JP5713669B2 - 有機リン硫黄化合物及びそれらの組合せを使用する高温ナフテン酸腐食防止 - Google Patents

有機リン硫黄化合物及びそれらの組合せを使用する高温ナフテン酸腐食防止 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、酸性高温炭化水素中での金属腐食の防止に関し、より詳細には、特に酸性がナフテン酸の存在によって得られるときの、高温酸性炭化水素中での鉄含有金属の腐食の防止に関する。本発明は、硫黄腐食の防止にも有用である。
[従来技術の検討]
原油及びその様々な留分の処理が、ナフテン酸腐食によって、配管及びその他の関連ある設備に損傷をもたらすことは、当技術分野で広く知られている。これらは、原油の蒸留、抽出、輸送、及び処理に使用される設備に対して腐食性がある。一般的に言えば、ナフテン酸腐食は、処理される原油において、1gのサンプル中の酸を中和するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数として表される中和価又は全酸価(TAN)が、0.2よりも高いときに生ずる。ナフテン酸含有炭化水素は、約200℃から400℃(約400°F〜750°F)の間の温度にあり、また、例えば移送ライン、返しベンド、及びの制限流動領域などにおいて、流体速度が高く又は液体が処理表面に衝突するときに存在することが知られている。
原油中のナフテン酸成分及び硫黄化合物に関連した、石油精製操作における腐食問題は、何年にもわたって認識されてきた。そのような腐食は、特に、400°Fから790°Fの間の温度での、常圧及び真空蒸留ユニットで深刻である。ナフテン酸を含有する原油の腐食性に寄与するその他の要因には、存在するナフテン酸の量、硫黄化合物の濃度、ユニット内の流体の流速及び乱流と、ユニット内の位置(例えば、液体/気体界面)が含まれる。
一般に使用されるように、ナフテン酸は、様々な原油中に存在する特定の有機酸の総称である。少量のその他の酸が存在する可能性があるが、ナフテン系原油中の大部分の酸は、その特徴がナフテン的であり、即ち、下記のような飽和環構造を有すると理解される。
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ナフテン酸の分子量は、広範囲に及ぶ可能性がある。しかし、原油からのナフテン酸の大部分は、軽油及び軽潤滑油中に見出される。そのようなナフテン酸を含有する炭化水素が、特に高温で鉄含有金属と接触すると、深刻な腐食問題が生ずる。
ナフテン酸腐食は、何年にもわたって精製業を悩ませてきた。この腐食材料は、主に、沸点範囲が350°Fから650°Fの間である単環式又は二環式カルボン酸からなる。これらの酸は、原油蒸留中に、より重い留分中に濃縮される傾向がある。このように、炉管や移送ライン、分留塔内部、カラムの供給及び還流セクション、熱交換器、トレー底部、凝縮器などの位置は、ナフテン酸の腐食を受ける主な部位である。さらに、ナフテン酸の含量が高い原油が処理される場合、炭素鋼又はフェライト鋼炉管及び塔底部に深刻な腐食が生ずる可能性がある。最近では、中国、インド、アフリカ、及び欧州などの地域からの原油中にナフテン酸が存在することから、炭化水素処理ユニットにおけるこのタイプの腐食の制御に関心が高まっている。
原油は、ある範囲の分子構造と二次的範囲の物理的性質を有する炭化水素混合物である。炭化水素混合物中に含有され得るナフテン酸の物理的性質は、分子量の変化並びに酸を含有する油の供給源によっても変化する。したがって、これらの酸の特徴付け及び挙動は、十分に理解されていない。原油中の酸濃度を「定量する」のに使用される周知の方法は、油のKOH滴定であった。サンプル中の全ての酸が中和したことが確実な終点まで、油を強塩基のKOHで滴定する。この滴定の単位は、KOHのmg/サンプルのgであり、「全酸価」(TAN)又は中和価と呼ぶ。どちらの用語も、本出願では同義に使用される。
酸のモル数、又は酸含量に関する任意のその他の通常の分析用語として、油の酸性度を計算することは不可能であるので、TANの単位が一般に使用される。精製業者は、ナフテン酸腐食を予測するための一般的指針としてTANを使用してきた。例えば多くの精製業者は、各々の原油をブレンドしてTAN=0.5にし、即ちこれらの濃度ではナフテン酸腐食が生じないと仮定される値にした。しかし、この尺度では、ナフテン酸による腐食の防止に失敗した。
ナフテン酸腐食は、非常に温度に依存する。この腐食に関して一般に認められる温度範囲は、205℃から400℃(400°Fから750°F)の間である。205℃よりも低い温度でのこれらの酸による腐食攻撃は、既刊文献にまだ報告されていない。上限境界に関しては、データは、腐食速度が約600°〜700°Fで最大に達し、次いで低下し始めることを示唆している。
酸/油混合物の濃度及び速度も、ナフテン酸腐食に影響を及ぼす重要な因子である。これは、ナフテン酸腐食により影響を受けた表面外観によって証明される。腐食の手法は、腐食表面のパターン及び色の変化から推測することができる。いくつかの条件下で、金属表面は均一に薄くなる。薄くなった領域は、濃縮された酸が容器の壁面を流れるときにも生ずる。或いは、ナフテン酸の存在下、しばしば配管内又は溶接部で孔あきが生じる。通常、孔の外側の金属は、重く黒い硫化物被膜で覆われるのに対し、孔の表面は輝く金属であり、又は孔の表面を覆う薄い灰色から黒色の被膜のみ有する。さらに、別の腐食パターンは、鋭いエッジを有する丸たがねの特徴的パターンを有するエロージョン・コロージョンである。その表面は、目に見える副生成物が無く清浄に見える。金属腐食のパターンは、系内の流体の流れを示すが、それは表面との接触が増すことによってより多量の腐食が生ずる可能性があるからである。したがって腐食パターンは、生じた腐食の方法に関する情報を提供する。また、腐食がより複雑になるにつれ、即ち均一状態から孔あき状態、さらにエロージョン・コロージョンに至るように複雑さが増すにつれ、挙動を引き起こすTAN値が低下する。
腐食パターンによって提供された情報は、ナフテン酸が腐食剤か否か、又はより厳密に言えば腐食プロセスが硫黄による攻撃の結果として生じたか否かを示す。ほとんどの原油は硫化水素を含有し、したがって、炭素鋼上に硫化鉄被膜を容易に形成する。実験室又は現場で観察された全てのケースでは、金属表面が、ある種の被膜で覆われていた。硫化水素の存在下、形成された被膜は常に硫化鉄であり、一方、硫黄を含まない条件下で試験が行われたいくつかのケースでは、金属が酸化鉄で覆われるが、それは、金属試片上に薄膜を生成するのに十分な水又は酸素が常に存在するからである。
腐食の程度を決定するのに利用された試験は、特定の炭化水素処理ユニット内で生じる腐食のタイプの指標として、働いてもよい。金属試片は、系内に挿入することができる。それらは腐食するにつれ、材料を失う。この重量損失は、mg/cmの単位で記録される。その後、腐食速度を重量損失測定から決定することができる。次いで腐食速度と腐食生成物との比(mpy/mg/cm)を計算する。これは、生じた腐食プロセスのタイプのさらなる指標であり、この比が10未満の場合は、腐食プロセスに対するナフテン酸の寄与がごく僅かか全く無いことがわかった。しかし、この比が10を超えた場合、ナフテン酸は、腐食プロセスに対する明らかな寄与因子である。
硫化による攻撃とナフテン酸によって引き起こされた腐食との区別は、腐食剤に応じて異なる対策が必要となるので、重要である。通常、高温で硫黄化合物によって引き起こされた腐食の抑制は、炭化水素処理ユニットで使用される合金中のクロムの量を増加させることにより、行われる。1.25%Crから12%Cr、又はおそらくさらにより高い濃度の、ある範囲の合金を、用いてもよい。残念ながら、これらはナフテン酸に対して、ほとんど乃至全く耐性を示さない。硫黄及びナフテン酸の腐食作用を補償するために、少なくとも2.5%のモリブデンを含有するオーステナイト系ステンレス鋼を利用しなければならない。腐食問題は、油を精製及び分解するのに必要とされる高温によって、又は原油に元々存在している高レベルのナフテン酸により主に引き起こされる油の酸性度によって、悪化することが知られている。ナフテン酸は、約175℃から420℃の範囲内で腐食性である。より高い温度では、ナフテン酸は気相にあり、より低い温度では、腐食速度は深刻ではない。ナフテン酸の腐食性は、硫化水素、メルカプタン、硫黄元素、硫化物、二硫化物、多硫化物、及びチオフェノールなどの硫化物化合物の存在下で、並外れて深刻になるようである。硫黄化合物に起因した腐食は、450°Fという低い温度で著しくなる。メルカプタンの熱分解による硫化水素の触媒的生成は、硫化物による腐食の原因とされる。
より高い温度で硫化水素を生成する原油中の硫黄も、問題を悪化させる。このタイプの腐食に関して非常に興味深い温度範囲は、約175℃から約400℃の範囲、特に約205℃から約400℃の範囲内である。
ナフテン酸腐食を制御する様々な手法には、処理される原油からのナフテン酸の中和及び/又は除去;全体的な中和価を低下するための、低酸価の油と腐食性の高酸価の油とのブレンド;配管及び関連する設備の構造での、比較的高価な耐食性合金の使用が含まれている。これらの試みは、原油の処理に追加の処理を必要とし、及び/又はかなりのコストが付加されるので、一般に不利である。或いは、様々なアミン及びアミドをベースにした腐食防止剤が市販されているが、これらは一般に、ナフテン酸腐食の高温環境下で効果が無い。ナフテン酸腐食は、エチレン分解及び石油ベースの供給原料を使用したその他の炭化水素処理反応で生じる可能性がある、コーキングやポリマー堆積などの従来の汚れの問題とは容易に区別される。ナフテン酸腐食は、腐食性の流れと接触して金属の特徴的な溝を生成する。それとは対照的に、コークスの堆積は一般に、炭化、侵食、及び金属ダスティングに起因した腐食作用をもたらす。
これらの手法は完全に満足のいくものではないので、この産業で認められる手法は、より多量のクロム及びモリブデンを含有する高品質ステンレス鋼又は合金などの耐性金属で、蒸留ユニット又はナフテン酸/硫黄腐食に曝される部分を構成することである。耐食性合金の導入は、304及び316ステンレス鋼などの合金が炭素鋼のコストの何倍にもなるので、大きな資本を必要とする。しかし、そのように構成されていないユニットでは、このタイプの腐食に対する防止処理を行うことが求められている。ナフテン酸環境に関する従来技術の腐食防止剤には、窒素ベースの被膜化腐食防止剤が含まれる。しかし、これらの腐食防止剤は、ナフテン酸油の高温環境で比較的効果が無い。
様々な腐食防止剤が様々な技術分野で知られているが、任意の特定の腐食防止剤の効力及び有用性は、腐食防止剤が利用される特定の状況に依存する。このように、ある一連の状況下での効力又は有用性は、しばしば別の一連の状況下でも同じであることを示唆しない。その結果、多数の腐食防止剤が開発され、処理される媒体、腐食を受け易い表面のタイプ、遭遇する腐食のタイプ、及び媒体が曝される条件に応じて様々な系で利用するために使用されている。例えば、米国特許第3909447号明細書は、水攻法、冷却塔、ボーリング泥水、エアドリル、及び自動ラジエータシステムなどの、比較的低い温度の酸素化水性系での腐食に対して有用として、ある腐食防止剤について記述している。この特許は、非水性系及び/又は非酸素化系で機能することが可能な多くの腐食防止剤が、水性及び/又は酸素化系で十分に機能しないことも示している。その逆もまた同様である。防止剤が酸素化水性系で効力を示したという単なる事実は、この防止剤が炭化水素中で効力を示す可能性があるということを示唆しない。さらに、防止剤が比較的低い温度で有効であったと言う単なる事実は、この防止剤が高温で有効となり得ることを示さない。事実、比較的低い温度で非常に効果的な防止剤は、精油で経験する175℃から400℃などの温度で効果が無くなることが一般的である。そのような温度では、腐食は、周知のように面倒なものであり、軽減するのが難しい。このように米国特許第3909447号明細書には、炭化水素流体、特に高温の炭化水素流体などの非水性系で、有効になり得ると言う教示又は示唆が含まれていない。また、米国特許第3909447号明細書には、その明細書に開示された化合物が、そのような条件下でナフテン酸腐食に対して有効になり得るといういかなる示唆も無い。
常圧及び真空蒸留システムは、特定の原油を処理するときに、ナフテン酸腐食を受ける。現在使用されている処理は、使用温度で熱的に反応性がある。リンをベースにした防止剤の場合、これは、金属ホスフェート表面被膜をもたらすと考えられる。被膜は、ベースの鋼よりも、ナフテン酸腐食に耐性がある。これらの防止剤は、比較的揮発性があり、かなり狭い蒸留範囲を示す。防止剤は、温度範囲に応じて、腐食点の上又は下でカラム内に供給される。多硫化物防止剤は、高級及び低級多硫化物の複合混合物に、おそらくは硫黄元素及びメルカプタンの複合混合物に分解する。このように、揮発性及び提供される防備は、予測可能ではない。
精油所でナフテン酸腐食によって引き起こされた問題、及びその問題に対する従来技術の解決策は、文献に詳細に記述されており、その代表例は下記の通りである。
Koszmanの米国特許第3531394号明細書は、炉管壁面でのコークス形成を防止するための、石油蒸気炉の分解ゾーンにおけるリン及び/又はビスマス化合物の使用について記述した。
Shellらの米国特許第4024049号明細書は、製油所の防汚剤として使用される、本明細書に記述され特許請求の範囲に記載された化合物を十分に開示する。防汚剤材料として効果的であるが、このタイプの材料は、これまで、本明細書で述べてきたような手法で腐食防止剤として使用されてこなかった。この参考文献は、エステル材料の不揮発性に起因して、流入する供給材料に本発明で使用されるようなチオホスフェートエステルを添加することを教示しているが、これらは、カラム、ポンプアラウンド配管、又はその他のプロセスステップが保護されるようにカラム内に蒸留されない。本発明者は、ここに教示されるようにチオホスフェートエステルを注入することによって、蒸留カラム、ポンプアラウンド配管、及び関連する設備でのナフテン酸腐食の発生を防止する際に驚くべき活性が得られることがわかった。
Weinlandの米国特許第4105540号明細書は、エチレン分解炉での防汚添加剤としての、リン含有化合物について記述する。用いられるリン化合物は、アミンと複合体を形成する少なくとも1つの水素部分を有する、モノ及びジエステルホスフェート及びホスファイト化合物である。
米国特許第4443609号明細書は、酸腐食防止剤として有用であるとして、特定のテトラヒドロチアゾールホスホン酸及びエステルを開示する。そのような防止剤は、特定の2,5−ジヒドロチアゾールとジアルキルホスファイトとを反応させることによって、調製することができる。これらのテトラヒドロチアゾールホスホン酸又はエステルは、良好な腐食及び防止特性を有するが、これらは、その高温の適用例において、不快で有毒な物質をおそらくは放出しながら分解される傾向がある。
リン含有化合物は、例えば固定床水素処理装置及び水素化分解ユニットで、原油の処理に使用される、様々な触媒の機能を損なうことも知られている。原油処理装置は、ホスファイト安定装置を使用しない場合に鉄が炭化水素中に10から20ppmまで蓄積され、触媒を損なう可能性があるので、しばしば苦境に置かれる。非リン含有防止剤が市販されているが、これらは一般に、リン含有化合物よりも効果的ではない。
Kaplanらの米国特許第4542253号明細書は、少なくとも10ppmの水溶性アミンが複合化された、ホスフェート、ホスファイト、チオホスフェート、又はチオホスファイトエステル化合物を含む石油供給原料を使用して、エチレン分解炉内の汚れ及び腐食を低減する改善された方法について記述しており、但しこのアミンは、1.0よりも大きい分配係数(水性及び炭化水素溶媒の両方で等しい溶解度)を有するものである。
Kaplanらの米国特許第4842716号明細書は、少なくとも10ppmのリン防汚化合物と被膜形成防止剤との組合せで、汚れ及び腐食を低減するための、改善された方法について記述する。リン化合物は、ホスフェート、ホスファイト、チオホスフェート、チオホスファイトエステル化合物である。被膜形成防止剤はイミダゾリン化合物である。
Zetmeislらの米国特許第4941994号明細書は、ジアルキル又はトリアルキルホスファイトを任意選択のチアゾリンと組み合わせて含む、ナフテン酸腐食防止剤を開示する。
リン含有ナフテン酸腐食防止剤における著しい進歩は、米国特許第4941994号明細書で報告された。その中で、高温酸性液体炭化水素中の金属腐食は、腐食防止量のジアルキル及び/又はトリアルキルホスファイト及び任意選択のチアゾリンの存在によって、防止されることが開示されている。
米国特許第4941994号明細書に記載されている方法は、従来技術の技法に優る著しい改善をもたらすが、それにもかかわらず、原油の処理に使用される様々な触媒の機能を損なう可能性があるリン含有化合物の量を減少させながら、腐食防止剤の能力を高めることが常に求められており、それと共に、より低いコストで又はより入手し易い出発材料から生成することができるような防止剤が求められている。
ナフテン酸腐食を予防する別の手法は、原油と炭化水素処理ユニットの設備との間に障壁を形成する、化学剤の使用である。この障壁又は被膜は、腐食剤が金属表面に到達しないようにし、一般には疎水性材料である。GustavsenらのNACE Corrosion 89会議、論文番号449、4月17〜21日、1989年は、良好な被膜形成剤の要件について詳述している。米国特許第5252254号明細書は、そのような被膜形成剤、スルホン化アルキル置換フェノール、及びナフテン酸腐食に対して効果的なものを開示する。
1993年1月26日にPetersenらに発行された米国特許第5182013号明細書は、原油に有効量の有機多硫化物を導入するステップを含む、原油のナフテン酸腐食を防止する別の方法について記述する。これは、腐食防止硫黄種の別の例である。腐食源としての硫化は上記にて詳述された。そのプロセスは十分に理解されていないが、硫黄は少量で有効な防食剤になることができるが、十分に高い濃度であると腐食剤になることが決定された。
リンは、硫黄無しで、腐食に対して有効な障壁を形成することができるが、リンを含有するプロセスの流れに硫化剤を添加することによって、硫化物及びホスフェートの両方からなる被膜が得られる。これは、改善された性能、及び少ないリンの所要量をもたらす。本発明は、リンをベースにした材料を腐食制御に使用して、この相互作用を強めるときの、プロセスの流れへの硫化剤の計画的な添加に関する。
有機多硫化物(Babaian−Kibala、米国特許第5552085号明細書)、有機ホスファイト(Zetlmeisl、米国特許第4941994号明細書)、及びホスフェート/ホスファイトエステル(Babaian−Kibala、米国特許第5630964号明細書)は、ナフテン酸腐食に対し、炭化水素に富む相で有効であることが主張されている。しかし、それらの高い油溶性は、リンによる留出物副流汚染の危険性を招く。
ホスフェートは、腐食防止又はその他の適用例を目的として、鋼表面にホスフェート/鉄複合体被膜を形成するために、主に水相で使用されてきた(Coslett、英国特許第8667号明細書、米国特許第3132975号明細書、第3460989号明細書、及び第1872091号明細書)。高温非水性環境(石油)でのホスフェートの使用も、汚れ軽減の目的で報告されている(米国特許第3145886号明細書)。
依然として、より低いコストで酸性原油の腐食性を軽減するための追加の選択肢を開発することが、引き続き求められている。これは特に、精製マージンが低く、欧州、中国、又はアフリカ、及びインドなどの供給源からの腐食性原油の入手可能性が高い時に、言えることである。本発明は、この要求に対処する。
上記事項を考慮すると、従来技術の組成物の欠点を克服することになる、効果的な高温ナフテン酸腐食防止及び硫黄腐食防止をもたらす組成物を、提供することが求められる。
[本発明の目的及び利点]
したがって、本発明の目的及び利点について、以下に記述する。
本発明の目的は、非常に効果的な高温ナフテン酸腐食防止及び硫黄腐食防止をもたらすことになる、化学組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、高温であっても非常に安定な、腐食防止組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、非常に低い酸価を有する腐食防止組成物を提供することである。
[発明の概要]
本発明は、処理ユニットの金属表面に腐食を引き起こす、炭化水素を処理する分野に関する。本発明は、高温ナフテン酸腐食及び硫黄腐食の技術的課題に対処し、これらのタイプの腐食を防止する解決策を提供する。触媒量の硫黄の存在下で、高反応性ポリイソブチレン(HRPIB)と五硫化リンとを反応させることによって形成される組成物は、高温ナフテン酸腐食防止及び硫黄腐食防止の場合、高い腐食防止効率をもたらす。本発明は、精製装置、蒸留カラム、及びその他の石油化学工業など、全ての炭化水素処理ユニットで有用である。
[発明の説明]
本発明は、高温ナフテン酸腐食を防止するための腐食防止剤として使用される、以下の反応済み化合物を使用する。この反応済み化合物は、硫黄粉末の存在下、オレフィンなどの炭化水素RとP(五硫化リン)とを反応させることによって得られる。好ましいオレフィンは二重結合を有し、二重結合は、内部に又は末端に存在する。前記炭化水素Rの詳細を、以下に述べる。
前述のように、本明細書で使用される「炭化水素」と言う用語は、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、若しくはアルキニル基、又はアリール基のいずれか1つを意味する。炭化水素と言う用語には、これらの基であって場合によって置換されているものも含まれる。炭化水素が、そこに(1個又は複数の)置換基を有する分岐状構造である場合、その置換は、炭化水素の主鎖上又は側鎖上にいずれにあってもよく、或いは、これらの置換は、炭化水素の主鎖上と側鎖上にあってもよい。
好ましくはRは、場合によって置換されたアルキル又はアルケニル基である。一態様では、Rは、場合によって置換されたアルキル基である。別の態様では、Rは、場合によって置換されたアルケニル基である。
「アルケニル」と言う用語は、1つ又は複数の炭素間二重結合を含むことができる、分岐状又は直鎖状炭化水素を指す。例示的なアルケニル基には、プロピレニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、2,2−メチルブテニル、3−メチルブテニル、ヘキサニル、ヘプテニル、オクテニル、及びこれらのポリマーが含まれる。
一態様では、Rは、場合によって置換された分岐状アルキル又はアルケニル基である。好ましくは、Rは、ポリイソブテニル(PIB)基である。
従来のPIB、いわゆる「高反応性」PIB(例えば、欧州特許第0565285号明細書参照)は、本発明で使用するのに適している。この文脈において、高反応性とは、末端オレフィン二重結合の少なくとも50%、好ましくは70%以上がビニリデンタイプのものであるPIBと定義され、例えばBASFから入手可能なGLISSOPAL化合物である。
一態様では、Rは、10から1000個の間の炭素原子、好ましくは4から200個の間の炭素原子を有する。
一態様では、Rは、200から10000、好ましくは200から1300の分子量を有する。
内部で二重結合されたオレフィンの例には、β−オレフィンが含まれる。
とオレフィンとの比は、好ましくは、P 0.05から2モル対オレフィン1モルである。硫黄粉末は触媒量で存在し、即ち、硫黄粉末はオレフィンの0.5重量%から5重量%である。
本発明の最も好ましい実施形態を、以下に記述する:
計量された量のHRPIB(高反応性ポリイソブチレン)、五硫化リン、及び硫黄粉末を、窒素入口、撹拌器、及び温度計を備えた清浄な4つ口丸底フラスコ内に投入し、それによって反応混合物を形成する。
この反応混合物を撹拌し、窒素ガスのパージ下で、160℃の温度まで加熱する。この160℃の温度では、反応は、硫化水素ガス(HS)の発生をもたらす。次に反応混合物の温度を、160℃から180℃の間で、1時間から2時間にわたり維持する。次いで混合物の温度を、220℃まで上昇させる。次いで反応混合物を、この220℃の温度で6時間維持する。
次いで得られた反応塊を100℃の温度まで冷却し、得られた反応塊に窒素ガスをパージしたときに、内部に存在する硫化水素を追い出す。得られたポリイソブチレンリン硫黄化合物を、高温ナフテン酸腐食防止剤として使用する。この化合物は、未処理のままで、又はキシレンやトルエン、芳香族溶媒などの適切な溶媒中、及び高温ナフテン酸腐食の防止を実現する任意のその他の適切な溶媒中に希釈して、使用される。
本発明は、ナフテン酸を含有する原油やその留分などの炭化水素を処理する処理ユニットの、金属表面の腐食を防止するための方法を対象とする。本発明を、蒸留ユニットなどの処理ユニットで原油を処理するのに使用するときの以下の方法ステップが実施される、その簡単な形態で詳細に説明する。同様のステップは、ポンプアラウンド配管、熱交換器、及びそのようなその他の処理ユニットなど、種々の処理ユニットで使用することができる。
これらの方法ステップを、以下に説明する:
a)ナフテン酸を含有する炭化水素を加熱して、炭化水素の一部を蒸発させる;
b)炭化水素の蒸気を蒸留カラム内で上昇させる;
c)蒸留カラム内を通過する炭化水素蒸気の一部を凝縮して、留出物を生成する;
d)留出物に、本発明のポリイソブチレンリン硫黄化合物を5から2000ppm添加する;
e)ポリイソブチレンリン硫黄化合物を含有する留出物を、蒸留ユニットの金属表面全体に実質的に接触させて、そのような表面上に保護被膜を形成し、それによって、そのような表面を腐食から保護する。
蒸留された炭化水素流体からの凝縮蒸気が、200℃よりも高い温度で、好ましくは400℃で金属製の装置に接触したときに、ナフテン酸腐食を予防するために、蒸留カラム、トレー、ポンプアラウンド配管、及び関連する装置を処理することが有利である。ポリイソブチレンリン硫黄化合物添加剤は、一般に凝縮留出物に添加され、凝縮留出物は、この凝縮留出物がカラム内を下方に下がり蒸留容器内に入るときに、蒸留カラム、充填材、トレー、ポンプアラウンド配管、及び関連する装置の金属表面に接触する。留出物は、生成物として収集してもよい。本発明の腐食防止剤は、残存して収集される生成物中にそのまま残る。
商業的な実施に際し、ドロートレー(draw tray)及びカラム充填材の腐食を制御するために、本発明の添加剤を留出物の戻りに添加してもよく、一方、留出物ドロートレーの下の、充填塔及びトレーを保護するために、第2の注入物をドロートレーの直下でスプレーオイルの戻りに添加してもよい。後に蒸留容器に戻り、又は蒸留カラム、トレー、ポンプアラウンド配管、及び関連する装置の金属内面に接触する留出物に、本発明の添加剤が添加される限り、どこで本発明の添加剤を添加するかは、それほど重要ではない。
高温ナフテン酸腐食の防止を実現するために、本発明のポリイソブチレンリン硫黄化合物を使用する方法について、実施例1から4の助けを借りて以下に説明する。
実施例1から4に記載される実験の、表IからVに示される結果に関して、以下に示される詳細な考察は、高温ナフテン酸腐食防止又は硫黄腐食防止における本発明の添加剤化合物の有効性を説明する。
HRPIBと五硫化リンとのモル比が1:1であった表Iを参照すると、静止試験では、本発明の添加剤化合物の有効投与量が150ppmから325ppmに増加するにつれ、実施例2に示される式によって計算された腐食防止効率は、55.75%から99.67%に増加したことが観察される。
HRPIBと五硫化リンとのモル比が1:0.25であった表IIを参照すると、本発明の添加剤化合物の有効投与量が250ppmから750ppmに増加するにつれ、実施例2に示される式によって計算された腐食防止効率は、42.3%から97.72%に増加したことが観察される。
通常のポリイソブチレンが使用され、通常のポリイソブチレンと五硫化リンとのモル比が1:0.35であった表IIIを参照すると、実施例2に示される式によって計算された腐食防止効率は、本発明の添加剤化合物の有効投与量300ppmが使用された場合、54.39%であった。
表IVを参照すると、不動態化試片が用いられ、ポリイソブチレンと五硫化リンとのモル比が1:1であり、本発明の添加剤化合物の有効投与量が5ppmに維持された動的試験では、不動態化用量が250ppmから500ppmに増加するにつれ、腐食防止効率が81.16%から85.48%に増加したことが観察された。
再び表IVを参照すると、動的試験では、本発明の添加剤化合物の有効投与量が5ppmから15ppmに増加するにつれ(不動態化用量は同じに保たれ、即ち500ppmである)、実施例2に示される所与の式によって計算される腐食防止効率は、85.48%から100%に増加した。
表Vを参照すると、本発明の添加剤化合物は、硫黄含量の高い炭化水素の流れに接触した金属表面の、高温腐食の制御でも有効であることが観察される。
このように、先の考察から、腐食防止に使用される本発明の添加剤化合物は、従来技術に比べ、以下の重要な際立った特徴を有することがわかる。
1)本発明の発明者は、広範囲に及ぶ実験の後、驚くべきことに、本発明者によって使用された添加剤化合物、即ち、高反応性ポリイソブチレン又は通常のポリイソブチレンと五硫化リンとをポリマー添加剤のみの中で反応させることによって形成された添加剤化合物が、表I及びVに示される実験結果によって示されるように、高温腐食防止に非常に効果的であることを見出した。
従来技術は、概して、ナフテン酸腐食防止、又は硫黄腐食防止、又は任意の腐食防止での、ポリマー添加剤の使用を、教示又は示唆していない。
2)本発明の添加剤化合物の、別の際立った特徴は、本発明の添加剤化合物のポリマー的な性質により、従来技術によって教示された添加剤化合物に比べてより高い熱的安定性を有することである。その高い熱的安定性により、本発明の添加剤化合物は、高温ナフテン腐食防止又は高温硫黄腐食に非常に効果的である。
3)本発明の添加剤化合物の、さらに別の際立った特徴は、従来技術の添加剤化合物に比べて非常に低い酸性度を有することであり、例えば従来技術のホスフェートエステルは、非常に高い酸性度を有する。従来技術のホスフェートエステルは、さらにより低い温度で分解する傾向を有し、それによってホスフェートが形成され、このホスフェートがさらに炭化水素の流れに沿って移動し、蒸留カラムの充填材などの装置の金属表面と反応して、固体の鉄ホスフェートを形成することが知られている。これらの固形分は、装置の穴部を塞ぎ、それによって蒸留カラムの汚れをもたらす。
本発明の添加剤化合物には、この欠点が無い。
(実施例1)
計量した量である68.18gの市販のHRPIB(分子量が約950の高反応性ポリイソブチレン)、30.31gの五硫化リン、及び1.51gの硫黄粉末を、N入口、撹拌器、及び温度計を備えた清浄な4つ口丸底フラスコに投入し、それによって反応混合物を形成する。これにより、五硫化リンとオレフィンとの1:1のモル比が得られる。
反応混合物を撹拌し、窒素ガスをパージしながら160℃の温度まで加熱した。Nガスのパージによって、反応中に生成された硫化水素ガスが除去された。反応混合物の温度を、1時間から2時間にわたって160℃から180℃に間に維持した。次いで混合物の温度を220℃まで上昇させ、混合物を、この温度で6から10時間維持した。
次いで得られた反応塊を100℃まで冷却し、そこに窒素ガスをパージしたときに、内部に存在する硫化水素ガスを追い出した。得られたポリイソブチレンリン硫黄化合物を、高温ナフテン酸腐食防止剤、及び硫黄腐食防止剤として使用した。この化合物は、未処理のままで、又はキシレンやトルエン、芳香族溶媒などの適切な溶媒に、並びに高温ナフテン酸腐食及び硫黄腐食の防止を実現する任意のその他の溶媒に希釈して、使用した。
上述の合成は、HRPIBと五硫化リンとの種々のモル比に関して実施される。同様の合成を、HRPIBの代わりに通常のポリイソブチレンを使用することによって実施した。
(実施例2)
<高温ナフテン酸腐食試験>
この実施例では、実施例1により調製された組成物の、様々な量の50%配合物に対する、ナフテン酸を含有する高温の油における鋼試片上の腐食防止効率に関して試験をした。重量損失試片、浸漬試験を使用して、本発明の化合物を、290℃の温度でのそのナフテン酸腐食の防止の有効性について評価した。本発明の化合物の、300、400、及び600ppmなどの種々の投与量を、50%活性溶液として使用した。
鋼試片上での静止試験は、いかなる添加剤も使用せずに実施した。この試験により、ブランク試験の読みを得た。
反応装置は、水凝縮器、Nパージ管、温度計を備えた温度計ポケット、及び撹拌棒を備えた1リットルの4つ口丸底フラスコからなるものであった。600g(約750ml)のパラフィン炭化水素油(D−130)を、フラスコに採取した。Nガスパージを、100cc/分の流量で開始し、温度を100℃まで上昇させ、その温度を30分間維持した。ポリイソブチレン及び五硫化リンを硫黄粉末と共に含む、実施例1の化合物を、反応混合物に添加した。反応混合物を、100℃の温度で15分間撹拌した。撹拌器を除去した後、反応混合物の温度を290℃まで上昇させた。寸法が76mm×13mm×1.6mmの、事前に計量した重量損失炭素鋼試片CS1010を、浸漬した。この状態を1時間から1.5時間維持した後、ナフテン酸31g(酸価が230mg/KOHの商用級)を反応混合物に添加した。反応混合物1g分の重量のサンプルを収集して酸価を決定し、その酸価は約11.7であることがわかった。この状態を4時間維持した。この手順の後、金属試片を取り出し、過剰な油を濯ぎ去り、過剰な腐食生成物を金属表面から除去した。次いで金属試片を計量し、腐食速度を、年当たりのミル数として計算した。
<腐食防止効率の計算>
腐食防止効率の計算に使用した方法を、以下に示す。この計算では、添加剤化合物によって提供された腐食防止効率を、添加剤に起因する重量損失とブランク試片(いかなる添加剤も含まない)の重量損失とを比較することによって計算する。
腐食防止効率=[(添加材を含まないブランクに対する重量損失)−(添加材を含む重量損失)]/(添加材を含まないブランクに対する重量損失)×100
計算された値を、表内の適切な欄に記入する。
実験結果を表I及びIIに示す。
通常のポリイソブチレンを使用することによって実施された実験の試験結果を、表IIIに示す。
MPY(ミル/年)で表される腐食速度は、下式によって計算される。
MPY=[534×(重量損失(mg))]/[(密度(g/cc))×(面積(in))×(試験時間(時))]
(実施例3)
<高温ナフテン酸腐食動的試験>
動的試験は、温度制御されたオートクレーブ内に設けられた、回転手段を使用することによって実施し、不動態化された鋼試片を使用することによって実施した。鋼試片に対する動的試験は、いかなる添加剤も使用せずに実施した。この試験により、ブランク試験の読みを得た。不動態化手順を以下に説明する。
<不動態化手順>
パラフィン炭化水素油(D−130)600gを、水凝縮器、Nパージ管、温度計が入っている温度計ポケット、及び撹拌棒を備えた4つ口丸底フラスコを含む反応容器に採取した。Nガスをパージした。鋼試片の不動態化のため、実施例1の化合物の様々な量、例えば250、500、及び1000ppm(これらのそれぞれは、50%の活性添加剤化合物を含んでいた)を、この反応混合物に添加した。反応混合物を、100℃の温度で15分間撹拌した。撹拌器を除去した後、反応混合物の温度を290℃まで上昇させた。寸法が76mm×13mm×1.6mmの、事前に計量した重量損失試片CS 1010を浸漬した。この状態で4時間維持した後、鋼試片を取り出し、過剰な油を濯ぎ去り、試片を乾燥させた。金属試片を計量した。この試片が事前に不動態化された試片を形成した。
この実施例では、実施例1により調製された組成物の50%配合物の、様々な量について、ナフテン酸を含有する高温の油での鋼試片での腐食防止効率に関し、動的に試験をした。重量損失試片浸漬動的試験は、動的状態にある290℃の温度での、本発明の化合物のナフテン酸腐食防止の有効性を評価するのに使用した。
以下の試験装置及び材料を、動的腐食試験で使用した。
2.温度制御されたオートクレーブ
3.寸法が76mm×13mm×1.6mmの、事前に計量された重量損失炭素鋼試片CS 1010
4.3m/秒を超えた周速度をもたらすための、試片を回転させる手段。
<材料>
1.約2mg/KOHの酸中和価をもたらすよう添加されたナフテン酸を有するパラフィン炭化水素油(D−130)。
2.蒸気空間内の窒素ガス。
事前に計量され、事前に不動態化された、2つの重量損失炭素鋼試片を、オートクレーブの回転手段にクランプ留めした。動的試験を、290℃で4時間実施した。試験後、試片を取り出し、過剰な油を濯ぎ去り、過剰な腐食生成物を試片表面から除去した。次いで試片を計量し、腐食速度を、ミル/年として計算した。この動的試験の結果を表IVに示す。
(実施例4)
<高温硫黄腐食動的試験>
実施例3で使用したものと同様の試験手順を採用して、減圧蒸留残油のような硫黄に富む流れでの、腐食防止効率の評価を行った。製油所では、常圧蒸留塔の底流をさらに真空蒸留することが、当業者に知られている。真空蒸留塔の底流を、減圧蒸留残油(VR)と呼ぶ。VRは、一般にショートレジデュー(Short Residue)としても知られている。原油アッセイでは、VRは一般に、沸点が565+℃の流れと定義される。この流れは、一般に、常圧及び真空蒸留ユニットから出てくる全ての流れの中で、最も高い量の金属を含有する。VRをさらに処理して、燃料油又は石油コークスを形成する。VRは、C24+を主に含有するパラフィン系及びビチュマスティック(Bitumastic)材料の重炭化水素混合物とも定義される。
この動的試験で使用されるVRの元素組成は、約5%の硫黄分及び0.55mg/KOHのTANであることを示した。このVRは、インド西部に位置する製油所から得られた。この動的試験の結果を、表Vに示す。
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本発明の先の説明で述べた詳細を考慮すると、本発明は基本的に以下の項目を含むことが、当業者に明らかにされよう。
(項目1)
オレフィンリン硫黄化合物を含む、ナフテン酸腐食防止組成物であって、前記オレフィンリン硫黄化合物が、反応混合物をうまく形成する触媒量の硫黄の存在下で、前記オレフィンを、五硫化リンと、モル比を1:0.05から1:1.5、好ましくは1:1として反応させることによって生成された化合物である、ナフテン酸腐食防止組成物。
(項目2)
前記オレフィンが、高反応性又は通常のポリイソブチレンである、項目1に記載のナフテン酸腐食防止組成物。
(項目3)
前記組成物が、請求項2の前記反応混合物を、窒素ガスパージ下、160℃で加熱撹拌し、前記反応混合物を160℃から180℃の間の温度で1時間から2時間にわたり維持し、前記反応混合物の温度を185℃から250℃、好ましくは190℃から230℃、より好ましくは210℃から225℃に上昇させ、前記反応混合物を、上昇させた温度で1から24時間、好ましくは6から10時間維持し、反応塊を100℃まで冷却し、窒素ガスを反応容器内にパージして硫化水素ガスを追い出すことによって実現され、それによってもたらされる組成物である、項目2に記載のナフテン酸腐食防止及び硫黄腐食防止組成物。
(項目4)
前記オレフィンが、場合によって置換された炭化水素基である、項目1、2、又は3に記載の組成物。
(項目5)
前記オレフィンが、場合によって置換されたアルキル又はアルケニル基である、項目1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
(項目6)
前記オレフィンが、場合によって置換された分岐状アルキル又はアルケニル基である、項目1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
(項目7)
前記オレフィンがポリイソブテニル基である、項目1〜6のいずれか1つに記載の組成物。
(項目8)
前記オレフィンが、10から1000個の間の炭素原子を有する、項目1〜7のいずれか1つに記載の組成物。
(項目9)
前記オレフィンが、4から100個の間の炭素原子を有する、項目1〜8のいずれか1つに記載の組成物。
(項目10)
前記オレフィンが、200から10000の分子量を有する、項目1〜9のいずれか1つに記載の組成物。
(項目11)
オレフィンが、約250から約1300の分子量を有する、項目1〜10のいずれか1つに記載の組成物。
(項目12)
有機リン硫黄化合物を使用した、蒸留カラム、ストリッパー、トレー、ポンプアラウンド配管、及び関連する装置を含む石油化学プラントの炭化水素処理ユニットのいずれかの金属表面の、高温ナフテン酸腐食防止及び/又は硫黄腐食防止方法であって、
a)ナフテン酸及び/又は硫黄化合物を含有する炭化水素を加熱して、前記炭化水素の一部を蒸発させるステップと、
b)前記炭化水素処理ユニットを通して炭化水素蒸気の一部を凝縮して、凝縮留出物を生成するステップと、
c)前記凝縮留出物が前記炭化水素処理ユニットに戻される前に、又は生成物として収集される前に、反応混合物をうまく形成する腐食防止に有効な量で1から2000ppmのオレフィンリン硫黄化合物を前記留出物に添加するステップと、
d)前記オレフィンリン硫黄化合物を含有する前記凝縮留出物を、前記炭化水素処理ユニットの前記金属表面に接触させて、前記表面に保護膜を形成し、それによって各表面が腐食から保護されるステップと、
e)前記凝縮留出物を前記炭化水素処理ユニットに戻す、又は前記生成物として収集するステップと
を含む方法。
(項目13)
項目12のステップ(c)及び(d)の前記オレフィンが、高反応性又は通常のポリイソブチレンを含む、項目12に記載の方法。
本発明について、ある好ましい実施形態を参照しながら述べてきたが、本発明は、これらの好ましい実施形態に限定するものではない。記述される好ましい実施形態の代替例が、本発明の範囲から逸脱することなく可能である。しかし、上述の方法及び組成物は、単なる例示を意味するものであり、本発明の新規な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなくその他の形態で組み込むことができる。

Claims (9)

  1. オレフィンリン硫黄化合物を含む、ナフテン酸腐食防止組成物であって、
    前記オレフィンリン硫黄化合物が、触媒量の硫黄の存在下で、オレフィンを、五硫化リンと、前記オレフィンと前記五硫化リンとのモル比を1:0.05から1:1.5として反応させることによって生成された化合物であり、
    前記オレフィンが、ポリイソブチレンであり、
    前記組成物が、
    i)前記ポリイソブチレン、前記五硫化リン及び前記硫黄を含む混合物を、反応容器内で窒素ガスパージ下、160℃で加熱撹拌し、
    ii)ステップi)の前記混合物を160℃から180℃の間の温度で1時間から2時間にわたり維持し、
    iii)ステップii)の前記混合物の温度を185℃から250℃の範囲に上昇させ、
    iv)ステップiii)の前記混合物を、上昇させた温度で1から24時間維持し、
    v)ステップiv)の前記混合物を100℃まで冷却し、窒素ガスを前記反応容器内にパージして硫化水素ガスを追い出し、
    vi)それによって前記オレフィンリン硫黄化合物を含む前記組成物がもたらされる、
    によって実現される組成物である、ナフテン酸腐食防止組成物。
  2. 前記オレフィンと前記五硫化リンとの前記モル比が1:1である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記混合物の前記上昇させた温度が190℃から230℃の範囲である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記混合物の前記上昇させた温度が210℃から225℃の範囲である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記混合物を、前記上昇させた温度で6から10時間維持する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記ポリイソブチレンが、末端オレフィン二重結合の少なくとも50%がビニリデンタイプの高反応性ポリイソブチレンである、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記ポリイソブチレンが、4から1000個の間の炭素原子を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記ポリイソブチレンが、200から10000の分子量を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 有機リン硫黄化合物を使用した、蒸留カラム、ストリッパー、トレー、ポンプアラウンド配管、及び関連する装置を含む石油化学プラントの炭化水素処理ユニットの金属表面の、高温ナフテン酸腐食防止及び/又は硫黄腐食防止方法であって、
    a)ナフテン酸及び/又は硫黄化合物を含有する炭化水素を加熱して、前記炭化水素の一部を蒸発させるステップと、
    b)前記炭化水素処理ユニットに通して炭化水素蒸気の一部を凝縮して、凝縮留出物を生成するステップと、
    c)前記凝縮留出物が前記炭化水素処理ユニットに戻される前に、又は生成物として収集される前に、腐食防止に有効な量で1から2000ppmの請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物を前記留出物に添加するステップと、
    d)前記組成物を含有する前記凝縮留出物を、前記炭化水素処理ユニットの前記金属表面に接触させて、前記表面に保護膜を形成し、それによって各表面を腐食から保護するステップと、
    e)前記凝縮留出物を前記炭化水素処理ユニットに戻し、又は前記生成物として収集するステップと、
    を含む方法。
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