JP5717143B2 - ポリペプチドライブラリーを調製する方法 - Google Patents

ポリペプチドライブラリーを調製する方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリペプチドライブラリーを調製する方法、およびこれを用いて新規なポリペプチドを同定する方法に関する。
ポリペプチドスキャフォールドを利用してポリペプチドのコンビナトリアルライブラリーを作製し、抗体に代わる新規なタンパク質を発見する試みが行われている(非特許文献1)。この方法においては、タンパク質のフレームワーク領域の構造を維持しながら、相互作用に関与する領域(例えばループ領域)のアミノ酸配列がランダムであるように設計されたポリペプチドライブラリーを作製し、所望の標的と接触させて、その標的に結合しうるタンパク質を選択し、その構造を決定することにより、所望の標的に結合しうる新規なタンパク質を同定することができる。
ヘビ、サソリ、クモ、昆虫類が、その他の生物に対して防御あるいは攻撃用に即効的に用いる毒は一般に神経毒であり、急激に相手を麻痺させることができる。これら生物はそれぞれ何種類もの神経毒を有しているが、そのうち「α−型神経毒」と呼ばれるポリペプチド神経毒は、電位依存型イオンチャネルへのアンタゴニストとなっている場合が多い。これら「α−型神経毒」は、一般に、4〜5個のジスルフィド結合、3〜5個のアンチパラレルβシートにより、フィンガー様のループ領域を有する安定なスキャフォールド構造を形成している。
本発明者らは、以前に、「α−型神経毒」における「フィンガー様」の「スキャフォールド構造」に着目して、ヘビ毒に由来するポリペプチド神経毒がもつスリーフィンガー型(3F)スキャフォールドを使ってコンビナトリアルライブラリーを作製する方法を開発した(特許文献1、2)。具体的には、安定なスキャフォールド構造の形成に関わっているジスルフィド結合及びβシート領域のアミノ酸はそのままにして、ループを形成していると予想される領域をランダム化したディスプレイ型のポリペプチドライブラリーを作製し、エマルジョンPCR法と組み合わせたハイスループットスクリーニングにより、標的タンパク質との親和性の高いポリペプチドを得ることに成功している。
しかし、ヘビ毒由来の3Fスキャフォールドの場合、ポリペプチドの分子量が約7kDaとかなり大きく、ジスルフィド結合も4個あるが、リフォールディングとジスルフィド結合の形成という組換えタンパク質を作製する際の技術的な困難性からみて、できるだけ分子量が小さく、システイン残基の数もより少ないスキャフォールドが適していると考えられる。
3Fスキャフォールドを利用してライブラリーを作製する場合に、3つのフィンガー様のスキャホールド全てが必要というわけではなく、1フィンガーずつ、そのスキャフォールド構造を維持するように分割し、いわば1Fスキャホールドを利用したライブラリーでも、標的タンパク質に親和性のあるポリペプチドのスクリーニングに有効であることを確認した(特許文献2)が、もとの3Fスキャフォールドに比較すると、そのスクリーニング効率はかなり低くなってしまう。
また、従来開発したポリペプチドライブラリーは、膜タンパク質を標的とする場合には標的タンパク質を発現する細胞の調製など煩雑な工程が多いため、実際にはアゴニスト、アンタゴニストのハイスループットなスクリーニング系として利用できる標的タンパク質の対象は可溶性タンパク質のみであり、膜タンパク質への適用開発がなかなか進まなかった。
以上のことから、ヘビ毒由来の3Fスキャフォールドを利用したライブラリーに代わる、分子量が小さく、システイン残基の数がより少ないスキャフォールドを利用したライブラリーであって、しかもスクリーニング効率の高いポリペプチドライブラリーの提供が強く望まれていた。また、膜タンパク質を標的としたハイスループットスクリーニング系の開発と同時に、当該系に適用可能なポリペプチドライブラリーの提供も切望されていた。
特開2007−306866号公報 特開2008−193922号公報 特開2008−11号公報
J. Immunol. Methods., 290: 3-28 (2004) Biochemistry 34: 8076-8081 (1995) J. Biol. Chem. 276: 40306-40312 (2001) J. Gen. Physiol. 123: 455-467 (2004) J. Biol. Chem. 279: 37734-37740 (2004) Toxicon. 49: 202-212 (2007) Toxicon. 39: 43-60 (2001) Ono, S., et al. (2006),Program No 28 (ION CHANNELS) , 15th World Congress on Animal, Plant & Microbial Toxins, Glasgow, UK. 24th July, 2002)
本発明は、3Fスキャフォールドよりも低分子でシステイン残基の数がより少ないスキャフォールドを利用した、所望の標的タンパク質に親和性の高いポリペプチドを同定するためのポリペプチドライブラリーであって、膜タンパク質を標的としたハイスループットスクリーニング系にも適用可能なポリペプチドライブラリーを提供することを目的とする。
ヘビ毒液と同様に、クモ毒液にもカルシウムチャネルやナトリウムチャネル、カリウムチャネル、タンパク質加水分解酵素などの働きを阻害する生理活性ポリペプチドが含まれることが知られている。クモ毒液成分の中には、成熟ポリペプチドが30−40アミノ酸残基からなり、Inhibitor Cystine Knots (ICK)とよばれる構造モチーフを持つ一連のポリペプチドファミリーがある。このファミリーは、6個のシステイン残基があって、そのシステイン・フレームワークは厳密に保存されているが、それ以外の配列は多様である。質量分析や立体構造解析からこのポリペプチドは3個のジスルフィド結合を形成し、物理化学的にも生物学的にも安定な構造をしていることが報告されている。(非特許文献7)
本発明者らは、最近、このクモ毒のうち、南米産グラモストラ・スパチュラタ由来のカルシウムチャネル遮断タイプの毒ペプチド(A4-1)遺伝子の塩基配列及び対応するアミノ酸配列を決定した(特許文献3)。
本発明者らは、当該A4-1ポリペプチドのアミノ酸数82のORF(システイン7個)におけるアミノ酸配列と立体構造を詳細に検討する過程で、当該ポリペプチドのN末側はシグナルペプチド及びプレプロ配列であり、成熟体は、アミノ酸数34、分子量約4kDa、システイン残基が6個であることを見出した。A4-1の成熟ポリペプチドのアミノ酸配列は以下の通りである。
DCLGFMRKCIPDNDKCCRPNLVCSRTHKWCKYVF (配列番号1)
本発明者らは、さらに、N末側から数えて1番目のシステイン(以下、Cys-1ともいう。)が4番目(Cys-4)と、2番目のシステイン(Cys-2)が5番目(Cys-5)と、そして3番目のシステイン(Cys-3)が6番目(Cys-6)と、3箇所でS-S結合したスキャフォールド(ICKスキャフォールド)を形成していることを見出した(図1)。当該ICKスキャフォールドは、比較的サイズが小さく安定性も高いため、このようなポリペプチドライブラリー候補として最適であると考えられた。
そこで、本発明者らは、当該ICKスキャフォールド標的のカルシウムチャネルとは、それぞれのS-S結合で挟まれた3箇所の領域でβシート構造を除いた3つのループ領域(N末側からループI、ループII、ループIIIともいう。)と、Cys-6からC末端側のテール領域とが、結合していると予測し、それらの各領域のアミノ酸残基を同時にランダム化したポリペプチドライブラリーを作製した(図1の濃いグレー部分がランダム化した配列に相当する。)。
さらに、本発明者らは、上記4箇所に対応する塩基配列をランダム化した変異ポリペプチド遺伝子を発現ベクターに挿入してディスプレイ型のライブラリーを作製する際に、同時に標的となる膜タンパク質遺伝子も同一発現ベクターに挿入したコンビナトリアルライブラリーを構築した。当該ライブラリーは、標的タンパク質を大腸菌の内膜表面に提示させることができるが、ICKスキャフォールドを利用したライブラリーは分子量が比較的小さく安定性も高いため、ペリズミック空間内でのスクリーニング工程も可能であることが確認できた。当該スクリーニング技術により、より標的膜タンパク質との親和性の高いポリペプチド配列に分子進化させることができることも実証した。これは、従来困難であるとされていた膜タンパクに対するリガンド検索にも有効である画期的なハイスループットスクリーニングの技術を提供するものである。
以上の知見をもとに、ICKスキャフォールドを利用したライブラリーに係る本発明を完成させた。なお、ディスプレイ型のポリペプチドライブラリー遺伝子と標的となる膜タンパク質遺伝子とを同一の発現ベクターに挿入したハイスループットスクリーニング技術である「ペリプラズム内分泌・選択法(iPS&S法)」については、同日付で出願している。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドの群で構成されるポリペプチドライブラリーであり、かつ当該各ポリペプチドのアミノ酸配列が、下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有していることを特徴とするポリペプチドライブラリー;
(i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
(iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列。
[2] 前記ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、前記[1]に記載のポリペプチドライブラリー;
式〔1〕
DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2(配列番号2)
(式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
[3] 前記ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、それぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在している、前記[1]又は[2]に記載のポリペプチドライブラリー。
[4] ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの群で構成されるポリヌクレオチドライブラリーであって、各ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドのアミノ酸配列が、下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有していることを特徴とする、ポリヌクレオチドライブラリー;
(i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
(iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列。
[5] 前記ポリヌクレオチドライブラリーを構成する各ポリヌクレオチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、前記[4]に記載のポリヌクレオチドライブラリー;
式〔1〕
DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2 (配列番号2)
(式中、Xは任意のアミノ酸残基である)。
[6] 前記ポリヌクレオチドライブラリーが、発現ベクター中に組み込まれている状態にある、前記[4]又は[5]に記載のポリヌクレオチドライブラリー。
[7] 前記発現ベクターにおいて、前記ポリヌクレオチドの上流に分泌シグナル配列が存在している、前記[6]に記載のポリヌクレオチドライブラリー。
[8] 前記発現ベクターにおいて、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドが同一ベクター上に組み込まれている、前記[6]又は[7]に記載のポリヌクレオチドライブラリー。
[9] 前記[6]〜[8]のいずれかに記載の発現ベクターで形質転換された形質転換宿主の群により構成された、ポリヌクレオチドライブラリー。
[10] 前記形質転換宿主がグラム陰性細菌である前記[9]に記載のポリヌクレオチドライブラリー。
[11] 標的に対して親和性を有するポリペプチドを同定する方法であって、下記(a)〜(d)の工程を含む方法;
(a)ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドの群で構成されるポリペプチドライブラリーであり、かつ当該各ポリペプチドのアミノ酸配列が、下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有していることを特徴とするポリペプチドライブラリーを用意する工程、
(i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
(iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列、
(b)前記ポリペプチドライブラリーを前記標的と接触させる工程;
(c)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;そして
(d)前記選択されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程。
[12] 前記ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、前記[11]に記載の方法;
式〔1〕
DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2 (配列番号2)
(式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
[13] 工程(a)のポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが,それぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在しており,ポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程(d)が,そのポリペプチドに結合しているポリヌクレオチドの塩基配列を決定することにより行われる,前記[11]又は[12]に記載の方法。
[14] 標的に対して親和性を有するポリペプチドを同定する方法であって、下記(a)〜(h)の工程を含む方法;
(a)ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドの群で構成されるポリペプチドライブラリーであり、かつ当該各ポリペプチドのアミノ酸配列が、下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有しているポリペプチドライブラリーであり、かつ当該ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドがそれぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在しているポリペプチドライブラリーを用意する工程;
(i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
(iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列、
(b)前記ポリペプチドライブラリーを前記標的と接触させる工程;
(c)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;
(d)前記選択されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを増幅し、転写し、および翻訳することにより、第2のポリペプチドライブラリーを製造する工程であり、ここで前記第2のポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドはそれぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在している工程;
(e)前記第2のポリペプチドライブラリーを前記標的と接触させる工程;
(f)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;
(g)必要により工程(d)−(f)を繰り返す工程;そして
(h)選択されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程。
[15] 前記ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、前記[14]に記載の方法;
式〔1〕
DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2 (配列番号2)
(式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
[16] 標的に対して親和性を有するポリペプチドを同定する方法であって、下記(a)〜(h)の工程を含む方法;
(a)ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの群で構成される、発現ベクターの状態で存在するポリヌクレオチドライブラリーであって、各ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドのアミノ酸配列が、下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有していることを特徴とする、ポリヌクレオチドライブラリーを用意する工程;
(i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
(iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列;
(b)前記ポリヌクレオチドライブラリーを構成する各発現ベクターを形質転換細胞のそれぞれで、対応するポリペプチドを発現させる工程;
(c)前記各ポリペプチドを、前記標的と接触させる工程;
(d)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;
(e)前記選択されたポリペプチドを発現した形質転換細胞中のポリヌクレオチドを増幅して第2のポリヌクレオチドライブラリーを製造する工程;
(f)前記第2のポリヌクレオチドライブラリーを構成する各発現ベクターを形質転換細胞のそれぞれで、対応するポリペプチドを発現させる工程;
(g)前記各ポリペプチドを、前記標的と接触させる工程;
(h)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;
(i)必要により工程(e)−(h)を繰り返す工程;そして
(j)選択されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程。
[17] 前記ポリヌクレオチドライブラリーを構成する各ポリヌクレオチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである、前記[16]に記載の方法;
式〔1〕
DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2 (配列番号2)
(式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
[18] 標的の膜タンパク質に対して親和性を有するポリペプチドを同定する方法であって、下記(a)〜(h)の工程を含む方法;
(a)ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、それぞれ分泌シグナル配列の下流に挿入された発現ベクターの群で構成され、各ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドのアミノ酸配列が、下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有しているポリヌクレオチドライブラリーであり、前記発現ベクター中には前記標的膜タンパク質をコードするポリヌクレオチドが含まれているポリヌクレオチドライブラリーを用意する工程;
(i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
(iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列;
(b)前記ポリヌクレオチドライブラリーを構成する各発現ベクターを、形質転換グラム陰性細菌において、前記標的膜タンパク質を内膜表面に、また各ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドをペリプラズム間隙内にそれぞれ発現させる工程;
(c)前記各ポリペプチドを、前記ペリプラズム間隙内で前記標的膜タンパク質と接触させる工程;
(d)前記形質転換グラム陰性細菌のスフェロプラストを形成させて、前記標的膜タンパク質と結合したポリペプチドを選択する工程;
(e)前記選択されたポリペプチドを発現した形質転換細胞中のポリヌクレオチドを増幅して発現ベクターに挿入した第2のポリヌクレオチドライブラリーであり、各ポリヌクレオチドは分泌シグナル配列の下流に挿入され、かつ前記標的膜タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの群で構成された第2のポリヌクレオチドライブラリーを製造する工程、;
(f)前記第2のポリヌクレオチドライブラリーを構成する各発現ベクターを形質転換グラム陰性細菌において、前記標的膜タンパク質を内膜表面に、また各ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドをペリプラズム間隙内にそれぞれ発現させる工程;
(g)前記各ポリペプチドを、前記ペリプラズム間隙内で前記標的膜タンパク質と接触させる工程;
(h)前記形質転換グラム陰性細菌のスフェロプラストを形成させて、前記標的膜タンパク質と結合したポリペプチドを選択する工程;
(i)必要により工程(e)−(h)を繰り返す工程;そして
(j)選択されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程。
[19] 配列番号3〜14のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、m2受容体と高い親和性を有するポリペプチド。;
[20] 配列番号3〜14のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、m2受容体と高い親和性を有するポリペプチドを有効成分として含むm2受容体の阻害剤。
本発明により、比較的低分子でシステイン残基数も少ない安定なICKスキャフォールドを利用したライブラリーが提供できたため、所望の標的タンパク質に親和性の高いポリペプチドを、簡便かつ効率よくスクリーニングすることが可能となった。また、グラム陰性菌のペリプラズミック空間内でも正確に折りたたまれた状態でポリペプチドをディスプレイできるため、膜タンパク質を標的としたハイスループットスクリーニング系にも適用できる。したがって、本発明により、所望の標的、特に膜タンパク質に特異的に結合する新規なポリペプチドを創製することができる。
図1は、クモ毒由来ICKペプチドのスキャフォールド;システイン残基(C1-C6)の位置と本発明に係るランダム化した領域(濃いグレー部分)を示す図である。 図2は、ICKペプチドファミリーのアラインメントを示す図である。 図3は、ペプチドPeak A4-1のHainantoxin-4に基づくホモロジーモデリングを示す図である。 図4は、分子進化技術「iPS&S法」の工程を示す図である。 図5Aは、プラスミドpGRII-Txの構成概要を示す図であり、図5Bは、膜タンパク質とペプチドの発現確認を示す写真である。 図6は、プラスミドpGRII-Txの構成を示す図である。 図7は、プラスミドpGRII-USERの構成を示す図である。 図8は、非特異的吸着ペプチドの除去工程を示す図である。 図9は、ペプチドA-1とA-2によるムスカリン受容体リガンドNMSとm2受容体との結合阻害アッセイの結果を示す図である。 図10Aは、ペプチドA-1と非特異的結合ペプチドの構造概要を示す図である。図10Bは、ペプチドが吸着する大腸菌のプラスミドの検出を示す図である。図10Cは、ぺリプラズムに発現するペプチドの検出を示す図である。 図11は、ペプチド標的特異性評価実験の概要を示す図である。 図12は、「iPS&S法」におけるプラスミド、膜タンパク質、ポリペプチドの局在様態を示す図である。
1.本発明のICKスキャフォールドを利用したポリペプチドライブラリー
(1)ICKスキャフォールドについて
本発明において「ICKスキャフォールド」とは、クモやサソリ毒に見いだされる30−70アミノ酸残基からなるポリペプチドにおいて、6個のシステイン残基(Cys-1−Cys-6)が、Cys-1とCys-4、Cys-2とCys-5、及びCys-3とCys-6でS-S結合することにより形成する三次構造(図1)をいう。図2に、ICKスキャフォールドを有する代表的なポリペプチドのアミノ酸配列のアラインメントを示す。図の右端の数字はアミノ酸の長さである。このアラインメントに示されるポリペプチドの名称とプロテインデータベースのアクセッション番号を以下の表に示す。
図2の1行目に示すポリペプチドは、Grammostola spatulataから単離された新規なカルシウムチャネルブロッカー毒「A4-1」(特許文献3、非特許文献8)ポリペプチドである。
A4-1は、34アミノ酸を含むICK型の毒素であり、カルシウムチャネルに結合してこれらを阻害することが見いだされている。ICKモチーフを含むペプチドは既に数多く知られており、それぞれがNa+チャネル、Ca2+チャネル、K+チャネルのブロッカーや酵素阻害など様々な生物活性を持つことが知られている。このペプチドの遺伝子は加速進化により、標的分子との相互作用に関係する領域に積極的にアミノ酸置換のおこる塩基置換(変異)を導入しているのが特徴で、これが標的分子の多様性を生み出す原因となっている。本発明者らは、この点に着目してICKモチーフを崩さないループ部分やテール領域にランダム配列を導入してICK型ランダムペプチドライブラリーを設計することを着想した。
図2に、A4-1と、既知のチャネル阻害毒であるパウルトキシン(PaurTx3) やハイナントキシン(HnTx4) 等の一次アミノ酸配列のマルチプルアラインメントを示す。相同な配列はブロックで示されている。
他のICK型ポリペプチドについても、図2のアラインメントに示されるICKモチーフをフレームワーク構造として利用することで、A4-1と同様のポリペプチドライブラリーを容易に作製することができる。
なお、A4-1の三次構造は、BioPackage (MolSoft L.L.C., California, USA)の3Dモデリングソフトウエア部品を用いて予測され、ループおよびβシートの形成に関与する残基は、既知のハイナントキシン(HnTx4) の構造と比較して推定された(図3)。図3において、二次構造の情報から得られる、β構造はリボン状矢印として示す。数字はループを形成するターンの開始および停止位置を示し、1番目のアミノ酸を1として表す。
図1、図2に示されるように、Cys-1とCys-4、Cys-2とCys-5、Cys-3とCys-6とのそれぞれの間のS-S結合によって、3箇所のループ状の領域(Cys-1とCys-2の間の領域、Cys-2とCys-3の間の領域、Cys-5とCys-6の間の領域)が形成され、それぞれループI、ループII、ループIIIとよぶ(Cys-4とCys-5の間には主にβシート構造が存在する。)。これら3つのループ領域、及びCys-6からC末端側のテール領域が、カルシウムチャネルと結合する領域であると予測される。
(2)ポリペプチドライブラリーについて
本発明のポリペプチドライブラリーにおいては、ICKスキャフォールドのループI,IIおよびIIIの領域とテール領域の一部のアミノ酸配列がランダム化されており、標的タンパク質と親和性の高いポリペプチドをスクリーニングするために用いられる。
標的タンパク質としては、本来の標的であるカルシウムチャネルのみならず、各種イオンチャネル、受容体、酵素、その他の天然および非天然の化合物を標的として選択することができる。しかし、好ましくは、膜表面でシグナル伝達に関わる膜受容体、薬物トランスポーター、イオンチャネル、細胞表面抗原などの膜タンパク質である。特に、リガンドが未知のGタンパク質共役型受容体であるオーファンレセプターのリガンド検索に好ましく用いられる。
標的として、タンパク質以外に、糖類、糖タンパク質、核酸、低分子化合物に適用することもできる。
本明細書において、ポリペプチドライブラリーというとき、アミノ酸配列の異なる複数のポリペプチドの集合を意味し、ポリペプチドライブラリーのそれぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの集合をポリヌクレオチドライブラリーと称する。
ランダム化とは、ポリペプチドの任意の所与の位置に2種類以上のアミノ酸残基が存在するようなポリペプチドの集合を用意することをいう。ランダム化されたポリペプチドにおいては、所与の位置に全ての可能なアミノ酸残基が同様の確率でまたは異なる確率で存在してもよく、所与の位置に選択された特定の2種類以上のアミノ酸残基が存在してもよい。例えば,配列中の特定の位置において20種類のアミノ酸残基が各5%の確率で存在することができるが、各アミノ酸残基の存在の確率は5%に限定されず、様々でありうる。また、後述する子孫ライブラリーの場合に見られるように、前回のラウンドで得られた配列情報に基づいてアミノ酸配列の特定の位置のみをランダム化し、残りの位置の配列が固定されているようにライブラリーを作製してもよい。
(3)ポリペプチドライブラリーの作製について
本発明のポリペプチドライブラリーを用いたスクリーニングの対象となる標的は、本来の標的であるタンパク質(カルシウムチャネル)のみならず、むしろそれとは異なる各種の標的を対象とし、それぞれの標的に対して親和性の高いポリペプチドを取得しようとするものであるため、実際に標的の認識、結合に関与する領域は、ループの先端部分、テール領域のごく狭い領域であると考えられるが、本発明者らの試行錯誤の結果、アミノ酸配列のみならずその周辺のアミノ酸配列も変更する必要があり、かつ全て同時に変更する必要があることがわかった。つまり、ループI、II、III領域及びテール領域それぞれにおいて、特定の2〜4アミノ酸残基を同時にランダム化してポリペプチドライブラリーとする必要がある。
すなわち、ICKスキャフォールドのアミノ酸配列中の下記の領域が同時にランダム化される。下記アミノ酸配列をランダム化することで、フレームワークを保ったまま、標的との結合特性の異なる種々のポリペプチドからなるライブラリーが得られる。
(i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
(iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
(iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列。
上記(i)〜(iv)領域の典型的な例としては、それぞれ図2の第1行に示されるポリペプチドA4−1のアミノ酸配列における(i)6番目のメチオニンから8番目のリジンまでの3アミノ酸残基、(ii)12番目のアスパラギン酸から15番目のリジンまでの4アミノ酸残基,(iii)25番目のアルギニンから27番目のヒスチジンまでの3アミノ酸残基、及び(iv)33番目のバリンから34番目のフェニルアラニンまでの2アミノ酸残基からなるアミノ酸配列があげられる。
すなわち、本発明の典型的なポリペプチドライブラリーは、「A4-1」アミノ酸配列由来の、以下の式〔1〕で示されるアミノ酸配列を含む複数のポリペプチド群からなるライブラリーである。
式〔1〕:
DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2 (配列番号2)
(式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
このライブラリーでは12アミノ酸残基がランダムとなり、ライブラリーが持つ配列のバリエーションは、理論上2012=約1016通りと極めて多様である。
ICKスキャフォールドを有するポリペプチド、例えば図2に示されるポリペプチドについても、図2のアラインメントなどを参照することで、A4-1に基づくポリペプチドライブラリーと同様の手法で(i)〜(iv)領域をランダム化したポリペプチドライブラリーを製造することができる。
本発明のポリペプチドライブラリーは,通常のポリペプチド合成の技術を用いて、手動または自動により製造することができるが、以下2.又は3.以降で述べる対応するポリヌクレオチドライブラリーを作製し、当該ポリヌクレオチドライブラリーが形質転換宿主中で発現されることで作製されることが好ましい。
2.ディスプレイ型ポリペプチドライブラリーについて
(1)ディスプレイ技術
本発明のポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドは、それぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在することが好ましい。すなわち、ポリペプチドとそれをコードするポリヌクレオチドが、「ディスプレイ技術」により1対1で対応づけられる。「ディスプレイ技術」としては、種々の公知の手法が適用できるが、例えば、ライブラリーの各メンバーポリペプチドを、ピューロマイシン等の化学物質を介して各ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと結合する方法を用いることができる(インビトロウイルス法)。このような無細胞翻訳系を利用した対応づけ技術には、cDNAディスプレイ、リボソームディスプレイ、STABLE(非共有結合DNAディスプレイ)、マイクロビーズドロップレット法、共有結合DNAディスプレイなどがある。あるいは、ファージディスプレイ、イーストディスプレイ、バクテリアディスプレイ等のディスプレイ技術におけるように、個々のファージや細胞中に、ライブラリーの各メンバーポリペプチドとそれぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの対が含まれていてもよい。
ここで、ポリペプチドライブラリーの各ポリペプチドに対応する各ポリヌクレオチドが、それぞれ1つの形質転換細胞内の発現ベクター中に組み込まれているとき、これらの各ポリヌクレオチドの群からなるポリヌクレオチドライブラリーは、当該形質転換細胞で発現したポリペプチドライブラリーに対応している。本発明において、ポリヌクレオチドライブラリーというとき、通常各ポリヌクレオチドの群からなるポリヌクレオチドライブラリーを指すが、各ポリヌクレオチドが組み込まれた発現ベクターの群、及び各発現ベクターが導入された各形質転換細胞の群もポリヌクレオチドライブラリーということができる。
(2)ポリヌクレオチドライブラリーの作製方法
本発明のポリヌクレオチドライブラリーは、ICKスキャフォールドを有するポリペプチドの特定の複数箇所の位置のアミノ酸が同時にランダム化されたポリペプチドライブラリーを発現するように、ランダム化するアミノ酸配列と対応した塩基配列がランダム化されている必要がある。
ポリヌクレオチドの具体的な作製方法は、周知の遺伝子への変異導入方法が用いられる。典型的にはランダム配列を入れる所望のアミノ酸残基の位置にトリプレットコドンNNS(NはG、C、T、A。SはGあるいはC)のヌクレオチドを導入したオリゴヌクレオチドプライマーを組み合わせてPCRにより作製する(特許文献1,2などでも同様の手法が用いられている。UNIT 3.17 in “Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley & Sons, New York, N.Y. 1995の方法参照。)。その際、テール部にランダム導入するためのプライマーとしては、終止コドンをコードする塩基配列を用いることが好ましい。他に、酵素的に短いオリゴヌクレオチドを結合する方法(GENE, 164:49-53, 1995)や短いDNAをブロックとしてつなぐ人工遺伝子合成法(Slonomics社)などを用いることができる。
本発明のポリヌクレオチドライブラリーは、典型的にはICKスキャフォールドを有するポリペプチドライブラリーをコードする遺伝子ライブラリーとして提供され、発現ベクター中に組み込まれてポリペプチドを発現し対応付けられた状態となっている。例えば、ファージ表面や形質転換宿主表面でポリペプチドをディスプレイできれば、当該ポリペプチドと標的タンパク質との親和性を観察でき、親和性の高いポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が決定でき、直ちに複数ラウンドからなる分子進化システムに供し得る。
3.iPS&S法に用いるためのライブラリー
本発明のライブラリーは、本発明者らが開発した下記4.の「ペリプラズム内分泌・選択法(iPS&S法)」によるハイスループットスクリーニング系で用いることができる。当該iPS&S法が適用される場合には、本発明のポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドは、1個のグラム陰性菌宿主(例えば大腸菌)にそれぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター(プラスミド)が形質転換により導入されているので、1宿主細菌ごとに1種類のポリペプチドのみが発現している。また、用いる発現ベクターには、あらかじめ(又は同時に)標的膜タンパク質をコードするDNAが組み込まれており、ICKポリペプチドをコードするDNAを導入する位置の上流には分泌シグナル配列が存在している(又は分泌シグナル配列を繋いで導入されている)ため、宿主細菌内で細菌の内膜表面には標的膜タンパク質が発現しており、ICKポリペプチドはペリプラズム間隙内に分泌されている(図5、図12を参照。)。
iPS&S法に用いることができる宿主細菌としては、ペリプラズム間隙を有するどのようなグラム陰性細菌であっても適用可能であるが、好ましくは大腸菌である。また、ポリヌクレオチドライブラリーを導入するために用いる発現ベクターとしては、宿主細菌に適合する適宜の公知発現ベクター、好ましくは発現プラスミドを用いることができる。
典型的な大腸菌発現用プラスミドの調製法について以下に述べる。
ランダム化したポリヌクレオチドの5’側に、大腸菌のペリプラズム間隙に輸送するためのシグナル配列に続いて精製用のタグ配列をアミノ末端側に配し、かつ外膜タンパク質(OmpAなど)及び大腸菌のペリプラズム間隙内酵素(DsbCなど)との融合タンパク質として発現させるように、プロモーター配列を含む制御配列を付加し、3’側には停止コドンが付加するようにプラスミドを設計する。
標的膜タンパク質分子(ムスカリン性アセチルコリンm2受容体)とマルトース結合タンパク質との融合タンパク質をコードするDNAがプロモーター配列と共に、同一の発現プラスミド内に挿入されるように設計することが好ましい。
ここで、ヒトm2受容体のcDNA塩基配列は、DNAデータベースAccession No. BC106742から得られる。
その際の宿主微生物としては、ペリプラズム間隙を有するグラム陰性細菌であり、その発現ベクターが入手可能であればどのような細菌であってもよいが、典型的には大腸菌を用いる。なお、形質転換手法及び培養条件などは通常の遺伝子組換え手法が適用できる。
4.スクリーニング方法
(1)本発明のポリペプチドライブラリーを用いたスクリーニング方法
本発明は、本発明のポリペプチドライブラリーを用いて標的タンパク質と結合しうるポリペプチドを同定する方法を提供する。この方法においては、まず本発明のポリペプチドライブラリーを標的と接触させる。ポリペプチドライブラリーと標的との接触は、菌体内中にポリペプチドライブラリーと標的とを共発現することにより行うことができる。接触の条件は、標的との親和性の高いポリペプチドが標的と結合したまま残り、親和性の低いポリペプチドが結合しないように設定することができる。また、標的の特性、本発明にしたがって選択されるべきポリペプチドの用途、予測される非特異的結合の程度などを考慮することができる。
ポリペプチドの同定に際しては、複数のラウンドの選択を行うことができ、その場合には、ラウンドごとに接触の条件を変更してもよい。
次のラウンドには、ポリペプチドライブラリーのうち,標的と結合していないポリペプチドを除去し,標的と結合したポリペプチドを選択する。この選択工程を容易にするためには,複数の方法がある。一つの方法はポリペプチドライブラリーおよび標的のいずれかを固相に固定化しておくことである。固相としては、ガラスまたはプラスチックのプレート、ビーズ、多孔性粒子、膜、磁気粒子などの、当該技術分野において知られる任意のものを用いることができる。このようにして選択されたポリペプチドを回収して、そのアミノ酸配列を決定することにより,標的と結合するポリペプチドを同定することができる。
あるいは、ポリペプチドライブラリーをマイクロアレイのフォーマットで、各コンパートメントにどのような配列のポリペプチドが存在するかがわかるように製造して、標的と接触させてもよい。マイクロアレイに標識した標的を加えてインキュベートした後,未結合ポリペプチドを洗い流し、マイクロアレイ上に残存する標識を検出する。標的が結合しているコンパートメントの位置から、標的と結合しうるポリペプチドの配列を知ることができる。
(2)ディスプレイ型ライブラリーを用いる場合のスクリーニング法
本発明のディスプレイ型ライブラリーを用いる場合は、本発明のポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、それぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在するように、ポリペプチドライブラリーを製造する。このようなポリペプチド・ポリヌクレオチドライブラリーを用いると、ポリヌクレオチドの塩基配列を決定することにより、標的と結合したポリペプチドのアミノ酸配列の決定を容易に行うことができる。
さらに、ポリヌクレオチドと対応づけられた形のポリペプチドライブラリーを用いると、標的に結合したポリペプチドの群を選択した後、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの群を回収して、これを増幅し、転写し、および翻訳することにより、第2のポリペプチドライブラリーを製造することができる。この第2のポリペプチドライブラリーは、個々のポリペプチドは元のポリペプチドライブラリーと同じランダム化領域およびフレームワーク領域を有するが、ライブラリー全体として標的との親和性が増加しており、ランダム化領域の配列の多様性が減少しているはずである。本明細書においてはこの多様性の減少を「濃縮」と称する。次に、この第2のポリペプチドライブラリーを用いて、最初の工程と同様に標的と結合するポリペプチドを選択し、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドから第3のポリペプチドライブラリーを製造する。このようにして、多数ラウンドの選択およびライブラリーの生成を行うことにより、標的との親和性がより高いポリペプチドの集合を得ることができる。
(3)試験管内分子進化法について
本発明のポリペプチド−ポリヌクレオチドライブラリーのサイズが小さい場合(ランダム化する対象のアミノ酸配列領域が少ない場合)、は下記の公知の試験管内分子進化技術が適用できる。または、上記した十分に選択、濃縮されてサイズの小さくなった高親和性ポリペプチド−ポリヌクレオチドに対して当該分子進化技術を適用することで、より高親和性のポリペプチド−ポリヌクレオチドを取得することができる。
具体的には、1ラウンド目のスクリーニング終了後、2ラウンド目の第2のポリペプチドライブラリーを分子進化の手法を適用して作製することができる。すなわち、標的に結合するとして選択されたポリペプチドの配列を決定した後、その配列の一部をさらにランダム化したいわゆる子孫ライブラリーを作製する手法である。配列の一部のランダム化とは、例えば、選択されたポリペプチドのランダム化領域のアミノ酸配列に1個あるいは複数の変異を導入し、残りのアミノ酸配列は固定化したアミノ酸配列を設計する。
その際には、ある領域(例えばループI)のアミノ酸配列は固定して別の領域(例えばループII)のアミノ酸配列に1個あるいは複数の変異を導入したアミノ酸配列を設計する、選択された複数のポリペプチドのランダム化領域に現れたアミノ酸残基をシャッフリングしてこれらを混成させた新たなアミノ酸配列を設計する、などの方法により行うことが好ましい。
このようにして、一部のアミノ酸配列が前ラウンドで選択されたポリペプチドのアミノ酸配列と同じであり残りのアミノ酸が異なる複数のポリペプチドの群からなる第2のポリペプチドライブラリーを製造することができる。次に、この第2のポリペプチドライブラリーを用いて標的と結合するポリペプチドを選択し、以下同様にして、複数のラウンドの選択およびライブラリーのさらなるランダム化を行うことができる。このようにして、標的に結合しうるポリペプチドにさらに変異を導入して人工的な分子進化を促進することが可能となる。
通常、好ましくは2〜10ラウンド、より好ましくは3〜8ラウンド繰り返すことで、より標的親和性の高いポリペプチドを得ることができる。
また、本発明のライブラリーは、例えば1015種類などのサイズの大きいライブラリーであるため、十分に選択・濃縮を繰り返した後のラウンドで、上記分子進化の手法を適用することが好ましい。すなわち、例えば1015種類のライブラリーを用いる場合、1ラウンド目では、例えば10 6種類を選択し、2ラウンド目では、まずこれをそのまま増幅(多様性は増えない)して2回目のセレクションをする。順次、各ラウンドでは増幅、形質転換(もしくは転写・翻訳)、選択を繰り返し、5ラウンド以上、選択・濃縮を繰り返すと、10グループぐらいにペプチド配列に収束してくる。最終的に選ばれた配列に対して、上記分子進化の手法を適用し、さらに親和性や特異性を高める操作を施す。
(4)iPS&S法を用いたスクリーニング方法
iPS&S法においては、ポリヌクレオチドとそれに対応したポリペプチドから構成されるポリペプチドライブラリーは、大腸菌内に導入したベクターとそれにより発現したポリペプチドが標的に結合したときに初めて形成される(図4)。すなわち、標的となる膜タンパク質は大腸菌の内膜に発現させるとともに、ポリペプチドはペリプラズム間隙に発現させる(図12)。標的にポリペプチドが結合したときには、スフェロプラストとポリペプチドが複合体を形成し、ポリヌクレオチドとポリペプチドが間接的に対応づけられる。標的にポリペプチドが結合しないときには、スフェロプラストと複合体を形成することができないのでPCRしてもポリヌクレオチドのライブラリーを構成することができない。したがって、ポリペプチドライブラリーを構成したポリヌクレオチドライブラリーのみが第2のポリヌクレオチドライブラリーとなり、試験管内分子進化がきわめて簡便に適用でき、より標的親和性の高いポリペプチドを効率的に取得できる。
具体的には、大腸菌などの外膜を除いてスフェロプラストの状態にした後、洗浄して非結合性のペプチドを除去する。
次いで、内膜表面に発現している膜タンパク質と結合したポリペプチドを選択する。
その際の選択方法としては、そのN末端側に付加したタグ(Strep-tagなど)を用いてStreptactinビーズで選択してくる方法が典型的であり、タグとしては、他にT7、ヒスチジン、FLAGタグ等があり、磁気ビーズ、セファロースビーズ、アガロースビーズ、多孔性等のビーズ、プレート又はメンブレンを用いて選択してもよい。
選択された、ビーズに固定された状態の「ポリペプチド−膜タンパク質−スフェロプラスト複合体」のスフェロプラスト細胞内部のプラスミドDNAを単離し、当該プラスミドDNA中でポリヌクレオチドライブラリーを構成するポリヌクレオチド配列をPCRで増幅する。
当該増幅されたポリヌクレオチド配列をもとに同様の発現プラスミドを作製し、形質転換、発現、選択という2ラウンド以降のサイクルを複数回繰り返して、より標的膜タンパク質に対する親和性の高いポリヌクレオチドを濃縮する。
第2ラウンド以降の選択のラウンドにおいては、ポリペプチド−膜タンパク質−スフェロプラスト複合体のインキュベーション時間を減少させたり、洗浄の回数を増加させたり、温度を上げることにより、
選択圧を順次高くして、より結合親和性の高いポリペプチドを濃縮することができる。
確認、評価のための手法としては、標的膜タンパク質遺伝子をあらかじめ卵母細胞や培養細胞に導入して発現させた系を用意し、選択されたポリペプチドと標的膜タンパク質を含む膜画分との親和性を測定する手法が用いられる。他には、膜タンパク質を介して起こる様々なシグナル伝達、例えば細胞内カルシウム、cAMP、アラキドン酸濃度の変化や電位変化をそれぞれの感受性蛍光色素により測定したり、放射性同位元素等による細胞内外のフラックス測定をしたり、標的膜タンパク質を含む人工脂質膜再構成系を基板に固定して、それとポリペプチドとの相互作用を表面プラズモン共鳴(SPR)や水晶発振マイクロバランス(QCM)等の装置で測定する手段がある。あるいは細胞の増殖、生死、分化などの変化を調べる手段がある。
5.本発明のスクリーニングで得られた標的との高親和性ポリペプチドの用途
本発明の標的としては、タンパク質、糖類、脂質、低分子化合物など種々のものが対象になるので、各標的を特異的に認識するポリペプチドを提供することができるので、得られたポリペプチドは、試料中の標的を検出するための検出試薬、タンパク質精製用のアフィニティー担体などとして用いることができる。例えば、ウイルス抗原蛋白や癌抗原の検出用、糖タンパク質の糖鎖の同定用などに用いることができる。
また、本発明における好ましい標的は、生体膜表面で各種情報伝達に関わっている膜タンパク質である。したがって、例えば各種膜レセプター、薬物トランスポーター、イオンチャネルなどのアゴニスト、アンタゴニストの探索の他、オーファンレセプターのリガンド物質の探索にも有用であり、それ自体に治療剤や診断薬などの薬理作用が期待できるほか、将来の創薬開発のリード化合物を提供できる。
本発明の実施例では、標的として典型的な膜タンパク質であるムスカリン性アセチルコリン受容体m2サブタイプ(m2)受容体を用いて、6ラウンドのスクリーニング工程の後に、m2受容体に高い親和性のあるグループA〜Fの10ポリペプチド(PepA〜PepF)を同定することができた。そのうちで発現量が高かった3ポリペプチド(PepA-1、PepA-2及びPepC)に対して卵母細胞を用いた系により高親和性を確認し、本発明のライブラリーを用いたスクリーニングが有効であることを実証した。
これらポリペプチド自身にm2受容体との結合のアンタゴニスト、又はアゴニストとしての用途があると同時に、当該ポリペプチドを免疫原として用いることでm2リガンドを認識する抗体が提供できることも期待できる。m2受容体は、ムスカリン受容体のうちでも脳、心臓や平滑筋に局在し、特に心臓では専らm2サブタイプが発現している受容体であるから、当該受容体の作用をブロックする、又は活性化させる薬剤のリード化合物として用いることで、さらに有効な神経疾患、心臓疾患(抗不整脈など)、消化器系疾患(消化性潰瘍など)の治療薬の提供が可能になる。
6.本発明の実施態様
以下に、実施例で作成し使用したA4-1に基づくライブラリーを例として、本発明のICKインビボライブラリーの構造および作製方法、ならびにこれをiPS&S法で用いて試験管分子進化させた場合について、標的と親和性の高いポリペプチドのスクリーニング方法を実施態様として説明する。なお、本発明は、当該実施態様には限定されない。
(1)ポリペプチドライブラリー
A4-1のICKスキャフォールドに基づいて作製されたポリペプチドライブラリーは、下記のアミノ酸配列からなる式〔1〕のポリペプチドの群から構成される。
式〔1〕
DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2(配列番号2)
(式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
ここで、式〔1〕は、カルシウムチャネルの結合に関与すると推定されているアミノ酸を含む3つのループ領域およびテール領域がランダム化されている構造を有する。図1に示されるように、ループを形成していると予測される領域およびその周辺のアミノ酸残基をランダム化した。さらに、テール領域のアミノ酸残基もランダム化した。ベータシートを形成しているアミノ酸は変更していない。
(2)ICKインビボライブラリー用のコンストラクトの調製
A4-1遺伝子を含むためには、 ループおよびC末端部分のアミノ酸配列をランダム化したA4-1遺伝子の5’側にスペーサー、大腸菌のDsbCタンパク質、OmpAのシグナル配列、Strep・tagII配列、SD配列およびプロモーター配列を付加し、3’側には停止コドンが付加するように設計した。さらに、これらの上流には標的となるムスカリン性アセチルコリン受容体がマルトース結合タンパク質とフュージョンする形で付加されている。プロモーター配列およびSD配列は、A4-1遺伝子の大腸菌での転写および翻訳に、 DsbCタンパク質およびOmpA配列は、A4-1遺伝子から発現されるポリペプチドがペリプラズム間隙に移行するように、Strep・tagII配列は、ライブラリーの精製に用いるための配列である。得られた全長コンストラクトを直接配列決定して確認している。
具体的には、以下の手順で行った。
ムスカリン性アセチルコリン受容体m2サブタイプは、Furukawaらの方法(H. Furukawa and T. Haga: J. Biochem. (2000) 127, 151-161)に従い、マルトース結合タンパク質(MBP)との融合タンパク質として大腸菌内膜に発現させた。一方、ICKモチーフを持つポリペプチドは、大腸菌の外膜タンパク質OmpAのシグナルペプチド配列に続いて精製用のタグ配列Strep tag IIをアミノ末端側に配して、ジスルフィド異性化酵素DsbCとの融合タンパク質としてペリプラズムに発現させるようにプラスミドの構築を行った(図5A)。このプラスミドDNAを用いて大腸菌のトランスフォーメーションを行った。MBP (43 kDa)と融合したm2(35 kDa)およびDsbC (25 kDa)と融合したICK型ペプチド (4 kDa)の発現は、それぞれ抗MBP抗体および抗Strep-tag抗体によるWesternブロット法により、理論値のサイズ(78 kDaと29 kDa)のバンドが確認できた(図5B)。図5Aに示す受容体とペプチドをタンデムにコードするプラスミドDNAにより大腸菌の形質転換を行うことにより、受容体を内膜に発現し、同時にペプチドをペリプラズム間隙に分泌する発現系を構築することができた。
(3)スクリーニング及び分子進化工程
本発明のICKライブラリーとm2受容体をともに大腸菌内のペリプラズム間隙で発現させる。その後、大腸菌の外膜を除きスフェロプラストの状態にし、Strep・tactinビーズとともにインキュベートする。数回洗浄した後に、m2受容体に結合したポリペプチドを含むICK を溶出する。溶出した生成物をPCR増幅し、非特異的結合成分との差分処理(Subtraction)をした後にベクターに導入する。このベクターを大腸菌にトランスフォーメーションし、上述のようにICKとm2受容体を共発現させる。このようにして、複数ラウンドの選択およびポリペプチドライブラリー生成を行うことができる。第2ラウンド以降の選択のラウンドにおいては、ICKと標的とのインキュベーション時間を減少させ、洗浄の回数を増加させることにより、選択圧を順次高くして、より結合親和性の高いポリペプチドを濃縮することができる。
具体的には、以下の手順でm2受容体結合ペプチドをスクリーニングした。
形質転換した大腸菌においては、それぞれのペリプラズムで発現したICK型ペプチドとm2受容体が相互作用する。この中で強い結合活性のあるものを選択した。それには先ず、大腸菌の外膜を除いてスフェロプラストの状態にして、非結合性のペプチドを除去する。受容体と結合したペプチドは、そのN末端側に付加したStrep-tagを用いてStreptactinビーズで選択してくる。即ち、Streptactin‐[Strep-tag‐ペプチド]‐[m2受容体‐大腸菌(スフェロプラスト)]の複合体が選択されてくる。m2受容体と結合するペプチドの配列情報は、同時に釣られてくる大腸菌が持つプラスミドDNAに含まれるため、この配列をPCRで増幅して、2ラウンド目以降の発現・選択のサイクルを続けて、目的の配列遺伝子を濃縮する(図4)。
選択のサイクルを6ラウンド行った結果、以下の6グループ10種類のペプチドを同定した。
(4)本発明のスクリーニングで得られるポリペプチド
以下の実施例に示されるように、本発明においては、6ラウンドの選択およびライブラリーの生成により、m2受容体と結合しうる10種類のペプチドを同定した。2〜4程度のアミノ酸変異を1グループとすると大きく6グループに分けられる。
以下、それぞれをグループA〜Fといい、グループ内のポリペプチドをPepA〜Fという。(なお、基のライブラリーでランダム化した領域を下線で示す)
(A)グループA
グループAのポリペプチドは、下記の式〔2〕で表される。
式〔2〕:
DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVX 1 X 2 KWCKYX 3 X 4 (配列番号3)
(式中、X1はV,L又はGであり、X2はA又はGであり、X3はA,P,Y又はなくてもよく、X4はN,I,L又はなくてもよい。)
具体的には、以下の4つのポリペプチドである。
PepA-1: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVVAKWCKY (配列番号4)
PepA-2: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVVAKWCKYAN (配列番号5)
PepA-3: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVLGKWCKYPI (配列番号6)
PepA-4: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVGAKWCKYYL (配列番号7)
(B)グループB
PepB:DCLGFRWRCIPGINLCCRPNLVCSNSKKWCKYVM (配列番号8)
(C)グループC
PepC:DCLGFSMGCIPNQVRCCRPNLVCSVDLKWCKYSH (配列番号9)
(D)グループD
PepD:DCLGFRWSCIPWEASCCRPNLVCSDWKKWCKYIL (配列番号10)
(E)グループE
PepE:DCLGFLGWCIPREELCCRPNLVCSNNWKWCKYTI (配列番号11)
(F)グループF
グループFのポリペプチドは、下記の式〔3〕で表される。
式〔3〕:
DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYX 5 X 6 (配列番号12)
(式中、X5はA又はDであり、X6はL又はYである。)
具体的には、以下の2つのポリペプチドである。
PepF-1:DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYAL (配列番号13)
PepF-2:DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYDY (配列番号14)
これらのポリペプチドのうち発現量が十分なものについて、以下の手順でm2受容体結合ペプチドの特性解析を行った。
ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)m1, m2, m3, およびm4サブタイプは、それぞれのcDNAから合成したRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に微小注入して細胞膜上に受容体を発現させ、受容体を含む膜画分として調製した。PepCは大腸菌において遺伝子組換え体として発現し、それを精製した。受容体の結合競合物質として[3H]-N-methylscopolamine([3H]-NMS)を用い、ペプチドとの結合競合実験を行った。
その結果、365 nM PepCはm2とNMSとの結合を37.5%阻害した。一方m1、m3、m4に対する阻害率は、438 nMにおいてそれぞれ6.0%、10.4%、6.2%であり、PepCは他のmAChRサブタイプと区別してm2受容体を特異的に阻害することが分かった。
上記6種類のポリペプチドのうち、m2受容体に対して高い親和性を示すことが確認されたポリペプチドのアミノ酸配列は以下の通りである。
PepA-1: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVVAKWCKY (配列番号4)
PepA-2: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVVAKWCKYAN (配列番号5)
PepC:DCLGFSMGCIPNQVRCCRPNLVCSVDLKWCKYSH (配列番号9)
したがって、本発明のICKライブラリーを用いることで、標的タンパク質に対して高い親和性を有するポリペプチドが複数種類容易に取得することができる。そして、得られたポリペプチド類、例えば本実施例で得られたm2受容体高親和性ポリペプチド類は、m2受容体との結合の阻害剤として、種々の疾患の治療に有用であると考えられる。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、本発明の実施例で用いた遺伝子組換え技術、PCR法、その他の手法などの具体的な手順や条件は、特に断らない限り、Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,NY(2001)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995;日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、東京化学同人 (1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA技術)」、東京化学同人 (1992); R. Wu ed.,"Methods in Enzymology", Vol. 68 (Recombinant DNA), Academic Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100 (Recombinant DNA, PartB) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Press, New York (1983); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 153 (Recombinant DNA, Part D), 154 (Recombinant DNA, Part E) & 155 (Recombinant DNA, Part F), Academic Press, New York (1987)などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法またはそれらと実質的に同様な方法により行うことができる。
また、本発明で引用した先行文献又は特許出願明細書の記載内容は、本明細書の記載として組み入れるものとする。
(実施例1)クモ毒ポリペプチドの分子骨格をもつポリペプチドライブラリーの作製
バクテリアディスプレイ法による進化工学を用いて、標的と結合しうるクモ毒様ポリペプチドを取得するために、ICKモチーフのポリペプチドPeak A4-1の3つのループ領域とテール領域をランダム化したポリペプチドライブラリーを作製した。クモ毒様ポリペプチドのシステインのフレームワークは、いくつかの短い神経毒の間で保存されていることが知られている。カルシウムイオンチャネルへの結合に関与すると推定されているアミノ酸を含む部分およびその周辺のアミノ酸残基をランダム化した。
(1−1) クモ毒様ポリペプチドライブラリー用の全長コンストラクトの調製
クモ毒様ポリペプチドライブラリー用の全長コンストラクトは、PeakA4-1toxin cDNAを鋳型とし、そのループ部分3ヶ所およびC末端部分のアミノ酸配列をランダムした。即ち、PeakA4-1toxinの塩基配列上、ループIのM6−K8(3アミノ酸)、ループIIのD12−K15(4アミノ酸)、ループIVのR25−H27(3アミノ酸)およびC末端のV33−F34(2アミノ酸)をランダム化した。ポリペプチドコード領域の最後は2つの停止コドン(TGAおよびTAG)を導入し、さらに19塩基対の3’‐ノンコーディング領域を付加するよう設計した。
PeakA4-1toxinを鋳型とする上述のヌクレオチド配列を15 bpのオーバーラップを含む2つのオリゴヌクレオチドで合成し、PCRにより全長を合成した。オリゴヌクレオチドは慣用のオペロンバイオテクノロジー株式会社により合成した。2つのフラグメントは共に、ループ配列に対応するランダム化ヌクレオチドを含む。第1のフラグメントは3つのランダム化領域を含む。第2のフラグメントはC末端の1つのランダム化領域、停止コドンおよび3’ノンコーディング領域を含む。これら2つのフラグメントの3’側にオーバーラップ配列を含む。この実験に用いたオリゴヌクレオチドの一覧を以下に示す。NはA、G、CまたはTを表し、SはCまたはGを表す。
F1:5’-GACTGTTTAGGATTT(NNS)3TGCATCCCC(NNS)4TGCTGTCGTCCAAACCTTGTATGCAGT(NNS)3 AAATGGTGTAAATAT-3’(配列番号15)
F2:5’-ATCTGCAGAATTCGCCCTTCTATCA(SNN)2 ATATTTACACCATTT-3’(配列番号16)
下線を付した配列はPCR用のオーバーラップ配列を示す。
PCRは、2.5U/μlのPfuTurboCx Hotstart DNAポリメラーゼ(STRATAGENE)および100 pmolのフラグメントを用いて製造元から供給されたバッファ中で行った。94℃を30秒間、55℃を30秒間および72℃を30秒間で3サイクル行った。
(1−2) 配列決定による初期ライブラリーの質の評価
次に、上述で得られた全長コンストラクトを用いてライブラリーをプラスミドベクターpCR2.1TOPO (Invitrogen)にクローニングして、10個の単一コロニーを無作為に取り出し、配列決定した。10個のクローンのすべてにおいて、ランダム化した領域の塩基配列は異なっており、ライブラリーが適切な多様性からなることが確認された。ヌクレオチドの組成についても、SについてはCまたはGのいずれか、Nについては4つのヌクレオチドのいずれかを含むことが確認された。したがって、上述の方法により作製したライブラリーは、多様性および質の点で満足しうるものであった。
(実施例2)膜タンパク質とポリペプチドライブラリーを発現するプラスミドベクターの構築
大腸菌内で発現させたm2は内膜に、ポリペプチドはペリプラズム間隙に発現するように設計した。また、それらの発現量および個々の大腸菌で大きな差が出ないようにするため、一つのベクターにタンデムに並べて発現できるようにした。
(2−1) クモ毒様ポリペプチドライブラリーとムスカリン性アセチルコリン受容体m2をコードするプラスミドの作製
pGRIIMBPM2LDHNDATG+(H. Furukawa and T. Haga: J. Biochem. (2000) 127, 151-161)は、膜タンパク質であるムスカリン性アセチルコリン受容体(m2)にマルトース結合タンパク質(MBP)をフュージョンタンパク質として大腸菌の内膜に発現するベクターである。このベクターのm2の下流にある制限酵素サイト(HindIII)を切断した。
pET27b(+)(Invitrogen)は、大腸菌によるタンパク質の発現用のベクターとして用いられている。このベクターのrbsからT7terminatorの配列をPCRした。そのPCR産物をIn-Fusion PCR Cloning System(Clontech)を用いて上記のベクターにクローニングを行った(pGRII-IF)。

PCR forward:5’-GTCTGCAGGCAAGCTTCTAGAAATAATTTTGTTTAA-3’(配列番号17)
PCR reverse:5’-GGCCAGTGCCAAGCTTTATGCTAGTTATTGCTCAG-3’(配列番号18)

pET40b(+)(Invitrogen)は、大腸菌内で発現したポリペプチドをペリプラズム間隙に移行させるのに関与するDsbC配列を468 nt(塩基配列番号)から1115 ntに含むベクターである。このDsbC配列を、pET40b(+)をテンプレートとしてPCRにて調製し(PCR forward 1およびreverse 1)、SacIIにて切断した(フラグメント1)。A4-1をテンプレートにPCR forward 2およびreverse 2でPCRを行い、SacIIで切断した(フラグメント2)。その後、PCR1フラグメントおよびPCR2フラグメントをライゲーションし、これをテンプレートにPCR forward 3およびPCR reverse 2を用いてPCRを行った(フラグメント3)。このPCRにてStrep・tagII−DsbC−A4-1のフラグメントができ、これをNheIで切断した。pET27b(+)上にあるXbaIサイト(380 nt)をQuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE)にてTCTAGAをTGTAGAにし、pelBのシグナル配列とOmpAのシグナル配列を交換したものを作製した。これをテンプレートにして、PCR forward 4およびPCR reverse 3にてPCRを行った。これにより、T7プロモータからOmpAを含んだフラグメントを作製し(フラグメント4)、NheIで切断した。フラグメント3および4をライゲーションし、さらにこれをテンプレートにしてPCR forward 4およびPCR reverse 2でPCRを行った後、pCR2.1にクローニングした。クローニングしたプラスミドからPstIおよびEcoRIで切り出しを行いそのフラグメントをpGRII-IFベクターの同じ制限酵素サイトにクローニングした(pGRII-Tx、図6参照)。

PCR forward 1 5’-CTCAGTTCGAAAAAGGCGCCGATGACGCGGCAATT-3’(配列番号19)
PCR reverse 1:5’-TTTTGCCGCGGCTTCTTTACCGCTGGT-3’(配列番号20)
PCR forward 2:5’-GAAGCCGCGGCAAAAGACTGTTTAGGA-3’(配列番号21)
PCR reverse 2:5’-GAATTCTTAAAATACATA-3’(配列番号22)
PCR forward 3:5’-CTAGCTAGCTGGAGCCACCCTCAGTTCGAAAAA-3’(配列番号23)
PCR reverse 3:5’-CTGAGGGTGGCTCCAGCTAGCGGCCTGCGCAA-3’(配列番号24)
PCR forward-4:5’-CTGCAGTCGATCCCGCGAAATTAA-3’(配列番号25)
USER friendly DNA engineering method(New England Biolabs)のUSER cassette配列をオペロンバイオテクノロジー株式会社にて2つのフラグメントに合成した。PCR forward 1およびPCR reverseでPCR行い、USER cassetteを作製した。これをテンプレートにしてPCR forward 2およびreverseでPCRを行った。PCR産物をSacIIにて切断した(SacII-USER)。このフラグメントとSacIIで切断したpGRII-Txをライゲーションし、上記のPCR forward 4(配列番号25)と下記PCR reverse(配列番号27)でPCRを行い、pCR2.1にクローンニングした。得られたプラスミドからPstIおよびEcoRIで切り出しを行い、これをpGRII-Txのおなじサイトにクローニングした(pGRII-USER、図7参照)。得られたベクターの配列はDNAシークエンサーにて確認した。

PCR forward 1:5’-CTGCAGGCTGAGGAGACATCTAGAGGATCCT-3’(配列番号26)
PCR reverse:5’-GCTGAGGGAAAGTCTAGAGGATCCTCT-3’(配列番号27)
PCR forward 2:5’-TCCCCGCGGCTTTTGCTGAGGAGACATCT-3’(配列番号28)

このベクターをXbaIおよびNt.BbvCI(New England Biolabs)で切断した(m2-USER)。このベクターをUSER friendly DNA engineering methodを用いたクローニング用のベクターとして以下の実験に用いた。
ランダム化したポリペプチドを、調製したベクターにクローニングする際には、ランダム化ポリペプチドをコードするヌクレオチドを用いて、PfuTurboCx Hotstart DNAポリメラーゼでPCR(95℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で30秒間)を25サイクルした。PCR産物、m2-USERおよびUSER enzyme(New England Biolabs)を混合し、室温で15分間反応させた。反応液にLigation High(TOYOBO)を添加し、さらに15分間反応させた。最終的に得られた反応液を大腸菌にトランスフォーメーションし、LB−アンピシリン(75 μg/ml)のプレートにまいて、一晩培養した。PCRに用いたプライマーを以下に示す。ここで、UはUracilを示している。
PCR forward:5’-GGAGACAUCAGACTGTTTAGGA-3’(配列番号29)
PCR reverse:5’-GGGAAAGUATCTGCAGAATT-3’(配列番号30)
(2−2) 大腸菌での発現確認
大腸菌にベクターをトランスフォーメーションし、発現誘導をかけた後に膜タンパク質およびポリペプチドの発現の確認を行った。大腸菌を6000 x gで10分間で集菌し、20 mMのTris-HCl(pH 7.5)にて洗浄した。その細胞を用いてペリプラズム画分およびスフェロプラスト画分を調製した。スフェロプラスト画分は、緩衝液(20 mM Tris-HCl (pH 7.4)、1 mM EDTA,25% Sucrose,0.5 mM phenylmethylsulphonyl fluoride)に懸濁し、超音波処理した。150000 x gで1時間の遠心分離により、細胞を回収し、これを緩衝液(20 mM Tris-HCl (pH 7.4),500 mM NaClおよび1mM EDTA)で懸濁した。150000 x gで1時間の遠心分離で細胞を回収し、20 mM Tris-HCl (pH 7.4)で懸濁することで膜画分を得た。ペリプラズム画分および膜画分を電気泳動(SDS-PAGE)に供し、ウエスタンブロットにて発現の確認をした。ペリプラズム画分はStrep・tagII抗体を用いてポリペプチドの発現を、膜画分はMBP抗体によりm2の検出をした。その結果、ペリプラズム画分には、約29 kDaにポリペプチドに付加したStrep・tagIIのバンドを、また膜内膜画分では、約78 kDaにm2に付加したMBPのバンドを検出した(図5B)。これらの結果により、ポリペプチド発現はペリプラズム間隙に、m2受容体の発現は内膜にそれぞれ確認できた。
(実験例3)クモ毒様ポリペプチドライブラリーからのm2受容体結合ポリペプチドの選択
(3−1) クモ毒様ポリペプチドの発現とm2受容体への結合
大腸菌中で発現させたm2およびクモ様ポリペプチドは培養中に菌体内のペリプラズム間隙で反応する。ペリプラズム間隙を反応の場とすることでそれぞれの大腸菌でポリペプチドとm2の反応ができる。ランダム化ポリペプチドを配したベクターを大腸菌にトランスフォーメーションし、一晩培養したプレートからLB−アンピシリンの液体培地で菌体を回収し、OD600が0.6に達するまで増殖させた。培養物を0.5 mM IPTGで20℃で24時間誘導した。
(3−2) スフェロプラストの調製
スフェロプラストは大腸菌にある内膜および外膜の2つのうち、外膜だけを除去した状態である。このようにすることで内膜に発現したm2に結合しているポリペプチドをポリペプチドスフェロプラスト複合体として回収することができる(図4)。大腸菌の培養液から細胞を6000 x gの遠心10分間で回収し、20 mM Tris-HCl(pH 7.5)にて2回洗浄した。回収した細胞を、高張液(20 mM Tris-HCl (pH 7.5),0.5 mM EDTA,20% Sucrose,1 mM phenylmethylsulphonyl fluoride)に懸濁し、氷上で10分間インキュベーションした。12000 x gで10分間の遠心分離により、細胞を回収した。これを低張液(50 mM Tris-HCl (pH 7.5))に懸濁し、氷上で10分間インキュベーションした。12000 x gで10分間の遠心分離により、回収した画分をスフェロプラストとした。
(3−3) m2受容体結合ポリペプチドの選択
上述のようにスフェロプラストを調製した後、クモ様ポリペプチドに付加したStrep・tagIIをStrep tactin (Magnetic Beads, QIAGEN)で結合させた。これを緩衝液(10 mM Tris-HCl (pH 8.0),1 mM EDTA,1 M NaCl,0.1% TritonX-100)で十分洗浄し、非特異的に結合している物質を除去した(図4)。ビオチン溶液で溶出することで特異的に結合しているポリペプチドスフェロプラスト複合体をStrep tactinより回収した。この回収した溶液を用いてPCR(95℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で30秒間)を30サイクルした。以下にPCRで用いたプライマーの配列を示す。ここで[Bio]はビオチンが付加されていることを示す。

PCR forward:5’- [Bio]-GAGGGACATCAGACTGTTTAGGA-3’(配列番号31)
PCR reverse:5’-TTCGCCCTTCGACTGAGGGAAAGT-3’(配列番号32)
(3−4) m2受容体結合ポリペプチドの配列の確認
m2に結合するポリペプチドの配列を明らかにするために、ポリペプチドのアミノ酸配列をコードしているプラスミドを回収してそのDNA配列をDNAシークエンサーで確認した。6ラウンド終了後に得られたコロニーを無作為に選び、菌体をLB−アンピシリンの培地中でOD600が0.6に達するまで培養した。菌体を回収後、プラスミドをWizard MagneSil Plasmid Purification System(Promega)により得た。得られたプラスミドの濃度をOD260により測定し、サンプルあたり200 ngになるようにプレートに分注した。シークエンスは株式会社ベックスに依頼し、プラスミドに含まれるポリペプチドのDNA配列を確認した。ランダム化した配列の類似性に基づいて6つのグループに分けることができた。これらグループのポリペプチド配列上の非ランダム化配列に変異は入っていなかった。
選択のサイクル6ラウンド終了後、10種類のペプチドを同定した。2〜4程度のアミノ酸変異を1グループとすると大きく6グループに分けられる。以下、それぞれをグループA〜Fといい、グループ内のポリペプチドをPepA〜Fという。(なお、基のライブラリーでランダム化した領域を下線で示す)
(A)グループA
グループAのポリペプチドは、下記の式〔2〕で表される。
式〔2〕:
DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVX 1 X 2 KWCKYX 3 X 4 (配列番号3)
(式中、X1はV,L又はGであり、X2はA又はGであり、X3はA,P,Y又はなくてもよく、X4はN,I,L又はなくてもよい。)
具体的には、以下の4つのポリペプチドである。
PepA-1: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVVAKWCKY (配列番号4)
PepA-2: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVVAKWCKYAN (配列番号5)
PepA-3: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVLGKWCKYPI (配列番号6)
PepA-4: DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVGAKWCKYYL (配列番号7)
(B)グループB
PepB:DCLGFRWRCIPGINLCCRPNLVCSNSKKWCKYVM (配列番号8)
(C)グループC
PepC:DCLGFSMGCIPNQVRCCRPNLVCSVDLKWCKYSH (配列番号9)
(D)グループD
PepD:DCLGFRWSCIPWEASCCRPNLVCSDWKKWCKYIL (配列番号10)
(E)グループE
PepE:DCLGFLGWCIPREELCCRPNLVCSNNWKWCKYTI (配列番号11)
(F)グループF
グループFのポリペプチドは、下記の式〔3〕で表される。
式〔3〕:
DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYX 5 X 6 (配列番号12)
(式中、X5はA又はDであり、X6はL又はYである。)
具体的には、以下の2つのポリペプチドである。
PepF-1:DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYAL (配列番号13)
PepF-2:DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYDY (配列番号14)
(3−5) ポリペプチドの調製
得られたm2結合ポリペプチドについてさらに詳細に調べるために、全てのクローンからポリペプチドを調製した。ポリペプチドは、pBAD/TOPOThio融合発現キット(Invitrogen)を一部改変して用いチオレドキシン融合タンパク質として調製した。改変した部分は、pBAD/TOPOThioベクターのチオレドキシンのN末端側にStrep・tagIIを挿入した点およびエンテロキナーゼ認識配列のC末端側にPreScission酵素(GE Healthcare)の認識配列を挿入した点である。m2結合ポリペプチドをコードするプラスミドからDNAを増幅し、pBAD/TOPOThio改変ベクター中にクローニングし、大腸菌にトランスフォームした。配列決定によりフレームの確認をした。
ポジティブクローンをLB−アンピシリンの培地中でOD600が0.5に達するまで培養した。培養物を0.02%アラビノースで25℃で3時間誘導した。3000 rpmで20分間で細胞を回収し、超音波処理をした。溶解物を遠心分離し、上清(可溶性画分)およびペレット(不溶性画分)に分離し、SDS-PAGEで解析した。可溶性画分は発現したポリペプチドのStrep・tagIIについてStrep tactin(IBA
GmbH)アフィニティーカラムで非変性条件化で結合させ、融合タンパク質をPreScission酵素で切断した。融合タンパク質が除かれたポリペプチドを回収し、Lowry法によりタンパク質の定量をした。
ここで、得られた10ポリペプチドのうち、PepA-1、PepA-2及びPepCについては発現量が充分確保できたので、この3ポリペプチドを以下の各結合実験に供し、m2受容体との親和性、特異性を客観的に評価する。
(3−6) ポリペプチドとm2受容体との結合実験
ポリペプチドの活性および結合様式を評価するために、上記ポリペプチドのうちのPepA-1、PepA-2及びPepCを用いてm2との結合実験を行った。m2は、アフリカツメガエルの卵母細胞にm2タンパク質をコードするcRNAを導入し、細胞膜上に発現した膜画分を用いた。m2の結合競合物質として、トリチウム標識した[3H]-N-methylscopolamine([3H]-NMS)を用い、これを緩衝液(20 mM Tris-malate (pH 7.5))に溶解した。精製したポリペプチド、膜画分および[3H]-NMSを混合し、30℃で60分間インキュベートした。反応液をグラスフィルタに通し膜画分をトラップし、20 mM リン酸カリウム緩衝液でよく洗浄して非特異的な結合を除去した。グラスフィルタを乾燥させ、バイアルに移しシンチレーションカクテル中でシンチレーションカウンタを測定した。PepA-1は6.0μMで54.6%、PepA-2は5.4μMで46.0%、PepCは365 nMで37.5%の結合阻害が示され、m2に対するアンタゴニスト作用がみられた(図9)。
(3−7) ポリペプチドとm2以外のムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプとの結合実験
ムスカリン性アセチルコリン受容体には、m2以外にもm1、m3およびm4のサブタイプがある。ポリペプチドの特異性を明らかにするためにサブタイプに対する結合実験を行った。これら受容体のcRNAをそれぞれ調製し、上述と同様の方法でサブタイプに対する結合阻害を測定した。PepCは438 nMの濃度で、m1に対して6.0%、m3に対して10.4%およびm4に対して6.2%の阻害があり、またm2に対しては365 nMで37.5%の結合阻害が見られた。このことは、PepCがムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプの中でm2を選択的に阻害することを示す。
(実験例4)m2結合ポリペプチドの標的特異性評価
(4−1) 非特異的吸着ポリペプチドの除去
ランダム化したポリペプチドがm2以外の内膜タンパク質等に結合する非特異的吸着が予想されることから、この非特異的結合を除くためにサブトラクションをした。予めm2を除いたベクター(Non-m2-USER)を用意し、これにランダム化ポリペプチドをクローニングした。大腸菌にトランスフォーメーションし、一晩培養したプレートからコロニーを回収した。回収した菌培養液のOD600が0.6に達するまで培養し、0.5 mM IPTGで24時間誘導した。遠心分離により菌体を回収し、スフェロプラストを調製した。これをStrep tactinで回収し、F1およびF2でPCR(95℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で30秒間)を30サイクルしたものを非特異的吸着のDNAとした。このPCRでは、リバースプライマーの5’側にビオチンを付したもの使った。非特異的吸着DNAをアビジンコートの磁気ビーズ(MAGNOTEX-SA,TAKARA BIO INC.)に結合させ、アルカリ処理することで結合させたDNAを一本鎖にし、磁気ビーズ結合の非特異的吸着一本鎖DNA(Non-speDI)を準備した(図8)。以下にPCRに使用したF1およびF2の配列を示す。[Bio]はビオチンを付していることを示している。
PCR forward:5’-GAGGAGACATCAGACTGTTTAGGA-3’(配列番号31)
PCR reverse:5’- [Bio]-TTCGCCCTTCGACTGAGGGAAAGT-3’(配列番号32)
m2を含むベクターで調製して得られたm2結合ポリペプチドをコードするDNAをPCRにて調製した。このPCR産物を熱処理により一本鎖にして、Non-speDIと50℃でアニーリングをした。これにより非特異的なDNAはNon-speDIのDNAと二本鎖を形成する。アニーリング後に二本鎖を形成しなかったDNAを磁気ビーズにより回収し、回収したDNAをテンプレートにPCRしたものを次に進めた(図8)。
(4−2)選択されたm2結合ポリペプチドの標的特異性の評価
グループAのPepA-1(配列番号4)を用いてm2を特異的に標的にしているのかを評価した。PepA-1のプラスミドからDNAを増幅し、m2を含まないベクター(Non-m2-USER)にクローニングした。また対照となるペプチドとして、6ラウンドまでセレクションに残ったが、ポリペプチドのランダム化配列の所で停止コドンが入ったもの(truncated peptide)をクローニングして比較した(図10A)。これらをそれぞれ大腸菌にトランスフォーメーションし、一晩培養した。培養したプレートからコロニーを回収し、0.5 mM IPTGで24時間誘導した。遠心分離により、回収した菌体からスフェロプラストを調製し、Strep・tactinで回収した。回収したスフェロプラストを使ってPCRを行い、電気泳動によりバンドが検出されるかをみた。Truncated peptideではバンドが現れ、一方、PepA-1を発現したサンプルからはバンドは見られなかったことから、PepA-1は大腸菌内膜などに非特異的に吸着していたのではなく、m2と特異的に結合していたことが確認できた(図10B、図11参照)。また、この時に両方のペプチドがペリプラズムに発現していることは、回収したペリプラズム画分を電気泳動とウエスタンブロットで解析することにより確認した(図10C)。
<ICK scaffold polypeptide library>
1.Polypeptide A4-1
DCLGFMRKCIPDNDKCCRPNLVCSRTHKWCKYVF
2.A4-1-based polypeptide library
DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2
(X=any amino acid)
3.PepA(Group A)
DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVX1X2KWCKYX3X4
(X1=V,L or G、X2=A or G、X3=A,P,Y or not、X4=N,I,L or not)
4.PepA-1
DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVVAKWCKY
5.PepA-2
DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVVAKWCKYAN
6.PepA-3
DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVLGKWCKYPI
7.PepA-4
DCLGFRRGCIPVGELCCRPNLVCSVGAKWCKYYL
8.PepB(Group B)
DCLGFRWRCIPGINLCCRPNLVCSNSKKWCKYVM
9.PepC(Group C)
DCLGFSMGCIPNQVRCCRPNLVCSVDLKWCKYSH
10.PepD(Group D)
DCLGFRWSCIPWEASCCRPNLVCSDWKKWCKYIL
11.PepE(Group E)
DCLGFLGWCIPREELCCRPNLVCSNNWKWCKYTI
12.PepF(Group F)
DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYX5X6
(X5=A or D、X6=L or Y)
13.PepF-1
DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYAL
14.PepF-2
DCLGFEVVCIPGMLDCCRPNLVCSTVSKWCKYDY
15.A4-1 random forward primer
GACTGTTTAGGATTT(NNS)3TGCATCCCC(NNS)4TGCTGTCGTCCAAACCTTGTATGCAGT(NNS)3AAATGGTGTAAATAT
(N=A,G,C orT,S=C or G)
16.A4-1 random reverse primer
ATCTGCAGAATTCGCCCTTCTATCA(SNN)2ATATTTACACCATTT
(N=A,G,C orT,S=C or G)
17.27rbs forward primer
GTCTGCAGGCAAGCTTCTAGAAATAATTTTGTTTAA
18.27T7term reverse primer
GGCCAGTGCCAAGCTTTATGCTAGTTATTGCTCAG
19.Strep40DsbC forward primer
CTCAGTTCGAAAAAGGCGCCGATGACGCGGCAATT
20.SacIIDsbC reverse primer
TTTTGCCGCGGCTTCTTTACCGCTGGT
21.SacIIA4-1 forward primer
GAAGCCGCGGCAAAAGACTGTTTAGGA
22.ERA4-1 reverse primer
GAATTCTTAAAATACATA
23.NheStrep forward primer
CTAGCTAGCTGGAGCCACCCTCAGTTCGAAAAA
24.NheOmpSS reverse primer
CTGAGGGTGGCTCCAGCTAGCGGCCTGCGCAA
25.27T7prom forward primer
CTGCAGTCGATCCCGCGAAATTAA
26.PstNt USER forward primer
CTGCAGGCTGAGGAGACATCTAGAGGATCCT
27.Nt USER reverse primer
GCTGAGGGAAAGTCTAGAGGATCCTCT
28.SacIINt USER forward primer
TCCCCGCGGCTTTTGCTGAGGAGACATCT
29.TxUser forward primer
GGAGACAUCAGACTGTTTAGGA
30.TxUser reverse primer
GGGAAAGUATCTGCAGAATT
31.Tx(biotin)forward primer
GAGGGACATCAGACTGTTTAGGA
32.Tx(biotin)reverse primer
TTCGCCCTTCGACTGAGGGAAAGT

Claims (20)

  1. ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドの群で構成されるポリペプチドライブラリーであり、かつ当該各ポリペプチドのアミノ酸配列が
    (A)下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有している、または、
    (B)下記(i)〜(iii)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有しており、かつ、下記(iv)の領域におけるアミノ酸配列を有していない
    ことを特徴とするポリペプチドライブラリー
    i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
    iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列。
  2. 前記ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項1に記載のポリペプチドライブラリー;
    式〔1〕
    DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2(配列番号1)
    (式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
  3. 前記ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、それぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在している、請求項1又は2に記載のポリペプチドライブラリー。
  4. ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの群で構成されるポリヌクレオチドライブラリーであって、各ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドのアミノ酸配列が、
    (A)下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有している、または、
    (B)下記(i)〜(iii)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有しており、かつ、下記(iv)の領域におけるアミノ酸配列を有していない
    ことを特徴とする、ポリヌクレオチドライブラリー;
    i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
    iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列。
  5. 前記ポリヌクレオチドライブラリーを構成する各ポリヌクレオチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、請求項4に記載のポリヌクレオチドライブラリー;
    式〔1〕
    DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2(配列番号1)
    (式中、Xは任意のアミノ酸残基である)。
  6. 前記ポリヌクレオチドライブラリーが、発現ベクター中に組み込まれている状態にある、請求項4又は5に記載のポリヌクレオチドライブラリー。
  7. 前記発現ベクターにおいて、前記ポリヌクレオチドの上流に分泌シグナル配列が存在している、請求項6に記載のポリヌクレオチドライブラリー。
  8. 前記発現ベクターにおいて、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドが同一ベクター上に組み込まれている、請求項6又は7に記載のポリヌクレオチドライブラリー。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の発現ベクターで形質転換された形質転換宿主の群により構成された、ポリヌクレオチドライブラリー。
  10. 前記形質転換宿主がグラム陰性細菌である請求項9に記載のポリヌクレオチドライブラリー。
  11. 標的に対して親和性を有するポリペプチドを同定する方法であって、下記(a)〜(d)の工程を含む方法;
    (a)ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドの群で構成されるポリペプチドライブラリーであり、かつ当該各ポリペプチドのアミノ酸配列が、
    (A)下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有している、または、
    (B)下記(i)〜(iii)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有しており、かつ、下記(iv)の領域におけるアミノ酸配列を有していない
    ことを特徴とするポリペプチドライブラリーを用意する工程、
    i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
    iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列、
    (b)前記ポリペプチドライブラリーを前記標的と接触させる工程;
    (c)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;そして
    (d)前記選択されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程。
  12. 前記ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項11に記載の方法;
    式〔1〕
    DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2(配列番号1)
    (式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
  13. 工程(a)のポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが,それぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在しており,ポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程(d)が,そのポリペプチドに結合しているポリヌクレオチドの塩基配列を決定することにより行われる,請求項11又は12に記載の方法。
  14. 標的に対して親和性を有するポリペプチドを同定する方法であって、下記(a)〜(h)の工程を含む方法;
    (a)ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドの群で構成されるポリペプチドライブラリーであり、かつ当該各ポリペプチドのアミノ酸配列が、
    (A)下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有している、または、
    (B)下記(i)〜(iii)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有しており、かつ、下記(iv)の領域におけるアミノ酸配列を有していない
    ことを特徴とするポリペプチドライブラリーであり、かつ当該ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドがそれぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在しているポリペプチドライブラリーを用意する工程;
    i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
    iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列、
    (b)前記ポリペプチドライブラリーを前記標的と接触させる工程;
    (c)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;
    (d)前記選択されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを増幅し、転写し、および翻訳することにより、第2のポリペプチドライブラリーを製造する工程であり、ここで前記第2のポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドはそれぞれのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在している工程;
    (e)前記第2のポリペプチドライブラリーを前記標的と接触させる工程;
    (f)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;
    (g)必要により工程(d)−(f)を繰り返す工程;そして
    (h)選択されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程。
  15. 前記ポリペプチドライブラリーを構成する各ポリペプチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項14に記載の方法;
    式〔1〕
    DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2(配列番号1)
    (式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
  16. 標的に対して親和性を有するポリペプチドを同定する方法であって、下記(a)〜(h)の工程を含む方法;
    (a)ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの群で構成される、発現ベクターの状態で存在するポリヌクレオチドライブラリーであって、各ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドのアミノ酸配列が、
    (A)下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有している、または、
    (B)下記(i)〜(iii)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有しており、かつ、下記(iv)の領域におけるアミノ酸配列を有していない
    ことを特徴とする、ポリヌクレオチドライブラリーを用意する工程;
    i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
    iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列;
    (b)前記ポリヌクレオチドライブラリーを構成する各発現ベクターを形質転換細胞のそれぞれで、対応するポリペプチドを発現させる工程;
    (c)前記各ポリペプチドを、前記標的と接触させる工程;
    (d)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;
    (e)前記選択されたポリペプチドを発現した形質転換細胞中のポリヌクレオチドを増幅して第2のポリヌクレオチドライブラリーを製造する工程;
    (f)前記第2のポリヌクレオチドライブラリーを構成する各発現ベクターを形質転換細胞のそれぞれで、対応するポリペプチドを発現させる工程;
    (g)前記各ポリペプチドを、前記標的と接触させる工程;
    (h)前記標的と結合したポリペプチドを選択する工程;
    (i)必要により工程(e)−(h)を繰り返す工程;そして
    (j)選択されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程。
  17. 前記ポリヌクレオチドライブラリーを構成する各ポリヌクレオチドが、下記式〔1〕のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである、請求項16に記載の方法;
    式〔1〕
    DCLGF(X)3CIP(X)4CCRPNLVCS(X)3KWCKY(X)2(配列番号1)
    (式中、Xは任意のアミノ酸残基である)
  18. 標的の膜タンパク質に対して親和性を有するポリペプチドを同定する方法であって、下記(a)〜(h)の工程を含む方法;
    (a)ICKスキャフォールドを有する複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、それぞれ分泌シグナル配列の下流に挿入された発現ベクターの群で構成され、各ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドのアミノ酸配列が、
    (A)下記(i)〜(iv)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有している、または、
    (B)下記(i)〜(iii)の領域において同時にランダム化されたアミノ酸配列を有しており、かつ、下記(iv)の領域におけるアミノ酸配列を有していない
    ポリヌクレオチドライブラリーであり、前記発現ベクター中には前記標的膜タンパク質をコードするポリヌクレオチドが含まれているポリヌクレオチドライブラリーを用意する工程;
    i)Cys-1とCys-2の間のループI領域中のCys-1のC末側4番目からCys-2のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    ii)Cys-2とCys-3の間のループII領域中のCys-2のC末側3番目からCys-3のN末側1番目までのアミノ酸配列;
    iii)Cys-5とCys-6の間のループIII領域中のCys-5のC末側2番目からCys-6のN末側3番目までのアミノ酸配列;および
    iv)Cys-6からC末端側のテール領域中のCys-6のC末側3番目からC末端までのアミノ酸配列;
    (b)前記ポリヌクレオチドライブラリーを構成する各発現ベクターを、形質転換グラム陰性細菌において、前記標的膜タンパク質を内膜表面に、また各ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドをペリプラズム間隙内にそれぞれ発現させる工程;
    (c)前記各ポリペプチドを、前記ペリプラズム間隙内で前記標的膜タンパク質と接触させる工程;
    (d)前記形質転換グラム陰性細菌のスフェロプラストを形成させて、前記標的膜タンパク質と結合したポリペプチドを選択する工程;
    (e)前記選択されたポリペプチドを発現した形質転換細胞中のポリヌクレオチドを増幅して発現ベクターに挿入した第2のポリヌクレオチドライブラリーであり、各ポリヌクレオチドは分泌シグナル配列の下流に挿入され、かつ前記標的膜タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの群で構成された第2のポリヌクレオチドライブラリーを製造する工程、;
    (f)前記第2のポリヌクレオチドライブラリーを構成する各発現ベクターを形質転換グラム陰性細菌において、前記標的膜タンパク質を内膜表面に、また各ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドをペリプラズム間隙内にそれぞれ発現させる工程;
    (g)前記各ポリペプチドを、前記ペリプラズム間隙内で前記標的膜タンパク質と接触させる工程;
    (h)前記形質転換グラム陰性細菌のスフェロプラストを形成させて、前記標的膜タンパク質と結合したポリペプチドを選択する工程;
    (i)必要により工程(e)−(h)を繰り返す工程;そして
    (j)選択されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程。
  19. 配列番号3〜14のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、m2受容体と高い親和性を有するポリペプチド。
  20. 配列番号3〜14のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、m2受容体と高い親和性を有するポリペプチドを有効成分として含むm2受容体の阻害剤。
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