14…上パンチを構成するインナーパンチ、15,16,17,18…加圧ラム、19…リンク、21…下パンチを構成するアウターパンチ、22…下パンチを構成するミドルパンチ、23…下パンチを構成するインナーパンチ。
P…粉末材料、W…歯車(成形品、W1…歯車の外径部、W2…歯車のリブ、W3…歯車の中リブ、W4…歯車の内径部。

Claims (1)

  1. インナーパンチ、アウターパンチ及びミドルパンチからなる下パンチとダイスとの間に形成されるキャビティ内に粉末材料を充填し、インナーパンチ、アウターパンチ及びミドルパンチからなる上パンチを降下させて下パンチとの間で前記粉末材料を圧粉成形するようにした多段成形方法において、前記上パンチを構成するミドルパンチのうち充填不足を起こしやすい箇所は更に分割パンチに分割され、前記キャビティに粉末材料を充填した後にそれぞれのパンチの下端をボックスに入れた粉末材料に当接させ、この後、上パンチを構成するインナーパンチ、ミドルパンチ及びアウターパンチを動かすことなく、前記分割パンチのみを下パンチを構成するインナーパンチ、アウターパンチ及びミドルパンチのうちの何れかが前進する際に後退させることで粉末材料を充填不足を起こしやすい箇所であって当該分割パンチで成形される部分に移動せしめられることを特徴とする多段成形方法。
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