JP5717116B2 - 抗原特異的ヒトTh17細胞を調整する方法 - Google Patents

抗原特異的ヒトTh17細胞を調整する方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒト樹状細胞(Dendric Cell; DC)によって抗原刺激されたナイーブCD4陽性T細胞を、インターロイキン(Interleukin; IL)-17、IL-21、もしくはIL-22を産生するTh17細胞に調整する方法である。また、ヒト単球を種々のサイトカイン類の添加や、培養条件を調整してDCに分化させ、更に、少なくとも菌体成分を含む培養条件によって特定の抗原で刺激した樹状細胞が既に活性化状態に調整したナイーブCD4陽性T細胞を刺激してIL-17、IL-21もしくはIL-22産生するTh17細胞に誘導する能力を有する。
DC療法の研究
DCは生体内で最も強力な抗原提示細胞で、ナイーブT細胞を分化させて特定の抗原に反応するエフェクターT細胞や、メモリーT細胞を誘導できる唯一の細胞である(非特許文献1)。すなわち、外来抗原に対し新しい免疫を作り出すことの出来る細胞がDCである。体内では、DCが常に体内を循環し抗原を補足してリンパ節に移行し、T細胞に抗原提示を行って生体の自己免疫の管理や外来抗原、異常細胞の排除に関わっている。
In vitroでDCが作製できるようになり、人工的に血液細胞を用いて抗原特異的なT細胞を比較的大量に作り出すことが可能になった。このことで、癌患者では癌に対する免疫が出来にくいという観点から、試験管外でDCを使うことによって、癌に特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を作製し、該CTLを患者に投与することで癌治療を行う試みがなされるようになった。いわゆる、DC療法である。
この治療は、効果のある患者においては副作用が化学療法に比べ極めて軽微で、理想的な癌治療として期待された。しかし、効果は限定的で更なる改良が求められている。すなわち、癌組織の抑制性T細胞(Treg)が投与したCTLを無力化し、使用したDC細胞がTregを誘導してしまうことが治療効果を消失させる原因であると考えられている(非特許文献2)。現在、それをブレイクスルーする技術の開発が期待されている。
Th17細胞の発見
Thサブセットは、主にTh1細胞、Th2細胞、およびTh17細胞に分類され、それぞれの産生するサイトカインによって同定され、生体内の細胞性免疫反応、および液性免疫反応を決定する。その他に、それらの免疫を抑制する抑制性T細胞が存在する。近年発見されたTh17細胞は、IL-17を産生するCD4陽性CD45RO陽性T細胞として特徴づけられ、感染免疫、また、自己免疫性疾患や慢性炎症性疾患の病態に関与するといわれている(非特許文献3)。
それまで自己免疫性疾患の病態研究はTh1/Th2のバランスが主流となっていたが、マウスの自己免疫性疾患モデルの研究によってTh1細胞が産生するIFN-γよりIL-17の方が組織破壊に重要であることが示され、その概念が一変した(非特許文献4)。IL-17が慢性炎症を起こすメカニズムも明らかにされてきているが、それ以外のTh17細胞が産生するサイトカイン、腫瘍壊死因子(TNF)、IL-6、IL-21、IL-22もTh17細胞の機能に重要な役割を担っていると考えられている。
特に、IL-21は細胞傷害性Tリンパ球、NK細胞、TNT細胞を活性化、増殖促進することによって、抑制性T細胞の免疫抑制機能を阻害する活性をもち、Th17細胞の増殖の維持に必要とされている(非特許文献4)。IL-21の免疫抑制機能の抑制、細胞免疫機能の増強は自己免疫メカニズムを考える上で興味深く思われるが、今後の研究課題となっている。また、Th17細胞以外の細胞からもIL-21を産生する細胞も知られている。
自己免疫を起こす炎症性DC
炎症時に出現するDCを炎症性DCと呼んでいる。単球サブセットには、2種類が同定されており、CCR2陽性、CD14強陽性、CD16弱陽性の単球および、CCR2陰性、CD14弱陽性、CD16強陽性の単球がある(非特許文献5)。前者は、炎症が生じると炎症組織に遊走されるので炎症性単球と呼ばれ、炎症性DCに分化する。後者は、恒常的に組織を巡回していると考えられている。CCR2ノックアウトマウスでは自己免疫性疾患や慢性炎症性疾患の発症が抑制されるため、炎症組織に遊走さる炎症性単球が自己免疫形成に重要であると考えられている。
In vivo実験や臨床所見では、炎症性DCはTNF、NOシンターゼを発現するDC(Tip-DC)として観察されているが(非特許文献6)、in vitroでは同様のDCは作製されていない。該DCはIL-23を産生し、Th17細胞を誘導することで自己免疫性疾患および慢性炎症性疾患の病態を形成すると考えられている(非特許文献7)。自己免疫性動物モデルで抗IL-23抗体の投与によりIL-17産生を含む様々な炎症性サイトカインの現象や炎症細胞消退によって炎症が沈静化されることから、IL-23/IL-17を軸とした免疫反応の流れはTh17細胞の病態形成に極めて重要である。
しかし、ナイーブT細胞からTh17細胞を誘導する機序は、ノックアウトマウスの実験でIL-6、およびTGF-βが不可欠でIL-23は必須ではないことが明らかにされた(非特許文献8)。IL-23は炎症維持に必要ではないと考えられている。ヒトのin vitroの実験でも、抗CD3抗体および抗CD28抗体を付着したビーズで刺激したナイーブCD4陽性T細胞がTh17に分化するには、TGF-βを要求し、その他にIL-1、IL-6、IL-21、またはIL-23などが必要であると報告されている(非特許文献9)。しかし、DCによるTh17細胞の誘導機序については不明な点が多く残されている。
炎症性DCがナイーブCD4陽性T細胞をどのように刺激して誘導するのかは、細胞表面抗原であるCD86, inducible costimulatory molecule(ICOS)が必要であることがマウスにおいて示されている(非特許文献10)。しかし、その他にどのような機序があるか、特にヒトにおいては全く不明である。また、ヒトのナイーブCD4陽性T細胞はマウスの細胞にくらべTh17細胞の誘導において感受性が極めて低く、ヒトDCによるナイーブCD4陽性T細胞からTh17細胞を誘導したという報告はこれまでにない(非特許文献11)。
これまでの報告では、抗CD3抗体・抗CD28抗体付着ビーズとサイトカインの刺激でヒトナイーブCD4陽性T細胞から誘導する方法が報告されているが、末梢血由来、および臍帯血ナイーブCD4陽性T細胞からは、それぞれ1%、および10%程度のTh17が誘導されたにすぎない。また、分化したT細胞の主体はTh1細胞であり(私的データ)、それらの手法では抗原特異的なTh17細胞を誘導することは不可能である。我々は、単球からTNFを用いてIL-23を持続的に産生するDCを報告したが(特許文献1)、その細胞はナイーブCD4陽性T細胞に対しわずかながらTh17細胞を誘導する活性を有していた(非特許文献12)。また、末梢血に少量のTh17から比較的特異性のある細胞膜抗原が同定されているが(非特許文献13)、Th17細胞を特定する細胞膜抗原は見つかっていない。したがって、現状では、高純度のTh17細胞を取り出すことや免疫細胞療法に使用可能となる抗原特異的なTh17細胞の誘導技術も開発されていない状況である。今後、ヒトTh17細胞の解析には多くの解明が期待されている。
抗体作製技術革新による標的分子療法の発展
自己免疫性疾患や慢性炎症性疾患は未だ原因不明であり治療法に苦慮しているが、近年、ある特定の分子を標的とした抗体治療の成果が注目されている(非特許文献14)。関節リウマチの治療として開発された抗TNF製剤(インフレキシマブなど)、悪性リンパ腫治療薬として抗CD20製剤(商品名;リツキシマブ)、乳がん治療薬の抗Her2抗体(トラスツズマブ)などは臨床でこれまでにない治療効果を発揮し、それに続く抗体製剤が次々と研究開発されてきている。現在のところ、炎症性サイトカインに対する抗体療法の開発は進んでいる。上記の理由からTh17細胞そのものを標的とした特異的抗体が発見されれば、該抗体療法は興味深い自己免疫治療となるであろう。
難治性慢性感染症に対するTh17細胞療法の可能性
結核は以前不治の病として恐れられていた細菌であるが、衛生環境の整備と化学療法の発達によりあまり脅威ではないとされている。しかし、世界的にみると発展途上国を中心に年間300万人の人々が命を失い、超耐性結核菌の出現で再び不治の病として復活する兆しが現れている。もし、強力な超耐性結核菌が世界的に蔓延するような事態になれば、極めて憂慮する事態を想定しなければならない。Th17細胞は結核感染防に関ることが明らかにされ、結核感染に対抗する治療法としてTh17細胞を誘導する樹状細胞療法の可能性がある(非特許文献15)。
Th17細胞と癌免疫
癌組織においては抑制性T細胞が癌組織の中に存在し、癌細胞に対する抗体やCTLの攻撃を防いでいるといわれている(非特許文献16)。この事実は癌の免疫細胞療法の大きな障害になっており、抑制性T細胞の抑制が有望な癌治療の手法と成り得ることが示されている。Th17細胞が癌治療に有効な治療法であるかどうかに関しての研究は未だに行われていないが、Th17細胞にはCTL、NK細胞、NKT細胞を活性化・増殖させるとともに、抑制性T細胞を抑制する活性を持つIL-21を産生する(非特許文献17)。もし、この特性をうまく活用できれば、Th17細胞、またはIL-21を産生する免疫細胞を用いた癌の免疫療法の可能性は期待できる。また、最近、C-type lectinで誘導されるTh1細胞、Th17細胞を介して抗腫瘍活性が誘導されることが明らかにされた(非特許文献18)。
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本発明は、抗原特異的ヒトTh17細胞および、IL-17、IL-21またはIL-22産生をするCD4陽性T細胞を高効率に誘導する調整法提供することを目的とする。
抗原特異的Th17細胞、およびIL-17、IL-21またはIL-22産生をするCD4陽性T細胞を誘導するヒト樹状細胞を含む医薬組成物の提供、および該ヒト樹状細胞が誘導するIL-17、IL-21、またはIL-22を産生するT細胞を含む、医薬組成物の提供することを目的とする。また、ヒト樹状細胞を含む難治性感染症、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患などの治療、および癌免疫細胞療法などの治療医薬品組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ヒト樹状細胞と、ヒトナイーブCD4陽性T細胞をそれぞれ調整し、混合培養することで、効率的にTh17細胞を誘導する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
項1
ヒト樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞を混合培養することによって、ヒトナイーブCD4陽性T細胞から、Th17細胞を誘導する方法。
項2
ヒトナイーブCD4陽性T細胞を、ヒト樹状細胞と混合培養する前に、前処理して活性化させることを特徴とする、項1に記載のTh17細胞を誘導する方法。
項3
ヒトナイーブCD4陽性細胞の前処理が、抗CD3抗体またはPHAの存在下で培養することを特徴とする処理である、項1または項2に記載の、Th17細胞を誘導する方法。
項4
ヒト樹状細胞として
(A)ヒト単球をTNF、IFN-α、IL-15またはIL-4からなる群より選ばれる、少なくとも一種類の生理活性物質と、GM-CSFとを共に37〜40℃の条件下で培養することによって、前駆樹状細胞に誘導する工程と、
(B)上記工程(A)で得られた該前駆樹状細胞を、病原体成分または人工的な免疫賦活化成分の刺激によって成熟させることにより、ヒト単球由来樹状細胞に誘導する工程、
によって作製されたヒト樹状細胞を用いることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
項5
ヒト単球由来樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養において、両細胞の細胞数の比率が5:1〜1:5であることを特徴とする、項1〜4のいずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
項6
ヒト樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養において、抗IL-4抗体、抗IFN-γ抗体、抗TGFβ抗体、IL-1、IL-6、IL-15、IL-23または、PGE2からなる群より選ばれる、少なくとも一種類の生理活性物質を含む培養液中にて培養することを特徴とする、項1〜5のいずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
項7
Th17細胞の細胞集団比率が、全細胞集団の30%以上を占めることを特徴とする、項1〜6のいずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
項8
Th17細胞が、IL-17、IL-21またはIL-22産生細胞からなる群より選ばれる、少なくとも一種類の生理活性物質を産生する細胞であることを特徴とする、項1〜7のいずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
項9
Th17細胞が、自己の樹状細胞に対して高い抗原特異性を有することを特徴とする、項1〜8いずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
項10
項1〜9に記載の方法によって作製したTh17細胞をクローニングする方法。
項11
Th17細胞の細胞集団比率を、全細胞集団の50〜100%に増大させ、かつ維持する方法。
本発明によれば、ヒトTh17誘導性樹状細胞はヒト単球から作成した樹状細胞であり、特定の抗原提示によってナイーブCD4陽性T細胞から抗原特異的なヒトIL-17、IL-21、またはIL-22を産生するTh17細胞を誘導する。以上の効果は従来作成された樹状細胞にはないものである。
本発明におけるDCとは樹状細胞を表す。
本発明における、生理活性物質とは生体内で所望の生物学的活性を有する物質であり、特に免疫応答反応に関与する生体物質である。例えば無機化合物、有機化合物、薬剤、阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト、サイトカイン、成長因子、抗体、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、多糖、ワクチンなどを挙げることができる。
本発明における、ヒト単球、樹状細胞およびT細胞の培養は、周知のヒトリンパ球の培養技術により行うことができる。培地としては、RPMI1640、MEM、IMEM、α-MEM、DMEM、199培地、F-12培地などを用いることができる。好ましくは、RPMI1640である。また、培地には適当なpH調整用緩衝液、抗生物質、動物血清、生理活性物質などを添加してもよいものとする。無血清培地で培養しても良いものとし、その培養手法として接着培養法または、浮遊培養法などが挙げられる。培養温度は単球から前駆樹状細胞への分化誘導過程および、ナイーブCD4陽性T細胞の活性化過程を除いて特に限定せず、本発明の目的が達成できる条件であれば良いものとする。
本発明における、ヒト単球、樹状細胞およびT細胞の培養の際の培養環境として、培地はpH6〜8が好ましい。CO2濃度が約1〜10%、好ましくは約2〜5%の環境下で培養することが望ましい。また、湿度の高い環境下で培養することが望ましい。培養容器も限定されず、培養規模に応じて市販の培養用のプレート、マイクロプレート、マルチウェルプレート、マイクロウエルプレート、デイッシュ、マルチディッシュ、フラスコ、チューブ、トレイ、チャンバースライド、培養バック、ローラーボトルなどから適宜選択して用いることができる。
本発明における樹状細胞は、抗原提示作用の強い樹状突起を持った細胞であり、さまざまな細胞より分化する。好ましくは単球から分化する細胞である。さらに好ましくはヒト単球より分化する樹状細胞である。すなわちヒト単球由来樹状細胞が最も好ましい。
本発明における、ヒト単球はヒト末梢血由来単球、ヒト骨髄由来単球、臍帯血由来単球である。好ましくはヒト末梢血由来単球である。
本発明における、単球を単離する方法として、抗CD14抗体付着の磁気ビーズを用いたポジティブセレクションや、単球以外の細胞の表面抗原に対する抗体を用いたネガテイブセレクションなどの手段を用いることが出来る。好ましくは、CD14抗体付着磁気ビーズを用いる方法である。
本発明において、単球から樹状細胞への分化の過程は、CD14陽性で付着性を有することを特徴とする前駆樹状細胞への分化誘導過程、およびHLA-DR、CD80、CD86、CD83などの細胞表面抗原が細胞膜上に高いレベルで発現することを特徴とする樹状細胞への分化誘導過程の、二段階によって行われる。前記前駆樹状細胞は、マクロファージ様の細胞であり、マクロファージの形態と機能を有している。
本発明において、樹状細胞には分化途中の前駆樹状細胞やマクロファージ様細胞などの、その他の細胞が含まれていても良いものとする。70%〜100%の純度の樹状細胞を用いることが望ましい。
本発明における、単球を前駆樹状細胞に分化させる過程における培養の温度は37〜40℃である。好ましくは38〜39℃である。培養期間は4日〜7日が好ましい。
本発明の、単球を前駆樹状細胞に分化させる過程の培養において用いる生理活性物質は、GM-CSF、TNF、IFN-α、IL-15、IL-4、IFN-γ、IL-1、IL-6、またはG-CSFなどを用いることが出来る。好ましくは、GM-CSF、TNF、INF-α、IL-15、またはIL-4である。
本発明の、単球を前駆樹状細胞に分化させる過程において使用するGM-CSF、IL-15またはTNFの濃度は1〜100 ng/ml、好ましくは5〜10 ng/mlである。IFN-αの濃度は10〜10,000 IU/ml、好ましくは300〜3,000 IU/mlである。IFN-γの濃度は10〜10,000 IU/ml、好ましくは300〜3,000 IU/mlである。IL-4、IL-1、IL-6、およびG-CSFの濃度は1〜100 ng/ml、好ましくは5〜30 ng/mlである。
本発明において、樹状細胞もしくはその前駆樹状細胞を刺激する手段として用いる病原体成分または免疫賦活化成分としては、BCG、MDP(Muramyldipeptide)、LPS(Lipopolysaccharide)、ピシバニール(登録商標)、zymosan、Pansorbin(登録商標)、polyC(polycytidylic acid)・polyI(polyinosinic acid)、TLR(Toll-like receptor)7/8アゴニスト、CD40アゴニスト、またはIFN-γなどが挙げられる。好ましくは、BCGまたはMDPである。
本発明における、樹状細胞または前駆樹状細胞への刺激に用いるBCGまたはMDPの濃度は、0.01〜100 μg/mlの範囲であり、好ましくは0.3〜10 μg/mlである。
本発明におけるヒト樹状細胞と、ヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養は、1x105〜5x105細胞/mlの樹状細胞と、5x10〜1x10細胞/mlのヒトナイーブCD4陽性T細胞を同じに培地に播種して培養する。両細胞数の比率は5:1〜1:5である。好ましくは、2:1〜1:2である。さらに好ましくは1:1である。
なお、これまでにTh細胞の誘導過程において、周知になっているヒト樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養における両細胞数の比は1:8〜1:10であった。
本発明における、ナイーブCD4陽性T細胞の前処理とは、CD69などの活性化マーカーを発現するが、エフェクターT細胞を示す形態やIL-17、IFN-γ、またはIL-4などのサイトカイン産生能は示さない特徴を有するナイーブCD4陽性T細胞に変化させることをさす。すなわち、ナイーブCD4陽性T細胞の特徴を有している細胞であって、樹状細胞が産生するIL-23の刺激に対して効果を有するT細胞に変化させることが、本発明におけるナイーブCD4陽性T細胞の活性化を意味する。また、活性化したナイーブCD4陽性T細胞は、Th17細胞への分化に必要であるIL-23受容体や、CD161などの膜タンパク質が発現する特徴も有している。
本発明における、ナイーブCD4陽性T細胞の前処理は、抗CD3抗体、PHA(phytohemagglutinin)もしくはConA(Concanavalin A)からなる群より選ばれる少なくとも一種類の生理活性物質の存在下で培養することである。好ましくは抗CD3抗体の存在下で培養することである。培養期間は4〜6日間が好ましい。また、該生理活性物質と共に、IL-1、IL-6、TGFβ、PGE2(Prostaglandin E2)などの生理活性物質の存在下で培養してもよい。さらに、37〜40℃の高温下で培養しても良いものとする。
本発明における、ナイーブCD4陽性T細胞の前処理において使用する、ConAの濃度は0.1〜10 μg/mlである。好ましくは0.3〜3 μg/mlである。PHAの濃度は0.1〜10μg/mlである。好ましくは0.3〜3 μg/mlである。IL-1の濃度は1〜100 ng/mlである。好ましくは10〜30 ng/mlである。IL6の濃度は1〜100 ng/mlである。好ましくは10〜30 ng/mlである。TGF-βの濃度は1〜1000 pg/mlである。好ましくは1〜30 pg/mlである。PGE2の濃度は0.1〜10 μg/mlである。好ましくは0.3〜3 μg/mlである。
本発明における、ヒト樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養は、抗IL-4抗体、抗INF-γ抗体、または抗TGFβ抗体などを含む培地中で、3〜7日間培養するものとする。好ましくは、抗IL-4抗体および抗INF-γ抗体を含む培地中での培養である。その後、培養上清の一部または全部を破棄し、IL-1、IL-6、IL-7、IL-15、IL-23、PGE2、または抗IFN-γ抗体からなる群より選ばれる、少なくとも一種類以上の生理活性物質を含んだ、同量の培地を追加して4〜7日間培養する。好ましくは、IL-1、IL-6、IL-15、IL-23、PGE2および、抗IFN-γ抗体を含んだ培地である。
本発明における、ヒト樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養開始後、3〜4週間の間は、4〜7日毎にIL-1、IL-6、IL-7、IL-15、IL-23、PGE2または、抗INF-γ抗体などの生理活性物質を加えて培養する。
本発明における、生理活性物質の添加方法は、直接培養液中に加える方法、または培養液の一部もしくは全部を取り出した後に、新たに加える等量の培地中に、予め生理活性物質を添加しておく方法など、あらゆる方法が含まれる。好ましいのは、培養液の半量を取り出して、新たに加える等量の培地中に予め生理活性物質を添加しておく方法である。
本発明における、ヒト樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養の過程に用いる、抗IL-4抗体、抗INF-γ抗体、抗TGFβ抗体の濃度は、それぞれ1〜100 μg/mlである。好ましくは5〜30 μg/mlである。IL-1、IL-6、IL-7、IL-15、IL-23の濃度は、それぞれ1〜100 ng/mlである。好ましくは3〜30 ng/mlである。PGE2の濃度は0.1〜10 μg/mlである。好ましくは0.3〜3 μg/mlである。
本発明において、T細胞と樹状細胞の増殖が悪い場合には抗CD3抗体、および抗CD28抗体を添加してT細胞の増殖を高めることが出来る。使用する抗体の濃度は、抗CD3抗体およびCD28抗体共に、1〜100μg/mlである。好ましくは5〜30μg/mlである。
本発明におけるTh17細胞のクローニングは、アロタイプの単球と希釈したTh17細胞を混合培養することによって行われる。クローニングはマルチウェルプレートを用いて行うことが出来る。好ましいマルチウェルプレートは96穴プレートである。Th17細胞の初期希釈倍率は、公知に用いられている方法よりも濃い濃度であることが望ましい。具体的には1〜200 細胞/wellであり、好ましくは5〜30 細胞/wellである。クローニングの際には、抗ヒトIFN-γ抗体、抗ヒトIL-4抗体、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、IL-1、IL-6、IL-7、IL-15またはIL-23などを含む培地中にて培養するものとする。
本発明におけるTh17細胞のクローニングにおいて用いる抗ヒトIFN-γ抗体、抗ヒトIL-4抗体、抗ヒトCD28抗体、および抗ヒトCD3抗体の濃度は、それぞれ1〜100 μg/mlである。好ましくは5〜30 μg/mlである。IL-1、IL-6、IL-7、IL-15、およびIL-23の濃度は、それぞれ1〜100 ng/mlである。好ましくは3〜30 ng/mlである。
本発明において、Th17細胞の細胞集団比率を増大させ、維持する方法は、抗原による再刺激を行うことで可能となる。非自己のヒト単球細胞をGM-CSFおよび抗原で刺激したマクロファージとTh17細胞を、10:1〜1:2の割合の細胞数で培養し、さらにTh17細胞を誘導方法で行われる。好ましくは、Th17細胞と単球細胞が1:2〜2:1の割合で培養することである。さらに、上記培養において、IL-1、IL-6、IL-7、IL-15、IL-23、PGE2、抗IFN-γ抗体を含む培地を用いることでTh17細胞が再増殖する。好ましくはIL-1、IL-6、IL-7、IL-15、PGE2または、抗IFN-γ抗体からなる群より選ばれる少なくとも一種類の生理活性物質を含む培地であるこの手法の結果、全細胞中に対するTh17細胞の細胞集団の割合を高く維持することが可能となる。その効果は50%〜100%であり、好ましくは70%〜100%の維持を可能とする。
本発明において、Th17細胞の細胞集団比率を増大させ、維持する過程に用いる、IL-1、IL-6、IL-7、IL-15、IL-23濃度は、それぞれ1〜100 ng/mlである。好ましくは3〜30 ng/mlである。抗IFN-γ抗体の濃度は、1〜100 μg/ mlである。より好ましくは5〜30 μg/mlである。PGE2の濃度は、0.1〜10 μg/mlである。好ましくは0.3〜3 μg/mlである。
本発明において、使用する生理活性物質である抗体の抗原種、タンパク質、またはペプチドは、マウス由来、ラット由来、ウサギ由来、ヒト由来、サル由来、ニワトリ由来、ヤギ由来、ヒツジ由来などが挙げられる。好ましくはマウス由来、ラット由来、ヒト由来である。さらに好ましくはヒト由来である。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
TNFを用いて作成したヒト単球樹状細胞によるTh17細胞の誘導の実例
ヒトTh17細胞を誘導する樹状細胞は以下のように調整した。ヒト末梢血単核白血球を抗CD14抗体付着磁気ビーズ(MACS)にて単球を単離する(純度>99%)。単球にGM-CSFおよびTNFをそれぞれ10 ng/ml加えて、CO2インキュベーターにて38℃、5日間培養した。その後、3回洗浄した後、MDPを10 μg/ml、BCGを1 μg/mlを添加して37℃、3日間培養した。
4日間、37℃で抗ヒトCD3抗体(OKT-3)10 μg/mlによって刺激したアロタイプ(別人の)ナイーブCD4陽性T細胞(CD4+CD45O->98%)を2x104 細胞/mlに調整し、上述の培養で得られた樹状細胞をT細胞と同数に調整して抗ヒトIFN-γ抗体と抗ヒトIL-4抗体、それぞれ10 μg/mlを添加して共培養した。培養5日目に、全量3分の2の培養液を破棄してIL-1、IL-6、IL-15、およびIL-23をそれぞれ10 ng/ml、PGE2を10 μg/ml、抗ヒトIFN-γ抗体を10 μg/mlを含んだ培養液を同量加えた。さらに、5日後に同様の操作を行った。培養15日目に増殖したT細胞を採取して、常の方法のようにPMA並びにionomycinで刺激した後に細胞内のIL-17、IL-21、IL-22、TNFおよびIFN-γを染色してFACS解析した。
図1に示すように、誘導されたIL-17産生T細胞は約35%でIFN-γを産生するT細胞、即ちTh1細胞はわずか3%であった。得られたT細胞はIFN-γ産生をほとんどせず、ほとんどのT細胞がTNF陽性であった。また、IL-21、およびIL-22産生T細胞はIL-17産生T細胞の一部とIL-17産生T細胞以外のT細胞に認められた。
実施例2
Th17細胞の細胞集団の増幅
上記のようにBCG刺激した樹状細胞によってナイーブCD4陽性T細胞からTh17細胞を誘導した。よりTh17細胞の比率を高めるため、Th17細胞を含んだT細胞(1x102 個/ml)を非自己の単球2x104 個/ウェルを1日培養した96ウェルの培養プレートに加えて抗ヒトIFN-γ抗体、抗ヒトIL-4抗体、および抗ヒトCD3抗体(OKT3)をそれぞれ10 μg/ml、さらにIL-1、IL-6、IL-7、およびIL-15をそれぞれ10 ng/mlの存在下で培養した。約2週間後に培養上清を採取し、ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)にてIL-17の濃度の最も高いウェル(IL-17濃度1.03 ng/ml)を選択した。Th17細胞に、GM-CSFを加えた後、アロタイプの単球から作製したマクロファージを加えIL-1、IL-6、IL-7、IL-15をそれぞれ10 ng/ml、PGE2を10 μg/mlで、または抗ヒトIFN-γ抗体を10 μg/mlで添加して継代培養した。培養中のTh17細胞は約70%を維持した。
実施例3
BCG刺激ヒト単球樹状細胞により作製されたTh17細胞のBCGに対する反応の実例。
実施例1にて作製した樹状細胞によって刺激されたTh17細胞に対して、自己のマクロファージでも抗原刺激が出来るかを試みた。メモリーTh17は、抗原非特異的な刺激に対しても、IL-17産生が誘導されるので、非刺激および、BCG(0.1 μg/ml)で刺激した自己のマクロファージと非自己のマクロファージを対照に実験を行った。図2に示したのは、Th17細胞(2x104 個/ml)と、マクロファージ(2x104 個/ml)を96ウェル培養プレートに捲き、2日間培養後の培養上清中の、IL-17濃度をELISAで測定したものである。Th17細胞のみでもIL-17の産生がみられたが、マクロファージとの共培養でその産生量はさらに増強した。BCG刺激をしないマクロファージでは、自己と非自己の間に差は見られなかった。一方で、BCG刺激を行った群では、自己と非自己の間でIL-17産生量に2倍程度もの差が見られた。
従って、本発明の方法によって誘導されたTh17細胞は、自己のBCG感作マクロファージに対して高い特異性を有することが明らかになった。
培養細胞の用途
本発明の樹状細胞は上述のように、新しく発見されたTh17細胞の誘導に関わる分子を解明する上で貴重な研究試料となる。遺伝子解析等で知り得た樹状細胞が発現する物質、すなわち細胞膜タンパク質、サイトカインなどは、抗体作製や人工タンパク質合成技術によって自己免疫性疾患に向けた治療薬の開発に好ましく思われる。誘導される該T細胞も、特異的な産生物質を同定することで、同様な疾患への治療薬の開発に好ましく思われる。より具体的には、TNFと関連性の強い関節リウマチ、クローン病、乾癬といった自己免疫性疾患、IFN-αと関連性の強いsystemic loops erythematosus(SLE)といった自己免疫性疾患が知られており(参考文献19)、それぞれTNFを用いて作成した樹状細胞およびT細胞が前者の自己免疫性疾患、およびIFN-αを用いて作製した樹状細胞およびT細胞が後者の自己免疫性疾患に好ましく思われる。
本発明の樹状細胞により抗原特異的なTh17細胞を大量に誘導することで、同細胞を利用したワクチン、もしくは免疫細胞療法が可能になる。例えば、樹状細胞療法は結核菌治療として可能性がある。その他の慢性感染症に対しても同様に薬剤治療に耐性となった細菌に対する治療法として可能性がある。
Th17細胞を含むIL-21産生細胞は、CTL、NK細胞、NKT細胞を活性化し、癌治療の課題となっている抑制性T細胞の活性を抑制する作用があると期待できるので、癌の免疫細胞療法の補助療法として好ましく思われる。
図1は本発明における方法によって誘導されたT細胞の産生するサイトカイン量を表したものである 図2は本発明における方法によって誘導されたTh17細胞の、自己/非自己の抗原提示マクロファージに対する効果の差を、産生されるIL-17の量で表したものである。

Claims (8)

  1. ヒト樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞を混合培養することによって、ヒトナイーブCD4陽性T細胞から、Th17細胞を誘導する方法であって、該ヒトナイーブCD4陽性T細胞を、該ヒト樹状細胞と混合培養する前に、前処理して活性化させることを特徴とし、該ヒトナイーブCD4陽性細胞の前処理が、抗CD3抗体の存在下で培養することを特徴とする処理である方法。
  2. ヒト樹状細胞として
    (A)ヒト単球をTNF、IFN−α、IL−15またはIL−4からなる群より選ばれる、少なくとも一種類の生理活性物質と、GM−CSFとを共に37〜40℃の条件下で培養することによって、前駆樹状細胞に誘導する工程と、
    (B)上記工程(A)で得られた該前駆樹状細胞を、病原体成分または人工的な免疫賦活化成分の刺激によって成熟させることにより、ヒト単球由来樹状細胞に誘導する工程、によって作製されたヒト樹状細胞を用いることを特徴とする、請求項1に記載の、Th17細胞を誘導する方法。
  3. ヒト単球由来樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養において、両細胞の細胞数の比率が5:1〜1:5であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、Th17細胞を誘導する方法。
  4. ヒト樹状細胞とヒトナイーブCD4陽性T細胞の混合培養において、抗IL−4抗体、抗IFN−γ抗体、抗TGFβ抗体、IL−1、IL−6、IL−15、IL−23または、PGEからなる群より選ばれる、少なくとも一種類の生理活性物質を含む培養液中にて培養することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
  5. Th17細胞の細胞集団比率が、全細胞集団の30%以上を占めることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
  6. Th17細胞が、IL−17、IL−21またはIL−22産生細胞からなる群より選ばれる、少なくとも一種類の生理活性物質を産生する細胞であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
  7. Th17細胞が、自己の樹状細胞に対して高い抗原特異性を有することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の、Th17細胞を誘導する方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって作製したTh17細胞をクローニングする方法。
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