JP5716916B2 - フッ素含有廃棄物の処理方法およびフッ素含有廃棄物の処理装置 - Google Patents
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Description
フッ素系有機化合物のうち、特に、パーフルオロカルボン酸類(PFCA類)やペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等のパーフルオロアルキルスルホン酸類は、撥水撥油剤や界面活性剤として、半導体、金属メッキの表面処理剤や消火剤など多くの産業で使用されている。しかし、化学的な安定性ゆえに自然環境中で分解されにくく、自然界や社会など環境中に広く存在し、生物への蓄積性も明らかになり、新たな環境汚染物質として注目されるようになった。
PFOS分解率:99.999%以上
分解処理に伴い生じる排水中のPFOS又はその塩の残存濃度:2μg/L以下
分解処理に伴い生じる残渣中のPFOS又はその塩の残存濃度:3mg/kg以下
分解処理に伴い生じる排ガス中のフッ化水素濃度:5mg/m3N以下
分解処理に伴い生じる排水中のフッ化水素濃度:8mg/L以下(海域以外)
15mg/L以下(海域)
また、他のフッ素系有機化合物である、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)等のフロンガスは、冷媒や発泡剤として用いられていたが、オゾン層破壊や温室効果ガスなど地球環境を汚染する物質であることが明らかになり、フロンガスの回収、分解処理が求められている。発泡ウレタン材などの断熱材には、発泡剤として用いられたフロンガスが含まれており、発泡ウレタン廃棄物の処理時にはフロンガスを確実に分解処理することが規制されている。
本発明に係るフッ素含有廃棄物の処理方法は、フッ素含有廃棄物を、竪型ガス化溶融炉により無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収する。
本発明に係るフッ素含有廃棄物の処理装置は、フッ素含有廃棄物を無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収する。
CH4+H2O→CO+3H2 (1)
CO+ H2O→H2+CO2 (2)
ガス化溶融炉50のガス改質部53で生成される改質ガスには、水素、一酸化炭素、炭化水素の可燃ガス、硫化水素(H2S)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)の重金属、廃棄物の灰成分に由来するカルシウム(Ca)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、シリカ(SiO2)等が含まれている。
ガス精製工程は、上記改質ガスを酸洗浄水により洗浄する酸洗浄工程と、該酸洗浄工程からの改質ガスをアルカリ洗浄水により洗浄するアルカリ洗浄工程と、該アルカリ洗浄工程からの改質ガスに脱硫液による脱硫処理を施す脱硫工程と、水分を除去する除湿工程とを有している。
酸洗浄工程は、上記改質ガスに酸洗浄水を噴霧するなどして接触させ、該改質ガスを洗浄する酸洗浄を行い、改質ガス中の鉄及び亜鉛、鉛などの重金属類、そしてカルシウム、カリウム、マグネシウム、シリカを酸洗浄水に溶解あるいは捕捉させて、該改質ガス中から除去し、洗浄後の酸洗浄水にこの除去成分を溶解含有せしめる。改質ガスの洗浄に先立ち該酸洗浄水は塩酸が添加されることにより、そのpHは7未満とされ、さらに好ましくは5未満とされる。このように、酸洗浄水のpHを7未満さらに好ましくは5未満とすることによって、改質ガス中の亜鉛などの重金属を効果的に酸洗浄水中に溶解することが可能となる。酸洗浄水のpHの下限は特に限定されるものではないが、酸洗浄工程のための酸洗浄装置(図示せず)の腐食抑制の面からpHを2以上とすることが好ましい。
アルカリ洗浄工程は、上記酸洗浄工程で洗浄された改質ガスにアルカリ洗浄水を噴霧するなどして接触させ、該改質ガスを洗浄するアルカリ洗浄を行い、該改質ガス中の塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)をアルカリ洗浄水に溶解させて該改質ガスから除去し、洗浄後のアルカリ洗浄水にこの除去成分を塩素イオン、フッ素イオンの形態で溶解含有せしめる。
脱硫工程は、アルカリ洗浄工程で洗浄された改質ガスに鉄キレート剤(鉄キレート錯体)を含む脱硫液を接触させ、該改質ガスから硫化水素(H2S)を除去する。脱硫液として鉄キレート剤を使用する脱硫方法は公知であるので、ここでは説明を省略する。本実施形態では、鉄キレート剤を用いて脱硫することとしたが、脱硫方法はこれに限られず、例えば、ナフトキノンスルホン酸ナトリウムを用いる脱硫、ピクリン酸を用いる脱硫などの方法を適用することができる。
上記脱硫工程で硫化水素が除去された改質ガスは、除湿工程にて水分を除去され、精製ガスとして送り出される。
次に、ガス精製工程にて使用された酸洗浄水およびアルカリ洗浄水から溶解捕捉した成分を除去するための洗浄水処理工程について説明する。ガス精製工程で改質ガスの洗浄に使用された酸洗浄水およびアルカリ洗浄水には、該改質ガスから除去した成分が蓄積されており、洗浄水処理工程では、上記酸洗浄水およびアルカリ洗浄水から、該改質ガスから除去した成分を除去する。
酸洗浄水の固液分離工程では、酸洗浄工程から抜き出した酸洗浄水を固液分離し、上澄み水を酸洗浄工程の酸洗浄水として循環使用し、残部の酸洗浄水を混合工程へ供給する。固液分離装置の形態は特に制限を受けるものではなく、比重沈降分離装置、遠心分離装置、ろ過装置、精密ろ過膜装置、限外ろ過膜装置などを用いた膜分離装置などを用いることができる。また、後述の工程で用いる固液分離装置についても同様である。また、図1に示すように酸洗浄装置81から抜き出した酸洗浄水を、冷却洗浄装置71から抜き出した冷却洗浄水から固形物を分離する沈殿槽72に供給し固液分離してもよい。
混合工程では、上記固液分離工程で固液分離処理された酸洗浄水と、アルカリ洗浄工程から一部抜き出したアルカリ洗浄水とを混合して混合洗浄水とする。既述したように、上記アルカリ洗浄水には塩化ナトリウム、フッ素イオンが蓄積されている。上記混合洗浄水は、副生塩である塩化ナトリウムを主成分とし、鉄、亜鉛、鉛などの重金属、カルシウム、マグネシウム、フッ素イオンなどを含んでいる。また、上記混合工程において、酸洗浄水に含まれるシリカ(SiO2)とアルカリ洗浄水に含まれるフッ素とが混合されて、フッケイ酸(SiF6 2−)が生成される。
第一フッ素除去装置91は、第一フッ素除去工程のための反応槽(図示せず)および固液分離装置(図示せず)を有している。第一フッ素除去工程では、上記反応槽にて、混合洗浄水にカリウム化合物(例えば水酸化カリウム(KOH))が添加されて、フッケイ酸イオンとの反応によりケイフッ化カリウム(K2(SiF6))が生成され析出される。そして、上記固液分離装置にて上記ケイフッ化カリウムが固形分として分離除去される。第一フッ素除去工程では、混合洗浄水のpHを2〜6に調整することが好ましい。pHをこの範囲とすることによりケイフッ化カリウムの析出量を高めることができるからである。
第二フッ素除去装置92は、第二フッ素除去工程のための反応槽(図示せず)および固液分離装置(図示せず)を有している。上記第一フッ素除去工程の後段に設けられる第二フッ素除去工程では、上記反応槽にて、第一フッ素除去工程でケイフッ化カリウムの析出によりフッ素の大部分が除去された混合洗浄水に塩化カルシウムが添加されて、残存するフッ素イオンとの反応によりフッ化カルシウムが生成され析出される。そして、上記固液分離装置にて上記フッ化カルシウムが固形分として分離除去される。該固形分が分離された混合洗浄水は鉄除去工程へ供給される。
洗浄前の改質ガスには鉄分が含まれており、また、該ガス化溶融炉でのガス化は還元雰囲気で行われるので、酸洗浄工程にて酸洗浄水に溶解される鉄分、換言すれば、鉄除去工程に供給される混合洗浄水に含まれる鉄分は、主として2価の第一鉄イオン(Fe2+)になっている。
亜鉛・鉛除去工程では、該亜鉛・鉛除去工程のための反応槽(図示せず)にて、混合洗浄水に水酸化ナトリウムが添加されて該混合洗浄水のpHが7.5〜10に調整され、混合洗浄水中の亜鉛イオン、鉛イオンが水酸化物すなわち水酸化亜鉛(Zn(OH)2)および水酸化鉛(Pb(OH)2)として析出される。そして、亜鉛・鉛除去工程のための固液分離装置(図示せず)にてこれらの水酸化物が固形分として分離除去される。該固形分が分離された混合洗浄水はカルシウム・マグネシウム除去工程へ供給される。
カルシウム・マグネシウム除去工程では、該カルシウム・マグネシウム除去工程のための反応槽(図示せず)にて、混合洗浄水に二酸化炭素、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸イオンのいずれかの炭酸源を添加して、さらに水酸化ナトリウムを添加して混合洗浄水のpHをさらに高めることにより、混合洗浄水中に含まれているカルシウムが炭酸カルシウム(CaCO3)として、また、マグネシウムが炭酸マグネシウム(MgCO3)として析出される。そして、カルシウム・マグネシウム除去工程のための固液分離装置(図示せず)にて炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムが固形分として分離除去される。該固形分が除去された混合洗浄水は濃縮工程に供給される。また、既述したように、このカルシウム・マグネシウム除去工程では、第二フッ素除去工程において十分に沈殿除去できず残存するフッ化カルシウムを炭酸カルシウムと共沈させることにより除去することができる。
濃縮工程では、混合洗浄水から水分を低減させて濃縮することにより濃縮水を生成する。該濃縮水は晶析工程に供給される。濃縮方法としては、多重効用缶により混合洗浄水を加熱して水分を蒸発させる方法、逆浸透膜、電気透析などを用いることができる。
晶析工程では、濃縮水を蒸発缶によって蒸発濃縮するか、冷却することにより、該濃縮水中に溶解している塩の濃度を飽和溶解度以上に高くして塩結晶を析出させ、塩化ナトリウムを晶析させて塩スラリーとして取り出す。該塩スラリーは脱水される。既述した鉄、亜鉛、鉛、カルシウム、マグネシウムの除去工程により不純物成分の大部分は除去されているが、晶析工程を行うことにより、残存する不純物を分離して、純度の高い塩化ナトリウムを副生塩として得ることができ、工業塩として有効利用できる。晶析工程の前に炭酸源を添加して、さらに水酸化ナトリウムを添加して混合洗浄水のpHをさらに高めることにより、カルシウムを炭酸カルシウムとして析出させ除去するカルシウム除去工程を再度施すことが好ましい。濃縮水にカルシウムが残存していると、晶析して得る塩結晶中にフッ化カルシウムが析出しやすくなり副生塩の純度が低くなるため好ましくないためである。また、晶析する前の濃縮水中のカルシウム濃度を10mg/L以下に低減しておくことが好ましい。
20 圧縮装置
40 供給装置
50 ガス化溶融炉
52 熱分解部
53 ガス改質部
54 溶融部
80 ガス精製装置
90 洗浄水処理装置
91 第一フッ素除去装置
92 第二フッ素除去装置
Claims (2)
- フッ素含有廃棄物を、竪型ガス化溶融炉により無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収するフッ素含有廃棄物の処理方法において、
フッ素含有廃棄物を他の廃棄物とともに竪型ガス化溶融炉の熱分解部に供給して熱分解・ガス化し、発生したガスを上記竪型ガス化溶融炉のガス改質部でガス改質し、不燃物を上記竪型ガス化溶融炉の溶融部で溶融し排出するガス化溶融工程と、
ガス改質した改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製工程と、
ガス精製工程で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理工程とを備え、
洗浄水にはシリカが含まれており、洗浄水処理工程は、カリウム化合物を洗浄水に添加しケイフッ化カリウムを析出分離してフッ素を除去する第一フッ素除去工程と、第一フッ素除去工程にて処理された洗浄水にカルシウム化合物を添加しフッ化カルシウムを析出分離してフッ素を除去する第二フッ素除去工程とを有することを特徴とするフッ素含有廃棄物の処理方法。 - フッ素含有廃棄物を無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収するフッ素含有廃棄物の処理装置において、
フッ素含有廃棄物と他の廃棄物の供給を受け熱分解・ガス化する熱分解部と、発生したガスをガス改質するガス改質部及び不燃物を溶融し排出する溶融部を有する竪型ガス化溶融炉と、
上記ガス改質部でガス改質された改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製装置と、
ガス精製装置で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理装置とを備え、
洗浄水処理装置は、フッ素とシリカを含む洗浄水にカリウム化合物を添加しケイフッ化カリウムを析出分離してフッ素を除去する第一フッ素除去装置と、第一フッ素除去装置にて処理された洗浄水にカルシウム化合物を添加しフッ化カルシウムを析出分離してフッ素を除去する第二フッ素除去装置とを有することを特徴とするフッ素含有廃棄物の処理装置。
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