JP5714365B2 - 育毛及び発毛促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は育毛及び/又は発毛促進剤に関するものである。より具体的には、毛周期の停滞した毛包に対する活性化作用や皮膚から皮下組織における毛包再生の誘導作用などを有する育毛及び/又は発毛剤に関する。
体毛は毛包の先端に位置する毛母細胞が増殖・分化し、変化することにより形成される。毛包は胎生期に形成され、その数は出生後に変化することがない。毛髪は成長・脱毛を繰り返しており(ヘアサイクル)、このサイクルが停滞又は短縮した状態は脱毛症と呼ばれる。
医療現場で日常的に見られる脱毛症は、加齢に伴う壮年性脱毛症や精神的ストレスに伴う円形脱毛症のほか、癌や内分泌異常などの疾病に伴うものや抗癌剤等の薬剤による脱毛などが知られている。脱毛は、患者の容姿に大きく影響を及ぼすものであることから、根本的な治療法や予防法の開発が望まれている。脱毛症に対する対処法としてかつらや植毛などが知られているが、日常生活の制限や頭髪の成長に伴って処置を繰り返さなければならないことから根本的治療法とは言えない。
脱毛症に対する治療又は予防に用いられる薬剤としてはフェナステリド(商品名:プロペシア)又はミノキシジル(商品名:リアップ(登録商標))が市販されているが、前者は壮年性脱毛症の原因である5α還元酵素の阻害による脱毛の予防を目的とした薬剤であり、後者は壮年性脱毛症によって萎縮した毛包を活性化することで細くなった毛髪を太く成長させる薬剤である。従って、これらの薬剤の適用は壮年性の脱毛症に限定されており、また、完全にヘアサイクルが停滞した場合や、薬剤や物理的刺激により毛包が傷ついた場合には有効性を期待できないという問題があることから、脱毛症に対して根本的な治療や予防を可能にする育毛及び/又は発毛剤の提供が望まれている。
一方、細菌などの微生物において化学物質によって他の生物個体と情報伝達する機構が存在することが知られている。このような物質としては、抗生物質のように他種の微生物に作用してその生育を阻害する物質のほか、同種間の微生物において交換されるフェロモン様の物質(クオルモン)が知られている。クオルモンを周囲の微生物をやりとりすることによって細菌数及び細菌密度などを感知し、その情報に基づいて特定の物質の産生誘導が生じるが(クオラムセンシング)、クオルモンは菌体外に分泌されて周囲の微生物に取り込まれれ、周囲の微生物においても同じ物質の産生が促進される。
クオラムセンシングを行う細菌のうち、緑膿菌などのグラム陰性菌の多くはN-アシル-L-ホモセリンラクトン(AHL)類と呼ばれる物質をクオルモン(オートインデューサーと呼ばれる場合もある)として利用しており、N-ヘキサノイル-L-ホモセリンラクトン(C6-HSL)又はN-(3-オキソオクタノイル)-L-ホモセリンラクトン(3-oxo-C8-HSL)など種々のアシル基を有する物質が微生物の種類に応じて利用されている(国際公開92/18614号、Journal of Bacteriology, 175, pp.3856-3862, 1993、米国特許第5591872号明細書など)。
N-アシル-L-ホモセリンラクトンについては、創傷に対して外用で適用した場合に炎症を惹起することが報告されているが(第39回日本創傷治癒学会、演題番号S3-2、「緑膿菌クオラムセンシングシグナルによる創傷部における炎症の誘導」、2009年12月8日)、この物質が毛周期の停滞した既存の毛包の活性化作用や皮膚から皮下組織における毛包再生の誘導作用などを有していることは従来全く知られていない。
国際公開92/18614号 米国特許第5591872号明細書
Journal of Bacteriology, 175, pp.3856-3862, 1993 第39回日本創傷治癒学会、演題番号S3-2、「緑膿菌クオラムセンシングシグナルによる創傷部における炎症の誘導」、2009年12月8日
本発明の課題は、育毛及び/又は発毛促進剤を提供することにある。より具体的には、毛周期の停滞した毛包に対する活性化作用や毛包再生の誘導作用などを有し、脱毛症に対して根本的な治療及び/又は予防を可能にする育毛及び/又は発毛剤を提供することが本発明の課題である。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、N-アシル-L-ホモセリンラクトンを皮膚に塗布又は噴霧などにより適用すると残存する毛包が活性化され、かつ新たな毛包の再生を誘導することができること、及び壮年性脱毛症に限らず種々の脱毛症において発毛を促進することができることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、N-アシル-L-ホモセリンラクトンを有効成分として含む育毛及び/又は発毛の促進剤が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、外用剤の形態である上記の促進剤;水溶液の形態である上記の促進剤;噴霧剤又は塗布剤の形態である上記の促進剤が提供される。
本発明のさらに好ましい態様によれば、アシル基が炭素数4〜30程度、好ましくは6〜20程度、より好ましくは10〜14程度の直鎖又は分枝鎖の脂肪族アシル基である上記の医薬;N-アシル-L-ホモセリンラクトンがN-(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトンである上記の促進剤が提供される。
別の観点からは、N-アシル-L-ホモセリンラクトンを有効成分として含む育毛及び/又は発毛の促進のための医薬;N-アシル-L-ホモセリンラクトンを有効成分として含む毛包活性化剤;N-アシル-L-ホモセリンラクトンを有効成分として含む毛包活性化のための医薬;N-アシル-L-ホモセリンラクトンを有効成分として含む毛包再生誘導剤;N-アシル-L-ホモセリンラクトンを有効成分として含む毛包再生のための医薬が提供される。また、上記の育毛及び/又は発毛の促進剤、毛包活性化剤、毛包再生誘導剤、あるいは上記の医薬の製造のためのN-アシル-L-ホモセリンラクトンの使用も本発明により提供される。
さらに、育毛及び/又は発毛の促進方法であって、N-アシル-L-ホモセリンラクトンをヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;毛包を活性化する方法であって、N-アシル-L-ホモセリンラクトンをヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;及び毛包の再生を誘導する方法であって、N-アシル-L-ホモセリンラクトンをヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が本発明により提供される。これらの方法の好ましい態様によれば、N-アシル-L-ホモセリンラクトンをヒトを含む哺乳類動物の皮膚に適用する工程を含む上記方法;N-アシル-L-ホモセリンラクトンをヒトを含む哺乳類動物の皮膚に塗布又は噴霧する工程を含む上記方法;水溶液の形態のN-アシル-L-ホモセリンラクトンをヒトを含む哺乳類動物の皮膚に適用する工程を含む方法が提供される。
本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤は毛周期が停滞した毛包に対する活性化作用や毛包再生の誘導作用などを有しており、壮年性脱毛症のほか種々の脱毛症において育毛及び/又は発毛を促進することができ、脱毛症に対して根本的な治療及び/又は予防手段として利用することができる。
肥満・糖尿病マウス(ob/ob)における発毛阻害を示した図である。左は除毛当日、右は除毛後1ヶ月の結果を示す。 ob/obマウスの由来系統である正常マウス(C57BL/6)における発毛を示した図である。左は除毛当日、中央は除毛後7日、右は除毛後11日の結果を示す。 肥満・糖尿病マウス(ob/ob)におけるN-アシル-L-ホモセリンラクトンの育毛及び/又は発毛促進作用を示した図である。 肥満・糖尿病マウス(ob/ob)におけるN-アシル-L-ホモセリンラクトンの作用を組織学的に調べた結果を示した図である。
本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤は、N-アシル-L-ホモセリンラクトンを有効成分として含むことを特徴としている。
N-アシル-L-ホモセリンラクトンのアシル基としては、例えば炭素数4〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは10〜14程度の直鎖状又は分枝鎖状のアシル基を用いることができる。アシル基は1個又は2個以上の置換基を有していてもよい。例えば、水酸基、オキソ基、ハロゲン原子、又はアミノ基などを有していてもよく、1個のオキソ基を有することが好ましい場合がある。置換基の種類によってはN-アシル-L-ホモセリンラクトンが塩を形成する場合があるが、本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤の有効成分として生理学的に許容されるN-アシル-L-ホモセリンラクトンの塩を用いてもよい。また、アシル基は1個又は2個以上の不飽和結合を含んでいてもよいが、好ましくは飽和のアシル基を用いることができる。好ましくは非置換の飽和脂肪族アシル基、及び3位にオキソ基を有する飽和脂肪族アシル基が好ましく、非置換の直鎖状飽和脂肪族アシル基及び3位にオキソ基を有する直鎖状飽和脂肪族アシル基が好ましい。
アシル基としては、例えば、ブチリル基、3-オキソブチリル基、3-ヒドロキシブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、3-オキソバレリル基、イソバレリル基、3-オキソイソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、3-オキソヘキサノイル基、ヘプタノイル基、3-オキソヘプタノイル基、オクタノイル基、3-オキソオクタノイル基、ノナノイル基、3-オキソノナノイル基、デカノイル基、3-オキソデカノイル基、ウンデカノイル基、3-オキソウンデカノイル基、ラウロイル基、3-オキソドデカノイル基、トリデカノイル基、3-オキソトリデカノイル基、テトラデカノイル基、3-オキソテトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、3-オキソペンタデカノイル基、パルミトイル基、3-オキソパルミトイル基、ヘプタデカノイル基、3-オキソヘプタデカノイル基、ステアロイル基、3-オキソステアロイル基、ノナデカノイル基、3-オキソノナデカノイル基、イコサノイル基、3-オキソイコサノイル基、トリアコンタノイル基、3-オキソトリアコンタノイル基、ミリストイル基、3-オキソミリストイル基、及びピルボイル基等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
N-アシル-L-ホモセリンラクトンとしては、例えば、N-ブチリル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソブチリル)-L-ホモセリンラクトン、N-(3-ヒドロキシブチリル)-L-ホモセリンラクトン、N-イソブチリル-L-ホモセリンラクトン、N-バレリル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソバレリル)-L-ホモセリンラクトン、N-イソバレリル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソイソバレリル)-L-ホモセリンラクトン、N-ピバロイル-L-ホモセリンラクトン、N-ヘキサノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソヘキサノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ヘプタノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソヘプタノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-オクタノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソオクタノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ノナノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソノナノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-デカノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ウンデカノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソウンデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ラウロイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-トリデカノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソトリデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-テトラデカノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソテトラデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ペンタデカノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソペンタデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-パルミトイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソパルミトイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ヘプタデカノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソヘプタデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ステアロイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソステアロイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ノナデカノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソノナデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-イコサノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソイコサノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-トリアコンタノイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソトリアコンタノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-ミリストイル-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソミリストイル)-L-ホモセリンラクトン、及びN-ピルボイル-L-ホモセリンラクトン等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
より好ましくは、例えば、N-(3-オキソデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソウンデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、N-(3-オキソトリデカノイル)-L-ホモセリンラクトン、及びN-(3-オキソテトラデカノイル)-L-ホモセリンラクトンなどを用いることができ、特に好ましくはN-(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトンを用いることができる。もっとも、本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤の有効成分はこれらの特定のN-アシル-L-ホモセリンラクトンに限定されることはない。N-(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトンなどN-アシル-L-ホモセリンラクトンに包含されるいくつかの代表的化合物は市販されており、容易に入手することができる。また、脂肪族カルボン酸又はそのエステルと環状アミノ酸との間にアミド結合を形成させることにより所望のN-アシル-L-ホモセリンラクトンを容易に合成することができる(例えば、国際公開92/18614号などを参照のこと)。
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤は毛包を活性化して発毛を促進する作用を有しており、新たな毛包の再生を誘導する作用も有している。従って、本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤は、脱毛症の病変部において残存している毛包を活性化することにより、例えば休止期毛の割合を低下させて病変部における育毛及び/又は発毛を促進することができる。さらに、脱毛症の病変部において新たな毛包を再生することにより発毛を誘導し、誘導した毛包を活性化することにより育毛及び/又は発毛を促進することもできることから、壮年性脱毛症のほか多様な脱毛症に対して有効性を発揮することができる。
本明細書において「育毛」の用語は既存の毛に対して毛を太く及び/又は丈夫にし、毛を成長させるなど毛の健康状態を回復させる作用などを包含しており、「発毛」の用語は毛が失われている状態から新しい毛を成長させる作用などを包含するが、これらの用語をいかなる意味においても限定的に解釈してはならず、上記の概念を含めてもっとも広義に解釈しなければならない。
本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤の適用対象となる脱毛症は特に限定されず、脱毛や薄毛など外観上十分な毛の量及び/又は質が失われている状態あるいは失われつつある状態などを含めて、加齢、ホルモン異常、ストレス、皮脂過剰など種々の原因で引き起こされる種々の脱毛症に適用することができる。一般的には、脱毛症には壮年性脱毛症、男性ホルモンが原因とされる男性型脱毛症(AGA)、女性特有のびまん性脱毛症、円形脱毛症、粃糠性脱毛症、脂漏性脱毛症、分娩後脱毛症、抗ガン剤の副作用による脱毛症、トリコチロマニア、牽引性脱毛症などが包含されるが、本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤の適用対象となる脱毛症はこれらに限定されることはない。また、本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤は脱毛症の治療のほか、脱毛症の予防のためにも用いることができる。さらに、本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤はヒトの頭髪の育毛及び/又は発毛の促進剤として使用することができるほか、イヌやネコなどの哺乳類動物に対しても脱毛症の治療や増毛を目的として適用することができる。
本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤の投与経路は特に限定されず、経口的又は非経口的に投与することが可能であるが、一般的には非経口的に投与することが好ましく、特に局所投与することが好ましい。非経口投与に適する製剤の例としては、例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射などの注射用の製剤や点滴剤のほか、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、点耳剤、点眼剤、吸入剤、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤などの局所投与に適する製剤を挙げることができるが、これらに限定されることはない。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、又は液剤などを挙げることができる。
局所投与に適する好ましい製剤の例として、例えば溶液の形態や親水性ゲルの形態の製剤を挙げることができる。特に水溶液の形態の製剤は、皮膚に噴霧又は塗布などの手段で適用することができるので好ましい形態である。例えば水溶液の形態の製剤をガーゼなどに吸収させて皮膚に適用することもでき、親水性ゲルの形態の製剤を長時間にわたって皮膚に適用することもできる。また、別の好ましい投与形態として、例えば、脱毛症の病変部又はその周囲に局所注射や筋肉内注射により投与する方法を挙げることができる。
局所投与に適する溶液形態の製剤は、例えば噴霧や塗布に適した水溶液の形態とすることが好ましいが、水のほかにグリセリンやエチルアルコールなどを含む水性組成物の形態として調製されていてもよい。必要に応じて水性製剤の調製に汎用されている等張化剤、pH調節剤、安定化剤、緩衝剤、無痛化剤、保存剤、香料、着色剤などを1種又は2種以上用いて常法により調製することができる。ペースト、クリーム、又はゲルなどの形態の製剤は、白色ワセリン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコンなどの基剤のほか、必要に応じて安定剤、湿潤剤、又は保存剤などを1種又は2種以上用いて常法により調製することができる。貼付剤は、通常の支持体に上記溶液、ペースト、クリーム、又はゲルなどを塗布することにより調製することができる。支持体としては、例えば、綿やスフなどの織布や不織布のほか、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、又はポリウレタンなどのフィルム又は発泡体シートなどを好適に使用できるがこれらに限定されることはない。局所投与に適する製剤には、さらに必要に応じて感染を防止するために1種又は2種以上の抗菌剤を添加することもできる。
本発明の育毛及び/又は発毛の促進剤の投与量は特に限定されず、脱毛症の種類や程度、病変部の面積、治療や予防の目的などの条件に応じて適宜の投与量を選択することができる。例えば、溶液形態の製剤を外用で適用する場合には適用面積あたり有効成分重量として0.01 〜100 mg/cm2程度を適用することができるが、この特定の投与量に限定されるわけではない。噴霧剤や塗布剤として用いる場合には、例えば、有効成分濃度0.01〜100 mg/L程度の水溶液を調製して適宜の容量を頭皮などの局所に適用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により限定されることはない。
例1
肥満・糖尿病マウス(ob/ob)を発毛阻害モデル動物として用いた。ob/obマウスは除毛クリームを用いて除毛した後、1カ月以上を経過しても発毛が全く認められない(図1)。一方、ob/obマウスの由来系統である正常マウス(C57BL/6)では1週間で皮膚にメラニン色素の沈着が見られ、11日後には除毛部全域に渡って発毛が認められ、さらに1カ月後にはほぼ元の状態に生えそろう(図2)。
ob/obマウスの除毛後5日目から1週間にわたりN-(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトン(以下、「AHL」と略す)の水溶液(AHLの粉末をジメチルスルホキシドに10mMの濃度で溶解した後に生理食塩水で1000倍希釈して最終濃度10μMとした溶液)を40 μL染み込ませたガーゼを除毛部に貼付した。AHLの貼付を開始後4日目には皮膚にメラニン色素の沈着が認められ、1週間後にガーゼ貼付部位を超える広範囲にわたる発毛が確認された。AHL投与期間終了後もさらに発毛は継続して促進され、塗布開始後15日目には除毛部全域に渡って体毛で覆われた(図3)。
例2
ob/obマウスの除毛後5日目から1週間、AHL水溶液(10 μM)を40 μL染み込ませたガーゼを貼付した。対照動物としてob/obマウスに溶媒のみを染みこませたガーゼを同様に貼付した。AHL塗布開始から1カ月後にガーゼ貼付部位の皮膚組織を採取し、パラフィン切片のHE染織にて組織学的に解析を行った。結果を図4に示す。
AHL投与動物では皮下脂肪組織の深層にヘマトキシリンで強く染色される好塩基性の細胞塊が形成されており、その中心にメラニン色素の凝集を認めた。表層に向かうに従い、内腔が形成され細胞層が取り囲む毛包様の構造を呈し、脂肪層と真皮層の境界では周囲の細胞層が重層化していた。また、中心のメラニン色素の凝集は表層に向かうに従って、体毛におけるメラニンのパターンと類似の整列をしている様子が観察された。
このヘマトキシリンで強く染まる細胞塊は、経皮的に吸収されたAHLが脂肪層のいずれかの細胞(脂肪細胞、脂肪幹細胞、繊維芽細胞など)に作用して凝集したものであるものと考えられる。この細胞塊構造は、対照動物の真皮層に存在する毛包数よりもはるかに多く、この結果は、AHLの作用により脂肪層において新規の毛包が再生されていることを示唆しており、出生以降には毛包数は増えないとされていた従来の定説を覆す知見である。
また、真皮層に存在する毛包を観察すると、対照動物では毛包内にケラチンの凝集が認められず、ヘアサイクルが停滞していることが分かる。一方、AHL投与動物では、毛包が対照動物と比べて大きく発達しており、その内部にはパターン化したケラチンの凝集が認められる。このことは、AHLが既存の毛包を活性化し、発毛を促進する作用を有することを示している。

Claims (6)

  1. N-アシル-L-ホモセリンラクトン(ただしアシル基は3位にオキソ基を有する炭素数6〜14の直鎖状飽和脂肪族アシル基である)を有効成分として含む育毛及び/又は発毛の促進剤。
  2. N-アシル-L-ホモセリンラクトンがN-(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトンである請求項1に記載の育毛及び/又は発毛の促進剤。
  3. 外用剤の形態である請求項1又は2に記載の育毛及び/又は発毛の促進剤。
  4. 噴霧剤又は溶液剤の形態である請求項3に記載の育毛及び/又は発毛の促進剤。
  5. N-アシル-L-ホモセリンラクトン(ただしアシル基は3位にオキソ基を有する炭素数6〜14の直鎖状飽和脂肪族アシル基である)を有効成分として含む育毛及び/又は発毛の促進のための医薬。
  6. N-アシル-L-ホモセリンラクトン(ただしアシル基は3位にオキソ基を有する炭素数6〜14の直鎖状飽和脂肪族アシル基である)を有効成分として含む毛包活性化及び/又は毛包再生誘導のための医薬。
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