【発明の詳細な説明】
サプレッサー細胞集団を生成するためのインターロイキン-10の使用
発明の分野
本発明は、一般的に、種々の免疫学的機能を抑制するように作用する細胞集団
の生成におけるインターロイキン-10(IL-10)の使用(例えば、罹患個体に有効量
のインターロイキン-10を投与することによる組織拒絶または他の免疫機能を処
置および阻害するための方法)に関する。
発明の背景
インターロイキン-10は、本来、Th1サイトカイン生成を抑制することにおける
その活性により特徴づけられたサイトカインである。例えば、de Vriesおよびde
Waal Malefyt(編、1995)Interleukin-10 Landes Co.,Austin,TX;などを参照
のこと。
免疫学的機能の抑制は、多くの異なる状況において有用性を見出す。例えば、
Paul(編、1995)Fundamental Immunology第3版,Raven Press,NYを参照のこと
。特に、同種免疫は、主としてその顕著な強さにより移植状況において重要であ
る。器官および組織移植が医学的状況においてより一般的になるにつれて、組織
拒絶からの問題を最小にする能力は、より大きな経済的利点を示す。さらに、自
己免疫状態を最小にするための、粒子性の抗原(例えば、細菌および寄生動物)
に対する特定の応答をブロックするための、および特定の可溶性抗原(タンパク
質およびアレルゲンの両方)に対する反応を最小にするための手段は、治療目的
に著しく有利である。
組織拒絶、移植片対宿主病、またはこれらの他の免疫学的応答を最小にするか
、または排除するための十分に効果的な治療の欠如は、多くの問題を導く。本発
明は、多くのこれらの問題に解決に取り組み、そしてそれらに対する解決を提供
する。
発明の要旨
本発明は、移植された組織の拒絶を抑制するためのサイトカインインターロイ
キン-10(IL-10)の使用に関する。本発明はまた、インターロイキン-10を含む薬
学的組成物を含む。好ましくは、本発明のインターロイキン-10は、配列番号1
および配列番号2に示されるアミノ酸配列により定義されるオープンリーディン
グフレームの成熟ポリペプチドからなる群より選択される。IL-10のこれらの2
つの形態は、それぞれ、ヒトIL-10(またはヒトサイトカイン合成阻害因子(「C
SIF」))およびウイルス性IL-10(またはBCRF1)と時々呼ばれる(例えば、Moo
reら(1990)Science 248:1230-1234;Vieiraら(1991)Proc .Nat'l.Acad.Sci.US A
88:1172-1176;Fiorentinoら(1989)J .Exp.Med.170:2081-2095;およびHsuら(
1990)Science 250:830-832)。ホモログはまた、ウマヘルペスウイルス2型(Ro
eら(1993)Virus Genes 7:111-116)ならびに種々の種由来の多くの対応物に記載
されている。より詳細には、本発明の方法において使用される成熟IL-10は、配
列番号3により定義されるIL-10であるか、または配列番号4により定義されるI
L-10である。
従って、特定の実施態様において、本発明は、哺乳動物における骨髄移植にお
いて移植片対宿主病を低減または阻害する方法を提供し、この方法は、有効量の
インターロイキン-10を哺乳動物に投与する工程を包含する。免疫系によるこの
抗原の後続の提示に対する抗原特異的応答を阻害する方法もまた提供し、この方
法は、この免疫系に有効量の外因性インターロイキン-10およびその抗原を投与
する工程を包含する。好ましい実施態様において、免疫応答は、マクロファージ
、APC、ランゲルハンス細胞、または樹状細胞により媒介され;この方法はCD4+
宿主反応性T細胞クローンの増殖性応答をさらに阻害するか;またはこの阻害は
、少なくとも約21日間持続する。他の好ましい実施態様において、有効量は、反
応T細胞活性化を減少するのに十分であるか;あるいは末梢血単核細胞、樹状細
胞、単球、および/または正常B細胞の低減した刺激能力をさらに含み得る。
別の実施態様において、本発明は、再刺激の際の低IL-2;低IL-4;低IL-5;中
間IFN-γ;低GM-CSF;および高IL-10の生成により特徴づけられる、実質的に純
粋な抗原特異的アネルギーT細胞を提供し;この集団は、外因性IL-10および抗
原の組合せを用いたこのT細胞への前駆体への投与により作製される。好ましい
実施態様において、前駆体はCD4+T細胞であり;この細胞は高TNF-αをさらに生
成し;この細胞は、抗原に対するアネルギー応答を誘導し;投与されるIL-10は
ヒトIL-10であり;このIL-10は少なくとも約7日間投与され;そして/またはこ
のアネルギー状態は、少なくとも約21日間持続する。抗原特異性は、タンパク質
抗原;粒子抗原;同種抗原;または自己抗原から選択される抗原に対するもので
あり得る。
別の実施態様は、再刺激の際の低IL-2;低IL-5;中間IFN-γ;低GM-CSF;およ
び高IL-10の生成により特徴づけられる、実質的に純粋な抗原特異的アネルギー
T細胞である。代表的に、これらのサイトカインの生成レベルは、IL-2について
は約500pg/ml未満;IL-5については約300〜3000pg/ml;IFN-γについては少なく
とも約1000pg/ml;GM-CSFについては約300〜3000pg/ml;およびIL-10については
少なくとも約3000pg/mlである。好ましくは、抗CD3での再刺激の際のIL-10レベ
ルは、Th1細胞のレベルの少なくとも約5倍である。
本発明はまた、抗原に対して抗原特異的アネルギーを示す(例えば、抗原が同
種抗原または自己抗原である場合、抗CD3での再刺激の際に少なくとも約3000pg/
mlのIL-10を生成するか;または少なくとも約21日間抗原特異的アネルギーを示
すことを含む)、実質的に純粋なT細胞を含む。
別の実施態様において、本発明は、このような細胞を含む免疫系に外因性IL-1
0および抗原または抗CD3抗体のいずれかの組合せを投与することにより、抗原に
対するT細胞における応答を抑制する方法を提供する。好ましくは、抗原は、同
種抗原または自己抗原であるが;通常MHC分子により制限される。他の実施態様
において、この方法はインビボで行われるか;または後続の刺激に対する応答(
例えば、器官または骨髄移植のような組織移植に付随する応答)をさらに抑制す
る。代表的に、T細胞は、この組織移植のレシピエントに由来し、そして抗原は
ドナーMHCに由来する。しばしば、応答が組織移植に付随する場合、投与は組織
移植前であり;T細胞はレシピエントに導入されるか;あるいはIL-10は、移植
前に移植されるべき組織(例えばドナー)に投与されるか、および/または移動
の間に投与される。他の実施態様において、抗原は自己免疫疾患を引き起こす。
他の実施態様において、本発明はまた、免疫系に外因性IL-10;および抗原ま
たは抗CD3抗体のいずれかの組合せを免疫系に投与することにより、抗原に対す
るT細胞における後続の応答を抑制する方法を提供する。好ましくは、Il-10は
、少なくとも約7日間投与される。
本発明は、T細胞前駆体に外因性IL-10および抗原;または外因性IL-10および
抗CD3抗体と供に外因性IL-10のいずれかを投与することにより、MHC抗原に対す
るT細胞アネルギーを誘導する方法をさらに提供する。好ましくは、IL-10投与
は、少なくとも約7日間である。
本発明により含まれる別の実施態様は、IL-10および抗原を含む組成物である
。この組成物は、IL-10および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物
であり得;IL-10はヒトIL-10であり得るか;または抗原は同種抗原;自己抗原;
タンパク質抗原;もしくは粒子抗原であり得る。
図面の簡単な説明
図1は、哺乳動物細胞においてIL-10を発現するために使用されるベクターpcD
(SRα)の図を示す。
図2は、細菌においてIL-10を発現するために使用されるベクターTRP-Cl1の図
を示す。
図3A〜3Cは、混合リンパ球培養応答における増殖応答に対する内因性および外
因性IL-10の効果のヒストグラムを示す。図3Aは、混合リンパ球培養応答(MLR)に
おける増殖応答に対する内因性および外因性IL-10の効果を示す:PBMCドナーA
、X線照射PBMCドナーB。図3Bは、MLRにおける増殖応答に対する内因性および
外因性IL-10の効果を示す:PBMCドナーB、X線照射PBMCドナーA。図3Cは、抗I
L-10mAbによるIL-10の阻害効果の中和を示す。
図4A〜4Dは、漸増濃度のIL-10の各存在下で種々の同種細胞で刺激された精製
T細胞の増殖応答のヒストグラムを示す。図4Aは、同種の放射線照射し傾瀉した
(elutriated)単球での精製T細胞の刺激を示す。図4Bは、ポジティブに選別し
たCD14+単球での精製T細胞の刺激を示す。図4Cは、精製B細胞での精製T細胞
の刺激を示す。図4Dは、エプスタイン-バーウイルス形質転換リンパ芽球細胞株
(EBV-LCL)での精製T細胞の刺激を示す。
図5は、末梢血単核細胞(PBMC)および同種放射線照射PBMCに対するIL-10の
速度論のヒストグラムを示す。
図6は、抗IL-2レセプターα鎖mAb BB10の存在下または非存在下でのMLRにお
けるIL-2産物に対するIL-10の効果のヒストグラムを示す。
図7A〜7Bは、刺激T細胞の、低減した同種抗原誘導性増殖応答に対する外因性
IL-2の効果を示す。図7Aは、同種の放射線照射PBMCで刺激され、そしてIL-10に
より誘導されたT細胞の低減した同種抗原誘導性増殖応答に対する外因性IL-2の
効果のグラフを示す。図7Bは、精製同種B細胞で刺激され、そしてIL-10により
誘導されたT細胞の低減した同種抗原誘導性増殖応答に対する外因性IL-2の効果
のグラフを示す。
図8A〜8Bは、IL-10が、MLRにおけるCD4+T細胞において同種抗原特異的アネル
ギーを誘導することを示す。図8Aは、培地単独において3日間培養された(白色
棒)、一次MLRにおいて同種精製単球で(灰色棒)またはIL-10(100U/ml)の存在
下(黒色棒)もしくは抗IL-2レセプター鎖mAb BB-10の存在下(平行線棒)で刺
激された、精製CD4+T細胞の[3H]-TdR取り込みを示す。図8Bは、図8Aに記載の
ように前活性化され、IL-10の存在下で10日間培養中で保持され、洗浄され、そ
して培地単独(黒色棒)、前活性化工程において使用された単球のものとは異な
る第3者のドナーから単離された同種放射線照射PBMC(PBMC-2、斜交平行線棒)
、前活性化工程において使用された同じドナーから単離された同種放射線照射PB
MC(PBMC-1,灰色棒)、PBMC-1およびIL-2(20U/ml)(黒平行線棒)、またはPBMC
-1および抗CD28mAb(10μg/ml)(平行線棒)のいずれかで再刺激された細胞を示
す、3つの異なるパネルを示す。
図9A〜9Bは、IL-10がCD3mAbで活性化されたCD4+T細胞においてポリクローナル
アネルギーを誘導することを示す。図9A:培地単独において3日間培養されたか
(白色棒)、または架橋抗CD3mAb(500ng/ml)で刺激されたか(黒色棒)、IL-10(
100U/ml)の存在下(斜交平行線棒)もしくは抗IL-2レセプターα鎖mAb BB-10の
存在下(平行線棒)で、架橋抗CD3mAbs(500ng/ml)で刺激された、精製CD4+T細胞
の[3H]-TdR取り込み。図9Bは、図9Aに記載のように前活性化され、IL-10
の存在下で10日間培養物中で保持され、洗浄され、そして培地単独(黒色棒)、
架橋抗CD3mAb(灰色棒)、抗CD3mAbおよびIL-2(20U/ml)(斜交平行線棒)、抗CD
3mAbおよび抗CD28mAb(10μg/ml)(黒平行棒)、またはPMA(1ng/ml)およびCa2+
イオノフォア(A23187、500ng/ml)(白色棒)のいずれかで再刺激された細胞を示
す、3つの異なる部分を示す。
図10は、CD4+T細胞におけるアネルギー誘導に対するIL-10の用量依存性効果を
示す。CD4+T細胞は、4つの異なるパネルで示されたように、培地単独、IL-10(
5U/ml)、IL-10(20U/ml)、またはIL-10(100U/ml)の存在下で架橋抗CD3mAbで10日
間活性化された。10日後、細胞を回収し、洗浄し、そして培地単独(白色棒)、
架橋抗CD3mAb(黒色棒)、架橋抗CD3mAbおよびIL-2(20U/ml)(平行線棒)、また
はPMAおよびCa2+イオノフォア(黒色平行線棒)で再刺激した。
図11は、CD4+T細胞におけるIL-10によるアネルギー誘導の速度論を示す。CD4+
T細胞は、IL-10(100U/ml)の非存在下(白色棒)または存在下(黒色棒)で架橋
抗CD3mAbで活性化された。異なるインキュベーション期間(示されるように3〜
10日の範囲)の後、細胞は回収され、洗浄され、そして各パネルで示されるよう
に、培地単独、架橋抗CD3mAb、架橋抗CD3mAbおよびIL-2(20U/ml)、架橋抗CD3mAb
および架橋抗CD28mAb(10μg/ml)、またはPMAおよびCa2+イオノフォアで再刺激
された。
図12は、CD4+T細胞においてIL-10により誘導されるアネルギーが長期継続する
ことを示す。CD4+T細胞は、IL-10(100U/ml)の非存在下(白色棒)または存在下
(黒色棒)で架橋抗CD3mAbで10日間活性化された。10日後、細胞は回収され、洗
浄され、そしてIL-2(2U/ml)の存在下で培養された。24日後、細胞は回収され、
そして架橋抗CD3mAb、架橋抗CD3mAbおよびIL-2(20U/ml)、架橋抗CD3mAbおよび架
橋抗CD28mAb(10μg/ml)、またはPMAおよびCa2+イオノフォアで再活性化された
。
図13は、アネルギーT細胞の細胞蛍光測定分析を示す。CD4+T細胞は、IL-10(
100U/ml)の非存在下または存在下で架橋抗CD3mAbで10日間活性化され、そしてCD
3、CD28、およびHLA-DRの発現が、架橋抗CD3mAbでの再活性化の前後で24時間分
析された。実線は、IL-10の非存在下で培養されたコントロールT細胞を示し、
そして点線のヒストグラムは、IL-10の存在下で培養されたアネルギーT細胞を
示す。
図14A〜14Bは、アネルギーT細胞におけるIL-2Rα鎖発現を示す。CD4+T細胞は
、IL-10(100U/ml)の存在下または非存在下で架橋抗CD3mAbで3日間(図14A)また
は10日間(図14B)活性化され、そして架橋抗CD3mAb単独または架橋抗CD3mAbお
よびIL-2(100U/ml)のいずれかで再刺激された。CD25分子の発現は、細胞蛍光測
定により活性化の24時間後に分析された。実線はコントロールアイソタイプを示
し、そして点線のヒストグラムは抗CD25mAbでの標識を示す。
図15A〜15Bは、アネルギー細胞におけるカルシウム流動性分析を示す。CD4+T
細胞は、IL-10(100U/ml)の非存在下(図15A)または存在下(図15B)で抗CD3mAbで
10日間活性化され、そしてindo-1/AMでロードされた。示されるように、抗CD3mA
b(10μg/ml)、ヤギ抗マウスIgG(1μg/ml)、またはCa2+イオノフォア(500ng/m
l)はキュベットに添加され、そして細胞内のCa2+上昇は、分光蛍光計により分
析され、そして405/485nmでの発光比により測定された。
図16は、IL-10(100U/ml)の存在下での架橋抗CD3mAb(100ng/ml)での10日間の刺
激後にアネルギーにされた精製CD4+T細胞の増殖応答が、非常に高濃度の架橋抗C
D3mAbでの再刺激後に部分的に回復され得ることを示す。10日の誘導相後に、CD4+
T細胞は採集され、そしてフィコール/ハイパック上で遠心分離されて、非生存
細胞を除去した。次いで、細胞を回収し、そしてPBSで3回洗浄した。その後、C
D4+細胞(4×104個/ウェル)は、3日間、漸増濃度(10ng〜1mg/ml)の架橋抗C
D3mAbにより再刺激された。
図17は、Th1およびTh2クローンの増殖応答と比較した場合の、Tr1クローンの
増殖応答を示す。T細胞クローンは、放射線照射フィーダー細胞およびPHAでの
隔週間隔での刺激により維持された。休止T細胞クローンは、フィーダー細胞お
よびPHAによる刺激の12日後に回収され、洗浄され、そして抗IL-10mAb(10μg/m
l)または抗IL-2mAb(10μg/ml)の存在下または非存在下で架橋抗CD3mAb(100ng/m
l)で再刺激された。Tr1クローンの増殖応答は、Th1およびTh2クローンの増殖応
答と比較した場合に非常に低いことが示される。さらに、コントロールTh1およ
びTh2クローンの増殖応答とは対照的に、Tr1クローンの増殖応答は抗IL-10mAb
によりかなり増強されるが、抗IL-10mAbの存在下でさえも、この応答はコントロ
ールTh1およびTh2クローンの増殖応答レベルに決して達しなかった。T細胞クロ
ーンの全ての型(Tr1クローンを含む)の増殖応答は、抗IL-2mAbにより完全に阻
害される。
図18A〜18Bは、Tr1クローンによるIL-10生成が細胞の活性化後に迅速に起こる
ことを示す。かなりのレベルのIL-10が、抗CD3もしくは抗CD28mAb(図18A)、ま
たは抗CD3mAb+ホルボールエステルPMA(図18B)のいずれかの組合せによるT細胞
クローンの活性化の16時間後に既に生成される。対照的に、Th1またはTh2クロー
ンによる低いレベルのIL-10生成のみが、細胞活性化の24時間後に最初に測定さ
れ得る。
図19は、IL-10の存在下でのマウスTr1細胞の発生を示す。BALB/c遺伝的背景(
Murphyら(1990)Science 250:1920-1722)でのD011.10αβTCRトランスジェニッ
クマウス由来のナイーブな(MEL14明)CD4+T細胞は、OVAペプチド(0.6μM)およ
び放射線照射脾臓APCで刺激された。さらに、培養物は、サイトカイン:IL-4(20
0U/ml)もしくはIL-10(100U/ml)またはその両方を受けた。上記の同じ条件下での
刺激は、連続3週間で毎週繰り返された(Murphyら(1996)J .Exp.Med 183:901-
13)。次いで、細胞は採集され、洗浄され、そして架橋抗CD3mAbおよび抗CD28mA
bで37℃で4時間再刺激され、ブレフェルジンA(10μg/ml)が記載のように最後
の2時間で添加された。Openshawら(1995)J .Exp.Med. 182:1-11。次いで、
細胞は固定され、そして示されるように、IFN-γ、IL-2、IL-4、およびIL-10に
特異的なFITCもしくはPE直接結合抗体、またはコントロールアイソタイプmAb(CT
アイソタイプ)を用いて、細胞内サイトカイン合成の検出のために染色された。
細胞はまた、抗TCRクローン型(clonotype)特異的mAb KJ1-26(KJ)を用いて染色さ
れ、培養の3週間後に全ての細胞がトランスジーンにポジティブであることが示
された。
図20Aおよび20Bは、Tr1細胞の増殖応答を示す。図20A:ヒトTh0(JDV305)およ
びTr1(JDV24)同種抗原特異的CD4+T細胞クローンまたは非抗原特異的Tr1細胞クロ
ーン(JDV15およびJDV308)は、同種放射線照射単球で5日間か、または架橋抗C
D3および抗CD28mAbで3日間のいずれかで刺激された。図20B:BALB/c遺伝的
背景でのD011.10αβTCRトランスジェニックマウス由来のナイーブな(MEL14明)C
D4+T細胞は、図19に記載のようにインビトロで分化され、そしてOVAペプチド(1
μM)および放射線照射脾臓APCで3日間再刺激された。1つのOVA特異的Th0ク
ローン(A-7)および2つのOVA特異的Tr1型クローン(A-10-9およびA-10-11)は、
同じ条件下で刺激された。増殖応答は、培養の最後の12時間の間に[3H]-TdR取
り込みにより測定された。ヒトまたはマウス細胞の培養は、コントロールアイソ
タイプmAb(20μg/ml-黒色棒)、ブロッキング抗IL-10mAb(ヒト細胞について
は12G8-5μg/mlもしくはマウス細胞についてはJES6-2A5-10μg/ml-白色斜交平
行線棒)、ブロッキング抗TGF-β(Genzyme,MA;10μg/ml-黒色斜交平行線棒)
、または2つの抗体の組合せ(白色棒)の存在下で行われた。
図21Aおよび21Bは、Tr1細胞が、ナイーブなCD4+T細胞のAg特異的増殖応答を阻
害することを示す。図21A:ドナーJDV由来の休止精製ヒトCD4+T細胞は、トラン
スウェルのウェルの下部区画において同種精製放射線照射単球により5日間刺激
された。休止T細胞は、トランスウェルバスケットにおいて同種抗原特異的Tr1
クローン(JDV24)、同種抗原特異的Th0クローン(JDV305)、または非抗原特異的Tr
1クローン(JDV308)のいずれかを含む異なる同種クローンと同時培養された。5
日後、バスケットが除去され、そして休止CD4+T細胞の増殖応答は、培養の最後
の12時間の間に[3H]-TdR取り込みにより分析された。図21B:BALB/c遺伝的背
景でのD011.10αβTCRトランスジェニックマウス由来のナイーブな(MEL14明)CD4+
T細胞は、トランスウェルシステムの下部区画においてOVAペプチド(1μM)
および放射線照射APCで3日間刺激された。これらのナイーブなT細胞は、トラ
ンスウェルバスケットに含まれる示された集団と同時培養された:それぞれ、IL
-4(IL-4 Diff.)、IL-10(IL-10 Diff.)もしくはIL-4およびIL-10(IL4/10 Diff.)
の存在下で連続3回の再刺激によりインビトロで分化したOVA特異的CD4+T細胞集
団、またはOVA特異的CD4+T細胞クローンA-10-9、A-10-11(Tr1型クローン)、もし
くはA-7(Th1型クローン)。3日後バスケットを除去し、そしてナイーブなCD4+T
細胞の増殖応答は、培養の最後の12時間の間に[3H]-TdR取り込みにより分析さ
れた。ヒトおよびマウス細胞の培養は、コントロールアイソタイプ(20μg/ml-
黒色棒)、ブロッキング抗IL-10mAb(ヒト細胞については12G8-5μg/mlもし
くはマウス細胞についてはJES6-2A5-10μg/ml-白色斜交平行線棒)、ブロッキ
ング抗TGF-β(Genzyme,MA-10μg/ml-黒色斜交平行線棒)、または2つの抗体
の組合せ(白色棒)の存在下で行われた。
発明の詳細な説明
本発明は、特定の実施態様において、移植患者における組織拒絶を抑制するた
めにIL-10を使用する方法に関する。本発明はまた、この方法を行うためのIL-10
を含む薬学的組成物を含む。本発明における使用のための種々のIL-10は、pH5C
、pH15C、およびpBCRF1(SRα)(これらは、受託番号68191、68192、および68193
で1989年12月20日にAmerican Type Culture Collection(ATCC),Rockville,Mary
landに寄託された)のcDNA挿入物により定義されるオープンリーディングフレー
ムによりコードされる成熟ポリペプチドの群より選択される。構築物はまた、他
の発現系に基づき得る。例えば、Pouwelsら(1985および補遺)Cloning Vectors :A Laboratory Manual
Elsevier,N.Y.;およびRodriquezら(1988;編)Vectors :A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses
Buttersworth,Bos
ton,MAを参照のこと。PCR法は、IL-10(例えば、多型(polypmorphic)改変体ま
たは種改変体)をコードする他の遺伝子を単離するために適用され得る。
IL-10は、強い免疫抑制特性を有するサイトカインである。例えば、Mosmannら
、米国特許第5,231,012号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと
。IL-10は、異なるレベルで抗原特異的T細胞増殖を阻害する。IL-10は、MHCク
ラスII分子ならびに接着および同時刺激分子ICAM-1およびB7.1およびB7.2の発現
のダウンレギュレーションにより、専門的な抗原提示細胞(例えば、単球、樹状
細胞、およびランゲルハンス細胞)の抗原提示機能およびアクセサリー細胞機能
を阻害する(de Vriesおよびde Waal Malefyt(1995;編)Interleukin 10 Landes
Co,Austin TXに概説される)。IL-10はまた、T細胞活性化およびTh1細胞の分
化を促進し、これらの細胞によるIL-12生成を阻害する(D'Andreaら(1993)J .Ex p.Med.
178:1041;Hsiehら(1993)Science 260:547)。さらに、IL-10は、これ
らの細胞によるIL-2遺伝子転写およびIL-2生成を阻害することにより、T細胞増
殖を直接阻害する(de Vriesおよびde Waal Malefyt(1995;編)Interleukin 10
L
andes Co,Austin TXに概説される)。
さらに、IL-10は、強い抗炎症特性を有する。IL-10は、活性化された単球/マ
クロファージ、好中球、好酸球、およびマスト細胞による前炎症性サイトカイン
TNF-α、IL-1α、IL-1β、IL-6およびケモカイン(例えば、IL-8、MIP-1α、お
よびMIP-1β)の生成を阻害する(de Vriesおよびde Waal Malefyt(1995;編)I nterleukin 10
Landes Co,Austin TX;Takanashiら(1994)J .Exp.Med. 180:71
1;Arockら(1996)Eur .J.Med. 26:166に概説される)。さらに、IL-10は、マク
ロファージの一酸化窒素依存性殺菌活性およびこれらの細胞によるプロスタグラ
ンジン生成を支持する(Gazzinelliら(1992)J .Immunol. 148:1792;Cunhaら(19
92)Biochem .Biophys.Res.Commun. 182:1155;Niiroら(1994)Int .Immunol. 6
:661)。他方では、IL-10は、単球および顆粒球によるIL-1レセプターアンタゴ
ニストの生成をアップレギュレートする(de Vriesおよびde Waal Malefyt(199
5;編)Interleukin 10 Landes Co,Austin TXに概説される)。
ひとまとめにして、これらのデータは、所望でないT細胞活性化およびT細胞
拡大に関連した疾患(例えば、自己免疫疾患、器官および骨髄移植拒絶、移植片
対宿主病、寄生動物感染(例えば、肉芽腫)、炎症性疾患(例えば、クローン病
、大腸炎、膵炎、炎症性肺疾患および炎症性眼疾患)、寄生動物疾患、ならびに
アレルギー疾患(例えば、喘息、アトピー性皮膚炎、および鼻炎))の処置にお
けるIL-10が潜在的な臨床的有用性を有し得ることを示す。
I.インターロイキン-10についてのアッセイ
IL-10は、アッセイおよび単位の基礎を形成し得るいくつかの生物学的活性を
示す。例えば、Coligan(1989および定期的な補遺;編)Current Protocols in I mmunology
Greene/Wiley,NYを参照のこと。特に、IL-10は、IFN-γ、リンホト
キシン、IL-2、IL-3、およびGM-CSFからなる群における少なくとも1つのサイト
カインの合成を、抗原および抗原提示細胞(APC)への暴露によりこれらのサイト
カインのうちの1つ以上を合成するために誘導されるTヘルパー細胞集団におい
て、阻害する特性を有する。この活性において、APCは、それらが複製不可能で
あるが、それらの抗原プロセシング機構が機能的なままであるように処理される
。
これは、T細胞と混合する前に、例えば、約1500〜3000R(γ線またはX線)を
用いてAPCを放射線照射することにより都合良く達成される。
あるいは、サイトカイン阻害は、1次、または好ましくは、2次混合リンパ球
培養反応(MLR)でアッセイされ得る。この場合、同系APCは使用される必要はない
。MLRは、当該分野で周知である(例えば、Bradley,162-166頁,Mishellら(198
0;編)Selected Methods in Cellular Immunology Freenan,San Francisco;
およびBattistoら(1987)Meth .in Enzymol. 150:83-91 Academic Press)。簡単
には、同種リンパ細胞の2集団が混合され、この集団のうちの1つは、増殖を妨
げるために混合前に、例えば放射線照射により処理されている。好ましくは、細
胞集団は、補充培地(例えば、10%ウシ胎児血清を含むRPMI 1640)において約
2×106個細胞/mlの濃度で調製される。コントロールおよび試験培養物の両方に
ついて、アッセイのために0.5mlの各集団を混合する。2次MLRのために、1次ML
Rの7日後に残存している細胞は、新鮮に調製され、放射線照射されたスティミ
ュレーター細胞により再刺激される。IL-10を含むと推測されるサンプルは、混
合時に試験培養物に添加され得、そしてコントロールおよび試験培養物の両方は
、混合の1〜3日後にサイトカイン生成についてアッセイされ得る。
IL-10アッセイのためにT細胞集団および/またはAPC集団を得ることは、例え
ば、DiSabatoら(1984;編)Meth .in Enzymol. 108巻Academic Pressに十分に記
載される当該分野で周知の技術を使用する。好ましいIL-10アッセイのためのAPC
は、末梢血単球である。これらは、例えば、Boyum(1984)Meth .in Enzymol. 108
:88-102;Mage(1984)Meth .in Enzymol. 108:118-132;Litvinら(1984)Meth.in En zymol.
108:298-302;Stevenson(1984)Meth .in Enzymol.108:242-249;およびRo
mainら(1984)Meth.in Enzymol. 108:148-153(これらは参考として援用される)
により記載されるような標準的な技術を用いて得られる。好ましくは、ヘルパー
T細胞は、IL-10アッセイにおいて使用される。これは、まずリンパ球を末梢血
から分離し、次いで、市販の抗CD4抗体(例えば、米国特許第4,381,295号に記載
され、そしてOrtho Pharmaceutical Corpから入手可能な0KT4)を用いて、例え
ば、パンニング(panning)またはフローサイトメトリーによりヘルパー細胞を選
択することにより得られる。必要な技術は、Boyum(1968)Scand .J.Cl in .Lab.Invest.
21(補遺、97):77;Meth .in Enzymol. 108巻(上記)、およ
びBramら(1986)Meth .in Enzymol. 121:737-748に十分に開示される。一般的に
、PBLは、フィコール-ハイパック密度勾配遠心分離により新鮮な血液から得られ
る。
種々の抗原(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ニワトリγ-
グロブリンなど)が、このアッセイにおいて使用され得る。より好ましくは、抗
原の代わりに、ヘルパーT細胞は、このアッセイにおいて抗CD3モノクローナル
抗体(例えば、米国特許第4,361,549号に開示されるOKT3)で刺激される。
コントロールおよび試験サンプル中のサイトカイン濃度は、標準的な生物学的
および/または免疫化学的アッセイにより測定される。特定のサイトカインのた
めの免疫化学的アッセイ構築は、精製サイトカインが利用可能な場合、当該分野
において周知であり、例えば、Campbell(1984)Monoclonal Antibody Technology
Elsevier,Amsterdam;Tijssen(1985)Practice and Theory of Enzyme Immunoas says
Elsevier,Amsterdam;および米国特許第4,486,530号は、この主題について
の広範な文献の例である。ヒトIL-2、ヒトIL-3およびヒトGM-CSF用のELISAキッ
トは、Genzyme Corp.(Boston,MA)から市販され;そしてヒトIFN-γ用のELISAキ
ットは、Endogen,Inc.(Boston,MA)から市販される。ヒトリンホトキシンに特
異的なポリクローナル抗体は、Genzyme Corp.から入手可能であり、これはヒト
リンホトキシンに対するラジオイムノアッセイにおいて使用され得る(例えば、
Chard(1982)An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques El
sevier,Amsterdam)。Coliganら(編)Current Protocols in Immunologyもま
た参照のこと。
上記のサイトカインの生物学的アッセイはまた、IL-10活性を測定するために
使用され得る。ヒトリンホトキシンのための生物学的アッセイは、Aggarwal(198
5)Meth .in Enzymol. 116:441-447、およびMatthewsら,221-225頁,Clemensら
(1987;編)Lymphokines and Interferons:A Practical Approach IRL Press,W
ashington,D.C.に開示される。ヒトIL-2およびGM-CSFは、それぞれ、受託番号TI
B 214およびCCL 246でATCCから入手可能な因子依存性細胞株CTLL-2およびKG-1を
用いてアッセイされ得る。ヒトIL-3は、例えば、Metcalf(1984)The Hemopoietic Colony Stimulating Factors
Elsevier,Amsterdamにより記載されるように、
軟寒天培養において広範な造血細胞コロニーの形成を刺激するその能力によりア
ッセイされ得る。IFN-γは、抗ウイルスアッセイ(例えば、Meager,129-147頁
,Clemensら編(上記))を用いて定量され得る。
サイトカインmRNA生成は、Whiteら(1982)J .Biol.Chem. 257:8569-8572;お
よびGillespieら,米国特許第4,483,920号(これらは、本明細書中にそれぞれ参
考として援用される)により記載される、細胞質ドットハイブリダイゼーション
により測定され、そして分析され得る。他のアプローチは、精製RNAを用いたド
ットブロッティング(例えば、第6章,Hamesら(1985;編)Nucleic Acid Hybri dization A Practical Approach
IRL Press,Washington,D.C.)を含む。
いくつかの場合において、IL-10活性について試験されるサンプルは、アッセ
イを妨げ得る予め決定されたサイトカインを除去するように前処理され得る。例
えば、IL-2は、いくつかの細胞においてIFN-γの生成を増大する。従って、アッ
セイに使用されるヘルパーT細胞に依存して、IL-2は、試験されるサンプルから
除去されるべきである。このような除去は、サンプルを標準的な抗サイトカイン
アフィニティカラムを通過させることにより都合良く達成される。
便宜のために、IL-10活性の単位は、MC/9細胞(米国特許第4,559,310号に記載
され、そして受託番号CRL 8306でATCCから入手可能である)のIL-4誘導性増殖を
増大するIL-10の能力によって定義される。1単位/mlは、以下のアッセイにおけ
るIL-4レベルを超えてMC/9増殖の最大刺激の50%を与えるIL-10濃度として定義
される。標準的なマイクロタイタプレートにおいて、1ウェルあたり50μl培地
中のIL-4およびIL-10の複数の2連希釈を調製する。例えば、培地は、RPMI 1640
、10%ウシ胎児血清、50μM 2-メルカプトエタノール、2mMグルタミン、ペニ
シリン(100U/L)、およびストレプトマイシン(100μg/L)からなる。IL-4を
添加し、1600U/ml(最終400U/ml)の25μl/ウェルを培地で希釈し、そして一晩
(例えば、20〜24時間)インキュベートする。3H-チミジン(例えば、50μCi/
ml培地)は、0.5〜1.0μCi/ウェルで添加され、そして細胞は再度一晩インキ
ュベートされる。この後、細胞は採集され、そして取り込まれた放射能が測定さ
れる。
II.精製および薬学的組成物
本発明のポリペプチドが可溶性形態(例えば、形質転換酵母または哺乳動物細
胞の分泌産物)で発現される場合、それらは、当該分野の標準的な手順(硫酸ア
ンモニウム沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、電気泳動、アフィ
ニティークロマトグラフィーなどの工程を含む)に従って精製され得、例えば、
「酵素精製および関連技術」(1977)Method in Enzymology 22:233-577、およ
びScopes(1982)Protein Purification:Pronciples and Practice Springer-Verl
ag,New York;はこのような精製のガイダンスを提供する。同様に、本発明のポ
リペプチドが不溶性形態(例えば、凝集体、封入体など)で発現される場合、そ
れらは、当該分野で標準的な手順(封入体を破壊された宿主細胞から遠心分離に
より分離し、カオトロピック剤および還元剤で封入体を可溶化し、可溶化混合物
を希釈し、そしてカオトロピック剤および還元剤の濃度を低下させ、ポリペプチ
ドが生物学的に活性なコンフォメーションをとるのを可能にする工程を含む)に
より精製され得る。後者の手順は、以下の参考文献(それらは、参考として援用
される)に開示される:Winklerら(1986)Biochemistry 25:4041-4045;Winkerら(
1985)Biotechnology 3:992-998;Kothsら,米国特許第4,569,790号;ならびに欧
州特許出願第86306917.5号および同第86306353.3号。組換え方法は、精製を可能
にする融合産物、または精製もしくは検出もまた助けるエピトープタグのいずれ
かを有するタンパク質の生成を可能にする。特定の手段は、外来配列の除去を可
能にするために構築物に操作され得る。IL-10分子のアミノ末端は、そのレセプ
ターへの結合に重要であることが考えられ、そのためカルボキシ末端に融合させ
ることが通常好ましい。
本明細書中で使用する「有効量」は、例えば、組織拒絶を低減するかまたは妨
げる適切な状況において、所望の結果を提供するのに十分な量を意味する。好ま
しくは、このような量は、最小の負の副作用を有する。特定の患者に対する有効
量は、移植される組織の状態、型、および量、患者の全般的な健康状態、投与方
法、副作用の重篤度などのような因子に依存して変化し得る。一般的に、IL-10
は、有効量のIL-10および薬学的キャリアを含む薬学的組成物として投与される
。薬学的キャリアは、患者への本発明の組成物の送達に適した、任意の適合した
無毒の物質であり得る。一般的に、このような薬物の非経口的投与に有用な組成
物
は周知である(例えば、Remington's Pharmaceutical Science Mack Publishing
Company,Easton,PA;またはGilmanら(編)Goodman and Gilman's:The Pharm acological Bases of Therapeutics
PermagonPress)。あるいは、本発明の組成
物は、移植可能なまたは注射可能な薬物送達システムにより患者の身体に導入さ
れ得る(例えば、Urquhartら(1984)Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol .24:199-236;L
ewis(1981;編)Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals Plenum
Press,New York;米国特許第3,773,919号;米国特許第3,270,960号など)。
非経口的に投与される場合、IL-10は、好ましくは、薬学的キャリアに関連し
た単位投薬量注射可能形態(溶液、懸濁液、乳液)で処方される。例えば、Avis
ら(1993;編)Parmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,NY;
Liebermanら(1990;編)Parmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,NY;およ
びLiebermanら(1990;編)Parmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekke
r,NYを参照のこと。このようなキャリアの例として、標準生理食塩水、リンガ
ー液、デキストロース溶液、およびハンクス液が挙げられる。非水性キャリア(
例えば、固定油およびオレイン酸エチル)もまた使用され得る。好ましいキャリ
アは、5%デキストロース/生理食塩水である。キャリアは、少量の添加剤(例
えば、等張性および化学的安定性を増強する物質(例えば、緩衝液および防腐剤
))を含み得る。IL-10は、好ましくは、約5〜20μg/mlの範囲の濃度で、凝集
体および他のタンパク質を実質的に含まない精製形態で処方される。好ましくは
、IL-10は、約50〜800μgの範囲の量が1日あたりに送達されるように(すなわ
ち、約1〜16μg/kg/日)、連続注入により投与される。毎日の注入速度は、副
作用および血球数のモニタリングに基づいて変化され得る。
III.Tr1 細胞
本発明はまた、抗原特異的様式で抗原提示に応答しない、抗原特異的アネルギ
ーT細胞を提供する。例えば、Paul(1993;編)Fundamental Immunology Raven
Pressを参照のこと。寛容の多くの形態が細胞表面でのT細胞レセプターシグナ
ルの妨害に起因し、従って抗原から独立してる点で、この抗原特異的アネルギー
は一般的な寛容とは区別され得る。ここで記載し、以下に示す抗原特異的アネル
ギーは、抗原連動(engagemant)に対するT細胞レセプターおよびCa++流動応答が
残存しているので、シグナル伝達のCa++依存性シグナル経路(例えば、Ras/Raf/
MAPK経路)に影響すると思われない。さらに、アネルギーは、例えば、T細胞レ
セプター機能を活発にブロックするために必要な、シグナル伝達の初期段階をブ
ロックするための薬剤の一定投与を必要としない。アネルギーは、一定期間(例
えば、少なくとも約14日、18日、21日、24日など)維持されるらしい。これは、
数週間、数ヶ月、および好ましくは数年間残存し得る。
本明細書中に記載の抗原特異的アネルギーは、IL-10と抗原との組合せを提示
することにより生成され得る。この成分は、しばしば完全に同一の広がりをもつ
適した期間に免疫系またはその細胞に提示されるが、この期間は、全継続期間に
両方の成分を必ずしも必要とし得ない。この期間は、代表的には少なくとも約5
日、より代表的には少なくとも約7日、好ましくは少なくとも約9〜11日、およ
びより好ましくは少なくとも約13〜15日以上である。IL-10および/または抗原
の投薬は、種々の因子(例えば、抗原、期間の持続期間、両方が存在するか否か
、IL-10が抗原前に提示されるか否かなどを含む)に依存し得る。好ましくは、
両方の成分は、少なくとも約7日間提示される。
IL-10は上に記載されている。より高いIL-10レベルをもたらす他の手段は、内
因性IL-10の刺激(例えば、LPS、TNF-α、IL-12、BCG1(Bacillus Calmett Gueri
n)、Corynebacterium parvus、ポリI-C(単球およびマクロファージを活性化す
るための同種アジュバント)など)を含む。IL-10レセプターに対するアゴニスト
抗体はまた、アゴニストとして機能し得る。
抗原の種々の型が存在し、これらについての抗原特異的T細胞アネルギーは重
要であり得る。同種抗原および自己抗原の両方は、MHCの状況において提示され
る。例えば、Paul(編)Fundamental Immunologyを参照のこと。T細胞アネルギ
ーが重要であり得る他の抗原として、可溶性抗原(例えば、可溶性タンパク質)
または不溶性複合体のフラグメント、粒子抗原(例えば、細菌または寄生動物)
、およびアレルゲンが挙げられる。種々の形態の抗原は、記載されるように、抗
原特異的抗原を誘導するためにIL-10と共に提示される。
抗原特異的アネルギーは、非応答性の特定の他の形態とは区別され得る機構を
含む。これらのTr1(優先権出願においてTh3細胞と呼ばれたが、Weinerら(1996)
Faseb Meeting,New Orleans,LouisianaA.2558により記載される別の細胞集団
と区別するために、本明細書中でTr1細胞と再度命名された)細胞は、ナイーブ
なT細胞(例えば、CD45RA+またはCD45RO-)とは対照的に、記憶T細胞(例えば
、CD45+)であるらしい。特に、この抗原特異的アネルギーは、特異的抗原(代
表的にはIL-2)での後の再刺激に応答するこれらの抗原特異的細胞の不能を反映
する。抗原特異的アネルギー細胞がIL-2および抗原で正常レベルで再刺激される
場合、細胞は、著しく増殖もしないし、サイトカインも生成しない。しかし、Tr
1細胞を含むアネルギー集団は、抗CD3抗体(約100ng/ml)での後の提示において
刺激される場合、Th0、Th1、およびTh2T細胞の増殖のみを刺激する。これらの
限定されたTヘルパーサブセット細胞によるサイトカイン生成の分析は、約1〜
10μg/mlのより高レベルの抗CD3で刺激された場合に周知である。しかし、この
レベルの刺激で、Tr1細胞は、刺激されて増殖もしないし、サイトカインも生成
しないと思われる。Tr1細胞は、約100〜700μg/mlの抗CD3抗体で刺激されて、
増殖およびサイトカインの生成の両方をすると思われる。従って、混合集団にお
ける細胞がウェル中で単一の細胞に希釈される場合、Tヘルパーサブセットの全
ては、記載されるような異なるサブセットTh0、Th1、Th2、およびTr1のサイトカ
イン生成プロフィールの評価を可能にする、100〜700μg/mlの抗CD3抗体で刺激
される。
例えば、T細胞レセプター/Cd3複合体による、後の抗CD3抗体の一般的な刺激
に対する応答は、種々の方法により定量され得る。上記のように、種々のサイト
カインは、生物学的活性にしたがって測定され得る。好ましくは、蓄積されたタ
ンパク質の定量は、以下に記載のような種々の免疫アッセイまたは他のアッセイ
により測定され得る。あるいは、mRNA生成は測定されて、転写刺激の量を確定し
得る。
代表的に、サイトカインは、抗CD3抗体(100〜700μg/ml)を用いた後の(例
えば、2次または後の)刺激の際の規定期間にわたる分泌タンパク質の蓄積後に
測定される。従って、蓄積時間は、好ましくは、約1mlの容量で少なくとも約24
時間であるが、それより長くても良く、そして他のフィーダー細胞層などを含み
得る。
後続の刺激後の細胞増殖は、標準的な方法により測定され得る。しばしば、こ
れは、ヌクレオチドの取り込みを測定することを含むが、細胞数、細胞容積など
を測定することも含み得る。
アネルギーとして特徴づけられる寛容の特定の応答は、T細胞レセプターでの
シグナリングの妨害に起因するが(WeissおよびLittman(1994)Cell 76:263-274
;Chanら(1994)Ann .Rev.Immunol.12:555-592;ならびにFraserらImmunol.Toda y
14:357-362を参照のこと)、本明細書中に記載のアネルギーは、機能的T細胞
レセプターと共に存在する。特に、抗CD3での刺激はなお、Ca++流動をもたらす
。しかし、抗原特異的T細胞は、例えば、サイトカイン生成および/または細胞
増殖により正常様式において抗原刺激に応答しない。
本明細書中で提供されるアネルギーは、IL-2および/または抗原に対する非常
に低下した増殖応答性(例えば、非アネルギー細胞と比較して、約50%未満の応
答、通常には約40%未満の応答、より通常には約30%未満の応答、好ましくは約
20%未満の応答、およびより好ましくは10%以下)のいずれかを含む。あるいは
、応答を誘導するのに必要とされる刺激は、非常に多量のIL-2および抗原(例え
ば、等価な増殖応答を誘発するための5〜50倍)を必要とする。アネルギーはま
た、抗CD3抗体を用いたクローンの再刺激の際での異なるサイトカイン生成プロ
フィールに反映される。以下を参照のこと。
サイトカイン生成の測定は、特定の抗原でのクローンの再刺激後であるが、よ
り通常には、T細胞レセプターにより明らかに活性化する、抗CD3を用いた(約1
0μg/ml以上インビトロでの)一般的な刺激後である。この刺激は、非常に弱く
なった細胞増殖応答および区別可能なサイトカイン生成プロフィールをもたらす
。再刺激およびクローニング後のサイトカイン生成における顕著な差異は、IL-4
は、検出されず、そして高IL-10である。例えば以下の表7を参照のこと。使用
される抗CD3抗体量もまた、上記に示すように応答に影響し得る。
生成されたサイトカイン量を比較して、Tr1細胞クローンは、抗CD3(10μg/m
l)刺激後のTh0、Th1、またはTh2クローン由来のサイトカインの異なるプロフィ
ールを生じることに留意のこと。IL-2に関して、これらのアネルギーTr1細胞ク
ローンは、対応するTh0またはTh1細胞クローンの約30%未満、好ましくは約10%
未満、および代表的には約2%未満を生成する。IL-4については、これらのアネ
ルギーTr1細胞は、対応するTh0またはTh1細胞クローンの約30%未満、好ましく
は約10%未満、および代表的には約1%未満を生成する。IL-5については、これ
らのアネルギーTr1細胞は、対応するTh0細胞クローンの約10〜20%を生成し、対
応するTh2細胞クローンの約5〜10%を生成し、そして対応するTh1細胞クローン
の約5〜30倍を生成する。IL-10については、これらのアネルギーTr1細胞は、対
応するTh0またはTh1細胞クローンの約10〜50倍を生成し、そして対応するTh2細
胞の約5〜25培を生成する。IFN-γについては、これらのアネルギーTr1細胞は
、対応するTh2細胞クローンの約3〜20倍を生成し、そしてTh0またはTh1細胞ク
ローンにより生成される量の約2または3の因子内の匹敵量を生成する。TNF-α
については、これらのTr1細胞クローンは、Th0またはTh2細胞クローンの約2〜
5倍を生成し、そしてTh1細胞クローンの約2または3の因子内の匹敵量を生成
する。このアネルギーTr1細胞はまた、低レベルのみのGM-CSFを生成する。
抗原によるIL-10の持続期間は、可逆性の程度に影響し得ることにも留意のこ
と。正常量のIL-2または抗CD3抗体(10μg/ml)での約7日にわたる処理は、実
質的な不可逆性を導くが;非常に多量のIL-2、抗原、または抗CD3抗体(700μg
/ml)は、アネルギーを弱めるか、または逆転するかのいずれかのより大きな能
力を有する傾向がある。
IL-10は、用量依存様式において、1次混合リンパ球培養反応における同種抗
原誘導性増殖応答を阻害した。抑制効果は、IL-10が培養開始で添加された場合
に最適であり、これはT細胞活性化の初期で作用することを示唆する。増殖応答
は、高IL-10mAbの存在下で増強され、これは内因的に生成されたIL-10が1次MLR
において増殖を抑制することを示す。IL-10の阻害効果は、放射線照射された同
種末梢血単核細胞(PBMC)、精製単球、またはB細胞がスティミュレーター細胞と
して使用されたかに関わらず観察された。低減した増殖応答は、高濃度の外因性
IL-2により回復されず、これはIL-10の効果がIL-2合成阻害に関連しないことを
示す。さらに、1次MLRにおけるIL-2、IFN-γ、IL-6、GM-CSF、およびTNF-αの
生成は、IL-10により低減され、そして抗IL-10mAbの存在下で増強された。最も
強力な効果は、IFN-γの生成において観察された。IL-10は増殖応答を低減する
が、CD3+CD4+およびCD3+CD8+T細胞の比は、IL-10処理およびコントロール培養物
において同じままであった。しかし、CD25+およびHLA-DR+発現により判断される
ように、活性化CD3+T細胞の割合は、IL-10の存在下で一貫して低減した。
ヒトIL-10は、PHA、抗CD3mAb、およびIL-2によりヒトPBMCにおいて誘導される
、IFN-γおよび顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の合成を阻
害する(Bacchettaら(1989)J .Immunol.144:902;およびBevan(1984)Immunol To day
5:128)。この阻害は、転写レベルで生じる(Altmannら(1989)Nature 338:5
12;Bacchettaら、前出)。マウスIL-10(m-IL-10)は、異なる細胞型に対して多面
発現性活性(胸腺細胞(Chenら(1991)J .Immunol. 147:528)、細胞傷害性T細
胞(De Kosterら(1989)J .Exp.Med. 169:1191)、およびマスト細胞(de Waal
Malefytら(1991)J .Exp.Med. 174:1209)に対する増殖促進効果を含む)を有す
る。m-IL-10は、B細胞に対してクラスII MHC抗原発現を誘導し、そしてこれら
の細胞の生存能力を維持する(de Waal Malefytら(1991)J .Exp.Med. 174:915
)。さらに、IL-10は、マクロファージによるサイトカイン生成を阻害する(Bej
aranoら(1985)Int.J.Cancer 35:327;Fiorentinoら(1989)J .Exp.Med. 170:2081
)。h-IL-10およびm-IL-10は、エプスタインバーウイルス(EBV)ゲノムのオープン
リーディングフレームであるBCRF-1に対して広範な相同性を有する(Azumaら(19
92)J .Exp.Med. 175:353;Bacchettaら(1989)J .Immunol.144:902)。ウイルス
IL-10(v-IL-10)と呼ばれるBCRF-1のタンパク質産物は、ヒトおよびマウスT細胞
に対するCSIF活性を含む、h-IL-10およびm-IL-10とほとんどの特性を共有する(
Bacchettaら,前出;Bevan,M.J.,前出)。
ヒト-IL-10およびv-IL-10は、クラスII MHC分子のダウンレギュレーションを
介してヒト単球の抗原提示能力を低減させることにより、抗原特異的増殖応答を
阻害する(Figdorら(1984)J.Immunol.Methods 68:68)。さらに、IL-10は、LPS
またはIFN-γ活性化単球によるサイトカイン合成を阻害する(CM-CSF、G-CSF、
前炎症性サイトカインIL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、およびTNF-αを含む)(Bej
aranoら(1985)Int .J.Cancer 35:327;Fiorentinoら,前出)。興味深いこと
に、LPS活性化単球は、高レベルのIL-10を生成し、そしてサイトカインの増強し
た生成は、抗IL-10mAbの存在下で観察された。これは、モノカイン生成に対する
IL-10の自己調節効果を示す(Bejaranoら,前出)。
同種反応性は、少なくとも部分的に、外来MHC分子および種々の起源の抗原性
ペプチドの認識を反映する(Fiorentinoら(1991)J .Immunol 146:3444;Fiorent
inoら(1991)J .Immunol 147:3815;Freedmanら(1987)J .Immunol 139:3260;Goら
(1990)J.Exp.Med. 172:1625)。さらに、同種反応性T細胞は、ペプチド結合か
ら大いに独立したMHC分子間の、または空のMHC分子に対してでさえもコンフォメ
ーション差異を認識し得る(Hardingら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:5553
;Hsuら(1990)Science 250:830;Juliusら(1973)Eur.J.Immunol. 3:645)。IL-1
0は、同種特異的増殖応答およびサイトカイン生成を阻害する。さらに、低減し
た増殖応答は、外因性IL-2により回復され得ない。
従って、本発明は、例えば、最小少なくとも約3日間、好ましくは少なくとも
約5日間、より好ましくは約7日間、そして特定の実施態様では9、11、13、15
以上の日で、宿主由来CD4+T細胞を、IL-10の存在下でドナー由来放射線照射PBMC
を用いて刺激することにより、多量の同種抗原特異的Tr1細胞を作製する手段を
提供する。これらの細胞は、移植(器官または骨髄)の前にまたは同時に投与さ
れ得る。移植事象および/または治療は、IL-10の投与を伴ってもよいし、また
は伴わなくてもよい。
上記の細胞治療は、抗原により引き起こす他の慢性疾患を処置するために拡張
され得る(例えば、腹腔疾患の処置のためのグリアジン(例えば、グルテン)、
慢性アレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、鼻炎)の処置のためのアレルゲ
ン、または糖尿病の処置のためのGAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)もしく
はインシュリン))。
さらに、これは、多くの他の潜在的な自己抗原に対する不適切な感受性のため
の処置を提供し得る。細胞または処置は、インビボでの長期の寛容の誘導および
Tr1細胞発達のための手段を提供し得る。IL-10での長期(例えば、5〜15日)処
置は、適切なMHC抗原(例えば、クラスIもしくはII、または他の可溶性抗原)
の同時提示と共に、アネルギーのインビボ生成を増強し得る。
本発明はまた、所望でないT細胞活性化を伴う疾患(例えば、移植片拒絶、移
植片対宿主病、寄生動物疾患、慢性炎症性疾患(クローン病、大腸炎、慢性炎症
性眼疾患、慢性炎症性肺疾患、および慢性炎症性肝疾患))の処置のために、イ
ンビボでの抗原特異的Tr1細胞および長期の抗原特異的寛容を誘導するためのIL-
10の投与手段を提供する。例えば、Frankら(編)Samter's Immunologic Diseas es
Little,Brown,Boston,MAを参照のこと。
他の状況において、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、糖尿病、多発
性硬化症)の処置のために、インビボで自己抗原特異的Tr1細胞および自己抗原
特異的寛容を誘導するためにIL-10を投与することは有用であり得る。
多くの実施態様において、IL-10は、代表的に、最小5〜15日間、好ましくは
少なくとも約7日間投与されるべきである。
本明細書中に引用される全ての参考文献は、各個々の参考文献(例えば、刊行
物または特許出願)が詳細におよび個々に示されて、参考として援用されること
が示されるかのように、同程度に本明細書中に参考として援用される。
実施例
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つ。ベクターおよび宿主、ならび
に試薬の濃度、温度、および他の可変パラメーターの値の選択は、本発明の適用
を例示するのみであり、そして請求される実施態様は、本明細書中に記載される
特定の実施態様に限定されるべきではない。
標準的な方法のいくつかは、記載されるか、または参照される(例えば、Mani
atisら(1982)Molecular Cloning ,A Laboratory Manual Cold Spring Harbor La
boratory,Cold Spring Harbor Press;Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A L aboratory Manual
(第2版),1〜3巻,CSH Press,NY;Ausubelら,Biology,
Greene Publishing Associates,Brooklyn,NY;またはAusubelら(1987および
補遺)Current Protocols in Molecular Biology Greene/Wiley,New York;Innis
ら(編;1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications Academic
Press,N.Y.)。タンパク質精製のための方法は、硫酸アンモニウム沈殿、カラ
ムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化、およびその他の
ような方法を含む。例えば、Ausubelら(1987および定期的な補遺);Deutscher(l
990)「タンパク質精製へのガイド」Methods in Enzymology 182巻および本シリ
ーズの他の巻;ならびにタンパク質精製製品の使用における製造者の文献(例え
ば、Pharmacia,Piscataway,N.J.、またはBio-Rad,Richmond,CA)を参照のこ
と。組換え技術との組合わせは、適切なセグメント(例えば、FLAG配列またはプ
ロテアーゼ除去可能な配列を介して融合され得る等価物)への融合を可能にする
。例えば、Hochuli(1989)Chemische Industrie 12:69-70;Hochuli(1990)「金属
キレート吸収剤を用いた組換えタンパク質の精製」Setlow(編)Genetic Engineer ing,Principle and Methods
12:37-98,Plenum Press,N.Y.;およびCroweら(19
92)OIAexpress:The High Level Expression & Protein Purification System Q
IAGEN,Inc.,Chatsworth,CAを参照のこと。
蛍光活性化細胞選別を、Becton-Dickinson FACStar PLUSでの標準的な方法を
用いて行った。例えば、Shapiro(1988)Practical Flow Cytometry(第2版)Ala
n Liss,New Yorkを参照のこと。
実施例1.細菌宿主におけるヒトCSIFの発現
合成ヒトCSIF遺伝子を、TAC-RBS-hCSIFと呼ばれる発現ベクターを形成するた
めに、複数の化学的に合成された二本鎖DNAフラグメントから組み立てる。クロ
ーニングおよび発現を、VieiraおよびMessing(1982)Gene 19:259-268により記載
される、標準的な細菌系(例えば、E.coli K-12 JM101株、JM103株など)におい
て行う。制限エンドヌクレアーゼ消化およびリガーゼ反応を、標準的なプロトコ
ル(例えば、Maniatisら(1982)Molecular Cloning ,A Laboratory Manual Cold
Spring Harbor Laboratory,New York)を用いて行う。Ausubel(1987および定
期的な補遺;編)Current Protocols in Molecular Biology Greene/Wiley,NY;
Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版),Cold Sp
ring Harbor Laboratory,New Yorkもまた参照のこと。
アルカリ法(Maniatisら、上記)を、小規模プラスミド調製のために使用する
。大規模調製のために、アルカリ法の改変を使用し、ここで等量のイソプロパノ
ールを使用して、核酸を明澄した溶解物から沈殿させる。冷2.5M酢酸アンモニウ
ム
での沈殿を使用して、塩化セシウム平衡密度遠心分離および臭化エチジウムでの
検出前にRNAを除去する。
フィルターハイブリダイゼーションのために、Whatman 540フィルターサーク
ルを使用してコロニーを採取し、次いでこれを、0.5M NaOH、1.5M NaCl;1M Tri
s HCl(pH8.0)、1.5M NaCl(各2分間)、および80℃での加熱(30分)を用いた
連続処理により溶解および固定する。ハイブリダイゼーションは、6×SSPE、20
%ホルムアミド、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、100μg/ml E.coli tRNA
中において、32P標識(リン酸化)合成DNAを用いて42℃で6時間である。(20×S
SPEを、174gのNaCl、27.6gのNaH2PO49H2O、および7.4gのEDTAを800mgのH2Oに溶
解することにより調製し、pHをNaOHで7.4に調節し、容量を1リットルに調節し
、そしてオートクレーブにより滅菌する)。フィルターを、1×SSPE、0.1%SDS
で2回(15分、室温)洗浄する。オートラジオグラフィー(Fuji RXフィルム)
後、ポジティブクローンを、再増殖コロニーとフィルター上の青色染色したコロ
ニーとをそろえることにより配置する。DNAを、ジデオキシ法(Sangerら(1977)P roc.Natl.Acad.Sci.USA
74:5463)により配列決定する。ジデオキシ反応のため
のテンプレートは、M13mpベクターに再クローニングされた関連領域の一本鎖DNA
(例えば、Messingら(1981)Nucleic Acids Res. 9:309)、またはミニアルカリ法
により調製され、そして0.2M NaOH(5分、室温)で変性され、そして2容量の
エタノールの添加により0.2M NaOH、1.43M酢酸アンモニウムから沈殿された二本
鎖DNAのいずれかである。DNAを、Applied Biosystems 380A合成機を用いてホス
ホルアミダイト化学により合成する。合成、脱保護、切断、および精製(7M尿
素PAGE、溶出、DEAEセルロースクロマトグラフィー)を、例えば、Applied Bios
ystems 380A合成機マニュアルに記載のように行う。
クローニングされる合成DNAの相補鎖(各400ng)を混合し、そして50μlの反
応容量中でポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化する。このDNAを、適切な制限
酵素で消化された1μgのベクターDNAと連結し、そして連結物は、室温で4〜1
2時間、50μlの容量中である。リン酸化、制限酵素消化、ポリメラーゼ反応、
および連結のための条件は、記載されている(Maniatisら、上記)。コロニーを
、アンピシリン、イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトシド(IPTG)(0.4mM)および
5-
ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド(X-gal)(40mg/ml)を
補充したL寒天上にプレートすることにより、lacZ+(所望の場合)について評
価する。
TAC-RBSベクターを、tacP保持プラスミドpDR540(Pharmacia)の単一のBamHI部
位をDNAポリメラーゼでフィルインすることにより構築する。次いで、これを、
コンセンサスリボソーム結合部位(RBS)GTAAGGAGGTTTAAC(配列番号5)をコードす
る二本鎖フラグメントを形成する脱リン酸化した合成オリゴヌクレオチド(Pharm
acia)に連結する。連結後、混合物をリン酸化し、そしてSstIリンカーATGAGCTCA
T(配列番号6)と共に再連結する。次いで、この複合体をSstIおよびEcoRIで切
断し、そして173bpフラグメントをポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を
介して単離し、そして以下に記載のEcoRI-SstI制限処理pUC19(Pharmacia)にクロ
ーニングした。最終構築物(TAC-RBSと呼ばれる)のRBS-ATG-ポリリンカー領域
の配列を、表2に示す。
合成IL-10遺伝子を、pUC19プラスミドに8工程で組み立てる。各工程において
、欠失を有さない挿入物および/または挿入物を、工程1で挿入されるATG開始
コドンと共に、インフレームでpUC19のlacZ(a)遺伝子を維持することによりクロ
ーニング後に検出し得る。欠失および/または挿入変化を含むクローンを、X-ga
lおよびIPTGを含むL-アンピシリンプレート上の青色コロニーについて評価する
ことにより排除し得る。あるいは、各工程において、挿入物の配列を、小規模プ
ラスミドDNA調製物に対するユニバーサル配列決定プライマー(例えば、Boehrin
ger Mannheimから利用可能)を用いて容易に確認し得る。
工程1において、TAC-RBSベクターをSstIで消化し、T4 DNAポリメラーゼで処
理し(その3'エキソヌクレアーゼ活性が、SstI切断の3'突出鎖を消化して、平滑
末端フラグメントを形成する)、そしてT4 DNAポリメラーゼの不活化の後、EcoR
Iで処理して、TAC-RBS領域を含み、そしてATG開始コドンで平滑末端および反対
の末端でEcoRI切断を有する173塩基対(bp)フラグメントを形成する。最終的に
、173bpのTAC-RBSフラグメントを単離する。
工程2において、工程1の単離されたTAC-RBSフラグメントを、EcoRI/KpnI消
化プラスミドpUC19ならびに以下に示される合成フラグメント1A/B(その上流末
端に平滑末端およびその下流末端にKpnIに対応するねじれ型(staggered)末端
を有する)と混合する。このKpnI末端は、BstEII部位に隣接し、そしてその下流
である。フラグメントを連結して、工程2のpUC19を形成する。
工程3において、合成フラグメント2A/Bおよび3A/B(以下に示す)を、BstEII
/SmaI消化された工程2のpUC19(増幅および精製後)と混合し、そして連結して
工程3のpUC19を形成する。フラグメント3A/Bの下流末端は、SmaI平滑末端を形
成する余分な塩基を含むことに留意のこと。これらの余分な塩基を工程4におい
て切断する。また、フラグメント2A/Bおよび3A/Bは、混合の際にアニールする相
補的な9残基一本鎖末端を有し、2A/Bの上流BstEII切断および3A/Bの下流平滑末
端を残し、pUC19に連結する。
工程4において、AflII/XbaI消化された工程3のpUC19(増幅および精製後)
を、再精製し、合成フラグメント4A/B(以下に示す)と混合し、そして連結して
工程4のpUC19を形成する。
工程5において、XbaI/SalI消化された工程4のpUC19(増幅および精製後)を
、合成フラグメント5A/B(以下に示す)と混合し、そして連結して工程5のpUC1
9を形成する。フラグメント5A/BのSalIスタッガー末端が、工程6においてHpaI
での消化により排除されることに留意のこと。
工程6において、HpaI/PstI消化された工程5のpUC19(増幅および精製後)を
、合成フラグメント6A/B(以下に示す)と混合し、そして連結して工程6のpUC1
9を形成する。
工程7において、ClaI/SphI消化された工程6のpUC19(増幅および精製後)を
、合成フラグメント7A/B(以下に示す)と混合し、そして連結して工程7のpUC1
9を形成する。
工程8において、MluI/HindIII消化された工程7のpUC19(増幅および精製後
)を、合成フラグメント8A/Bおよび9A/Bと混合し、そして連結して最終構築物を
形成する。最終構築物を、E.coli K-12 JM101株(例えば、受託番号33876でATCC
から入手可能)に標準的な技術により挿入する。培養後、タンパク質をJM101細
胞から抽出し、そして抽出物の希釈物を生物学的活性について試験する。 (小文字は、塩基が同じ位置での天然配列の塩基とは異なることを示す。)
実施例2.COS7 サル細胞におけるvIL-10の発現
vIL-10のオープンリーディングフレームをコードする遺伝子を、EcoRI消化pcD
(SRα)ベクター(図1)への増幅フラグメントの後の挿入を可能にするプライマ
ーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により増幅した。挿入フラグメントのコード鎖
を以下に示す(オープンリーディングフレームは大文字で与えられる)。
正しい方向で挿入物を有するクローンを、vIL-10の発現および/または制限消化
物の電気泳動パターンにより同定した。vIL-10遺伝子を有する1つのこのような
ベクターをpBCRF1(SRα)と呼び、そして1989年12月20日に受託番号68193でATCC
に寄託された。PBCRF1(SRα)をE.coli MC1061において増幅し、標準的な技術に
より単離し、そしてこれを使用して以下のようにC0S7サル細胞をトランスフェク
トした:トランスフェクションの1日前に、約1.5×106個のCOS7サル細胞を、
5%ウシ胎児血清(FCS)および2mMグルタミンを含むダルベッコ改変イーグル培地
(DME)中に個々の100mmプレートへ播種した。トランスフェクションを行うため
に、COS7細胞を、トリプシンとのインキュベーションによりディッシュから取り
出し、無血清DMEで2回洗浄し、そして無血清DME中に107個細胞/mlに懸濁した。
0.75mlのアリコートを20μg DNAと混合し、そして滅菌0.4cmエレクトロポレー
ションキュベットに移した。10分後、細胞を、BioRad Gene Pulserユニットにお
い
て200ボルト、96μFでパルスした。さらに10分後、細胞をキュベットから取り
出し、そして20mlの5%FCS、2mMグルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン
、およびゲンタマイシンを含むDMEに添加した。混合物を、4つの100mm組織培養
ディッシュにアリコートした。37℃、5%CO2で12〜24時間後、培地を1%FCSの
みを含む同様の培地で交換し、そしてインキュベーションを、37℃、5%CO2で
さらに72時間続け、この後、培地を回収し、そしてIFN-γ合成を阻害するその能
力についてアッセイした。
新鮮に単離されたPBL(約2×106細胞/ml)の10mlアリコートを、(i)5%F
CSおよび2mMグルタミンを補充した90%DME、ならびに(ii)pBCRF1(SRα)で以前
にトランスフェクトされたCOS7細胞由来の10%上清からなる培地において、PHA(
100ng/ml)と共に37℃でインキュベートした。24時間後、細胞および上清を採集
して、IFN-γ mRNAまたはIFN-γタンパク質のいずれかの存在それぞれについて
アッセイした。10%上清が、関連のないcDNA挿入物を有するプラスミドで以前に
トランスフェクトされたCOS7培養物であったことを除いて、コントロールを、同
様に処理した。vIL-10処理サンプルは、コントロールと比較してIFN-γ合成の約
50%阻害を示した。
実施例3.大腸菌におけるvIL-10の発現
配列番号4で示される成熟vIL-10をコードする遺伝子を、E.coliにおいて発現
し得る。
pBCRF1(SRα)のcDNA挿入物をM13プラスミドに再クローニングし、ここでcDN
A挿入物は部位指定変異誘発により2回変えられる:最初に、成熟vIL-10ポリペ
プチドのコード領域の5'末端にClaI部位を形成し、そして二番目に、成熟vIL-10
ポリペプチドのコード領域の3'末端にBamHI部位を形成する。次いで、変異した
配列を、以下に記載のTRPC11発現ベクターに容易に挿入する。
TRPC11ベクターを、合成コンセンサスRBSフラグメントをClaIリンカー(ATGCAT
)に連結し、そして得られたフラグメントをClaI制限処理pMT11hc(これは、ClaI
部位を含むようにすでに改変された)にクローニングすることにより構築した。
pMT11hcは、小さく(2.3キロベース)、高コピー、AMPR、TETSの、πVXプラスミ
ドEcoRI-HindIIIポリリンカー領域を有するpBR322の誘導体である。(πVXは、M
aniatisら(1982)Molecular Cloning:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor
Laboratoryに記載される)。これを、EcoRIおよびBamHIでpMT11hcを制限処理し
、生じた付着末端をフィルインし、そしてClaIリンカー(CATCGATG)と連結し、そ
れによりEcoRIおよびBamHI部位を復元し、そしてSmaI部位をClaI部位で置換する
ことにより、ClaI部位を含むように改変した。TRPC11構築物からの1つの形質転
換体は、ClaI部位に隣接したタンデムRBS配列を有した。ClaI部位の1つおよびR
BS配列の第2コピーの一部を、PstIでこのプラスミドを消化し、Bal31ヌクレア
ーゼで処理し、EcoRIで制限処理し、そして4つ全てのデオキシヌクレオチド3
リン酸の存在下でT4 DNAポリメラーゼで処理することにより除去した。得られた
30〜40bpフラグメントをPAGEを介して回収し、そしてSmaI制限処理pUC12にクロ
ーニングした。次いで、pKC101(Nicholsら(1983)Methods in Enzymology 101:1
55 Academic Press,N.Y.により記載される)に由来する248bpのE.coli trpP保
持EcoRIフラグメントを、TRPC11構築物を完全にするためにEcoRI部位にクローニ
ングし、これを図2に示す。TRPC11を、最初にそれをClaIおよびBamHIで消化し
、それを精製し、次いで、それを標準的な連結溶液中で、成熟BCRF1をコードす
るヌクレオチド配列を含むM13のClaI-BamHIフラグメントと混合することにより
、vIL-10のベクターとして使用する。TRPC11-BCRF1と呼ばれる、挿入物含有TRPC
11を、E.coli K12 JM101株(例えば、受託番号33876でATCCから入手可能)にお
いて増殖する。
実施例4.一次MLRにおける同種反応性の生成に対するIL-10の効果
細胞を、10%プール熱不活化ヒトAB血清を補充したYssel培地(Koulovaら(199
1)J .Exp.Med. 173:759)中で培養した。
中和抗IL-10mAb 19F1をv-IL-10に対して惹起し、そしてh-およびv-IL-10を効
果的に中和した(Bejaranoら(1985)Int .J.Cancer 35:327)。IL-2R p55鎖を認
識するBB10mAbは、Dr.J.Wijdenes(CRTS,Bensancon,France)の親切な贈り物で
あった。マウス抗CD3(抗Leu-4、IgG1)、抗CD4(抗Leu-3a、IgG1)、抗CD8(抗Leu-2
a、IgG2a)、抗CD14(抗Leu-M3、IgG2b)、抗CD19(抗Leu-12、IgG1)、抗CD25(抗
IL2R p55、IgG1)、抗CD56(抗Leu-19、IgG1)、抗HLA-DR(クローンL243、IgG2a)mA
bおよび適切なアイソタイプのコントロールmAbを、Becton Dickinson(Mountain
View,CA)から得た。
バフィーコート調製物を、スタンフォード大学病院の血液銀行(Blood Bank)
から得た。PBMCを、フィコール-ハイパック(Pharmacia,Uppsala,Sweden)上
の密度勾配遠心分離により単離した。
T細胞の精製のために、PBMCから、Linsleyら(1991)J .Exp.Med. 173:721の
方法を用いて、プラスチック接着および鉄ファゴサイトーシス作用により単球を
枯渇させた。非接着細胞を、MacNeilら(1990)J .Immunol. 145:4167に記載のよ
うにナイロンウールに通過させた。その後、NK細胞を、磁気ビーズでの枯渇によ
り除去した。簡単には、飽和濃度の抗CD56mAbを用いて4℃で30分間染色した後
、細胞をハンクス平衡化塩溶液(HBSS)で2回洗浄し、その後、ヒツジ抗マウス
IgGでコートした磁気ビーズ(Dynabeads M-450ヒツジ抗マウスIgG,Dynal AS,O
slo,Norway)を用いて40:1のビーズ:細胞比でロゼット形成させる(rosette)
。混合物を、穏やかに振盪しながら4℃で30分間インキュベートし、その後、製
造者の推奨に従って磁気粒子濃縮器でロゼット形成細胞を取り出した。得られた
細胞調製物は、>99%CD3+、<1%CD14+、<1%CD19+、<1%CD56+であった
。
CD14+単球の単離についてPBMCを、PE結合CD14mAb(Becton Dickinson,Mountai
n View,CA)で染色し、HBSSで2回洗浄し、そしてその後、FACStar-Plus(Becton
Dickinson,Sunnyvale,CA)を用いてCD14+およびCD14集団において選別した。
選別された集団の再分析は、精製細胞が99.5%を超えてCD14+であることを示し
た。いくつかの実施態様において、単球を、血液成分分離器における密度勾配に
より、続いてMooreら(1990)Science 248:1230により詳細に記載される遠心分離
傾瀉により末梢血から単離した。これらの単球調製物は、非特異的エステラーゼ
染色により判断されるように95%純粋であった。
精製Bリンパ球を、磁気ビーズ枯渇により得た。非接着PBMCを、飽和濃度の抗
CD3、CD4、CD8、CD14、およびCD56mAbと4℃で30分間インキュベートした。細胞
をHBSSで2回洗浄し、その後、40:1のビーズ対細胞比で、ヒツジ抗マウスIgG(Dy
nal,AS,Oslo,Norway)でコートした磁気ビーズを用いてロゼット形成させた。
その後、ロゼット形成した細胞を、上記のように枯渇させた。得られた集団は、
>98%CD19+細胞からなった。
増殖アッセイのために、PBMCまたは高度に精製したT細胞(1×105個細胞/ウ
ェル)を、種々の放射線照射した(4000ラド)同種スティミュレーター細胞によ
り刺激した。PBMC、CD14+単球、遠心分離傾瀉により分離された単球、または精
製Bリンパ球を、それぞれ、1:1、5:1、5:1、および3:1のR:S比でスティミュレ
ーター細胞として使用した。培養を、200μl培地中のIL-10の非存在下または存
在下で、96ウェル平底マイクロタイタープレートにおいて3連で行った。
培養物を、5日インキュベーション期間の最後の10時間に[3H]TdRでパルスし
、そしてファイバーグラスフィルターに採集し、そして放射能を液体シンチレー
ションカウンティングにより測定した。結果を、[3H]TdR取り込みのcpmとして表
し、そして複数の培養物の平均を示す。
大量培養については、PBMCまたは高度に精製したT細胞を、100U/mlのIL-10の
存在下または非存在下で、1×106個レスポンダー細胞/mlの濃度で50mlフラスコ
において上記のR:S比で、放射線照射した同種細胞と培養した。5〜6日後、上
清は、それらのサイトカイン含有量の測定のために回収され、そして-20℃で凍
結されたが、細胞を表現型分析のために回収した。
蛍光分析のために、大量培養物から回収された細胞(105個)を、V底マイク
ロタイタープレート(Flow Laboratories,city,state)において、10μlの精
製PE結合mAbを共に4℃で30分間インキュベートした。二重標識実験において、
細胞を、FITC標識後に1%正常マウス血清で2回洗浄し、そしてPE結合mAbを添
加した。細胞を、1%BSAおよび0.02M NaN3を含むHBSSで2回洗浄し、その後FAC
Scanで分析した。
サイトカイン測定のために、5または6日目に大量培養から回収された上清を
、
SAにより、GM-CSF、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-4、IL-5、およびIL-6の含有量に
ついてアッセイした。IL-2生成の定量のために、培養を、IL-2消費を最小にする
ために10μg/mlの抗IL-2レセプター抗体、BB10の存在下で行った。上清を72時
間後採集し、そしてIL-2レベルを特異的ELISAにより決定した。種々のELISAの感
受
性は以下の通りである:IL-4については40pg/ml;IL-2、IL-5およびIL-6につい
ては20pg/ml;GM-CSFについては50pg/ml;ならびにTNF-αおよびIFN-γについて
は100pg/ml。
古典的一方向1次MLRにおける増殖応答に対するIL-10の効果を決定するために
、PBMCを、異なる濃度のIL-10の非存在下または存在下で、放射線照射同系異種P
BMCを用いて刺激した。図3において、IL-10が用量依存性様式において増殖応答
を阻害したことを示す。
図3に示すように、PBMC(1×105個/ウェル)および同種放射線照射PBMC(1×1
05個/ウェル)(PBMCドナーA、X線照射PBMCドナーB(A):PBMCドナーB、X線照
射PBMCドナーA(B))を、漸増濃度のIL-10(白色棒)および抗IL-10mAb(黒色棒
)の存在下で5日間培養した。MLRを、100U/mlのIL-10および漸増濃度の抗IL-10
mAbの非存在下(黒色棒)または存在下(平行線棒)で行った。
増殖に対する有意な阻害効果は、1U/mlほどの低いIL-10濃度で既に観察され
たが、最大阻害効果(異なる実験において33〜95%阻害の範囲)は、100U/mlのI
L-10濃度で得られた。PBMC増殖に対するIL-10のこれらの阻害効果は、抗IL-10mA
bにより完全に阻害され、これは阻害の特異性を示す(図3C)。中和抗IL-10mAb
の存在下で行われたMLRにおける増殖応答は有意に増強され、これは内因的に生
成したIL-10が、一次MLC\Rにおいて増殖応答の抑制を担うことを示す。
最近、IL-10は、クラスII MHC抗原のダウンレギュレーションにより単球の抗
原(Ag)提示(AP)能力を強力に低減することが証明された。対照的に、EBV形質転
換B細胞(EBV-LCL)のクラスII MHC発現およびAP能力は、IL-10により影響されな
かった(Figdorら(1984)J .Immunol.Methods 68:68)。従って、単球が存在す
る場合にのみ、MLRにおけるIL-10阻害効果が観察されるか否かが調べられる。こ
の目的のために、ネガティブ選択により得られた高度に富化したT細胞をレスポ
ンダー細胞として使用した。PBMC、精製Bリンパ球、およびEBV-LCLからのCD14+
の遠心分離傾瀉または直接選別のいずれかによって富化された精製単球集団を、
スティミュレーター細胞として使用した。
図4A〜4Dは、種々の同種細胞で刺激された精製T細胞の増殖応答に対するIL-1
0の効果を示す。精製T細胞(1×105個/ウェル)を、漸増濃度のIL-10の存在下
で、同種放射線照射傾瀉単球(2×104個/ウェル)(図4A)、ポジティブに選別
されたCD14+単球(2×104個/ウェル)(図4B)、精製B細胞(3.3×104個/ウェ
ル)(図4C)、EVC-LCL(1×104個/ウェル)(図4D)と共に5日間培養した。
図4A〜4Dに示され得るように、IL-10は、単球が遠心分離傾瀉(図4A)により
得られたか、またはFACSによりポジティブに選別されたか(図4B)から独立して
、同種単球により誘導される増殖応答を強力に阻害したが、同種EVC-LCLに向か
う増殖応答は、影響されないままであった(図4D)。可溶性抗原に対する特異的
な増殖応答で観察されるように、これらの結果は、同種特異的増殖は、同種単球
の場合にはブロックされるが、同種EVC-LCLがスティミュレーター細胞として使
用される場合にはブロックされないことを示す。興味深いことに、新鮮に単離さ
れた高度に精製された同種B細胞により誘導された増殖応答はまた、IL-10によ
り阻害された(図4C)。これは、IL-10がこれらの細胞でのクラスIまたはクラス
II MHC発現に対する測定可能な効果を有さなかったという事実にもかかわらず、
IL-10の抑制効果はまた、B細胞がスティミュレーターとして使用される場合に
存在することを示す。
キネティック実験は、MLR誘導増殖に対するIL-10の効果が、時が経つにつれて
徐々に減少することを明らかにした。これらの結果を図5に示し、ここで、PBMC
(1×105個/ウェル)および同種放射線照射PBMC(1×105個/ウェル)を5日間
培養し、そして漸増濃度のIL-10を示された時間で添加した。IL-10は、1次培養
の開始で添加された場合に最も効果的であった:培養開始の2または3日後に添
加された場合、効果は下限に近く、そして明らかな用量応答効果は観察されなか
った。これらの結果は、IL-10が、MLRにおいて初期のT細胞活性化に作用するこ
とを示す。
実施例5:MLC におけるサイトカイン生成に対するIL-10の効果
IL-10は、抗CD3またはPHAにより活性化されたPBMCによるIFN-γおよびGM-CSF
生成を低減することが示された(Bacchettaら(1989)J .Immunol. 144:902;Bevan
(1984)前出)。さらに、IL-10は、単球によるサイトカイン生成を阻害する(Bej
aranoら(1985)Int .J.Cancer 35:327;Fiorentinoら、前出)。一方向MLRに
おけるサイトカイン生成に対するIL-10の効果を決定するために、同種PBMCをレ
スポンダーおよびスティミュレーター細胞として使用した。ヒトPBMCを、IL-10
または抗IL-10mAb、19F1の非存在下および存在下で、単独または同種放射線照射
PBMCと共に5日間培養した。上清を5日目に回収し、そしてそれらのサイトカイ
ン含有量についてアッセイした。サイトカイン生成を、サイトカイン特異的ELIS
Aにより上清において測定した。表1は、同種抗原刺激リンパ球によるサイトカ
イン生成に対する外因性および内因性IL-10の効果を示す。
表1において、IFN-γ、IL-6、GM-CSF、およびTNF-αはMLRにおいて生成され
、そしてIL-10は種々の程度でこれらのサイトカインの生成を阻害したことを示
す。
有意なIL-4生成は検出されず、そしてIL-5レベルは100pg/ml末満であった。IL
-10生成は、異なる実験において1000〜3000pg/mlの範囲であった。外因性IL-10
の最も強力な阻害効果はIFN-γ生成で観察されたが、最も弱い阻害効果はIL-6生
成で観察された。
増大したIFN-γ、GM-CSF、およびTNF-αレベルは、表1に示されるように、抗
IL-10mAbの存在下で行われたMLRの上清において観察された。抗IL-10mAbのサイ
トカイン生成に対するこれらの増強効果は、用量依存性であった。ひとまとめに
して考えると、これらの結果は、内因性および外因性両方のIL-10が、試験され
るサイトカイン生成を低減することを示す。MLRにおけるIL-2生成に対するIL-10
の効果を評価し、そして活性化T細胞によるIL-2消費を最小にするために、培養
を、IL-10および抗IL-2レセプターmAb BB10の存在下または非存在下で行った。
これらの実験において、IL-10は、用量依存性様式でIL-2生成を妨げた(図6)
。測定可能なレベルのIL-2は、IL-10が100U/mlで添加された場合には検出され得
なかった。図6において、PBMC(1×105個/ウェル)および同種放射線照射PBMC
(1×105個/ウエル)を、漸増濃度のIL-10と共におよび10μg/mlの抗IL-2 R抗
体、BB10の存在下または非存在下で培養した。3日後、上清を採集し、そしてサ
イトカイン特異的ELISAによりIL-2含有量についてアッセイした。
IL-10の阻害効果が外因性IL-2の存在下で観察されるか否か調べるために、MLR
を種々の濃度のIL-2を用いて行った。図7A〜7Bにおいて、IL-10により誘導され
るT細胞の低減した同種抗原誘導性増殖応答に対する外因性IL-2の効果を示す。
同種放射線照射PBMC(105個/ウェル)で刺激された精製T細胞(105個/ウェル)
(図7A)、または精製B細胞(3.3×104個/ウェル)(図7B)を、100U/mlのIL
-10の非存在下(白色記号)または存在下(黒色記号)で漸増量のIL-2と共に培
養した。これらは、MLRへの漸増量のIL-2の添加(ここで、精製T細胞をレスポ
ンダーとして使用し、そしてPBMCまたは精製B細胞をスティミュレーターとして
使用した)は、IL-10の非存在下または存在下の両方で増殖を増強したことを示
す。しかし、IL-10の阻害効果は、IL-2を100U/ml[10U/mlは、高親和性IL-2レセ
プター(IL-2R)を飽和するのに十分である]までの濃度で添加した場合でもなお
存在した。同様に、T細胞増殖因子活性を有する(Panina-Bordignonら(1991)Sc ience
252:1548)400U/mlのIL-4の添加は、IL-10により誘導される低減した増殖
応答を回復しなかった。ひとまとめにして考えると、これらの結果は、IL-2の欠
如は、MLRがIL-10の存在下で行われる場合に観察される低減した増殖応答を担う
限定因子ではないことを証明する。
実施例6.MLC における活性化T細胞の増殖に対するIL-10の効果
IL-10の存在下でのMLRにおける低減した増殖応答が、CD4+またはCD8+T細胞サ
ブセットに差別的に影響するか否かを決定するために、精製T細胞を、IL-10(10
0U/ml)の非存在下または存在下で、放射線照射同種PBMC、精製B細胞、または単
球と培養した。6日後、回収されたT細胞を計数し、そして間接免疫蛍光により
表現型を決定した。CD3+CD4+細胞とCD3+CD8+細胞との比を決定した。表2は、同
種抗原刺激T細胞に対するIL-10の効果を示す。
表2において、T細胞をIL-10の存在下で同種PBMC、精製単球、またはB細胞
で刺激した場合に、総T細胞数が30%〜60%減少したことを示す。しかし、CD4+
およびCD8+T細胞の比は同じままであり、これはIL-10がこれらのT細胞サブセ
ットのそれぞれに対しては優先的効果を何ら有さないことを示す。
対照的に、CD25およびHLA-DR抗原を発現する活性化T細胞のILは、IL-10含有
培養物において一貫して低減した。最も強力な低減は、通常、精製CD3+T細胞が
精製B細胞または単球で刺激したMLRにおいて観察された。
従って、IL-10は、用量依存性様式で、2つの異なるドナーの同種PBMCを、そ
れぞれレスポンダーおよび放射線照射スティミュレーター細胞として使用した古
典的使い捨ての初代MLRにおいて、同種応答T細胞の増殖を低減する。これらの
阻害効果は、抗IL-10mAbにより完全に中和され、これは阻害の特異性を証明する
。増殖応答は、抗IL-10mAbの存在下でかなり増殖され、これは内因性IL-10生成
がMLRにおける増殖応答の抑制を担うことを示す。
IL-10はまた、高度に精製したT細胞をレスポンダーとして使用し、そして精
製単球をスティミュレーターとして使用するMLRにおいて増殖応答を低減した。
興味深いことに、IL-10は、精製T細胞が放射線照射同種EBV-LCLにより刺激され
た場合は効果はなかった。IL-10は、単球をAPCとして使用した場合に、可溶性抗
原または抗原性ペプチドに対するT細胞またはT細胞クローンの特異的な増殖応
答を強力にブロックしたが、EBV-LCLをAPCとして使用した場合にはブロックしな
かった。この低減した抗原提示能力は、単球におけるクラスII MHC発現に対する
IL-10のダウンレギュレート効果に関連することが見出された。対照的に、IL-10
は、EBV-LCLにおけるクラスII MHC発現には影響しなかった(Figdorら(1984)J . Immunol.Methods
68:68)。これらのデータから、低減した抗原特異的増殖T細
胞応答は、T細胞増殖に対する直接的な抑制効果よりもむしろ、レスポンダー細
胞の活性化の妨害を反映することが結論づけられた。この結論は、IL-10の存在
下で活性化されたレスポンダーT細胞クローンにおける低減したCa2+流動により
さらに支持された(Figdorら(1984)J .Immunol.Methods 68:68)。
興味深いことに、MLR誘導増殖は、スティミュレーターとして単球を使用した
場合だけでなく、精製B細胞を使用した場合でもまた、IL-10により阻害された
。いくつかの研究は、MHC同種抗原のT細胞認識が、ウイルス、細菌、または他
の外来タンパク質抗原の認識と機構的に類似することを示した(Fiorentinoら(1
991)J .Immunol 146:3444;Fiorentinoら(1991)J .Immunol 147:3815;Feedman
ら(1987)J .Immunol 139:3260;Goら(1990)J .Exp.Med. 172:1625)。最近、著
しい割合のMHCクラスII同種反応T細胞クローンは、同種クラスII分子に関連し
たヒト血清タンパク質由来のプロセスされた決定基を認識することが示された(F
iorentinoら(1991)J .Immunol 147:3815)。新たなMHCペプチド複合体が抗
keら(1991)J .Exp.Med. 174:1059)状況とは対照的に、新たな同種MHCペプチド
複合体が、MLRにおいてT細胞を刺激するために単球およびB細胞上で形成され
なければならないことを示す証拠はない。MLR誘導T細胞増殖に対するIL-10の阻
害効果が、単球におけるMHCクラスII発現のダウンレギュレーションのみに起因
し得るということはありそうもない。
特異的同種抗原によるTCR/CD3複合体の架橋に加えて、LFA-1-ICAM-1相互作用
は、同種特異的T細胞によるサイトカイン生成に必要とされることが実証されて
いる(Santos-Aguadoら(1989)Proc .Natl.Acad.Sci.USA 86:8936)。さらに
、CD28-B7/BB1相互作用は、サイトカイン生成、増殖、および細胞傷害性活性を
も
たらす、休止T細胞の同種抗原特異的活性化の誘導に必要であることが示されて
いる(spitsら(1987)J .Immunol. 139:1143;Thompson-Snipesら(1991)J .Exp. Med.
173:507;Vieiraら(1991)Proc .Natl.Acad.Sci.USA 88:1172)。B7は、
休止B細胞および単球において弱く発現されるが、これらの細胞の活性化後に上
昇される。Hokochiら(1982)J .Immunol. 128:823;Ysselら(1986)Eur .J.Immun ol.
16:1187。しかし、低減した増殖性および細胞傷害性同種応答が、TCR/CD3ま
たはこれらのアクセサリー分子のいずれかの発現に対するIL-10のダウンレギュ
レート効果によることは認められ得ない。
同種抗原に対する低減した増殖応答はまた、レスポンダーT細胞の活性化の妨
害を反映する。IL-10は、その最大阻害効果を発揮するために培養開始から存在
しなければならなかった。さらに、CD25およびHLA-DR抗原の発現により判断され
るように、活性化T細胞の比は、コントロールMLRと比較して、IL-10含有培養物
においてかなり低かった。IL-10の存在下で行われたMLRにおいて生成されたCD3+
T細胞の総数は低減したが、IL-10は、CD4+またはCD8+T細胞の応答に優先的に
影響しなかった。なぜならこれらのT細胞サブセット比が、IL-10の非存在下で
行われたコントロールMLRにおける比に匹敵したからである。CD25の低減した発
現は、MLRにおけるT細胞増殖に対する阻害効果が、IL-10のサイトカイン阻害活
性の単なる結果ではないことを示す。これは、外因性IL-2が高親和性IL-2レセプ
ターを飽和するのに十分な濃度で添加される場合に、IL-10もまた増殖応答を低
減するという発見により支持される。ひとまとめにして、これらのデータは、IL
-10が、MLRにおいてPBMC、単球、および正常B細胞の刺激能力を低減することを
示唆する。
全ての同種PBMCをレスポンダーおよびスティミュレーターとして使用したMLR
において生成されたサイトカインのレベルはまた、外因性IL-10の存在下で著し
く低減した。IL-2、IFN-γ、TNF-α、およびGM-CSFの量は、IL-10の非存在下で
行われたコントロールMLRの量より約2〜3倍低かった。IL-6生成は、ほとんど
影響せず、これはこれらの培養物に存在する単球が、活性化後の非常に初期に、
サプレッサー活性IL-10が有効になる前に、かなりの量のこのサイトカインを既
に生成したという事実によるものであり得る(Bejaranoら(1985)Int .J.Cance r
35:327)。
実施例7.SCID 患者におけるIL-10および寛容
HLA不適合胎児肝臓幹細胞を移植した、重篤な複合免疫不全症(SCID)を有す
る2人の患者におけるT細胞レパートリーおよび実際の機構を調べた。17年前お
よび5年前に、2人の非常に幼いSCIDの乳児に、完全にHLAが異なるドナー由来
の胎児肝臓幹細胞を移植した。患者SPは2回の胎児肝臓幹細胞移植を受け、そし
て両方の場合において、同系胎児胸腺を同時に注入した。標準的なHLA分類は、
第2のドナー由来の細胞のみの植え付けを示し、多型HLA決定基に特異的なモノ
クローナル抗体を用いたより正確な細胞蛍光測定分析は、Tリンパ球の10〜20%
が実際に第1のドナー由来であることを示した。第2の患者RVは、7回の胎児肝
臓幹細胞移植を受けたが、1つのドナー細胞集団のみが、末梢血において同定さ
れ得た(表3)。
このような患者において、ドナーT細胞の保持された植え付けが移植後に観察
されたが、B細胞および単球は宿主起源であった(表4)。
免疫系の細胞内の分離したキメラ現象のこの状態にもかかわらず、完全な再構
成が達成され、そして抗原を呼び戻す正常なインビボおよびインビトロ抗体応答
が観察された。これは、同種障壁を横切って宿主のAPCと協力するドナーT細胞
の能力によるものである。特に、これらの研究は、患者SPの末梢血から単離され
た、ドナー起源の破傷風トキソイド(TT)特異的T細胞クローンが、プロセスされ
、そして宿主B細胞、EBV形質転換B細胞株、およびNK細胞クローンにより提示
された抗原(Ag)を認識し得ることを証明した。対照的に、試験されたAg特異的T
細胞クローンのいずれも、ドナー細胞により発現されたクラスII HLA抗原により
提示されるTTを認識しなかった(Roncaroloら(1989)J .Exp.Med. 167:1523)。
NK集団におけるキメラ現象は、表4に示されるように2人の患者において異な
った。1つの症例において、新鮮なNK細胞およびNK細胞クローンは、宿主のHLA
表現型を示し;もう1つの症例において、それらはドナー起源であった。これら
のNK細胞は、CD16およびCD56抗原を発現し、そして種々のNK感受性標的に対して
正常な細胞傷害性活性を示した。
これらの発見は、宿主またはドナーの機能的NK細胞が、胎児幹細胞移植後にド
ナーT細胞の安定な植え付けを妨げないことを示唆する。リンパ細胞と主要組織
適合抗原および非主要組織適合抗原差異との共存にも関わらず、完全な寛容が、
これらの2人の患者においてインビボで達成され、そして急性または慢性移植片
対宿主病の徴候は観察されなかった。さらに、インビトロ研究は、宿主により発
現されたHLA抗原に対するドナーT細胞による特異的非反応性は、一次混合リン
パ球培養(MLC)に存在するが、同種細胞に対する増殖応答は正常であることを示
した。しかし、クローンレベルでの発見は異なった。宿主のHLAクラスIまたはHL
AクラスII抗原のいずれかを認識する、ドナー起源の宿主反応性増殖性および細
胞傷害性T細胞クローンは、両患者の末梢血に由来していた。HLA-半同一(hapl
oidentical)親ドナー由来の骨髄を移植したSCID患者において報告された(Keer
enら,Hu.Immunol.29:42,(1990))ものとは対照的に、非ドナー反応性T細胞ク
ローンを、これらの2人の患者から単離し得た。さらに、患者RVにおいて、ドナ
ーにより共有される宿主のHLAクラスI遺伝子座A抗原に特異的なT細胞クローン
を同定し得た。改変した限界希釈アッセイを用いた頻度分析は、ドナー反応性の
欠如を確認し、そしてCD8+宿主反応性T細胞の頻度は、第3者のHLA抗原に対し
て反応するT細胞の頻度と同じ範囲内であることを実証した。従って、宿主反応
性細胞は、ドナーT細胞レパートリーからクローン的に欠失されない。恐らく、
このような宿主反応性T細胞は調節下にあり、なぜなら移植片対宿主病の臨床的
出現は、これらの患者において明らかでないからである。1つの可能性は、宿主
反応性細胞がインビボでアネルギー性であり、そしてIL-2の存在下でのインビト
ロ刺激がこのアネルギー性を破壊し得ることである。宿主反応性T細胞は、ポリ
クローナルおよび抗原特異的刺激後に特定のパターンのリンホカイン生成を示す
ことが知られる。CD4+およびCD8+T細胞クローンのいずれもIL-4を分泌し得ない
が、それらはポリクローナル活性化後に正常レベルのIL-2、IL-5、およびGM-CSF
を合成する。これらのクローンによるIFN-γ生成は、通常非常に高い。さらに、
独特のRVのCD4+宿主反応性T細胞クローンによるIL-10生成は、抗原特異的刺激
後に極端に高く、そして低IL-2合成に逆に相関するらしい。さらに、外因性IL-1
0の添加は、インビトロでCD4+宿主反応性T細胞クローンの増殖応答を著しく抑
制し得る。従って、宿主反応性T細胞によるIL-10生成は、インビボでのそれら
の応答をダウンレギュレーションすることにおいて重要な役割を果たし得る。
患者は、現在(1992年)17歳および5歳で健常であり、そして抗原を呼び戻す
正常な免疫応答を示す。彼らのT細胞はドナー起源であるが、単球およびB細胞
は宿主のままであった。NK細胞は、1人の患者ではそれらがドナーに由来し、そ
してもう1人の患者では宿主に由来するので、異なる供給源を有する。ドナー細
胞と宿主細胞との間のHLA不適合にもかかわらず、急性または慢性移植片対宿主
病は観察されなかった。PBMCを用いたインビトロ実験は、宿主細胞により発現さ
れるHLA抗原に対して特異的な非反応性を示した。しかし。広範なクローン分析
は、宿主のクラスII HLA分子およびクラスI HLA分子を認識する、それぞれCD4+
およびCD8+宿主反応性T細胞クローンが両患者の末梢血に存在したことを示した
。限界希釈実験は、CD8+宿主反応性細胞の頻度が、同種反応性T細胞について観
察されたものと同じ範囲内であることを示した。対照的に、ドナー反応性CD8+
T細胞が単離され得なかった。宿主反応性CD4+およびCD8+T細胞クローンは、IL
-2、IFN-γ、GM-CSF、およびIL-5を生成するそれらの能力において正常であった
が、それらはIL-4を合成しなかった。さらに、患者RV由来のCD4+T細胞クローン
は、非常に高レベルのIL-10を分泌した。外因性IL-10は、CD4+宿主反応性T細胞
クローンの増殖応答を阻害し得た。宿主反応性細胞は、同種胎児肝臓幹細胞移植
後にドナーT細胞レパートリーから欠失されない。従って、宿主とドナーとの間
のインビトロ寛容は、サイトカインが役割を果たし得る末梢自己調節機構により
維持される。
実施例8.ヒトCD4+T細胞における長期抗原特異的アネルギーの誘導
外因性IL-10の存在下での初代MLRにおいて同種単球により活性化されたヒトCD
4+T細胞は、同じ同種抗原での再刺激後に特異的に増殖しなかった。T細胞非反
応性の匹敵する状態は、外因性IL-10の存在下での架橋抗CD3mAbによるCD4+T細
胞の活性化により誘導され得た。アネルギー性T細胞は、同種抗原または抗CD3m
Abでの再刺激の際に、IL-2、IL-5、IL-10、IFN-γ、TNF-α、およびGM-CSFを生
成しなかった。しかし、抗CD3mAbでのアネルギー化T細胞の再刺激は正常なCa2+
流動を誘導し、そして増大したCD3、CD28、およびクラスII MHC発現をもたらし
、これはカルシニューリン媒介シグナリングがこれらのアネルギー性細胞におい
て生じたことを示す。IL-10誘導アネルギー状態は長期継続した。T細胞アネル
ギーは、抗CD3mAbおよび抗CD28mAbでの細胞の再刺激後に逆転され得なかったが
、CD3およびCD28発現は正常であった。しかし、IL-2R α鎖の発現はアップレギ
ュレートされず、これはアネルギー状態を逆転する外因性IL-2の機能不全を説明
し
得る。興味深いことに、アネルギー性T細胞およびそれらの非アネルギー対応物
は、PMAおよびCa2+イオノフォアでの活性化後に匹敵するレベルの増殖およびサ
イトカイン生成を示し、これはPKC依存性経路の直接的活性化が、IL-10の寛容効
果を克服し得ることを示す。ひとまとめにして考えると、これらのデータは、IL
-10がT細胞アネルギーを誘導し、従って、抗原特異的T細胞寛容の誘導および
維持において重要な役割を果たし得ることを証明する。
IL-10は、ヒト末梢血T細胞およびTh0、Th1、またはTh2サブセットに属するT
細胞クローンの抗原特異的活性化および増殖を阻害することが示されている。Ys
selら(1992)J .Immunol. 149:2378-2384;およびde Waal Malefytら(1991)J .Ex p.Med.
174:915-924。これらの阻害効果は間接的であり、そして抗原提示細胞(
APC)の機能阻害により媒介される。Macatoniaら(1993)J .Immunol. 150:3755-37
65;Cauxら(1994)Int.Immunol. 6:1177-1185;Pecanhaら(1993)J .Immunol. 150
:3215-3223;ならびにDingおよびShevach(1992)J .Immunol. 148:3133-3139.IL
-10は、単球、樹状細胞、およびランゲルハンス細胞における構成性およびIFN-
γまたはIL-4誘導性クラスII MHC発現を調節する。de Waal Malefytら(1991)J . Exp.Med.
174:915-924;およびPeguet-Navarroら(1994)Eur .J.Immunol. 24:8
84-891。さらに、IL-10は、T細胞活性化のための重要な同時刺激分子として機
能する、CD54(ICAM-1、LFA-1のリガンド)、ならびにCD80およびCD86(CD28のリガ
ンド)の発現を阻害する。Dingら(1993)J .Immunol. 15:1224-234;Willemsら(19
94)Eur .J.Immunol. 24:1007-1009;Changら(1995)Eur J .Immunol. 25:394-39
8。より最近には、IL-10はまた、IL-2分泌を抑制することによりCD4+Tに対して
直接的な効果を有することが示されている。de Waal Malefytら(1993)J .Immuno l.
150:4754-4765;およびTagaら(1993)Blood 81:2964-2971。
可溶性抗原に応答したT細胞増殖に対するその阻害効果と同様に、IL-10は、
混合リンパ球培養反応(MLR)においてヒト同種反応性細胞の増殖を強力に低減し
、そしてこれらのMLRにおいて生成するサイトカインレベルは、外因性IL-10の存
在下で著しく低減した。Bejaranoら(1992)Int.Immunol. 4:1389-1397および上記
。さらに、IL-10は、CD4+同種T細胞クローンの増殖応答を抑制した。低減した
増殖と並行して、これらのT細胞クローンによるIL-2、IL-5、GM-CSF、およびIF
N-
γ生成のレベルにおける低減が観察された。Roncarolo(1995)「インターロイキ
ン-10および移植寛容」de Waal Malefytおよびde Vries(編)Interleukin-10 Lan
des Company,Austin,Texas,113〜120頁。
最近、HLA不適合造血細胞が首尾良く移植されたSCID患者において、宿主同種
抗原を特異的に認識するCD4+T細胞クローンは、抗原刺激後に非常に低いレベル
のIL-2を生成するが、インビトロでそれらの増殖を部分的に阻害する、多量のIL
-10を分泌することが報告された。Bacchettaら(1994)J .Exp.Med. 179:493-502
。さらに、これらのSCID患者由来のPBMCは、正常コントロールのPBMCと比較して
、特に非T細胞サブセットにおいて、かなり高レベルのIL-10転写物を発現する
。Bacchettaら(1994)J .Exp.Med. 179:493-502。これらの結果は、SCIDヒトキ
メラにおいて検出されるIL-10の高発現が、宿主同種抗原に特異的なドナー由来
T細胞においてアネルギー状態を誘導することにより、インビボ寛容の維持にお
いて重要な役割を果たし得ることを示唆する。
同種反応性T細胞の最適活性化および拡大は、TCR複合体の連結に加えて、同
種抗原提示細胞上で発現する1つ以上のアクセサリー分子により提供される同時
刺激シグナルを必要とする。同時刺激を伴わない抗原によるTCRの連動(engagema
nt)は、T細胞アネルギーをもたらす。De Silvaら(1991)J .Immunol. 147:3261-
3267;Jenkinsら(1990)J .Immunol. 144:16-22;Schwartz(1990)Science 248:13
49-1356;およびSloan-Lancasterら(1994)J .Exp.Med. 180:1195-1205。非応答
性のこの状態はまた、CD28シグナリングの非存在下において、T細胞レセプター
占有を模倣する薬剤での刺激により、および/またはT細胞によるIL-2分泌の阻
害により、長期T細胞クローンにおいてインビトロで誘導され得る。De Silvaら
(1991)J .Immunol. 147:3261-3267;Jenkinsら(1990)J .Immunol. 144:16-22;S
chwartz(1990)Science 248:1349-1356;およびSloan-Lancaserら(1994)J .Exp .Med.
180:1195-1205.高レベルのIL-10が移植寛容に関連し、そしてこのサイ
トカインが単球の抗原提示機能およびアクセサリー機能の両方、ならびにT細胞
によるIL-2生成を阻害することを示されたという観察は、IL-10がCD4+T細胞に
おけるアネルギーの誘導に関与し得ることを示唆する。
本研究において、IL-10は、IL-2またはCD28刺激により逆転され得ない、同種
抗原に対する長期継続の抗原特異的非応答性を誘導し得ることが示される。細胞
末梢血単核細胞を、フィコール-ハイパーク上での遠心分離により調製した。C
D4+T細胞を、ネガティブ選択により精製した。ネガティブ精製を、非CD4+T細
胞:CD8、CD14、CD16、CD19、CD20、CD56、HLA-DRに対して指向された抗体のカ
クテルを用いて行った。細胞を、4℃で20分間、飽和量の抗体とインキュベート
した。洗浄後、Dynabeads(Dynal,Oslo,Norway)を、10ビーズ/標的細胞の比で
添加し、そして4℃で1時間インキュベートした。ビーズおよび夾雑細胞を、磁
場により除去した。残存細胞を、同じ数のビーズで再懸濁し、そして4℃で1時
間の第2のインキュベーション期間を行った。夾雑細胞の除去後、CD4+T細胞を
、FACScan(Becton Dickinson,Mountain View,CA)により分析し、そして90〜95
%より多くポジティブであることを明らかにした。単球を、以下:CD2、CD3、CD8
、CD16、CD19、CD20、CD56に対する抗体を含むカクテルを用いた同じ手順を用い
て精製した。これらの単球は、FACScan分析により>95%CD14+であった。いくつ
かの実験において、CD4+Tを、製造者の説明書(Dynal,Oslo,Norway)に従って
、CD4mAbで直接コートした磁気ビーズを用いたポジティブ選択により精製した。
この手順を用いて、細胞は、95%より多く純粋であった。試薬
精製組換えIL-10を、Schering-Plough Research Institute(Kenilworth,NJ)
により提供した。抗IL-2レセプターモノクローナル抗体B-B10(Herveら(1990)Blo od
75:1017-1023)、抗CD3mAb SPV-T3(Spitsら(1983)Hybridoma 4:423-437)、お
よび抗CD28(Becton Dickinson,Mountain View;USA)を、以前に記載した。CD2、
CD3、CD4、CD8、CD14、CD16、CD19、CD20、CD56、HLA-DRに対する非結合抗体、P
E-またはFITC-結合抗体、および適切なアイソタイプのコントロールmAbを、Bect
on Dickinson(Mountain View,CA)から購入した。増殖アッセイ
これらの増殖アッセイにおいて、細胞を、10%FCSおよび1%ヒト血清を補充
したYssel培地(Ysselら(1984)J .Immunol.Methods 72:219-227)中で培養した
。
MLRのために、精製CD4+T細胞(5×104細胞/ウェル)を、200μl平底96ウエル
プレート(Falcon,Becton Dickinson,Lincoln Park,NJ)中の精製同種単球(
5×104細胞/ウェル)または放射線照射PBMC(105細胞/ウェル)で刺激した。ス
ティミュレーターとして使用したPBMCを、4,000ラドで放射線照射した。
架橋抗CD3mAb活性化のために、0.1M Tris緩衝液(pH9.5)で希釈した500ng/mlの
抗CD3mAbを、平底96または24ウェルウェルプレート中で4℃で一週間インキュベ
ートした。これらの実験条件は、異なる濃度の抗体および異なるインキュべーシ
ョン時間を試験した実験において最適であることが見出された。プレートを3回
洗浄した後、CD4+T細胞を5×104細胞/ウェルで添加した。
ホルボールエステル(PMA)+Ca2+イオノフォア(A23187 Sigma,USA)での活性
化のために、細胞を5×104細胞/ウェルで培養し、そしてPMA(1ng/ml)および
A23187(500ng/ml)で3日間活性化した。
T細胞の増殖を測定するために、細胞を、5%CO2において37℃で、MLR実験の
ために72時間または5日間培養し、その後[3H]-TdRで12時間パルスし、そしてBa
cchettaら(1994)J .Exp.Med. 179:493-502に記載のように採集した。アネルギーの誘導
アネルギーを誘導するために、CD4+T細胞を、24ウェルウェルプレート(Linbr
o,ICN Biochemical,Ohio)中で2.5×105細胞/mlで培養し、そしてIL-10(100U/m
l)の存在下で精製同種単球または架橋抗CD3mAbのいずれかで活性化した。異なる
インキュベーション期間(3〜10日の範囲、以下を参照のこと)の後、細胞を回
収し、フィコール-ハイパーク勾配上に重層して死細胞を除去し、2回洗浄し、
そして放射線照射同種PBMCまたは架橋抗CD3mAbで再刺激した。免疫蛍光分析
細胞表面抗体の検出のために、105細胞を、PE-またはFITC-結合mAbで標識した
。細胞を、0.1%BSAおよび0.02mM NaN3を含むPBS中で、適切な抗体と4℃で30分
間インキュベートした。3回の洗浄後、標識細胞サンプルを、FACScan(Becton
Dickinson)で分析した。リンホカイン生成の測定
細胞を、架橋抗CD3mAbにより、PMA+Ca2+イオノフォア(A23187)により、ま
たは同種単球により24時間刺激した。IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、TNF-α、IFN-
γ、およびGM-CSFの分泌を、Bacchettaら(1994)J .Exp.Med. 179:493-502およ
びBacchettaら(1995)Blood 85:1994-953に記載されるような免疫酵素測定アッセ
イにより測定した。種々のELISAの感受性は、IL-2については20pg/ml;IL-4およ
びIL-5については40pg/ml;GM-CSFおよびIL-10については50pg/ml;ならびにIFN
-γおよびTNF-αについては100pg/mlであった。カルシウム流動性研究
indo-1/AMでロードされたアネルギー性細胞における細胞内カルシウムの流動
性を、標準的な蛍光測定を用いることにより評価した。細胞を、完全増殖培地中
で20℃で45分間、2μM indo-1/AMでロードした。次いで、細胞を洗浄し、1%
BSAを含むNa-HBSS(単位mM:2 CaCl2、145 NaCl、5KCl、1MgCl2、5 d-グルコ
ース、20 HEPES;pH7.3)に再懸濁し、そして2時間まで20℃で維持した。次いで
、約5×105細胞を2ml Na-HBSSに懸濁し、そして一定に攪拌したアクリルキュ
ベット中で37℃で維持した。抗CD3mAb(1μg/ml)を添加し、続いてヤギ抗マ
ウス免疫グロブリンを添加して、細胞表面上の抗CD3mAbを架橋した。Ca2+流動は
、アネルギー性細胞でもコントロール細胞でも、架橋の非存在下で検出されなか
った。[Ca2+]iを測定するための蛍光測定を、Photon Technologies Inc.分光蛍
光計を用いて行った。IL-10 は、同種抗原特異的T細胞アネルギーを誘導する
以前に示されたように(Bejaranoら(1992)Int.Immunol. 4:1389-1397;および
上記)、IL-10は、初代MLRにおいて同種単球に応答して、末梢血CD4+T細胞の増
殖を部分的に阻害する(図8A)。この阻害は、抗IL-2α鎖レセプターmAB(抗CD25
mAb)により誘導される阻害に匹敵した。IL-10中の同種抗原刺激CD4+T細胞の延
長したインキュベーションはまた、再刺激後にそれらの増殖応答をダウンレギュ
レートし得るか否かを決定するために、細胞を、10日間、IL-10の存在下または
非存在下で培養中で保持した(図8B)。著しい細胞死は、いずれの培養条件でも
観察されず、そして匹敵する細胞数をアッセイの終わりに採集した。この培養期
間の後、IL-10の非存在下で同種抗原で刺激されたCD4+コントロールT細胞は休
止状態に達し、そして2次MLRにおいて同じ放射線照射同種PBMCにより、また
は1次MLRにおいて第3者同種単球により十分に再活性化され得た(図8B)。対照
的に、IL-10の存在下でインキュベートされたCD4+T細胞は、同じ同種PBMCに応
答して2次MLRにおいて増殖しなかったが、それらは、1次MLRにおいて第3者的
同種抗原に対して正常に増殖するそれらの能力を保持した。この非応答性状態は
、飽和濃度の外因性IL-2(20U/ml)、または抗CD28mAb(100μg/ml)により逆転さ
れ得なかった。さらに、T細胞非応答性のこの状態はIL-10に特異的であり、そ
して1次MLRの阻害によるものではない。なぜなら、抗CD25mAb(10μg/ml)の
存在下で10日間インキュベートされたCD4+T細胞は、それらの未処理対応物の増
殖応答に匹敵する増殖応答を示したからである。IL-10 は、抗CD3mAbにより活性化されたCD4+T細胞においてアネルギー状態を誘 導する
次いで、IL10誘導性アネルギーがCD4+T細胞に対するIL-10の直接効果を反映
するか否かを分析した。この目的のために、高度に精製した末梢血CD4+T細胞を
、外因性IL-10の存在下または非存在下で10日間、架橋抗CD3mAbにより活性化し
た。CD4+T細胞増殖に対するIL-10の直接効果が観察された(de Waal Malefytら
(1993)J .Immunol. 150:4754-4765;およびTagaら(1993)Blood 81:2964-2971)
、そしてこの阻害効果は、抗CD25mAbにより誘導される効果に匹敵した(図9A)
。IL-10の存在下でのCD4+T細胞の活性化は、T細胞非反応性の深い状態をもた
らし、これは外因性IL-2または抗CD28mAbにより逆転され得なかった(図9B)。
しかし、アネルギー性細胞は、Ca2+イオノフォアおよびPMAによる刺激に応答し
て正常に増殖した。これらの結果は、IL-10がCD4+T細胞におけるアネルギー状
態を誘導するが、これらの細胞がTCR活性化を回避するシグナルに正常に応答す
ることを示す。このアネルギー誘導はIL-10特異的であり、同種抗原に対するIL-
10誘導T細胞非応答性に類似し、そして細胞増殖の阻害に関連しない。なぜなら
、抗CD25mAbの存在下で10日間インキュベートされたCD4+T細胞は、架橋抗CD3mA
bでの再刺激に応答して正常に増幅したからである。IL-10によるアネルギー誘導
は用量依存性であり、最大効果は100U/mlで観察された(図10)。抗CD3mAbによ
り活性化され、そしてIL-10の存在下または非存在下で10日間培養された細胞は
、休止状態であり、そしてアポトーシス細胞死は、コントロールまたはIL-10処
理
細胞培養物において観察されなかった。従って、IL-10は、同種特異的および抗C
D3により刺激されたCD4+T細胞においてT細胞アネルギーの匹敵する状態を誘導
する。IL-10 によるアネルギー誘導の速度論
T細胞アネルギー誘導の速度論を決定するために、CD4+T細胞を、IL-10の存
在下または非存在下で架橋抗CD3mAbで活性化し、そして培養開始後の異なる時点
で再刺激した(図11)。IL-10の存在下で3日間だけ培養したCD4+T細胞は、架
橋抗CD3mAbによる再活性化に応答して既に増殖しなかった。興味深いことに、こ
れらの細胞のアネルギー状態は、外因性IL-2(20U/ml)または抗CD28(10μg/ml)
によりなお逆転され得た。対照的に、T細胞とIL-10との9〜10日間のインキュ
ベーションは、アネルギーの完全な状態をもたらし、これは、IL-2または抗CD28
mAb添加のいずれにも逆転され得なかった。これらの結果は、IL-10の存在下でそ
れらのTCR/CD3複合体により活性化されたT細胞が、それらがIL-10に暴露された
期間に依存して、異なる程度の非応答性を獲得することを示す。これは、IL-10
の暴露期間が、抑制の有効性において非常に重要であることを示す。IL-10 誘導性T細胞アネルギーは長期継続する
IL-10除去後のCD4+T細胞におけるIL-10誘導性アネルギー状態の継続期間を決
定するために、細胞を、IL-10の存在下または非存在下で架橋抗CD3mAbで10日間
活性化した。このインキュベーション期間後、細胞を洗浄し、そして延長した培
養期間にわたるT細胞の最適な維持のために、低濃度(2U/ml)の外因性IL-2の
存在下で(しかし、IL-10の非存在下で)24時間再培養した。これらのT細胞を
、培養期間の間に1日おきに回収し、洗浄し、そして抗CD3mAbで再刺激した。IL
-10と予めインキュベートされたT細胞は、IL-10除去の24時間後でさえも増殖し
なかった。対照的に、IL-10の非存在下で抗CD3mAbにより活性化され、そしてIL-
10の非存在下で24時間維持されたコントロールCD4+T細胞は、抗CD3mAbでの刺激
に応答して正常に増殖した。さらに、IL-10処理細胞を24時間培養した後に観察
された非応答性は、IL-2(20U/ml)または抗CD28(10μg/ml)mAbにより逆転され得
なかった。これらの結果は、IL-10誘導性アネルギーが深く、そして長期継続す
ることを示す。アネルギー化T細胞は、サイトカインを分泌しない
T細胞アネルギーは、一般的に、増殖しそしてTCRの誘発に応答してIL-2を生
成するT細胞の機能不全として定義される(Schwartz(1990)Science 248:1349-1
356を参照のこと)。IL-10の存在下での同種単球または抗CD3mAbのいずれかでの
活性化後に非反応性にされたT細胞が、サイトカインを分泌するそれらの能力を
保持したか否かを決定するために、同じ同種単球または抗CD3mAbでの再刺激後の
それらのサイトカイン生成を、それぞれ分析した。
CD4+T細胞を、IL-10(100U/ml)の非存在下(コントロール細胞)または存在下
(アネルギー性細胞)で、架橋抗CD3mAb(10μg/ml)、同種単球のいずれかで活
性化した。細胞を10日間培養中で保持し、洗浄し、そして、それぞれ、架橋抗CD
3mAb;またはTPA(1pg/ml)およびCa2+イオノフォア(A23187:500ng/ml);または
同種PBMCで再刺激した。上清を24時間後に採集し、そしてサイトカインレベルを
ELISAにより分析した。細胞増殖を測定するために、細胞を、架橋抗CD3mAbで活
性化された細胞については3日目の終わりに、または同種単球で活性化された細
胞については5日目の終わりに、12時間[3H]TdRでパルスした。
表5は、再刺激後のIL-10誘導性アネルギー性T細胞のサイトカインプロフィ
ールを示す。同種抗原+IL-10または抗CD3mAb+IL-10のいずれかによる活性化後
に非応答性されたT細胞は、関連同種単球または抗CD3mAbでの再刺激後24時間ま
たは48時間で、検出可能な量のIL-2、IL-4、IL-5、IL-10、TNF-α、IFN-γ、お
よびGM-CSFを生成しなかった。対照的に、未処理コントロール細胞は、異なるド
ナー由来の、そして同様の様式で刺激されたCD4+T細胞のパネルのものに匹敵す
るレベルのIL-2、IL-5、IL-10、IFN-γ、TNF-α、およびGM-CSFを生成した。し
かし、これらの細胞は、検出可能なレベルのIL-4を分泌しなかった。
図9は、PMAおよびCa2+イオノフォアでの活性化が、抗CD3活性化T細胞のIL-1
0誘導性非応答性を完全に逆転したことを示す。表5は、PMAおよびCa2+イオノフ
オアによるアネルギー性T細胞の24時間の活性化もまた、それらの非アネルギー
化対応物のものに匹敵するIL-2、IL-5、IL-10、IFN-γ、およびTNF-α生成のレ
ベルをもたらしたことを示す。アネルギー性T細胞は、活性化後にCD25を発現しない
IL-10の存在下での抗CD3mAbによる活性化後にアネルギーにされたT細胞の表
現型分析は、アネルギー性T細胞におけるIL-2R α鎖(CD25)発現の減少を除いて
、それらの未処理対応物と比較して、主な差異を明らかにしなかった(図13なら
びに14Aおよび14Bを参照のこと)。CD3またはCD28発現の調節は、アネルギー性
細胞において観察されず、そして架橋抗CD3mAbによる活性化は、コントロール細
胞と同じ程度にCD3、CD28、およびクラスII MHC発現を増強した(図13)。これ
らのデータは、T細胞非応答性が欠損TCR/CD3またはCD28発現に関連したという
可能性を排除し、そしてTCR/CD3複合体によるシグナリング(これは、T細胞増
殖には不十分である)が、これらのアネルギー化T細胞においてなお生じること
を示す。
しかし、コントロール細胞とは対照的に、アネルギー性T細胞は、IL-2R α鎖
発現をアップレギュレートせず、これはIL-2R α鎖発現の阻害がアネルギー化T
細胞の特異的な特性であることを示す(図14Aおよび14B)。CD25発現のアップレ
ギュレーションにおける欠損はまた、外因性IL-2の存在下で観察され、そしてIL
-10との8〜10日のインキュベーションにより誘導されるT細胞アネルギーを逆
転するIL-2の機能不全と相関した(図11)。対照的に、IL-10との3日間のイン
キュベーションの後に非応答性にされたT細胞は、かなりのレベルのCD25をなお
発現した(図14A)。CD25のわずかなアップレギュレーションもまた、抗CD3mAb
による再刺激の後に観察されたが、発現レベルは未処理細胞と比較してなお低か
った。しかし、アネルギー状態を逆転し得たIL-2の添加は、コントロールT細胞
およびIL-10の存在下で3日間インキュベートされたT細胞においてCD25発現の
匹敵するレベルをもたらした(図14A)。抗CD3mAbは、アネルギー性T細胞において正常Ca2+流動を誘導する
TCR/CD3複合体によるシグナリングがアネルギー性T細胞において生じるとい
う考えを、これらの細胞におけるCa2+流動の誘導を測定することにより確認した
。Indo-1でのローディング後、細胞を、図15に示すように、ヒツジ抗マウス免疫
グロブリンにより架橋された抗CD3mAbで活性化した。架橋抗CD3mAbでの活性化後
にアネルギー化T細胞において誘導されたCa2+流動は、未処理コントロールT細
胞におけるものと匹敵した(図15)。アネルギー性T細胞およびコントロールT
細胞のIndo-Iでのローディングは、Ca2+イオノフォアの添加により細胞において
誘導された匹敵するCa2+流動上昇により示されるように等価であった(図15)。
これらの結果は、IL-10誘導性アネルギーが、T細胞活性化に関与する下流事象
に影響することを示す。
本研究は、IL-10の存在下で10日間、同種単球により活性化されたヒト末梢血C
D4+T細胞が、抗原特異的様式で非応答性にされたことを示す。これらの非応答
性CD4+T細胞は、同じ同種単球により再刺激された場合、増殖せず、そしてサイ
トカインを生成しない。しかし、これらのT細胞集団は、第3者同種抗原に応答
して正常に増殖した。T細胞アネルギーの匹敵する状態が、IL-10の存在下での
抗CD3mAbによるCD4+T細胞の活性化後に誘導された。IL-10誘導性アネルギーは
、用量依存性であり、そしてIL-10の回収後24時間を超えて(これは、分析され
た最大期間であった)継続した。さらに、アネルギー状態は、外因性IL-2または
抗CD28mAbの添加により逆転され得なかった。さらに、T細胞アネルギーは、同
種
抗IL-2レセプターmAbの存在下での単球または抗CD3mAbでの刺激により誘導され
得た。これらの結果は、T細胞アネルギーがIL-10により特異的に誘導され、そ
してこれらの細胞によるIL-2生成のダウンレギュレーションに単に関連しないこ
とを示す。
IL-10誘導性T細胞アネルギーは、専門的なAPCの非存在下でのマウスまたはヒ
トT細胞と抗原性ペプチドとのインキュベーションにより誘導されるT細胞非応
答性とは明らかに異なる。例えば、Sloan-Lancasterら(1994)J .Exp.Med. 180:
1195-1205;Lambら(1983)J.Exp.Med. 157:1434-1447;およびFaslerら(1995)J . Immunol.
155:4199-4206を参照のこと。この後者の場合において、TCR/CD3複合
体の発現はダウンレギュレートされ、そして、IL-10誘導性アネルギーでの発見
とは異なって、[Ca2+]iの流動性が観察されなかった(Lambら(1983)J .Exp.M ed.
157:1434-1447;およびFaslerら(1995)J .Immunol. 155:4199-4206)。
他方では、IL-10によりアネルギー化されたCD4+T細胞は、同時刺激シグナル
の欠如により誘導されるマウスモデルのアネルギーにおいて記載されるアネルギ
ー性T細胞と多くの特徴を共有する。De Silvaら(1991)J .Immunol.147:3261-32
67;Schwartz(1990)Science 248:1349-1356;Suzukiら(1995)Int.Immunol. 71:3
7-43;ならびにRamsdellおよびFowlkes(1992)Science 257:1130-1134を参照のこ
と。これらの形態のアネルギー性細胞は増殖せず、そしてIL-2を生成しなかった
が、それらはCD3またはCD28表面分子の正常発現、およびTCR/CD3複合体の流動化
後の正常カルシウム流動を有した。Schwartz(1990)Science 248:1349-1356を参
照のこと。しかし、IL-10により誘導されたT細胞アネルギーは、アネルギー性
T細胞の増殖応答がIL-2または抗CD28mAbの添加より回復され得ないので、これ
らのマウスモデルに記載されるものよりも非常に深い。さらに、IL-2生成だけで
なく、後の刺激の際の、これらのアネルギー性細胞によるIFN-γ、IL-5、IL-10
、TNF-αおよびGM-CSFの生成は損なわれた。従って、IL-10によるT細胞アネル
ギーの誘導は、単に、IL-2生成の阻害および生産的CD28-CD80/CD86相互作用の防
止によるものではない。IL-10アネルギー化T細胞はまた、アポトーシスを受け
るT細胞または増殖の非存在下でサイトカインを分泌し得るアネルギー化T細胞
とは異なる。Jenkins(1992)Immunol .Today 132:69-73;およびGrouxら(199
3)Eur .J.Immunol. 23:1623-1629を参照のこと。実際に、アポトーシスによる
著しい細胞喪失は、IL-10中で培養されたアネルギー化T細胞において観察され
ず、そしてアネルギー化T細胞は、Ca2+イオノフォアおよびPMAでの刺激後の正
常増殖により証明されたように生存能力があった。
全体的にみて、これらのデータは、TCR/CD3複合体によるシグナリングが、IL-
10アネルギー化T細胞において選択的に損なわれることを示す。これは、アネル
ギー性T細胞が未処理T細胞のものに匹敵するTCR/CD3およびCD28レベルを発現
したので、TCRまたはCD28分子のダウンレギュレーションによらない。さらに、T
CR/CD3複合体によるアネルギー性T細胞の刺激は、細胞増殖およびサイトカイン
生成をもたらさなかったが、CD3、CD28およびクラスII MHC発現の明らかな増加
が、抗CD3mAbでの細胞の刺激後に観察された。これは、ある程度のTCR活性化が
、これらのアネルギー性細胞において生じたことを示す。
この考えは、アネルギー化T細胞におけるCa2+流動がCD3活性化後に正常であ
り、カルシニューリン媒介シグナリングが影響しないことを証明する、観察によ
りさらに支持された。重要なことに、アネルギーの完全な逆転は、PMAおよびCa2 +
イオノフォアでの活性化後に観察された。TCR活性化を回避する、これらの刺激
は、アネルギー性細胞による増殖およびサイトカイン分泌を完全に回復した。こ
れらの発見は、IL-10が、アネルギー誘導のマウスモデルにより示唆されたよう
に、恐らくRas-MAPキナーゼ活性化レベルで、TCRシグナル経路における最も近い
事象を妨げることを示唆する。例えば、Kangら(1992)Science 257:1134-1138;F
ieldsら(1996)Science 271:1276-1278;およびLiら(1996)Science 271:1272-127
5を参照のこと。あるいは、p21rasのシグナルカスケード下流はインタクトであ
るらしいが、IL-10がこのシグナル経路の負のレギュレーターを誘導することは
排除され得ない。
IL-10での9〜10日間の活性化およびインキュベーションによりアネルギーに
されたT細胞は、それらの未処理対応物とは対照的に、抗CD3mAbで刺激された場
合にIL-2R α鎖発現をアップレギュレートしなかった。従って、IL-2R α鎖発現
のアップレギュレーションのこの欠損が、アネルギーを逆転する外因性IL-2の機
能不全の原因であると推測することは魅力的である。この仮説は、IL-10での
3日間の活性化およびインキュベーションによりアネルギーにされ、そしてなお
CD25を発現するT細胞が、外因性IL-2によりレスキューされ得たという観察によ
り支持される。匹敵するが、あまり深くはないIL-2利用の欠損が、TCRトランス
ジェニックマウスにおけるスーパー抗原(superantigen)誘導性T細胞非応答性に
ついて報告されている。Bhandoolaら(1993)J .Immunol. 151:2355-2367を参照の
こと。ひとまとめにして考えると、これらのデータは、アネルギー誘導が適切に
誘導されれば永久的であり得ることを示唆する。
同種抗原に対する寛容の誘導を担う機構のうち、適切な同種反応性T細胞の機
能的不活化をもたらす欠失しない機構が提案されている。この機能的不活化は、
APCおよびT細胞により発現されるアクセサリー分子により提供される同時刺激
シグナルをブロックすることにより達成され得る。LenschowおよびBluestone(19
93)Curr .Opin.Immunol. 5:747-752;Linsleyら(1992)Science 257:792-795;C
arltonら(1991)Immunol .Cell.Biol. 692:89-93;およびNakakoら(1994)J .Imm unol.
153:5819-5825を参照のこと。CD28とCD80またはCD86のいずれかとの間の
相互作用の防止は、このアネルギー誘導に重要であると思われるが、他の同時刺
激分子(例えば、CD2、CD4、またはCTLA-4)の妨害もまた関与し得る。Boussiot
isら(1994)J .Exp.Med. 180:1665-1673を参照のこと。しかし、これらの実験モ
デルにおいて誘導された寛容が長期継続し、そして潜在的に不可逆的であるとい
う事実は、同種抗原の認識の際のTヘルパー細胞に対する第2シグナルの単なる
欠如より複雑であり得る基礎機構を示唆する。活性的抑制のいくつかの形態がサ
イトカインにより媒介されることは可能である。これらのサイトカインは、同時
刺激分子をダウンレギュレートすることだけでなく、負のレギュレーター(例え
ば、CTLA-4)の発現を誘導することにより、T細胞アネルギーの誘導または維持
に寄与し得る。Tivolら(1995)Immunity 3:541-547を参照のこと。ヒトにおいて
、SCID患者は、インビボ寛容がHLA不適合移植後に得られる少ない例のうちの1
つである。この寛容は、宿主同種抗原を特異的に認識するT細胞の機能的不活化
を担う欠失しない機能によるものである。上記およびRoncaroloら(1988)J .Exp .Med.
167:1523-1534;およびBacchettaら(1993)J .Clin.Invest. 91:1067-10
78を参照のこと。これらの宿主反応性T細胞は、高レベルのIL-10を
インビトロで分泌し、そして高IL-10レベルがインビボで観察された。これは、I
L-10が寛容の誘導および維持において役割を果たし得ることを示唆する。Bacche
ttaら(1994)J .Exp.Med. 179:493-502を参照のこと。本発明の結果に基づいて
、これらの患者において観察された高レベルのIL-10が、宿主反応性T細胞をイ
ンビボでアネルギーにすると結論づけることは魅力的である。移植前の高レベル
のIL-10分泌もまた、移植の成功した結果に相関することが示されている(Holle
rら(1995)Eur.J.Cancer 31:39-45)。これは、IL-10が寛容の誘導において役割
を果たし得るという仮説をさらに示唆する。
ひとまとめにして、これらのデータは、IL-10が、ドナー特異的および/また
は宿主特異的同種抗原に対してアネルギーを誘導することにより、移植寛容にお
いて重要な役割を有することを示唆する。さらに、それらは、IL-10が、GVHDお
よび同種移植片拒絶の防止または低減において潜在的な臨床的有用性を有するこ
とを示唆する。
図16は、IL-10(100U/ml)の存在下で架橋抗CD3mAb(100ng/ml)での10日間の刺激
後にアネルギーにされた精製CD4+T細胞の増殖応答が、非常に高濃度の架橋抗CD
3mAbでの再刺激後に部分的に回復され得ることを示す。
表6は、架橋抗CD3mAbを用いた再刺激の際のアネルギー性細胞サイトカインプ
ロフィールを示す。細胞(2.5×106細胞/ml)を、IL-10(100U/ml)の存在下(ア
ネルギー性細胞)または非存在下(コントロール細胞)で架橋抗CD3mAb(100ng/m
l)を用いて刺激した。10日後、細胞を回収し、フィコール-ハイパーク勾配上に
重層し、3回洗浄し、そして架橋抗CD3mAb(10mg/mlまたは700mg/mlのいずれか
)を用いて2.5×105細胞/mlで再刺激した。24時間後、上清を回収し、そしてサ
イトカイン量をELISAにより測定した。結果は、1つの代表的な実験の複数測定
の平均±SDである。表6に示されたデータから、極端に高レベルの架橋抗CD3mAb
(700mg/ml)を用いてIL-10の存在下での架橋抗CD3mAbによる10日間の刺激の後
にアネルギー化されたCD4+T細胞の再刺激は、低レベルの増殖およびTr1サイト
カインプロフィール(高レベルのIL-10、非常に低レベルのIL-2および検出不可
能なレベルのIL-4の生成により特徴付けられる)をもたらすことが示される。さ
らに、IL-5、IFN-γ、GM-CSF、およびTNF-α生成が検出され得た。対照的
に、アネルギー化CD4+T細胞は、10μg/mlの濃度で架橋抗CD3mAbを用いて刺激
された場合、増殖せず、そしてサイトカインを生成しなかった。 図17は、Th1およびTh2クローンと比較した場合のTr1クローンの増殖応答を示
す。
表7は、2つの異なるドナーのアネルギー性細胞集団から得られたTr1、Th0、
Th1、およびTh2クローンのサイトカイン生成プロフィールを示す。種々のCD4+T
細胞クローンを、放射線照射フィーダー細胞混合物+PMAでの刺激の12日後に回
収し、そして抗CD3および抗CD28mAbの混合物により24時間再刺激した。サイトカ
イン生成(平均±SD)を、pg/106細胞/mlとして表す。Tr1クローンの特徴的なサ
イトカイン生成プロフィールは、IL-2およびIL-4の有意な生成を示さないが、非
常に高レベルのIL-10を示す。さらに、これらの細胞は、IL-5およびIFN-γおよ
びTNF-αを生成する。このサイトカイン生成プロフィールは、アネルギー化T細
胞集団または非アネルギー化コントロールT細胞集団から得られたTh0、Th1、お
よびTh2クローンのものとは明らかに異なる。
図18Aおよび18Bは、Tr1クローンによるIL-10生成が細胞活性化後に急速に生じ
ることを示す。
実施例9:ヒトTr1細胞クローン 精製CD4+T細胞の単離
末梢血単核細胞を、Ficoll-hypaque上での遠心分離により調製した。CD4+T細
胞を、ネガティブ選択により精製した。ネガティブ精製を、非CD4+T細胞:CD8
、CD14、CD16、CD19、CD20、CD56、HLA-DRに対して指向される抗体のカクテルを
用いて行った。細胞を、4℃で20分間、飽和量の抗体とインキュベートした。洗
浄後、Dynabeads(Dynal,Norway)を、10ビーズ/標的細胞のILで添加し、そして
4℃で1時間インキュベートした。ビーズおよび夾雑細胞を、磁場により除去し
た。残存細胞を、同じ数のビーズで再懸濁し、そして4℃で1時間の第2のイン
キュベーション期間を行った。夾雑細胞の除去後、CD4+T細胞を、FACScan(Bect
on Dickinson,Mountain View,CA)により分析し、そして90〜95%を超えてポ
ジティブであることを明らかにした。いくつかの実験において、CD4+Tを、製造
者の説明書(Dynal,Norway)に従って、CD4mAbで直接コートした磁気ビーズを用
いたポジティブ選択により精製した。この手順を用いて、細胞は、95%を超えて
純粋であった。培養条件
これらのアッセイにおいて、細胞を、10%FCSおよび1%ヒト血清を補充したY
ssel培地中で培養した。
架橋抗CD3mAb活性化のために、0.1M Tris緩衝液(pH9.5)で希釈した100μg/
ml(アネルギー性細胞のクローニングのために)または500ng/ml(アネルギー誘
導のために)の抗CD3mAb(SPV-T3)を、平底96ウェルプレート中で4℃で一週間イ
ンキュベートした。次いで、プレートをRPMIで3回洗浄した。アネルギーの誘導およびクローニング
アネルギーを誘導するために、CD4+T細胞を、24ウェルウェルプレート(Linbr
o,ICN Biochemical,Ohlo)中で2.5×105細胞/mlで培養し、そしてIL-10(100U/m
l)の存在下で架橋抗CD3mAbで活性化した。10日後、細胞を回収し、フィコール-
ハイパーク勾配上に重層して死細胞を除去し、2回洗浄し、そして0.3細胞/ウェ
ルでクローニングした。端点(end point)希釈クローニングを、アネルギー性細
胞を、100μg/mlの抗CD3mAbで予めコートしたプレート上のフィーダー(5×105
個PBMC+5×104個EBV形質転換B細胞(JY))+2U/ml IL-2において希釈するこ
とにより行った。10日後、2U/ml IL-2を含む新鮮な培地を各ウェルに添加した
。3週間毎に、全てのウェルを、フィーダー(106個PBMC+105個EBV-LCL)+PHA
(10μg/ml)+IL-2(2U/ml)で再活性化した。5〜8週後、増殖した細胞を48
ウェルプレート、次いで24ウェルプレートに移した。Tr1 細胞の維持
T細胞クローンを、フィーダー(106個PBMC+105個EBV-LCL)+PHA(10μg/ml
)+IL-2(2U/ml)で3週間毎に刺激した。3日毎に細胞をチェックし、必要で
あれば分割し、そして2U/ml IL-2を含む新鮮な培地を添加した。
従って、本発明は、例えば、クローン形態または高レベルでTr1細胞を含む(T
r1型細胞の、少なくとも約40%、一般的に少なくとも約50%、代表的に少なくと
も約60%、より代表的に少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より
好ましくは少なくとも約90%、および特に好ましい実施態様において、少なくと
も約95%以上の純度を含む)集団において、均一に精製されたTr1細胞を提供す
る。
実施例10.ヒトおよびマウスの両方における新規の調節CD4+T細胞のインビトロ 分化
末梢寛容の誘導および維持は、免疫系の均衡を維持するための重要な機構であ
る。T細胞寛容およびT細胞アネルギーに加えて、T細胞またはT細胞因子によ
り媒介される活性的抑制は、末梢寛容の機構として提案されている。Germainお
よびBenacerraf(1981)Scad .J.Immunol. 13:1。しかし、今まで、免疫応答の抗
現特異的阻害に関与する調節T細胞を単離およびクローニングし得なかったこと
は、活性的抑制の基礎をなす機構の解明を妨げてきた。IL-10は、同種幹細胞移
植後のSCID患者における寛容の誘導および維持に関連してきた。Bacchettaら(19
94)J .Exp.Med. 179:493-502.さらに、IL-10の存在下でのヒトCD4+T細胞
の刺激は、抗原特異的T細胞非応答性をもたらす。Grouxら(1996)J .Exp.Med.
184:1-11。ここで、IL-10の存在下でのヒトおよびマウス両方のCD4+T細胞活性
化は、低増殖能力を有し、高レベルのIL-10、低IL-2を生成し、そしてIL-4を生
成しないCD4+T細胞を生じることが示される。これらの抗原特異的T細胞クロー
ンは、同じ抗原に応答する未処理のCD4+T細胞の増殖を抑制した。この阻害効果
は、IL-10およびTGF-βの両方により媒介される。従って、IL-10は、免疫応答を
抑制し、そして恐らく寛容を誘導し維持するために必要とされる、新規のCD4+T
細胞サブセット(T調節細胞(Tr1)と呼ばれる)の生成を駆動する。
免疫系の主な特性のうちの1つは、自己と非自己の区別である。Rochaおよびv
on Boehmer(1991)Science 251:1225-8;Nossal(1987)Int .Rev.Immunol. 2:321
。免疫学的寛容は、自己/非自己区別を有する免疫系を提供し、そして自己抗原
に対する病原反応性を妨げるのに重要である。免疫系は、外来物質の注入および
摂取を通した非病原性抗原による反復刺激に直面する。慢性細胞活性化および炎
症を避けるために、免疫系は、このような刺激に対する非応答性を発達しなけれ
ばならない。従って、末梢区画中の反応性T細胞を不適切に調節する機構が存在
しなければならない。T細胞アネルギー(Jenkinsら(1990)J .Immunol. 144:16-
22;およびSchwartz(1990)Science 248:1349-56)、T細胞欠失(Rochaおよびvo
n Boehmer(1991)Science 251:1225-8)、ならびに活性的免疫抑制(Germainおよ
びBenacerraf(1981)Scad .J.Immunol. 13:1)を含む、末梢免疫寛容のいくつか
の機構が記載されている。
寛容誘導のこれらの機構を理解することは、自己免疫疾患の処置のために、お
よび移植(ここで、移植片は自己として最終的に認識され、そして寛容されなけ
ればならない)において臨床的に関連する。ヒトにおいて、SCID患者は、インビ
ボ寛容がHLA不適合幹細胞移植後に確立される少ない例のうちの1つである。Bac
chettaら(1993)J .Clin.Invest. 91:1067-78。この寛容は、宿主同種抗原を特
異的に認識するT細胞の機能的不活化を担う欠失しない機構によるものであるこ
とが以前に知られた。Roncaroloら(1988)J .Exp.Med. 167:1523-34。これらの
宿主反応性CD4+T細胞は、一般的に、低増殖能力を有し、そして抗原刺激後に非
常に低レベルのIL-2を生成する。対照的に、それらは高レベルのIL-10を分泌し
、
そして高レベルのIL-10mRNAもまた、正常コントロールと比較してこれらの患者
のPBMCにおいて観察された。さらに、移植前の高レベルのIL-10分泌は、移植後
の成功したかつ平穏な臨床経過と相関することが示された。Hollerら(1994)Annu
al meeting of the EBMT,Davos,Switzerland。さらに、IL-10は、ヒトCD4+T
細胞において長期継続の抗原特異的アネルギー状態を誘導することが示された。
これらの観察は、IL-10が寛容誘導において役割を果たし得るという仮説を支持
する。
IL-10誘導性アネルギー性T細胞は、抗原性刺激または架橋抗CD3mAbに応答し
て増殖せず、そしてサイトカインを生成しない。Grouxら(1996)J .Exp.Med. 18
4:1-11。
例えば、IL-10誘導性T細胞アネルギーを、ヒトCD4+T細胞において得た。簡
単には、CD4+T細胞を、24ウェルプレート中で106細胞/mlで培養し、そしてIL-1
0(100U/ml)の存在下で架橋抗CD3mAb(SPV-T3;100ng/ml)または放射線照射精製
同種単球(106細胞/ml)のいずれかで活性化した。10日後、細胞を回収し、フィ
コール勾配上に重層し、そして1200rpmで30分間遠心分離して、死細胞を除去し
た。生存細胞を界面から回収し、2回洗浄し、そしてクローニングした。クロー
ニングを、FACS選別により行った。細胞を抗CD4-FITC mAb(Becton,Dickinson)
で標識し、そして生存細胞を、100μl中の抗CD3(SPV-T3-100μg/ml)でコート
したウェルに1細胞/ウェルで選別した。選別後、100μl中の放射線照射フィー
ダー細胞(EBV-LCL 105細胞/mlおよびPBMC 106個/ml)および10U/mlの組換えIL-
2の混合物を添加した。クローンを、IL-2(10U/ml)および高用量の架橋抗CD3mAb(
100μg/ml)での反復再刺激により拡大した。
ここで、非常に高用量の架橋抗CD3mAb(700μg/ml)は、IL-10によりアネルギ
ーにされたCD4+T細胞の増殖応答の部分的回復をもたらしたことが示される。し
かし、これらの応答は、それらの非アネルギー対応物で得られたものよりなお3
〜5倍低かった(表9)。高用量の抗原を用いたアネルギーの逆転はまた、アネ
ルギー化マウスCD4+Th1細胞について記載されている。Schwartz(1990)Science 2
48:1349-56。興味深いことに、高用量の架橋抗CD3mAbでの再刺激後のアネルギー
ヒトT細胞のサイトカイン生成プロフィールは、Th0、Th1、またはTh2表現
型と合わなかった(表9)。MosmannおよびCoffman(1989)Ann.Rev.Immunol. 7:1
45-73。これらの細胞の最も著しい特徴は、それらの異常に高レベルのIL-10生成
であった。さらに、それらは、IL-4を本質的に分泌せず、そして非常に低レベル
のIL-2を生成したが、IL-5、IFN-γ、TGF-β、およびTNF-α生成のそれらのレベ
ルは、ヒトTh0クローンのものに匹敵した(表9)。
表9は、ヒトTr1細胞によるサイトカイン生成を示す。CD4+T細胞を、IL-10(1
00U/ml)の存在下(アネルギー性細胞)または非存在下(コントロール細胞)で
、架橋抗CD3mAb(100ng/ml)で刺激した。培養の10日後、IL-10と共に培養した細
胞は、架橋抗CD3mAb(100ng/ml)で刺激した場合にアネルギーであった。しかし、
高濃度の架橋抗CD3mAb(700μg/ml)を用いたこれらのIL-10アネルギー化CD4+T
細胞の活性化は、部分的に細胞増殖を回復した(24,549cpm)。しかし、IL-10の
非存在下で10日間培養したコントロール細胞の増殖応答は、常により高かった(
75,236cpm)。サイトカイン生成レベルを、架橋抗CD3mAb(700μg/ml)で48時間
活性化されたこれらの2つの細胞集団の培養上清において、ELISAにより測定し
た。結果は、1つの代表的な実験からのデータを示し、そしてpg/mlで表す。
これらの2集団からの細胞をクローニングし、そして拡大後、異なるクローン
を、架橋抗CD3(10μg/ml)および抗CD28(1μg/ml)mAbにより刺激した。サイト
カイン生成を、48時間の培養後に回収された培養上清においてELISAにより分析
した。結果は、個々のT細胞クローンから得られたデータの平均値を示す。
抗原特異的T細胞クローンを作製するために、ドナーJDV由来のCD4+T細胞を
、IL-10(100U/ml)の存在下または非存在下で放射線照射精製同系単球で刺激した
。10日後、CD4+T細胞をクローニングした。異なるT細胞クローンを拡大し、そ
して同じ同種単球に対するそれらの特異性について選択した。サイトカイン生成
を測定するために、T細胞を、架橋抗CD3(10μg/ml)および抗CD28(1μg/ml)m
Abにより活性化し、そして上清を培養の48時間後またはTGF-βについては72時間
後に回収した。表9に示す結果は、種々の独立した実験からプールされたデータ
を示す。 IL-10の存在下で架橋抗CD3mAb(10μg/・l)により最初に刺激されたヒトCD4+
T細胞集団から単離されたT細胞クローンの分析は、分析されたCD4+T細胞クロ
ーンの半分がまた、高レベルのIL-10、非常に低レベルのIL-2、およびIL-4分泌
なしにより特徴づけられる類似したサイトカインプロフィールを示すことを明ら
かにした(表9)。
ヒトCD4+T細胞クローンまたは106細胞/mlの集団を、架橋抗CD3mAb(10μg/ml
)および抗CD28(1μg/ml)により48時間刺激した。IL-2、IL-4、IL-5、IL-10
、TNF-α、およびIFN-γの生成を、免疫酵素アッセイにより測定した。Murphyら
(1996)J .Exp.Med. 183:901-13を参照のこと。マウスCD4+T細胞クローンによ
るIL-2、IL-4、IL-10、およびIFN-γのサイトカイン生成を、OVAペプチド(1μ
M)で刺激さた細胞(106細胞/ウェル)および放射線照射された総脾臓APCの培
養48時間後に回収された上清においてELISAにより測定した。TGF-β測定のため
に、細胞を血清を含まないYssel培地中で培養し、そしてTGF-β量を、製造者の
説明
書に従って酸活性化後に市販のELISAキット(R&D System)を用いて測定した。
対照的に、Th1、Th2、およびTh0クローンのみを、IL-10の非存在下で培養され
たコントロールT細胞集団から単離した(表9)。従って、IL-10の存在下での
ヒトCD4+T細胞の活性化は、独特のサイトカインプロフィールおよび低増殖能力
を有する新規のT細胞サブセットの生成をもたらす。それらの機能に基づいて、
これらの細胞は、初期の出願ではTh3細胞と呼ばれ、そして本明細書中でTr1細胞
と呼ばれる。
同種抗原特異的Tr1 CD4+クローン(JDV24)および非同種抗原特異的Tr1クローン
(JDV15およびJDV308)の両方は、IL-10の存在下で同種単球で最初に刺激された
CD4+T細胞集団から単離された(表9)。対照的に、Tr1クローンは単離されな
かったが、Th0(JDV305)およびTh1クローンは、IL-10の非存在下で同種単球によ
り最初に刺激されたCD4+T細胞のコントロール集団から単離した。これは、IL-1
0が、Tr1表現型へCD4+T細胞の分化を駆動することをさらに証明する。
Tr1細胞はまた、マウスから単離され得る。IL-10の存在下またはIL-10およびI
L-4の組み合せの存在下で反復的に刺激された、OVA特異的TCRトランスジェニッ
クマウスから単離されたOVA特異的CD4+T細胞(Murphyら(1990)Science 250:192
0-1722)は、Tr1細胞のサイトカインプロフィールを示した。Murphyら(1996)J . Exp.Med.
183:901-13を参照のこと。
細胞内サイトカイン合成のフローサイトメトリー分析。フローサイトメトリー
による細胞内サイトカインの分析を行った。Kuhnら(1993)Cell 75:263-274。細
胞(106細胞/ml)を、架橋抗CD3および抗CD28mAb(Pharmingen)で4時間活性化し
た。採集の2時間前にブレフェルジンAを10μg/mlで添加した。細胞を採集し
、洗浄し、そしてホルムアルデヒド(2%)で固定した。細胞内染色のために、
細胞を以下のmAbとインキュベートした:抗IL-4-FITCまたはPE(11B11;5μg/m
l)、抗IFN-γ-PE(XMG1.2-PE;5μg/ml)、抗IL-5-PE(TRFK5;2.5μg/ml)、
抗IL-10-FITC(JES-16E3;5μg/ml)、抗IL-2-PE(JES6-5H4;2.5μg/ml)、また
は抗クローン型KJI-26-FITC(5μg/ml)。サンプルを、FACScanTM(Becton Dicki
nson)で分析した。
これらの細胞は、高レベルのIL-10およびIL-5分泌ならびに低レベルのIL-2お
よびIL-4分泌により特徴づけられる(図19)。対照的に、IL-4単独の存在下で刺
激された、OVA特異的TCRトランスジェニックマウスから単離されたコントロール
CD4+T細胞は、IL-4、IL-5、およびIL-10を分泌する、代表的なTh2型プロフィー
ルを示した(図19)。さらに、Tr1サイトカインプロフィールを有するいくつか
のOVA特異的CD4+Tクローンは、IL-10の存在下で反復的に刺激されたT細胞集団
から単離された。
表10は、D011-10 TCRトランスジェニックマウスのIL-10アネルギー化T細胞に
由来するマウスOVA特異的CD4+T細胞クローンによるサイトカイン生成を示す。D
011-10トランスジェニックマウス由来の未処理の(MEL14明)CD4+T細胞を、IL-
10(100U/ml)の存在下または非存在下でOVAペプチド(0.6μM)で刺激した。同
じ条件下での反復刺激後、これらの2集団由来のCD4+T細胞を、PBS中の50μg/
mlの抗CD3mAbでコートされ、そして放射線照射総脾臓細胞(107細胞/ml)および
20U/ml IL-2を含むウェルにおいて、0.3細胞/ウェルで限界希釈によりクローニ
ングした。クローンを、IL-2(20U/ml)およびIL-4(20U/ml)により、ならびにIL-2
およびIL-4の存在下でのOVAペプチド(2μM)および放射線照射脾臓APC(107
細胞/ml)を用いた反復刺激により拡大した。しかし、Tr1クローンは、IL-4の存
在下で刺激されたT細胞培養物から得られなかった。拡大後、T細胞クローンを
、OVAペプチド(1μM)および放射線照射総脾臓APCにより刺激した。サイトカ
インを、培養48時間後に回収された培養上清においてELISAにより分析した。TGF
-β測定のために、細胞を、血清を含まないYssel培地中で72時間培養し、そして
不活性TGF-βの量を、製造者の説明書に従って酸活性化後にELISA(R&D Systems)
により測定した。結果は、代表的な実験からのプールされたデータを示す。 架橋抗CD3および抗CD28mAbまたは同種単球(JDV 24のために)のいずれかで刺
激されたヒトTr1細胞は、コントロールとして使用した代表的なTh0クローン(JD
V 305)と比較して低減した増殖応答を示した(図20Aおよび20B)。増殖アッセ
イを、ヒト細胞については10%FCSおよび1%ヒト血清を補充した、またはマウ
ス細胞についてはヒト血清を含まない、Yssel培地(Ysselら(1984)J .Immunol. Meth.
72:219-27)中で行った。同種抗原特異的刺激を、200μl丸底96ウェルプ
レート(Linbro)において、ヒトCD4+T細胞クローン(105細胞/ウェル)を精製放射
線照射(4,000ラド)単球(105細胞/ウェル)で刺激することにより行った。CD4+T
細胞増殖を、37℃5%CO2での5日間インキュベーションおよびその後の3[H]-Td
Rでの12時間パルス後に測定し、この後細胞を記載のように採集した。ヒトCD4+
T細胞の架橋抗CD3および抗CD28での活性化を、Grouxら(1996)J .Exp.Med. 184
:1-11により以前に記載されたように行った。簡単には、抗体を0.1M Tris緩衝液
(pH9.5)で示された濃度で希釈し、そしてプレートを、平底96ウェルプレートに
おいて4℃で一週間インキュベートした。プレートを洗浄した後、CD4+T細胞を
5×104細胞/ウェルの濃度で添加し、そして増殖を、3日間のインキュベーショ
ン、続いて3[H]-TdRでの12時間パルス後に測定した。T細胞クローンのマウス
CD4+T細胞集団を、OVAペプチド(0.6μM)および放射線照射(4,000ラド)総脾臓
細胞(5×105細胞/ウェル)を用いて5×104細胞/ウェルの濃度で3日間刺激し
、続いて3[H]-TdRで12時間パルスした。
増殖応答における同様の損傷を、OVAペプチドおよび脾臓APCでの同様の刺激後
に、OVA特異的マウスTr1クローン、およびIL-10単独の存在下またはIL-4と組み
合わせたIL-10の存在下で反復的に刺激したOVA特異的T細胞集団で観察した。対
照的に、Th1クローン(A-7)の増殖またはIL-4の存在下で作製されたOVA特異的T
h2細胞集団の増殖は、通常の範囲内であった(図20Aおよび20B)。
速度論研究は、IL-10タンパク質が活性化の8時間後に上清中に既に検出可能
であったので、IL-10がヒトTr1クローンの活性化後に急速に生成されることを示
した。対照的に、同じクローニング実験から得られたTh0、Th1、およびTh2クロ
ーンによるIL-10生成は、非常に遅く生じ、そして活性化の20時間後に始めて検
出可能であった。Tr1クローンによる急速なIL-10生成は、一般的にIL-2生成と同
時に生じるか、またはそれに先行さえする。初期の内因性IL-10生成は、部分的
に、TCR/CD3刺激に応答したTr1クローンの低い増殖能力の原因である(図20Aお
よび20B)。なぜなら、Tr1クローンの増殖が中和抗IL-10mAbの添加により部分的
に回復されたからであり、これはIL-10がT細胞増殖を妨げるか、または阻害す
ることを示す観察と一致する。de Waal Malefytら(1991)J .Exp.Med. 174:915-
24。対照的に、抗IL-10mAbは、Th1、Th2、またはTh0コントロールクローンの増
殖応答に対して効果を有さなかった(図20Aおよび20B)。
Tr1クローンの増殖はまた、中和抗TGF-βmAbにより部分的に回復されたが(図
20Aおよび20B)、再度、Th1クローンの増殖は影響しないままであった(図20Aお
よび20B)。興味深いことに、抗IL-10と抗TGF-βとの組み合せの効果は、ヒトTr
1クローンの増殖応答を特異的に回復することにおいて付加的な効果を有した(
図20Aおよび20B)。同様のデータは、マウスTr1細胞で得られ(図20Aおよび20B
)、これは、内因的に生成されたIL-10およびTGF-βがTr1細胞の増殖応答の制御
において重要な役割を果たすという一般原理を確認する。
Tr1細胞が、高レベルの免疫抑制サイトカインIL-10およびTGF-β、ならびに低
レベルのT細胞増殖促進サイトカインIL-2およびIL-4を分泌する知見は、Tr1細
胞の抗原特異的活性化が傍観者(bystander)T細胞の抗現特異的増殖の阻害をも
たらし得ることを示唆した。この問題を取り組むために、トランスウェルシステ
ムを用いた同時培養実験を行った。異なるJDVクローンに対してオートロガスな(
autologous)休止ヒトCD4+T細胞を、下部区画においてドナーNの放射線照射同
種単球で刺激したが、同種抗原特異的JDV24および非抗原特異的JDV308Tr1クロー
ンを、ドナーN由来の単球でトランスウェルバスケットにおいて刺激した。図21
Aにおいて、Tr1クローンJDV24の同種抗原特異的刺激は、未処理のヒトCD4+T細
胞の増殖応答を大きく低減したが、非抗原特異的Tr1クローンJDV308は効果がな
いことを示す。未処理のCD4+T細胞増殖のわずかな増強は、抗原特異的Th0クロ
ーン(JDV 305)との同時培養後に認められた(図21A)。中和抗IL-10および抗T
GF-βの添加は、部分的に、Tr1細胞の存在下で未処理のCD4+T細胞の増殖応答を
回復したが、2つの抗体の添加は付加的な効果を有し、そしてCD4+T細胞の増殖
応答を80%まで回復した。
同様のデータが、マウスTr1クローンで得られた。図21Bにおいて、OVAペプチ
ドおよび脾臓APCに応答した未処理のCD4+T細胞の増殖は、OVAペプチド活性化Tr
1クローンまたはIL-10の存在下で作製された活性化Tr1細胞集団との同時培養後
に劇的に低減することが示される。対照的に、コントロールOVA特異的Th1クロー
ンおよびIL-4の存在下で作製されたTh2細胞集団は、抑制効果を有さなかったが
、むしろCD4+T細胞の増殖を増強した。
さらに、中和抗IL-10または抗TGF-β抗体の添加は、部分的に、マウスT細胞
のOVA特異的増殖応答を回復したが、2つの抗体の組み合せは、付加的な効果を
有し、そしてコントロールレベルの70%まで増殖を回復した(図21B)。これら
のデータは、ヒトおよびマウス両方のTr1細胞の抑制活性が、IL-10およびTGF-β
により優先的に媒介されることを証明する。
本発明の発見は、IL-10の存在下でのCD4+T細胞の刺激が、IL-10およびTGF-β
の分泌を介した抗原特異的免疫応答をダウンレギュレートし得るCD4+T細胞の新
規のサブセットを作製することを示す。サイトカインプロフィールは、6ヶ月を
超えて培養中で保持されたTr1クローンが活性化後に同じサイトカインプロフィ
ールを生成したので、安定であると思われる。
T調節細胞は、経口寛容のいくつかのモデルにおいて記載されている。Chenら
(1994)Science 265:1237-1240;Millerら(1992)Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 89:
421-5。CD8+調節T細胞を、経口抗原としてミエリン塩基性タンパク質を用いた
刺激後にLewisラットにおいて単離した(Miller)。これらの調節T細胞は、TGF
-βを分泌することにより活性的抑制を媒介した。さらに、抗原特異的調節CD4+
T細胞クローンを、ミエリン塩基性タンパク質を動物に与えた後の経口寛容誘導
後にSJLマウスから単離した。経口寛容誘導後に作製されたこれらのCD4+T細胞
クローンの移動は、実験的アレルギー性脳脊髄炎を抑制した。この抑制は、抗TG
F-βにより軽減された。これは、これらのクローンがTGF-βを介したそれらの抑
制を媒介したことも示唆する。確かに、本明細書中で記載されるTr1細胞とは対
照的に、これらのT細胞クローンは、非常に高レベルの活性TGF-β(1000pg/ml
まで)を生成したが、低レベルのIL-10およびIL-4が検出された。さらに、MBPト
ランスジェニックマウスから単離されたT細胞クローンは、TGF-βを排他的に生
成し、IL-10、IL-4、IL-2、およびTNF-αを生成しなかった。Weinerら(1996)FAS
EB Meeting,New Orleans,Louisiana.A2558。従って、Th3細胞と呼ばれるこれ
らのマウスT細胞は、それらのサプレッサー活性を媒介する主なサイトカインと
してTGF-βを分泌する。Th3細胞とは対照的に、本明細書中に記載されるTr1細胞
は、低レベルの活性TGF-βを生成する。微量の活性TGF-β(40pg/ml未満)しか
、活性化Tr1細胞クローンの上清中で検出されず、そして潜在的TGF-βのレベル
は、コントロールT細胞のものに匹敵した(表9および10)。さらに、これらの
Tr1細胞は、それらのサプレッサー活性に寄与する高レベルのIL-10を生成する。
従って、Tr1細胞は、恐らく、今なお定義されるべき機構を通して、IL-10の分泌
およびTGF-β活性化の促進の両方により作用し得るらしい。全体として、これら
のデータは、Th3およびTr1細胞がCD4+調節T細胞の2つの異なる集団であること
を示唆する。前者は、抗原に対する経口暴露後に特異的に作製され、そしてTGF-
β分泌を通して作用し、後者は、リンパ器官における抗原特異的刺激の結果であ
り得、そしてIL-10生成に依存する。SCID患者(ここで、インビボでの高レベル
のIL-10が同種幹細胞移植後の寛容に関連する)の末梢血からの類似したTr1細胞
の単離は、この仮説を支持し、そしてTr1細胞が、IL-10の存在下での同種抗原に
対
する未処理のT細胞の暴露によりインビボで作製され得ることを示唆する。さら
に、Tr1細胞のインビボ免疫抑制活性に基づいて、これらの宿主反応性Tr1細胞が
インビボでの類似した特性を有し、従って、移植寛容を担うことを推測すること
は魅力的である。
IL-10欠損マウスは炎症性腸疾患を発達させ、これは若いマウスにおいてIL-10
の投与により妨げられる。Kuhnら(1993)Cell 75:263-274。さらに、IL-10投与は
、CD45RBhi CD4+T細胞をSCIDマウスに移すことにより誘導される大腸炎の発達
を有意に阻害する。Powrieら(1994)Immunity 1:553-562。SCIDマウスににおいて
CD45RBhi CD4+T細胞により誘導される大腸炎はまた、CD45RBlo CD4+T細胞の同
時移動により妨げられ得た。Powrieら(1993)Int.Immunol. 5:1461-1471;Powrie
ら(1994)J .Exp.Med. 179:589-600。しかし、防御効果は、抗TGF-βmAbにより
完全に除去された。Powrieら(1996)J .Exp.Med. 183:2669-74。これらの結果は
、大腸炎を妨げるこれらの調節細胞と本明細書中に記載されるTr1細胞との間に
明らかな類似性があることを証明する。これまでに記載された全ての調節細胞が
、抗原でのインビボプライミング後に単離されていることを指摘するべきである
。インビトロでの抗原暴露後にTr1細胞を作製する可能性は、さらなる機能分析
および潜在的な臨床適用のためにこれらの細胞を得るための主な利点であり得る
。
ひとまとめにして、これらのデータは、マウスおよびヒトの両方において、IL
-10が、抗原特異的T細胞応答をダウンレギュレートし、従って寛容の一般的な
誘導および維持に潜在的に重要であるTr1細胞の作製を誘導することを証明する
。
出願人は、pH5C、pH15C、およびpBCRF1(SRα)を有するE.coli MC1061の別々の
培養物を、American Type Culture Collection,Rockville,MD,USA(ATCC)に19
89年12月20に、それぞれ、受託番号68191,68192、および68193で寄託した。こ
れらの寄託物は、寄託物が、米国特許法122条および米国特許法施行規則1.14条
に準じて米国特許商標庁長官に入手可能にし、そして寄託物が維持されることを
必要とする、米国特許の発行物において公衆に対して利用可能にすることを保証
する、特許目的の培養物寄託のためのATCC協定下で提供されるような条件下で作
製された。寄託株の利用可能性は、その特許法に従った任意の政府の権限の下で
許可される権利に違反して、本発明を実施するためのライセンスとして解釈され
るべきではない。
本発明の前述の実施態様の記載は、例示および説明の目的のために示された。
それらは、開示された正確な形態に対して網羅的であるか、または本発明を制限
することを意図されず、そして明らかに多くの改変および変化が上記の教示を考
慮して可能である。実施態様は、本発明の原理を最も良く説明し、それにより、
意図される特定の使用に適切なように、当業者が種々の実施態様においておよび
種々の改変を伴って本発明を利用することを可能にするために、選択および記載
される。本発明の範囲は、本明細書中に添付される請求の範囲により定義される
ことが意図される。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C12N 5/06 A61K 37/02
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,
EE,GE,HU,IL,IS,JP,KG,KR,K
Z,LC,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MK
,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,
SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UZ,V
N,YU
(72)発明者 デ ワル マレフィト,リーン
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94040,
サニーベイル,メンダー アベニュー
891
(72)発明者 バチェッタ,ロサ
イタリア国 イ―20090 ミラノ デュ―
セグレート,レス.トレフィリ,851
(72)発明者 グロクス,ハーブ エム.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94306,
パロ アルト,マグノリア ドライブ
3898
(72)発明者 デ ブリーズ,ジャン イー.
オーストリア国 アー―1235 ビエナ,ブ
ルネール ストラーセ 59,ノバルティス
リサーチ インスティテュート内