〔実施例1〕
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本発明の蒸気滅菌器1は、本体部2の上面に開口3した円筒形状の縦型チャンバー4と、開口3の周縁部に密着する環状パッキン6を備えて開口3を開閉する蓋5を備え、更に、本体部2の上面に開口3を挟む位置に支持部7と抑え部8が配置され、自由端である一端部9Aが抑え部8に対して上下動可能になるよう支持端である他端部9Bが支持部7に横方向回動可能に支持されたアーム9と、上端部にハンドル10を備え下端部に蓋5を回転可能に支持し中間部に雄螺子として形成した螺子部11がアーム9を上下に貫通するよう雌螺子として形成した螺子部12に螺合するハンドル軸13を有している。支持部7は、本体部2の上面を形成する上面板2Pの下側からボルトネジ44によって上面板2Pに固定されており、抑え部8も同様の取り付け構造である。
ハンドル10は、A、B、C、Dの四辺からなる矩形環状の操作部と、ハンドル10の中央部をハンドル軸13に取り付けるために、操作部の対向する二辺A、Bに渡るように装飾板を形成する取り付け部10Sがハンドル10に一体的に設けられ、取り付け部10Sの中央基部10S1が螺子などにてハンドル軸13に取り付けられ、ハンドル10とハンドル軸13が一体化された構成である。
アーム9は、その支持端9Bが、支持部7にナット43によって取り付けられて、横方向回動可能、且つアーム9の自由端9Aが上動(上方向移動)可能に支持されており、支持部7を軸としてアーム9を所定の横方向に回動させることができる。このため、蓋5がチャンバー4内の上面開口3の上方に離れた位置へ上昇した状態において、アーム9を所定の横方向に回動させることにより、それに伴って蓋5が所定の横方向に回動するため、図2及び図4に示すように、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動でき、チャンバー4内への被滅菌物の収容、及びチャンバー4内からの被滅菌物の取り出しが可能となる。
チャンバー4内へ被滅菌物を収容し、蓋5がチャンバー4内の上面開口3の上方位置となるようにアーム9を回動させると共に、アーム9の自由端9Aを抑え部8に嵌め込む。抑え部8は、一方向に受入口8Bを開放した構成であり、アーム9の回動によってアーム9の自由端9Aは、この受入口8Bから侵入し、この受入口8Bの奥側に設けた停止部8Cに衝突した位置に保持される。この状態で、蓋5はチャンバー4内の上面開口3の真上位置となる。
そして、ハンドル10の一方向回転(正方向回転ともいう)と共に回転するハンドル軸13の一方向回転によって、抑え部8に対するアーム9の自由端9Aが上動(上方向移動)し、抑え部8の上辺8Aによってこの上動(上方向移動)が制限され、この制限された状態からハンドル10の更なる回転に伴って蓋5が下動するため、環状パッキン6がチャンバー4の上面開口3に当接しつつ圧縮され、蓋5によってチャンバー4の上面開口3が密閉される。この密閉状態において、所期の滅菌動作が行われる。なお、ハンドル10の逆方向回転に伴うハンドル軸13の逆方向回転によって、蓋5を開くことができる。
このような蒸気滅菌器1において、チャンバー4内の圧力が上昇した状態において、ハンドル10の操作によって蓋5が開けば、蒸気が流出して危険である。本発明は、この危険を回避するために、蓋5の密閉保持装置(インターロック機構)を提供するものであり、先ずその基本構成を記載する。
本発明の蒸気滅菌器1の蓋5の密閉保持装置(インターロック機構)の基本構成は、非通電・通電にてロックピン21を突出・退避作動するロックソレノイド装置20を備え、蓋5がチャンバー4の上面開口3を密閉した状態において、ハンドル10の操作によって蓋5を開くことができないようにするために、蓋5がチャンバー4の上面開口3を密閉した状態においては、ロックソレノイド装置20の非通電によりロックピン21が突出して、蓋5を開く方向へハンドル10を回転させることが阻止されるものである。
この基本構成を採用した具体的な実施態様を以下に記載する。
先ず、この基本構成を採用した蒸気滅菌器1の実施態様について説明する。蒸気滅菌器1は、支持部7を中心としたアーム9の横方向回動により、蓋5が開口3の上方位置にあることを検出する第1検出スイッチ19と、抑え部8に設けられアーム9の自由端9Aの上動位置を検出する第2検出スイッチ15と、ロックピン21を作動するロックソレノイド装置20とを備えている。ロックソレノイド装置20は、非通電にてロックピン21が突出し通電にてロックピン21が退避する動作をする。これによって、後述のように、ロックピン21の突出にて蓋5が開口3を密閉した状態を保持する構成である。また、ロックソレノイド装置20の通電状態において、蓋5が開口3を外れた位置から開口3の上方位置へ移動したことを第1検出スイッチ19が検出し、アーム9の自由端9Aの上動位置を第2検出スイッチ15が検出した状態でのロックソレノイド装置20の非通電により、ロックピン21の突出にてハンドル10の回転が阻止されて蓋5が開口3を密閉した状態に維持される構成である。
ロックソレノイド装置20の非通電により、ロックピン21の突出にてハンドル10の回転を阻止する構成は種々考えられるが、その一つの構成を図に基づき説明する。図において、ハンドル10と一体化するように、ハンドル軸13を中心として円形状のロック受け部材16が、ハンドル10に一体的に設けた取り付け部10Sの中央基部10S1に一体的に設けられている。このロック受け部材16は、別個の円板をハンドル軸13を中心として中央基部10S1にネジにて取り付けているが、中央基部10S1と一体成形にて円板状に形成したものでもよい。この構成において、蓋5が開口3を閉じた状態で、ロックソレノイド装置20の非通電によりロックピン21が突出し、突出したロックピン21がロック受け部材16に形成した係止孔16Aに侵入して、ハンドル10の回転による蓋5の開放動作が阻止される。ロック受け部材16はハンドル10と共に回転するため、ハンドル10の回転が停止した位置においてロックピン21が係止孔16Aに侵入し易くするために、係止孔16Aは円弧状の長孔である。
第1検出スイッチ19は、蓋5が開口3の上方位置にあることを検出するためのものであり、支持部7を中心としたアーム9の横方向回動により、ON−OFF動作する。具体的には図7に示すように、第1検出スイッチ19は、支持部7の下方位置において、本体部2の上面を形成する上面板2Pの下側に取り付けた支持板17の側面に取り付けられている。第1検出スイッチ19の作動部19Aの上方には、コイルバネ36によって上方へ付勢されたスイッチ作動棒35が、支持板17から水平方向へ延びた上下のガイド板17A、17Bに、垂直方向に上下動可能に支持されている。コイルバネ36によって上方へ付勢されたスイッチ作動棒35は、本体部2の上面板2Pと支持部7の基部を貫通して、その先端35Aが、アーム9の横方向回動軌跡上となる位置で、支持部7の基部の上面から若干突出(実施例では2.5mm突出)しており、蓋5が開口3の真上となる位置へ回動したアーム9によって、スイッチ作動棒35が下方へ押されて、第1検出スイッチ19が作動する(実施例ではONする)仕組みである。なお、スイッチ作動棒35は、支持部7の基部を貫通しているため、作業者の手や被滅菌物などから受ける作用力(外力という)にて、スイッチ作動棒35が変形し第1検出スイッチ19の正規の作動が阻害される、ということを防止できる。
第1検出スイッチ19の作動の具体的構成について説明する。図2及び図4に示すように、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動した状態では、スイッチ作動棒35は、コイルバネ36によって上方へ付勢されて突出した上限位置にあり、この状態で、蓋5が開口3の真上となる位置へ向けてアーム9を回動することによって、スイッチ作動棒35の丸みを呈する先端35Aが、アーム9の支持端9Bの下面と側面との丸みを呈する交差部9Cに当接し、この交差部9Cに案内されてコイルバネ36を圧縮しつつスイッチ作動棒35が押し下げられ、アーム9の自由端9Aが受入口8Bの奥側に設けた停止部8Cに衝突した位置で、作動棒35の先端35Aがアーム9の下面に入り込んだ位置となる。スイッチ作動棒35が下方へ押されるこの一連の動作によって、スイッチ作動棒35が第1検出スイッチ19の作動部19Aを押し、第1検出スイッチ19が作動(実施例ではON)する。
次に、第2検出スイッチ15の作動の具体的構成について説明する。図6等に示すように、抑え部8の上辺8Aには、第2検出スイッチ15が設けられており、アーム9の自由端9Aが上動(上方向移動)して抑え部8の上辺8Aに当接してこの上動が制限されるが、この状態を第2検出イッチ15の作動により検出する(実施例ではスイッチONする)仕組みである。
上記のように、アーム9の自由端9Aが抑え部8に嵌め込まれて停止部8Cに衝突した状態で、蓋5はチャンバー4内の上面開口3の真上位置となる。このように蓋5がチャンバー4内の上面開口3の真上位置となった状態において、ハンドル10を正方向回転させてハンドル軸13を正方向回転させることにより、ハンドル軸13がアーム9に対して下動(下方向移動)し、蓋5が下動する。蓋5の下動により環状パッキン6がチャンバー4の上面開口3に当接し、この状態から更にハンドル10を正方向回転させることにより、雄螺子11と螺合する雌螺子部12の関係によって、アーム9の自由端9Aが上動(上方向移動)し、遂に抑え部8の上辺8Aによってこの上動(上方向移動)が制限される。抑え部8の上辺8Aには、第2検出スイッチ15が設けられているため、アーム9の自由端9Aが上動(上方向移動)して抑え部8の上辺8Aに当接したとき、第2検出スイッチ15が作動(実施例ではスイッチON)する。
この場合、通常操作においては、ハンドル10を正方向回転させている途中で第2検出スイッチ15が作動(実施例ではスイッチON)するため、第2検出スイッチ15が作動(実施例ではスイッチON)した時点よりも、更にハンドル10が正方向回転させられるため、環状パッキン6の圧縮は進み、環状パッキン6がチャンバー4の上面開口3に密着する度合いが増す。このため、第2検出スイッチ15が作動(実施例ではスイッチON)したことにより、本体部2の上面に設けたコントロールボックス2Aに備えた表示灯を点灯して、蓋5がチャンバー4の上面開口3を密閉したことを使用者に報知し、スタートスイッチによって滅菌動作の開始が可能であることを報知することが考えられる。
しかし、第2検出スイッチ15が作動(実施例ではスイッチON)した後も、更に環状パッキン6が十分なる圧縮状態になるまでハンドル10を正方向回転させる場合は、蓋5がチャンバー4の上面開口3を密閉した状態となるため問題ないが、第2検出スイッチ15が作動(実施例ではスイッチON)した時点のように、ハンドル10の正方向回転不足によってチャンバー4の上面開口3の密閉が不十分な場合や、一旦環状パッキン6が十分なる圧縮状態までハンドル10を正方向回転させた状態から、第2検出スイッチ15が不作動(実施例ではスイッチOFF)にならない範囲において、ハンドル10が逆方向回転されてチャンバー4の上面開口3の密閉が不十分となる場合は、チャンバー4の密閉の確保の点からすれば完全な状態とは言い切れない。
本発明では、このような点に鑑み、アーム9の自由端9Aの上動(上方向移動)が制限され、第2検出スイッチ15が作動(実施例ではスイッチON)した状態から、更に環状パッキン6が十分なる圧縮状態となるまでハンドル10を正方向回転させた状態であることを検出したとき、滅菌動作開始スイッチ(後述のスタートボタン23に相当)によって、滅菌動作の開始を可能とする技術を提供するものである。この技術を以下に記載する。
本発明では、環状パッキン6が十分なる圧縮状態となるまでハンドル10を正方向回転させた状態であることを検出するために、ハンドル10の回転角度を検出する回転角度検出手段KKを備えている。この回転角度検出手段KKは、第2検出スイッチ15が検出した状態から更にハンドル10が環状パッキン6を圧縮させる方向へ所定角度回転されたことを検出するものであり、この回転角度検出手段KKが所定角度回転されたことを検出したとき、蓋5によってチャンバー4の開口3が密閉状態である。この検出した状態において、滅菌動作開始スイッチ(後述のスタートボタン23に相当)の作動により、ロックソレノイド装置20が非通電となり、ロックピン21の突出にてハンドル10の逆回転を阻止して、蓋5がチャンバー4の開口3を密閉した状態に維持される。
この回転角度検出手段KKは、図9、図10等に示すように、ハンドルと同軸的に且つ同一回転する円周上に整列した濃淡パターンNPと、発光素子HSから光を濃淡パターンNPに照射し濃淡パターンNPから反射される光を受ける受光素子JSを有する光センサSSとを備えており、濃淡パターンNPによって回転角度に対応して変化する受光素子JSの出力(主として電流値)によって、ハンドル10の回転角度を検出するものである。このため、濃淡パターンNPは、ハンドル10の回転と同軸的に且つ同一回転するようにハンドル10またはハンドル軸13に取り付けた回転板KBの一方の面に形成され、光センサSSは濃淡パターンNPに対向する位置でアーム9側に取り付けられている。実施例では回転板KBがロック受け部材16で構成され、ロック受け部材16の下面に、円周上に整列した濃淡パターンNPを形成し、アーム9に取り付けた支持板18に光センサSSが発光素子HSと受光素子JSを上向きに取り付けている。
本発明では、ハンドル10の正方向回転(蓋5を閉じる方向の回転)と、ハンドル10の逆方向回転(蓋5を開く方向の回転)を検出するために、濃淡パターンNPは、ロック受け部材16の下面に、同心円に形成された外側濃淡パターンNP1と内側濃淡パターンNP2とで構成し、外側濃淡パターンNP1と内側濃淡パターンNP2は、所定の単位角度(実施例では10度)の四分の一の位相差(実施例で2.5度の位相差)に配置されている。そして、外側濃淡パターンNP1と内側濃淡パターンNP2にそれぞれ対応するように、光センサSSとして外側光センサSS1と内側光センサSS2がアーム9に取り付けた支持板18に上向きに配置されている。外側光センサSS1と内側光センサSS2は、いずれも発光素子HSと受光素子JSが一体に組み立てられた受発光一体の反射型の光センサであり、外側光センサSS1の発光素子HSと受光素子JSの光軸が、外側濃淡パターンNP1に対して略垂直状であり、内側光センサSS2の発光素子HSと受光素子JSの光軸が、内側濃淡パターンNP2に対して略垂直状である構成である。そして、外側光センサSS1と内側光センサSS2は、同一半径上に配置されている。
外側濃淡パターンNP1と内側濃淡パターンNP2は、ロック受け部材16の下面に白黒の2色パターンを印刷する形態でもよいが、実施例では、白色に相当する淡色部分の反射率を向上させるために、ロック受け部材16の下面は、無電解ニッケルメッキ処理によって光沢面を形成し、この面に黒色1色の印刷を施した構成である。実施例のように、ロック受け部材16が回転板KBを兼用することにより、ロック受け部材16と別個に回転板KBを設ける場合に比して、コストダウンとなっている。また、回転板KBがロック受け部材16によって構成されているため、正規の密閉状態までハンドル10を回した回転角度と、ロックソレノイド装置20のロックピン21が突出して係止孔16Aに係止する位置を定め易くなる。
ハンドル10に回転に伴って、発光素子HSから光が濃淡パターンNPから反射されるときの受光素子JSの出力(主として電流値)として現れる矩形状パルスは、図11及び図12に示すように、濃淡パターンNPの淡色部分を形成する白色部分に対応する受光素子JSの出力(主として電流値)がHレベル(ハイレベル)であり、濃淡パターンNPの濃色部分を形成する黒色部分に対応する受光素子JSの出力(主として電流値)がLレベル(ローレベル)である。そして、同一円周上での白色部分NPWと黒色部分NPBは同一幅をなし、一つの白色部分NPWと一つの黒色部分NPBとでなすピッチPTを所定の単位角度(実施例では10度)に形成している、このため、一つの白色部分NPWの幅と一つの黒色部分NPBの幅は、それぞれ所定の単位角度(実施例では10度)の半分(実施例では5度)となる。これによって、実施例では、ハンドル10が10度回転するごとに1つのパルス(HレベルとLレベルの一対のパルス)が発生し、90度回転によって9個のパルスが発生する。
外側濃淡パターンNP1と内側濃淡パターンNP2は、所定の単位角度(実施例では10度)の四分の一の位相差(実施例で2.5度の位相差)に配置されており、ハンドル10の回転方向の判定は、外側濃淡パターンNP1を基準として判定するように構成している。即ち、外側光センサSS1による検出が、非反射(外側濃淡パターンNP1の濃色部分に対応)から反射(外側濃淡パターンNP1の淡色部分に対応)に切り替わったとき、内側光センサSS2が、反射を検出しているか否か(内側濃淡パターンNP2の淡色部分に対応しているか濃色部分に対応しているか)でハンドル10の回転方向を判定している。このように、外側光センサSS1による検出が、非反射から反射に切り替わったとき、内側光センサSS2が、反射を検出しているか否かの検出を行なうが、このような検出は、短時間(μsec:マイクロ秒単位の短時間であり、ハンドルの回転速度よりも十分短い時間に設定している)に外側光センサSS1の出力と内側光センサSS2の出力を所定回数(例えば2〜3回)検出し、この検出結果が同じであれば、その結果を正規の検出データとして採用するようにして、雑音などによる誤検出に対応できるようにしている。
ハンドル10の回転方向の判定を具体的に述べることとする。即ち、図11に示すように、外側濃淡パターンNP1に対応して発生する出力パルスと、内側濃淡パターンNP2に対応して発生する出力パルスとは、2.5度の位相差で発生する。図11には、ハンドル10の正方向回転(蓋5を閉じる方向の回転)の場合の出力状態を示しており、外側光センサSS1により検出するt1時点で視れば、外側光センサSS1による検出が、非反射(外側濃淡パターンNP1の濃色部分に対応)から反射(外側濃淡パターンNP1の淡色部分に対応)に切り替わり、外側光センサSS1の受光素子JSの出力(主として電流値)がHレベル(ハイレベル)となる。この時の内側光センサSS2の受光素子JSの出力(主として電流値)はLレベル(ローレベル)であることにより、制御部45は、ハンドル10の正方向回転(蓋5を閉じる方向の回転)と判定し、そのときの回転角度を計測する。
一方、図12には、ハンドル10の逆方向回転(蓋5を開ける方向の回転)の場合の出力状態を示しており、外側光センサSS1により検出するt1時点で視れば、外側光センサSS1による検出が、非反射(外側濃淡パターンNP1の濃色部分に対応)から反射(外側濃淡パターンNP1の淡色部分に対応)に切り替わり、外側光センサSS1の受光素子JSの出力(主として電流値)がHレベル(ハイレベル)となる。この時の内側光センサSS2の受光素子JSの出力(主として電流値)はHレベル(ハイレベル)であることにより、制御部45の動作によって、ハンドル10の逆方向回転(蓋5を開ける方向の回転)と判定し、そのときの回転角度を計測する。
このように、外側光センサSS1の出力と内側光センサSS2の出力によって、ハンドル10の正方向回転(蓋5を閉じる方向の回転)か、ハンドル10の逆方向回転(蓋5を開ける方向の回転)かが判定されるため、例えば、第2検出スイッチ15が検出した状態から、更にハンドル10が環状パッキン6を圧縮させる方向へ90度回転された後、ハンドル10が逆方向に20度回転されると、90度―20度=70度となり、第2検出スイッチ15が検出した状態から、ハンドル10が70度回転された状態であると制御部45によって判定される。
実施例の蒸気滅菌器1では、第2検出スイッチ15が検出した状態から、更にハンドル10が環状パッキン6を圧縮させる方向へ90度回転されたとき、環状パッキン6が十分圧縮されて、蓋5によってチャンバー4の開口3が正規の密閉状態であると判定する。そして、この状態からハンドル10が逆方向に20度以上回転されると、制御部45によって警告灯の点灯またはブザーの作動等の警報装置34によってエラーを警報し、チャンバー4の開口3の密閉状態が不良であることを報知する。もし、第2検出スイッチ15が検出した状態から、更にハンドル10を回転する角度が、70度未満でハンドル操作を終われば、チャンバー4の開口3の密閉状態が不良であることを警報装置34によって報知する。
このように、第2検出スイッチ15が検出した状態から、更にハンドル10が環状パッキン6を圧縮させる方向へ回転された角度が、所定角度(実施例では70度)以上であれば、蓋5によってチャンバー4の開口3が密閉状態であることが制御部45によって判定されると共に、コントロールボックス2Aに設けた表示灯47が点灯してそれを表示し、滅菌動作開始スイッチ(後述のスタートボタン23に相当)の作動による滅菌動作の開始が可能な状態となる。なお、ハンドル10の回転角度が、所定角度(実施例では70度)未満であれば、チャンバー4の開口3の密閉状態が不良であることを警報装置34によって報知する。
本体部2の上面にはコントロールボックス2Aが設けられている。滅菌動作開始指令は、コントロールボックス2Aに設けたスタートボタン23のON操作により、それに対応したコントロールボックス2A内のスタートスイッチが作動(この場合はスイッチON)することによって発せられる。また、上記コントロールボックス2Aには、蒸気滅菌器1の動作モードの選択、動作条件の設定等のためのスイッチ操作部が配置され、これに関連する制御回路を有する制御部45等が収容されている。
図3等には、コントロールボックス2Aの上面に配置したスイッチ操作部等の配置構成の一つを示している。図において、23はスタートボタン、26は電源スイッチボタン、27はリセットスイッチボタン、28は温度設定スイッチボタン、29は時間設定スイッチボタン、30はON(押す)ごとに温度または時間をアップ(増加)させるアップスイッチボタン、31はON(押す)ごとに温度または時間をダウン(減少)させるダウンスイッチボタンである。32は温度設定スイッチボタン28、時間設定スイッチボタン29、アップスイッチボタン30、及びダウンスイッチボタン31によって設定した温度および時間を表示する表示部である。33は圧力検知部(圧力センサとも称する)22で検出したチャンバー4内の圧力を表示する圧力計である。警報装置34と表示灯47もコントロールボックス2Aの上面に配置されている。
蒸気滅菌器1の滅菌条件である温度設定を行う場合は、温度設定スイッチボタン28をONし、アップスイッチボタン30及びダウンスイッチボタン31によって滅菌温度を設定する。また滅菌条件である時間設定を行う場合は、時間設定スイッチボタン29をONし、アップスイッチボタン30及びダウンスイッチボタン31によって滅菌時間を設定する。設定のやり直しは、リセットスイッチボタン27をONした後、再度上記の操作によって滅菌温度及びまたは滅菌時間を設定する。
次に蒸気滅菌器1の制御動作を以下に説明する。蒸気滅菌器1の電源スイッチボタン26の操作による電源スイッチのON等によって、蒸気滅菌器1へ電源が印加された状態(電源投入状態)になる。この電源印加によって、ロックソレノイド装置20のコイル20Aに通電され、コイルスプリング25に抗して(コイルスプリング2を圧縮して)ロックピン21が吸引位置へ引っ込む(図では下方へ移動した退避状態となる)。このため、ロックピン21がコイルスプリング25を圧縮して下方へ吸引された状態であり、ロックピン21の先端がロック受け部材16よりも下方位置となっている。
この状態において、図2及び図4に示すように、支持部7を軸としてチャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動してチャンバー4内へ被滅菌物を収容する。被滅菌物を収容した後、上記のように、コントロールボックス2Aの上面に配置したスイッチ操作部の操作によって、蒸気滅菌器1の動作条件である滅菌温度及び滅菌時間を設定する。この滅菌の動作条件の設定は、被滅菌物を収容する前に行なってもよい。そして、蓋5がチャンバー4内の上面開口3の上方位置となるようにアーム9を回動させることにより、第1検出イッチ19が作動(この場合スイッチON)する。これと共にアーム9の自由端を抑え部8に嵌め込む。抑え部8は一方向に受入口8Bを開放した構成であり、アーム9の回動によってアーム9の自由端は、この受入口8Bから侵入し、この受入口8Bの奥側に設けた停止部8Cに衝突した位置に保持される。この状態で、蓋5はチャンバー4内の上面開口3の真上位置となる。
この状態で、ハンドル10を正方向回転させてハンドル軸13を正方向回転させることにより、ハンドル軸13がアーム9に対して下動(下方向移動)し、蓋5が下動する。蓋5の下動により環状パッキン6がチャンバー4の上面開口3に当接しつつ圧縮され、上面開口3が閉塞される。この状態から更にハンドル10を正方向回転させることにより、雄螺旋11と螺合する雌螺旋部12の関係によって、アーム9の自由端が上動(上方向移動)し、抑え部8の上辺8Aによってこの上動(上方向移動)が制限される。この状態から更にハンドル10を正方向回転させることにより、アーム9を基準とする支え状態でもって、環状パッキン6を更に圧縮しつつハンドル軸13と共に蓋5が下動(下方向移動)し、環状パッキン6の更なる圧縮状態となり、チャンバー4内が気密状態となる。アーム9の自由端が上動(上方向移動)して抑え部8の上辺8Aに当接したとき、第2検出イッチ15が作動(この場合はスイッチON)する。
上記のように、第1検出スイッチ19により蓋5がチャンバー4の上面開口3の真上位置となったことを検出し、且つ第2検出スイッチ15により蓋5がチャンバー4の上面開口3を閉じたことを検出した状態で、更にハンドル10の回転によって、上記のように蓋5を下動させ開口3の密閉を図る。そして、回転角度検出手段KKの検出によって、蓋5が開口3を密閉している状態において、コントロールボックス2Aに設けたスタートボタン23をON操作することにより、それに対応したコントロールボックス2A内のスタートスイッチが作動(この場合はスイッチON)し、滅菌動作開始指令が発せられる。この滅菌動作開始指令を受けて、制御部45によってロックソレノイド装置20が非通電となり、それによってロックピン21がコイルスプリング25によって上方へ突出し、突出したロックピン21がロック受け部材16に形成した係止孔16Aに侵入して、ハンドル10の回転による蓋5の開放動作が阻止される。
本発明の蒸気滅菌器1は、上記の構成に加えて、ロックソレノイド装置20によってハンドル10がロックされたことを検出した状態で滅菌工程に入るが、ロックソレノイド装置20によってハンドル10がロックされていない場合は、滅菌工程に入らないようにして、安全対策を講じている。このハンドル10がロックされたことを検出する技術として、ハンドル10の回転による蓋5の開放動作が阻止された状態の検出のために、第3検出スイッチ24が設けられている。
ロックソレノイド装置20と第3検出スイッチ24の関係は、図8に示すように、アーム9を前後から挟むようにアーム9にネジにて取り付けた前後一対の支持板18のうち、その一方の支持板18の取り付け部18Aに、ロックピン21が略垂直に向くようにロックソレノイド装置20が取り付けられている。そして、ロックピン21と一体に上下動するように設けた環状の作動部21Aに対して、第3検出スイッチ24の作動部24Aの先端部24A1が対応するように、第3検出スイッチ24が支持板18の取り付け部18Aに取り付けられている。
ロックソレノイド装置20が非通電となったとき、コイルスプリング25によってロックピン21が上動、即ち上方へ突出し、それによって作動部21Aが第3検出スイッチ24を正常に作動するために、ロックピン21の上動距離(上方へ動く距離)を制限する構成として、前記一方の支持板18の上端部を折り曲げて略水平なストッパ部18Bが形成されており、ストッパ部18Bはロック受け部材16の下側に位置しており、ロックピン21の上部がこのストッパ部18Bを貫通している。これによって、ロックソレノイド装置20が非通電になったときロックピン21が上動し(上方へ動き)、作動部21Aの上端がストッパ部18Bの下面に衝突して、それ以上のロックピン21の上動(上方への動き)が制限される。この状態で、ロック受け部材16の上部は係止孔16Aに侵入した状態となり、作動部21Aが第3検出スイッチ24を正常に作動した状態である。
図15及び図16に示すように、ロックピン21の途中に環状の支持部21Tが設けられ、環状の作動部21Aは合成樹脂製にて底壁が上になった逆椀状をなし、その上底壁をロックピン21が貫通するように支持部21Tに載置した状態に保持されている。なお、支持部21Tは、コイルスプリング25の上端を支持する支持部の役目を兼ねている。第3検出スイッチ24が環状の作動部21Aの下部で作動されるようにするために、上部と中間部が小径であり下部が大径となる形状である。その具体的形状として、作動部21Aの外面には、下部に環状の大径傾斜部21A1を形成し、大径傾斜部21A1より上方部分は、大径傾斜部21A1よりも小径である筒状の中間部21A3と、中間部21A3より更に小径となる小径傾斜部21A2を上部に形成している。
この構成によって、ロックソレノイド装置20が通電になったときは、図15に示すように、ロックピン21と共に作動部21Aが下降し、第3検出スイッチ24の作動部24Aの先端は作動部21Aの小径傾斜部21A2に対応した状態(実施例では小径傾斜部21A2に接している)であり、第3検出スイッチ24が作動しない(実施例ではOFF)の状態である。このため、制御部45による滅菌動作がスタート(開始)しない状態である。
そして、ロックソレノイド装置20が非通電になったとき、図16に示すように、ロックピン21と共に作動部21Aが上昇し、作動部21Aの上端がストッパ部18Bの下面に衝突し、且つ、上方へ突出したロックピン21がロック受け部材16に形成した係止孔16Aに侵入する。この状態で、第3検出スイッチ24の作動部24Aの先端は、作動部21Aの下部の大径傾斜部21A1によって押され、第3検出スイッチ24が作動する(実施例ではONする)。上記のようにスタートスイッチが作動(この場合はスイッチON)しているため、第3検出スイッチ24が作動(この場合はスイッチON)したことにより、制御部45によって、設定した滅菌条件に従って、滅菌動作がスタート(開始)する。
また、ロックソレノイド装置20が非通電になってロックピン21が上動したとき、ロックピン21の上端が隣り合う係止孔16A間のロック受け部材16の部分(図8に示す16T部分)の下面に衝突して上昇が阻止された状態(この状態はロックピン21がハンドル10の逆回転を抑制していない状態である)では、図16に点線で示すように、第3検出スイッチ24の作動部24Aの先端が中間部21A3に対応し、この状態では第3検出スイッチ24が作動(実施例ではON)しない状態であるため、滅菌動作はスタート(開始)しないようになっている。それゆえ、このようにロックピン21がハンドル10の逆回転を抑制していない状態では、滅菌動作はスタート(開始)しないため、安全確保ができるものとなる。
なお、作動部21Aがロックピン21に固定された構成である場合は、各部品の組み立て誤差によって、ロックピン21の上動にて作動部21Aの下部の大径傾斜部21A1が作動部24Aを強く押し過ぎる状態が懸念される。しかし、作動部21Aはその上底壁をロックピン21が貫通するように支持部21Tに載置した状態で若干自由動可能に保持する構成とすれば、ロックピン21の上動にて作動部21Aの大径傾斜部21A1が第3検出スイッチ24の作動部24Aを強く押し過ぎるときは、作動部21Aが若干逃げる緩衝動作となり、作動部24Aの押し過ぎによる第3検出スイッチ24の破損を防止できるものとなる。
このように、ロックピン21が隣り合う係止孔16A間のロック受け部材16の部分(図8に示す16T部分)の下面に衝突して上昇が阻止された状態においては、滅菌動作はスタート(開始)しない。この場合、ハンドル10を正方向又は逆方向へ少し回転させることにより、ロックピン21は上昇阻止状態から外れて上昇し、係止孔16Aに侵入すると共に、作動部21Aの大径傾斜部21A1によって作動部24Aが押され、第3検出スイッチ24が作動(この場合はスイッチON)する。この場合、もしハンドル10の逆方向回転角度が大きくなって、上記のように、第2検出スイッチ15が検出した状態から回転されたハンドル10の回転角度が、所定角度(実施例では70度)未満の状態にまで逆方向回転されたときは、チャンバー4の開口3の密閉状態が不良となるため、その状態が警報装置34の動作によって報知される。このため、使用者はそれに気付き、前記電源スイッチを一旦OFFした後ONするか、リセットスイッチが備えてあればそれをONすることにより、最初から操作をやり直すことができる。
上記のように、滅菌動作のスタート(開始)によって、チャンバー4内に自動的に所定量の水が注水される。なお、予めチャンバー4内に所定量の水を溜めておく構成でもよい。また、この滅菌動作の開始によって、チャンバー4内の底部に設けたヒータ46に通電され、チャンバー4内の水が加熱蒸発し、制御部45によって滅菌動作が進行し、所定の滅菌工程、チャンバー4内の排気工程等、所定の工程を行なって滅菌動作が終了する。
本発明の蒸気滅菌器1は、更に安全対策の構成である。即ち、蒸気滅菌器1は、チャンバー4内の圧力を検知する圧力検知部(圧力センサとも称する)22を備えている。これは、チャンバー4内の排気工程によって、チャンバー4内が安全な圧力低下状態になったとき、ハンドル10の操作にて蓋5を開くことができるようにしている。具体的には、滅菌動作の一連の動作であるチャンバー4内の排気工程によって、チャンバー4内が安全な圧力低下状態(実施例ではゼロ気圧・・・大気圧)になったことを圧力検知部(圧力センサとも称する)22が検出することによって、制御部45によってロックソレノイド装置20が通電状態となり、ロックピン21が吸引されてロック受け部材16に形成した係止孔16Aから退避し、開口3を開くために蓋5を上昇させるようにハンドル10が逆回転可能状態となる。ハンドル10の逆回転によって、蓋5が上方へ移動してチャンバー4の上面開口3から離れる。この状態で、アーム9を回動させて蓋5をチャンバー4の上面開口3から外れた位置へ移動させ、チャンバー4内の被滅菌物の取り出しを行なうことができる。
滅菌動作の終了によりチャンバー4内の圧力が所定値以下に低下した状態で、表示部32に滅菌動作の終了を知らせる表示が出る。この表示は、例えば、「滅菌動作の終了」の文字等で表示部32に表示される。また、このときのチャンバー4内の圧力は、圧力計33の表示を見て安全確認ができる。このような表示によって滅菌動作の終了が確認できるため、ハンドル10の逆回転操作を行うことにより、蓋5が上方へ移動してチャンバー4の上面開口3から離れる。この状態で、アーム9を回動させて蓋5をチャンバー4の上面開口3から外れた位置へ移動させ、チャンバー4内の被滅菌物の取り出しを行なうことができる。
上記のように、実施例では、滅菌動作が開始した後は、滅菌動作中は勿論のことチャンバー4内の圧力が上昇した状態であれば、ロックソレノイド装置20によってハンドル10の回転により蓋5を開くことができないように維持できるため、蒸気の流出による危険を回避できる。そして、チャンバー4内の圧力が所定値以下(実施例ではゼロ気圧・・・大気圧)に低下すれば、ハンドル10の回転により蓋5を開くことができるため、チャンバー4内の圧力が高いときに蓋5が開かれることにより生じる蒸気の流出による危険を回避できる。また、既に使用中である蒸気滅菌器に対して、本発明の蓋5の密閉保持装置を追加することによって、既存の蒸気滅菌器の安全性を容易に向上させることができるものとなり、既存の蒸気滅菌器の買い替えなしに安全に継続使用が可能となり、経費節減効果も十分発揮できるものとなる。
上記実施例では、停電などにより蒸気滅菌器1の電源が切れたときの安全対策も講じられている。即ち、蒸気滅菌器1が滅菌動作中はチャンバー4内の圧力が高いため、この状態において蒸気滅菌器1の電源が切れた場合、そのとき蓋5が開かれればチャンバー4内の上記が噴出して危険である。そのために、蒸気滅菌器1の電源が切れたときは、ロックソレノイド装置20がOFF(非通電)となって、ロックピン21がロック受け部材16の係止孔16Aに嵌った状態を維持することにより、この危険を回避できるものとなる。
上記のように、第1検出スイッチ19、第2検出スイッチ15、回転角度検出手段KK、第3検出スイッチ24が、順に作動したとき、滅菌動作が開始するように制御部45によって制御し、この順序によらない場合は滅菌動作が開始されないように制御部45によって制御すれば、安全動作が達成できる蒸気滅菌器1となる。この場合、滅菌動作が開始しないときは、制御部45によって警告ランプの点灯またはブザーの作動等の警報装置34によって警告すれば、使用者はそれに気付き、前記電源スイッチを一旦OFFした後ONするか、リセットスイッチが備えてあればそれをONすることにより、最初から操作をやり直すことができる。
なお、蓋5とハンドル軸13との連結は、ハンドル軸13の回転に伴って蓋5が回転するものでもよいが、この場合は環状パッキン6が上面開口3の縁部との摩擦によって、環状パッキン6が破損し易くなる。これを解決するために、図6に示すように、ハンドル軸13の回転に伴って蓋5が回転しないように、ハンドル軸13の下端に形成した環状の係合部13Aが蓋5の中心部の係合部5Aに遊嵌状態であり、これによって両者の連結が回転フリーの構成となっている。具体的には、係合部5Aは、側面からねじ込まれたネジ5Pによって形成しており、このネジ5Pが内方へ突出し、このネジ5Pがハンドル軸13の係合部13Aに侵入係合することにより、ハンドル軸13の回転に伴って蓋5が回転しない状態で、蓋5がハンドル軸13に支持されている。このため、ハンドル軸13の回転に伴って蓋5は上下方向移動するが、蓋5は回転しない構成である。
上記では、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動してチャンバー4内へ被滅菌物を収容した状態で、コントロールボックス2Aに設けられているスイッチ操作部の操作によって、蒸気滅菌器1の動作モードの選択、動作条件の設定によって、滅菌条件を設定している。これに替わって、スイッチ操作部の操作によって滅菌条件を設定した後、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動してチャンバー4内へ被滅菌物を収容するようにしてもよい。
ロック受け部材16、支持板18、ロックソレノイド装置20、第3検出スイッチ24は、外部から見えないように、アーム9の前後からそれぞれ前後の支持板18にネジにて取り付けた前後の装飾カバー37によって覆われている。また、ロックソレノイド装置20及び第3検出スイッチ24への給電用リード線38、38は、コントロールボックス2A内に配置した制御部45の基板から本体部2内を経て本体部2の上面板2Pを貫通して支持部7近傍を通り、アーム9に沿ってアーム9の下面に形成した溝40内に収容され、アーム9の下面にネジ48にて取り付けられるカバー板41で覆われた状態で配線されている。これによって、何らかの状況によってアーム9の上方から水滴が降りかかっても、リード線38をその水滴から保護することができる。また、リード線38は、本体部2の上面板2Pを貫通してアーム9の溝40へ至る部分が、ゴムなどの可撓性カバー39で覆われて保護されており、アーム9の左右方向への回動に余裕をもって対応できるように、途中の部分が動き得る状態に保持環42によって支持されている。
本発明の濃淡パターンは、前記ハンドルと同軸的に且つ同一回転する円周上に整列した構成であればよいため、前記ハンドルまたは前記ハンドル軸に取り付けた回転板の一方の面に形成した形態である場合と、前記ハンドルが円形状である場合には、そのハンドルの下面に濃淡パターンを印刷した形態である場合のいずれでもよい。その一つとして、実施例では、前記回転板がロック受け部材16によって構成されているため、コスト低減効果は勿論のこと、更に、正規の密閉状態までハンドル10を回した回転角度と、ロックソレノイド装置20のロックピン21が突出して係止孔16Aに係止する位置を定め易くなる。
また、既に使用中である既存の蒸気滅菌器に対して、本発明の蓋の密閉保持装置を追加することによって、既存の蒸気滅菌器の安全性を容易に向上させることができるものとなり、既存の蒸気滅菌器の買い替えなしに安全に継続使用が可能となり、経費節減効果も十分発揮できるものとなる。