JP5712813B2 - 太陽熱集熱装置 - Google Patents
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Description
このような太陽熱集熱装置は、不凍液を循環させる集熱回路の回路形態により、集熱回路の一部に設けられた膨張タンクが大気開放された開放循環型と、不凍液が大気に触れないように集熱回路が密閉された密閉循環型とに分類される。
そこで、集熱回路内を循環する不凍液を大気と接触させることなく、集熱回路内の圧力変動を抑制可能な太陽熱集熱装置が提案されている。
しかし、この太陽熱集熱装置では、集熱回路等へ不凍液の注入を行う設置試運転時や点検修理後の試運転時等に集熱回路内に適正量の不凍液を充填したことを確認することは容易ではない。
即ち、この太陽熱集熱装置では、貯留タンクから熱媒補助貯留タンク内へ不凍液が溢れたとき集熱回路の充填が完了と見做され、その後、熱媒補助貯留タンク内の不凍液が適正量になったとき集熱回路と貯留タンクとを含めて充填完了と判定している。それ故、貯留タンクと集熱パネルとの間において回路途中が何らかの原因で閉塞されている場合、集熱回路内部が不凍液により完全に充填されていないにも拘わらず、回路内を逆流した不凍液が熱媒補助貯留タンクへ供給され、その結果、貯留タンク内の不凍液の液位が上昇し、集熱回路が不凍液で充填される前に熱媒補助貯留タンクの充填が完了する可能性がある。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記通路手段は、前記気液分離手段の上流側部分を形成すると共に熱媒体の流れを目視可能なチューブであることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、集熱回路の流路構造を変更しないため、視認可能部を設置するスペースが不要になり、回路構造を簡単化でき、安価な太陽熱集熱装置を得ることができる。
図1に示すように、実施例1の太陽熱集熱装置1は、集熱パネル2と、貯湯装置3と、集熱回路4と、気液分離手段5と、通路手段6等を備えている。この太陽熱集熱装置1は、熱媒体としての不凍液(例えば、プロピレングリコール)を循環ポンプ7により集熱回路4内を矢印方向に循環させ、集熱パネル2で加熱された不凍液により貯湯装置3内に貯留された水を暖めて湯に変換し、貯湯装置3から湯を供給可能に構成されている。尚、熱媒体は、前記プロピレングリコールに限られず、エチレングリコール等、熱伝達率が高く、冬季に凍結しない機能を有していれば良い。
貯湯装置3は、ロックウール等の断熱材で被覆された円筒形の密閉タンクにより形成され、その内部に家庭用水等の水を貯留可能に構成されている。貯湯装置3には、給水管8aと、給湯管8bと、貯留水の温度を測定可能な複数の水温センサ9aが設けられ、その内部に後述する熱交換器10が収容されている。水温センサ9aは制御盤11へ検出された水温を出力している。給水管8aは貯湯装置3内へ給水するため底部近傍位置に接続され、給湯管8bは加熱された湯を外部へ給湯するため頂部位置に接続されている。
集熱回路4は、気液分離手段5から集熱パネル2までの流路を形成する往回路部4aと、集熱パネル2内部に配設された集熱回路部4bと、集熱パネル2から熱交換器10までの流路を形成する第1復回路部4cと、螺旋状に形成された熱交換器10と、熱交換器10から気液分離手段5までの流路を形成する第2復回路部4dとを備えている。
往回路部4a、第1復回路部4c及び第2復回路部4dは、銅製、ゴム製又は合成樹脂製の配管により構成され、それらの周囲は断熱材で被覆されている。
この気液分離手段5は、外部を断熱材により被覆され、第2復回路部4dを流れて還流した不凍液を往回路部4aへ還流させ且つ一部の不凍液を貯留可能に形成されている。
調圧弁12は、気液分離手段5の上部開口部5aに取り付けられたとき、下方へ付勢されて上部開口部5aを閉鎖する第1弁体と、この第1弁体の中央開口に対して上方へ付勢されて中央開口を閉鎖する第2弁体とを備えている。尚、この調圧弁12は、エンジンのラジエータキャップと同様の構成のため、詳細説明は省略する。
通常運転は、集熱回路4と気液分離手段5との内部に不凍液が充填され、リザーブタンク13に不凍液が適正量貯留された状態で開始される。
貯湯装置3は、常時、給水管8aから給水圧が付加された密閉状態に維持されている。それ故、給湯管8bの開閉バルブが開操作されたとき、給湯が行われると共に給湯により減少した同量の水が自動的に給水管8aから補給されている。
また、液温センサ9bの測定温度と水温センサ9aの測定温度との差が第2温度、例えば液温と水温との差が4度以下のとき、循環ポンプ7をオフ制御して不凍液の循環を停止する。これにより、集熱回路4内の不凍液は停止し、気液分離手段5内の貯留水の加熱は停止される。
太陽熱集熱装置1の新規設置や点検修理後において、集熱回路4等の各設備内には不凍液が存在していないため、太陽熱集熱装置1の運転に必要な不凍液を適正量充填するため、試運転の開始前に不凍液充填作業を行なう。この場合、図2に示すように、気液分離手段5から調圧弁12を取り外し、分岐通路17の先端の出口と気液分離手段5の上部開口部5aとを対向させる。
リザーブタンク13の不凍液充填完了の際、分岐通路17の先端の出口から不凍液の滴下が視認された場合、集熱回路4等リザーブタンク13以外の設備にも不凍液が充填されているため、不凍液注入完了と判定する。また、リザーブタンク13の不凍液充填完了の際、分岐通路17の先端の出口から不凍液の滴下が視認されない場合、集熱回路4の途中部が機材等により閉塞され回路内に不凍液が充填されていないと判定し、各回路部の状態確認を行い、集熱回路4の閉塞状態を解除した後、不凍液注入作業を継続する。
集熱回路4の気液分離手段5よりも上流側部分である第2復回路部4dに接続され且つ不凍液の流れを視認可能な視認可能部を有する通路手段6を設けたため、不凍液を不凍液容器19から気液分離手段5に注入し、集熱回路4の循環ポンプ7を駆動したとき、集熱パネル2と集熱回路4の全体に不凍液が充填されると、不凍液が気液分離手段5の上流側部分に達し、気液分離手段5に還流される不凍液を目視により視認できるため、集熱回路4の内部に不凍液が充填されたことを確実に判定することができる。しかも、集熱回路4の不凍液による充填完了を確実に判定できるため、不凍液が不足した状態の運転を防止でき、それ故、太陽熱集熱装置1の熱効率を向上でき、試運転時間を短縮することができる。
本実施例によれば、集熱回路4の流路構造を変更しないため、視認可能部を設置するためのスペースが不要になり、回路構造を簡単化でき、安価な太陽熱集熱装置1Aを得ることができる。
この第1バイパス通路31の途中部には、気液分離手段5とリザーブタンク13Aとの間を手動操作により開閉可能な切替バルブ22が設けられている。
試運転における不凍液注入作業時は、調圧弁12に代えて蓋部材20を上部開口部5aに装着し、切替バルブ22を開弁し、不凍液容器19のホース19aと接続管21とを接続した後、試運転釦11bをオン操作する。
往回路部4aとリザーブタンク13Aとは、第3バイパス通路33により連通されている。第3バイパス通路33は、一端が往回路部4aの循環ポンプ7の上流側途中部に接続され、他端がリザーブタンク13Aの底部に接続されている。
切替バルブ24は、制御盤11と電気的に接続され、通常運転釦11aがオン操作されたとき、リザーブタンク13Aからの不凍液を遮断すると共に気液分離手段5からの不凍液を循環ポンプ7側へ連通し、試運転釦11bがオン操作されたとき、リザーブタンク13Aからの不凍液の流れを循環ポンプ7へ連通するように形成されている。これにより、構造の簡単化を図りつつ、先に説明した変更形態と同様の効果を奏することができる。
1〕前記実施例1においては、不凍液を注入するとき、不凍液容器のホースを上部開口部に直接挿入した例について説明したが、気液分離手段に装着される蓋部材の接続管を介して不凍液を注入しても良い。この場合、蓋部材に滴下する不凍液を気液分離手段に還流するための不凍液受け部を形成する。
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
2 集熱パネル
3 貯湯装置
4 集熱回路
5 気液分離手段
6,6A 通路手段
7 循環ポンプ
10 熱交換器
13,13A リザーブタンク
17 分岐通路
18 切替バルブ
Claims (3)
- 熱媒体を太陽熱により加熱する集熱パネルと、貯湯装置と、前記集熱パネルと貯湯装置とに亙って熱媒体を循環させ且つ貯湯装置の内部において熱媒体の熱を熱交換する熱交換器を形成した集熱回路とを備え、この集熱回路の熱交換器の下流側に気液分離手段が設けられた密閉循環型の太陽熱集熱装置において、
前記集熱回路のうちの前記気液分離手段の上流側部分に接続され且つ熱媒体の流れを視認可能な視認可能部を有する通路手段を設けたことを特徴とする太陽熱集熱装置。 - 前記通路手段は、前記気液分離手段の上流側部分から分岐すると共に熱媒体を前記気液分離手段に滴下可能な分岐通路と、この分岐通路を開閉可能な切替手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の太陽熱集熱装置。
- 前記通路手段は、前記気液分離手段の上流側部分を形成すると共に熱媒体の流れを目視可能なチューブであることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱集熱装置。
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